は じ め に
これまでのシリーズは、米国税制改正の主な内容についての解説そして、日本からの税務面の視点および会計面についての解説であった。当該税制改正は米国でレーガン政権以来
2018年に国内での 表している。通信大手のAT&Tは 投資や従業員への臨時ボーナスを発 一部の米国企業では、早くも設備 の対応について考察する。 事業戦略およびM&Aへの影響とそ 稿では、米国税制改正による企業の 動にも影響を及ぼすものである。本 事業戦略・オペレーション・投資活 要ではあるが、それだけではなく、 とっては、税務の問題はもちろん重 米国で事業・投資を行う日系企業に 31年ぶりの抜本的な改正であり、
10億ドルの追
加投資と
ブ・アメリカ(金融)なども従業員の やコムキャスト(通信)、バンク・オ イザー(製薬)、ボーイング(航空) 発表が見受けられる。このほか、ファ 発言するなど、積極的な設備投資の タービンの生産を米国で実施すると して米トランプ大統領と話し、火力 業の独シーメンスはダボス会議に際 ることを発表した。また、多国籍企 1、000ドルのボーナスを支給す 20万人超の国内従業員に 年 日本企業は、ジェトロが2017 うとしている。 賃上げや人材育成への投資などを行
10~
策のなかで約 制改正への関心はトランプ政権の政 系企業実態調査」によれば、米国税 11月に実施した「米国進出日
80%と最も高く、減税
に対する期待と受け取られた。ただし、本税制改正を受けて日系企業の米州戦略上の具体的な打ち手・施策についてはまだ確立されておらず、中長期的な視野に立ってこれから検討する企業が多いというのが、筆者がこれまで日本企業と話してきたなかでの感触である。ここでいう、具体的な打ち手・施策というものは、設備投資やサプライチェーンの見直し、グローバル資本構成やトレジャリーマネジメント、さらには積極的な米国へのM&Aポリシーの変更といったものだ。もちろん、米国税制改正の影響度レベルは業界別でも異なり、さらには日系企業の米国進出形態や資本構成・取引内容その進出方法によっても個別事情があるため、個別に分析が必要である。そして影響分析を実施する際には、税制改正、税務・財務会計の影響のみならず、戦略・事業・オペレーションモデルにも影響を与えるため、経営企画や事業部からも広範囲にわたるクロスファンク
【第5回・完】
M&A・事業戦略 に関する 日本企業 への 影響
今回の米国税制改正は単なる税務の問題だけではない。事業戦略・M&Aのあり方にも大きく影響を及ぼすも のである。事業戦略・M&Aの視点で米国税制改正を考える場合、米国税制改正は事業環境の変化の1つとして 捉え、競争ルールのゲームチェンジャーとしての役割を果たす可能性が高い。企業の経営目標である純利益、ネット・
キャッシュ・フローを改善し、向上していくための施策・打ち手を検討するにあたり、米国税制改正による影響は、
まさに検討すべき必須項目といえよう。
本稿では米国税制改正による日系企業の事業・M&A活動への影響と対応について考察する。文中における意 見はすべて筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。
PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士・米国公認会計士
舟引 勇
米国税制改正法 の 概要 と 日本企業 への 影響
米国税制改正法 の 概要 と 日本企業 への 影響
≪連載スケジュール予定≫
テーマ 掲載号
第1回 米国内の法人税制の改正点 2018年2月10日号(№1503)
第2回 国際税制の改正点 2018年2月20日号(№1504)
第3回 個人・パススルー事業体所得税制の改正点 2018年3月1日号(№1505)
第4回 外国子会社合算税制・会計に関する日本企業への影響 2018年3月10日号(№1506)
第5回 M&A・事業戦略に関する日本企業への影響 2018年4月1日号(№1508)
⑵ 資本構成:自己資本か他人資本か(関連改正項目:支払利子の損金算入制限)
