• 検索結果がありません。

資料 NGOにおける看護職の国際協力活動--政府開発援助との比較から

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "資料 NGOにおける看護職の国際協力活動--政府開発援助との比較から"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

三重県立看護大学紀要, 1,105-109, 1997

NGO

における看護職の国際協力活動

政府開発援助との比較から一

I

n

t

e

r

n

a

t

i

o

n

a

l

C

o

o

p

e

r

a

t

i

o

n

o

f

J

a

p

a

n

e

s

e

N

u

r

s

e

s

t

h

r

o

u

g

h

NGO

- I

n

Comparison w

i

t

h

ODA-柳 津 理 子

*1

東海林朱実

*2

淑江

*3

戸 塚 規 子 叫

根 本 恵 子

*5

{要旨] The purpose of this study was to analyze the international cooperative activities of Japa-nese nurses working with Non-Governmental Organization(NGO). 137 NGOs were identified as organi -zations sending medical personnel abroad. We conducted a survey of these NGOs using questionnaires and got 87 questionnaires returned. 82.8% of 87NGOs had actually sent personnel for international co -operation Over 90% had worked in Asia. 41 NGOs had nurses as their overseas personnel . More than half of these NGOs worked with a short

ermproject. A total of 924nurses had engaged in international cooperative activities through NGO. 45.9% of them had worked in Asia. Concerning specialty(nurse,

public health nurse, midwife), most of them were titled as“nurse" . But situation suggests that the dif -ference of specialty was not well recognized by NGO's administration. Compared with Offcial Develop -ment Aid(ODA), NGO's nurses were characterized by their concentration on Asia region, while a small

number of nurses working in Latin America.

E

キイワード] International nursing, International cooperation, Japanese nurses, NGO, ODA

I 緒 E司 今日政府間協力とともに,民間レベルでも国際協力 が盛んになってきている看護の分野でも同様で, 1 961年,戦後初めて二人の看護婦がネパールへ赴任し て以来 1)多くの看護職が国際協力に携わってきた 特に近年は途上国に対する国際協力に関心を持つ看護 職が増加し,また国際協力に必要な技術を身につける ために,看護職を目指す学生も出始めている. このように看護の国際協力は30年以上の歴史を持ち, 広い関心を集めていながら多くは個人的な経験に留 まっている.今までに個々の活動報告やプロジェクト の検討は行われているが,国際協力に携わった看護職 がy どのような地域でどのような活動に従事している かといった全体像は明らかになっていなかった. 昨年よりこの全体像を掴むための研究が,著者らに よって始まった記録が比較的良く残されているとい う点から,政府開発援助 (ODA) の技術協力を中心 とした業務の実施機関である,日本国際協力事業団(J ICA)の事業について研究を進めてきた. JICA事業の 中から,これまでに青年海外協力隊(JOCV)2),専門 家派遣3)国際緊急援助隊(JMTDR)4) について報告 した. 看護職が国際協力に携わるもう一つの窓口に,民間 非営利組掛.Jon-GovernmentalOrganization(NGO) がある. 1996年に日本国内で645のNGOが国際的な開 発協力に関わっており5)その中には看護職を途上国 に派遣している団体も多いと思われる.しかしNGO

*1 Satoko YANAGISAWA司三重県立看護大学, *2 Akemi SYOJI 社会保険横浜看護専門学校学校開設準備室,

* 3 Y oshie MORI :筑波大学,叫 NorikoTOTSUKA :日本看護協会.* 5 Keiko NEMOTO :聖マリア学院短期大学

(2)

105-では各団体が独自の活動をおこなっているため,看護 職の活動の全体像は明らかになっていない. 本研究の目的は, NGOにおける看護職の国際協力 活動の全体像を知るため,看護職を派遣している団体 および派遣された看護職の人数,職種,派遣形態,派 遣期間および活動地域を明らかにすることである.併 せて今まで研究されたODAの各分野における看護職 の派遣実績と比較しながら, NGOにおける看護職の 国際協力について検討する. E 用語の定義 鑑7)に掲載されている団体を言う.企業が設置した 団体であっても,その活動自体に営利性が認められな い場合は,これをNGOの中に含めるものとする. また緊急援助とは,難民や紛争の発生あるいは自然 災害による被災者に対して,事由発生直後から行われ る援助を指す短期協力とは緊急援助を除く半年未満 の協力活動,長期協力とは半年以上同じ地域にとどまっ て行う協力活動を指すものとする. E 研究方法 1 調査対象 NGOダイレクトリーおよびNGO

本研究においてNGOとは,非営利の民間団体であっ 団体名鑑に掲載されているNGOで,保健医療分野に てN G Oダイレクトリー6)もしくはNGO.団体名 おいて活動している211団体の内,人材派遣事業を実 図 1 人材派遣の有無 図3 現在の活動地域別団体数 47% 荏 且 - T - - a 一 謹 看 し 一 看 非 な 一 圏 園 口 図 2 団体設立年 団 体 数 一 議 ↑ 一Z 看 一 一 I F じ 一 -4 4 フ 一 一 口 一一護一 一 看 一 一 圏 一 70 60 50 団 40 体 数 30 20 10 ベ ¥ 小 米 今 パ ベ ユj

A

/

?

