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HTML5 版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発 利用統計を見る

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(1)

)の開発

著者

澤口 隆

著者別名

SAWAGUSHI T

雑誌名

東洋大学紀要, 自然科学篇

58

ページ

33-46

発行年

2014-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006644/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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33 東洋大学紀要 自然科学篇 第 58 号:33─46(2014)

HTML5 版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発

澤口 隆

Development of HTML5-based Orbit Viewer

Takashi SAWAGUCHI

Abstract

 A web-application named HTML5-based OrbitViewer is developed that can graphically demonstrates the orbits of comets and/or asteroids in the solar system. The OrbitViewer program was originally written in Java and structured as a Java applet, but a new program is written using JavaScript with HTML5 in accord with a modern web-technology. With 6 or 7 parameters in the orbital elements of the object (i.e. eccentricity, perihelion distance, inclination etc.), HTML5-based OrbitViewer simulates not only the orbits and positions of the planets but also those of the object (comets and asteroids). Interactive experience using such application on the web must contributes a truly significant understanding of the solar system celestial and be able to achieve a learner-centered active learning in education. Keywords: Orbit Viewer, comet, asteroid, solar system, planet, open education, HTML5, JavaScript, blended learning

1.

 はじめに

 オープンエデュケーションの流れが加速している。2012 年に米国で相次いで 3 つ (Coursera, edX, Udacity) の 大 規 模 無 償 公 開 オ ン ラ イ ン 講 座(MOOC: Massive Open Online Course)を展開するプラットフォームが誕生した(Fig. 1)。英国オープンユニバー シティは、2013 年 9 月に Futurelearn 社を設立して MOOC の提供を開始した。日本で も、2013 年 11 月に一般社団法人・日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC: Japan Massive Open Online Courses online: index.php)が設立され、高等教育界における

 *)東洋大学自然科学研究室 112-8606 東京都文京区白山 5-28-20

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34 澤口 隆

全世界的なオープンエデュケーションの潮流が生まれている。

 こうしたオープンエデュケーションの源流は、2001 年に米国・マサチューセッツ工科 大 学(MIT) が 発 表 し た「 オ ー プ ン コ ー ス ウ エ ア(OCW)」 に 端 を 発 し て い る (NYT/20010401 online: auditing-classes-at-mit-on-the-web-and-free.html; Abelson, 2008)。

OCWは、MIT の講義資料を全て無償で公開する取り組みであるが、いくつかの講義で

は、講義内・外での能動的学習の手法の 1 つとして、ウェブ上での科学実験シミュレー ションなどが取り入れられている(Fig. 2)。

こうしたオープンエデュケーションの源流は、2001 年に米国・マサチューセッツ工科大 学(MIT)が発表した「オープンコースウエア(OCW)」に端を発している(NYT/20010401 online: auditing-classes-at-mit-on-the-web-and-free.html; Abelson, 2008)。OCW は、MIT の講義 資料を全て無償で公開する取り組みであるが、いくつかの講義では、講義内・外での能動 的学習の手法の1つとして、ウェブ上での科学実験シミュレーションなどが取り入れられ ている(Fig. 2)。

Fig. 2 MIT OCW ソーラーパネルシミュレーション (MIT-OCW-PhotovoltaicSolarEnergySystems online: index.htm)

Fig. 1 OER から MOOC までの流れ(UNESCO Policy Brief July 2013 online: 3214722.pdf) Fig. 1 OER から MOOC までの流れ(UNESCO Policy Brief July 2013 online: 3214722.pdf)

Fig. 2  MIT OCW ソーラーパネルシミュレーション(MIT-OCW-PhotovoltaicSolarEnergySystems online:

index.htm)

澤口 隆 2

こうしたオープンエデュケーションの源流は、2001 年に米国・マサチューセッツ工科大

学(MIT)が発表した「オープンコースウエア(OCW)」に端を発している(NYT/20010401

online: auditing-classes-at-mit-on-the-web-and-free.html; Abelson, 2008)。OCW は、MIT の講義 資料を全て無償で公開する取り組みであるが、いくつかの講義では、講義内・外での能動 的学習の手法の1つとして、ウェブ上での科学実験シミュレーションなどが取り入れられ ている(Fig. 2)。

Fig. 2 MIT OCW ソーラーパネルシミュレーション

(MIT-OCW-PhotovoltaicSolarEnergySystems online: index.htm)

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35 HTML5版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発

 米国・コロラド大学ボールダー校の PhET プロジェクトは、物理や化学、生物、地球科 学分野などの、科学的原理や法則を分かりやすく理解するための科学実験シミュレーショ ンプログラムを開発し、無償で公開している(Fig. 3; PhET online: index.php)。当初は、 Flashおよび Java アプレットで開発・公開されていたプログラム群であるが、2012 年か ら HTML5 版のシミュレーション開発が進められている。  本論文では、惑星や彗星の運動を理解し、地球科学分野の自習学習用オンライン教材と して活用できる HTML5 版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発と、その活 用方法を報告する。

2. 彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)とは

 彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)は、公開されている配布ファイル中の概要項目で、 次のように説明されている。    「OrbitViewerは、太陽系をめぐる小天体(彗星・小惑星)の軌道を表示するJAVAア プレットです。天体の軌道要素さえわかれば、その軌道を 3 次元でグラフィカルに表 示できます。また、軌道を任意の方向から見たり、時間を追って天体の動きをアニ メーション表示することも可能です。本プログラムは 1996 年に安喰修(AstroArts Inc.)によって作成され、その後の修正を経た後、2000 年にRon BaalkeNASA/ JPL)によって拡張されたものです。」

