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「特別支援教育における
ICT 教育に関する調査」のまとめ
奈良教育大学特別支援教育研究センター
(2014 年 4 月)
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「特別支援教育におけるICT 教育に関する調査」のまとめ
奈良教育大学特別支援教育研究センター
I. アンケート調査趣旨
学校教育において ICT(Information and Communication Technology:コンピュ ータやインターネットなどの情報通信技術)の重要性が増してきており、それを 活用することが学校現場で求められている。文部科学省「学校における教育の 情報化の実態等に関する調査(平成 25 年 3 月現在)」において、学校における ICT 環境の整備状況が詳しく調査されているが、教員の ICT 活用指導の実態につ いては、具体的内容までは明らかにはされてない。特に、特別な教育的ニーズ のある子どもたちへの ICT 活用指導については、個々のケースとして有効な取 り組みが行われだしているだけに、それらの実態把握や活用事例についての情 報の共有が強く望まれる。 奈良教育大学特別支援教育研究センターでは、平成 25 年度から文部科学省概 算要求プロジェクト「地域連携に基づく特別支援教育人材養成モデル推進事業 -ICT 活用による人財と教材のネットワーク構築-」を 3 カ年で進めている。 今回、そのプロジェクトを現場のニーズにあわせて推進させていくことを目的 として、奈良県内の諸学校における ICT 整備状況と現場の先生方の取り組みを 調査した。本報告書では、その調査結果を公表するとともに、若干の考察を行 った。 なお、本調査実施にあたり、文部科学省「学校における教育の情報化の実態 等に関する調査結果(平成 25 年 9 月)」1)ならびにパナソニック教育財団「学 校情報化チェックリスト(平成 23 年 2 月)」2)を参考として調査用紙を作成し た。 1)文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1339524.htm 2)パナソニック教育財団「学校情報化チェックリスト」(2014 年 4 月に改訂) http://www.check-ict.jp/images/pdf/checklist_panf.pdf II. アンケート調査概要 調査時期:平成26 年 12 月 19 日〜1 月 20 日
3 / 24 調査方法:アンケート用紙郵送による調査 アンケート対象校数:337 件 調査対象:小中学校は特別支援教育コーディネーターに回答を依頼 特別支援学校は小・中・高等部から1 名ずつ回答を依頼 回収校数:234 件 (70.8%)(詳細は表1参照) 表1 調査校数と回収校数 III. アンケート調査項目 アンケート調査項目は下記のように、A. 回答者ご自身について、B. 貴校の ICT 環境について、C. ICT 機器の配備状況、D. 特別支援教育の実践における ICT 教育の現状とニーズ、E. ICT 教育の問題点の 5 カテゴリに分類し、調査を 行った。尚、小学校および中学校と、特別支援学校では一部質問番号および内 容が異なるため、それぞれ分けて記載している。
4 / 24 小学校および中学校 A.回答者ご自身について ①性別、②年齢、③教員経験年数、④特別支援教育の経験年数、⑤内訳(特 別支援学級、通級指導教室、特別支援学校)、⑥特別支援学校の免許に関して、 ⑦現在の担当、⑧コーディネーター経験の年数、⑨プライベートでのPC の使 用、⑩PC の使用年数、⑪スマートデバイス(タブレットとスマートフォンを合 わせた総称)の使用、⑫スマートデバイスのOS、⑬タブレットもしくはスマー トフォンのどちらを使用、⑭スマートデバイスの教育アプリ B.貴校のICT 環境について ①ICT 活用全般、②教員用 PC の配備、③学校ウェブサイト、④情報化に 関する規則、⑤推進組織、⑥校内研修、⑦ICT 支援員 C.ICT 機器の配備状況 C-1. 