憲法上の平等保護と積極的差別是正措置( Affirmative Action )に関する研究
社会文化科学研究科人間・社会科学専攻 法学領域 博士後期課程 李 倫娜
≪目次≫
序 論
第1章 アメリカ合衆国の積極的差別是正措置と司法審査基準
第1節 アメリカ合衆国の積極的差別是正措置
Ⅰ 平等保護の歴史と積極的差別是正措置 1 積極的差別是正措置の背景 2 積極的差別是正措置の誕生 3 積極的差別是正措置の危機
Ⅱ 積極的差別是正措置に関するアメリカ連邦裁判所の判例検討 1 大学入学選考手続:Bakke事件(1978年)
2 資金留保計画:Fullilove事件(1980年)
3 雇用:Weber事件(1979年)
4 解雇:Stotts事件(1984年)、Wygant事件(1986年)
5 頑固な差別に対する積極的差別是正措置:Sheet Metal Workers 事件(1986 年)
6 昇進:Paradise事件(1987年)
7 人種差別領域における厳格審査基準の確立:Croson事件(1989年)
8 女性に対する積極的差別是正措置:JOHNSON事件(1987年)
Ⅲ 積極的差別是正措置の類型 1 実施根拠基準
2 強制性可否基準 3 目的基準 4 実施手段基準
Ⅳ 積極的差別是正措置に関する論争 1 批判論
(1)逆差別
(2)集団的保障の不当性である差別現状と積極的差別是正措置 (3)実績主義・能力主義原則違反
(4)少数集団に対するスティグマ(stigma)の問題 2 肯定論
(1)保障的正義論
(2)配分的正義論 (3)社会的効用論
第2節 積極的差別是正措置に対するアメリカ連邦裁判所の平等審査基準 Ⅰ 一般的な差別審査基準
1 合理性審査 2 2段階審査基準
(1)厳格な審査(strict scrutint)
(2)最小限の合理性審査(minimum rationality test)
(3)2段階審査基準の問題点 3 3段階審査基準
4 現在の裁判所の態度 (1)最小限の合理性基準 (2)厳格審査基準 (3)中間審査基準
Ⅱ 積極的差別是正措置に対する司法審査基準 1 人種に基づく積極的差別是正措置 2 性別に基づく積極的差別是正措置
第3節 アメリカの積極的差別是正措置の廃止動向と代案
Ⅰ 州政府の積極的差別是正措置の廃止動向 1
California
州の憲法改正発議209
2Washington
州の立法発議200
3Florida
州の一つのFlorida
計画 4Texas
州とHopwood
判決 5Michigan
州の憲法改正発議2
Ⅱ 積極的差別是正措置の人種中立的代案 1 成績優秀者入学保障計画
2 社会的身分基準優遇措置の活用 3 多様な提携支援活動
4 高度に個別化された総合的入学選考制度 Ⅲ 検討
第2章 韓国の積極的差別是正措置
第1節 積極的差別是正措置の必要性と現状 Ⅰ 女性差別現状と積極的差別是正措置 1 差別現状
(1)雇用・経済分野
(2)教育分野 (3)政治・行政分野 2 現行積極的差別是正措置 (1)女性公務員採用目標制
(2)政府各種委員会の女性参加目標 (3)公企業インセンティブ制 (4)政党法上女性公薦割当制 Ⅱ 障害者差別現状と積極的差別是正措置 1 差別現状
2 現行積極的差別是正措置:障害者義務雇用制
Ⅲ 地方大学生に対する差別現状と積極的差別是正措置 1 差別現状
2 人才地域割当制導入の論議
第2節 韓国憲法裁判所の平等審査基準
Ⅰ 平等権の違反可否を判断する審査基準 1 1段階:差別待遇可否の確認
2 2段階:差別待遇の憲法的正当性判断 (1)恣意禁止原則
(2)厳格な審査が要請される場合
①憲法が自ら平等権を具体化する場合
②平等権の内容が他の基本権により具体化する場合 ③比例原則による審査方法
(3)検討 Ⅱ 関連する判例の検討
1 除隊軍人支援に関する法律第
8
条第1
項等の違憲確認訴訟 (1)事件の概要(2)決定要旨
(3)平等審査基準に関わる論点
2 国家有功者等礼遇及び支援に関する法律第
34
条第1
項の違憲確認 (1)事件の概要(2)平等審査に関係する論点
第3節 韓国の積極的差別是正措置の立法政策的課題 Ⅰ 女性雇用目標制
Ⅱ 障害者雇用目標制
Ⅲ 人才地域割当制 1 施行対象の問題
2 目的達成のための方法上の適切性の問題 (1)確定割当制の問題
(2)割当基準の問題
(3)手段の適切性問題 3 評価と展望
第3章 日本の積極的差別是正措置
第1節 積極的差別是正措置の必要性と現状 Ⅰ 女性のキャリア形成と積極的差別是正措置 1 働く女性の現状
2 女性のキャリア形成
3 雇用分野における積極的差別是正措置
Ⅱ 政治・行政と積極的差別是正措置 1 政治分野の積極的差別是正措置
2 日本の政治分野における積極的差別是正措置の必要性 3 行政分野の積極的差別是正措置
Ⅲ 経済と積極的差別是正措置 1 経済諸学説における差別
2 格差の要因と積極的差別是正措置
Ⅳ 社会保障と積極的差別是正措置
1 職業生活と家庭生活の両立支援策の必要性 2 日本の育児保障政策
3 男性労働者の育児参加促進のための政策
第2節 平等違反の違憲審査基準
Ⅰ 日本国憲法における平等原則 1 絶対的平等と相対的平等 2 形式的平等と実質的平等 3 機会の平等と結果の平等 4 平等の名宛人
Ⅱ 憲法第
14
条1
項後段列挙事由と違憲審査基準 1 憲法第14
条1
項後段列挙事由2 違憲審査基準
Ⅲ 憲法第
14
条1
項後段列挙事由と裁判例 1 人種2 信条 3 性別
(1)生物学的性差と文化的差異視 (2)生物学的性による区別 (3)性差別に対する国家の役割 4 社会的身分
(1)社会的身分とは (2)民法
900
条4
号但書 5 門地
Ⅳ 憲法第 14
条1
項後段列挙事由以外の平等問題 1 尊属殺重罰規定の合憲性2 議員定数不均衡の合憲性 (1)違憲状態
(2)合理的期間論 (3)違憲判決の効力 (4)参議院んお特殊性論 (5)一人別枠方式の合憲性 3 その他
(1)租税法規 (2)福祉受給権 (3)条例と地域間平等
第4章 積極的差別是正措置の立法政策的課題
第1節 男女共同参画社会基本法上の積極的改善措置 Ⅰ 男女共同参画社会基本法第
2
条2
号Ⅱ 男女共同参画基本計画の積極的改善措置
第2節 クォータ制をめぐる展望と課題 Ⅰ クォータ制の類型と問題点 1 クォータ制の類型
2 諸外国におけるクォータ制
Ⅱ クォータ制の有益性と合憲性 1 クォータ制の有益性 2 クォータ制の合憲性 Ⅲ 日本に対する示唆点
結 論
序 論
1 積極的差別是正措置とは
歴史的に黒人、女性、障害者などは、社会的・構造的に差別を受けてきた。現代の憲法は彼
