William Blake の“The Lamb”と“The Tyger”を
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著者
川? 美佐子
著者別名
KAWASAKI Misako
雑誌名
東洋大学大学院紀要
巻
53
ページ
253-270
発行年
2016
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00008788/
William…Blake の“The…Lamb”と“The…Tyger”を読む…
文学研究科英文学専攻博士後期課程満期退学
川﨑 美佐子
1.はじめに
William…Blakeの“The…Lamb”「子羊」と“The…Tyger”「虎」は、詩集Songs of Innocence
and of Experience『無垢と経験の歌』に収録され、対をなす詩として有名である。「無垢」 とは罪や穢れを知らず、子どものように純粋で善意に満ちた心のことであり、「無垢の歌」 にはそういった子どもの視点から映る世界が描かれている。「経験」はその逆で、「無垢」と 対立する概念、つまり現実世界の制度、規則、慣習、常識などに順応し、人間世界にはびこ る悪を知ってしまった状態のことである。「子羊」と「虎」は、その創造について、「子羊」 は「無垢」の視点から、「虎」は「経験」の視点からそれぞれ描かれている。この二つの詩 は、Blakeの示す「無垢」と「経験」という概念を最もよく表していると言われている。こ れまでBlakeの詩の研究は、そのほとんどが文学的な観点から行われてきた。確かにBlakeの 詩は、語学的観点からのみでは解明できない要素を多く含むため、読み難い。しかし、文学 的な観点からのみ解釈し得るものでもない。評論であれ、小説であれ、詩であれ、英語で書 かれたものは、まず語学的な観点からしっかりと読み解く必要がある。その過程を経て初め て、文学的な観点からの考察が可能となる。Blakeの詩もまた、英語で書かれた英詩であり、 したがって、語学的な観点から読み解くことが大前提となる。特に英詩においては、韻律分 析(scansion)が欠かせない作業となる。英詩を成すすべての語は韻律によって統制されて いる。そのため、韻律を理解することによって、語の真の意味をとらえ、本当の意味で英詩 を精読することができるのである。 本稿では、Blakeの“The…Lamb”と“The…Tyger”に関して、韻律分析を中心とした語 学的な観点からの精読を試みる。二つの詩の韻律を提示し、それもとに二つの詩を比較しな がら、考察していく。
The…Lamb Little…Lamb…who…made…thee Dost…thou…know…who…made…thee Gave…thee…life…&…bid…thee…feed. By…the…stream…&…o’er…the…mead; Gave…thee…clothing…of…delight, Softest…clothing…wooly…bright; Gave…thee…such…a…tender…voice, Making…all…the…vales…rejoice! Little…Lamb…who…made…thee Dost…thou…know…who…made…thee …… Little…Lamb…I’ll…tell…thee, Little…Lamb…I’ll…tell…thee! He…is…called…by…thy…name, For…he…calls…himself…a…Lamb: He…is…meek…&…he…is…mild, He…became…a…little…child: I…a…child&…thou…a…lamb, We…are…called…by…his…name. Little…Lamb…God…bless…thee. Little…Lamb…God…bless…thee. (Songs of Innocence,…8-9) The…Tyger. Tyger…Tyger,…burning…bright, In…the…forests…of…the…night;… What…immortal…hand…or…eye, Could…frame…thy…fearful…symmetry? In…what…distant…deeps…or…skies.
Burnt…the…fire…of…thine…eyes? On…what…wings…dare…he…aspire? What…the…hand,…dare…sieze…the…fire? And…what…shoulder,…&…what…art, Could…twist…the…sinews…of…thy…heart? And…when…thy…heart…began…to…beat, What…dread…hand?…&…what…dread…feet? What…the…hammer?…What…the…chain, In…what…furnace…was…thy…brain? What…the…anvil?…What…dread…grasp, Dare…its…deadly…terrors…clasp! When…the…stars…threw…down…their…spears And…water’d…heaven…with…their…tears: Did…he…smile…his…work…to…see? Did…he…who…made…the…Lamb…make…thee? Tyger…Tyger…burning…bright, In…the…forests…of…the…night: What…immortal…hand…or…eye, Dare…frame…thy…fearful…symmetry? (Songs of Experience,…24-25) “The…Lamb”は十行連(ten-line…stanza)、“The…Tyger”は四行連(quatrain)の構成 となっている。視覚的に見てとれる違いと言えば、句読点(punctuation…mark)である。 “The…Lamb”では、終止符や感嘆符のexclamation…markなどから、はっきりと言い切って いて、歯切れの良い印象を受ける。それに対して“The…Tyger”は、whatや疑問符(question… mark)が多く目につくので、何かただならぬ感覚を覚えてしまう。詩全体が、言い表しよ うのない、未知なる空気を漂わせている。疑問符の連続に、読む前から身構えずにはいられ ない雰囲気がある。