貴校の ICT 機器の配備状況 ①有線 LAN の整備されている部屋、②無線 LAN の整備されている部屋 C-2. 各場面での ICT 機器の配備状況(各、通常の学級、特別支援学級、通 級指導教室) ①学級でのPC 配備、②学級でのタブレット配備、③タブレットの台数、 ④タブレットのOS、⑤タブレットの教育アプリ、⑥学級で使用する機器、 ⑦機器の使用頻度 D.特別支援教育の実践におけるICT 教育の現状とニーズ ①教育効果をあげるためのICT 計画、②授業の情報収集のための ICT 利 用、③文章やプレゼンソフトを利用した提示、教材作成、④学習に対する 児童、生徒の興味を高めるためのICT 活用、⑤児童、生徒に課題を明確に つかませるためのICT 活用、⑥児童、生徒の理解を深めるための ICT 活用、 ⑦児童、生徒の知識の定着と体験を図るためのICT 活用、⑧児童、生徒が 学習用ソフトやインターネットを活用し、知識の定着を図る、⑨ICT 活用 についての考え E.ICT 教育の問題点
5 / 24 特別支援学校 A.回答者ご自身について ①性別、②担当学部、③年齢、④教員経験年数、⑤特別支援教育の経験年数、 ⑥内訳(特別支援学級、通級指導教室、特別支援学校)、⑦特別支援学校の免許 に関して、⑦現在の担当、⑧貴校の障害種別、⑨先生のお立場、⑩プライベー トでのPC の使用、⑪PC の使用年数、⑫スマートデバイスの使用、⑬スマート デバイスのOS、⑭タブレットもしくはスマートフォンのどちらを使用、⑮スマ ートデバイスの教育アプリ B.貴校のICT 環境について ①有線LAN の整備されている部屋、②無線 LAN の整備されている部屋、 ③各学級のインターネット環境、④各学級のPC 配備、⑤各学級のタブレット 配備、⑥タブレットの台数、⑦タブレットのOS、⑧タブレットの教育アプリ、 ⑨ICT の整備に関して(小学校および中学校の B。 項目と同様) C. 特別支援教育における ICT 機器の活用 ①学級で使用する機器、②機器の使用頻度 D.特別支援教育の実践におけるICT 教育の現状とニーズ ①教育効果をあげるためのICT 計画、②授業の情報収集のための ICT 利用、 ③文章やプレゼンソフトを利用した提示、教材作成、④学習に対する児童、生 徒の興味を高めるためのICT 活用、⑤児童、生徒に課題を明確につかませるた めのICT 活用、⑥児童、生徒の理解を深めるための ICT 活用、⑦児童、生徒の 知識の定着と体験を図るためのICT 活用、⑧児童、生徒が学習用ソフトやイン ターネットを活用し、知識の定着を図る、⑨ICT 活用についての考え E. ICT 教育の問題点
6 / 24 Ⅳ.アンケートの質問内容とその集計 各集計の最初の部分に質問番号と、「 」に質問内容を記している。質 問番号が小学校および中学校と特別支援学校で異なる際は、小学校および中学 校のものを記載しているが、質問内容および集計方法は特別支援学校でも同様 である。質問内容に関しては我々が選定したものに限定して集計している。 A. 回答者ご自身について ⑨:「現在、プライベートでノート型パソコンやデスクトップ型パソコンを使う 機会はありますか。」 ⑪:「現在、プライベートでタブレット型パソコンやスマートフォンを使用して いますか」 以下に、教員のプライベートにおけるICT 使用の割合を示している。 図1 教員のプライベートでのICT 使用の割合 ⑮:(タブレット型パソコンを使用している場合) 「タブレット型パソコンもしくはスマートフォンには、子どもに対して教育的 に使えそうなアプリケーションをいれていますか」 この質問に対する回答率は、小学校11.0%、中学校 9.7%、特別支援学校 23.5% であった。以下に、記述のあったアプリ名もしくはアプリの種類をまとめる。
7 / 24 小学校