米国法人の資本構成の状況により、今回の米国税制改正の1項目である、支払利子の損金算入制限に大きく影響を受ける。高い財務レバレッジの企業にとっては、有利子負債を多額に調達していることから、関連する支払利子についてこれまで損金算入ができていた部分に制限がかけられる可能性があるため、結果的に税務コストとしてはデメリットとなる。仮に他のすべての条件が等しいという前提の場合、損金算入制限の上限を超過した支払利子を有する場合は、税務コストが上がり、ひいては企業価値が下がることにつながるかもしれない。一方で、すべて自己資本で調達しているようなケースではそのようなマイナスの影響はない。
⑶ 利益獲得源泉の所在:米国内かオフショアか(関連改正項目:法人税率の引下げ)
米国はOECDのなかでも
35%
(連邦税のみ)という高い法人税率国の位置づけであるが、統計によると実際の実効税率は
26~
なかには実効税率が 28%に近く、
20%を下回って
いる米国企業も存在している。これは各種控除の存在だけではなく、グローバルに展開している企業は米国外での事業オペレーションを実施しているため、より多くの利益の源泉が米国外にあることで実効税率を下げていることによる。税制改正前の米国は全世界所得課税制度を採用していたから、米国外の利益を米国に還流した場合に米国での課税が生じる一方で、米国外に留保した利益については(外国子会社合算税制(CFC税制)による合算が生じる場合等の)一定の例外を除き米国での課税が生じなかった。会計上も、海外留保利益の無期限再投資宣言(いわゆるAPB23 assertion)を行うことにより、将来の配当還流時の税負担に伴う繰延税金負債を積む必要がなく、会計上の実効税率を引き下げることが可能であった。その意味では、連邦法人税率の 21%への引下げは、米国内のみで小
売業を実施しているようなすでに実効税率が高い企業には相対的に大きな税メリットを与えるのに対して、米国外の事業からの利益が大きい企業にとっては、すでに実効税率が低いため、税率引下げの便益は相対的に小さくなると思われる。 ショナルな検討が必要である。実際に、そのように検討し始めた日本企業も見受けられる。それでは日本企業にとって、事業戦略およびM&A活動の2つの視点から米国税制改正の影響と対応について考察する。
米 国 税 制 改 正 に よ る 事 業 戦 略 へ の 影 響
まず今回の米国税制改正においてどのようなタイプの会社に対し有利に働き、もしくは不利に働くのかについて考察する。米国税制改正の主な内容は、次の項目である。
① 法人税率の引下げ② 固定資産の即時損金算入が可能になったこと③ 海外子会社の既存の留保利益に対する強制みなし配当課税(いわゆるトールチャージと呼ばれるもの)④ 支払利子の損金算入制限⑤ その他国際課税ルールの変更
これらは、いったい事業にどう影響するのであろうか。それは、税引後純利益、もしくは税引後ネット・キャッシュ・フローに影響する。企業は利益を獲得し株主などのステークホルダーへ還元することを考えると、税に関する対策は重要な経営課 題の1つである。昨今EBITDAやEBIT等の経営管理指標が注目されがちであるが、税引後の利益あるいは税引後ネット・キャッシュ・フローは企業の最終的な儲けを示すので、おろそかにしてはならない。そのような視点から以下の切り口で税制改正の影響について考察する。⑴ 事業モデル:資本集約型か労働集約型か(関連改正項目:固定資産の即時損金算入)巨額な
設備投資が必要な装置産業のような企業が資本集約的な企業に該当し、労働集約はまさに装置を必要としない人的サービス業が当てはまる。今回の米国税制改正の影響の1つである固定資産の即時損金算入が可能になったことは、資本集約型企業にとっては、損金算入に係る税務メリットを享受できることからポジティブである。一方で、労働集約型の企業の場合は、設備投資に伴う固定資産の取得はあまり見込まれないため、メリットの享受は考えられない。まさに米国にある製造業にとっては朗報であり、日系製造業として米国にある生産子会社がある場合は当該メリットを享受できると思われる。
米国税制改正法 の 概要 と
日本企業 への 影響
米国税制改正法 の 概要 と
日本企業 への 影響
⑷ グローバル知的財産権のロケーション:米国内か日本か米国外か(関連改正項目:GILTI、およびFDIIおよびBEAT)
企業活動をするうえで、特許権や商標権等の知的財産権の所在がどこにあるかによって、影響の度合いが異なる。たとえば、多国籍企業が米国にグローバル知的財産権を保有しており米国外から特許等の使用料を収受している場合には国外源泉無形資産関連所得(FDII(Foreign-derived intangibleincome)という新設制度)により当該米国法人は一定の税務上の恩典(軽減税率
