《 原著論文 》
口腔内崩壊フィルム製剤の簡易懸濁法適応可否に関する検討
村上雅裕*,木下紗江,上野 楓,安田 恵,天野 学
The Examination of Orally Disintegrating Film formulation Using the Simple Suspension Method
Masahiro Murakami*,Sae Kinoshita,Kaede Ueno,Megumi Yasuda,Manabu Amano
Since the orally disintegrating film formulations (film formulations) is superior disintegration, it is expected to be appropriate dosage forms for the simple suspension method.
In this study, we investigated 7 film formulations by disintegration/suspension and permeability tests to clear whether or not the simple suspension method is applicable. Each film formulation was suspended under 3 different conditions: using a syringe, suspension bottle, and medical cup. In all cases, favorable disintegration/suspension and permeability test results were achieved only when using the suspension bottle. When using the syringe and medical cup, the film formulations adhered to the inner wall or bottom, and they did not disintegrate, possibly due to variations in the force applied when suspending. Based on the results, film formulations may be appropriate for simple suspension using suspension bottles.
Key words; orally disintegrating film formulation,simple suspension method Received October 20, 2017; Accepted December 7, 2017
1 緒 言
簡 易 懸 濁 法 と は, 錠 剤 や カ プ セ ル 剤 を 約 55℃の温湯に崩壊・懸濁させて経管栄養チュー ブ(以下, チューブ)より投与する方法1,2)であ
り, 現在では多くの施設で導入されている 3-5). また, 簡易懸濁法を導入することにより, 調剤 の過程で生じる粉砕やカプセル開封による薬 剤損失 6,7)がなく, 調剤業務の効率化 8)にもつ ながるというメリットもある. 一方, 口腔内崩
Masahiro Murakami, Sae Kinoshita, Kaede Ueno, Megumi Yasuda, Manabu Amano 兵庫医療大学薬学部臨床薬剤学分野
*連絡先:兵庫医療大学薬学部臨床薬剤学分野 村上雅裕 〒650-8530 兵庫県神戸市中央区港島1丁目3番6
TEL:078-304-3176 FAX:078-304-3176 E-mail:[email protected]
壊錠(以下, 錠)は, 17 日本薬局方 製剤 (以下, 局方)に いて 口腔内で や に または崩壊させて で る錠剤 である. と されて り, に で崩 壊・懸濁すること , 簡易懸濁法に適 た剤
であると言 る ).
現在, 口腔内で や に崩壊する製剤と て, 錠以 に口腔内崩壊フィルム製剤(以 下, フィルム剤)がある. 錠では,
により の を 崩壊させるのに , フィルム剤は を大 くすることで 崩壊 を ている 10). のた , フィルム 剤に いても 錠と に簡易懸濁法に適
た剤 ではない と される.
簡易懸濁法は, す ての医薬 に適 で る ではないこと , 適応可否に関する
と て, に内 薬経管投与 ブ ッ 11)(以下, ブッ )が される.
, 調 (2016 10 )で,
ブッ 11)にフィルム剤の簡易懸濁法に関する 適応可否 は されていない.
こで本 では, フィルム剤の簡易懸濁 法に関する適応可否を調 するた , 崩壊懸 濁・ 過 を 施 た. また, が 適とな た製 に関 ては, の原 を検 討 た.
方 法
(1) 調 医薬
調 と た フ ィ ル ム 剤 は, 調
(2016 10 )で薬 されていた7製 と た( 1). な , が 在する医薬
については, 大 により検討を た.
(2)
リ は, ル カ ー ルチップ リ
20 mL(以下, ル リ : 会
ル ) よ ールプ チッ ィ リ ル ーチップ 20 mL(以下, プ チッ リ :大 カル 会 )を た. チューブは, KangarooTM ュー
ルフィー ィ チューブ 8 Fr.,120 cm(日本 ィ ィ 会 )を た. 懸濁 トルは, 懸濁 トル100mL( 会 リ
), 薬 は, 薬 3 30mL( ム カ ル 会 )を た.