ひらがなさがし、常用漢字筆順、ピアノ、星座を見るソフト、算数アニメ、動 物パズル、Onomatope、Cam Scanner、Tempo、skitch、paintone、UPADLite、 Voice Tag、Simple Mindt、筆順辞典、ボイスオブデイジー、Ami Voice SP2、 文字入力アプリ、かるたアプリ、黒板、かけ算九九、カタカナ、漢字練習、た し算、ひき算、かけ算、i ステラ HD、筆順辞典、漢字ドリル、にほんごろ、が んばれ九九、あそんで九九、keynote、puzzle japan、指文字、筆談パット、大 辞泉、cam scanner、明るく大きく、タイムタイマー、星座表、日本パズル、 Solarwalk 中学校 日本パズル、あそんで九九、地図、お絵かきソフト、百人一首アプリ、日本地 図、世界地図、かなもじ、ボイスオブデイジー 特別支援学校
かず、ひらがな、いまなんじ?、Yum Puzzle、TA テキスト S、Kid's Balancer、 ごっこランド、プレゼンテーション、DROP BOX、I LOVE Fireworks、Pocket Pond、お絵かきソフト
B. 貴校の ICT 環境について
「貴校では、各設問のようなICT の環境は、現在どの程度進んでいますか(特 別支援教育に限定せず、貴校全体での様子についてお答えください)。」
9 / 24 図2 ICT 環境についての設問と回答 C. 貴校の ICT 機器の整配備状況 C-2. 各場面での ICT 機器の配備状況 ①:「各学級にパソコンが配備されていますか?」 ②:「各学級には、タブレット型パソコンが配備されていますか?」 以下に、小学校、中学校、特別支援学校におけるICT 機器配備の割合を示す。
10 / 24 図3 ICT 機器の整配備状況 なお通常の学級でのパソコンの配備率は小学校で20%であったが、中学校で は5%に満たなかった。タブレットの配備は、小学校では 2~5%であり、中学 校においては2%に満たなかった。中学校通級指導教室は 6 校から回答があった が、パソコンならびにタブレット配備は0 であった。 ⑥:「学級で使う機器はどれですか、複数選択可能です。」 以下に、小学校、中学校、特別支援学校における使用されている機器の種類
11 / 24 をまとめる。
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図4 学級で使用する機器の種類の割合
⑦:「上記の機器を使用する状況がどの程度ありますか?」
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14 / 24 D. 特別支援教育の実践における ICT 教育の現状とニーズ 「貴校の特別支援教育の実践におけるICT 教育の現状とニーズに関する以下の 9 項目について、1〜5の中で、あてはまるものに○をつけてください(1:行 う予定はない、2:今は行っていないが、必要なときには行っていきたい、3: 今は行っていないが、ぜひ行っていきたい、4:ときどき行っている、5:頻 繁に行っている)。」 以下に、小学校、中学校、および特別支援学校における、9項目の「ときど き行っている」もしくは「頻繁に行っている」とつけた人数とその割合をまと めている。 表2 小学校におけるICT 教育の現状調査
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16 / 24 表4 特別支援学校におけるICT 教育の現状調査 E. ICT 教育の問題点 「ICT 教材の使用や ICT 教育を行うに当たって、壁となっていることやうまく いかないことはありますか(ご自由にお答えください)。」 以下に、小学校におけるICT 教育の問題点において類似した回答をまとめて いる。赤字は回答をまとめてカテゴリ化したものである。
17 / 24 表5 小学校におけるICT 教育の問題点 図6 カテゴリ毎の割合 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 設備 状況 の不 十分 さ 操作 技術 面の 問題 と研 修 教材 ・動 画コ ンテ ンツ の検 索に 関す る問 題 ICT機 器の 使用 に関 する 疑問 予算 の低 さ セキ ュリ ティー に関 する 問題 イン ター ネッ ト環 境の 不十 分さ ICT機 器使 用の 準備 に関 する 問題 対象 とな る児 童に 関す る問 題 割 合 [% ]