と止令 今 J4/ J民一 司令 や と 主 化<sl 活動地域 │口非看護圏看護│ 図 4 派遣の形態 長期派遣 遺 派 期 短 派 遣 の 種 類 緊急援助 10 15 20 25 30 団体数

(3)

対象とした 団体の56.9%が看護職を派遣している. 2 調査方法: 日本赤十字社以外の 136団体に対 団体の設立年を 1946年から 10年ごとにみてみると しては,郵送による質問紙調査を実施した.日本赤十 1976--1985年から NGOの数が急増している.全体の 字社に関しては,同社国際部の事業別派遣者リストに 85.1 %が1976年以降の設立である.また看護職を派 より調査した 遣する団体も同じ時期から増加している(図

2)

.

人材派遣の有無に関わらず現在または過去に何らか の活動を行った地域を複数回答で尋ねたところ,人材 派遣をしている団体の91.7%がアジアにおいて活動し ており,次いでアフリカ 38.9%,中南米20.8%であっ た(図3).アジアが多い傾向は,看護職派遣団体に 限ってみても変わらなかった(アジア 80.5%,アフリ 施していると思われる 137団体を調査対象とした.看 護職については,戦後または団体設立時から 1997年 2 月までに,国際協力の目的で海外に派遣されたものを 町 結 果 86団体から回答があり3 回収率は 63.2%であった. これに日本赤十字社を加えた 87の保健医療NGOの回 答について,以下にその結果を示す. 図 5 緊急援助の最短及び最長派遣期間 国際協力に関わる人材派遣を実際に行っていたのは 72団体(82.8%)で,看護職を派遣していた団体は41団 体(47.1%)であった(図 1).人材派遣を行っている 団体 A モーう B 〈 1p C D :

.

E 1

F i

t / : . . . τ 1 G く 〉 派遣期間O 2 4 6 8 10 12 (月) 矢印の左側は最短派遣期間,右側は最長派遣期間を示す. 図6 短期派遣期間 a n 守 団体数 1週以内 1-2週 2週一1ヶ月 1-3ヶ月 3-6ヶ月日ヶ月以上 不 明 派遣期間 図7 長期派遣期間 3 団 体 数 半年一1年 1年 3年 3-5年 5年以上 派遣期間 不明 -107

(4)