よる追加課税が生じる可能性があ Frosion and Anti-Abuse Tax ))に Base 源浸食濫用防止税(BEAT( 本親会社へ支払う特許使用料等は税 が保有している場合、米国法人が日 グローバル知的財産権を日本親会社 課税が生じる可能性がある。さらに、 Taxed Income))として扱われ合算 Global Intangible Low ILTI( グローバル無形資産低課税所得(G る場合、米国のCFC税制の適用上、 米国傘下の海外子会社が保有してい 一方で、グローバル知的財産権を れる可能性がある。 13・125%)を受けら できるだろう。 直面する可能性があるということが であればあるほど、何らかの足枷に でき、オフショア中心の事業モデル ればあるほど、税務メリットを享受 みたが、米国中心の事業モデルであ 以上、いくつかの視点で考察して * 視点から検討を行う必要がある。 開発・保有ポリシーはこれら3つの 今後の多国籍企業の知的財産権の る。
米 国 税 制 改 正 に よ る 事 業 へ の 対 応
前述のとおり、米国税制改正による影響の度合いはさまざまであり、かつ事業モデルの根幹にも影響する。日本企業にとって、米国税制改正により多額の税負担が予測される場合は、事業モデルの変更を検討する必要がある。特に一部の事業モデルについては税務コストが特に高まるリスクがあるので留意が必要である。一方で、米国税制改正による影響が小さいもしくはプラスの場合はどうか。経営戦略の視点では、事業におかれる環境の変化を分析することが重要であり、そのなかでも競合分 析は特に重要である。日本企業以外の欧米企業のなかにはすでに具体的な施策を明確にしているものもあるなかで、日本企業としては、ただ受け身的な対応ではなく、積極的に今回の税制改正により経営目標を達成すべく検討すべきであろう。対応策を検討するにあたっては、税制改正に伴う以下の2つの大きな潮流を理解することが重要である。⑴ 米国内事業活動の活性化
税制改正による法人税率の引下げやテリトリアル税制の導入により、米国内の事業活動が生み出すキャッシュ・フローが増加することから、おおむね日系企業にとってプラスの影響をもたらすことが期待される(当然のことながら、各種控除の撤廃や支払利子損金算入制限などもあるので、場合によっては影響がプラスとはいえない状況もあり得る)。また、固定資産の即時償却や知的財産を米国内で保有することへの優遇措置など、米国でのさまざまな事業活動を遂行するうえで魅力的な改正内容となっている。これらをきっかけに、サプライチェーンの一部もしくは全部を米国外から米国に移転するなどの見直しを行ったり、あるいは即時償却のメリットを最大限享受するために積極 的な設備投資計画を中期経営計画に織り込むことなどが考えられる。米国事業全体がキャッシュ・フローを生み出しやすくなるのであれば買収ターゲットの範囲も広がるかもしれない。⑵ 米国企業が有する海外留保利益の国内還流に伴う余剰資金の増加
もう1つの重要な視点は、米国企業が有する米国外の海外留保利益を国内還流することにより余剰資金が増えることである。まず、法人税率の引下げと資金の国内還流は、M&A市場を含むさまざまな方法で利用できる余剰資金を増加させるであろう。
るかもしれない。 返済に充当するようCFOは奨励す を踏まえ、国内還流した資金を債務 的な支払利子の損金算入制限の導入 活発化することが見込まれる。包括 短期的にも長期的にもM&A活動が その意味で、
ある。また、米国外の資金へのアク いリターンを追求することも必要と 非連続な成長のための活用など、高 ための投資や、M&A活動を通じた 満足させるために、有機的な成長の 他方で、長期的な視点で投資家を とも可能である。 資金を自己株式の取得に活用するこ あるいは、当該
セスが容易になることから、活用方法の検討が必要である。たとえば、グローバル・キャッシュ・マネジメントを見直し、最適化することや、有利子負債の返済、またはR&Dや設備投資用途にすることも考えられる。以上のように、さまざまな打ち手が考えられる。*これらの2つの潮流に基づき、今後の事業戦略の具体的な施策を検討するべきである(図表1参照)。
