東
京 理
科
大
学
で
の15
年
島
田
茂
私は、 この
3
月末で 東 京 理 科 大 学で の 仕事か ら 退 くこ と に な り ま した。65
才の 年 の4
月に 、 嘱 託教授 とし て着 任 して か ら、始めの5
年はその職 に、後の10
年は 非 常 勤 講 師と して 、数 学科 教 育法や教育
数学の 授業を担当 して 参 りま した。 そ の 間、 授 業の 準 備 や ら 自 分の 勝 手な勉 強や ら に格別 の 便 宜 をは か っ て頂き、お 蔭様 で有意 義な15
年 を過 すこ と が で きま した 。 改め て 、 関係 され た各 位に 心 か らの 感 謝 を 申 しtl
げたい と存 じま す。長 野 先 生か ら離任に 当たっ て、何か本誌 に書 くよ うに との ご依 頼があ りま した 、. 御 趣 旨は、 何か論説の よ うな もの を とい うこ との よ うで した が 、 い ろい ろ考えて 、 こ の
15
年、 自分の 勝手 な勉強の ・つ と してや っ て き た 新 しい 問 題 の 開 発 をご紹 介 す る こ とで 、論 説 (これ はき わめ て 不得 意な もの ) に替え させ て い た だ くこ と に し ま した。以 下 の 事 例は、必ず しも新しい もの で は あ り ま せ ん、, 以前に 私の 書い た 「教師の ための 数学 問題集」
(共 立出版 社、
1990
年 ) や 外国の 雑誌や 本 に あ っ た もの が種 に なっ て い ますn 解 答は 、 読 者の 方に お まか せ し、敢えて 書き ま せ ん。 興 味の ある 方は 、 取 組ん で 見て 下 さい 。1
.巻
包 帯
の長 さ と 太 さ
[問 題]
一度 使っ た 半端 な包帯がい くつ も巻 い てある. 巻い て ある ま まで 、ほ ど い た時の 長 さの 見 当 を ど うや っ て つ け た らよい か。
こ れ は、前記 私の 「閊題集」 の 中にあ る トイ レ ッ トペ ーパ ー の 問 題 と同 種の もの で すtt し か し、中の シ ン の 部 分 を考え ない ですむだ け簡 単で すtt 包帯が 固 く巻い て あ るこ と は 前 提 とします。 厳 密な解が必 要で はない の で、 う まい 近 似 を 考えて 問 題 を簡 単化 す るの が要 点 です 、, 布 を 巻けば 、 内側が外 側よ り少 し縮 む で し ょ う が こ れ を無視 す れ ば うん と易 し くな り ます。 関 係 式の 係 数 を 決め 、モ デル の 適 合 度を調べ る ため に は、 実測 も 必要に な り ます .
2
.指 数 関
数
、対 数 関 数
の グ ラ フ対 数 ら線 (
logarithmic
spiral )は、数 学C
での 題材と し て よ く取 り上 げ られて い ますが 、 これ に は 面 白い 性 質が あ り ます。 [問 題A
] 極 座標 で 厂= e “t (a >0
)で 表 され る曲線 を、 原点 を中心 と し てP
倍 (P
>0
)
に 拡大 し た 曲線は 、 もとの 曲線 と合同で ある こ と を 示せ。相 似 に拡 大すれ ば、 も との 図形 とは 大 き さが変わ るか ら合同 とい うの は お か しい と感 ず るの は 素 直 な 印象ですが、その よ うな例は、 既 に直線で経 験 し て い る こ と で す。 直線は拡大縮小 し て も 直 線で 、 しか も合 同です 。 拡 大 して も合
1
司だ とい う例 が こ こ に も あ り、 その 根拠は 、指 数 法則です。直
交座 標系 にか い た指数 関 数Y
= aX の グ ラフや 対 数 関数y
=log
。x の グ ラフ につ い て も、 基 本 性質か ら導かれ る似た よ うな 性質が あ ります。 こ れ に つ い て は 、 前 記の 閊 題集の 中の 例 題 で も取上 げて あ りま すが 、 少 しい い 方を変 えて 述べ て み ま す と、 次の よ うにな り ますe [問 題 B ] 指 数 関 数 ア= ゴ の グ ラ フ をy