2.詩形と韻律
英詩を正確に精読するためには、まずは韻律分析を行わなければならい。ここでは、“The… Lamb”と“The…Tyger”について、韻律がどうなっているのかを見てく。 “The…Lamb”の音節を数えてみると、第1、第2スタンザとも、1,…2行目と9,…10行目が6音節、 それ以外は7音節となっている。韻律を分析してみると以下のようになる。なお、強勢を置 く音節は太字で、強勢が置かれないものはそのままで表示する。 第1スタンザ ^Lit│tle…Lamb│^who│…made…thee│ Dost…thou│…know…who│…made…thee│ ^Gave│…thee…life│…&…bid│…thee…feed.│ ^By│…the…stream│…&…o’er│…the…mead;│ ^Gave│…thee…cloth│ing…of│…delight,│ ^Soft│est…cloth│ing…wool│y…bright;│ ^Gave│…thee…such│…a…ten│der…voice,│ ^Mak│ing…all│…the…vales│…rejoice!│ ^Lit│tle…Lamb│^who│…made…thee│ Dost…thou│…know…who│…made…thee│ 第2スタンザ ^Lit│tle…Lamb│^…I’ll│…tell…thee,│ ^Lit│tle…Lamb│^…I’ll│…tell…thee!│ ^He│…is…call│ed…by│…thy…name,│ ^For│…he…calls│…himself│…a…Lamb:│ ^He│…is…meek│…&…he│…is…mild,│ ^He│…became│…a…lit│tle…child:│ ^I│…a…child│&…thou│…a…lamb,│ ^We│…are…call│ed…by│…his…name.│ ^Lit│tle…Lamb│^ God…│bless…thee.│ ^Lit│tle…Lamb│^…God…│bless…thee.│ “The…Lamb”の詩形は弱強4歩格(iambic…tetrameter)で、脚韻はaabbccddeeの対句形 式(couplet)となっている。脚韻については、韻(rhyme)と語の音の効果において詳し く述べる。第1スタンザであるが、2行目と10行目を除き、すべての行において行頭の弱音節が欠如した行首欠節(initial…truncation)となっている。また、第1スタンザの1,…9行目と第 2スタンザ1,…2,…9,…10行目のLambの後ろには行内欠節が起こっている。“Little…Lamb”は呼び かけであるが、Lambの後で間を入れることにより小休止が起こる。そうすると、後の音節 (who)が若干強く読まれる。行首欠節と行内欠節の効果により、第1スタンザでは、“^Lit│tle… Lamb│”と後ろの文章の“^who│…made…thee│”が、第2スタンザでは“^…I’ll│…tell…thee,│” や“^…God…│bless…thee.│”が同じリズムとなり、より律動性を帯びて一層テンポが良くなる。 第1スタンザの2行目と10行目は完全な弱強調となっているので、疑問の感じがあまり出て こない。1,…2,…9,…10行目の行も疑問文であるが、冷静な弱強調のリズムにより、疑問文らしさ が失われている。そして、弱強調のリズムの背後には、その問いに対するBlakeの確信に満 ちた答えさえ窺えるのだ。そのBlakeの確信は、第2スタンザではっきりと述べられている。 “Little…Lamb”の繰返しが第2スタンザへの流れを滑らかにし、その反復はまるで合言葉の ように詩全体に響き渡っている。第2スタンザの出だしも“^Lit│tle…Lamb│^…I’ll│…tell…thee” の繰返しで始まり、全く同じ音とリズムの反復は、純粋で無邪気な感覚を生む。4行目のo’er はoverのことであるが、1音節で読ませるためにo’erとなっており、第2スタンザの3,…8行目 のcalledは本来1音節であるが、callèd…[kɔ́ːlId]と2音節で読む。音節を短くしたり長くしたり することによって、音節もリズムも全体の調子と一致してくるので、詩全体の安定性が増し てくる。第2スタンザはすべて韻律が整っており、第1スタンザよりもより安定感がある。「ぼ くは子ども」、「おまえは子羊」、「ぼくたちはHe」だと述べられ、詩全体の韻律からもこの 回答に対する一切の迷いは見られない。 このように、“The…Lamb”は弱強4歩格を基盤とし、ほぼすべての行頭が欠節となってい るのが特徴である。行頭欠節のために行頭に間が入るが、ほぼすべての行に間が入るため、 それが規則正しい呼吸となり一定のリズムを生み出している。この効果は弱強調のリズムに さらなる安定感を与えている。また、行首欠節によって文頭に強勢が置かれるので、弱強調 (iambic…metre)のリズムがやや強弱調(trochaic…metre)のリズムを帯びてくる。上昇調 で安定した韻律の弱強調が強弱調のリズムを帯びるので、弱強調の単調さや平淡さが回避さ れる。さらに、文頭の強音節が勢いよく響き、弱音節との違いが明確になるので、より明快 且つ軽快な調子となってくるのだ。ただ、行末に弱音節がなく、弱強調の響きが強いため、 決して強弱調が主張しすぎるといったことはない。明快且つ軽快なリズムは無邪気で純粋な 心にまっすぐに響いてくる。このような韻律は誰の耳にも心地よく響くはずである。そして、 リズムと同様に文章も平易明快であるので、誰もが理解しやすい。強勢が置かれる場所だけ 読んでも十分に内容が理解できる。特に“Little…Lamb”の滑らかな…[l]…の反復や同じ言葉の 反復は、言葉を繰り返して遊ぶような子どもが好んで口ずさみそうなリズムである。まさに Blakeは子どもになりきって“The…Lamb”の韻律を作り、リズムによっても純粋無垢な世 界を描き出しているのだ。
