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第2章 必修教科等の研究 02社会 思考力・判断力・表現力を継続的に意識した社会科学習の展開

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Academic year: 2022

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(1)

2 社会

思考力・判断力・表現力を継続的に意識した社会科学習の展開

七里 広志

1. 今年度の授業研究の視点

平成24(2012)年度から新学習指導要領が完全実 施となった。社会科においても「言語活動の充実」

が叫ばれており,これまでも,言語活動に関する授 業研究を進めてきた(*1)(*2)。その中で,(A)4人班 によるグループ学習,(B)シンキングツールの活用,

(C)自分の意見を「●」,他人の意見を「○」でノートや 黒板にまとめる,(D)ICT の活用や(E)地理的分野の 世界の諸地域の学習や歴史的分野の時代の大観学 習,などを進めてきた。

本年度は3年生を担当しており,公民的分野を扱 う。公民的分野は, 公民的資質を養うことを大きな 目標とする中学校社会科の学習の中でも,とくに重 要な領域である。公民的資質を養い,社会参画の姿 勢を養うためには社会的事象を多面的・多角的に思 考し,公正に判断し行動につなげていくための学習 活動が重要である。そのためには思考力,判断力,

表現力を身につける手立てとしての言語活動の充実 を,単発ではなく継続的に実践することが望まれる。

本年度の取り組みでも昨年度までの言語活動を踏 襲し,以下の3点について実践していく。

①話し合い・シンキングツールから論述へ

これまでも実践してきた4人班の学習グループに よる話し合い活動やシンキングツールの効果的な活 用は継続して実践していく(*3)(*4)。その上で,学 習指導要領で紹介されている言語活動の一つである 論述を深めたい(*5)。論述は本校生徒がテストの時 に苦手としているが,社会科のテストではよく問わ れるものの,その思考や表現について社会科の授業 でこだわって実践している事例は少ない。そこで,

話し合い活動やシンキングツールも活用した上で論

述につなげる授業展開を試みたい。その際,いきな り論述させるのではなく,話し合い活動やシンキン グツールで思考を深めた上で,整理された情報を 用して論述させるようにしたい。

②模擬体験学習

公民的分野は,生徒が実際に大人になって社会で 活躍していく際に直接活用できる学習であり,身近 な題材や将来身近になる内容の学習が多い。そのた め,模擬的な体験学習を取り入れることで社会的事 象を理解し,公正な判断をするために話し合い活動 やシンキングツールなどで思考を深めていくことで 実践したい。その上で,社会参画の態度を養いたい。

③ゲストティーチャーの活用

公民的分野では,社会的事象における様々な学習 を行うが,各領域に専門家がおり,依頼をすれば中 学校に来校してもらえることが多い。そこで,社会 的事象をより多面的・多角的にとらえ,思考し,社会 参画の態度を養うために,なるべく単発で終わるこ とのないよう3回に渡り専門家をゲストティーチャ ーとして招く授業実践を複数回行った。

2.話し合い・シンキングツールから論述への実践 (1)「私たちの消費生活」

①指導観

生徒にとって「私たちの消費生活」は,公民的分 野の経済の領域の中で初めての単元である。初めて ではあるが,消費生活は生徒にとって日々進行して いる事象であり,身近な話題である。普段何気なく 送っている消費生活について,概念を習得した上で 多面的・多角的に見つめ,合理的な意思決定を意識 させ「消費生活における具体的行動につなげていく」

本論の要旨

平成24年度から完全実施されている中学校の学習指導要領において,社会科でも思考力・判断力・表 現力を身につけさせるための言語活動の充実が重要視されている。公民的資質や社会参画の態度を養うた めに,年度を通して授業における言語活動の充実を継続して行い,生徒に思考力・判断力・表現力を身に つけさせる授業展開を提案したい。

そのために,①これまで行ってきた4人班の学習グループによる話し合い活動やシンキングツールの効 果的な活用だけでなく,それらから本校の生徒が苦手とする論述への展開の実践,②公民的分野の学習に おける模擬体験学習,③ゲストティーチャーを招聘する授業,などを実践した。とくに,学習活動が単発 で終わることがないよう継続して実践することで,公民的資質と社会参画への態度を養っていけるように 意識して実践した。

キーワード 言語活動 シンキングツール 論述 模擬体験学習 ゲストティーチャー

(2)

資料1 「私たちの消費生活」本時の展開

学習内容と学習活動 指導上の留意点,★思・判・表を伸ばす方策,◆評価 導

入 5

1.私たちが生活のなかで消費の意思決定 をする際,何を決め手としているか,

例を出して想像する。

・商品の選択を簡単に行い,本時の場面設定に慣れさせる。

・ICTの拡大提示を活用する。

展 開

15

25

35

40

私たちは消費のなかでどのように意思決定 しているのだろう?