(彼女)らの平等権を法的に保障してはいるが、伝統的な平等権の解釈である形式的平等、機 会の平等のような価値中立的な解釈だけでは実質的な平等を具現するには不十分であるともい える。積極的差別是正措置(Affirmative Action)は形式的平等、機会の平等の概念だけでは解 決できなかった実質的な不平等の問題を解決するために登場した措置である。
積極的差別是正措置は、公的および私的の機関が従来差別を受けて来た一定集団に対して、
その集団の構成員であることを理由として、直接あるいは間接的に社会的利益を分配すること で、結果的・実質的平等を実現しようと計画された暫定的な措置である。
積極的差別是正措置は、実質的平等を実現させるための積極的で効果的な手段ではある。た だ、同措置によって不利益を受けたと考えられる多数集団から逆差別という批判を受けること もある。実際、アメリカ合衆国では、同措置が過去の差別行為に対する現在の保障であるので、
これにより現在の白人または白人男性たちの憲法上の平等権を侵害しているとの理由から「逆 差別」訴訟が提起されたこともあった。
積極的差別是正措置は、平等を実現するために不平等・差別をとり除く「差別」であるため、
憲法的な正当性の根拠と許容範囲を明らかにすることが重要な問題となる。憲法上の平等の原 則は、絶対的な平等ではなく相対的な平等を意味するから、基本的でかつ特別な目的のために 合理的な範囲での「差別」は許容されるとも考えることができる。
アメリカ連邦最高裁判所の近年の多くの判決は、積極的差別是正措置について、平等原則に 反するのではないか、との疑問を表明している。しかし、歴史的に差別されてきた集団に優先 的処遇を通じて、その差別を乗り越えてこそ真の機会の平等が達成されるという点と、現在逆 差別を主張している集団の犠牲は過去差別を受けて来た集団の犠牲に比べて比較的に軽微であ るという点、そして差別是正措置がない場合には社会の多様性と平等を実現することが現実的 には困難であるという点を考えると、アファマティブ・アクションの必要性は否定しにくい。
本研究では、アメリカのアファマティブ・アクションに関する先行例研究を分析して、日本と 韓国にも適用可能な憲法的根拠を明らかにすることを目的としている。
こうした研究目的を達成するために、本研究は、憲法学の視点から女性に対する法的保護に ついて研究すること、例えば、雇用にあたっての両性の平等、企業の男性中心的なマーケティ ングからの女性消費者の保護、あるいは、女性の権利を保護し促進するための国の積極的是正 措置のあり方など、法領域横断的問題について、憲法を基点とした研究を構想している。そし て、研究手法としては憲法学における女性の権利保護、アファマティブ・アクションの問題に ついて、少数者や歴史的に不利益を負わされてきた人たちによる公民権獲得運動がいち早く実 施されたと思われるアメリカ合衆国にその先行研究が多く存在するので、かの国の判例、法理 論を参照するという手法を用いている。日本にもそして韓国にも、同じような問題がある。そ こで、アメリカ合衆国での裁判例や先行研究を分析したあと、そこからかの国に特有の法理論 とどの国にも共通であろう法理論を選び分けたあと、日本や韓国にも適用可能な一般的法理論 の構築を目指そうとするのである。
雇用差別の禁止は、禁止を超えて、これまで排除されてきた少数集団を労働市場に参入させ るべきであると、使用者に、より多くのことを求める。積極的差別是正措置は、その最たるも のの一つである。先進国において女性の雇用のための積極的差別是正措置は法律的実定化を超 えて、憲法的根拠を用意する段階に至っている。ドイツ、カナダ、フランス、そして、インド の場合でも、女性の社会においての実質的平等のため憲法改正を行ってきた。日本の場合、
1997
年に発表された「女性労働者の能力発揮促進のための企業の自主的取り組みのガイドライ ン」や1999
年に行った男女雇用機会均等法改正などの法律的対応は、女性の社会参加を成り立 たせるためにある程度は寄与していると評価されている。ただ、雇用においての女性優遇措置について、逆差別の訴えがあれば、男女雇用機会均等法
9
条や行政の見解にもかかわらず、最 高法規である憲法14
条の平等権の規定のもとで、その合憲性が問われる場合がありうる。しか し、雇用における女性に与える不利益な状況を現実的に緩和し、これを除去する努力は憲法理 論的に平等権の客観的秩序、社会国家の原理、実質的平等の実現原理によって正当化されると 思われる。したがって、憲法上の規定には社会の基本価値が含まれており、憲法の条項は他の法律の基 本前提として作用するため、雇用における女性の実質的平等を求めるためには、憲法的正当性 の根拠を用意することが先行されるべきであろう。そこで日本憲法の性差別に関る規定と、外 国憲法規定を比較法的に検討し、憲法改正の方向性を示そうと考えている。
2 多文化共生社会について
最近、グローバル化によって、女性の人権侵害などの問題が深刻化している反面で、フェミ ニストや女性の運動や政策もまた、グローバル化している。このようなグローバルな取り組み をも視野に入れつつ、男女平等や人権の問題を多文化共生や多様性をめぐる広範な視点から検 討してゆく課題が、今日の女性法学、女性研究に課せられていると思われる。
日本でも、グローバル化のもとでの女性と多文化共生に関する研究がはじまっているが、日 本では多文化共生の観念を外国人との共生問題、外国政策・移民政策の問題として狭く捉える 傾向がある。これは北米の多文化主義が、民族だけでなく、女性、性的指向、さまざまな障害 に由来する差異も含み、包括的な人権政策としての展開を示しているのに対して、日本におい ては、これらは多文化共生の問題とは切り離される傾向にある。このため、日本では、多文化 共生についても、女性の問題と外国人問題のように短絡的に理解して、両者の必然的結びつき を疑問視する傾向も少なからずあるようである。
しかし、本論文では多文化共生を性別・人権・民族・宗教・文化などの多様な属性や要素を 有する諸個人の共生のように包括的に捉えて、このような広範な視点からグローバリゼーショ ン下の女性問題や共生問題を総合的に研究しようとする。
現在の日本には、朝鮮や台湾などの旧植民地出身者とその子孫、移住労働者とその家族など の外国籍であったがその後日本国籍を取得した人々、国際結婚などにより出生し日本国籍を取 得した子供達など、民族的少数者の地位にある人々も増加し、多民族・多文化への傾向は急激 に進展している。ところが、戦後日本の外国人法制は、出入国管理法や外国人登録法などによ り外国人を管理することを主眼とし、また、民族的少数者の人権に関する法整備はなされて来 なかった。