軸の 方向 に伸 縮 し た 曲線、 す な わ ちY
=pa
’(
p
>0
)
の グ ラフ は 、実は 、 も との グ ラフ を x 軸方 向に 平行 移 動 し た もの で ある こ とを 証 明せ よu これ を もと に し ますと、指 数 関 数の グラフ と、 その 導 関数 の グ ラ フ とは、 同 じ座 標 面に か け ば 合 同だ とい うこ とにも な り ます。3
.線 分
が通
る方 眼
座標 平面
E
で 、 x 座標、 ア座標 が と もに整数 で あ る点を格子 点と呼 び 、 隣り合 う 格 子点が 作る正 方 形を方眼 と呼ぶ こ とに します。 次の 問題 で は 、本 質的 に は第 一一象 限だけで よい わ けですか ら、 そ こ での 問 題 と考 えて ください 。 [問 題A
]格子点 (m ,n )と原 点を結ぶ線 分が通る方眼の 数をm ,n を 用 い て表せ 、,い くつ かの 具 体 例 で試み て み る と、m とn とが 互い に素で あ る 場合が も とで 、 他 の 場合は 、m ,n の 最大公約数を考えれ ば 、そ れ に帰 着 され る こ とが わ か る で し ょ う。 そ こ で 、 m ,n の 最大公 約 数 を 、 例えば
glm
(m ,n)と 表わす こ と にす れ ば 、個数 を 示す 式が求め られます。 [問 題B
] 方眼の .・つ 一一つ を指 定するの に 、方 眼の 左 下の 格子点の 座 標 を用い る こ と にする。 問題A
の 線分が 通 る 方眼を指定 す る方 法 を示せ。 これ は 、コ ン ピュ ータの 画 面で、直線の 通る とこ ろ を色で 示 すプ ロ グラム と同 じことで あ りま す。 そ こ で は 、実 数を整 数に まるめ る操 作が 必要 にな り ます ,,実数 x に対 し て そ れ よ り大 き くな くて 最も 近い 整数を 表 わすの に、 数 学で は [x ] (ガ ゥ ス の 記号 と呼ばれて い る)が用い られ て い ますが 、 これは 正 の 範囲で は 、’ 切捨て ’ (小 数 部分の )に相当 しま す。 上の 問 題 で もこ れ が必 要に な ります。 ア ナ ロ グの 世界 をデジタル の 世 界 に 写像 するこ と は 、 これか らの コ ン ピュ ータ時 代で は 、不 可欠 な もの とな るで し ょ う代 数 式 以 外の 形の 関 数 と し て こ の よ うな 切 捨 て 関数や 四捨五入関数は 、今 後 もっ と学 校の 中で 重 要とされて くるの で はない で し ょ うか。
4
.数
字
の並 び方
に一定
の パ タ ー ン をも
っ平
方数
前 記 の 「問 題集」 の 中で は、次の よ うな 例 題 を あ げて お き ま し た。 「次の 計算
を確か め、 下線部 分 の 数 を、 ま ず 見 当 をつ け 、次にそ れ を 確 か め よ 。 (電 卓を 利 用せ よ。 )(イ)
352
=1225
,3352
=112225
,33352
二 2 =
1111222225
(ロ )
642
−,−4096
,
6642
=440896
,
66642
=
2 ・=
4444088896
な ぜ こ ん なパ ター ン が 生 ま れ るの か の 理 由 を調べ よ う とす る と き 、 鍵 になるの は 「a とい う数字 を n 個並べ た 垂進 数は(
lon
−1
)
×a19 と表わ さ れ る 。 」 というこ とです。 こ れ を基にす れ ば、 パ タ ーン の 説 明 は 、
2
乗 公 式 を用 い た 等 式変形 に 帰 着 され ます ,, これ の 別 の 例 とし て 、 次の よ うな もの も 考え られ ま す 。 [問題]次の 計 算を確か め 、 ド線 部 分の 数を、まず 見 当をつ け、 次に そ れ を確か め よ。(イ)