次に“The…Tyger”の韻律を見てみる。詩の各文は7音節と8音節の音節数から成ってい る。詩全体の韻律は、強弱調を中心とした強弱4歩格(trochaic…tetrameter)であり、脚韻 はaabbの対句となっている。すべての行が、行末の弱音節が欠如した行末欠節(catalexis) となっている。一般的に強弱調は軽快で敏速なリズムであるが、最初に強勢が置かれていく ので、強さが非常に際立ってしまう。また、行末が弱音節となり調子が下降調であるため、 強さに重みが加わり、重苦しく息苦しく響く。それゆえ、どうしても強迫的、強制的、教訓 的な感覚や暗く陰鬱な印象を受けてしまう。しかし、この詩においてはこの行末欠節の効果 が弱強調の調子を生み出すとともに、オブラートのように働いて強弱調の強さを抑えている。 後で詳しく述べるが、脚韻の働きや縦横にちりばめられた長母音と二重母音の効果も加わっ て、強弱調の敏速さが緩和されている。よりゆったりとした調子となるので、強迫・強制的 な感覚が軽減され、一段と独白的な雰囲気が出てくる。 第1スタンザ Tyger│…Tyger,│…burning│…bright,^│ In…the│…forests│…of…the│…night;^│ What…im│mortal│…hand…or│…eye,^│ Could│…frame…thy│…fearful│…symme│try?^│ 3行目のimmortalは、「不滅の」という意味であるが、im│mortal│と-mor-が強く発音さ れるので、death「死」という意味も強く表れる。3行目と4行目は一文となっており、句跨 り(enjambment)である。Frameの主語は“what…immortal…hand…or…eye”であるが、行 末欠節のため一呼吸置く。文頭のwhatが強く読まれ、行の最後に間が入るので、驚嘆また は感嘆的な趣が出てくる。4行目はcouldが行首音節余剰(anacrusis)となっている。“Could… frame│…thy…fear│ful│…sym│metry?│”と弱強調で分析してしまうと、この文だけが全体の リズムから浮いてしまい、リズムを崩してしまう。Couldを行首音節余剰と考えると、全 体の強弱調とも一致し、韻律も自然なものとなる。一呼吸おいてからの4行目への流れは、 couldが行首音節余剰ため、ゆったりとした感じが出る。リズムが断絶されることなく自然 と弱強調の響きを帯びてくる。“Could│…frame…thy│…fearful│…symme│try?^│”の韻律は前の 行と比べゆっくりと読まれるため、噛みしめるような感じが出てくる。「恐ろしい均整をつ くり得たのか」と問いかけ、割り切れない複雑な思いを抱きながらも、一方では心のどこか でその事実を認めているように感じられる。微妙な気持ちの変化を見事にリズムで表現して いるのである。
第2スタンザ In…what│…distant│…deeps…or│…skies.^│ Burnt…the│…fire│…of…thine│…eyes?^│ On…what│wings…dare│…he…as│pire?^│ What…the│…hand,…dare│…sieze…the│ fire^│? 2行目のfire…[fàIə]は一音節であるが、三重母音の効果を利用し、長く伸ばして2音節のよ うに読む。長く伸ばして読むことで、fireの意味もより強くより具体的になる。Fireの意味 はflame「炎」であるが、“burning…fuel…in…grate,…furnace”「火床、溶鉱炉で燃料を燃やすこ と」という意味もある。そうすると、このfireが同じ行のburntや第1、第6スタンザ1行目の burning、そして第4スタンザ2行目のfurnaceなどの語と結びつき、詩全体に統一感が生まれ る。Burning,…burnt,…furnaceは長母音があるので、音の面でもfireとの結びつきが強固にな る。さらに、fireには“vehement…emotion,…fervor,…spirit,…lively…imagination,…vivacity,…poetic… inspiration”という意味がある。つまり、“the…fire…of…thine…eyes”の持ち主である…Tygerは 「熱情」、「快活な想像力」、「詩的霊感」の象徴でもあるのだ。“Lively…imagination”や“poetic… inspiration”という意味はeyesとの結びつきを強め、Blakeが持つ“imaginative…vision”「想 像的幻視」へと繋がっていく。Blakeは想像力が非常に豊かで、「幻視」(vision)という能力 に長けていた。彼は、眼に見える現実はすべて偽りで、想像力がとらえたvision、つまり「想 像力的幻視」を何よりも重視し、物事の真実をとらえるためには「想像的幻視」により知覚 する必要があると考えていた。2行目のfireに対して、4行目のfireは1音節で読むので、「火」 や「炎」という意味で用いている。 第3スタンザ And…what│…shoulder,│…&…what│…art,^│ Could│…twist…the│…sinews│…of…thy│…heart?^│ And│…when…thy│…heart…be│gan…to│…beat,^│ What…dread│…hand?…&│…what…dread│…feet?^│ 1行目のandと&に強勢が置かれているので、andは前のスタンザとのつながりが、特に 4行目のhandとのつながりが強いことを示し、&に関してはshoulderとartとの接続性の強 さを示している。Whatに強勢が落ちていないのは、前のスタンザのhandがついているの がshoulder「肩」であり、そのhandが持つのがart「技」であると理解できるからである。 Andは[ǽnd]とはっきりと強く読まれるが、&(ampersand)は記号なのでandよりは弱く読 まれる。前の二行が弱強調を帯びたリズムなので、4行目はとりわけ強い調子となる。