このような状況の下で、日本においては、極めて少ない難民認定者に象徴されるように国際 人権条約上も保護されるべき外国人が入国や在留を認められなかったり、入店・入居拒否など の差別や公人による差別発言が問題となったり、民族的アイデンティティを保持するための教 育が十分に保障されていないなど、社会的または民族的少数者の人権が多くの場面で侵害され ている。
そこで外国の政策や法制度を比較法的に分析しながら、旧植民地出身者と子孫については戦 後補償を、医療・年金・生活保護および社会保障制度全般について、外国人に対しても可能な 限り日本人と同様の保障を及ぼすこと。外国人労働者につき、労働法制に基づく権利を実質的 に保障すること。国際結婚によって移住してきた女性とその子供達に公教育を受ける機会や多 様な教育の機会を法制度的に保障することを、憲法学的考えを中心に計画すべきだと思う。
3 平等権の違憲審査基準
司法審査基準論は、アメリカ合衆国最高裁判所の判例の研究を基点とするものである。審査 基準論は平等権規定である憲法
14
条の解釈にも影響を与えていると言ってよいだろう。平等権 に関する合憲か違憲かの判断基準は従来、「合理性」の基準に基づくものであった。しかしそれは合理的なら合憲、不合理的なら違憲ということの言い換えに過ぎなかったといっても過言 ではあるまい。そしてこの「合理性」の基準説は、合理・不合理の基準を一応設定しない限り、
その判定は、結局、判定者の恣意や好みの問題に帰着してしまうという問題点をはらんでいた。
例えば、売春防止法が女子だけを補導、保護観察の対象としていることは、自然的、社会的実 情からすると女子の生活の保護を目的とするがゆえに合憲だとも考えられる。しかし、性別に 拘わらず同様の処分を科す条文が想定できる以上、不合理な差別であると言うこともできるの である。ある人にとっては自然な行為が、別の人にとっては性役割を強制されたための行為で あることもよくあるのである。そこでこのような基準をより実質化し、裁判所による司法審査 に相応しいものとすることが必要であり、審査基準論がそれに果たすであろう役割は決して小 さくないように思われる。その議論の発展のために、アメリカ連邦最高裁の性差別の判例およ びアメリカの学説が、何らかのヒントを与えてくれるように思われるのである。
これを基点として、アメリカと日本の違いも慎重に考え、この問題についてのアメリカの特 殊な事情があるとすれば、日本憲法の解釈論においてはアメリカの判例や議論を単に鵜呑みに することは正しくないと思われる。アメリカでの議論は参考にはするが、あくまでも日本憲法 の下でいかなる議論が成り立つのかを日本の問題として考えることを提案しようと考えている。
政府・法令によってなされている性差別を、憲法学、その中でも審査基準論によって解決する ことを考察するのが、本稿の目指すところである。
4 本稿の構成
この論文は、上述のような問題意識から出発して、積極的差別是正措置がなぜ必要なのか、
このような積極的差別是正措置が日本憲法上正当化することができるのか、検討しようとする ものである。特に、差別的手段を使う積極的差別是正措置は、伝統的な憲法上の平等権の解釈 と緊張関係にたっている。したがって、日本憲法が、積極的差別是正措置を法的に正当化する 論拠を提供しうるのか、ここに憲法解釈上重要な問題がある。一方、積極的差別是正措置が正 当化されるとしても、それは一面で「差別」でもあるため、無制限に正当化することはできな いだろう。とすれば、その限界はどこか。この論文は、積極的差別是正措置の許容範囲と限界 も考察しようとしている。さらに、このような観点から、積極的差別是正措置の立法政策的課 題をも検討していこうと思う。
これらの問題を本稿は以下の構成のもとで検討しようと思う。まず、第
1
章ではアメリカ合 衆国の積極的差別是正措置と司法審査基準について、アメリカの積極的差別是正措置の理論と 判例を紹介し、最近の動向について検討する。次に第2
章と第3
章では、韓国と日本の積極的 是正措置について、必要性と現状および違憲審査基準について検討する。さらに第4
章では、積極的差別是正措置の立法政策的課題と展望について検討していく。
第1章 アメリカ合衆国の積極的差別是正措置と司法審査基準
第1節 アメリカ合衆国の積極的差別是正措置
積極的差別是正措置は、結果的平等を目標にして差別的な手段を使うから施行範囲に限界が あると考えられる。積極的差別是正措置は、特に差別的手段を使うので、当該措置により差別 されている反対集団から逆差別という批判を受けることがある。積極的差別是正措置の許容範 囲は、結局、具体的な訴訟を通じて判断されると言わざるを得まい。特に逆差別などの訴訟が 提起される場合、司法機関の平等審査基準を通過した積極的差別是正措置が正当化されると思 われる。したがって、積極的差別是正措置の許容範囲を明らかにするためには、司法機関の司 法審査基準を詳細に検討しなければならない。ただ、日本の場合、積極的差別是正措置の歴史 が比較的に短いため、現実的に多くの論難があるにもかかわらず、積極的差別是正措置が直接 的な訴として提起されたことはなかった。これに対して、多様な人種と文化の溶炉だと比喩さ れているアメリカでは、平等に対する社会的論議が日本に先立ってより激しく続いており、ま た、他の国に先がけて積極的差別是正措置を取り入れてもいる。したがって、アメリカで積極 的差別是正措置が発展してきた過程と米連邦裁判所がこのような積極的差別是正措置を審査し た基準などを検討することは、日本の積極的差別是正措置の許容範囲ないし司法審査基準を明 らかにするための洞察力を与えると思われる。
Ⅰ 平等保護の歴史と積極的差別是正措置
積極的差別是正措置という用語は、1961 年ケネディ(John F. Kennedy)大統領が発した 行政命令第
10925
号で初めて現われたものである。1961 年にケネディ大統領は、連邦政府や 連邦政府調達契約者による雇用において、差別禁止政策をより確固にするために行政命令第10925
号を発している。同命令によれば、人種・信条・体色・出身国にかかわらず平等に応募者が採用され、勤労者として待遇されるように、契約者が積極的差別是正措置を講じなければ ならないという条項が調達契約条項に挿入された。ここに積極的差別是正措置という用語が最 初に誕生したのである。
その後、1965年ジョンソン(Lyndon B. Johnson)大統領が発した行政命令第
11246
号で は、積極的差別是正措置の内容が規定された1。同命令は、連邦政府調達契約締結者が契約の存 続期間中、人種・体色・宗教・出身国を理由とする雇用差別を全面的に禁止している。先の行政命令第
10925
号が差別禁止及び積極的差別是正措置に関する条項を当該調達契約の移行と直接関係する雇用にだけ適用したのに対して、同命令は、当該調達契約が存続する限り契約者の すべての雇用行為に適用することでその適用範囲を拡大したのである。行政命令第
