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勤労者生活の国際比較のなかでの住居費負担のとらえ方について 利用統計を見る

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(1)

勤労者生活の国際比較のなかでの住居費負担のとら

え方について

著者

今村 肇

著者別名

Imamura Hajime

雑誌名

経済論集

16

2

ページ

p45-60

発行年

1991-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005451/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

東洋大学「経済論集

J

16巻2号 1991年 1月

勤労者生活の国際比較のなかでの

住居費負担のとらえ方について

今 村

1

は じ め に

日本の勤労者の「豊かき」の問題が大きくクローズアップされるようになってから,勤労者生活 の国際比較が頻繁に行われるようになった。とりわけ日本の住宅水準については大きな関心を集め, その中の重要な一項目として取り扱われている。ところが,住宅の質的基準は極めて多様で、あるに も関わらず,どのような指標を用いて住宅水準とするかについては,必ずしも一定しておらず,比 較をする主体によってかなりまちまちである。しかも住宅水準の正確な指標といえないものが使わ れていることが多い。例えば,

OECD

(1986)の社会指標の試みでは,単なる持ち家率が住宅水準の 指標として用いられているが,これなどは一般に住宅水準が低いとされている日本の方が旧西ドイ ツやフランスに比べて持ち家率が高いために,むしろ日本の方が住宅水準が高いという結果になっ てしまう。このような簡単な国際比較では, 日本の住宅が,統計的な指標を見る限り必ずしも欧米 と比べ見劣りがしないといっ数字を自にすることは珍しいことではない。 ところが, 日本人が頻繁に海外に出かけるようになって,彼らが欧米を訪れたときにその住宅水 準の高きと,居住するためのコストの安さとを身を持って体験して驚いたという話は良く耳にする。 いったい,この統計的数値による国際比較と,実際の体験による国際比較とのギャップはなぜ生じ てくるのだろう。その食い違いの背後には,単に指標のとり方を換えてみたり,統計的数値による 観測の精度を向上きせるだけではなく,それぞれの国民および政府の住宅に対する考え方の違いが 厳然と存在している。よく指摘されるのは百本の場合家を持つのは「甲斐性」であるとされ, 自分 の努力によるという考えが強いのに対して, ヨーロッパの場合には「すべての国民生活の基本」と して,国が保障をするという考え方が強いということである。

-45

(3)

2

家計における住居をめぐる支出

家計における住居に関わる費用のかかり具合を比較する最も手近な方法は,費目別の消費支出に ついての統計を調べることである。一つめ方法は,マクロ的な集計量として家計部門の受取と支払 の項目別の統計を比較する方法であり, もう一つは家計調査のようなマイクロレベルでの家計の受 取と支払を調べたものから求めていく方法である。前者はマクロ的な集計量であるため家計の属性 別に細分化して観察することは出来ないが,後者については個表を用いて集計することによりさま ざまな角度からの検討を加えることができるという特徴を持つ。また,後者については,家計の負 債の残高についても観察することが出来,我々が知りたいと思っている,家計の住居費負担に関す るかなり詳細な情報を提供してくれるのである。 2 - 1 低い日本の住居関連支出の割合 ここにあげる第1表および第2表は, OECD (1990)による,国民経済における家計最終消費支出 のうちに占める住居関連支出の国際比較である, 先ず,第

1

表の家賃・水道・光熱にかかわる支出について見てみよう。残念ながら日本だけが「家 賃・水道」と「光熱ほか」とが分かれて掲載されていない。そこで, 日本と各国を家賃・水道・光 熱費のトータルで比較すると, 2つのことが確認きれる。 第ーは, 日本の家賃・水道・光熱費が他の国に比べると最も低い水準にあるということである。 例えば1975年では,日本が15.5パーセントであったのに対しフランスの15.7ノf一セントを除くと, アメリカ合衆国が18.7,イギリスが18.2,旧西ドイツが17.8とかなり日本より高い水準となってい る。この傾向は,最近年次まで変わらず, 日本の18.9パーセントに対し,フランスが18.2と日本よ り低いのを除けば,アメリカ合衆国が19.4,イギリスは1987年の数字で19.9,旧西ドイツが20.7と なっている。 第二は,各国とも家賃・水道・光熱費という住居費負担の割合が,時系列的に上昇しているとい うことである。しかも,その傾向の内訳をみると家賃・水道の伸びが影響していて,光熱費その他 の割合はむしろ下降傾向にあるということがわかる。家賃・水道料が1975年に比べて1988年で、何ノf 一セント・ポイント上がったかを見ると,アメリカで0.9ポイント,イギリス (1987年)で1.8,旧西 ドイツが3.3,フランスが3.2と上昇している。それに対して,光熱費その他の割合は,いずれもマ イナスないしは0.1パーセントポイントの上昇にとどまっている。日本は残念ながら,分解して見 ることは出来ないが, 1975年から88年までの聞にトータルで3.4パーセントポイントの上昇となっ ている。仮に,光熱費その他が他の諸国と同じ水準で推移しているとすれば,家賃・水道料の伸び‘

(4)