第4スタンザ What…the│…hammer?│…What…the│…chain,^│ In…what│…furnace│…was…thy│…brain?^│ What…the│…anvil?│…What…dread│…grasp,^│ Dare…its│…deadly│…terrors│…clasp!^│ 第3スタンザの最後の行のリズムの流れを継ぎながら、whatが立て続けに出て来て強勢が 置かれる。Whatが連続して出てくるので、whatに自然と力が込められていき、テンポもや や速くなる。最後の行の頭韻dareとdeadのdの重く濁った音で強さは最高潮に達する。した がって、このスタンザが詩全体の中で一番強い調子となる。そして、whatの文は強弱と下 降気味のリズムに加え、行末欠節の間が吐息のように響くので、疑問文というよりはまるで 感嘆文が連続しているかのように聞こえてくる。4行目はdareに強勢が置かれており、その 「勇敢さ」を称えるとともに、「どうしてわざわざ破滅を導くような恐ろしいものを握りしめ たのか」という意味合いも同時に強く出る。 第5スタンザ When…the│…stars…threw│…down…their│…spears^│ And│…water’d│…heaven│…with…their│…tears:^│ Did…he│…smile…his│…work…to│…see?^│ Did│…he…who│…made…the│…Lamb…make│…thee?^│ 2行目のwater’dは本来ならばwateredとなるが、rの後のeが省略されている。-ter’dの部分 は弱音であるが、-teredよりもより短く弱く発音される。3行目はdidに強勢が落ちるので疑 問の調子が強く出る。それに対して、4行目はdidに強勢が落ちていないことと、余剰音節の 効果によって弱強調の響きが加わるため、ゆったりとしたリズムとなり、この質問を玩味し ながら問いかける雰囲気となる。4行目の強勢が置かれる部分だけを見ると、「彼が子羊とお まえをつくったのだ」という意味になっているので、この質問の背景にはそのような肯定的 な様子も窺える。 第6スタンザ Tyger│…Tyger,│…burning│…bright,^│ In…the│…forests│…of…the│…night;^│ What…im│mortal│…hand…or│…eye,^│ Dare│…frame…thy│…fearful│…symme│try?^│
この最後のスタンザは、第1スタンザの繰返しであるが、最後の行だけ異なっている。第1 スタンザではdareの部分がcouldとなっている。Couldもdareも弱音であるため、意味もそれ ほど強くは表に出ないが、この行の背後にも「どうしてわざわざ」という気持ちが見え隠れ している。しかし、行末の欠節の効果によって、事実を受け入れながらも、割り切れない気 持ちが尾を引いているような感じさえ与えている。 このように、“The…Lamb”の韻律は行首欠節を伴った弱強4歩格であり、“The…Tyger”は 行末欠節を伴った強弱4歩格である。この二つの詩は韻律から判断しても、対照をなす作品 であると言えるだろう。そして、行首欠節と行末欠節という正反対の手法を用いることで、 規則正しい韻律に変化を与え、作者の微妙な心情を巧妙に表現しているのだ。韻律の変化は 単調さや平凡さを断ち切り、まったく新しい旋律を生み出す。これらの旋律こそが、Tyger やLambのアイデンティティを形づくるのに重要な役割を果たし、それぞれの確固たるイ メージを眼前に浮かび上がらせるのである。
3.韻(rhyme)と語の音の効果
英詩の韻律において、脚韻や各語の音の効果も重要な要素であり、詩全体に大きな影 響を与える。“The…Lamb”と“The…Tyger”の脚韻は両者とも対句の形式をとっている。 “The…Lamb”の脚韻はaabbccddeeとなっており、第2スタンザの3,…4行目name…[néIm]と Lamb [lǽm]、7,…8行目のlambとnameは近似韻(near…rhyme)となっている。前述したよう に、詩の出だしがLittleとLambで頭韻を踏んでおり、この…[l]…の繰返しが滑らかなリズムと なって、詩全体に無邪気で陽気な雰囲気を与えている。脚韻は完全なる男性韻(masculine… rhyme)であるため、響きは強く、堂々とした感がある。二行が同じ韻で終わるので、より リズミカルな響きとなり、厳めしく重くなるといったこともない。対句の効果を具体的に 見ていくと、feed…[fíːd]とmead…[míːd]で韻を踏むことで「飼料を食べる」と「牧草地」との 意味が密接に結び付いている。その他、delight…[dIláIt]とbright…[bráIt]で呼応して「明るさ と輝き」が増して喜びや楽しさが倍になり、voice…[vɔ́Is]とrejoice…[rIdʒɔ́Is]で「楽しい声音」 と声の調子も愉快になる。第2スタンザでは、mild…[máIld]とchild…[tʃáIld]で「温和な子ども」、 さらにmildは同じ行のmeekと頭韻を踏み、childとHeとを関連付ける。母音の前の…[m]…の音 はどことなく音がこもるような感じとなり、柔らかく温かみを帯びてHeの性質を表す。こ れらの音が互いにつながりながら、Heとchildとがゆっくりと重なっていく。そして、再び nameとLamb/lambで力強く韻を踏み、「名前はLamb」だと断言している。このように、語 と語の意味の結びつきが強まると、二行の連結がより直接的で強固なもとなり、詩全体が締 まってくる。対句の連続がスタンザ全体に効果的に行き渡って割り切った感覚を生み、それ が明るいリズムとなって響き渡る。また、“The…Lamb”においては、長母音と二重母音が 詩全体の約6割を占めている。長母音と二重母音が効果的に作用し、快活なリズムに、ゆったりとした調子が重なり、柔らかく穏やかな空気をまとう。このような耳に心地よい韻律は、 誰もが口ずさみたくなるようなリズムである。そして、心地よいリズムに乗った言葉は何の 抵抗もなく、自然と心に入り染み渡ってゆく。 つづいて、“The…Tyger”であるが、脚韻はaabbの対句となっている。第1スタンザと第6 スタンザの4行目のsymmetryは、[símətri]ではなく[símətràI]と発音し、eye…[áI]と韻を踏む。 