(3) リ を た崩壊懸濁 の検討11) リ のプ ー部分を り, リ 内にフィルム剤1 を入れたの , プ
1 本 に たフィルム剤の一
大きさ(mm)* 長辺×短辺
アムロジピンODフィルム 5mg「QQ」 株式会社ビオメディクス 4K11T 80 ~ 100 20 × 14 溶けにくい
(溶解度:3.5mg/mL ) 31.1 ± 0.2 オロパタジン塩酸塩ODフィルム 5mg「マルホ」 マルホ株式会社 5B11G 80 ~ 100 20 × 14 やや溶けにくい 30.0 ± 0.2 ゾルピデム酒石酸塩ODフィルム10mg「モチダ」 持田製薬株式会社 4E11N 100 ~ 130 20 × 14 やや溶けにくい 37.8 ± 0.1 ドネペジル塩酸塩ODフィルム10mg「EE」 エルドメッドエーザイ株式会社 5S11C 90 ~ 110 20 × 14 やや溶けやすい 25.7 ± 0.1
ボグリボースODフィルム0.3「QQ」 持田製薬株式会社 4N14W 約80 20 × 14 極めて溶けやすい 27.6 ± 0.3
ロラタジンODフィルム10mg「KN」 小林化工株式会社 F4AA03 約57 30 × 20 ほとんど溶けない 43.7 ± 0.1
ロラタジンODフィルム10mg「モチダ」 持田製薬株式会社 5C11L 100 ~ 130 20 × 14 ほとんど溶けない 39.3 ± 0.4
*:添付文書およびインタビューフォームの記載内容 **:実測値(n=3)
薬品名 製薬会社 ロット番号 厚さ(µm)* 原薬の水に対する溶解性* 重量(mg/枚)**
ーを た. の リ に 25℃あ
るいは 55℃の 20 mL を い り, 先
に を て5分 温にて た. な , プ チッ リ には の 先の が ないこと , フィルムで を た. の
, リ を 0 で15 , 目
にて崩壊懸濁の を た. さ に5分 温にて , で 10 分経過 に の
を た. 簡易懸濁法では, 口腔内崩壊錠 のように にす 崩壊する剤 では, 55℃の温 湯を いなくとも で簡易懸濁法が 施可 である )こと , 本 では 温である25℃
の に いても検討を た.
(4) 懸濁 トルを た崩壊懸濁 の検討 懸濁 トルにフィルム剤 1 を入れたの ,
25℃あるいは55℃の 20 mLを て
を , 10 分 温にて た. の , 懸濁
トルを上下に 15 とう , 目 にて崩壊 懸濁の を た12).
(5) 薬 を た崩壊懸濁 の検討
薬 にフィルム剤1 を入れたの , 55℃の
20 mLを て10分 温にて
た. の , ー ルで 20 たの , 目 にて崩壊懸濁の を た13).
(6) 経管栄養チューブ 過 11)
過 は, 崩壊懸濁 たと された フィルム剤を と た. ま , 崩壊懸濁 で れた懸濁 をチューブの 入 より約
2 3 mL/ の で 入 た. の , チュー
ブ内に約 20 mL の を 入 , チューブ
内に が れな れ 過 に な と た. な , チューブ の 入の は,
ッ 上の に する投与を , 内 入 3 分の2 を に , 入 を 30
cmの さにセット て た.
(7)
崩壊懸濁 よ 過 の
については, 医薬 につ 3 つ を 施 , 2 以上 じ が れた を の医薬 の と た. また, 施 の
な を するた , じ医薬 につ いては 施日や を て た.
方法は, ブッ 11)の 適
1 である 錠剤の ー ィ を 壊せ
のままの で を い, 10分以内に崩壊懸
濁 , 8 Fr.チューブを 過する という に
より検討を た. な , 適1 で崩壊懸濁 な た には, 適2 の と て 錠 剤の ー ィ を 壊すれ 10分以内に崩
壊・懸濁 , 8 Fr.チューブを 過する という
方法が されている. , 本 ではフ ィルム剤を と ていること , 適1 で崩壊懸濁 な た 目については
を 適 と た. な , プ チッ リ については, 崩壊懸濁の適否の を た.
