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1. はじめに
2007 年度、産業共同研究センターが中心となり、NPO 法人彦根景観フォーラムとの協力・連携のもと、下記のよう
な多様で多彩なまちづくりを展開した。実施した事業は下記の一覧のとおりである。特筆すべき事業は、「辻番所を
持つ足軽組屋敷」をまちづくりに生かす本学の試みが、「彦根古民家再生トラスト」運動に発展し、市や市民を巻き込
む活動になったことである。
また、「国宝・彦根城築城 400 年祭」に協賛して、NPO 法人彦根景観フォーラムでは「彦根遊び博」を開催した。これ
は、小さな旅・ミニ散策として、市民の間に人気を博した。
2. おもな実施事業
NPO 法人彦根景観フォーラム
会員 江竜 美子
ひこね街の駅「寺子屋力石」談話室それぞれの彦根物語
2007. 3. 17 第31回 「長野義言とその門人 中村長平」
語り部:久保田昌弥(彦根史談会会員)
2007. 3. 24 第32回 「文学にみる彦根」
語り部:小田輝子
2007. 5. 12 第33回 「滋賀大学 士魂商才の道をたどる」
語り部:山﨑一眞(滋賀大学産業共同研究センター教授)
2007. 5. 26 第34回 「彦根近代の立役者"幻の彦根製糸場"」
語り部:筒井正夫(滋賀大学経済学部教授)
2007. 6. 2 第35回 「彦根藩と琵琶湖」
語り部:母利美和(京都女子大学助教授)
2007. 7. 21 第36回 「表千家茶道を楽しむ」
語り部:外海和子(表千家茶道講師)
2007. 7. 28 第37回 「アフガンでのNPO活動」
語り部:渡辺弘敏(「アフガン難民を支える会」運営委員)
2008. 2. 9 第38回 「植物との語らい -会えてよかった-」
語り部:中川信子(自然観察指導員、「彦根城オニバスプロジェクト」事務局)
2008. 2. 16 第39回 「まちなかギャラリー 実動80日」
語り部:角省三(NPO法人彦根景観フォーラム会員、滋賀作家クラブ)
2008. 3. 8 第40回 「ゆらっと遊覧彦根城お堀めぐり -他都市に真似のできない文化遺産を使ってのまちづくり-」
語り部:小島誠司(NPO法人小江戸彦根副理事長)
2008. 3. 22 第41回 「彦根城築城400年祭の市民サポーター -彦根を盛上げ隊-」
語り部:岡村博之(400年祭市民文化創造部会部会長、彦根を盛上げ隊発起人)
彦根遊び博
2007. 4. 21 「芹川堤の自然と歴史で遊ぼう」 ※案内はすべて彦根景観フォーラム会員
「雨壺山の自然と歴史で遊ぼう」
2007. 4. 28 「脇街道・七曲がりで遊ぼう」
「高宮宿で遊ぼう」
2007. 6. 9 「善利組組屋敷界隈で遊ぼう」
「内曲輪・城郭で遊ぼう」
開催年月日 事業名
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3. 彦根遊び博
「彦根遊び博」とは、ひこね街の駅「寺子屋力石」(滋賀大学街なか研究室)で開催している談話室「それぞれの彦
根物語」で話題となった場所を訪ね、自分だけが知っている「すばらしい彦根」をつなぎ合わせて、みんなで楽しむ
「あそび博覧会」に進化させたもので、その一部をここで紹介する。
2007. 6. 23 「天寧寺で遊ぼう」
「佐和山周辺で遊ぼう」
2007. 9. 8 「脇街道・七曲がりで遊ぼう」
「鳥居本宿で遊ぼう」
2007. 9. 15 「天寧寺で遊ぼう」
「佐和山周辺で遊ぼう」
2007. 10. 13 「士魂商才の道で遊ぼう」
2007. 10. 20 「芹川堤の自然と歴史で遊ぼう」
「彦根城内の自然で遊ぼう」
2007. 11. 11 「善利組組屋敷界隈で遊ぼう」
耐震補強工事
2007. 10 ひこね「街の駅」寺子屋力石の耐震補強工事
指導:柴田いづみ(滋賀県立大学教授)他
2007. 11 改修事例を公開
彦根古民家再生トラスト
2007. 12. 1 辻番所・足軽屋敷保全の募金活動「彦根古民家再生トラスト」の開始
2008. 3. 15 第一回 芹橋・辻番所シンポジウム
第一部 足軽辻番所を見学し芹橋地区を探訪する
第二部 足軽辻番所の生成と活用を考える
講師:濱崎一志(滋賀県立大学教授)
山崎一眞(滋賀大学教授)
第三部 芹橋地区の未来を考えるために
講師:青木仁(東京電力技術開発研究所主席研究員)