韻律分析の際に述べたように、この詩の韻律は強弱調を基盤としているが、強弱調の特徴で ある速さ、強さ、重苦しさがそれほど感じられない。その理由として、行末欠節の効果と長 母音や二重母音の効果が影響しているからだと言える。この詩では、すべての行において行 末の弱音節が欠如しているため、脚韻は男性行末となっている。しかし、行末欠節の影響に より、“The…Tyger”の脚韻は“The…Lamb”の男性行末の脚韻とはまったく異なっている。 行末の音節が欠けることによって間が入るために、本来の男性行末が持つ強い響きや荘重さ が失われてくる。ひと息入れることにより、それが吐息のような、ため息のようなリズムと なって、詩全体を包み込んでいく。勢いや強さが抜けていくので、ゆるやかで重い感じも出 てくる。しかしながら、対句によって再度脚韻が引き締められているといった感じをも受け る。これに長母音と二重母音の効果が加わってくるので、強弱調のリズムはさらに変化す る。“The…Tyger”においては、長母音や二重母音の割合は詩全体の半分を占めている。スタ ンザごとでそれらが占める割合を示すと、それぞれおおよそ…65%,…50%,…30%,…30%,…60%,…70% となっている。長母音と二重母音は読むのに時間がかかるので、それだけゆっくりとした調 子となる。ゆっくりとしたリズムはより柔らかさを帯びる。それゆえ、強弱調の速さが抑え られると同時に、強さを軽減することができる。第1,…6スタンザではとりわけ長母音と二重 母音の割合が多い。1行目は、“Tyger│…Tyger”と、“burning│…bright”とそれぞれ頭韻を 踏んでいる。[t]の破裂音からy…[áI]を発音するので、重みが加わる。その次も[b]という破裂 音が続くので、重さと強さが一段と増す。4行目のframeとfear-で再び頭韻が踏まれるが、[f]… は唇歯音であり柔らかな音となるので、第1,…6スタンザの最後の行は重さと強さが若干弱め られる。この二つのスタンザでは、Tyger,…bright,…night,…eye,…thy,…symmetryと二重母音の… [áI]…が特に目立つ。Tygerの中にある…[áI]…の音が、スタンザ中に散りばめられた…[áI]…の音に 共鳴し合い強く響き、独立した音に聞こえてくる。繰り返される…[áI]…の音は、自然と意識の 中に入り込み、まるで暗示にでもかけられたかのように、“I”「私」という具体的な存在を呼 び起こさせる。何度も繰り返される…[áI]…の反復は、TygerとI…[áI]を同一化させてゆくのであ る。さて、長母音と二重母音の割合が多い第1スタンザは比較的ゆったりとしたリズムで始 まり、第2スタンザからだんだんと速さと強さが増していく。第3,…4スタンザは長母音と二重 母音が少ない。第3スタンザは行首音節余剰の効果が効いているので、第4スタンザよりはや や速さと強さが抑えられる。4行目の二つのwhatが頭韻を踏み、第4スタンザとの結びつきを 強くし、自然なリズムの流れを作るのに貢献している。そして、第4スタンザは強弱調のリ
ズムが最大限発揮され、速さ、強さがピークとなる。反復されるwhatの…[w]…の音は上下両 方の唇を使って出す両唇音、あるいは調音器官のある位置から別の位置に移行するときに発 音される移行音であるため、疲労感を伴いリズムに重さが加わる。そして、同じ音の反復は 速度をより加速させる。第4スタンザの韻律の盛り上がりは、今まで抑えていたさまざまな 疑念、「いったいなぜ虎をつくったのか」、「どのようにつくったのか」、「子羊をつくったお 方が本当に虎をつくったのか」などとともに、「なんという破壊的な恐怖を生み出したことか」 という畏怖と感嘆といったすべての感情が噴出したかのような印象を受ける。しかし、第5 スタンザでは、長母音や二重母音、行首音節余剰の影響でスタンザ全体が再び冷静さを取り 戻す。Stars,…spears,…smile,…seeといった頭韻の…[s]…の摩擦音の「スー」という音がリズムに 静けさと冷ややかな感じを与えている。第6スタンザは第1スタンザと同様の比較的ゆったり としたリズムで終わる。以上のことからもわかるように、“The…Tyger”はその韻律全体で 起承転結を表現しているのである。“The…Lamb”が歌のようなリズムでその成り立ちを表現 しているのに対し、“The…Tyger”は物語のようなリズムに乗せて、その成り立ちを表現し ていると言える。“The…Lamb”の韻律は比較的一定したわかりやすいリズムとなっているが、 “The…Tyger”は一定のリズムの中にさらに抑揚が見られるので、より複雑に感じられる。 このようなリズムの違いから、“The…Lamb”の創造が明快なものであり、納得のいくもの であるのに対し、“The…Tyger”の創造はその意図も過程も複雑怪奇であることが窺える。
4.語句・内容解説
韻律が明確になったところで、語句や内容に関して補足的に説明をしていく。まず“The… Lamb”に関して、第1スタンザ2行目の…dost…は…do…の二人称単数直接法現在形で、thouは二 人称単数の主格、theeは目的格である。3,…5,…7行目のgaveの前に“dost…thou…know…who”を補っ て読む。Bidはcommandの意味であり、「食べるように命じた」となる。By…the…stream…&…o’er… the…mead「小川のそばで、牧草地いたるところで」は、3行目のbid…thee…feedの付け足しで ある。Meadはmeadowのことで、“clothing…of…delight”は、“delightful…clothing”「喜びを与 えてくれる衣類」の意であり、その衣類を身に着けると自然と喜びを感じられるということ である。Woolyはwoollyのことであり、後ろのbrightとともに前のclothingを修飾し、「ふわ ふわの白く輝く衣類」となる。Makeは使役動詞で、現在分詞として7行目のvoiceを修飾し ている。Valeはvalleyのことであり、4行目のmeadと同じく詩で用いられる。第1スタンザ では、子どもが子羊に向かって、誰がおまえをつくったのか、命を与え、食べ物を食べるよ う命じ、ふわふわの衣類をくれ、柔らかい声を与えてくれたのは誰かと問う。