(OrbitViewer1.3 online: OrbitViewer-1.3.tar.gz)  GNU General Public License でソースコードが公開されているので、自分でプログラム をコンパイルし、Java アプレットを実行できる環境があれば誰でも利用が可能である。 アストロアーツ社のウェブサイトには、天体名で検索することで、シミュレーションに必 要な彗星の軌道要素をセットでき、OrbitViewer をブラウザ上で起動することができる (Fig. 4; 彗星軌道ビュワー online: cometary-orbit-j.php)。

Fig. 3 PhET

HTML5 小惑星軌道ビュワー 3

米国・コロラド大学ボールダー校の PhET プロジェクトは、物理や化学、生物、地球 科学分野などの、科学的原理や法則を分かりやすく理解するための科学実験シミュレーシ ョンプログラムを開発し、無償で公開している(Fig. 3; PhET online: index.php)。当初は、 Flash および Java アプレットで開発・公開されていたプログラム群であるが、2012 年から HTML5 版のシミュレーション開発が進められている。 本論文では、惑星や彗星の運動を理解し、地球科学分野の自習学習用オンライン教材と して活用できるHTML5 版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発と、その活用 方法を報告する。

2.

彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)とは

彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)は、公開されている配布ファイル中の概要項目で、次 のように説明されている。 「OrbitViewer は、太陽系をめぐる小天体(彗星・小惑星)の軌道を表示する JAVA アプレットです。天体の軌道要素さえわかれば、その軌道を3 次元でグラフィ カルに表示できます。また、軌道を任意の方向から見たり、時間を追って天体 の動きをアニメーション表示することも可能です。本プログラムは1996 年に安

喰修(AstroArts Inc.)によって作成され、その後の修正を経た後、2000 年に Ron

Baalke (NASA/JPL)によって拡張されたものです。」

OrbitViewer1.3 online: OrbitViewer-1.3.tar.gz) GNU General Public License でソースコードが公開されているので、自分でプログラムを

コンパイルし、Java アプレットを実行できる環境があれば誰でも利用が可能である。アス

トロアーツ社のウェブサイトには、天体名で検索することで、シミュレーションに必要な

彗星の軌道要素をセットでき、OrbitViewer をブラウザ上で起動することができる(Fig. 4;

彗星軌道ビュワー online: cometary-orbit-j.php)。

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36 澤口 隆  太陽の周りを運動する惑星や彗星などの太陽系天体は、一般にケプラーの法則に従うケ プラー運動を行っている。しかし、実際の惑星の運動は、木星や土星の引力による影響を 受けた摂動をしており、OrbitViewer でもこの摂動を補正している。  彗星の軌道要素は一般に、近日点通過時刻、離心率、近日点距離、近日点引数、昇交点 黄経、軌道傾斜角の 6 つパラメータで表され、彗星の現在または指定時刻における位置を 知るためには、さらに、これらのパラメータの基準となる分点の時間情報が必要となる (Fig. 5)。OrbitViewer では、これらのパラメータを与えることで彗星の軌道と現在位置を 画面上に表示することができる。彗星はその軌道の回帰性から周期彗星と非周期彗星に大 別されるが、離心率が 1 より小さい場合に軌道は楕円軌道となり(周期彗星)、離心率が 1以上の場合は、放物線または双曲線軌道となる(非周期彗星)。彗星の軌道要素は、

NASAの Minor Planet Center(NASA Minor Planet Center online: about)などが公開して おり、これらのデータを利用して、目的の彗星を表示させることができる。これらの軌道 要素は 1992 年からは 2000 年の基準分点における値で発表されているが、それ以前は 1950年が基準分点となっている。  一方、小惑星の軌道要素は一般に元期、平均近点角、離心率、軌道長半径、近日点引 数、昇交点黄経、軌道傾斜角の 7 つのパラメータで表され、彗星軌道と同様に、現在また は指定時刻における位置を決定するためには、基準となる分点の時間情報が必要である。 小惑星の軌道要素も、NASA Minor Planet Center で取得することが可能である。

3. 開発手法

 OrbitViewer は、Java アプレットを用いたアプリケーションである。最初に開発された 1996年当時は、ブラウザ上でグラフィカルなコンテンツを作成するには、Java アプレッ 太陽の周りを運動する惑星や彗星などの太陽系天体は、一般にケプラーの法則に従うケ プラー運動を行っている。しかし、実際の惑星の運動は、木星や土星の引力による影響を 受けた摂動をしており、OrbitViewer でもこの摂動を補正している。 彗星の軌道要素は一般に、近日点通過時刻、離心率、近日点距離、近日点引数、昇交点 黄経、軌道傾斜角の6 つパラメータで表され、彗星の現在または指定時刻における位置を 知るためには、さらに、これらのパラメータの基準となる分点の時間情報が必要となる(Fig. 5)。OrbitViewer では、これらのパラメータを与えることで彗星の軌道と現在位置を画面上 に表示することができる。彗星はその軌道の回帰性から周期彗星と非周期彗星に大別され るが、離心率が1より小さい場合に軌道は楕円軌道となり(周期彗星)、離心率が1以上の 場合は、放物線または双曲線軌道となる(非周期彗星)。彗星の軌道要素は、NASA の Minor