18 / 24 以下に、中学校におけるICT 教育の問題点において類似した回答をまとめて いる。赤字は回答をまとめてカテゴリ化したものである。 表6 中学校におけるICT 教育の問題点 図7 カテゴリ毎の割合 記述内容 人数(割合) 記述内容 人数(割合) ICT支援員の不足 3 (5%) 操作技術面の問題と研修 9 (14%) ICT支援員が必要 2 技術の不足 7 ICT支援員の不足 1 研修機会の少なさ 2 ICT機器に関する問題点 6 (10%) 予算の低さ 15 (24%) ソフトの互換性 1 タブレットの値段が高い 1 日進月歩で新しくなる 1 予算の低さ 14 データ共有の不便さ 1 セキュリティーに関する問題 6 (10%) 機器の変化の早さ 1 セキュリティーの問題 4 教材・資料の検索困難性 1 セキュリティーの問題(学校以外でデータを使えない) 1 ICT機器の効果に対する疑問 1 管理方法の周知がなされていない 1 設備状況の不十分さ 15 (24%) ICT機器使用の準備に関する問題 6 (10%) 学級ごとのICT機器配備の違い 1 準備の時間 5 機器の不足 11 教科担当の準備の問題 1 パソコンルームがない 1 インターネット環境の不十分さ 3 (5%) 個人のICT機器を使っていることが多い現状 1 インターネットへの接続 1 PC立ち上がりの遅さ 1 無線LANなし 1 LANがない 1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 設備 状況 の不 十分 さ 操作 技術 面の 問題 と研 修 ICT支 援員 の不 足 ICT機 器に 関す る問 題点 予算 の低 さ セキ ュリ ティー に関 する 問題 イン ター ネッ ト環 境の 不十 分さ ICT機 器使 用の 準備 に関 する 問題 割 合 [% ]
19 / 24 以下に、特別支援学校におけるICT 教育の問題点において類似した回答をま とめている。 表7 特別支援学校におけるICT 教育の問題点 記述内容 人数 機器の不足 7 児童の実態により壊れる恐れがあり使いづらい 1 タブレットは教育現場に周知されていない 1 設備不足 2 実態把握と指導目標の設定 1 タブレットの台数が不足 1 個々の生徒の課題に対する使用法の周知 1 タブレット・PCの画面が小さい 1 授業実践についての研修が必要 1 準備に時間がかかる(動作チェック) 1 発達段階が遅れている生徒へは、実物を見せる 方が効果的 1 個人PCはセキュリティーの問題のためインター ネットへ接続できない 1 PCのスペックが不十分 1 職員の研修への意識の低さ 1 教員のICTレベルの低さ 1 予算の問題 1
20 / 24 IV. 結果のまとめと考察 前述の文部科学省による調査(平成24 年度)において、奈良県(小中高等学 校)における「教員の校務用パソコン整備率」は、66.4%で全国最下位(全国 平均102.8%)、「教育用パソコン 1 台あたりの児童生徒数」は 7.7 人で全国 42 位(全国平均6.5 人/1台)である。つまり、そもそも教員が校務用に用いるパ ソコンが足りておらず、児童生徒にもパソコンが十分にいきわたっていないの である。その他、「普通学級の校内LAN 整備率」(62.5%)、「デジタル教科書整 備状況」(19.6%)などにも課題がみられている。 そのような現状を加味したうえで、今回の調査においては、特別支援教育に 的を絞って、より具体的な整備状況、活用状況、そしてICT を生かしていくた めに、現状の中で現場教員がどのような工夫を行っているか、さらにどのよう なことを課題としてとらえているかについて把握するため、より詳細な調査を 行った。すなわち、ICT 機器については、デスクトップ/ノート型パソコンや電 子黒板だけでなく、タブレット型パソコン(スマートフォン含む)、デジタルカ メラなどの活用状況についても回答を求めるとともに、ICT 教育を実践してい くうえでの課題と思われる点についても自由記述での回答を求めた。その結果、 現場の多くの先生方の協力を得て、貴重な情報を得ることができた。 