弱強調の緩や かな旋律が、その答えが述べられている第2スタンザへと導く。第2スタンザも同様に“Little… Lamb”という同じ調子のリズムで始まるが、詩中にはLambとlambという頭文字のlが大文 字で記されているものと、小文字で記されているものがある。両方とも意味は「子羊」であるが、第2スタンザのlambは普通名詞であり「子羊」としての総称として用いている。“Thou… a…lamb”「おまえは子羊の中の一匹」だと言っている。これに対して、第1スタンザの1,…9行 目と第2スタンザの1,…2,…9,…10行目のLambは頭文字が大文字となっている。“Little…Lamb”と 同じ強さで同じテンポで読まれるとその関係性がより際立ち、littleとLambが一体化してく る。そして、頭文字が大文字で記されたLambは、ほぼ固有名詞化し、唯一的な存在を表し、 まるで特別な意味を持っているかのように感じられる。つまり、「子羊」という意味を超え、 Lambの持つ他の意味、「無垢」(innocent)や「おとなしさ」(meekness)といった意味が表 れ、Lambがより象徴的な意味を帯びてくる。Lambは第2スタンザ4行目のLambへとつなが り、このLambはhimself「彼自身」あるいは-self「自分自身」と結びつき、最終的にはHeへ とつながる。そしてHeはGodを受ける人称代名詞であり、Godは特にキリスト教の神、創造 主を指す。キリストは“The…Lamb…(of…God)”とも呼ばれている。さらに、Lambは第2ス タンザのmeekやchildと結びつき、IとthouとHe(God)を同一化させる。…“God…bless…thee”は、 Godの前に「祈願・願望」のmayが省略されている。また、“The…Lamb”においては、軽快 で緩やかなリズムと語の意味とがぴったりと合っているので、詩全体に一体感が生まれる。 以上のことから、“The…Lamb”はキリスト教に深く基づいた詩であると言える。Blakeが敬 虔なキリスト教徒であったことは有名である。そのため、子どものように純粋で、無垢であ れば、必ず天国に行けるということを固く信じていたに違いない。そのようなBlakeのキリ スト教に対する揺るぎない信仰が“The…Lamb”を通して伝わってくるのだ。 つづいて“The…Tyger”について、「虎」は本来ならばtigerとなるはずであるが、iをyと 変えてTygerと綴っている。このTygerは実在する「虎」ではなく、Blakeのvisionがとら えた想像上の創造物であると考えられる。Blakeは、Tygerのイメージを森の王者である獰 猛な猛獣に重ね、それを具現化したのだろう。“Burning…bright”の部分は、burningが自動 詞の現在分詞で、brightが主格補語となっている。Brightは主語の補足的説明としてTyger の肢体の輝きを表しているが、第2スタンザ2行目のTygerの「眼の炎」とも結びつくため、 肢体の中でも特に眼との結びつきが強い。Forestsと複数形になっているため、木々が生 い茂った密林のような場所を想起させると同時に、nightと呼応し合い、暗さと不気味さが 漂ってくる。Frame「形づくる」は、枠組みに合うパーツを当てはめて組み立てていくこ とである。さらにframeにはcompose「詩などを書く」、「絵を構図する」、express「表現す る」、articulate…(words)「言葉をつなぐ」、imagine「想像する」という意味があり、これら の意味はまさにBlakeの“The…Tyger”という詩の創作とも関連づいてくるように思われ る。そうなると、what…immortal…hand…or…eye…の部分もまた、Blakeの不滅の虎を生み出す 手(skill)、虎をとらえる眼(imaginative…vision)と重なってくる。Blakeは、Tygerを想像 し、構想や構図を練り、言葉をつないで書き記し、銅版画という枠組みの中に、文字と絵 で見事にTygerを表現した。このようなことから、frameはその「枠組み」を超えた意味を
も連想させるのである。Symmetry「均整美」はギリシア語が語源であり、「sym-(同時に) +metron(測る)」ということで、対称性を意味している。第2スタンザのdeepsとskiesは ともに複数形となっている。Deepsは“deep…parts…of…sea,…abyss”とあるので、深い海を表 すとともにabyss「深淵」という意味も表している。Abyssはskies「天」に対しての「地 獄」を意味している。Burntの主語は“the…fire…of…thine…eyes”である。Aspireはmount…up… 「上がる」の意味で、この文章は「どんな翼をつけて、あえて彼は上がろうとしたのか」と なる。Siezeはseize「つかむ」のことで、このfire「火」も2行目のfireと同じく、第4スタン ザ2行目のfurnaceに繋がっていく。つまり、つかみ取った火はTygerを形づくるために使用 されたことになる。4行目のhandは第3段落のshoulder「肩」へと繋がり、「肩」とart「技」 をもって心臓の腱をねじりあげたとなっている。4行目の“what…dread…hand…&…what…dread… feet?”は、「どんな恐ろしい手がどんな恐ろしい足を」と解釈する。Tygerをつくった創造 主の「手」、「眼」、「肩」は単数形で表され、一方虎の「眼」はeyesと複数形になっている。 これに合わせてhandは創造主のものであり、feetは虎のものであると考えられる。Beatと韻 を合わせるためにfeetにしたという見方もできるが、Tygerをつくるような創造主が、わざ わざ足まで使ったとは考え難い。第4段落では、hammer,…chain,…furnace,…anvilなどの言葉か ら、Tygerがどれほど強靭につくられているかが窺える。Graspは握ること、claspもしっか りと握りしめるという意である。Terrorsは「恐怖」あるいは「恐怖を引き起こすもの」、複 数形になっていることから、Tygerの眼、心臓の腱、足、脳といった個々の部分が念頭にあ り、この一つ一つをterrorだと言っている。