Planet Center(NASA Minor Planet Center online: about)などが公開しており、これらのデー

タを利用して、目的の彗星を表示させることができる。これらの軌道要素は1992 年からは 2000 年の基準分点における値で発表されているが、それ以前は 1950 年が基準分点となっ ている。 一方、小惑星の軌道要素は一般に元期、平均近点角、離心率、軌道長半径、近日点引数、 昇交点黄経、軌道傾斜角の7 つのパラメータで表され、彗星軌道と同様に、現在または指 定時刻における位置を決定するためには、基準となる分点の時間情報が必要である。小惑 星の軌道要素も、NASA Minor Planet Center で取得することが可能である。

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37 HTML5版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発 トで開発をするのが最も適切であった。しかし、Java アプレットを実行するために必要 なプラグインなどが膨大で、ユーザがブラウザ上のボタンをクリックしてから、実際にア プレットが実行されるまでに長い時間がかかるなど、Java アプレットは決してユーザに とって使いやすい環境ではなかった。その後、ブラウザ上でのグラフィカルコンテンツの 主流となったのは、Flash であった。軽量な Flash Player プラグインを予めブラウザにイ ンストールしておくことで(多くのブラウザにデフォルトでインストールされていた)、 ブラウザ上でアニメーションやインタラクティブなコンテンツを、ファイルサイズを小さ くおさえた上で、軽快に表示させることができるようになった。2005 年に Google 社がリ リースした地図ウェブアプリケーション Google Map は、Ajax (Asynchronous JavaScript

+ XML)技術を使った、ブラウザとサーバ間での非同期通信による新しいユーザエクスペ

リエンスを具体化し、その後 JavaScript がウェブアプリケーション開発の主流となってき た。WWW (World Wide Web) の 基 盤 と な る HTML の 規 格 は、W3C に よ っ て 現 在、

HTML5の 2014 年の正式勧告を目指して策定が進められている。HTML5 では新たに

canvas要素や video 要素などが追加されており、今後の RIA(Rich Internet Application) 開 発 の 主 流 と な る と 考 え ら れ る。 本 研 究 で は、Java で 開 発 さ れ た オ リ ジ ナ ル 版 OrbitViewerを、HTML5+JavaScript に移植をした。 3.1 オリジナルプログラム  オリジナルの OrbitViewer は、Fig. 6 のように 1 つのメインアプレットクラスファイル (OrbitViewer.java)と、12 個のクラスファイルから構成されている。  彗星または小惑星を表示させるために必要な軌道要素データは、Fig.7のように指定する。 澤口 隆 4 太陽の周りを運動する惑星や彗星などの太陽系天体は、一般にケプラーの法則に従うケ プラー運動を行っている。しかし、実際の惑星の運動は、木星や土星の引力による影響を 受けた摂動をしており、OrbitViewer でもこの摂動を補正している。 彗星の軌道要素は一般に、近日点通過時刻、離心率、近日点距離、近日点引数、昇交点 黄経、軌道傾斜角の6 つパラメータで表され、彗星の現在または指定時刻における位置を 知るためには、さらに、これらのパラメータの基準となる分点の時間情報が必要となる(Fig. 5)。OrbitViewer では、これらのパラメータを与えることで彗星の軌道と現在位置を画面上 に表示することができる。彗星はその軌道の回帰性から周期彗星と非周期彗星に大別され るが、離心率が1より小さい場合に軌道は楕円軌道となり(周期彗星)、離心率が1以上の 場合は、放物線または双曲線軌道となる(非周期彗星)。彗星の軌道要素は、NASA の Minor

Planet Center(NASA Minor Planet Center online: about)などが公開しており、これらのデー

タを利用して、目的の彗星を表示させることができる。これらの軌道要素は1992 年からは 2000 年の基準分点における値で発表されているが、それ以前は 1950 年が基準分点となっ ている。 一方、小惑星の軌道要素は一般に元期、平均近点角、離心率、軌道長半径、近日点引数、 昇交点黄経、軌道傾斜角の7 つのパラメータで表され、彗星軌道と同様に、現在または指 定時刻における位置を決定するためには、基準となる分点の時間情報が必要である。小惑 星の軌道要素も、NASA Minor Planet Center で取得することが可能である。

Fig. 4 オリジナル版 OrbitViewer(彗星軌道ビュワー online: cometary-orbit-j.php)

HTML5 小惑星軌道ビュワー 5

3.

開発手法

OrbitViewer は、Java アプレットを用いたアプリケーションである。最初に開発された 1996 年当時は、ブラウザ上でグラフィカルなコンテンツを作成するには、Java アプレット で開発をするのが最も適切であった。しかし、Java アプレットを実行するために必要なプ ラグインなどが膨大で、ユーザがブラウザ上のボタンをクリックしてから、実際にアプレ ットが実行されるまでに長い時間がかかるなど、Java アプレットは決してユーザにとって 使いやすい環境ではなかった。その後、ブラウザ上でのグラフィカルコンテンツの主流と

なったのは、Flash であった。軽量な Flash Player プラグインを予めブラウザにインストー

ルしておくことで(多くのブラウザにデフォルトでインストールされていた)、ブラウザ上

でアニメーションやインタラクティブなコンテンツを、ファイルサイズを小さくおさえた

上で、軽快に表示させることができるようになった。2005 年に Google 社がリリースした

地図ウェブアプリケーションGoogle Map は、Ajax (Asynchronous JavaScript + XML)技術を 使った、ブラウザとサーバ間での非同期通信による新しいユーザエクスペリエンスを具体