-46-国 名 項目 年 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 第I表最終消費支出に占める家計の住居費関連支出の国際比較(その1) 一家賃・水道・光熱(構成比)一 日 本 アメリカ イギリス ド イ ツ フフンス 家賃 光 熱 光熱 水家賃 光熱 家水賃 光熱 水道 ほか 水道 ~l か ほか ほか ほか 15.5 15.0 3.7 13.7 4.5 13.0 4.3 11.6 4.1 16.0 14.7 3.8 13.8 4.8 13.1 4.5 11.8 4.2 16.6 14.8 3.9 13.7 5.0 13.1 4.3 11.9 4.1 17.0 14.9 3.9 13.5 4.7 13.3 4.4 11.9 4.4 17.0 15.0 4.0 13.5 4.6 13.3 5.3 11.9 4.5 17.9 15.3 4.3 14.1 4.7 13.5 5.3 12.3 5.2 18.5 15.6 4.3 15.2 5.2 13.8 5.7 12.5 5.1 18.4 15.9 4.5 15.9 5.3 14.3 5.8 12.3 5.1 I 18.6 15.7 4.4 15.5 5.3 14.8 5.7 12.7 5.3 18.8 15.5 4.2 15.5 5.0 15.2 6.0 13.1 5.5 18.8 15.7 4.1 15.5 5.1 15.6 6.3 13.5 5.6 18.6 15.9 3.7 15.4 4.8 15.8 5.3 13.9 4.9 18.7 16.0 3.5 15.5 4.4 15.8 4.7 14.3 4.5 18.9 15.9 3.5 16.3 4.4 14.8 3.9 資料出所:

OECD

, National Accounお Vol.

I

I

Detailed Tables, 1989

a

n

d

1990. 国 名 項目 年 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 第2表最終消費支出に占める家計の住居費関連支出の国際比較(その2) 家具・家庭器具・家計雑費(構成比) 日 本 アメリカ イギリス ド イ ツ フフンス 雑家計費

I

家ほ具か 雑家計費 家 具ほか 家雑計費 家具ほか 家雑計費

I

家ほ具か 雑家計費 家具h 主力1 6.3 1.9 4.8 1.8 6.1 10.0 3.1 7.3 6.4 1.9 4.8 1.7 6.1 9.8 3.0 7.1 6.1 1.8 4.9 1.6 5.9 9.9 2.9 6.9 5.8 1.8 4.8 1.6 6.1 9.9 2.9 6.8 6.1 1.8 4.8 1.5 6.2 9.8 2.8 6.8 5.8 1.7 4.6 1.6 5.8 9.9 2.8 6.8 5.5 1.7 4.4 1.6 5.5 9.7 2.7 6.6 5.5 1.7 4.1 1.6 5.3 9.4 2.8 6.5 5.5 1.6 4.2 1.6 5.3 9.3 2.7 6.2 5.5 1.6 4.2 1.6 5.2 9.2 2.7 5.9 5.5 1.5 4.2 1.6 5.2 9.0 2.7 5.7 5.4 1.5 4.3 1.6 5.2 9.1 2.6 5.8 5.5 1.5 4.2 l.6 5.1 9.2 2.6 5.7 5.6 l.5 4.2 9.6 2.5 5.6 資料出所:

OECD

, National Accounfs Vol.

I

I

Detailed Tables, 1989

a

n

d

1990. 47

(5)

は各国の中でも最も高いということになる。 次に第

2

表によって,家計雑費・家具・装備品・家庭器具への支出割合を見てみよう。やはり, ここでも旧西ドイツの支出割合が顕著に高く, 日本は最低にランクきれていることがわかる。旧西 ドイツは, 1975年で'10.0パーセントと高い割合だったものが,その後若干の低下を見たものの, 1988 年時点では9.6パーセントを占めている。それに対し日本は1975年に6.3パーセントだ、ったものが, やはり減少傾向を示して1988年時点では5.6パーセントとなっている。これは, 1988年時点で比べる と,アメ t)カの5.7,イギリスの6.7(1987年),フランスの8.1よりも低い数字となっている。

2

-2

最終消費支出に占める住居間違支出による比較の問題点 前節でのファクト・ファインデイングは,最終消費支出で見る限り日本の住居費負担の割合は, 欧米諸国に比べて必ずしも高くなしむしろ最も低い位置にランクされるということであった。は たして,この事実をもって日本の住宅に関わる負担が軽いと判断することが出来るのであろうか。 すでに筆者は,今村(1990)において所得水準と生活費用の相対的比較の視点から,単なる指数に よる勤労者の生活水準の国際比較が抱える問題点を指摘したが,ここでも同じような問題を見つけ ることができる。第一に,住居関連支出の割合が低いからといっても,勤労者が受けている住宅サ ービスの質が同等で、あるとは限らないし第二に,住居関連支出はそれ自体が単独で、決定されるも のではなしその他の消費支出,とりわけ,食料費や衣料費などへの支出と,それらをトータルで 制約する可処分所得の大きさによって決定されるものであるため,それらの価格や消費量の影響を 無ネ見するわけにはいかないということである。 したがって,例えば欧米諸国と比べて飲食費などで極端に割高な価格となっている,いわゆる「内 外価格差」が存在している状態では,生存を維持するために必要な飲食費にその多くの支出割合を 割かざるを得なくなり,結果として住宅関連支出が圧迫されるということがありうるからである。 それに対して,例えば旧西ドイツでは住宅関連支出の割合が高いといっても,そこから受ける住宅 サービスの質がそれに見合うかそれ以上であれば, 日本より負担が重いとはいえない。また,飲食 費や衣料貫教養娯楽費など,住宅関連支出以外のコストが十分に低く,少ない支出でも日本より 十分高い水準にあるとしたら,その結果として相対的に住宅関連支出の割合が高くなっても,旧西 ドイツの住居関連の負担が重いということは出来ない。 以上のことから,住居を含めた勤労者の生活水準の国際比較で我々が知らなければならないのは, 単なる所得水準の相対的な大きさなのではなし各国の圏内市場の相対価格体系や,各国の国民の さまざ、まな財・サービスに対する選好の状態に関する情報であるといつことになる。つまり,所得 水準の換算に市場為替レートを用いていたのを,購買力平価によって換算しても,そこでは各国国 民の共通の買い物寵(バスケット)を想定する限り,満足すべき情報は必ずしも得られないというこ

