「第二種電気工事士」の資格取得報告
-名古屋工業大学技術グループ専門技術研修を受講して-
○
須惠耕二,松田樹也
電気情報技術系
1 はじめに
我々は、平成
23
年度「第二種電気工事士」国家試験に合格し、免状を取得した。その準備にあたっては、名古屋工業大学技術グループが実施している「専門技術研修」の電気工事士技能研修を受講した。
資格取得を目指した経緯と受験の実際、今後の資格活用について、研修の概要紹介と共に報告する。
2 資格取得の経緯
第二種電気工事士は、家庭での電気設備修理等をする為に以前より取得したいと思っていた資格であった。
受験のきっかけは、交流が深い名古屋工業大学技術グループの諸氏と「平成
21
年度機器・分析技術研究会in
琉球」でお会いした際に、独自の「専門技術研修」を開いているとの情報を教えて頂いた事である。しかも 名古屋往復の交通費まで先方で負担下さるという。この研修に、同資格の技能試験講習があると知り、スキ ルアップのチャンスと考え、講習期間の宿泊費と受験費用を自己負担して資格取得を目指す事にした。受講は
2
名まで可能、との事で、高電圧電源の設計に長けた松田職員にも声をかけ、二人で挑む事になっ た。あいにく受講の希望を出したのが4
月下旬で、既にその年の受験申込み期間を過ぎていた為、1 年待っ て受講・受験する事にした。2.1
第二種電気工事士この資格は、低電圧(直流
750V,
交流600V
以下)の屋内配線全般を行う際に必須の資格であり、無資格 での施工は法律で禁止されている。受験は年に1
度(上期または下期のいずれか)のみであり、筆記試験の 合格者だけが翌月の実技試験を受験できる。合格率は例年ほぼ
6
割強あるものの、技能試験は制限時間があり、試験前の練習は不可欠である。近年、技能試験で出題される製作課題は、事前に回路図のみ公開(13題。うち1題が出題)されており、準備はし やすくなっているとは言え、凡ミスが許されない試験である事に変わりはない。
2.2
名古屋工業大学技術グループ「専門技術研修」の受講名古屋工業大学技術グループは、技術職員相互の技術交流を 促進する目的で学外の技術職員を対象に研修を行っている。
その特徴は、10の専門コース(2012年
4
月現在:同グループ のウェブサイトより)が用意され、研修受講に係る旅費・物品 費等を同グループが負担する事である。技術交流だけでなく、学外の技術職員のスキルアップ支援という意味でも同グループ の社会貢献の実績となっている面もあろう。
今回は、「電気工事士技能研修」(図
1)をじっくり 3
日半 図 1 電気工事士技能研修182
「技術部組織運営のためのマネジメント研修」を
1
日、計4
泊5
日の研修期間(平成22
年2
月21
日~25日 午前)となった。電気工事士技能講習は、免状を持つ梅村常夫氏と守口幸久氏の両職員が講師をされた。これまでに
10
名余 の学外受講者に教え、その全員が一発合格を果たしているそうである。工具、配線用部材、市販テキスト1
冊は全て用意されており、予備知識がなくても研修後には合格が目指せる程度になる、との説明であった。課題製作の際には、はじめに回路図から実際の工事設計図にあたる「複線図」を起こす。その方法や幾つ かの特徴的な配線の説明を受けながら、公開問題
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題を期間中に全て製作する事を目指した。施工初心者に とって3
日間という期間はなかなかタイトであり、ケーブルを間違って切断したり、圧着刻印を間違えたり と試験本番では不合格となるミスをしつつも、期間後半には十分に制限時間内で製作出来るようになった。研修中に全課題を1回ずつ製作する事が出来、受験に向けての不安がほぼ解消した事が何よりも大きかった。
受講生は我々の他に、同グループの若手職員
2
名も参加しており、同グループの人材育成の場にもなって いる、との事であった。「技術部組織運営のためのマネジメント研修」は、同グループ技術企画チームリーダ(現称)の玉岡悟司 氏によるレクチャと多角的な意見交換が中心であった。玉岡氏は、様々な場で技術組織と職員のあり方につ いての講演やパネラーとして登壇されており、技術組織運営について大変詳しい。同グループは、事務組織 と同等の技術組織としての地位を完全に確立している数少ない大学技術組織であり、その経緯や運営手法に は毎回学ばせて頂く事が多い。今回の研修が、熊大の技術部が次期中期目標の中で改組の試行を始めるタイ ミングと重なり、今回の研修でも何を目指すべきか、留意すべき点は何か等を深く考える良い機会となった。