Starsは「星々」のことであるが、星はskies「天 国」にあるため、天国の何かを象徴していると考えられる。Spearsは戦闘用の槍のことなの で、天国で戦争が起こったことを暗示している。Water’dの主語はstarsであり、「星々が天 国を涙で濡らした」となる。何か戦いが起り、敗北して泣いているのか勝利に涙しているの かは定かではない。ただ、このような時にちょうどTygerが完成したとある。この第5スタ ンザは第2スタンザと同様、誰がTygerをつくったのかという議論において、文学的な見地 からどのように解釈するかが問題となり、これまで聖書や神話に基づいたさまざまな解釈が なされてきた。しかし、さまざまな解釈が可能であるということは、唯一の正解はないとい うことではないだろうか。Blakeはどのようにでも解釈できるように、あえてこの部分を具 体化せずに、抽象的に表現したのだと思われる。それは、Tygerが宗教的概念を超え、万人 の中に存在しているものだからである。あるいは、敬虔なクリスチャンとして、無垢なる魂 こそが天国へ導てくれると信じていたBlakeは、心のどこかでTygerの存在をしっかりと受 け入れられなかったのかもしれない。この詩において、Lambをつくった創造主がTygerを つくったとはっきりと断言できないのも、Tygerの創造を明確に示せないのも、Blakeの割 り切れない気持ち故ではないだろうか。では、Tygerとは具体的に何を指しているのだろう か。“Did…he…smile…his…work…to…see?”は“Did…he…smile…to…see…his…work?”であり、to…seeは
不定詞の副詞的用法で、「彼は自分の作品を見て微笑んだか」という意味である。4行目は「子 羊をつくった彼がおまえをつくったのか」ということから、LambとTygerが対となってい ることがわかる。先に言及したように、Lambはinnocence「無垢」の象徴であり、Tygerは 「無垢」とは反対のものを表している。「無垢」とは純真でけがれのない状態のことを指すが、 それは「垢が無い」ということである。そして、「無垢」の反対は「垢が有る」状態のこと であり、つまりTygerとはこの「垢が有る」状態のことを言っている。『経験の歌』に収めら れたTygerは、まさにさまざまな経験を通して、汗や埃にまみれ、汚れ、けがれてしまった 状態のことを指しているのである。そして、Lambが私たち人間の無垢の状態を表すように、 Tygerもまた私たち人間の姿を表しているのである。純真無垢の状態で生まれた人間は、現 実世界でのさまざまな経験を経て、知識や知恵を獲得すると同時に、垢まみれになる。純粋 であるが、無知で無力な無垢の状態に対して、この経験の力は強力な生きるエネルギーとな る。“The…Tyger”の韻律から、Blakeは自分の中のTygerの存在を認めていることが窺えるが、 あえて疑問符を多用することで、直接視覚的に読者の心に訴えかけている。これらの問いを 投げかけ、私たちを自分自身の中に存在するTygerに向き合わせようと仕向けているのだ。 それは、Blakeにとって、自分の中のTygerの存在をどのように受け止めるかということが、 彼の詩のテーマであり、人生におけるテーマであったのだろう。答えを提示しないのも、そ れはすべての人間にとってもまた、人生におけるテーマであり、その答えは自分自身が見つ けなければならないからである。
5.おわりに
“The…Lamb”と“The…Tyger”の韻律を分析した結果、それぞれの詩が持つ特徴が明確 になった。Blakeは、“The…Lamb”に関しては、行首欠節を伴った弱強4歩格を基にLambの イメージを、“The…Tyger”では、行末欠節を伴った強弱4歩格を基にTygerのイメージを見 事にリズムにのせて表現している。それぞれの韻律を理解することで、詩中の語の役割や意 味を判断することができ、本当の意味でこの二つ詩を精読することができたように思われる。 韻律分析によって、この二つの詩が密接な関係にあり、やはり、お互いに対を成すのにふさ わしい詩であると言えよう。その他の、それ以上の議論については、文学的な問題となって くる。しかし、“The…Lamb”と“The…Tyger”については、語学的な観点からでも十分に その神髄に迫ることができたのではないだろうか。韻律を持つ英詩については、各々の韻律 を分析してこそ、その本質をより理解することが可能であると改めて認識できたように思わ れる。日本語訳 子羊 ウィリアム・ブレイク 小さな子羊さん、だれがきみをつくったの だれがきみをつくったのか知っているの 命を与えくれて、きみにえさを食べるように言ってくれて 小川のそばで、牧草地のいたるところで きみに喜びの衣を与えてくれて 一番柔らかくてふわふわしていて白く輝く衣 きみにそんなに優しい声も与えてくれて 谷中を喜びで満たしてくれる声を 小さな子羊さん、だれがきみをつくったの だれがきみをつくったか知っているの 小さな子羊さん、ぼくが教えてあげる 小さな子羊さん、ぼくが教えてあげるよ そのお方はきみの名前で呼ばれているんだ だってそのお方は自分を子羊って呼んでいるんだ そのお方はおだやかで、やさしいんだよ そのお方は小さな子どもになったんだ ぼくは子どもで君は子羊 ぼくたちはそのお方の名前で呼ばれているよ 小さな子羊さん、神様がきみを祝福してくれますように 小さな子羊さん、神様がきみを祝福してくれますように 虎 虎よ虎よ、赤々と輝き燃えている 夜の森で 如何なる不死の手があるいは眼が その恐ろしい均整をつくり得たのか
如何なる海の深淵であるいは天上で おまえの眼の炎が燃えたのか 如何なる翼で彼はあえて高く舞い上がり 如何なる手であえてその火をつかんだのか そして如何なる肩が、如何なる技が おまえの心臓の腱をねじり得たのか そしておまえの心臓が鼓動し始めたとき 如何なる恐ろしい手が、如何に恐ろしい足を 如何なる金鎚で、如何なる鎖で 如何なる炉の中におまえの脳髄があったのか 如何なる鉄床で、如何なる恐ろしい握力が その破壊的な恐怖をあえて握りしめたのか 星々がやりを投げ下ろし 天を涙でぬらしたとき 彼はおまえを見て微笑んだのか 子羊をつくった彼がおまえをつくったのか 虎よ虎よ赤々と輝き燃える 夜の森で 如何なる不死の手あるいは眼が あえてその恐ろしい均整をつくったのか