(6)

48-とになろう。 相対価格体系を決定する市場メカニズムがどの程度有効に機能するかは,それらを制御する制 度・政策のあり方によって大きく影響されることになる。 本稿は,このような問題意識にそって,国際比較をしながら日本の住宅関連支出の負担を考える ためには,どのような政策・制度に関する視点が必要なのかを,実際に旧西ドイツを比較の対象と しながら,考えることにする。

3

旧西ドイツの住宅事情と日本の住宅事情の比較

一統計的比較の限界一

第3表(住宅水準の国際比較)によると,各国の持ち家率は, 日本の61.3パーセントに対して, I日西 ドイツが

3

7

.

2

パーセント,フランスが

5

1.

2

ノf一セントとかなり低く,アメリカ合衆国とイギリスが それぞれ

6

4

.

0

6

4

.

1

パーセントと日本とほぼ同じ水準にあるにすぎない。通常の耐久消費財の場合, その自己保有率が高いほど生活水準が高いということになるから,それだけの論理に従うならば, 日本は先進国のトップクラスの住宅水準にあるということになる。とりわけ旧西ドイツの持ち家率 は極端に低い。 第3表 住 宅 水 準 の 国 際 比 較

託ぐ

人口千人当たり l戸当たり l室当たり 1戸当たり床面積(ストック・耐) 1人当たり 持 家 率 空 家 率 住宅戸数 平均室数 平均人員数 lIi面摘(ストッ,..) (スト17・戸) (ストック・室) (ストノク・人) 合 計 持 家 借 家 [内のり換算] (%) (%) ア メ リ カ 421('87) * 5.3('87)$ 事0.4('87)場153.6('87) * 160.3 ('87) * 115.9(・87) * *61.8('87) 64.0('87) 11.5('87) ( 傘1;1中央盤、 $‘1;1建設省推計) イ ギ リ ス 399('86)事*5.2('88)事*0.5('88) **95 ('88) * *35.2('88) 64.1・(87) 場5.0('81) 1

1:1イ/グランド、 (グレート・ ウェ Jレズ プリテン) **はイングラノド) 西 ド イ ツ 432 ('87) 4.4・(87) 0.5(・87) 85.6('87) 37.2(・87) 38.5('87) フ ラ ン ス 451 ('86) 3.8-('84) 0.7('84) 82.3('84) 96.1 ('84) 67.9('84) 30.7('84) 51.2('84) 17.1(・84) イ タ リ ア 386('81) 0.9('75) 50.9('71) 12.2('71) ス ウ エ デ ン 441 ('82) 0.5('85) 54.9('80) 5.9('75) 日 本 342(・88) 4.9(・88) 0.66('88) 89.3('88) 116.8('88) 44.3('88) 25.0('88) 61.3('88) 9.4('88) 注)建設戸数欄の( >内は、人口千人当たり建設戸数である。また、「室h r床面積」等の定義は、固により異なる.1人当たり床面積は、建設 省推計である.アメリカの床面積(ストック)には、共同建て、長屋建ては含まない.

(資料)外国 r Annual Bulletin of Housing and Building Statistics for EuropeJ . r世界統計年鑑J(国連)

r American Housing Survey J . rCharacteristics of New HousingJ . rprofile of the United StatesJ (米) rCensus 1981J・fHousingand Construction StatisticsJ . rLabour Force Su刊ey1988J(英)

rWirtshaft and StatistikJ・rStatistischesJ ahrbuchJ (西独) rLes Conditions de Logement des Menages en 1984J . rStatistiques et EtudesGeneralesJ(仏) rpopulation and housing census of Sweden 1985J(スウェーデン) 日本 「住宅統計調査J • r国民経済計算年報」・「建築着工統計J・「人口推計月報」 資料出所:建設省住宅局住宅政策課(1990) -49

(7)

ところが,実際に旧西ドイツに住んだり滞在したどの人に聞いても日本の方が住宅水準が高いと いう声は皆無に近い。例えば,連合総合生活開発研究所(1989年)によると,第