432
=1849
,4332
=187489
,43332
漏 2 二1877748889
(ロ )
462
二2116
,
4662
=217156
,
46662
二 2 ;2177715556
(ハ ) 似た よ うな 例 をい くつ か 作っ て み よ。5
.同
じ数
字
列 が 反覆 す
る平方
和数 年前ア メ リカの 数 学教 育の雑 誌
Mathematics
Teacher
のr
菖1
題 欄 に 次の 間 題 (精 しい文面 は憶えてい ませ ん の で、 数 値は違 うか も知れ ま せ ん が 、要 点 だ け 書 き ま す ) が あ りま した。 [問題 コ 次の 計算を確かめ 、 同じよ うに2
数字の 並び が繰り 返 される よ うな別の 例 を 作 れ。342
十372
= =2525
,
532
十252
=3434
,
622
十142
=4040
, こ こ に 見 られ るパ ターン は 、2525
;101
・25
,3434
=101
・34
,4040
=101
・40
で 、 し か も25
幕32
+42
,34
=52
+32
,40
・=62
+22
で す 。 こ う考え る とカ ラ ク リがみ えて きますv 結局は、(
ab +cd)
2 +(
αc 一ゐめ
2 =(
a2 +d2
)
(
ゲ + c2)
の応 用 で す。 こ の 問 題 を 発 展 させ た もの とし て次の よ うな例が考え られます。 [問 題] 次の 下線 部 分に ど ん な数 を 入 れ た らよい か。(イ)
34372
+2 =
25252525
53252
−←2 ;
34343434
? o −十 L −=40404040
(ロ )
2 十
2 =
2525252525252525
2 十
2 二
4040404040404040
6
.回
文的
な平 方 和
「回 文的 な」 とい う語 はあ ま り熟 し た 語 で はあ りませ ん。 回文 とい うの は 「た け やがや けた 」の よ うに 左 か ら読ん で も、右か ら読ん で も 同 じ に な る文の こ とで す。 回 文 的 な 数 とい っ た の は、 左 か らふつ うに読んで も 、右か ら読ん で も 同 じ に なる十 進数の つ も りで す。 前記
5
の 延 長 と し て、2
整数の 平 方の 和が回 文的になるも の が 作れ ない か とい うの が こ こ の 問題 です。 [問 題A
]552
+332
=4114
は回 文 的 な 平方和 の ・例で 、これ を も とにす ると、
55332
+324S2
;41144114
, ・ ・ …の よ うな 例が 、 この あ と もい くつ か作れ る。 別 な 例 は作 れ ない だ ろ うか。
[問題
B
コ2
け た以 下の 整 数の 平 方 和が3
けた と なっ て そ れが 回 文 的で あ れ ば 、 そ れ を種 に並びの 中心 が0
とな る例が 次の よ うに作れ る。 他の 例を 求 め よ。lO2
十92
=181
か ら
10092
十890z
=1810181
つ つ10090890L
十8898991
− =181018101810181
[問題C
]2
け た以 ドの 整 数の 平方 和が5
け た (当 然、2
数は と もに2
け たで 、 首位は1
)で 、 回 文的で あれ ば 、 これ を種に し て並び の 中心 が2
で ある例が次の よ うに作れ る。 他の 例を求めよ。 フ つ65
一+76
− =10001
か ら つ ワ6576
一十7535
−==100020001
つ つ65767535
鍾・十75343424
−=1000200200020001
以EA
、B
、C
の どれ もシ ラ ミツ ブ シ に 調べ れ るこ とが 必 要 に な る が 、 その 手 間 を 少 な くする 工 夫も必要で ある。 (た とえ 、ハ ソコ ン を利用 する と し て 毫))7
.方 眼
の2
色 塗
り分
けこ の 問 題 は 、 研 究仲間 と外 国の 本 (