化し、その後JavaScript がウェブアプリケーション開発の主流となってきた。WWW (World

Wide Web)の基盤となる HTML の規格は、W3C によって現在、HTML5 の 2014 年の正式勧

告を目指して策定が進められている。HTML5 では新たに canvas 要素や video 要素などが

追加されており、今後のRIA(Rich Internet Application)開発の主流となると考えられる。本 研究では、Java で開発されたオリジナル版 OrbitViewer を、HTML5+JavaScript に移植をし た。

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38 澤口 隆 3.2 HTML5 + CANVAS + JavaScript  JavaScript は、プロトタイプ型のオブジェクト指向言語であり、同じオブジェクト指向 言語である Java とは、その性質が異なるプログラミング言語である(Flanagan, 2012)。 軌道計算のアルゴリズムおよび軌道の 2 次元投影座標の計算はオリジナルプログラムを踏 襲し、Fig. 6 のクラス群を 1 つに統合した OrbitViewer.js クラスファイルを作成した。ブ 澤口 隆 6 3.1 オリジナルプログラム オリジナルの OrbitViewer は、Fig.6 のように 1 つのメインアプレットクラスファイルOrbitViewer.java)と、12 個のクラスファイルから構成されている 彗星または小惑星を表示させるために必要な軌道要素データは、Fig.7 のように指定する。 Fig.7 軌道要素のフォーマット

Fig. 6 オリジナル版 OrbitViewer の構成ファイル Fig. 6 オリジナル版 OrbitViewer の構成ファイル

Fig. 7 軌道要素のフォーマット 3.1 オリジナルプログラム オリジナルの OrbitViewer は、Fig.6 のように 1 つのメインアプレットクラスファイル (OrbitViewer.java)と、12 個のクラスファイルから構成されている 彗星または小惑星を表示させるために必要な軌道要素データは、Fig.7 のように指定する。 Fig.7 軌道要素のフォーマット Fig. 6 オリジナル版 OrbitViewer の構成ファイル

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39 HTML5版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発

ラウザ上の軌道表示には canvas 要素を用い、視点や拡大、表示させる軌道の切り替えな どのインターフェースは、通常の HTML の form 要素に加えて、jQuery および jQueryUI を用いた(jQuery online: index.php; jQuery UI online: index.php)。彗星および小惑星の軌 道要素のデータは、JSON(JavaScript Object Notation)で記述し、それぞれ独立ファイル として保存している(Fig. 8)。

4. 操作方法

 OrbitViewer では、表示させたい天体(彗星・小惑星)の軌道要素が分かれば、どんな 天体でもその軌道と現在および指定された日時での天体位置を表示させることができる。 しかし、本アプリケーションは学習の動機付けや初学者の理解を助けることが目的である ので、これらの情報を 1 つ 1 つ手で入力する必要性はない。そこで、利用目的に応じて代 表的な彗星および小惑星のリストを表に一覧で表示させ、その天体名をクリックすること で、軌道要素データが OrbitViewer に反映させるよう、トップページを作成した(Fig. 9)。 Fig. 8 JSON 形式で保存された彗星の軌道要素 Fig. 9 HTML5 版 OrbitViewer のトップページ HTML5 小惑星軌道ビュワー 7 3.2 HTML5 + CANVAS + JavaScript JavaScript は、プロトタイプ型のオブジェクト指向言語であり、同じオブジェクト指向 言語であるJava とは、その性質が異なるプログラミング言語である(Flanagan, 2012)。軌 道計算のアルゴリズムおよび軌道の2次元投影座標の計算はオリジナルプログラムを踏襲 し、Fig. 6 のクラス群を1つに統合した OrbitViewer.js クラスファイルを作成した。ブラウ ザ上の軌道表示にはcanvas 要素を用い、視点や拡大、表示させる軌道の切り替えなどのイ

ンターフェースは、通常のHTML の form 要素に加えて、jQuery および jQueryUI を用いたjQuery online: index.php; jQuery UI online: index.php)。彗星および小惑星の軌道要素のデー タは、JSON(JavaScript Object Notation)で記述し、それぞれ独立ファイルとして保存してい る(Fig. 8)。

4. 操作方法

OrbitViewer では、表示させたい天体(彗星・小惑星)の軌道要素が分かれば、どんな天 体でもその軌道と現在および指定された日時での天体位置を表示させることができる。し かし、本アプリケーションは学習の動機付けや初学者の理解を助けることが目的であるの で、これらの情報を1つ1つ手で入力する必要性はない。そこで、利用目的に応じて代表 的な彗星および小惑星のリストを表に一覧で表示させ、その天体名をクリックすることで、 軌道要素データがOrbitViewer に反映させるよう、トップページを作成した(Fig. 9)。 Fig. 9 HTML5 版 OrbitViewer のトップページ Fig. 8 JSON 形式で保存された彗星の軌道要素 HTML5 小惑星軌道ビュワー 7 3.2 HTML5 + CANVAS + JavaScript JavaScript は、プロトタイプ型のオブジェクト指向言語であり、同じオブジェクト指向 言語であるJava とは、その性質が異なるプログラミング言語である(Flanagan, 2012)。軌 道計算のアルゴリズムおよび軌道の2次元投影座標の計算はオリジナルプログラムを踏襲 し、Fig. 6 のクラス群を1つに統合した OrbitViewer.js クラスファイルを作成した。ブラウ ザ上の軌道表示にはcanvas 要素を用い、視点や拡大、表示させる軌道の切り替えなどのイ