4

表のような興味深 い調査結果が出ている。これは,在デュッセルドルフ日本人主婦と在東京西ドイツ人主婦とに,そ れぞれ各項目ごとに自分の固と比較してどちらの方がいいかということを聞いてそのパーセンテー ジを集計したものである。ここに挙げた住宅関連の各項目については一目瞭然で当時の西ドイツの 方がいいと,両方の主婦が認めている。 第4表 住 宅 関 連 住宅の広さの比較 家賃の比較 イ主 環 境 西 日 ど N 西 日 ど N 日 西 西ドイツの方が良いと思う理由 ど Nl ド 本 ち ド 本 ち 本 ち イ グ〉 コル A イ の ら A σ3 イ 緑 街 安 保 吉

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4

表にのっている「西ドイツの方が良いと思う理由」の内 訳を見てみよう。「緑が多いJi町が美しいJiノfブリックスペースが十分」といったところが上位を 占めているR こういったアメニティーの高きが,西ドイツの方がいいという理由となっているよう だ。ところが,これらは住環境に関わる重要な項目ではあるが,住居そのものの質を直接表すもの ではない。同調査の中に, 日本人主婦達の意見として,西ドイツの住宅の方が「造りがいいJi暖房 設備等が充実している」などといった意見があると書かれている。すなわち,住宅そのものの質で も,また住宅を取りまくきまざまな環境アメニティーにおいても,旧西ドイツの方が日本より明ら かに上を行っているということが結論づけられているのである。 この第3表の統計調査と第4表のアンケート調査との来離については,第一に室数の勘定に入れ られる部屋の定義が国ごとに違っていること,第二に部屋の面積の測り方も同様に国ごとに違って いることが挙げられる。とりわけ, 日本と欧米との統計のとり方の隔たりが大きく,欧米では一定 規模以下の部屋や食堂,地下室,屋根裏部屋など居住空間として認められないものは勘定に入れな いのに対し, 日本では納戸のような小きい部屋も居住空間として勘定に入れられている。欧米では 勘定に入っていない部屋が実際には食料庫や納戸,プレイルームなどに活用されているのである。

(8)

-50-この差は大きいと言えよう。また,部屋の面積の測り方が,欧米では内のり方式であるのに対し日 本では壁心方式であるというのも, 日本と欧米との格差を覆いかくしてしまう原因となっている。 以上のことから明らかになったのは,統計的手法による住宅事情の国際比較の限界である。住宅 色環境のアメニティも含めて実際にそこで暮らす人聞の立場て二総合的な住環境としてとらえ, 比較すべきであるとするならば,自ずと統計的手法による限界が存在することになる。それは,上 記に述べた各国間の統計概念の食い違いを調整したとしても依然として残るものである。 例えば, 日本ではサッカーをするのに電車で郊外に何十分も揺られて出かけなければならないの に対

L

, ドイツは公的スポーツ施設が街の真ん中にあって,歩いても十分行ける距離のところでで きるとしたら,これは明らかに住宅から受けるサービスあるいは住宅に起因するサービスの質が異 なっているということになる。しかも,この違いは決して小きくない。 少なくともこの問題に関して,単なるクロスセクション的な国際比較としてアプローチすること は,十分な発見をわれわれにもたらしてはくれないだろっ。そこで,住居費負担の国際比較の問題 色住居によって提供されるサービスの質・量と,それの対価として支払われる住居費との両面の 視点に立って,現在にいたるまでに両国で取られた政策の経緯や,現在の住環境を獲得するにいた るまでの勤労者側の意識の問題についても併せて考えることにする。

4

旧西ドイツの住宅政策と日本の住宅政策の歴史的比較

現在のような日本と旧西ドイツの住宅環境の格差を生むに至った背景には,第

2

次世界大戦後に 取られた経済復興の過程での資源配分が, 日本は産業経済に片寄りすぎていた事実があり,その結 果住宅環境にも重点を置いてきたl日西ドイツとの格差が聞いてしまったという指摘は,たぴた

r

j'行 われている。第1図によって,日本の住宅投資の推移を見てみよう。①のGDPに占める住宅投資の 割合は,下降傾向であるが,先進諸国中常に高い水準にあることがわかる。それに対して,②の総 固定資本形成に占める住宅投資の割合は,先進諸国中常に最低の水準で推移している。このことは, 極めて急速な設備投資全体の伸ぴの中て1住宅投資が相対的に低い割合でしか行われず,経済全体 のバランスから見るとかなり片寄った投資ノマターンが取られていたということになる。本来, 日本 はもっと住宅に投資する余力があったにもかかわらず,それをしなかったということが明らかに示 されている。 では,なぜ旧西ドイツにおいて住宅投資が旺盛に行われたのか,その理由については,先ず「社 会住宅」制度をあげなければならない。戦後旧西ドイ、ソが取った住宅政策に関する議論では,初代 首相アデナウアーの言葉がしばしば引用きれる。すなわち,「国民精神の荒廃は住宅の貧しさに起因 する」というのがそれで、ある。ただしそれは,戦後になって突然現れたのではなく,それ以前から -51

(9)

1

図 住 宅 投 資 の 国 際 比 較 (%)1 ①住宅投資/GDPの国別推移(名目) 9

r

8.7 8 、 、 J ヘ 3 ・ 3

3 、 、、 、、 、 、 。 。 3 角 s q u 7 5 4 3 2.9 2.9 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 (暦年) (%) 35ト②住宅投資/総固定資本形成の国)JJI推移(名目) 30 〆r---ー、、 31.0 30.1/" 31.2

