Title
C型慢性肝炎の病態とインターフェロン療法に関する臨床
的研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
酒井, 勉
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1083号
Issue Date
1996-11-20
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15186
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 酒 井 勉(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1083 号 平成 8 年11月 20 日 学位規則第4条第2項該当 C型慢性肝炎の病態とインターフェロン療法に関する臨床的研究 (主査)教授 武 藤
泰
敏 (副査)教授 藤 原 久 義 教授 安 田 圭 吾 論 文 内 容 の 要 旨 C型肝炎ウイルス(HCV)に関する分子生物学的研究の進歩により.HCV genotype分類やHCV RNA定量測 定が可能となっているが,C型慢性肝炎における病態との関連性については必ずしも一定の見解が得られていな い。そこで申請者は肝組織像の詳細な検討により,C型慢性肝炎の進展とHCV genotypeやHCV RNA量等のウ イルス側の因子との関連性を検討した。また現在のところC型慢性肝炎に対する唯一の抗ウイルス療法であるイ ンターフェロン(IFN)療法の治療成績に対して,宿主側及びウイルス側の背景因子の関与について,さらにIFN 治療効果判定に関してHCVコア抗体価測定の有用性についても検討した。 対象および方法 C型慢性肝炎の病態についての検討の対象としたのは,肝生検により組織学的検討が可能であった143例(男性 104例,女性39例:平均年齢49.9歳)で,組織学的診断にはヨーロッパ分類およびhistology activityindex(HAI)scoreを用いた。HCV RNAの定性にはreverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)
を用い,HCV RNAの定量にはcompetitive RT-PCR法を用いた。またHCV genotypeについてはOkamotoらの 方法に従い分類した。IFN療法における治療成績の検討の対象としたのは,IFN投与終了後12か月以上観察可能 であった111例(男性82例,女性29例:平均年齢49.5歳)であり,治療効果判定には「難治性の肝炎」調査研究 班治療分科会の判定基準を用い,さらにその著効例については.IFN投与終了後6か月後の時点でHCV RNAが 陰性化したものを「complete responder(CR)」,持続陽性のものを「partialresponder(PR)」,著効例以外 を「nonresponder(NR)」と判定し検討した。またコア抗体価の測定についてはC22-3蛋白を抗原としたRIAキッ トで測定した。 結果および考察 ヨーロッパ分類におけるCPH,CAH(2A),CAH(2B)各群においてHCV RNA量には有意の差はなかった。 またHAIscoreの各カテゴリMSCOreおよび総scoreとHCV RNA童の間においても有意な相関を認めなかった。 HCV genotypeとヨ.ロッパ分類における組織型との間にも有意な関連はみられず,HCV genotypeのⅡ型とⅢ 型の各群における,HAIscoreの各カテゴリーSCOreおよび総scoreについても明らか関連性を認めなかった。し かしHCV genotypeのⅢ型とⅢ型の各群におけるHCV RNA量は各々104・8±L3copies/mlおよび103・T±l・4copies/ml で,Ⅲ型ではⅢ型に比し有意に高値であった(P<0.05)。これらの結果より,C型慢性肝炎の進展とHCVgenotype
-85-やHCV RNA量との関連は少ないものと推定された。 IFN療法において治療成績に関与する因子の検討では,HAIscoreのうちperiportalnecrosisとbridging necrosisの程度を示すカテゴリーIscoreと総scoreにおいて,著効群が不変群に比し有意に低く(P<0.05),CR 群とNR群との比較でも.カテゴリーIscoreおよび総scoreにおいてCR群が有意に低値であった(P<0.05)。ま たHCV RNA量の比較ではCR群が103▲3±一・3copies/mlとNR群の1049土1・3copies/mlに比し有意に低値であった(P< 0.01)。HCV genotypeⅡ型とⅢ型における著効率,CR率の比較ではともにⅢ型において有意に低率であった
(P<0.05)。IFN療法の奏効率には,肝炎の組織学的進展鼠 HCV RNA量およびHCV genotypeに関連があり,
IFN療法の対象の選択の上で重要であると考えられた。 C22-3蛋白をエピトープとしたコア抗体価の測定では,IFN療法の著効例において.IFN投与終了後3か月お よび6か月時点の抗体価が投与前値に比し有意の低下を認め(P<0.05),IFN療法効果判定に有用と考えられ た。 論文審査の結果の要旨 申請者 酒井 勉は,C型慢性肝炎において組織学的進展とHCV genotypeおよびHCV RNA量との問には関
連性が少ないこと,またIFN療法の奏効率には肝炎組織像の進展度,HCV RNA量およぴHCV genotypeが関与
していることを,さらにC22-3抗体価の経時的観察がIFN療法効果判定に有用であることを明らかにした。これ らの研究成果は肝臓病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] C型慢性肝炎の病態とインターフェロン療法に関する臨床的研究 平成8年9月発行 岐阜大医紀 44(5):567∼579,1996