ンターフェースは、通常のHTML の form 要素に加えて、jQuery および jQueryUI を用いたjQuery online: index.php; jQuery UI online: index.php)。彗星および小惑星の軌道要素のデー タは、JSON(JavaScript Object Notation)で記述し、それぞれ独立ファイルとして保存してい る(Fig. 8)。

4. 操作方法

OrbitViewer では、表示させたい天体(彗星・小惑星)の軌道要素が分かれば、どんな天 体でもその軌道と現在および指定された日時での天体位置を表示させることができる。し かし、本アプリケーションは学習の動機付けや初学者の理解を助けることが目的であるの で、これらの情報を1つ1つ手で入力する必要性はない。そこで、利用目的に応じて代表 的な彗星および小惑星のリストを表に一覧で表示させ、その天体名をクリックすることで、 軌道要素データがOrbitViewer に反映させるよう、トップページを作成した(Fig. 9)。 Fig. 9 HTML5 版 OrbitViewer のトップページ Fig. 8 JSON 形式で保存された彗星の軌道要素

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40 澤口 隆  Fig. 10 が、ハレー彗星(1P/HALLEY)の軌道を表示させた画面である。惑星軌道が白 色で表示され、彗星軌道が青および水色で表示されている。春分・秋分点および黄道北 極・黄道南極方向が、黄色線で表されている。Table. 1 に操作方法の一覧を示す。 Fig. 10 が、ハレー彗星(1P/HALLEY)の軌道を表示させた画面である。惑星軌道が白 色で表示され、彗星軌道が青および水色で表示されている。春分・秋分点および黄道北極・ 黄 道 南 極 方 向 が 、 黄 色 線 で 表 さ れ て い る 。Table. 1 に操作方法の一覧を示す Table. 1 HTML5 版 OrbitViewer の操作方法 Fig. 10 HTML5 版 OrbitViewer の操作画面 Fig. 10 HTML5 版 OrbitViewer の操作画面

Table. 1 HTML5 版 OrbitViewer の操作方法 澤口 隆 8 Fig. 10 が、ハレー彗星(1P/HALLEY)の軌道を表示させた画面である。惑星軌道が白 色で表示され、彗星軌道が青および水色で表示されている。春分・秋分点および黄道北極・ 黄 道 南 極 方 向 が 、 黄 色 線 で 表 さ れ て い る 。Table. 1 に操作方法の一覧を示す Table. 1 HTML5 版 OrbitViewer の操作方法 Fig. 10 HTML5 版 OrbitViewer の操作画面

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41 HTML5版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発

5. 活用例

 本アプリケーションは、大学の地球科学関連講義での利用を目的としているが、高校地 学や小・中学校の理科の授業でも活用できると思われる。HTML5 版 OrbitViewer の活用 例を以下に列挙する。 5.1 接近が予測される彗星  アイソン彗星(C/2012 S1(ISON))は、2012 年 9 月 21 日にロシアのアマチュア天文 家 Vitali Nevski と Artyom Novichonok によって発見された、サングレーザー型彗星であ る(Trigo-Rodríguez et al. online: 1576.pdf)。2013 年 11 月 29 日に太陽に最接近し、この 時の太陽の中心からの距離は、0.01247 天文単位(約 190 万 km)と予想されている(Figs. 11, 12)。

 離心率 e が 1.0000049 と 1 よりわずかだが大きく、放物線軌道を通る非周期彗星であ り、オールトの雲に起源があると考えられる(AstronomyNow-20120925 online: index. html)。

Fig. 12 2013 年 11 月 29 日に近日点を通過したアイソン彗星 Fig. 11 アイソン彗星の軌道要素 (MPEC 2013-L39 online: K13L39.html)

HTML5 小惑星軌道ビュワー 9 5. 活用例 本アプリケーションは、大学の地球科学関連講義での利用を目的としているが、高校地 学や小・中学校の理科の授業でも活用できると思われる。HTML5 版 OrbitViewer の活用例 を以下に列挙する。 5.1 接近が予測される彗星 アイソン彗星(C/2012 S1(ISON))は、2012 年 9 月 21 日にロシアのアマチュア天文家 Vitali Nevski と Artyom Novichonok によって発見された、サングレーザー型彗星である (Trigo-Rodríguez et al. online: 1576.pdf)。2013 年 11 月 29 日に太陽に最接近し、この時の太 陽の中心からの距離は、0.01247 天文単位(約 190 万 km)と予想されている(Figs. 11, 12)。

離心率e が 1.0000049 と1よりわずかだが大きく、放物線軌道を通る非周期彗星であり、 オールトの雲に起源があると考えられる(AstronomyNow-20120925 online: index.html)。

Fig. 11 アイソン彗星の軌道要素 (MPEC 2013-L39 online: K13L39.html)

HTML5 小惑星軌道ビュワー 9

5. 活用例

本アプリケーションは、大学の地球科学関連講義での利用を目的としているが、高校地 学や小・中学校の理科の授業でも活用できると思われる。HTML5 版 OrbitViewer の活用例 を以下に列挙する。 5.1 接近が予測される彗星 アイソン彗星(C/2012 S1(ISON))は、2012 年 9 月 21 日にロシアのアマチュア天文家 Vitali Nevski と Artyom Novichonok によって発見された、サングレーザー型彗星である (Trigo-Rodríguez et al. online: 1576.pdf)。2013 年 11 月 29 日に太陽に最接近し、この時の太 陽の中心からの距離は、0.01247 天文単位(約 190 万 km)と予想されている(Figs. 11, 12)。