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(資料)r Annual Bul1etin of Housing and Building Statistics for EuropeJ (!五1>宝}

'

1司民経済計算芹報J(粍涜企i函iJi1')

資料出所:建設省住宅局住宅政策課(1990)

(10)

快適な住環境を確保することに,国民も政府も大きな関心を寄せていたことは,様々な文献によっ て指摘されている[横浜市企画財政局都市科学研究室 (1989)]。 このような住宅政策の歴史に関する詳細な検討は,別の機会に行うとして,ここでは,このよう な国民・政府の意識の違いが,実際に住宅負担に関する統計から読みとることを試みる。その上で, 冒頭の家計支出のうちの住宅関連支出では最も高い水準にあった旧西ドイツにおいて,どのような 制度,政策がとられているかを,統計資料を援用しながら考えることにする。

5

旧西ドイツの住居費負担に関する統計

5

表は,所得階級別にみた旧西ドイツの家計の住居費関連支出の割合である。ここに掲げられ ている最も高い所得階層でも,家賃・水道・光熱費を合計すると,総支出の約20パーセントになる。 同様の所得階層別の統計で,日本やアメリカ合衆国が,所得

5

分位の最高所得階層で,それぞ、れ 14.

10.7パーセントであるのに比べるとかなり高いことがわかる。高い所得階層でそれだけで、あるか ら,最も低い所得階層では,約35パーセントにもなる。これは, 日本の22.0パーセント,アメリカ の23.0パーセントに比べるとかなり高いことがわかる[家計経済研究所 (1988)]。ただし,これは国 際比較の方法としては,旧西ドイツの統計の取り方がはっきり記されていないので,かなり誤差を 含んだ極めてラフな比較といわざるを得ない。しかし冒頭で比較した,住居費への支出割合から みればそれほどかけ離れた数字ではないといえよう。 第

5

表 所得階級別民間家計の一か月あたり住居関連支出 (旧西ドイツ・ 1983年) 月 間 家 計 所 得 階 級

(DM)

1200 1200 1800 2500 3000 4000 5000 10000 以下 1800 2500 3000 4000 5000 10000 25000 総 支 出 額 948 1383 1893 2387 2894 3481 4431 6389 家賃・水道 236 304 363 418 478 566 706 929 (構成比) (24.9) (22.0) (19.2) (17.5) (16.5) (16.3) (15.9) (14.8) 光熱その他 99 133 163 168 210 241 278 319 (構成比) (10.5) (9.6) (8.6) (7.9) (7.2) (6.9) (6.3) (5.0)

資料出所:Statistisches Bundesamt. Haushaltgeld Woher und Wohin? • 1987.

ここで問題なのは,旧西ドイツの場合は所得階層の相対的に低いところで,住居費負担が大きい ということである。そこで,この点について, もう少し世帯類型別に分けて調査したものがあるの で,それによって確認してみることにしよう。第6表がそれである。

(11)

-53-第6表 世 帯 類 型 別 住 宅 関 連 支 出 の 時 系 列 変 化 ( 1カ月あたり世帯平均・ DM) 年 世帯類型1 世帯類型2 世帯類型3 住居 そ家の具他 総支出 住 居 そ家の具他 総支出 住居 そ家の具他 総支出 -光熱 -光熱 -光熱 1965 90 33 364 138 88 881 250 170 1572 (23.3) ( 8.7) (15.6) (10.0) (15.9) (10.8) 1970 146 41 518 219 98 1089 332 192 1867 (28.2) ( 8.0) (20.1) ( 9.0) (17.8) (10.3) 1980 365 90 1170 559 202 2440 792 364 3795 (31.2) ( 7.7) (22.9) ( 8.3) (20.9) ( 9.6) 1985 515 95 1498 771 201 2862 1124 308 4519 (34.4) ( 6.4) (26.9) ( 7.0) (24.9) ( 6.8) 1987 535 125 1625 797 244 3065 1113 375 4647 (32.9) ( 7.7) (26.0) ( 8.0) (23.9) ( 8.1) 1988 541 124 1668 854 276 3309 1172 418 4852 (32.4) ( 7.5) (25.8) ( 8.3) (24.2) ( 8.6) 資料出所 StatistischesBundesamt, Wi地chaftund Statistic, H. 7, 1990. ここでいう世帯類型の1から3は次のように定義されている。 世帯類型

