Title
Performance of Fruit and Vegetables Marketing Systems in
Bangladesh and Japan( 内容の要旨 )
Author(s)
ABDUL LATIF SARKER
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第173号
Issue Date
2000-03-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2514
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年 月 日 学 位 授 与 の 要件 研 究 科 及 び 専 攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員
ABDUL LATIF SAREER (′(ンダラデシュ人民共和国)
博士(農学) 農博甲第173号 平壌12年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学
Performance of Fruit and Vegetables
Ⅱarketing SystezDSin Bangladesh andJapan
主査 信 州 大 学 教 授 佐々木 副査 信 州 大 学 教 授 野 副査 岐 阜 大 学 教 授 小 副査 静 岡 大 学 教 授 木 副査 大 阪 府 立 大 学 数 授 桂 俊 克 健 瑛 口 栗 宮 隆邦之ニー 論 文 の 内 容 の 要 旨 欧米諸国と異なり、アジア諸国の青果物流通システムは長い流通ステージによっ て特徴づけられる。本論文は、機能的かつ効率的な青果物流通への要求が長い流通 ステージを必要とさせるという視点から、日本とバングラデシュの2つのケースを 事例として取り上げ、それぞれの市場成果を検討する、という構成をとっている。 本論文の主な内容は以下のようである。 方法論の検討に当てられている第1章に続き、前半部分(第2章と第3章)は、 日本の青果物流通システムの市場成果の検討に当てられている。ここで第1に扱わ れているのは青果物卸売市場の経由率である。一般に日本の青果物卸売市場の経由 率は低下している一方、市場外流通(短縮された流通)のシェアーが増大している とみられている。しかし卸売市場経由率の低下に関しては、農水省が行った推計結 果しかないのが現状である。そこで本論文では、農水省推計が用いた分析概念およ び分析方法について検討を行い、卸売市場経由率を再推計している。そして、青果 物卸売市場の経由率は生鮮青果物に限定してとらえることが重要であること、その 場合には青果物の卸売市場経由率は増大していることを明らかにしている。 第2には、大規模卸売市場から小規模卸売市場への転送が扱われている。卸売市 場制度は、他のより短縮された流通形態に比べ長い流通ステージを課すことから非 効率だという見方が多くなっている。本論文では、市場成果の視点から転送につい ての検討を行い、転送は生産と消費のきめ細かな調整を可能とするのみでなく、出 荷コストを節約し流通効率を上げていることを明らかにしている。 後半部分(第4章と第5章及び第6章)は、バングラデシュの青果物流通につい
てその市場成果の検討が行われている。バングラデシュの青果物流通については、 流通ステージが必要以上に長く、少なくとも中間商人の1つであるフォリアは余分 ではないか、といわれている。そして、長い流通チャネルと中間商人の過大な利益 はともに、過大な流通マージンをもたらす要因であるといわれている。本論文は、 いずれも十分実証されているとはいえないとして、実態調査を通じて収集した資料 を基にその検討を行っている。
本論文ではそのためにまず、取引費用論の視点からフォリアの存在琴由を分析し、
それがリスクの一部を負担し、流通コストの節約に貢献していること、またチャネ ルの長さと流通マージンの分析を行った結果、そこには明白な因果関係は認められ なかったことを示している。さらに、中間商人の利益率についても検討を加えてい る。そのさい従来の議論は分析概念、分析方法のいずれにおいても問題をもってい るので、新たな方法によりこの計測を行っている。その結果、流通チャネルに関与 する主要な中間商人(アラトダとポテトを低温貯蔵する商人を除き)は適正なマー ジンと競争的利潤を上げていること、そしてまた生産者と消費者の間のマージン(流 通マージン)は、南アジアの基準からすると適正な範囲内にあることを明らかにし ている。 第2に取り上げているのは、バングラデシュについては最初の試みであるが、青 果物市場の市場間統合の動態である。