11246
号は その後二回修正された。1967 年行政命令第11375
号によって、性差別も差別禁止と積極的差 別是正措置の対象になった2。また、行政命令第11478
号によって、連邦政府も職員の雇用に おいて積極的差別是正措置を実施することができるようになった3。また、1978 年カーター(Jimmy Carter)大統領の行政命令第
12086
号は、従来10
部署に分散していた雇用差別是 正の責任を、労働省(Department of Labor)に統合させて、すべての雇用差別問題を管掌す るようにした4。そして行政命令第11246
号の執行監督機関である「連邦契約遵守局(Office1
Executive Order No. 11246, 3 C.F.R. 339 (1964~1965).
2
Executive Order No. 11375, 32 Fed. Reg. 14303 (1967).
3
Executive Order No. 11478, 34 Fed. Reg. 12985 (1969).
4
Executive Order No. 12086, 43 Fed. Reg. 46501 (1978).
of Federal Contract Compliance: OFCC)」を設置して遵守状況を監督するようにした。こ
れによって1968
年5
月に連邦契約遵守局が積極的差別是正措置のための指針を発し、その内 容は1971
年12
月修正命令第4
号によって確定された5のである。積極的差別是正措置は、1960 年代アメリカの公民権運動で誕生して以降、1970 年~1980 年代北欧及びヨーロッパの多くの国で多様な形態で試みられている。また、両性平等において 積極的差別是正措置は、1979 年に採択された国際連合(United Nations, UN)女性差別撤廃 協約で強調されるとともに、1985 年ナイロビ未来戦略などで重要に扱われることで、実質的な 平等実現を効果的に促進するための重要な措置として発展してきている。アメリカでは積極的 差別是正措置が主に人種と男女の就業と入学とに係わって論議されてきた。これに対して、ス ウェーデンやヨーロッパ連合加盟国では、雇用・教育・政治部門での女性に対する積極的差別 是正措置が主に問題になっている。
1 平等保護条項以前
アメリカは奴隷制の伝統の上で立てられた国だ。すなわち、コロンブスのアメリカ大陸発見 とヨーロッパ白人の新大陸移住後に経済を発展させる過程で不足な労働力を補うために、アフ リカで黒人たちを奴隷に連れて来て仕事をさせた、さらに黒人奴隷は社会的に認められた制度 だった。アメリカ建国の父とされるジェファーソンでさえ、黒人奴隷を所有していたのはよく 知られた事実である。
1865
年憲法修正第13
条を採択する以前に奴隷制は合憲的であった6。1868 年憲法修正第14
条を採択する前には平等保護に対するどのような憲法的保障もなかった。したがって、人種 差別に対するいかなる制約もなかった。“すべての人間は同等に創造されている”という独立 宣言の荘厳な文言にもかかわらず、黒人は憲法上決して同等ではなかったのである。それだけ でなく、いくつかの憲法規定は、明示的に奴隷制度を保護していた。連邦憲法第1
条第2
項は“自由人の総数”と“その他の
5
分の3”による下院議員の配分を規定している
7。第1
条第9
項は1808
年まで連邦議会が奴隷の収入を禁じえないようにしていた8。さらに、第5
条はこの 規定が憲法修正によって変更されることを禁じていた9。5
Affirmative Action Programs, 41 C.F.R. §60-2.11 (1974).
6 憲法修正第
13
条(1865. 12. 18. 公告)第1
項 奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ 合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連す る者が正当と認めた場合の罰とする時を除く。第2
項 議会はこの修正条項を適切な法律によって実 行させる権限を有する。(原文は、“(Section 1): Neither slavery nor involuntary servitude, except as a punishment for crime whereof the party shall have been duly convicted, shall exist within the United States, or any place subject to their jurisdiction. (Section 2):
Congress shall have power to enforce this article by appropriate legislation.”)
7 このような内容を含めている連邦憲法第
1
条第2
項、clause 3、第1
文・第2
文の原文は、“Representatives and direct Taxes shall be apportioned among the several States which may be included within this Union, according to their respective Numbers, which shall be determined by adding to the whole Number of free Persons, including those bound to Service for a Term of Years, and excluding Indians not taxed, three fifths of all other Persons.”
8 このような内容を含めている連邦憲法第
1
条第9
項、clause 1、第1
文の原文は、“TheMigration or Importation of such Persons as any of the States now existing shall think proper to admit, shall not be prohibited by the Congress prior to the Year one thousand eight hundred and eight, but a Tax or duty may be imposed on such Importation, not exceeding ten dollars for each Person.”