1 2

人家計。養老もしくは社会保険受給者。財産もしくは退職年金によるわずかな収入 による生活をしている者。 世帯類型2:夫婦と子供2人 , た だ し 子 供 の 少 な く と も 一 方 は15オ以下。サラt)ーマンまたは労 働者。中くらいの非自営収入で,妻は非就労。 世帯類型3 :夫婦と子供 2人,ただし,子供の少なくとも一方は 15才以下。公務員もしくはサラリ ーマンで,月間2,OOODM -3, OOODMの収入(ただし,これは筆者の判断では 1965年価格の ものと思われる)で,類型2よりは高収入。妻の就労は間わない。 やはりここでも,所得の低い世帯類型1では, 1988年時点で住居費負担が32.4ノf一セントに上っ ている。一方世帯類型2および 3でも,それぞ、れ25.8,24.2ノf一セントと家計の総支出の約4分の lを占めている。しかも,時系列で見てみると, 1965年には世帯類型の1, 2, 3それぞれて三 25.3, 15.6, 15.9パーセントだったことと比べると,この30年あまりで家計の住居費関連支出の割 合が顕著に増大していることがわかる。この背後には,賃貸住宅の家賃の値上がりと同時に,住宅 自体の質的向上も存在するはずで、ある。確かに,旧西ドイツの住宅政策においては,より高い質の 新たな住宅を建設し,そこへ入ってきた居住者が住んでいた前の住居へは,新たにそれより低い質 の住宅に住んでいた家族が入ってくるというかたちで,全体としての住居の質的向上をはかつてき ている。そのことが,全体として家賃の上昇を招いた一つの原因と考えられる。

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-54-旧西ドイツの場合は,すでに見たとおり持ち家率は40ノf一セント前後と極めて低ししたがって, 賃貸住宅の家賃の上昇が,家計の住居費負担の上昇の直接的原因となる。第7表は旧西ドイツにお ける家賃指数の推移を,一般の物価指数および家計所得の上昇率と比較したものである。 1980年 代 の初頭を除いて,家賃指数の方が物価指数を常に上回って上昇している。ただし,その上昇率も家 計所得の上昇率よりは低く推移しており, したがって,家計所得に占める家賃負担の比率は,純粋 な賃貸住宅では増えていないはずであるということになる。 第7表 物 価 ・ 家 賃 ・ 所 得 の 伸 ぴ ( 旧 西 ド イ ツ ) 生活関連物価指数 家 賃 指 数 家所前得計年の比(名伸可目処び)分率の 年 1985=1001) 前年比伸び率(%) 1985=1001) 前年比伸び率(%) 1980 82.8 5.5 80.8 4.9 7.3 1981 88.0 6.3 84.4 4.5 6.4 1982 92.6 5.2 88.7 5.1 2.6 1983 95.7 3.3 93.4 5.3 2.8 1984 98.0 2.4 97.0 3.9 4.7 1985 100.0 2.0 100.0 3.1 3.4 1986 99.9 -0.1 10l.8 l.8 3.9 1987 100.1 0.2 103.4 l.6 4.4 1988 10l.4 l.3 105.6 2.1 4.2 1989 104.2 2.8 108.8 3.0 1) 1984年までは1980年の基準。すなわち, 1980年の比率による。 2) 出所:V olkswirtschftliche Gesamtrechnung 資料出所:Der Bundesminister fur Ranmordnung, Bauwesen und Stadteban (1989) ではなぜ住居費負担が上昇しているかというと,その一つの理由は,第8表に示す上下水道をは じめとする公共料金の上昇が,一般物価水準の上昇を上回っているからであるc 例 え ば1988年では, 下水処理の5.4パーセントを筆頭に,上水道の4.9,ゴミ処理の4.6,道路清掃の4.5パーセントと, その年の物価上昇率のl.3パーセントのみならず,家賃指数の2.1パーセントの上昇をはるかに上回 っている。すなわち,旧西ドイツでは家賃についてはこれまでの政策的な努力の蓄積もあって、そ の上昇は低くおさえられているが,それ以外の水道料などの値上がりが,住居費負担の増大をきら に押し上げているということが言えよう。 また. もう一つの大きな理由として考えられるのは,旧西ドイツの住宅補助政策の転換である。 コール政権になってからは住宅経済に市場メカニズムを導入しようという政策が取られるようにな り,そのため全体として賃貸市場の家賃が上昇する結果となったことである。また,その過程では, -55

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第8表 地 方 自 治 手 数 料 の 伸 ぴ 水 道 下水処理 塵芥搬出 道路清掃 年 指 数 変前イ年 比じ率% 指 数 前 年 比変 化 率 % 指 数 前 年 比変 化 率 % 指 数 前 年 比変 化 率 % 1980 100 100 100 100 1981 105.9 5.9 108.7 8.7 105.3 5.3 106.7 6.7 1982 113.2 6.9 124.2 14.2 113.6 7.9 114.3 7.1 1983 116.5 2.9 134.0 7.9 119.0 4.7 117.3 2.6 1984 119.6 2.7 141.9 5.9 122.3 2.8 124.8 6.4 1985 122.4 2.3 148.3 4.5 124.5 1.8 128.4 2.9 1986 126.6 3.4 155.6 4.9 125.0 0.4 130.7 1.8 1987 130.0 2.7 162.6 4.5 131.7 5.4 134.2 2.7 1988 136.4 4.9 171.3 5.4 137.7 4.6 140.3 4.5 1989 9月 141.4 3.2 180.6 4.8 146.3 5.8 143.5 1.5 資料出所:Der Bundesminister fUr Ranmordnung. Bauwesen und Stadteban (1989) つねに住宅の需給バランスが大きく変動しており,それによる価格変動も当然のことながら反映し ているはずである。