(1) リ を た崩壊懸濁・ 過 の
2に すように, ル リ を た では, 55℃の に いて
OD フィルム 5mg ル よ リ ー ODフィルム0.3 の2製 で
が 適1 とな た. 一方, 25℃の では, OD フィルム 5mg
ル を くす ての製 で, が 適とな た.
55 25 55 25 55 25
アムロジピンODフィルム 5mg「QQ」 × ×
オロパタジン塩酸塩ODフィルム 5mg「マルホ」 1 1
ゾルピデム酒石酸塩ODフィルム10mg「モチダ」 × ×
ドネペジル塩酸塩ODフィルム5mg「EE」 × ×
ボグリボースODフィルム0.3「QQ」 × 1
ロラタジンODフィルム10mg「KN」 × ×
ロラタジンODフィルム10mg「モチダ」 × ×
薬品名
性
: ×: :8F .チュー ( な ) :対
2 ル リ を た
55 25
アムロジピンODフィルム 5mg「QQ」 × ×
オロパタジン塩酸塩ODフィルム 5mg「マルホ」 × ゾルピデム酒石酸塩ODフィルム10mg「モチダ」 ×
ドネペジル塩酸塩ODフィルム5mg「EE」 × ×
ボグリボースODフィルム0.3「QQ」 ×
ロラタジンODフィルム10mg「KN」 × ×
ロラタジンODフィルム10mg「モチダ」 × ×
薬品名
: ×:
3 プ チッ リ を た
55 25 55 25 55 25
アムロジピンODフィルム 5mg「QQ」 1 1
オロパタジン塩酸塩ODフィルム 5mg「マルホ」 1 1
ゾルピデム酒石酸塩ODフィルム10mg「モチダ」 1 1
ドネペジル塩酸塩ODフィルム5mg「EE」 1 1
ボグリボースODフィルム0.3「QQ」 1 1
ロラタジンODフィルム10mg「KN」 1 1
ロラタジンODフィルム10mg「モチダ」 1 1
薬品名
性
: ×: :8F .チュー ( な ) :対
4 懸濁 トルを た
3 に すように, プ チッ リ を た では, 55℃の に いて
ODフィルム 5mg ル , ル ム ODフィルム10mg チ
よ リ ー ODフィルム0.3 の 3製 が崩壊懸濁 た. , 25℃の では, す ての製 に いて崩壊懸濁 な
た. な , プ チッ リ は経管投与 ではないこと , 過 は 施 て いない.
(2) 懸濁 トルを た崩壊懸濁・ 過 の
4に すように, 懸濁 トルを た では, 55℃ よ 25℃い れの に いて もす ての製 に いて崩壊懸濁 , 過
も な であ たこと , が 適1 とな た.
(3) 薬 を た崩壊懸濁・ 過 の
5に すように, 薬 を た では,
55℃の に いて ODフ
ィルム 5mg ル を くす ての製 で, が 適とな た.
フィルム剤は が大 く, に い
た 10), OD錠と に や に崩壊すると
れる. また, OD錠の は1錠あたり100
200 mg 程 であるのに , フィルム剤の
は1 あたり 25 45 mg 程 であること
, 崩壊 に生じる医薬 の は, OD 錠 よりもフィルム剤の うが ないと され る. のた , 簡易懸濁法によりフィルム剤を 投与することが可 であれ , 経管投与 に チューブの を こす は ない と れる. このような , フィルム 剤は簡易懸濁法に適 た剤 ではない と
, 本 を 施 た.
フィルム剤には, と て
プ ルセル ー や プ メ ー な 分 の い 分 を ている. のた , 崩壊懸濁 の が , チューブの 過
に を す可 が れた.
, 崩壊懸濁 たす ての製剤に いて, 過 は ない との であ た.