彦根景観シンポジウム
2007. 6. 9 第一部 講演:世界遺産とは
講師:谷口徹(彦根市教育委員会)
第二部 井伊家発祥の地―浜松市引佐との交流会
第三部 彦根の街を歩こう「彦根遊び博」
2007. 10. 20 第一部 講演:世界遺産をめざす彦根の課題
講師:西川幸治(元滋賀県立大学長)
第二部 討論:彦根城の世界遺産登録への期待
第三部 彦根の街を歩こう「彦根遊び博」
星空映画祭
2007. 8. 27 上映映画「たそがれ清兵衛」 場所:旧彦劇跡地(四番町スクエア)
町家実測調査
2007. 10. 17 辻番所を持つ足軽屋敷(芹橋・磯島家)
10. 29 実測調査:濱崎一志(滋賀県立大学教授)
11. 4 亀山芳香(滋賀県立大学大学院生)他
町家活用
2007. 3. 25~ まちかどギャラリー 場所:銀座商店街
2007. 11. 25 オーナー:角省三(彦根景観フォーラム会員、滋賀作家クラブ)
2005. 10. 16~ ひこね街の駅「寺子屋力石」 場所:花しょうぶ商店街
2008. 3. 16~ ひこね街の駅「戦國丸」 場所:花しょうぶ商店街
駅長:小杉共弘(近江野菜「彩菜」)
彦根まちづくり情報誌『きらっと彦根』
2007. 4. 10 通巻8号 彦根あそび博スタート400年のまち・魅力いっぱい他
2007. 7. 10 通巻9号 秋の「彦根あそび博」400年のまち・世界遺産シンポ 他
2007. 10. 10 通巻10号 世界遺産をめざす彦根の課題 他
2008. 1. 10 通巻11号 彦根城下町のシンボルを守れ 辻番所・足軽屋敷保全へ募金 他
第一部 足軽辻番所を見学し芹橋地区を探訪する
第二部 足軽辻番所の生成と活用を考える
講師:濱崎一志(滋賀県立大学教授)
山崎一眞(滋賀大学教授)
講師:濱崎一志(滋賀県立大学教授)
山崎一眞(滋賀大学教授)
第三部 芹橋地区の未来を考えるために
第一部 足軽辻番所を見学し芹橋地区を探訪する
第二部 足軽辻番所の生成と活用を考える
講師:濱崎一志(滋賀県立大学教授)
山崎一眞(滋賀大学教授)
実測調査:濱崎一志(滋賀県立大学教授)
亀山芳香(滋賀県立大学大学院生)他
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【第 1 回 4 月 21 日(土) 「雨壺山の自然と歴史で遊ぼう」のコース】
雨壺山コースでは、長久寺の住職より、本堂をはじめ、源頼朝のお手植え
の樹齢 800 年の紅梅、番町皿屋敷伝説のお菊の墓や現存する 6 枚の白磁の
皿など、興味深い話を拝聴した。その後、新芽が芽吹く雨壺山を歩き、木々や
野草、花々に触れ、森林浴を楽しむとともに、新たに知ったことも多かった。た
とえば、サクラのフゲンゾウ(普賢象)の由来は、葉化した雌しべが普賢菩薩
の乗る象の鼻に似ていることから名付けられたとのことである。歴史や自然
について、知っていること、感じることを互いに語り合い、理解していく楽しい
時間であった。
【第 2 回 4 月 28 日(土) 「高宮宿で遊ぼう」のコース】
この日は、ゆったりと高宮宿を見て回った。高宮布問屋の旧布惣を訪ね、当時、掲げていた「織本高宮嶋」という看
板や、かつては 5 棟あった蔵の一部などを拝見した。また、旧商家を自治会館として活用している「仲町会館」も見学
した。この日、ガイドしていただいた地元の方の話術の巧みさ! 貴重な時間を過ごすことができた。
【第 5 回 9 月 8 日(土) 「鳥居本宿で遊ぼう」のコース】
近江鉄道に乗り、レトロな気分で鳥居本駅に到着。旧鳥集会所(湖東焼自
然斎住居跡)で、地元の方より鳥居本宿の昔話や、現在の話題についてお話
いただいた。その後「赤玉神教丸」で有名な有川製薬を訪ねた。神教丸の暖
簾が掛かった歴史を感じさせる店先で、ご主人より、350 年にわたる歴史を聞
いた。現在の建物は建てられて 200 年ほど経つ。店の隣には明治天皇が北
陸巡幸の折りに小休所とされた御門と奥庭があり、史跡指定を受けていると
のことであった。本陣跡、道標、歌舞伎でしられる「法界坊和尚」の鐘が残る
上品寺、当時軒を並べた「合羽屋」の看板など、鳥居本宿は今でも風情が残る町並みであった。
鳥居本をあとにし、中山道から彦根道へ進み、佐和山の切り通し近くのトンネルを抜け、彦根城下まで歩いた。「近
くでありながら、旅をしたような気分ですね」。参加の方からの感想であった。