6

住居費負担を大きく左右する住宅補助政策

ここでは,低所得者層における住居費負担の増大を,旧西ドイツをはじめ欧米先進国ではどのよ うな住宅補助政策で解決しようとしているのかを確認する。また, 日本の住宅補助政策について, 欧米先進諸国との比較を行い,住居費負担の比較を行う際に統計資料で扱いにくい,住宅に関わる 制度・政策について比較検討を行うことにする。 住宅補助政策には,大きく分けると

2

つの種類がある。第一は,財政支出から直接的に支払われ る住宅対策費であり,もう一つは,財政収入における税の減免という形での補助である。第9表は, それらが国の財政のなかでどれだけの比重を占めているかを国際比較したものである。住宅対策費 では,フランスの4.9パーセント,イギリスの3.0パーセントに迄かにおよばず,アメリカ,旧西ド イツと肩を並べる水準であることがわかる。また,税の減免の方でも,やはりイギリス,アメ 1);ウ のそれぞれ4.9,4.4パーセントに逢かにおよばず,フランス,旧西ドイツのそれぞ、れ1.5, 1.2パー セントにも水をあけられていることがわかる。たとえ,国家による財政制度の違いはあるにせよ, 財政, とりわけ税の減免において, 日本の住宅補助政策の規模はかなり劣っていると言わざるを得 ない。

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-56-第9表 主 要 国 の 住 宅 対 策 費 及 び 住 宅 関 係 減 免 税 額 国名 アメリカ イギリス フフンス 西ドイツ 日本 年度 1989(見込み) 1989(実績見込) 1990(予算) 1988(予算) 1990(予算) 歳出総額A 百万ドル 百万ポンド 百万フラン 百万マルク 億 円 1,137,000 141,492 1,220,439 275,400 662,368 住宅対策費 B 16,667 4,291 59.246 1,886 8,420 B/A % % % % % l.5 3.0 4.9 0.7 l.3 普通歳入 C 979,500 144,920 1,129,461 236,266 580,040 住宅関係減免税額 43,130 7,080 17,330 2,776 3,680 D D/C 4.4 % 4.9 % l.5 % l.2 % % 0.6 参 B+D 59,797 11,371 76,576 4,662 12,280 考 B+D/A % % % % % 5.3 8.0 6.3 l.7 l.9

(出典) アメリカ Budgetof the United States Govemment Fiscal Year 1990

イギリス Financial Statistics, The Govemment's Expenditure 1990-91 to 1992-93ほか フランス Les Notes Bleues 1:1カ‘ 西ドイツ FINANZ BERICHT 1989 日 本 1990年度予算書等 (注)l.各国の住宅関係減免税額は、住宅の取得に係る国税関係の減免税額であり、キャピタ ル・ゲイン等に係る減税については、住宅の取得のための直接的な優遇措置とはいえな いので除外した。 2.西ドイツは、所得税、法人税及び付加価値税について当初から連邦、州及び市町村の 収入劃合、減収割合、(OlJえ';f、所得税の場合、連邦及ぴ州は各42.5%、市町村は 15%) が定められている特殊な制度(共同税)を採用しており、本表における減免税額はその うちの連邦分のみを計上した。 3. 普通歳入とは、租税収入と印紙税収入等の一般会計分である。 資料出所:建設省住宅局住宅政策課(1990) 次 に , 実 際 に 住 宅 を 購 入 す る 個 人 の 立 場 か ら , 住 宅 に 関 す る 減 税 を 国 際 比 較 し た も の が あ る の で そ れ を 見 て み よ う 。 第10表 が そ れ で あ る 。 表 に 説 明 が あ る よ う に , こ れ は , 3,700万 円 の マ ン シ ョ ン を 自 己 資 金1,600万 円 , 公 的 ロ ー ン1,600万 円 , 民 間 ロ ー ン500万 円 で 購 入 し よ う と し た と き に 受 け ら れ る 税 の 減 免 を 比 較 し よ う と し た も の で あ る 。 減 税 額 を , 減 税 が 適 用 さ れ る 全 期 間 で ト ー タ ル し た も の を 比 較 す る と , 日 本 の114.9万 円 と い7の は , ア メ リ カ の285万 円 , 旧 西 ド イ ツ の224.8万円,イ ギ リ ス の183.4万 円 に は 明 ら か に お よ ば ず , か ろ う じ て フ ラ ン ス の116.5万 円 よ り わ ず か に 少 な い 金 額 に な っ て い る だ け で あ る 。 こ の 点 か ら み て も , わ が 国 の 住 宅 減 税 制 度 が 先 進 諸 国 と 比 べ て か な り 見 劣 り す る も の で あ る こ と が わ か る 。 ま た , 賃 貸 住 宅 の 比 重 が 高 い 旧 西 ド イ ツ の 場 合 , 住 宅 手 当 に よ る 住 居 費 負 担 の 軽 減 の 効 果 が ど の 57

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第10表 住宅減税方式の比較(日本に導入した場合) 〔前提条件〕