9 このような内容を含めている連邦憲法第
5
条の原文は、“… ; Provided that no Amendmentwhich may be made prior to the Year One thousand eight hundred and eight shall in any
Manner affect the first and fourth Clauses in the Ninth Section of the first Article; …”
南北戦争後アメリカ合衆国に南部州などを参加させることを重視した関係で、連邦憲法の文 言は、奴隷制度を暗黙裡に認めていた。連邦政府は、連邦憲法で奴隷制度を規律する権限を受 けることができなかったが、また連邦憲法が奴隷を解放させないように阻止したものでもなか った。しかし、連邦憲法第
4
条第2
項第3
節(ArticleⅣ, section 2, clause 3
10)は、州は逃 げた奴隷を返しなければならないと規定していた11。2 平等保護条項
憲法修正第
14
条が制定された当時の連邦憲法には、法の平等保護を確認する規定がなかった が、これは黒人たちが奴隷だったことに加え、女性たちが当然のように差別されていた社会の 文書として驚くべきことではない。南北戦争以前に奴隷だった黒人たちに対する広範囲な差別 は、憲法修正第14
条が制定されるようになる切っ掛けになった。権利章典以後のすべての修正 条項の中で、第14
条がもっとも重要だと言える。この条項は、以前の奴隷たちに市民権を付与 して、州が個人に平等保護を拒否することができないようにしたことに加え、誰も適法手続き によらなくては生命、自由、財産を剥奪されないことを保障して、引き継いで連邦議会にとっ てこれを執行するために適切な立法可能にする権限を付与した。権利章典が州に適用されたこ とは、憲法修正第14
条を通じるからである12。憲法に平等という単語が明示的に提示されたことは、憲法修正第
14
条13からである。5 項目 で成り立った修正憲法第14
条の中で第1
項は、“アメリカ合衆国で生まれ、あるいは帰化した 者、およびその司法権に属することになった者の全ては、アメリカ合衆国の市民であり、その 住む州の市民である…”14と宣言することで、Dred Scott 判決を破棄したのである15。このよ10 原文は、
“No Person held to Service or Labour in one State, under the Laws thereof, escaping into another, shall, in Consequence of any Law or Regulation therein, be discharged from such Service or Labour, but shall be delivered up on Claim of the Party to whom such Service or Labour may be due.”
11
Jonathan Neville, Legalines – Constitutional Law 3
rded. (Chicago: Harcourt Brace Legal
& Professional Publications 1998), pp. 79~80.
12 しかし、すべての修正条項の中で、第
14
条はその批准手続の側面で見れば最も問題視された条項 ともいえる。簡単にいえば、修正憲法第14
条が提案されたとき、Georgia・North Carolina・South Carolina
州議会はこれを拒否した。連邦議会は、これは南北戦争で北側が勝利したことを崩そうとする南部州の願いであると考えた。それで、連邦議会は南部再統合法(the Reconstruction
Act)第 5
条で、“反逆州は連邦に再加入できず、修正憲法第14
条を批准するまで連邦議会に代表を送れる資格もない”と規定した。その後、これらの州には新しい政府が発足、ほとんどの他の南部 州とともに第
14
条を批准した。しかし、Ohio とNew Jersey
の州議会は批准を撤回する決議案を 通過させた。それにもかかわらず、1868年7
月20
日、国務長官は修正憲法の通過に必要な4
分の3
の州が修正憲法第14
条を批准したと公表し(そのリストには批准を撤回したOhio
州とNew
Jersey
の州が含まれていた)、翌日である1868
年7
月21
日、連邦議会は修正憲法第14
条が連邦憲法の一部になったのを宣言する決議案を通過させ、連邦上院はこれに同意した。70 余年が経った 後
Coleman v. Miller, 307 U.S. 433 (1939)事件で連邦最高裁判所はこのような歴史を引用し、
“ 修 正 憲 法 第
14
条 の 有 効 性 に 対 す る 立 法 部 の 判 断 は 承 認 さ れ て き た ” と 判 示 し た 。Erwin Chemerinsky, Constitutional Law (New York: Aspen Law & Business 1997), p. 14.
13
1866. 6. 13.
提案されて1868. 7. 28.
効力が発生した修正憲法第14
条第1
項は、大きく4
部 分に構成されている。黒人の市民権を統一的に規定した部分、特権と面積条項、適法手続条項、平等 保護条項がそれである。14 原 文 は 、
“All persons born or naturalized in the United States and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the State wherein they reside.”
15
Erwin Chemerinsky, op. cit., p. 550.
うに“…如何なる州もその司法権の範囲で個人に対する法の平等保護を否定してはならない”
と明示的に法による平等保護を規定している。
3 差別からの保護
実際には、いかなる法律も、すべての人に例外なしに適用され、かつ、すべての人を平等に 扱うものはない。すべての法律は、特別な負担を賦課するとか、または、ある人には特別な恵 沢を与えながら他人には与えないことで‘差別’になるからである16。
平等保護条項は、専ら政府が差別あるいは仕分けを行う場合にだけ係わる。したがって、こ の条項は、政府が単純にどのような人がどのような類型の集団に属すると決めることには関連 がない。例えば、連邦議会が
1
年に1,000
時間以上を働く人にだけ社会保障恩恵を付与する方 法を作ったとしたら、これは1
年に1,000
時間以上働く人とそれ以下の働く人を区分すること で、このような仕分けに対しては平等保護条項を根拠とした違憲主張ができる。しかし、どの ような人が1
年に1,000
時間以上を働いたのかの可否に対する行政的な決定は“区分”ではな いから平等保護条項で違憲主張をすることはできず、この時は適法手続条項を適用することが できるであろう17。憲法修正第
14
条がいかなる州もその支配圏内にいる人に対して法律による平等な保護を拒否 することができないと規定しているといっても、州などは人々の間を区別をしなければならな い時がある。例えば、16 歳以上の者だけが運転免許を取得するようにしているし、福祉恩恵は 貧しい人にだけ与えている。このような事例と同じく多い法律に対して、それが人を不平等に 扱ったという理由で、違憲主張ができ、裁判所はそのような取り扱いにおいてどのような差別 が憲法上正当化されて、どのような場合が平等保護を否認するか否かを判断しなければならな い。この時、重要な点は、憲法の解釈と適用において、裁判所は、権利を妨害して差別する措 置(立法)を許容する正当化事由があるかどうかを判断しなければならないという点である。このような差別の正当化に対する裁判所の判断においては、通常、政府の差別目的が憲法上 正当性がある公益なのか否かを先に判断して、そういう目的達成のために選択された手段、す なわち、差別がその目的達成のために適切な方法になるかどうかを引き継いで判断する。そし て引き継いでこのような差別によって侵害される国民の基本権と差別で果たそうとする公益を お互いに比較、衡量する手続きが必要になる。そして、稀にではあるが、政府が選択した差別 手段以外により少なめに差別的な手段でも共益目的を果たすことができるかに対する判断もあ り得る。これは平等保護審査でも比例性原則が適用される場合があるということである。この ような判断手続きとその水準は、後述する審査の強度によって変わってくる。
Ⅱ 積極的差別是正措置に関するアメリカ連邦裁判所の判例検討
アメリカ連邦裁判所の
Brown
判決(1954 年)は、Plessy判決(1896 年)以後60
年間持 続してきた“分離すれども平等”という原則を破棄して、政府が人種的基準で差別をすること を憲法的に‘疑わしい差別’と判決した。その後、後続の判決を通じて、連邦裁判所は、黒人 にとっては、彼らの権利保護者の仲間入りをしている。1960
年代と70
年代までの積極的差別是正措置は、このように平等権が擁護される雰囲気の 中で連邦裁判所と行政府の裏付の下で発展を繰り返えしてきた。ただ、80 年代と90
年代に入 ると、これに対する政治的司法的雰囲気が急変し始めることによって、積極的差別是正措置に16
Lockhart/Kamisar/Choper/Shiffrin/Fallon Jr., Constitutional Law, 8
thed. (St. Paul, Minn.: West Publishing Co. 1996), p. 1147.
