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演劇的手法を用いた国語科学習指導の研究―平田オリザ演劇論を中心に―

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Academic year: 2021

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- 209 - 演劇的手法を用いた国語科学習指導の研究 一平田オリザ演劇論を中心に一 教科・領域教育専攻 言語系コース(国語) 津 光 太 郎 1.研究目的 昨今の教育において、コミュニケーション能 力の向上が目標とされている。そのために注目 されているのが演劇的活動を用いた指導である。 しかしながら、役割読みから実際の劇化まで 演劇的活動の幅は広く、教師に求められる力量 も高いものとなるため有効な手法ではあるが、 実際に広く行われているとは言い難い。 そこで、より多くの教師に扱える演劇的教育 手法について考察する。つまり、演劇の訓練に 用いられる手法を通して学習者の身体に対する 意識を高め、適切に表現する能力に培うととも に、学習者に身体と思考との両面から体験的な 理解を促す演劇的教育手法を提案したいと考え る。 そのために、J演劇によるコミュニケーション 教育を提唱し、自身も数多くの実践を行ってい る劇作家、平田オリザのワークショップ活動を 範例として、教育現場で容易に実践ができる演 劇的手法を用いたワークショップ活動の提案を 行う。 その際には先行研究の分析によって、これま でに明らかにされた平田オリザのコミュニケー ション観をまとめた上で新たな視点を開拓する。 次いで平田オリザが実践した演劇的手法を用 いたワークショップ型授業を分析してその要素 と効果とをまとめ、その後にこれらを用いた平 田オリザのワークショップに考察を加えた上で、 筆者が考案したワークショップを提案する。 指 導 教 員 余 郷 裕次

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論文の構成 序章 研究の目的と方法 第1章演劇的手法を用いた国語科教育 第 2章 劇 作 家 か ら 見 た 演 劇 的 手 法 第 3章演劇的手法を用いた活動の提案 終章 研究のまとめ 3.論文の概要 第 1章では、先行研究として、神永(2014)の 分析を行い、平田オリザのコミュニケーション 観と平田オリザが捉えたコミュニケーションに ついての問題点とをまとめた。 平田オリザはコミュニケーション能力を、周 囲や相手の環境に合わせて、自身の意思を伝え る力だと捉え、次のように定義している。 1例えば時聞が限られているとか、組織内の 権力構造が強いとか、当事者達がパニック状 態にあるといった場合でも、きちんと相手の 気持ちを慮って、自分の意思をうまく伝えら れる力が、私は本当の「コミュニケーション 能力」だと思います。 さらに、人間にはこの能力がすでに潜在的に あるものだと考えていることがわかった。 コミュニケーション問題については、子ども のコミュニケーションに対する意欲の低下の他 に、ライフスタイルの変化によるコミュニケー ション能力の多様化が挙げられている。また、 これによってかつては見逃されていたおとなし 1主要参考文献①、 p.16

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- 210 - い子どもや、口下手な子どもが、コミュニケー ション能力の低い層として認知されることによ るコミュニケーション問題の顕在化が原因とし て述べられていることがわかった。 第 2章では、平田オリザが執筆した台本型教 材と、本人による実践とを分析し、演劇的手法 の定義を措定した。台本型教材は平田オリザが 提唱する「現代口語演劇論jに則った、極めて 話し言葉に近い文章が用いられていた。実践で はとにかくやってみることと、なぜうまくいか ないのかの反省とが主な活動で、あった。 これらの分析によって、平田オリザの実践に は「見る一見られるJの関係性が構築されてい ることが析出された。ここから、「普段無意識的 にやっていることを意識的に行うことにより自 分自身の行動をメタ的に認知し、意識する」こ とを演劇的手法の定義とした。 第3章では、第2章で定義した演劇的手法を 用いて、平田オリザのワークショップ活動を考 察し、その後に筆者が活動を提案した。 平田オリザのワークショップ活動は、ゲーム 形式であり、遊びの工夫の中で自身の思考や身 体に対する意識を高められる構造である。これ らの活動では主に自身の思考に対するメタ認知 的効果が期待できると言える。 これを受けて筆者は、演劇の訓練法を取り入 れることにより、主として身体に対する意識を 高める活動を提案した。これらは演劇の場では 演技技術の習得のために行われる訓練である。 しかしながらここでの活動はそれを目的とし たものではなく、普段の生活の中で無意識的に 行っている動作を意識的に行うための活動であ る。そのため、普段は無意識下で制御されてい ることについて、平田オリザの提唱する「ニュ ートラルな身体Jを基準とした活動を設定した。 本論文において提案する活動は、以下の四つ である。 (1)ワークショップ活動「呼吸」 (2)ワークショップ活動「姿勢J (3)ワークショップ活動「発声」 (4)ワークショップ活動「音量」 これは、無意識に動かしている身体に意識を 向けることで、自身の身体がどのように動いて いるか、また、どのように動かしているのかを 理解することができるものである。また、身体 に無意識的に掛けている負荷に気づくことによ り、身体の緊張状態を解くことで潜在するコミ ュニケーション能力を十全に発揮できる状態を 作り出すものである。 4.今後の課題 今回の研究では、平田オリザの演劇的手法を 用いて、コミュニケーション学習指導の提案を 行った。しかしながらこれは提案であるため、 実際に有効な活動であるという実績がない。実 際の子どもがどういった反応をするか、活動に 適齢が存在するか、といった懸念もある。また、 提案したワークショップを改良していくことで、 効果を保ったまま容易に実践できるようにした い。今後の研究においては、提案したこれらワ ークショップ活動の有効性を検証することと、 ワークショップを実践して得た結果を活動にフ ィードパックすることとが課題となる。 5.主要参考文献 ①平田オリザ、蓮行『コミュニケーション力を 引き出す~ PHP研究所、 2009年 ②平田オリザ『わかりあえないことから』講談 社、 2012年 ③神永裕昭「平田オリザが捉えるコミュニケー ション教育の課題と今後の展望」全国大学国 語教育学会発表要旨集(126)、2014年

参照

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