米 国 税 制 改 正 に よ る M & A 活 動 へ の 影 響 と 留 意 点
米国税制改正によって、M&A活動は基本的に活性化する可能性があると想定される。米国M&A市場を取り巻く環境をみると、歴史的な米国での低金利そして、底堅い景気に支えられ、そして失業率も低い状況であったことか ら、M&Aのバイヤーの視点ではかなり米国企業の買収価格は高くなっていた。一方で、NAFTA交渉やさまざまな貿易制裁などの要因も無視することはできない。今回の米国税制改正によって、M&A市場、ディールフローについて考察すると、前述の潮流のとおり、米国内への資金還流の流れ、そして税率の引下げにより、米国事業の相対的な魅力度の増加が予想される。余剰資金は米国にあり、魅力的な買収対象会社の数にも限度があるため、より買収価格が高値となる可能性もあり、昨今の例にあるように買収直後減損処理のような高値づかみ案件とならないよう、留意が必要である。さらに、M&A需要があるにもかかわらず、買収対象が米国内でみつからない場合、(各企業やファンドの長期ビジョン、戦略に合致することが前提となるが)前述のような米国に戻ってきた資金の行き先が米国から日本を含めた海外へ向けて加速する可能性も考えられる。価値評価の視点で考察すると、評価方法の1つである、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を採用する場合、将来フリー・キャッシュ・フローを計算するに際して、税引前利益に実効税率を乗じてキャッシュ・フローを試算する。 当該実効税率が下がることにより、概して企業価値・株式価値は高まる方向となる。一方で、控除撤廃や固定資産の即時償却、税務上の繰越欠損金(NOL)の使用制限等の変更から、将来期間のキャッシュ・フローで、多額の設備投資や多額のNOLの使用を計画する場合は個別に影響の検討が必要である。また価値評価のなかで、マルティプル法(乗数法)からみた場合も一部影響することが想定される。米国外からの配当益金不算入により、資金が米国へ回帰する流れが高まることにより、当該資金をM&Aのために活用することも1つの手段となる。そのため、現状のM&Aの環境下でM&A需要がさらに高まると米国企業の買収価格が値上がり、結果として買収マルティプル(買収価格に対する乗数)が高くなる可能性がある。さらに詳細に税制改正の各項目によるM&Aへの影響・留意点について図表2のようにまとめた。
さ い ご に
前述のとおり、米国税制改革は、単なる税務だけの問題ではなく、企業の各機能に深く影響を与えることから、事業戦略・M&A環境へ幅広
税率引下げ等に よる、米国内事業
活動への追い風
米国子会社が有する 米国外留保利益の
国内還流に伴う 余剰資金の増加
(図表1) 税制改正に伴い想定される米国の事業面での影響と対応策 米国税制改正による
影響項目 グローバル・事業戦略の視点からの 打ち手・施策オプション
・製造・販売・R&D活動の米国移転
・グローバル・サプライチェーンの見直し
・本社機能の米国回帰
・米国内の設備投資増
・戦略的M&A活動の増加
・全世界ベースでの資本構成の見直し
・雇用戦略・報酬構造の見直し
・自己株買い、増配
・グローバルキャッシュマネジメント最適化
・レバレッジの見直し(負債の抑制)
・借入金の返済
・R&D・設備投資等、競争力強化のための投資
・買収を通じた成長戦略の加速
米国税制改正法 の 概要 と
日本企業 への 影響
米国税制改正法 の 概要 と
日本企業 への 影響
舟引 勇(ふなびき・いさむ)
PwCあらた有限責任監査法人 シニアマネージャー
公認会計士・米国公認会計士(デラウェア州)
青山監査法人にて大手企業の監査業務の後、
2006年よりPwCアドバイザリー合同会社にて 国内外のM&Aアドバイザリー業務に従事。
2013年~ 2014年PwC英国のコーポレート ファイナンス部門に出向。帰国後は、米国ト ランプ政権や英国のEU離脱(ブレグジット)に 代表される「先進国リスク」への対応支援業務 を担当。
い示唆を与えると思われる。また、検討課題ごとに異なる時間軸が存在する。日本企業において検討が推奨される課題を税務・事業面および時間軸で整理すると図表3のとおりである。これから 3月決算を控えている日本企業が多いことから、図表3を参考に今後の事業活動に少しでも役立てていただくことが筆者の願いである。