今回の調査目的は、本センターが取り組むプロジェクトを現場のニーズに即 した形で推進していくために、奈良県内の小中学校、特別支援学校(小学部、 中学部、高等部、高等養護部)における特別支援教育に関するICT の整備・活 用状況の実態を知り、課題を明確にすることである。したがって、本稿では調 査結果の概要と考察を行うが、考察部分については調査結果(Ⅳ)のうち、ハ ード面の整備についての言及は控え、ソフト面での課題や工夫点などを中心と して今後の取り組むべき課題についてふれることとする。 (1)回答者自身について ・ノートPCについては、回答した教員全員(小・中・特別支援学校)がプラ イベートではデスクトップまたはノート型パソコンの使用率は100%であった が、スマートデバイス(スマートフォン含むタブレット型パソコン)は40~60% 程度であった・ ・スマートデバイスに教育で使えそうなアプリケーションを入れている教員は
21 / 24 持っている人のうち、小・中学校で約10%、特別支援学校で約 25%であり、特 に特別支援学校でさまざまなアプリが使用されていた。 (2)学校のICT 環境について ・何らかの形で、すべての教員が教材研究、指導の準備、評価等でICT を活用 しているのは、小・中・特別支援学校の約70%であった。 ・一人ひとりの教員にパソコンが整備されているのは、小学校約70%、中学校 約50%、特別支援学校約 20%であった。小学校ではその活用方針が周知されて いる学校が50%程度あったが、特別支援学校では0であった。学校 WEB サイ トでの発信は特別支援学校が最も盛んに行っているなどの他の回答から、特別 支援学校ではパソコンの配備率は高くないが、一部の教員がプライベートのパ ソコンを利用して、指導に役立てていることがうかがわれた。 ・個人情報についての取り扱いなど情報化での規制の遵守については、すべて の校種で60~70%程度行われていたが、校務分掌の組織化は 30%程度であった。 ・教員のICT 活用指導力向上のための研修は、すべての校種で 80~90%程度行 われていたが、「ほぼすべての教員がICT 指導力を身につけている」と回答した 学校は、中学校30%、小・特別支援学校は 20%に留まっていた。 (3)各場面でのICT 機器の配備状況について ・小学校において、パソコンの配備状況は通級指導教室50%、特別支援学級 40%、 通常の学級20%であった。タブレットパソコンは各学級で 2~5%であった。 ・中学校においては、パソコンの配備状況は特別支援学級で60%弱、通常の学 級では5%に満たず、通級指導教室は 0 であった。 タブレットパソコンについてはほとんど配備されていなかった。 ・特別支援学校においては、高等養護学校でパソコンが配備されていたが、特 別支援学校小学部・中学部・高等部では配備されていなかった。タブレットは 何れの校種も配備されていなかった。 ・学級で使う機器について、小学校では通常の学級にてプロジェクター、DVD プレイヤー、デジタルカメラが70%以上使用されていたが、その使用頻度は週 1 回以上が半分程度だった。特別支援学級で 70%を超えて使用されていたのは、 デジタルカメラのみであった。 ・学級で使う機器について、中学校では通常の学級にてプロジェクター、DVD
22 / 24 プレイヤー、デジタルカメラが60%程度使用されており、その使用頻度は月に 数回から学期に数回が70%程度であった。特別支援学級で 60%程度使用されて いたのは、DVD プレイヤーとデジタルカメラ、通級指導教室では DVD プレイ ヤーのみであった。 ・学級で使用する機器について、特別支援学校では、使用頻度にばらつきがあ るものの、DVD プレイヤー、デジタルカメラが小学部、中学部、高等部、高等 養護部で80~100%使用されていた。 (4)特別支援教育の実践におけるICT 教育の現状とニーズ ・小学校において、教材や情報を収集したり作成したりするためにインターネ ット、パソコンを利用している学校は70%以上、児童の興味関心を高めるため にパソコンや提示機器を用いている学校は60%であった。