離心率e が 1.0000049 と1よりわずかだが大きく、放物線軌道を通る非周期彗星であり、

オールトの雲に起源があると考えられる(AstronomyNow-20120925 online: index.html)。

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5.2 太陽系外縁天体と彗星(短周期彗星と長周期彗星)  太陽系を構成し、太陽の周りを運動する天体には、惑星、準惑星、太陽系小天体、太陽 系外縁天体などがある。太陽系小天体である彗星の起源としては、「エッジワース・カイ パーベルト」と「オールトの雲」が考えられている(Fig. 13; 渡部潤一 , 2012)。  彗星の軌道は、離心率が 1 より小さい周期性彗星のうち、その公転周期が 200 年以内の ものは、「短周期彗星」と呼ばれ、公転軌道は黄道面に近く、惑星と同一方向に回転して いる。これら短周期彗星は、エッジワース・カイパーベルトに起源を持つと考えられてい る。短周期彗星の代表的な例として、公転周期 75.3 年のハレー彗星(1P/HALLEY)の軌 道を表示する(Fig. 14)。  また、公転周期が 200 年以上の長周期彗星の軌道は、黄道とは無関係で、あらゆる方向 から飛来する。長周期彗星の起源は「オールトの雲」にあると考えられている。1997 年 4 月 1 日に近日点通過をしたヘール・ボップ彗星は、公転周期 2534 年・軌道傾斜角 89.43 度の長周期彗星である(Fig. 15)。 澤口 隆 10 5.2 太陽系外縁天体と彗星(短周期彗星と長周期彗星) 太陽系を構成し、太陽の周りを運動する天体には、惑星、準惑星、太陽系小天体、太陽 系外縁天体などがある。太陽系小天体である彗星の起源としては、「エッジワース・カイパ ーベルト」と「オールトの雲」が考えられている(Fig. 13; 渡部潤一, 2012)。 彗星の軌道は、離心率が1より小さい周期性彗星のうち、その公転周期が200 年以内の ものは、「短周期彗星」と呼ばれ、公転軌道は黄道面に近く、惑星と同一方向に回転してい る。これら短周期彗星は、エッジワース・カイパーベルトに起源を持つと考えられている。 短周期彗星の代表的な例として、公転周期75.3 年のハレー彗星(1P/HALLEY)の軌道を 表示する(Fig. 14)。 また、公転周期が200 年以上の長周期彗星の軌道は、黄道とは無関係で、あらゆる方向 から飛来する。長周期彗星の起源は「オールトの雲」にあると考えられている。1997 年4 月1日に近日点通過をしたヘール・ボップ彗星は、公転周期2534 年・軌道傾斜角 89.43 度 の長周期彗星である(Fig. 15)。 Fig. 14 ハレー彗星 Fig. 13 エッジワース・カイバーベルトとオールトの雲(国立天文台|彗星 online: index.html) 澤口 隆 10 5.2 太陽系外縁天体と彗星(短周期彗星と長周期彗星) 太陽系を構成し、太陽の周りを運動する天体には、惑星、準惑星、太陽系小天体、太陽 系外縁天体などがある。太陽系小天体である彗星の起源としては、「エッジワース・カイパ ーベルト」と「オールトの雲」が考えられている(Fig. 13; 渡部潤一, 2012)。 彗星の軌道は、離心率が1より小さい周期性彗星のうち、その公転周期が200 年以内の ものは、「短周期彗星」と呼ばれ、公転軌道は黄道面に近く、惑星と同一方向に回転してい る。これら短周期彗星は、エッジワース・カイパーベルトに起源を持つと考えられている。 短周期彗星の代表的な例として、公転周期 75.3 年のハレー彗星(1P/HALLEY)の軌道を 表示する(Fig. 14)。 また、公転周期が200 年以上の長周期彗星の軌道は、黄道とは無関係で、あらゆる方向 から飛来する。長周期彗星の起源は「オールトの雲」にあると考えられている。1997 年4 月1日に近日点通過をしたヘール・ボップ彗星は、公転周期2534 年・軌道傾斜角 89.43 度 の長周期彗星である(Fig. 15)。 Fig. 14 ハレー彗星 Fig. 13 エッジワース・カイバーベルトとオールトの雲(国立天文台|彗星 online: index.html)

Fig. 13 エッジワース・カイバーベルトとオールトの雲(国立天文台|彗星 online: index.html)

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43 HTML5版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発 Fig. 15 ヘール・ボップ彗星 HTML5 小惑星軌道ビュワー 11 5.3 流星群の母天体となった彗星 彗星が通過したあとの軌道上には、彗星が放出した塵が残され、地球の公転軌道がこの 近くを通過する時に観察できる天体現象が流星群である。近年では、ダスト・トレイル理

