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変電機器の高度化・高信頼化技術

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Academic year: 2021

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エネルギーを支える基盤技術

変電機器の高度化・高信頼化技術

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Equ■Pment

l≡芸健忘:*

ガス遮断器 ガス絶縁開閉装置 F二 斤e乃'オcカ才∧bねz′オ 打g乃 7七たα如sゐオ ヤ叩軒 ▲r敷地 がタ㌧-・・-・・一1. }一生 !舶 鎌田 譲* 堀 康郎*** 避雷器 放電現象

高電圧工学

過渡現象 電気回路 l

伝熱・流体工学

診断・予防保全

基盤技術

有機・無機化学 計測

電磁気・機械工学

分析

\も

電力系統 送電・配電 オ㌣ n∠Z〟m 鮎7邦αJα i匂5乙f7省肋γオ 変圧器

大電流工学

計算・解析工学

材料・物性工学

充実した基盤技術から醸成される変電機器新技術 変電機器の高度化・高信頼化を図るためには,さまざまな基盤技術が必要である。日立製作所には研究所,開発本部,工場が三位一体となっ て育成した基盤技術があり,変圧器,遮断器,ガス絶縁開閉装置,避雷器などの新技術を開発している。 変電機器の基盤技術は,電磁気学,機禾戒工学,高電圧 工学,大電流工学を主軸に,計算工学,伝熱工学,流体 工学,材料物性工学などを包含する総合科学技術である。 日立製作所は,変電機器の信頼性向上,小型化,低コ スト化,大容量化を目的に,研究所,開発本部,工場が 三位一体となって,変圧器の絶縁技術を初めとしてガス 遮断器のガスi充解析技術,ガス絶縁開閉装置の三次元電 磁界解析技術,絶縁協調の合理化に必要な避雷器素子材 料などの基盤技術の充実と高度化を図ってきた。これら の技術は,現在実証試験中の100万ボルト変電機器にも 生かされている。

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(2)

316[]立評論 Vol.79No.3(1997-3) 1.はじめに

電力系統の大規模化・複雑化が進む中で,系統の信頼

性向上,電力コストの低減がいっそう強く求められてお

り,変電機器についても小型化,大容量化,低コスト化,

高信頼度化が必須の技術課題となっている。これら変電 機器の技術開発には,高電圧絶縁技術,大電流遮断技術

を中核として,それらを支える材料,計測,解析など幅

広い基盤技術の充実と高度化が必要である。 ここでは,これら基盤技術の高度化から生まれ,21世 紀へつながる技術の例として,変圧器の絶縁技術,ガス

遮断器のガス流解析技術,ガス絶縁開閉装置における金

属異物の挙動解析技術,および絶縁協調の合理化に必要

な避雷器素子の材料技術について述べる。

2.変圧器の絶縁技術

変圧器は,変電機器の中で最も複雑な構造を備えてお

り,絶縁技術に優先性が与えられている。超高圧大容量

抽入変圧器では,油隙(げき)とプレスボードバリアが複

数交互に配置され,絶縁と冷却を兼ね備えた複合絶縁構

造となっている。しかし電圧の負担から見れば,材料の

比誘電率の差によって絶縁耐力の低い油隙部分に高い電

界が発生する構造が避けられず,これを改善する技術は

実用化までには至らなかった。 電力機器に富インパルス電圧式験が課せられるように なった当初から,変圧器巻線の電位振動の問題が注目さ れ,変圧器線路側端子への入力波形に対するコイル各部 被覆Cl=3.5 カー%%肋

、油よくさび)磯

ーe2=2・2p2_

-.■芦澤海義汲巧-サ

如ヰ_ -・革畠IE3 P P6 彰菱

E2=宝E3

e:比誘電率.∈:電界 (a)コイル間絶縁での電界 1.5 (1.0=⊃ ⊂1 酷 脚0.5 被 油 覆 楔 1.60.2

「■

ス絶 油 被

下線

サ 楔覆 6.4mm O.21.6

「●

し._. 設計基準 注:-(£3=4・7) P2 P3 P4P5 P6 位置 (b)電気力線PlからP6 の様子 に沿った各部の電界 図1 変圧暑引こおける誘電率整合絶縁 低誘電率プレスボード材料の開発により,油隙部分に発生する局 部的な高電界を低減し,変圧器絶縁信頼性の向上を図る。 78