(図表2) 税制改正項目別の影響および留意点
税制改正項目 M&Aの視点からの影響・留意点
全世界所得課税からテリト リアル税制への以降、なら びに海外留保利益に係る強 制みなし配当課税の導入
・米国外にあるキャッシュの利用可能性が拡大することで、手元資金が増え、M&A用途の資金枠が増加し、適 切な投資リターンを達成するための圧力が増す可能性がある。
・多国籍企業にとって、米国外に資金をためておくインセンティブがなくなる。買い手としては、潜在的な買収対 象会社および買収後でも買収ストラクチャーへの影響をモデル化する必要がある。
・デューデリジェンス局面において、買収ターゲットの強制みなし配当課税計算(たとえば、海外子会社における 1987年以降のE&P(Earnings & Profits)の金額計算)の妥当性を適切に評価し、また、E&Pを圧縮するため に実施したタックスプランニングを精査する必要がある。
・米国の対象会社が、買い手にとってさらに魅力度が増す可能性がある。
連邦税率が35%から21%
へ引下げ
・法人税率が引き下げられることでネット・キャッシュ・フローが増え、買収に利用可能なキャッシュが増加する。
・税制改正により、買収ターゲットにおいて、課税の繰延項目が多額である場合、買収価格への影響を検討する。
・価格調整条項(運転資本の調整)において、繰延税金資産が運転資本の一部を構成するような定義の場合など 一定の条件下では、連邦税率の引下げにより、買収価格が引き下げられるかもしれない。
繰越欠損金の使用制限
(ただし、無期限で繰越控 除可能)
・多額の繰越欠損金が近い将来、使用する可能性がある場合、ネット・キャッシュ・フローモデルへの影響を考 慮する必要がある。
・買収関連費用が多額となり、それによって欠損金が発生する場合、繰戻還付はできないことから、投資リター ン、買収価格への影響を検討する必要がある。
支払利子の損金算入制限
・支払利子の損金算入が制限されることから、買収の資金調達方法としてエクイティによる資金調達をすべきか検 討が必要である。
・グローバルディールにおいては、米国で財務レバレッジを活用して有利子負債での資金調達をするという傾向に 歯止めがかかり、負債を米国外の負債調達へシフトを検討する必要がある。
・グループ内外の負債ストラクチャーに関連した大規模な再構成について検討する。
固定資産の即時償却
・買収ターゲットが製造業の場合、将来2022年までの期間においてサプライチェーン全体にわたり、資本的支出
(固定資産取得含む)を前倒しで増加させることで、固定資産の即時償却を活用することが可能となるので、結 果として、価値評価(Valuation)が高くなる。
・資本集約型の事業モデルの場合、即時償却による節税効果に伴い、投資リターンが改善し、価値評価が向上する。
・支払利子損金算入制限も関連して、資産買収における資金調達についても検討が必要である。
・即時償却が適用可能な資産がある場合、資産買収形式がよいか株式買収形式がよいかの比較検討をする(即時 償却は中古資産の取得にも適用されるので、資産買収形式の場合には即時償却のメリットが得られる可能性が ある一方で、株式買収形式の場合には基本的にそのようなメリットが得られない)。
過大従業員報酬の損金算入 制限ーコミッションおよびパ フォーマンスに基づく報酬に 関わる適用除外規定が廃止
・買収後の経営陣の報酬について当該規定廃止の影響があるかどうか、もしある場合にはその対応策について確認。
(図表3) 税制改正への対応
事 業財務・税務
直近での対応
(~ 2018年3月まで) 中長期での対応
(2018年4月以降~)
・製造・販売・R&D活動の米国移転
・グローバル・サプライチェーンの見検討
・米州事業モデルのあり方の見直し直し
・本社機能の米国回帰
・米国内の設備投資計画
・M&Aポリシー
・雇用戦略・報酬構造の見直し
・新税制への対応
・業務プロセスの変更
・グローバルトレジャリー機能の最適
・税務インパクト測定化
・進行期の税金計算
・予定納税・税務申告
・資金調達方針
・グローバルベースでの資本構成の見 直し
・3月期の税金計算
・税務インパクト測定
・来期のキャッシュ・フロー計画
・株主・従業員への還元策検討
・進行中のディールモデル・ストラク チャー検討
・来期の予算・設備投資計画
・事業への重要な影響についての対 応検討