児童ひとり一人の課 題に合わせたり、理解を深めるためにパソコンや提示機器を用いている学校は 45%程度であった。また、児童自身がパソコンやインターネットを活用できる ように指導している学校は3 分の 1 程度であった。 ・中学校において、教材や情報を収集したり作成したりするためにインターネ ット、パソコンを利用している学校は70%以上、生徒の興味関心を高めるため にパソコンや提示機器を用いている学校は60%であった。生徒ひとり一人の課 題に合わせたり、理解を深めるためにパソコンや提示機器を用いている学校は 45%程度であった。また、生徒自身がパソコンやインターネットを活用できる ように指導している学校は半分程度であった。 ・特別支援学校において、教材や情報を収集したり作成したりするためにイン ターネット、パソコンを利用している学校は90%以上、児童生徒の興味関心を 高めるためにパソコンや提示機器を用いている学校は80%であった。児童生徒 ひとり一人の課題に合わせたり、理解を深めるためにパソコンや提示機器を用 いている学校は60~75%であった。教育効果を上げるためのパソコン利用を計 画立てている学校も75%みられた。また、児童生徒自身がパソコンやインター ネットを活用できるように指導している学校は80%近くみられた。 (5)ICT 教育を行っていくうえでの問題点 自由記述をカテゴリー別に分けて整理した。
23 / 24 ・小学校では、設備状況の不十分さ、予算の低さ、操作技術の不足と研修の少 なさが20%以上で課題として挙がっていた。 ・中学校では、設備状況の不十分さ、予算の低さが24%で課題として挙がって いた。一方、操作技術の不足と研修の少なさについては14%が課題として挙げ ていた。 ・特別支援学校では、機器の不足が課題として突出していた。 (6)今後の取り組みについて ・全校とも、パソコン配備が教員用および児童生徒用ともに不足しており、特 に特別支援学校で機器の不足が課題としてあがっていた。そのような中で、一 部の教員がプライベートのパソコンやタブレットも用いて、授業の工夫を行っ ている。 ⇒有用なアプリケーションやオリジナル教材の情報の共有を広く行い、より多 くの教員がそれらの使用をできるようにしていく。 ・小学校、中学校とも特別支援学級をはじめ、パソコンや ICT 機器を用いての 教育指導が行われてきているが、頻度的にはまだ少ない。また、個々に合わせ た計画的使用も特別支援学校に比べると十分とはいえない。 ⇒個別の指導計画の中に、ICT を利用した指導について積極的に組み入れていけ るような工夫が必要と思われる。(下記「活用ハンドブック」なども参考) ・教員自身が ICT 技能の不足や研修の少なさを感じている。(特に小学校) ⇒特別支援教育に焦点を当てつつ、ICT 全般に慣れて、使えるようになっていく 研修を積極的に行っていく。そのさいは、実際現場で使用した教員からのナマ の情報、さらに研修参加者が実際に ICT 機器に触れて体験できるような演習型 の研修が有用であると思われる。 さいごに) お忙しい中、とても丁寧にアンケートにご協力くださった先生方に心から 御礼申し上げます。
24 / 24 <参考> ○発達障害のある子供たちのための ICT 活用ハンドブック http://jouhouka.mext.go.jp/developmental_disorder_ict_katsuyo.html o 特別支援学級編(委託先:兵庫教育大学)(PDF) o 通級指導教室編(委託先:宮城教育大学)(PDF) o 通常の学級編(委託先:筑波大学)(PDF) ○奈良養護学校 HP 内、 教材共有ネットワーク http://www.narayogo.jpn.org/ ○文部科学省 教育の情報化に関する手引き(案) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/gijigaiyou/attac h/1259389.htm ○デジタル教科書・教材及びICTの活用に関する基礎調査・研究 特別支援教育総合研究所 金森克浩 http://www.nise.go.jp/cms/7,7038,32,142.html