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序盤囲碁概念の観測可能化

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Academic year: 2021

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序盤囲碁概念の観測可能化

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電子技術総合研究所

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碁の序盤は、読みが主力となる中盤や、計算の可能な終盤と比べ、感覚(経験に基づく直 感)で処理されることが多い。序盤局面の記述で頻出する、模様、弱石、厚みなどの用語もほと んど定量的な定義なしで用いられている暖昧な概念である。このことは、人聞の高度な知識をコ ンピュータ碁に導入する際に大きな障害となっている。本論文の目的の一つは、これらの抽象 的、感覚的な布石戦略概念を、観測可能な属性を導入し、定義可能なレベルの基本用語で記述す ることである。以下、各節の内容をの簡単に述べる。まず、序盤問題集を教材として、鍵となる 囲碁用語を洗い出す。この用語をキーワードとして、問題例を分類し、いくつかの典型的な序盤 戦の型を求める(第2節)。キーワードとして用いた囲碁用語をいくつかの観測可能な属性に分解 し、必要により、新しい用語を導入し、定義する(第3節)。定義された用語を用いてさきに求め た序盤戦の型を、 「序盤戦略ケース J として定式化する。また、その応用についても述べる(第4 節)。最後に今後の課題とまとめを行う(第5節)。 2. 例からの知識獲得

2

.

1

テスト問題について テスト問題は棋道 (199ト 1997)[4] の「段位認定テスト J の序盤問題約 300題を対象とした。そ のうち、妥当でないと判断した 19題を除外した。除外したのは、次の 3 つである。

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50手を大幅に越えた。 2. 部分的な読みが必要。 3. 定石選択問題。

(2)

-117-また、問題形式は、 4つの選択肢の一つを選ぶ選択問題である。解答は短い解説っきで、各選択 肢に評価点(順位点)が与えられる。また、正解率も記載されており、難易度の目安になる。 特長:正解手が、最善であることが説明できるような局面が選ばれている。

2

.

2 学習する知識内容 学習の対象とした知識は、一つは、局面のある特徴に対してどのような手が良い手となるかとい う、 (局面特徴、推薦手)の組であり、もう一つは、各組に含まれる手がどの程度良いかを評価 する方法である。後者は、異なる組から出てきた推薦手の優劣順位を決めるのに必要となる。

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.

3

知識抽出の方法 組(局面特徴、推薦手)の知識獲得手順の概略は以下の通りである。この手順によって得た結果 は4節でのベる。

1

)解答解説から、説明に用いられる基本的な戦略対象やその属性を表す用語を洗出し、出現頻 度などにより整理する。これらの用語を「基本戦略対象用語」と呼ぶ。

2

)問題の最善手に関連して、その説明に現れる頻度の高い基本戦略用語をキーワードとして、 問題の分類を行う。

3

)各分類に含まれる問題数に極端なバラツキがないように調整を繰り返す。すなわち、大きす ぎる分類は、より具体的な基本戦略用語を用いて細分化し、小さすぎる 分類は、類似する分類 に統合する。分類の個数は識別可能なかぎり、少なく抑える。 最終的に得られた戦いの型を「序盤戦略ケース J と呼ぶ。 ある組での推薦手の具体的な評価法は、解答の説明には含まれていなし、。ただ、手掛かりは、同 じ問題の中に異種の組からの推薦手が候補手として出てきた場合、少なくとも両者の優劣が解答 の中で示されることである。 しかし、問題は、同種の組であっても、その推薦手の価値は、局面 特徴の量的な差異によって、かなり変動することである。従つである問題図で、タイプA とタイ プ B の組が共存して、この問題図では、タイプA からの推薦手がタイプ B より優れていたとして も、別の問題図で常にこの順序になるとは隈らない。 3. 基本戦略対象用語 前節の、序盤問題集の解答説明で、出現頻度の高い用語は、模様、弱石、根拠、厚み、壁、外 勢、大場、急場などがある。ここで、用語は、盤上での対象(石のパターン)に対する用語に限 定している。この中から、特に、模様、弱石、大場、壁の4語をキーワードとして採択した。その 理由は、比較的観測可能な対象(石と空点の形態)との関連性が高いこと、及び、その他の用語 をある程度代表できることである。これらの定量的な定義の一例を紹介する。(この定義は、一 意的に定まるよう性質のものではない) -弱石:可能手抜き数 PON 孟 l の群 PON については文献[1]参照。 -大場:序盤早期(手数20手以下)で、辺の 3 線または 4 線上の位置で、かつ距離が L 間 (L 孟