の電位計算技術の開発が望まれていた。

これらの最近の成果について以下に述べる。 2.1誘電率整合絶縁 誘電率整合絶縁は,プレスボードの比誘電率をコイル

電線の絶縁被覆であるクラフト紙と同一のレベルまで低

減し,油隙部分に発生する高電界を緩和して,絶縁信頼 性を向上させることにある。変圧器の典型的絶縁構造で

あるコイル間絶縁について考えてみると,図l(a)に示す

ように,絶縁破壊は電気力線PlからP6に沿って起きよう

とする。電気力線上での各点の電界を解析によって求め

たのが同図(b)である。絶縁破壊の出発点となるくさび状

の油隙部分に誘電率の比に相当する高い電界が発生す

る。絶縁スぺ-サの比誘電率を4.7から3.5に低減すると,

その部分の電界は同図から明らかなように,比誘電率の

大きさに比例して低減する1)。

誘電率の低いプレスボード材料の開発により,合理的

な絶縁構造を実現した。 2.2 電位振動

変圧器の巻線は多数のコイル導体が渦巻状に直列接続

されている〔図2(a)参照〕。変圧器の線路側端子に雷サー

ジが侵入したとき,コイルのインダクタンス分布,相互

誘導,静電誘導により,コイル各部の電位が同図に示し

たように振動成分を持って変化する。この現象を電位振

動と呼んでいる。変圧器の絶縁設計を合短化するには,

この現象を精度よく模擬することが必要である。現在,

同図(b)に示す電位振動解析用等価回路で定数の計算や構

造の異なる変圧器への適用,EMTP(汎用過渡解析プロ

グラム)との整合モデルによる系統サージ解析との統合

化,さらに誘電体損失や周波数応答を考慮した解析など

も可能になり,絶縁設計の精度向上に貢献している2)。

3.ガス遮断器のガス流解析技術

現在,系統用遮断器の主流の座を占めているガス遮断 器では,高速で開離する接点間に発生するアークに,限 られた量のSF6ガスを吹きつけていかに効率よくアーク を消滅させるかが,性能向【Lにあたっての課題である。

ここでは,流体工学での計測・解析技術の進展による

ガス流解析の高精度化についての成果を述べる。

一遮断点当たりの電圧仕様が高くなるにしたがって,

進み小電流遮断が重要な課題になる。遮断動作過程での

各部の過渡的な電界とガス密度が耐電圧を決定するた め,ガス密度を正確に把握することが必須である。アー

クからの熱を考慮しないコールドガス流の解析は早くか

(3)

変電機器の高度化・高信頼化技術 317 コイル導体 llll l コイル問過電圧: l l 、 l l l ソ標 100

出 肘 0 Ⅷ(登出肘0Ⅷ(登出押0100(登出肘0 1.2 トS 50いS (1.2/50-S) 静電.電磁移行によるサージ伝搬 C 印カ口端付近時間 時間 時間 中央部付近 接地端付近 時間 電圧波形の時間変化 電位の過渡振動による過大な対地電圧.コイル間電圧の発生 (a)変換器における電位振動現象 l lK l

■G⊥L

■K

L⊥G

.叶R

K..

R ̄ド.

:G詩歌‡;K宕:

:G詩歌≡;K鴇G二

:G詩歌≡‡K鴇G:

l \ノ Il 、ノ l +V M HV 等価回路例(2巻線変圧器) (b)電位振動解析手法 注:略語説明 L(自己インダクタンス) M(相互インタクタンス) S(直列キャパシタンス) C(対地キャパシタンス) K(巻線問キャパシタンス) G(コンダクタンス) R(抵抗) LV(低圧コイル) HV(高圧コイル) 図2 変圧器巻線における電位振動とその解析モデル 実際の系統で発生する雷サージに対し,変圧器内部で巻線の電位がどのように分布するかを系統条件と統合して解析することが可能となった。 ら着手してきたが,より精度の高い解析が必要となり, ガス流の実測結果の数値処理との突合せによる解析精度 向上を実現した3)。

解析によるコールドガス流の密度こう配分布を図3(a)

に示す。また,シェリーレン法によって得られた所像を 数値処理したガス密度こう配の実測結果を同国(b)に示 す。これらの結果から,過渡的なL仁力変動が細部にわた って比較できるので,解析手法へのフィードバックが可 能となり,これまでよりも精度の高い解析ができること となった。進み小電流遮断時の絶縁破壊は密度こう配の 人きい領域から発生することがわかっており,新しい解 析によって構造の最適化をより精度よく推定することが  ̄叶能となった。