論に基づいて、より正確な流星群の出現が予測されるようになった(McNaught and Asher,

1999)。流星群の元となった彗星を「母天体(母彗星)」と呼び、毎年 11 月 17 日前後に観 察されるしし座流星群の母天体は、テンペル・タットル彗星(55P/Tempel-Tuttle)であるこ とが分かっている(Fig. 16)。テンペル・タットル彗星の公転周期は約 33 年で、近日点を 通過した前後数年は出現数が増大することが多く、前回近日点を通過した 1998 年の翌年 1999 年には、ヨーロッパ地方で獅子座流星群の大出現が観察された。 Fig. 16 しし座流星群の母天体であるテンペル−タットル彗星の軌道 Fig. 15 ヘール・ボップ彗星 5.3 流星群の母天体となった彗星  彗星が通過したあとの軌道上には、彗星が放出した塵が残され、地球の公転軌道がこの 近くを通過する時に観察できる天体現象が流星群である。近年では、ダスト・トレイル理 論に基づいて、より正確な流星群の出現が予測されるようになった(McNaught and Asher, 1999)。流星群の元となった彗星を「母天体(母彗星)」と呼び、毎年 11 月 17 日前 後に観察されるしし座流星群の母天体は、テンペル・タットル彗星(55P/Tempel-Tuttle)であることが分かっている(Fig. 16)。テンペル・タットル彗星の公転周期は約 33年で、近日点を通過した前後数年は出現数が増大することが多く、前回近日点を通過 した 1998 年の翌年 1999 年には、ヨーロッパ地方で獅子座流星群の大出現が観察された。 5.4 金星の太陽面通過  太陽系の惑星のうち、地球の公転軌道より内側を回っている水星および金星は、その公 転軌道上で太陽と地球の間に挟まれてほぼ一直線に並ぶことがある。このとき見かけ上、 地球から見た太陽の表面上を、惑星が通過していく様子が観察でき、これを惑星の太陽面 (日面)通過と呼ぶ(Fig. 17)。  古典的記録によると、ドイツの天文学者・ヨハネス・ケプラーは、自身が作成したルド フル表(天文表)に基づいて、金星の太陽面通過が 1631 年 12 月 7 日に起きることを予測 しており、彼の死(1630 年)の翌年に実際に観察された(アーサー・ケストラー , 1977; 国立天文台|金星の太陽面通過 online: index.html)。近年では、2012 年 6 月 6 日に観察さ れた(Fig. 18)。  OrbitViewer に表示される惑星軌道は、プルダウンメニューから切り替えることが可能 で、Fig. 19 では、金星と地球の公転軌道のみを表示させている。金星と地球の黄道から の軌道傾斜角 i は、それぞれ 3.395、0.002 であるので(国立天文台『理科年表』, 2012)、 約 3.4 度傾いていることが分かる。

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44 澤口 隆

Fig. 16 しし座流星群の母天体であるテンペル・タットル彗星の軌道

Fig. 17 2004 年に観察された金星の太陽面通過(国立天文台|金星の太陽面通過 online: index.html)

5.3 流星群の母天体となった彗星

彗星が通過したあとの軌道上には、彗星が放出した塵が残され、地球の公転軌道がこの 近くを通過する時に観察できる天体現象が流星群である。近年では、ダスト・トレイル理

論に基づいて、より正確な流星群の出現が予測されるようになった(McNaught and Asher,

1999)。流星群の元となった彗星を「母天体(母彗星)」と呼び、毎年 11 月 17 日前後に観 察されるしし座流星群の母天体は、テンペル・タットル彗星(55P/Tempel-Tuttle)であるこ とが分かっている(Fig. 16)。テンペル・タットル彗星の公転周期は約 33 年で、近日点を 通過した前後数年は出現数が増大することが多く、前回近日点を通過した 1998 年の翌年 1999 年には、ヨーロッパ地方で獅子座流星群の大出現が観察された。 Fig. 16 しし座流星群の母天体であるテンペル−タットル彗星の軌道 Fig. 15 ヘール・ボップ彗星 澤口 隆 12 5.4 金星の太陽面通過 太陽系の惑星のうち、地球の公転軌道より内側を回っている水星および金星は、その公 転軌道上で太陽と地球の間に挟まれてほぼ一直線に並ぶことがある。このとき見かけ上、 地球から見た太陽の表面上を、惑星が通過していく様子が観察でき、これを惑星の太陽面 (日面)通過と呼ぶ(Fig. 17)。 古典的記録によると、ドイツの天文学者・ヨハネス・ケプラーは、自身が作成したルド フル表(天文表)に基づいて、金星の太陽面通過が1631 年 12 月 7 日に起きることを予測 しており、彼の死(1630 年)の翌年に実際に観察された(アーサー・ケストラー, 1977; 国 立天文台|金星の太陽面通過 online: index.html)。近年では、2012 年6月6日に観察されたFig. 18)。

Fig. 18 2012 年 6 月 6 日金星の太陽面通過(NASA-2012TransitOfVenus online:

transit12.html) Fig. 17 2004 年に観察された金星の太陽面通過(国立天文台|金星の太陽面通過

6. まとめ

 オープンエデュケーションの流れは、今後更に加速し、世界規模での教育革命が進んで いくであろう。MOOC がこれまでの e ラーニングと最も違う点は、米国の一流大学の教 授陣の講義が無償で公開され、この講義に参加した学生・生徒が課題や演習などに取り組 んだ学習内容が評価され、これを組織として認定する仕組みにある。また、MOOC を対 面授業と組み合わせたブレンディッド・ラーニングまたは反転授業(Flipped Classroom) の試みも増加してきており、学修者中心型の学修デザイン(Learner-centered design)が 本格的に実現してきている。MOOC の収益モデルが確立されていない現時点では、

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45 HTML5版小惑星・彗星軌道ビュワー(OrbitViewer)の開発

Fig. 18 2012 年 6 月 6 日金星の太陽面通過(NASA-2012TransitOfVenus online: transit12.html)