17
Emanuel, Steven, Constitutional Law Capsule Summary (Larchmont, N.Y.: Emanuel
Publishing Corp. 2000), p. 217.
対する反対が激しくなり始めた。また、連邦控訴裁判所や地方裁判所の保守的な判決は、積極 的差別是正措置を抑制するように機能した。
裁判所の政治的哲学と法的哲学の変化は、憲法解釈に影響を与えるから、連邦裁判所の裁判 官の人的構成は、アファマティブ・アクションに非常に重要な意味をもつといえる。1978 年以 後の連邦裁判所の判例をよく見れば、連邦裁判所の政治的・法的哲学が積極的差別是正措置を 制限する方向に傾いていたことが分かる。これは、将来の積極的差別是正措置の施行が縮小さ れることを暗示していたのである18。このような反対の動きは、人種差別から有色人や少数民族 を保護してきた差別撤廃措置の問題がこれからどのように進むのか、という点について注目し ている19。
1 大学入学選考手続:Bakke事件(1978年)
Bakke
判決20が全般的な逆差別の問題を解決することはできなかった。ただ、固定された割当制ではない柔軟な積極的差別是正措置の許容可能性を最初に示唆したという点で、その意味 が大きい判決である。しかし、積極的差別是正措置の手段は、割合を固定させた硬直的手段で はなくて、柔軟でなければならないという条件をつけている。一方、厳格審査基準と中間審査 基準のいずれを適用するかの問題は、Bakke事件以後継続する難題になった。
2 資金留保計画:Fullilove事件(1980年)
連邦裁判所は、Fullilove 事件21で、連邦政府補助金の中で
10%以上を少数人種所有企業に留
保するようにした議会の措置である公共事業法を合憲であると判決した。相対的多数意見とし て提示された本件には、判例として拘束力を持たないが、同判決に依拠して州政府と地方政府 は、少数人種所有企業が過去差別による現在の弊害から救済するために、資金留保計画を立案 して実施していた。しかし、1989 年Croson
事件で連邦裁判所は、Fullilove 事件と類似のリ ッチモンド市の資金留保計画を無効と判決している。同事件は、過去の差別による結果が永久的に持続しないように立案した資金留保条項を合憲 と認めたものである。そして、公共建設事業計画において、少数人種所有企業の著しい不均衡 を根拠として積極的差別是正措置を認めている。このような不均衡は、今日意図的な差別がな い場合にも続いていることに加えて、人種差別に根拠を置いて各種競争で少数集団を差別して いるという証拠としての役割を果たしている。また、過去の差別的制度は現在の経済的不平等 の原因になるという仮定を確立したが、政府調達契約において少数人種参加割合と少数人種の 人口割合を比べている。
18
Ronnie Bernard Tucker, Affirmative Action, The Supreme Court, and Political Power in the Old Confedracy(University Press of America, 2000), pp.69~70.
19
2003
年1
月15
日、ジョージ・ウォーカ・ブッシュ(George W. Bush)大統領は、ブッシュ政 権の発足以降、最も困難な決定の一つとして‘ミシガン論争’について、‘ヒスパニック系などに与 える加算点は不当であり、ミシガン大学の方式は、分裂的で不公正なものとして憲法に反するものだ’と批判しつつ、積極的差別是正措置に対して保守的な立場を示した。問題の発端となった‘ミシガン 論争’は、名門ミシガン大学に志願して不合格であった白人学生
3
人が、その不合格の原因を少数人 種学生のための積極的差別是正政策であるとして違憲訴訟を提起したことによって起きた論争である。20
University Of California Regents v. Bakke, 438 U.S. 265 (1978).
21
Fullilove v. Klutznick, 448 U.S. 448 (1980).