2.10万円で家族旅行へ行ってビデオカメ ラを買って動画にも残したいという場 面について,家族旅行とビデオカメラ にどれぐらい費用をかけるのかを合理 的に意思決定する。

3.意見をクラスで交流する。

4.「かしこい消費者として商品やサービ スを選ぶには,どんな判断基準を持て ばいいだろうか」について論述する。

・課題を板書する。

・ワークシートを配布する。

・課題の条件,場面をスライドで拡大提示する。

★表(マトリクス)を用いてA~Dの4つの場面について旅行,動画 の項目に対して,各自の評価を点数で示し,理由を記入させる。

・各自がA~Dのどの場面を選ぶか,1位と2位を意思決定させる。

★その意思決定を通じて,何を得られたのか,何を得られなかっ たのかをボーン図に書かせる。

・その際,得られなかったこととは,2位の場面を選ばなかったこ とで生じる不利益のことである。

・各自が選んだ場面について,板書したA~Dにネームプレート を貼らせる。

★黒板に貼られたネームプレートを参考に,それぞれの場面を選 んだ理由を発表して交流させる。

★自分の意見は●,人の意見は○でワークシートにメモさせる。

・選択の上で合理的な意思決定が必要なこと,理由を合理的に説 明できること,家計の予算もその一つになることを理解させる。

・自分の選択について,最終判断させる。

・旅行とカメラについて家族会議になったときにしっかり説明を 聞いてもらえるよう,的確な文章を心がけさせる。

・そう思う根拠をワークシートから挙げて論述させる。他の人の 意見も取り入れ,自分の意見の完成度をより高めさせる。

◆消費生活に関わる課題について合理的に意思決定した上で自分 の意見を論述している。 【思考・判断・表現】②(ワークシート)

ま と め

50

5.本時のまとめをする。

・よりかしこい消費者になるために,他 の意見のいいところを聞いてみよう。

合理的な意思決定について,自分が基 準をしっかり持って判断することがかし こい消費者となるために必要である。

・論述を前後のペアで読み上げさせる。

・数人の生徒に発表させる。

◆消費生活に関わる学習からこの先の自分の行動につなげていこ うとしている。 【関心・意欲・態度】①(ワークシート・観察) 必要がある。

そのために,本単元で扱う消費生活の場面は実際 起こりうる場面とし,自らの選択により意思決定を 行うような授業展開とする。その際,多面的・多角 的に見つめ,考察を行うためにシンキングツール(今 回はマトリクスとボーン図)を活用して思考を可視 化したり,学習班やクラスでの意見交流について工

夫したりする。また,各自の合理的意思決定を的確 に判断し表現するために,学習のうえで中心発問に なることやまとめとなる部分について的確に論述さ せたい。

②実践してみて

資料2は,本授業の生徒ワークシートである。マ

(3)

トリクスにA~Dの4つの条件をポイントで整理し たことで,生徒が順位決定をしやすくなった。1 位 にしたものを選んだことで得たものと得られなかっ たもの(2位にしたものを選ばなかったことによる得 られなかったもの)をボーン図で表したことで,自分 の意思決定の過程を後で振り返ることができるよう にした。また,消費生活における意思決定とはこの ようなものであるという概念的理解をさせることが できた。その上で「意思決定時にどんな判断基準を持 てばよいか」という発問に対し,「自分のしたいこと をまとめて,そのしたいことに合う金額で設定する」

といった判断基準を挙げており,マトリクスやボー ン図でまとめたことを活用して判断している。

資料2 「私たちの消費生活」生徒のワークシート

資料3 参観者の意見

Ⅰ点数の付け方が生徒によってまちまちでわか りにくかった。10点満点ではなく,○△×ぐら いにしてはどうか。

Ⅱ論述の評価の規準を教師がしっかり持ってお くことが重要。(今回は,ボーン図で挙げた言葉 を使って文章が組み立てられていたらA)