【第 6 回 9 月 15 日(土) 「佐和山周辺で遊ぼう」のコース】
佐和山研究会の方の案内で、今も残る土塁跡や湖東焼窯場跡、石田三成
屋敷跡を巡り、時々に佐和山城の歴史や多くの謎について説明を受けた。
井伊家の信仰が篤かった仙琳寺では、大きな山門に感銘を受けた。禅宗の
寺院である清凉寺では、すばらしい庭と井伊家歴代の菩提を特別に拝観し、
併せて、禅の極意とは「時を点ととらえ、線と考えないこと。今この一瞬を十分
に生きること」と教わった。
さらに進んで、井伊神社、大洞弁財天長寿院に向かう途中で、本物の甲冑
を身にまとう戦国武将の姿の人に遭遇した。周りを取り囲んで、さわったり、
質問したりとおお賑わいとなった。
佐和山一夜城プロジェクトの開催されている東山公園では、戦国甲冑劇団
の迫力満点の立ち回り、思わず笑えるせりふやアドリブに、500 人近い観衆
は大興奮であった。
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4. 彦根古民家再生トラスト -シンポジウム
江戸時代、彦根城の外堀と芹川に挟まれた芹橋地区には、彦根藩最大の
足軽組織「善利(せり)組」の組屋敷が約 700 戸あった。現在は 30 戸ほどに
減ってしまった。その中の 1 つ、見張り小屋「辻番所」を備えた足軽屋敷も売
却されることとなった。地元の人たちによる「善利組足軽倶楽部」と NPO 法人
彦根景観フォーラムが、「彦根古民家再生トラスト」を結成し、この古民家を
買取・再生するために、市民有志によびかけて寄付金を募る運動を開始し
た。
シンポジウムは、このトラストが実施する初めての活動で、この「辻番所」を備えた足軽屋敷の保存とまちづくりを考
えることを目的としている。平成20年3月15日、彦根市芹橋2丁目の現地一帯で開かれ、市民ら約80人が参加した。
第1部の会場は辻番所で、谷口徹氏(彦根市教育委員会)が、足軽の組織や役割、辻番所の機能(足軽が交替で
辻番所に詰め、小窓から通りを監視していたこと)などを説明した。参加者は、建物(足軽屋敷と辻番所)の内部を見
学した後、目板塀と門とで構成される町なみと城下町特有の「どんつき」や「くいちがい」が残る町割りを散策した。
第2部は、四番町ダイニングのホールで、濱崎一志氏(滋賀県立大学教授)
が辻番所や主屋の構造、柱や床下の状態や耐震補強の必要性などを解説
した。辻番所は腐食や度重なる車の衝突で早急な修復が必要であり、足軽
屋敷も白アリ被害があり補強が必要とのことである。
ついで、トラスト理事長の山崎一眞氏(滋賀大学産業共同研究センター教
授)が、辻番所・足軽屋敷を「足軽コモンズ」として活用する構想を提案した。
これは、①地元の人たちが自分たちの共有空間として活用しつつ、②彦根を
訪れる来訪者に地元の歴史を伝え体感する場を提供し、交流を図る、③点在
する本物の足軽屋敷をめぐる「歩く足軽博物館」の核施設としても機能させ、
④彦根城→キャッスルロード→四番町スクエア→足軽組屋敷地区→芹川け
やき並木の新散策路の形成につなげるものである。
これについて、地元の方から「地域に住む生活者の視点が抜けていない
か」と質問があり、「4月から住民のみなさんと話し合うワークショップを行い、
生活者の意見を踏まえたい」という意見の交換があった。
第3部は、青木 仁氏(東京電力技術開発研究所主席研究員)による「芹橋
地区の未来を考える」というテーマの講演であった。青木氏は、「日本型街づ
くりへの転換(ミニ戸建・細路地の復権)」(学芸出版社/2007)などの著書が
あり、芹橋のような狭い路地を拡幅してクルマが自在に入れる広い道路をつ
くる近代的まちづくりが、景観保全上も都市経営上も行き詰まっていると指摘
した。
そして、持続可能な都市経営の視点から、脱クルマのまちづくり、人が歩く
ことを基本とする細路地のシステムを再評価すべきだと提言され、いくつかの事例を紹介された。
また、防災上の最大課題である地震での倒壊と火災の延焼の危険についても、狭い道路が被害を拡大させるとし
て道路拡張や都市改造に結びつけるのは誤りで、個々の建物の耐震性と耐火性の向上こそが課題であるとされた。
意見交換では、芹組足軽倶楽部の会員で芹橋地区の自治会長でもある渡辺氏が、足軽屋敷の保全にむけた地域
での取り組みを紹介され、参加された市議会議員の皆さんが、彦根市で新設された「文化財保護基金」の活用の可
能性について報告された。