3 雇用:Weber事件22(1979年)
アメリカにおいて積極的差別是正措置は、主に雇用の領域で実施されている。その大部分は、
使用者によって任意で実施されたものである。この場合同措置の実施要件が問題になる。1979 年
Weber
事件で連邦裁判所は、公民権法(Civil Rights Act)第7
章は私的労働組合と私企業 が団体協約で自発的な積極的差別是正措置の合法性基準を最初に決めたものである。同判決で 提示された合法性要件は、Cleveland 事件、Johnson 事件で、公共機関によって採択された積 極的差別是正措置にまで拡大適用された23。この事件で連邦裁判所は、公民権法第
7
章は私的労働組合と私企業が団体協約で自発的な積 極的差別是正措置を実施することを許容しているとはじめて認めている。このような積極的差 別是正措置は、伝統的に人種が排除された職群において、黒人に雇用機会を付与する公民権法 の目的を反映しているので、白人勤労者の利益を不必要に侵害しないということを条件として 許容されると判決している。一方、後にCleveland
事件では、Weber 事件の法理を拡大して、公共機関の昇進において積極的差別是正措置を許容した。また、Johnson 事件では公共機関が 女性に対して実施した任意的な積極的差別是正措置を確認している。
4 解雇:Stotts事件(1984年)、Wygant事件(1986年)
少数人種や女性に対する平等保護のための積極的差別是正措置には様々な種類があるが、雇 用の上で優先権を付与することで少数人種や女性の平等な保護を求めたり、解雇において優先 的保護をする場合もある。すなわち、少数人種や女性が過少代表されている労働市場において、
差別救済のために積極的差別是正措置を実施して、少数人種と女性を多く雇用したとしても、
解雇の時に先任権制度によって同措置雇用された少数人種と女性を優先的に解雇したのでは、
労働力においてまた統計的不均衡が現われる。この悪循環を防止するためには、解雇において も優先的保護をする必要がある。
Stotts
事件24で連邦裁判所は、解雇の場合少数人種を保護する積極的差別是正措置は無効だと判決している。すなわち、解雇する場合において積極的差別是正措置と先任権制度が相反する 場合には、先任権を保護するとしたのである。Wygant 事件25でも公共機関が解雇において少数 人種を保護することは連邦憲法上禁止されると思われた。
この二つの場合、解雇の場合でも黒人を保護する積極的差別是正措置は、白人にとって苛酷 だという理由で無効だと判決されている。Powell 裁判官が主張したように、期待される利益と 既得権の喪失には差があるが、解雇を誘導する不利な与件の下で一応達成された比例的均衡を 破壊して黒人をもう一度不利な環境に処することは、彼らの平等権実現を引き延ばすことだと いえる。
5 頑強な差別に対する積極的差別是正措置:Sheet Metal Workers事件26(1986年)
この事件で連邦裁判所は、連邦憲法と公民権法第
7
章に根拠を置いて労働組合加入において の優先策を認めた。22
Steelworkers v. Weber, 443 U.S. 193 (1979).
23
Firefighters v. Cleveland, 478 U.S. 501 (1986), Johnson v. Transportation Agency, 480 U.S. 616 (1987).
24
Firefighters v. Stotts, 467 U.S. 561 (1984).
25
Wygant v. Jackson Board Of Education, 476 U.S. 267 (1986).
26
Sheet Metal Workers v. EEOC, 478 U.S. 421 (1986).
6 昇進:Paradise事件(1987年)
Paradise
事件27では連邦憲法を根拠として、警察局の昇進における優先策を確認した。この事件における直接的問題は、裁判所が命令した積極的差別是正措置の承認の可否である。しか し、黒人のための昇進割当制を認めた点にその意義がある。連邦裁判所は、使用者などが露骨 的で頑強な差別をした場合の積極的差別是正措置に対しては、他の場合よりもっと緩めた基準 を適用する態度を示したと考えられている。
7 人種差別領域における厳格審査基準の確立:Croson事件28(1989年)
1989
年のCroson
判決は、憲法的に非常に重要なターニングポイントである。なぜなら、1989
年Croson
事件に至って、初めて連邦裁判所の多数意見が形成されたからである。多数意見の形成は、Reagan政権時代の
1989
年以前に成立された連邦裁判所の構成員の変化とも関連 がある。Powell 裁判官の退任以後、Reagan が指名したKennedy
裁判官が就任した。当時、Reagan
大統領はRehnquist
を連邦最高裁長官に任命し、O’Connor(1981 年)、Scalia(1986 年)、Kennedy(1988 年)裁判官を任命した。連邦裁判所の構成員の変化は、積極的 差別是正措置に関する判決に直接的な影響を及ぼした。例えば、Powell は積極的差別是正措置 の穏健な支持者だったが、その後任である
Kennedy
は1986
年に判決された6
件の判決すべて で積極的差別是正措置の縮小や反対に賛成している。結局、1989年Croson
事件をきっかけに 積極的差別是正措置に関する分裂された見解を集めて多数意見が形成されるようになったので ある29。この判決で初めて連邦裁判所は、多数意見として、人種に基づく積極的差別是正措置に関す る合憲性判定に、厳格審査基準を採択している30。
8 女性に対する積極的差別是正措置:Johnson事件31(1987年)
この事件は、女性のために公共機関によって実施された任意的積極的差別是正措置を確認し た点にその意義がある。特に、この判決で連邦最高裁は、具体的な差別事実認定を要件にしな くとも、労働力構成において著しい統計的不均衡の存在のみを立証すれば、使用者が積極的差 別是正措置を実施することができると判断している。
Ⅲ 積極的差別是正措置の類型 1 実施根拠基準
積極的差別是正措置は、実施根拠を基準にする場合、連邦憲法、法律による積極的差別是正 措置、行政命令による積極的差別是正措置などに分けられる。積極的差別是正措置の法的根拠 としては、1964 年公民権法、行政命令、公共事業法、障害者リハビリ法、投票権法、公正住居 法などがある。公民権法第
6
章を根拠として大学入学試験における少数人種に対する積極的差27
United States v. Paradise, 480 U.S. 149 (1987).
28
Richmond v. J. A. Croson CO., 488 U.S. 469 (1989).
29
Ronnie Bernard Tucker, Affirmative Action, The Supreme Court, and Political Power in the Old Confedracy(University Press of America, 2000), pp.172~173.
30
Michel Rosenfeld, Affirmative Action and Justice(Yale University, 1991), p.204.
31
Johnson v. Transportation Agency, 480 U.S. 616 (1987).