ポテトとバナナの主要な卸売市場を分析した 結果、各々は分離されているわけではないが、1つのポテト市場を除き、ダッカの 卸売市場との統合度合は極めて′トさく、生産の季節性が価格形成に大きな影響を与 えていることが明らかにされている。 第3に取り上げられているのは、バングラデシュ青果物市場の価格非効率性につ いての検討である。激しい価格変動によって示される価格非効率性の性格と程度は これまで統計的に分析されてきたわけではないが、近代的貯蔵施設の欠如がポテト 価格の激しい変動の原因であり、それがポテト農民の所得に影響を与えている、と いわれてきた。しかし実態からすると、大量のポテトが農民により貯蔵されている 一方、貯蔵施設は十分利用されないままになっていることに着目し、これについて の検討を行っている。そして、ポテトとバナナの自己相関を時系列的に計測し、そ れが一時的な価格非効率を示すこと、また実態調査からも、ポテトの貯蔵商人は過 大な利益を得ていること、そしてさらに農民が低温貯蔵施設を所有しうるかどうか は、非農業的収入の有無に規定されていることを明らかにしている。 最後(第7章)に、バングラデシュ青果物流通システムの改善を行うために有効 な日本の経験は何かについて検討し、日本が採っている制度、すなわち卸売市場法 や農業協同組合による共販、価格安定方策が、道路や市場、通信などのインフラ整 備とならんで取引リスク、取引費用、出荷費用、廃棄費用を軽減させ、競争も促進 させることから、これら諸制度の導入が重要であることを指摘している。 審 査 結 果 の 要 旨 平成12年1月27日13時より信州大学農学部において審査委員全員出席 の下、公開学位論文発表会を行い、50分の発表の後質疑応答が約40分なされた。 論文の内容及び評価された点は以下のようであった。 欧米諸国では中間商人をバイパスし生産と′J、売が直接結び付く形で流通革命 が進んでいるが、アジア地域の国々では中間商人が様々な形で維持されている。 そしてこのような状況に対し、流通システムの非効率性あるいは欧米型の流通 革命の必要性が指摘されてきた。 本論文はこのような議論に対し、ともに長い流通ステージをもつ日本とバン グラデシュの青果物流通システムを取り上げ、流通ステージの短縮を伴わな くても効率化は進みうること、そして流通システムの形態として、また流通 革命の形態としてアジア型という類型が措定できるのではないかという提起 を行った点に第●1の特徴がある。 第2の特徴は、バングラデシュにおいては、これまで青果物流通に関する データが不足していたが、実態調査を通じ議論の基礎となりうるデータを収 集し提示したことである。これは今後の議論の素材にもな一りうるものとして 評価された。 以上の全体的な特徴に加え、個別には以下の点で新たな論点を提起したと 評価された。 第1は、低下しているといわれている日本の卸売市場経由率について、青 果物の卸売市場経由率はむしろ増大していることを示した点である。 第2は、非効率性を指摘されている日本の市場間転送を検討し、延長され た流通ステージの方が望ましい市場成果を挙げていることを示したことであ る。 第3は、バングラデシュの青果物流通においてその役割が正当に認識され ていない中間商人を取り上げ、それがリスクの一部を負担し、流通コストの 節約に貢献していること、及び適正なマージンと競争的利潤を上げているこ とを明らかにした点である。 第4は、バングラデシュ青果物市場の価格非効率性は、近代的貯蔵施設の 欠如にあるといわれてきたが、農民に低温貯蔵施設が普及しうるかどうかは、 非農業的収入の有無に規定されていることを明らかにした点である。 以上の点を評価し、審査委員全員一敦で、本論文は岐阜大学大学院連合農 学研究科の学位論文としての価値があることを認めた。
[学位論文の基礎となる学術論文] (1)AbdulLatifSarker,TakashiSasaki:一.RoleofMiddlemeninMarketingSystem-The CaseofPotatoandBananaMarketinginBangladesh-..「農業経営研究」,37-2, 147-152,(1999.9) (2)AbdulLatifSarker,EiichiKatsura:一一SituationandStruCturalChangesofWholesale MarketBasedFmitandVegetablesMarketingSysteminJapan-7「農業市場研究」 8.1,57こ69,(1999.10) (3)AbdulLatifSarker,TakashiSasaki一.PerformanceofFmitandVegetables Marketing System- TheCaseofBangladesh一一l「農林業問題研究」,35-4,107-119, (1999.12)