7ンション鷺入費 3700万円(建物2200万円、土地1500万円) 控 除 対 象 控 除 対 象 額 控除対象限度 控 除 方 式 (控除率) 控 除 期 間 そ の 他 減 初 年 度 税 額 全 期 間 .資金内訳 自己資金 1600万円、公的ローン1600万円、民間ローン500万円 .償還条件 公的ローン5.4%、25年元利均等償還 民間ローン7.68%、20年元利均等償還 .年 収 760万円、夫婦・子2入、課税所得338万円 . 納 税 額 37.0万円(限界税率20%) 日 本 ア メ リ カ イ ギ リ ス 西 ド イ ツ 住宅取得促進税制 ロ ン利子所得控除制度 ローン利子減額制度 特別支出控除制度 住 宅 住宅及び土地 住宅及び土地 住宅及び土地 ロ ン残高 支払利子額 支払利子額 (住宅の取得費+土地の 取得費x1/2)x 5 % 債務限度額100万ドル 借入額3万ポンド 30万7Jレク 2000万円 (約I億5000万円) (約780万円) (約2700万円) 説額控除 所得控除 利子減額 所得控除 (1%) (限界税率) (25%) (限界税率) 8 年 全 期 間 全 期 間 8年 間 子 女 l人につき 6007Jレク (4.5万円) 税額鐙除(8年間) 20.0万円 16.3万円 11.6万円 28.1万円 114.9万円 285.0万円 183.4万円 224.8万円 (注)対円レートについては、 1ドル150円、 1ポンド260円、 17ルク90円、 lフラン27円とした。 資料出所・建設省住宅局住宅政策課 (1990) 第11表 住宅手当を受給している主たる借主の家賃負担割合 可処分所得に対する住居費平均割合(借家) 1985 1986 世帯人数 フ ラ ン ス ローン利子税額役除制度 住宅及び土地 支払利子額 3万フフン (約81万円) 税額控除 (25%) 5年 間 限度額加算(7ラン) 第一子2000、第二子 2500、第三子3000 23.5万円 116.5万円 1988 住宅手当支給前 住宅手当支給後 住宅手当支給前 住宅手当支給後 住宅手当支給前 住宅手当支給後

%

1 ..……・ 44.8 27.6 43.7 2… … … 37.9 25.6 38.4 3… … … 35.6 24.4 33.2 4 ・・・H ・H ・ 29.1 20.5 29.7 5 …・・…・ 25.6 17.6 24.3 6以 上 … 20.9 12.9 20.4 計 39.8 25.4 38.6 資料:Sonderaufbereitung der 25%-Wohngeldstichprobe 資料出所:Statistiches Bundesamt (1990) -58 24.3 48.5 27.1 23.6 37.8 23.5 21.4 36.3 22.3 19.9 27.4 18.7 16.0 24.6 16.4 11.7 20.8 12.2 22.7 41.2 24.1

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程度であるかを,第

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表によって見てみよう。これは,

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5

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年の

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時点について,世 帯人員I入から6人以上までの6つの階級について,住宅手当支給前と支給後でどれだけ住居費負 担が軽減きれたかを見たものである。単身世帯では40パーセントを超える住居費負担であったもの が,住宅手当の支給によって20パーセント台にまで軽減されているのをはじめ, 6人以上世帯では, 住宅手当の支給によって

1

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パーセント台の前半の負担率を実現していることがわかる。しかも,旧 西ドイツの場合住宅手当の受給者の範囲は通常我々が考えるよりも広く,受給者の所得制限の上限 は例えば標準的な

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人世帯で,年収

4

7

800DM

とかなり高く設定きれている。したがって,ごく普 通のサラリーマンや公務員なども利用していると報告きれている。

7

お わ り に 本稿では,住宅に対する支出の割合を糸口にして,住居費負担の国際比較を試みた。とりわけ, 旧西ドイツに重点をおいて,制度・政策,住宅サービス需要者の選好の問題にまで‘立ち入って比較 を行った。その結果, きわめて象徴的なのは, 日本とl日西ドイツとの聞での,住環境に対する考え 方の違いである。旧西ドイツでは,住環境がすべての国民生活の基本であるという合意が形成され ていて,-社会住宅」というような伝統的な旧西ドイツの住宅政策が依然として重要な位置を占めて いる一方で¥住宅サービス需要者も他の「食」や「衣」よりは「住」に対して強い選好を持ってい て,それは,住宅関連支出の割合が高いという統計的な結果を招いている。 しかし,そこから得られる総合的な住環境は, 日本とははるかに比べものにならないアメニティ ーの高いものであり,短い労働時間とあいまって,豊かな余暇時間を過ごすための十分な下地を提 供しているのである。そこでは,東京一極集中のなかで,通勤に一日の

1

0

分のl以上を費やしてし まう, 日本の勤労者にとっては信じがたい日常生活が送られているのである。 本稿では,少なくともわれわれにとって残念な2つの事実がはっきりとした。一つは,住居費の 負担に関する国際比較は,単に家計支出の中に占める住居費負担の割合を比較しでも,十分に意味 のある結論が得られないこと。もっ一つは, もっと深刻で¥ 日本の住環境が現状でも劣っている上 に,それを改善するだけの政策的対応が依然として西欧先進諸国から遅れているという事実である。 参 考 文 献

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5) 建設省住宅局住宅政策課, F住宅経済データ集~,住宅産業新聞社, 1990年10月

6) OECD,

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10) Statistisches Bundesamt,

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参照

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