絵 本 作 家 い と う ひ ろ し 作 品 の 研 究
一 絵 本 『 だ い じ よ う ぶ だ い じ よ う ぶ 』 の 分 析 を 中 心 に ‑
教科領域教育専攻 言語系コース(国語) 春 藤 奈 緒 美
I 研究の動機
今から8年程前は、私にとって、自分の人生 の中でも初めてというくらいの多くの困難な出 来事が、一度にふりかかつて来たような時だ、っ た。そのような時に、出合った絵本『だいじよ うぶ だいじようぶ~ (いとうひろし 1995年 講談社)に、私は、癒され、安心し、感動し たのである。
今回の研究では、絵本『だいじようぶ だい じようぶ』の作者である、いとうひろし氏の作 品が、読み手にどのような内的過程を生起する 可能性があるのかを追求していくこととする。
研究にあたっては、絵本作家いとうひろし氏 の生い立ちゃいとうひろし氏の創作の世界を明 らかにし、考察していきたい白さらに、絵本『だ いじようぶ だいじようぶ』に込められたメッ セージを明らかにするとともに、いとうひろし 氏が伝えようとするメッセージがどのように具 体化されているのかも明らかにしていきたい。
また、研究を進めていく中で、絵本とその読 み聞かせとの実践的価値について、自分自身、
明確なものを確立していければと思っている。
E 論文の構成 はじめに
第一章 いとうひろしの生い立ちと絵本作家へ の道
第二章 いとうひろしの創作の世界
指導教員 余 郷 裕 次
第 三 章 絵 本 『 だ い じ よ う ぶ だいじようぶ』
の成立事情
第 四 章 絵 本 『 だ い じ よ う ぶ だいじようぶ
J
の分析 おわりに 引用参考文献
いとうひろし・絵本リスト
E 論文の内容
第一章では、幼少期、高校時代、大学時代、
大学卒業後と取り上げ、いとうひろし氏の生い 立ちを探り、絵本作家としての道を歩み始める 過程を考察した。
その結果、いとうひろし氏は、自然や生き物 が大好きな子どもであり、三世代家族の家庭に 育ち、家族のみんなに大切に育てられていたこ とが分かつた。そして、子どもの頃に祖母が絵 本の読み聞かせをしていてくれたことや保育土 である二人の姉たちの影響を受け、大学時代か ら絵本を描くことを始め、それから絵本作家の 道へと進んで、いったことが明らかになった。
第二章では、いとうひろし氏の数々の絵本作 品を探ることによって、絵本作家いとうひろし 氏の根底にあるメッセージを考察していった。
その結果、いとうひろし氏は、子どもたちが、
生きていくためには、小さい時から生きていく ためのトレーニングを多く積んでおかなければ ならないと考えていることが分かつた。それは、
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「し、ろいろな見方や考え方ができる力J
r
生き 物にふれ、命や命のつながりを感じる力Jr
遊 びの中での考える力Jr
人とかかわり合う力」「想像力J
r
愛するという力Jr
命のつながりを感じ、生きていく力Jなどの力をつけるための トレーニングであり、それらの力をつけるため の要素が絵本の中に示唆されていることが明ら かとなった。さらに、絵本の中において、それ ぞれの力を具体的に示し、大人がそれらの力を 生かす見本を見せ、子どもたちの成長を助ける ことが大切であるということが明確に描き出さ れている。
第三章では、絵本『だいじようぶ だいじよ うぶ』の成立事情を辿り、この絵本に込められ たメッセージを考察していった。
その結果、いとうひろし氏は、子どもの頃か ら、自分の存在に対する不安を抱えていたが、
自分の子どもという存在を授かったことで、新 たな不安が生まれ、悩み、考え、解決策として、
この絵本が出版されたということが分かった。
第四章では、絵本『だいじようぶ だいじよ うぶ』の見開きごとの分析を行った。
その結果、この絵本には、多くの絵とことば の仕掛けが相互に組み込まれていることが分か った。絵本『だいじようぶ だいじようぶ』に は、「し、ろいろな見方や考え方ができる力J
r
生 き物にふれ、命や命のつながりを感じるカJr
遊 びの中での考える力Jr
人とかかわり合う力J「想像力 J
r
愛するという力 Jr
命のつながりを 感じ、生きていくカ」のすべてが、絵とことば によって表現され、おじいちゃんという存在に よって、大人が子どもにどうやって示していけ ばよいのかを具体的に描いていることが明らか となった。今回の研究を通して、いとうひろし氏の絵本
作品から、生きていくことは楽しいことである というメッセージを感じることができた。子ど もたちは、それらの絵本作品を読むことによっ て、無意識に生きることを楽しむトレーニング ができるのではないかと思われるD
また、大人自身が、子どもたちに、生きてい ることを楽しんでいる姿を見せなければならな いということも考えさせられた。
さらに、絵本『だいじようぶ だいじようぶ』
においては、子どもたちが、生きて成長してい く時、いつも傍で見守り、共感してくれるしっ かりとした経験知のある大人の存在が必要であ ることが分かつた。その理想、の存在こそが、絵 本『だいじようぶ だいじようぶ』に描かれて いるおじいちゃんであるということが明らかに なった。
研究を進めて行く中で、私自身、絵本とその 読み聞かせの世界の魅力に入り込んでいくこと ができた。さらに、読み聞かせの実践をし、子 どもたちとともに、絵本を読む幸せな時間を大 切にしていきたい。
W 主要参考文献
‑ジム・トレリース 亀井よし子訳 (1987)
W
読 み聞かせ この素晴らしい世界』高文研‑長谷川集平(1988)W絵本づくりトレーニン グ』筑摩書房
‑藤本朝巳 (1999)W絵本はいかに描かれるか (表現の秘密)~日本エディタースクール出版
部
・松居直 (1973)W絵本とは何か』日本エディ タースクール出版部
‑余郷裕次 (2008)
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絵本のひみつ 絵本の読み 聞かせについて"-'~徳島新聞販売底会ハU
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