性
55 55 55
アムロジピンODフィルム 5mg「QQ」 × ×
オロパタジン塩酸塩ODフィルム 5mg「マルホ」 1
ゾルピデム酒石酸塩ODフィルム10mg「モチダ」 × ×
ドネペジル塩酸塩ODフィルム5mg「EE」 × ×
ボグリボースODフィルム0.3「QQ」 × ×
ロラタジンODフィルム10mg「KN」 × ×
ロラタジンODフィルム10mg「モチダ」 × ×
薬品名
: ×: :8F .チュー ( な ) :対
5 薬 を た
本 , リ あるいは薬 を た , 以上の製 が崩壊懸濁 可であることが とな た. 一方で, 懸濁
トルを た , 検討 た7製 す て に いて, 25℃ よ 55℃い れの に い ても崩壊懸濁が れた. リ を
た崩壊懸濁 の検討では, 1に すように ル リ を た , リ の 内 にフィルム剤が た とな て まい, 崩壊懸濁 を目 により するこ とが に であ た. また, 薬 を た に いても, 1に すように に 薬 の が れた.
フィルム ー ィ 錠やカプセル剤では, フィルム ー ィ やカプセルの が
れても薬剤 のものが懸濁 ていれ とはな ない. 一方で, フィルム剤では の
を目 で することは い. のた , に崩壊懸濁 を する で, フィルム剤の一部が リ 内 あるいは薬
に たままの であ た は, 崩壊懸濁せ と た. た , フィル ム剤が一部 リ や薬 に た で あ ても, 薬の に する が れ
, 懸濁 中に 薬が ている され
る. のた , チューブの 過 に がな れ , の投与は可 であると れ る. , 本 では懸濁 中に まれる 薬の を ていないこと , ブ ッ の により 適と た.
簡易懸濁法では, 医薬 に まれる により経管投与に を すことが さ れている14). こで, フィルム剤の リ よ 薬 の に る の を検 討するた , フィルム剤に まれる を
た( 6). , の に な いは れな た.
1 フィルム剤の リ 内 と
薬 の
6 フィルム剤に する の
アムロジピンOD フィルム5mg「QQ」
オロパタジン塩酸塩 ODフィルム5mg「マルホ」
ゾルピデム酒石酸塩OD フィルム10mg「モチダ」
ドネペジル塩酸塩OD フィルム10mg「EE」
ボグリボースOD フィルム0.3「QQ」
ロラタジンOD フィルム10mg「KN」
ロラタジンOD フィルム10mg「モチダ」
マクロ ール400 ロメロース ドロ ロピル ルロース 酸化チタン
メントール スクラロース
水アメ ッ リン トリ ム水
酸化 ビドン ト ロース
リ ル ート80 グリ リン 酸エス ル 塩化 ル ム水
1号 水酸化 トリ ム
酸化 ルラン ト モロ デン ン
製品名 添 名
ル リ よ 薬 の は, い れも リプ である. のう , ル
リ の内 には, プ ーの を よくするた の リ ー ルが され ている. 薬では, リ ー ルの と れる の生 が されている薬 剤がいくつ 在する15-17). のた , フィル ム剤の リ 内 の について
も リ ー ルが の を与 て いるのではない と , リ ー ル を一 ていないプ チッ リ により, 崩壊懸濁 を 施 た. ,
は 1 に すように ル リ の と に リ 内 フィルム剤が ていたこと , リ ー ルの で はないことが された. この は, ィ ー カプセルの簡易懸濁法に いて, リ
では製剤の が され, 懸濁 トルで は されな たが, の原 は リ 内 の リ ー ルの ではないとの
12)と一 ている.
が 18) た 製 ー による フィルム剤の崩壊 では, 製 ー の は れな たこと , 崩壊 懸濁に た の がフィルム剤の
に ている可 がある. , ル リ , 薬 よ 懸濁 トルはす て リプ 製であること , が の ではないと言 る.
リ では, 大 が 20 mL の リ
に を 20 mL て , 薬
では 大 30 mLの薬 に 20 mLを
て を ている. 一方, 懸濁 トルで
は, 大 100mL の懸濁 トルに
20mL を て上下に とう ている. のた
, 懸濁する に る が の に
関 , な崩壊懸濁に ていると
れた.
以上, 本 より, リ や薬 では なく懸濁 トルを することにより, 7 製 す てのフィルム剤に いて簡易懸濁法の適 応が可 であることが とな た. また, 55℃ ではなく, 25℃の に いても簡 易懸濁法の 施が可 であることが された.
本論文のす ての著 に開 す はない.
文
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