参考文献
Blake,…William.… …The Complete Poetry & Prose of William Blake.…Edited…by…David…V.…Erdman.……… Commentary… by… Harold… Broom.… Revised… Edition.… Garden… City,… N.Y.:… Anchor… Press/Doubleday,…1982.
石井白村.『英詩韻律法概説』.東京、篠崎書林,…1964。
埋橋勇三.『英詩漫遊』(未刊)。
参考辞書
The Oxford English Dictionary,…2nd…ed.…Oxford:…Oxford…University…Press,…1989.
A Reading of “The Lamb” and “The Tyger”
by William Blake
KAWASAKI,…Misako
This…paper…is…intended…as…an…investigation…of…“The…Lamb”…and…“The…Tyger”…in…Songs of Innocence and of Experience…by…William…Blake…through…analyzing…their…metres…and…forms… of…versification.…A…large…number…of…literary…studies…have…tried…to…explore…Blakean…ideas… based…on…historical…background,…the…Bible,…and…Greek…myths.…Blake’s…poems…are…considered… difficult…mainly…because…they…were…written…through…his…“imaginative…vision”.…Although…a… great…deal…of…effort…has…been…made…on…understanding…his…concept…of…poetry…from…a…literary… point…of…view,…the…linguistic…studies…have…been…superficial…so…far.…Since…Blake’s…poems…are… written…in…English…and…also…have…their…own…rhythmic…patterns…of…syllables…and…metrical… rhythms,…it…is…possible…and…necessary…to…read…them…precisely…according…to…verse-rhythm. “The…Lamb”…and…“The…Tyger”…are… the… best-known…poems…as… pairings…in… Songs of Innocence and of Experience. Songs of Innocence and of Experience…is…the…finest…collection… of…his…earlier…works,…in…which…many…poems…are…obviously…paired.…This…collection…of…poems… has…the…subtitle…“Shewing… the…Contrary… States… of…the…Human… Soul”;… therefore,… Blake… believed… that… human… beings… have… two… states:…“Innocence”…and…“Experience”.…“The… Lamb”…and…“The…Tyger”…have…the…same…theme…seen…from…different…sides…and…give…a… clear…definition…of…the…two…states…of…“Innocence”…and…“Experience”.…Furthermore,…both… mirror…the…structure…of…Blakean…contraries.…From…the…metrical…rhythms…of…these…poems,… we…can…also…find…their…contraries.…“The…Lamb”…is…mainly…composed…of…iambic…tetrameter… with…initial…truncation…at…the…beginning…of…most…lines.…In…contrast,…“The…Tyger”…is…based… on…trochaic…tetrameter…with…catalexis…at…the…end…of…all…lines.…Blake…framed…each…image… of…“Lamb”…and…“Tyger”…through…their…metrical…rhythms.…Thus,…it…is…likely…that…these… poems…make…up…a…pair,…and…a…study…of…versification…is…also…worthy…of…further…consideration… when…interpreting…Bleakean…ideas.…The…purpose…of…this…paper…is…to…analyze…and…compare… their…verse-rhythms…by…scansion…and…find…out…the…best…method…to…read…“The…Lamb”…and… “The…Tyger”,…while…considering…the…variety…of…linguistic…problems…in…terms…of…phonology,… morphology,…syntax,…and…semantics.