図8 職手重 表1 地域別看護職派遣人数 アジア 771)力オセアニア中南米 東欧 中東 その他

E

十 看護婦 看護婦 367 123 246 90 14 9 850 塁 保 健 婦 保健婦 31 2 5

。。。。

38 助産婦 26 8

。。。

2

36 助産婦 計 424 133 251 90 14 11 924 o 100 200 300 400 500 600 700 800 人数 では,他の職種に比べてアフリカへ派遣されている者 カ29.3%,中南米17.1%).また少数ではあるが,ボス の割合が高い (22.2%). ニア@ヘルツェゴビナ,チェルノブイリ原発の事故被 災国,ルワンダおよびその周辺国への援助など,時事 V 考 察 を賑わせた地域での活動もあった 看護職を派遣している41団体の派遣形態では,緊急 援助を行っているのは7団体のみであった. 28団体が 短期派遣を行い, 19団体が半年以上の長期派遣を行っ ていた(図4).緊急援助,短期派遣および長期派遣 のすべての派遣形態を有していた団体は, 3団体であっ た. 緊急援助を行っている団体の最短派遣期間は1,..._,2 週間であり,ほとんどの団体が 3ヶ月以内の派遣であっ た最長派遣期間をみると 6ヶ月以上という団体が半 数以上を占めた(図5). 短期協力を行っている団体では 1ヶ月以内の派遣が 70%以上を占めた(図 6). 長期派遣における派遣期間は,団体によって様々で あった(図7).派遣期間が 5年以上の団体は 19団体 中6団体であった今回の調査で,同一看護職が同一 国で活動した最長派遣期間は15年であった. 戦後または団体設立から1997年2月の調査時までに 派遣された看護職の総数は924名 で あ っ た 職 種 別 内 訳は看護婦850名,保健婦38名,助産婦36名であり,看 護婦が大多数であった(図8).しかし団体によっては 職種の別を考慮していないと明記するものもあった 地域別の看護職派遣人数を表 1に示した全体の4 5.9%にあたる 424名がアジアで活動している 次いで 多いのはオセアニアである.団体数でみると,オセア ニアに看護職を派遣している団体は2団体のみであっ た.この 2団体はオセアニアのみに集中して看護職を 派遣しており,両者で251名を派遣していた.助産婦 NGOダイレクトリーもしくはNGO.団体名鑑に掲 載されている保健医療分野のNG0211団体のうち,活 動内容の記載から137団体が人材派遣をしていると推 測された.しかし回答のあった団体の中で,実際に人 材派遣を行っている団体は82.8%であった この比率 を回答のなかった団体にも当てはめた場合, 110団体 前後が人材派遣をしていることになり,これは保健医 療分野に携わる NGO全体の約52%にあたる.実際に は回答のなかった団体には人材派遣が少ないと予想さ れるので,保健医療分野で活動する NGOで人材派遣 をしているのは40~50% ではないかと推測される こ のうち看護職を派遣している団体は,今回の調査結果 から推測すると,約半数であると考えられる. 保健医療分野の N G Oは 他 分 野 の N G Oと同様に 1976----1985年の 10年間に急増している.この年代は第 三世界に対する情報量の増大やアジア地域などへの海 外渡航者の急増により とりわけアジアの人々と一般 の日本人との関わりが活発になった時期である.また 1979年にカンボジア難民が 1984'"'-'1985年にはアフリ カ大干ばつがマスコミで大きく取り上げられ,これら のできごとが,多くの N G O設立のきっかけとなっ た8) 看護職を派遣する団体も,やはりこの時期より 急増しているー 派遣形態では,半数以上が短期派遣であった.国際 交流や日本人看護職の研修が目的の派遣も含まれてい る可能性があるが,資金の問題や長期派遣に応じられ る人材確保の困難さも短期派遣が多い一因と考えら

(5)

表2 JOCVとNGOの職種別派人数 表 3 ODAとNGOの地域別派遣割合 JOCV叫 NGO (1975-1996募集) (1961-1997.2) アジア アフリカ 中南米 オセアニア 中近東 その他 看 護 婦 552 8 5 0 JOCV (人数%)ω 32.2 28.6 24.8 11.6 2.3 0.5 (1975-1996雰集) 189 3 8 看 護 婦 JICA専門家(人数%)13) 53.3 8.3 19.2 2.5 16.7 (1966-1996.3) 助 産 婦 171 3 6 JMTDR(回数%)凶 26.1 21.7 13.1 8.7 30.4 看護教師 1 8 (1982-1995) NGO (人数%) 45.9 14.4 9.7 27.2 1.2 1.6 言十 930 9 2 4 (1961-1997.2) れる.国際協力に携わる看護職の人材確保の困難さに ついては, JOCVの派遣要請に対する充足率の研究9) で,看護婦に比べ保健婦@助産婦の充足率が低いこと が報告されている.また同じJOCVに関する調査で, 看護職全体の充足率が比較的高くなった昭和62,.._,平成 8年度についての研究10)では,特に保健婦の充足率の 低さが指摘されており,需要の急増,帰国後の再就職 の困難さが一因と示唆されているー 緊急援助を行っている団体が少ないのも,人材確保 の困難さが一因だと考えられる.加えて、派遣日数に比 べて大きな資金を必要とする援助形態であること,団 体として緊急援助の方法に精通しているN G Oが少な いことも影響していると思われる、緊急援助の最長派 遣期間は数年という回答もあり,緊急援助だけではな くP その後の地域の復興や難民の再定住というリハビ リテーション過程にも引き続き関わっていることが伺 われた 長期派遣を行っている団体ではP 少数ではあるが, 10年以上に渡って同一国で活動したという看護職もあっ た.ODAではプロジェクトが長期に渡って継続しで も,同ーの看護職が同一国で長年に渡って活動すると いう例は少なく,長期滞在型の協力形態は,草の根で 活動することが多いN G Oの特徴といえる N G Oの職種別の派遣人数を, O D Aである青年海 外協力隊 (JOCV) と比較したものが表 2である J OCVでは看護婦の割合は全体の約60%で あ る の に 対 し , N G Oでは看護婦の派遣が90%を越えている.保 健婦に関しては,前述したように人材確保の困難さが 原因だとも考えられるが,むしろN G Oの事務局担当 者に看護職の職種による違いが十分認識されていない ことが,このような結果に表れたのであろう. N G O看 護 職 の 活 動 地 域 で は ア ジ ア が50%近 く を 占める.地域別の派遣割合をO D AとN G Oで比較し たものが表3である. JOCVや JMTDRに比較し て, N G Oではアジアへの派遣が多く,アフリカ,中 南米への派遣は少ない.特に中南米への派遣割合では, ODAとの差が大きい N G Oのアジアとの結び、っき の強さは,保健医療団体に限らず一般的に認められる. 日本のNGOの50%は ア ジ ア で 活 動 し て い る と い わ れ15) 看護職の活動地域もNGO全体の動向とほぼ一致 しているといえる. VI ま と め 保健医療N G Oへの質問紙調査から, N G Oにおけ る看護職の国際協力の実態を O D Aとの比較におい て ま と め た N G Oからは少なくとも924名 の 看 護 職 が海外派遣されており その多くは短期派遣である アジアを中心に活動しており アフリカや中南米への 派遣者は, ODAに比べ少ないことがわかった. 今回は団体に対する調査であったため,個々の看護 職の活動について調査することはできなかった 今 後 は国際協力に携わる看護職の活動分野,必要とされる 知識・技術についても研究される必要がある. (文献〕 1 )隅谷三喜男 アジアの呼び声に応えて,新教出版 社 1990. 2 )森淑江,他 開発途上国から医療協力のために求