Ⅲ論述を継続させる必要がある。

Ⅳ思考は,他の人の考えなど新しいものが加わる と全然違う発想ができる。偶然にできるもので はなく,自分にないものに触れる必要がある。

そして,それを形にしていくことが重要

また,この授業は本校の研究発表協議会において 研究授業として行ったものである。資料3にその授 業研究会での参観者の意見を挙げる。マトリクスの 使い方に改善の意見があるものの,シンキングツー ルで意見をまとめてから論述させるという実践につ いては一定の評価があった。

(2)「第2次世界大戦中の国民の生活」

歴史的分野の第2次世界大戦中の国民の生活に関 する学習の実践である。昨年度2年生時に夏季休業 中の課題で,戦争(第2次世界大戦)に関するB4・1 枚のレポートを課した。課題はいくつかのコースに 分けたが,そのうちの1つに祖父母など戦争時代を 経験された方に話を聞き,考察を加えるという課題 を設定した。その上で各クラス4人の生徒のレポー トを発表させ,他の生徒がノートにまとめるという 授業を行った。

資料4 「戦争中の国民の生活」生徒のワークシート

資料4はこの授業で生徒が作成したワークシート (ノートに添付)である。この授業では,Xチャート図 を用いてレポート発表する生徒の内容をメモさせ,

そのメモをもとに第二次世界大戦のころの国民の生 活について論述させた。X チャート図に四項目に分

(4)

けてメモをし,自分が「なるほど」と思ったものに線 を引かせた上で,当時の「国民はどのような生活を していたのだろう」という問いに対して四行で論述 させた。X チャート図を使って論述できる生徒は多 かったが,X チャート図は斜め線があるので,生徒 は記録しにくいようであった。また,「家庭」の記述 は多く,枠が足りない印象を受けた。Xチャート図 は他にもYチャート図やWチャート図などがある が,活用にあたって工夫の必要を感じた。

(3)「遺伝子技術と人権」

公民的分野においての実践例である。遺伝子技術 について概要を説明した後,教科書や資料集を見て 遺伝子技術が進歩して良いこと(+)と良くないこと (-)とをそれぞれ分けて+-シートに書かせた。資 料5は生徒のワークシートである。

+-シートを使ったことで,生徒が各自で考える ときに+と-の両方の立場について考えさせること ができたほか,学級での意見交流のなかで,+と-

のどちらかに意見が偏ったときに反対の意見を求め るなど,目に見える形で+と-の意見について挙げ させることができた。

その上で,完成した+-シートをふまえ, 「遺伝 子技術を考える上で気をつけなければいけないこと はどんなことだろう」と問うて四行の論述を求めた。

資料5からその際には+-シートの-の意見に挙が ったことを元にして文章を組み立てていることがわ かる。

資料5 「遺伝子技術と人権」ワークシート

3.模擬体験学習の実践

公民的分野の政治や経済の領域において,模擬体 験を取り入れた授業を以下のように実践した。

(1)模擬選挙

県と市の選挙管理委員会の協力を得て実践した。

詳しくは,4.で述べる。

(2)模擬裁判

平成21(2009)年から裁判員裁判が始まり,国民誰

もが裁判に関わる可能性ができた。生徒にも裁判に 対する関心と知識が必要である。時数を多めにとり,

模擬裁判や裁判の判決に関する意見交流など,体験 的な言語活動を取り入れて実践した。資料6はその 単元展開である。

資料6 「裁判」の単元展開 1時 裁判のしくみと働き 2時 裁判所の役割

新聞の裁判に関する記事を見る 3時 裁判の学習を深めよう(1)

ドラマ「HERO」第7話前半を視聴 4時 裁判の学習を深めよう(2)

ドラマ「HERO」第7話後半を視聴 裁判員制度について説明

5時 模擬裁判

6時 模擬裁判まとめ

この単元では,大津地方裁判所の協力を得た。夏 期休業中に希望者を対象に大津地方検察庁見学と裁 判傍聴の特別授業を行った。その際手に入れた検察 庁で開発された模擬裁判シナリオを授業で,活用し た。また,裁判員制度の解説についても検察庁配布 のパンフレットを活用した。ドラマでイメージをつ かんだ上にリアリティのあるシナリオで模擬裁判を 実践する中で,生徒は模擬裁判の役割を積極的に立 候補し,授業を通して裁判に興味を持った生徒が多 かった。