Fig. 19 金星の太陽面通過(2012 年 6 月 6 日) 澤口 隆 12 5.4 金星の太陽面通過 太陽系の惑星のうち、地球の公転軌道より内側を回っている水星および金星は、その公 転軌道上で太陽と地球の間に挟まれてほぼ一直線に並ぶことがある。このとき見かけ上、 地球から見た太陽の表面上を、惑星が通過していく様子が観察でき、これを惑星の太陽面 (日面)通過と呼ぶ(Fig. 17)。 古典的記録によると、ドイツの天文学者・ヨハネス・ケプラーは、自身が作成したルド フル表(天文表)に基づいて、金星の太陽面通過が1631 年 12 月 7 日に起きることを予測 しており、彼の死(1630 年)の翌年に実際に観察された(アーサー・ケストラー, 1977; 国 立天文台|金星の太陽面通過 online: index.html)。近年では、2012 年6月6日に観察された (Fig. 18)。

Fig. 18 2012 年 6 月 6 日金星の太陽面通過(NASA-2012TransitOfVenus online:

transit12.html) Fig. 17 2004 年に観察された金星の太陽面通過(国立天文台|金星の太陽面通過 HTML5 小惑星軌道ビュワー 13 OrbitViewer に表示される惑星軌道は、プルダウンメニューから切り替えることが可能 で、Fig.19 では、金星と地球の公転軌道のみを表示させている。金星と地球の黄道からの 軌道傾斜角i は、それぞれ 3.395、0.002 であるので(国立天文台『理科年表』, 2012)、約 3.4 度傾いていることが分かる。

6.

まとめ

オープンエデュケーションの流れは、今後更に加速し、世界規模での教育革命が進んで いくであろう。MOOC がこれまでの e ラーニングと最も違う点は、米国の一流大学の教授 陣の講義が無償で公開され、この講義に参加した学生・生徒が課題や演習などに取り組ん だ学習内容が評価され、これを組織として認定する仕組みにある。また、MOOC を対面授 業と組み合わせたブレンディッド・ラーニングまたは反転授業(Flipped Classroom)の試 みも増加してきており、学修者中心型の学修デザイン(Learner-centered design)が本格的 に実現してきている。MOOC の収益モデルが確立されていない現時点では、MOOC が今 後も継続的に拡大していくかどうかは不透明であるが、すでにMOOC で優秀な成績をお さめたモンゴル人の高校生にMIT への入学許可がでるなど(金成, 2013)、MOOC の将来 性を明示する事例もでてきた。 今後ますますオンラインでの教育が普及していくなかで、これまでの対面講義をただビ デオ教材としてオンラインで配信するだけでなく、今回開発したHTML5 版 OrbitViewerPhETのオンライン科学シミュレーションアプリケーションなどをMOOCの仕組みに組 み込み、学修者中心型の効果的なブレンディッド・ラーニングを実現していきたい。 本アプリケーションは、次のURL で公開されている(http://www.igeoscience.com/ orbitviewer/)。 Fig.19 金星の太陽面通過(2012 年 6 月 6 日) MOOCが今後も継続的に拡大していくかどうかは不透明であるが、すでに MOOC で優 秀な成績をおさめたモンゴル人の高校生に MIT への入学許可がでるなど(金成 , 2013)、 MOOCの将来性を明示する事例もでてきた。  今後ますますオンラインでの教育が普及していくなかで、これまでの対面講義をただビ デオ教材としてオンラインで配信するだけでなく、今回開発した HTML5 版 OrbitViewer や PhET のオンライン科学シミュレーションアプリケーションなどを MOOC の仕組みに 組み込み、学修者中心型の効果的なブレンディッド・ラーニングを実現していきたい。  本アプリケーションは、次の URL で公開されている(http://www.igeoscience.com/ orbitviewer/)。

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引用文献

Abelson, H. (2008) The Creation of Open Course Ware at MIT, Jour. of Science Education and Technology, Vol.17, No.2 : 164-174.

Flanagan, D. (2012) JavaScript 第 6 版 , オライリージャパン : 1-840.

McNaught, R. H. and Asher, D. J. (1999) Leonid Dust Trails and Meteor Storms. Journal of the International Meteor Organization, vol. 27, no. 2 : 85-102.

アーサー・ケストラー (1977) 『ヨハネス・ケプラー : 近代宇宙観の夜明け』河出書房新社 : 1-358. 金成隆一 (2013) 無料オンライン授業の衝撃と学びの革命 . 大学教育と情報 . 2013 no.1: 2-19. 国立天文台 (2012) 理科年表 平成 25 年 机上版 . 丸善 : 1-1064. オンライン文献(全て、2013 年 11 月 25 日アクセス) AstronomyNow-20120925, http://www.astronomynow.com/news/n1209/25comet/index. html jMOOC, http://www.jmooc.jp/index.php jQuery, http://jquery.com/index.php jQuery UI, http://jqueryui.com/index.php

MPEC 2013-L39, http://www.minorplanetcenter.net/iau/mpec/K13/K13L39.html

MIT-OCW-PhotovoltaicSolarEnergySystems, http://ocw.mit.edu/courses/special-programs/sp-769-photovoltaic-solar-energy-systems-fall-2004/index.htm

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pdf

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国立天文台|彗星 , http://www.nao.ac.jp/astro/sky/comet/index.html 彗星軌道ビュワー , http://www.astroarts.co.jp/simulation/cometary-orbit-j.php

Fig. 2 MIT OCW  ソーラーパネルシミュレーション
Fig. 3 PhET
Fig. 4  Fig. 4 オリジナル版 オリジナル版 OrbitViewer OrbitViewer(彗星軌道ビュワー online: cometary-orbit-j.php) (彗星軌道ビュワー   online: cometary-orbit-j.php )
Fig. 4  オリジナル版 OrbitViewer (彗星軌道ビュワー   online: cometary-orbit-j.php )
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