3

)の石の対峠のある場所。但しその場所にどちらが着手しても弱石とならない。 対峠構造など辺手については文献 [3] 。 -壁:次の条件を満たす群。1)包囲網にサイズ 9 以上の出口(連続した4次ダメ点が9個以 上)がある。 2) 壁の長さが 4 以上。 3) PONが 4 以上。 -模様:次の条件を満たす勢力圏(等距離境界線の内側の領域)。

1

)勢力圏が底辺を持つ。 2 )二つの門石が存在すること。

(3)

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A: 模様の接点 模様の規模: 黒 (70) 、 白 (67) 模様の完成度:黒 (4) 、 白 (3) 模様の底辺長:黒 (27) 、 白 (21) 序盤戦略の型を序盤問題集のから得たが、それは、キーワードで特徴付けられる局面背景と、そ の局面に適合した候補手の組で表現される。 以下のような形式で記述する。 1)ケース名称 (n阻e) 2) 主要対象(複数可)

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5) 本ケースが最善手に対応するための付帯条件 6) 候補手位置: 7) 評価法 :出入り評価/見合い計算 8) 双対ケース: ここで、双対ケースとは、閉じ局面に対して、攻めの意図と、守りの意図で構成される対となる ケースをいう。 序盤戦略ケースのリスト 以下に、主なケースについて、ケース名称のみをリストアップする。ここで(自)は、自己双対 を意味する。すなわち、攻めが同時に守りとなる。また←→は互いに双対関係にあることを示 す。 【模様] ①模様の接点(自) ②消し←→③枠強化 ④打込み←→⑤芯強化 ⑤拡大←→⑦拡大拒否 ③火種石のサパキ←→火種石の取切り。 【弱石] [根拠] ①根拠の接点 (自) ②確保←→③奪取 ④強化←→⑤弱化 ⑤根拠と地の接点(自)

(4)

-119-[根拠以外]

⑦弱石の接点(自)③弱石と模様の接点(自) ③強化←→⑬攻め

[辺の開拓】 ①模様の底辺拡大) ②模様の底辺限定 [異色対峠] ②ヒラキツメ(自)③バランスのヒラキ(自)④一杯のツメ←→⑤砦 ⑤ツバメ返し [同色対峠] ⑦打込み←→」③囲い ⑨ワリウチ←→⑮固い ⑬凝らし [壁】 ①隅の外壁強化←→②隅の外壁分断①辺の外壁形成 ④内壁の補強 5. 考察と結論 ・成果の概略 囲碁の感覚的思考を解明するために、特に序盤に焦点をあて、テスト問題分類手法によって、戦 略上、中心的な役割を果たしていると思われる対象概念:模様、弱石、厚み(壁)、大場の4つを 選びだし、定量的な定義を試みた。これらの対象は不定形な石のパターンであるため、位置決め の目的で、多くの補助的な図形記述用語を導入した。候補手の評価に関して、不定形パターンの どの部分をどのように測るかという作業はほとんど感覚的に処理されていることが、改めて確認 された。人聞は候補手評価について、出入り計算、石の効率、見合い、形勢判断など様々な要素 を総合的に考慮して行っていることは間違いないが、その詳細ななプロセスは、明らかではな い。ここでは、評価法にに関して、いくつかの仮定を導入し、出入り計算をベースとした着手評 価法を提案し、実験を試みた。この件については、紙数の関係で報告することが出来なかったが またの機会に譲りたい。辺手(大場手)と模様手に関しては、かなり整合性のとれた評価値を得 ることができた。しかし、厚みの評価や、石の連絡/切断などに関する評価は、十分とはいえな い。これらは、石の効率に関する評価を必要としており、出入り計算の手法では、カバーできな い要因であるためと思われる。また、評価のために導入した様々な仮説に関しても、実験を繰り 返しその正当性を確認する必要があり、今後の課題としたい。 -知識獲得方法についての問題点 今回、知識獲得の手段としてテスト問題の分類をおこなった。この分類は、全て人力で行った。 300題程度なので処理可能であったが、 1000題程度が限界かと思われる。今回行った分類では、最 終的に 30あまりのケースにまとめたが、途中では何度もクラス分けをやり直し、新しい用語も定 義した。 参考文献

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1558

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pp.265-281

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参照

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