また,「今回の裁判で自分が裁判員ならどのように 意見を言うか」という発問をし,ワークシートにまと めた上で意見を出し合い,言語活動を行いながら社 会参画の視点を養った。

(3)模擬地方議会

地方自治は,政治の中でも生徒が最も身近に感じ,

生活に影響が大きい部分である。社会参画の視点を 十分に養っておきたい。実際は資料7のように実践 した。地方自治について基本的な知識を学んだ上で,

「大津市をより魅力ある街にするために」という発問 をして,4人班で政策を練って1つずつ案を出させ,

(5)

資料7 「模擬地方議会」の単元展開 1時 地方自治の役割

大津市の広報から役割を挙げる 2時 地方自治のしくみ

3時 地方自治と住民参加 4時 私たちの政治参加(1)分析 5時 私たちの政治参加(2)政策交流 6時 私たちの政治参加(3)政策決定 7時 私たちの政治参加(4)模擬議会

クラスで2つに絞った。その上で2つの政策のうち どちらが実現可能か,クラスを地方議会に見立てて 討論した。

どのクラスも意見が多く出て議論が深まり,50分 の授業時間では足りないほどで,社会参画の視点が 養えたと思われる。しかし,今の大津市のまちづく りの課題をふまえず,机上の空論になった印象はあ る。実際に論議されているまちづくりの課題につい て考えさせると焦点化しやすかったように考える。

(4)模擬出店

教科書の経済の導入のページにおいて,コンビニ エンスストアの店長として街のどこに出店するかを 考えさせる課題が掲載されている。自分の意見を書 かせたあとグループで意見交流し,代表者の意見を 発表させた。様々な考え方があり,意見交流するこ とで生徒が将来実践するかもしれないマーケティン グの様子を理解させることができた。

(5)模擬株式購入

経済の領域で株式会社を扱う授業において,株式 の説明をした後,新聞の株価の欄の一部をコピーし,

3 つの会社について会社情報をスライドで示した 後,仮にいずれかの株式を買うならどれにするかを 理由と共に考えさせた。そして,1 週間後の授業に おいて,その後の株価を示した。株式は将来すべて の生徒が関わるものではないが,経済社会の仕組み を概念的に理解させることができたと考える。

4.ゲストティーチャーの活用の実践

公民的分野の政治や経済の領域において,専門家 をゲストティーチャーとして3回招いた。その実践 を以下に示す。

(1)税理士による税の話(租税教室)

税の仕組みや税を納める意義について,クラスご とに税理士から直接話を聞いた。夏季休業中の課題 とした「税の作文」につなげ,税理士の話からつなげ て書いた生徒が多かった。

(2)選挙管理委員会による模擬選挙出前講座 選挙は,生徒が社会参画をする上で重要な場面の 一つである。若者の投票率が下がっているとされる が,今の中学生には選挙について正しく理解し,関 心を高めておいてほしい。そこで,思いが同じであ った県の選挙管理委員会に依頼をして,滋賀県と大 津市の選挙管理委員会が共催で模擬選挙の出前授業 を行っていただいた。

あらかじめ募ったところ,3 人の生徒が立候補し た。3 人の生徒には原子力政策を元に選挙公報の原 稿を書かせた。これを県選挙管理委員会に送り,実 際に似せた選挙公報にしていただいた。また,同時 に投票所や開票所の係員も募集した。さらに,投票 所入場券も配布した。

模擬選挙当日は,学年単位で実施した。本校の多 目的ホールに市選挙管理委員会の選挙備品が並べら れ,生徒は選挙公報が配布されてから3人の立候補 者の演説を聞き,その後に投票所入場券を係員役の 生徒に渡して,投票した。投票は,実際の選挙で使 われるのと同じ紙質の投票用紙や,記帳台,投票箱 が使われた。その後開票役の生徒が投票用紙の数を 数える機械を使ったりしながら開票作業をし,結果 を発表した。最後に副校長が講評をした。

生徒の感想を示す。

資料8 模擬選挙出前講座の生徒アンケートから

「出前講座」で良かったところ,悪かったところ を書いてください。(複数回答可)