初日の夜には、名工大の既知の方々が集まって懇親会まで開いて下さり、技術だけでなく親交も深めさせ て頂いた。組織運営の裏話も数々聞けて大変楽しく、かつ有意義なもう一つの「研修」であった。
2.3
受験対策と試験合格筆記試験は
50
題中30
問正答で合格となるが、電気理論・回路理論を学んだ者でも、電気工事に関する法 令や実例が多数出題されるので簡単ではない。オーム社の「筆記試験標準解答集」で過去10
年分の問題を繰 り返し解き、自分が苦手な傾向の問題を一つずつ潰していく作業がもっとも効果があった。筆記試験を合格 しない事には先がないので、受験申込み以降の約2
ヶ月(上期受験を選択)、集中して勉強した。筆記試験は 平成23
年6
月5
日にあり、自己採点では47
問正解であったので、すぐに技能試験に向けて練習を開始した。技能試験に向けては、自前の部材に消耗品の線材を買い足して
2
名で交互に使用した。節約のため、線材 を他の問題でも再利用したのだが、徐々に規定寸法より短くなる線材を用いて、仕上がり寸法を変更しなが ら練習した為か、本番で明らかにされる「施工条件」への柔軟な応用力が身についたと感じる。試験直前に は、全ての課題を制限時間内に問題なく作り上げられるようになっていた。技能試験は平成
23
年7
月23
日に受験した。運よく製作課題の中では平易な課題の出題だった事もあり、40
分の試験時間の後半にはゆっくりと見直す時間も取れた。9 月初旬に、合格通知を受け取り、熊本県庁で 免状交付手続きを行い、後日郵送にて受け取った。3 資格取得の意義と職務への応用
3.1
技術職員としての資格取得今回、受験に関する費用は全て自己負担であり、工具・部材購入・研修滞在費・受験申請・免状交付手数料 等で
5
万円ほどかかっただろうか。ちょうど学生実験担当の変更で「電力機器」担当となり、学生が交流200V
の配線をする指導をする為、受験費援助を技術部に申請したが「実験指導に資格が必須、とまで言えない」183
との判断であった。限られた予算ではよくある事だが、大学の外の世界では、有資格者が指導するのが普通 である。技術職員も、経験だけでなく資格を取得して自分の技術力を証明する努力が必要であろうし、職務 に関連する資格は取得支援されて良いだろう。この支援については今回、大きく進展したので次に述べる。
3.2
資格の職務への応用大学内では実験装置を自作したり、自力で設置したりする事が多い。中には電気配線が不適切な例もあっ て安全上問題があるという指摘はあったが、技術部では正しく指導出来る体制になかった。そこで、取った 資格は職務に活かすべきと思い、すぐに学生向けの講習会を立案・申請した。当初は学生の資格取得支援が 目的であったが、これが学内の安全環境確立の機運に乗って、技術部として学生向けの電気安全講習に乗り 出す事が決まった。「より身近な職員が研究室等を指導出来るように」との工学部長の後押しから、まずは免 状保持者を増やすために技術部内講習会「第二種電気工事士技能講習」(我々が受けた研修の焼き直し版)の 開催が決定した。今回は、予算も用意されて受験に必要な工具・練習部材・線材を人数分揃える事が出来た。
自腹で受験する事に変わりはないが、取得を支援する環境が整った事で、6名の職員が平成
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年度の資格取 得を目指している。また、自分の担当する学生実験に限らず、衛生管理者としての職務においても、事故防止策をより専門的 な視点で提案する事が出来るようになった事も付け加えておく。
今後は、当初の目標である学生の資格取得支援のための講習会も検討する。電検三種を持つ学生ならば、
技能試験合格のみで電気工事が出来るようになる等、講習を通じた資格の教育的応用の可能性はさらに広が るものと思われる。
4 謝辞
資格取得のきっかけとなった名古屋工業大学技術グループ専門技術研修で講師をして頂いた梅村常夫氏、
森口幸久氏、玉岡悟司氏と、受講の声かけからセッティングまで全面支援下さった小澤忠夫アシスタントグ ループディレクターに心から感謝申し上げる。「受講生全員合格」の伝統を無事守れた事と、本学でもスター トした「電気工事士技能講習」の取り組みをもって、受けた御厚情への御礼としたい。