(6)

-109-められてきた看護職に関する研究青年海外協力 隊派遣要請の対応に関する分析 ,開発途上国か ら医療協力のために求められてきた看護職に関す る研究(第19回国際協力学術奨励研究報告書), pp.22-28,国際看護研究会, 1997. 3 ) 森淑江,他・看護職の国際医療協力活動の分析 過去30年間に GOより派遣された看護職の活動領 域一,国際保健医療, 11 (supp.), pp.54, 1996. 4)安藤邑恵,他:国際救急医療チームと看護職の役 割,国際保健医療, 12 (supp.), pp.175, 1997 5 )国際協力推進協会:1996年日本の NGOによる開 発援助の実績調査, 1996. 6) NGO活動推進センター:NGOダイレクトリー'96 国際協力に携わる日本の市民組織要覧, 1996. 7 )外務省:NGO.団体名鑑1996年度版,日本外交 協会, 1996. 8) NGO活動推進センターー解説日本の NGO活動の 歴史と今日的課題, NGOダ イ レ ク ト リ ー'96, pp.24-25, 1996. 9 )前掲書2) 10)戸塚規子,他:青年海外協力隊看護職隊員の派遣 要請に関する研究 E 要請に対応した隊員の分析ヲ 国際保健医療, 12(supp.), pp.173, 1997. 11)前掲書2) 12)前掲書2) 13)前掲書3) 14)前掲書4) 15)前掲書8)

図 8 職 手 重 表 1 地域別看護職派遣人数 アジア 77 1 ) 力 オ セ ア ニ ア 中南米 東欧 中東 その他 E 十 看護婦 看護婦 3 6 7   1 2 3   2 4 6  9 0  1 4  9  8 5 0  塁 保 健 婦 保健婦 3 1  2  5  。。。。 3 8  助産婦 2 6  8  。。。 2  。 3 6  助産婦 計 4 2 4   1 3 3   2 5 1  9 0  1 4  1 1  9 2 4  o  100  200  300  400  500  6
表 2 JOCV とNGO の職種別派人数 表 3 ODA とNGO の地域別派遣割合 JOCV 叫 NGO  ( 1 9 7 5 ‑ 1 9 9 6 募集) ( 1 9 6 1 ‑ 1 9 9 7

参照

関連したドキュメント

ているかというと、別のゴミ山を求めて居場所を変えるか、もしくは、路上に

また、学内の専門スタッフである SC や養護教諭が外部の専門機関に援助を求める際、依頼後もその支援にか かわる対象校が

「新老人運動」 の趣旨を韓国に紹介し, 日本の 「新老人 の会」 会員と, 韓国の高齢者が協力して活動を進めるこ とは, 日韓両国民の友好親善に寄与するところがきわめ

の 立病院との連携が必要で、 立病院のケース ー ーに訪問看護の を らせ、利用者の をしてもらえるよう 報活動をする。 の ・看護 ・ケア

では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動

ISSJは、戦後、駐留軍兵士と日本人女性の間に生まれた混血の子ども達の救済のために、国際養子

を体現する世界市民の育成」の下、国連・国際機関職員、外交官、国際 NGO 職員等、

析の視角について付言しておくことが必要であろう︒各国の状況に対する比較法的視点からの分析は︑直ちに国際法