<良かったところ>

・実際の道具を使用していてわかりやすかった

(26名)

・自分で投票できたことが良かった(22名)

・選挙についてわかった,興味を持てたなど

(14名)

・説明がわかりやすかったなど(12名)

・一票の重みが知れた(11名)

・身近に選挙を感じることが出来た(5名)

<悪かったところ>

・言葉が難しかった(6名)

(5名以上の解答があるもののみ掲載した)

おおむねよかったとする内容が多く,選挙につい て理解が深まり関心が高まった様子が伺える。また,

他のアンケート項目でも,「選挙に行けるようになっ たら行きたいですか」という問いに対して「絶対行 く」が64.7%,「たぶん行く」が 33.6%で,将来の社 会参画の視点を養えたと考える。

(6)

(3)法教育講座(契約について)

大津地方法務局主催で,契約に関わる講座をクラ スごとに行った。スライドを用いて契約に関して法 的な決まりについて専門的見地から説明された。具 体例などがわかりやすく,生徒は関心を持って学ん でいる様子であった。

5.成果と課題

年に一度,社会科の授業アンケートをとっている。

資料9は,その結果の一部である。

資料9 社会科生徒アンケートの結果(一部)

資料9によると,社会科の学習が深まると共に社 会の学習を好きになる生徒が「とてもそう思う」「そ う思う」を合わせると増え(1),話し合い活動によっ て内容を深く考えられるようになったとする生徒の 割合が増えている(4)。また,社会科の学習が将来の 生活に役立つと思う生徒の割合はとくに高い(5)。こ のことから,これまで様々な実践を言語活動も交え ながら続けてきたことにより,生徒の理解が深まり,

社会参画への視点も身についてきていると言える。

しかし,社会科の授業により社会のことを文章で 表現することに慣れたとする生徒の割合は,他の質 問項目に比べるとやや低い。論述による取り組みが

まだ不十分で,生徒が自信を持って論述できていな い様子が伺える。今後はさらにシンキングツールか ら論述へ展開を進め,論述の回数を増やしたり,テ ストにも論述の成果を反映させるようにしたりする など,取り組みを進めたい。

3 年生の社会科の授業で,一番ためになったと思 う授業をあげてください(自由記述・複数回答有) (1)選挙・模擬選挙 …49名 (2)裁判・模擬裁判 …24名 (3)株・株式 … 9名 (4)消費生活 … 6名 (5)政治全般 … 6名

(6名以上の項目のみ,学年は120名) 資料10 社会科生徒アンケート・自由記述

資料10からは,(5)を除くと今回の取り組みに関 わるものばかりが生徒の「ためになった」ものである ことがわかる。言語活動や模擬体験的な学習,ゲス トティーチャーの活用などを通して生徒の社会的事 象に対する理解と関心が高まっているといえる。今 後も単発ではなく,継続的にかつ計画的にこうした 取り組みを続けていくことで,生徒の多面的・多角的 な思考や社会参画の視点・行動を育てていきたい。

(*1) 七里広志「社会的事象を多面的・多角的に思考し,

公正に判断し行動につなげていく生徒の育成-思考 力,判断力,表現力を継続的に意識した社会科学習の 展開-」,『滋賀大学教育学部附属中学校研究紀要第 55集』,滋賀大学教育学部附属中学校,2013 (*2)七里広志「新学習指導要領『世界の様々な地域の学

習』の先行実践」,『滋賀大学教育学部教育実践総合セ ンター紀要第20巻』,2012

(*3) 黒上晴夫「シンキングツール~考えることを教え たい~」,『パナソニック教育財団』のウェブサイト,

http://www.pef.or.jp/,電子情報でダウンロードが 可能である

(*4)七里広志「情報を正しく判断し,未来を見通す力を 育てる社会科学習~シンキングツールを活用して

~」,『滋賀の情報・統計教育研究紀要第42集』,滋賀 県小中学校教育研究会情報・統計部会,2013 (*5)学習指導要領の社会編に,中教審答申の紹介とし

て「子どもたちの思考力・判断力・表現力等を確実に はぐくむために,まず,各教科の指導の中で,基礎的・

基本的な知識・技能の習得とともに,観察・実験やレ ポートの作成,論述といったそれぞれの教科の知識・

技能を活用する学習活動を充実させることを重視す る必要がある」とある

参照

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