4.GIS(ガス絶縁開閉装置)内の異物挙動解析技術

GISl勺に長さ数ミリメートル程度の金属異物が存在す

ると,高圧導体の作る電界によって異物は浮上・落下を

繰り返し,ガが一,絶縁物や高唱位導体の表面に付着す

ると絶縁破壊の原岡となる。この異物挙動を予測するた

め,三次元の電界解析と異物の連動方程式を組み合わせ

た解析技術を開発した(図4参月別。異物挙動の解析結果

を同図(a)に示す。異物は電界が弱い∴つのシールドの中 間部分に滞留しやすいことがわかる。GIS内に設置した 実物トラップ周りの異物の軌跡と電界強度を同岡(l))に示

す。この解析技術は,トラップの位置や形状の最適化に

貢献している。 激怒り

攣【ま 可動子 ノズル 固定子 (a)ガス流解析によるガス密度こう配分布 尤 も ノズル ヤ・‡こ】 7丁 動 「q 固定子 密度こう配 大野 ∵‖.H塾■小 大鼓肝国 小 密度こう配 (b)ガス流観測画像よって数値処理したガス流密度こう配 図3 ガス遮断器のガス流解析精度の向上 ガス流計測技術の高度化によって解析精度の向上を図り,遮断部 構造の最適化と信頼性向上を図った。 79

(4)

318 日立評論 Vol.79No.3(1997づ) 高圧導体 ▲-シールド 異物の軌跡: 電界の弱い部分 に停滞 ・一片 ノ、11' 法王二三ご志・子こ 払 異物の軌跡 異物トラップ 色は電界強度を示す。 トラップ周囲は電界が 強く内部は弱い。 (8)GIS内金属異物挙動解析結果 (b)トラップ周りの異物の挙動 図4 GIS内の金属異物挙動 GIS内の三次元電界分布を解析したあと,電界中の異物(導体)の挙動を調べることにより,絶縁信頼性に優れた製品を設計することができる。 ここでは異物トラップの位置,形状の最適化を実現している。

5.酸化亜鉛避雷器の材料技術

避雷器による保護レベルを低く抑制できれば,電力シ

ステム全体の絶縁合理化,コストダウンに直接つながる。

避雷器の特性改善には素子の材料技術面からの開発が必

要で,長年蓄積された研究成果が生かされている。 (a)開発品の微構造 (瑚Ⅲ腑世)軸潜 百-Bi203

口門203

3) 主主:

[:コ(開発品)

⊂コ(従来品)

0 3 35 回折角(度) (b)X繰回折パターン 図5 酸化亜鉛素子の特性向上 セラミック材料技術の蓄積により,結晶粒径,粒界制御を実現し, 避雷器の非線形性の改善,エネルギー耐量の増大を実現した。 参考文献

その中で,非線形性の増大とエネルギー耐量の向上に

は,結晶粒径を小さくそろえることと,粒界相の安定化 が重要である。それを実現する手段として,ZnOとSiO2 の直接反応の反応量を制御することにより,平均粒径を 11卜m近傍にそろえる技術を開発し,寿命特性の向上を 実現した。開発した素子の徴構造が観察できる電子顕微

鏡写真,およびⅩ繰回折分析結果を図5に示す。粒界に析

出するBi203の結晶相のうち,γ相の成分比を高める方法

として,熱処理を9000cと800℃の2回に分けるプロセス を開発し,安定な粒界を形成することに成功した。この 技術による素子はすでにUHV(超高圧)用避雷器に採用

され,今後,適用範囲を拡大していく考えである。

6.おわりに

ここでは,変電機器の基盤技術の蓄積から得られた成

果の幾つかの例について述べた。 低誘電率プレスボードや新特性酸化亜鉛素子を生み出 した材料技術をはじめとして,変圧器の電位振垂れ 遮断 器のガス流,GIS内の異物挙動などでの解析技術,さらに ガス流観測などの計測技術は,長年にわたる基盤技術の 醸成から,新製品,新技術創生の成果として花開いたも のである。 今後も引き続きこれら基盤技術の充実に努め,変電機 器の信頼性向上,小型化,低コスト化に向けた実用技術

開発に役立てていく考えである。

1)鎌田,外:抽入大容量変圧器の新しい絶縁技術,電気学会論文誌B,電力・エネルギー部門誌112巻,4号(平4-4) 2)H.Nishimura,etal∴AHighVoltagePowerTransformerModelatHighFrequencyRegionforDesigners,平成8年電 気学会電力・エネルギー部門全国大会,No.138(平8-8) 3)白石,外:ガス遮断器の気流観測と解析技術の高度化 電気学会開閉保護高電圧合同研究会資料,SP-96-38(平8-6) 80

参照

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