別是正措置が実施され、また同法第
7
章を根拠として雇用上の積極的差別是正措置が実施され た。一方、行政命令第11246
号と修正命令第4
号では、連邦政府と調達契約を締結する使用者 に雇用上の積極的差別是正措置の実施を命じている。さらに障害者リハビリ法は、連邦調達契 約者に資格ある障害者のために雇用上積極的差別是正措置を実施する義務を賦課している。ま た、公正住居法では、差別的な住居慣行を禁止するために裁判所が適切だと認める積極的差別 是正措置を命ずることができると規定している。投票権法も少数人種の比例代表を保障するた めに一種の積極的差別是正措置を認めている。2 強制性可否基準
強 制 性 可 否 を 基 準 に す れ ば 、 強 制 的 な (
coercive
) 積 極 的 差 別 是 正 措 置 と 任 意 的 な(voluntary)積極的差別是正措置に分けることができる。強制的な積極的差別是正措置は、連 邦法律、行政命令、裁判所命令などによって強制的に実施されている。任意的な積極的差別是 正措置は、使用者、大学などが直接的な法的強制なしに採択して実施するものである。アメリ カ連邦裁判所では積極的差別是正措置の合憲性あるいは合法性の審査において、同措置の強制 性可否によって審査基準を変化させている。特に、裁判所命令によって実施される積極的差別 是正措置は、任意的に実施される場合より差別事実の立証がより厳格に要求されている。
3 目的基準
目的を基準とする場合、ある集団に加えられた過去の差別の不利益を補償するために実施さ れる過去指向的な(retrospective)積極的差別是正措置と、将来の平等実現を目的として実施 される未来指向的な(prospective)積極的差別是正措置に分けることができる。
過去指向的な目的の積極的差別是正措置の場合、補償すべき差別が個人に対する差別か社会 的差別かという点が糾明されなければならない。またそれに加えて過去の差別が立証されなけ ればならないとされている。
一方、未来指向的目的とは補償的目的を除いた多様な政策的目的をいう。すなわち、労働市 場や教育現場の構成員の多様性増進、少数集団の政治的代表性向上、少数集団に属している 人々に成功事例あるいはロール・モデルを提供するとか、少数集団に対するサービスを提供す るなどの目的である。
しかし、このような政策的目的だけで積極的差別是正措置を正当化することは難しく、返っ て逆差別という批判を受けるという指摘がある。未来指向的あるいは政策的目的は、少数集団 の利益をはかることだけではなく、事実上多数集団の利益も増大させることができるという点 を強調すれば、新しい視点では積極的差別是正措置を擁護できる根拠にもなる。このような分 類は、積極的差別是正措置の目的が補償的なものなのかそれとも政策的なものなのかに着目し ているが、アメリカ連邦裁判所は前者に対しては合憲あるいは合法と判断するが、後者につい ては賛否意見が分かれている。
4 実施手段基準
積極的差別是正措置を実施手段を基準として分類すれば、制度の柔軟性によって割当制
(quota)と目標制(goals)に分けられる。
割当制は、差別被害者集団の構成員という事実に基礎を置いて、機会や利益を分配する基準 をいう。ただし、この基準は、柔軟に運用されることもあれば固定的な場合もある。Bakke 判 決で連邦裁判所は、固定された割当制が許容されないと判決している。固定された割当制の問 題は、資格のない人々を選択することを強要するという点である。しかし、固定されてない柔 軟な割当制の場合、許容可能性がより大きくなる。割当制は、最低限界または最高限界を賦課 することもでき、二つを全部賦課することもできる。最低限界や最高限界が賦課された割当制
は違憲の余地が少ないと考えられる。しかし、ある集団の最低限界は他の集団の最高限界を意 味するという点で、あまりにも低く策定された最高限界の割当制やあまりにも高く考案された 最低限界の割当制などは、割当制という名前でむしろ黒人や女性の機会を害するとか、過度に 白人や男性の権利を害する恐れがある。割当制の合憲性を判断するにあたってアメリカ連邦裁 判所は、割当制の柔軟性または硬直性、永久性または日時性に注目している。割当制が雇用や 入学などにおいて資格のない人の固定された割当を強要せず、その割合が合理的基準によって 設定され柔軟である場合、その違憲性の余地はほとんどなく、そのような範囲内の割当制は拒 否されることはないであろう。
積極的差別是正措置を実施する目的は、誠実な努力によれば合理的に達成されることができ る積極的な数的標的だといえる。すなわち、積極的差別是正措置は、与えられた労働市場また は大学プログラムにおいて、男性対女性、白人対黒人に対するある割合の将来的成就を目的と しているのである。目標が固定的な場合、固定された割当制とともに違憲の余地が大きいが、
一方、数的目標が柔軟な場合、同措置は許容される可能性が大きくなるであろう。
Ⅳ 積極的差別是正措置に関する論争 1 批判論
(1)逆差別
積極的差別是正措置は、差別的手段を使うことで、再び犠牲者を発生させるので、これは補 償の悪循環を形成するという批判がある。これは機会の平等という概念を価値中立的に厳格に 解釈する立場が主張する最も強力な反対論拠である。
しかし、積極的差別是正措置として成立する好意的差別と過去の悪意的な差別とは性格が異 なる。過去の差別は少数集団を排除するための悪意的な差別であったが、積極的差別是正措置 は、少数集団に対する好意的差別を通じて、窮極的には、実質的平等を実現するという目的を 持っている。平等権が保障する平等は、今日では、絶対的、形式的な機会の平等というよりは、
相対的、実質的平等の概念に解釈される傾向にあるのである。積極的差別是正措置によって深 刻な不利益を受けた当事者は、個人的に平等権に基づいて救済できるが、それでも逆差別の論 拠が積極的差別是正措置を基本的に封鎖することは難しいであろう。
(2)集団的保障の不当性である差別現状と積極的差別是正措置
一方、積極的差別是正措置は、過去差別の犠牲者個人に対する補償ではなく、特定少数集団 に対する補償という点で、集団的補償の不当性が主張されている。すなわち、現在の受恵者や 犠牲者は、過去差別による実際の被害者や加害者ではないから、発生する不当な犠牲の問題と 受恵者が過剰に含まれているなどの問題が発生するということである。
一応、犠牲が要求される多数集団が過去差別の実際の加害者ではないという点に対しては、
多数集団が積極的差別是正措置によってある程度犠牲を甘受するようになっても、それは個人 に対する犠牲を強要するのではなく、過去差別に対する社会全体の責任を分担することだと反 駁することができる。そして、多数集団が実際加害者ではなくても、過去差別による反射的利 益を享受していることは否定できない。また、受恵者の過多な包括問題、すなわち少数集団内 でも教育と雇用の機会を享受したエリート階層は二重に受恵を受けることができる、と批判す る見解に対しては、たとえ一個人が卓越な能力で悪条件の中でも成功をすることができるとし ても、彼が少数集団の構成員としてもらわなければならなかった固定観念と偏見などの被害は 否定できない。
(3)実績主義・能力主義原則違反
実績主義(merit system)は、社会において地位、利益、機会などを配分する場合、身分や 金力のような基準ではなく、実力、能力、資格などを考慮しなければならないという原則であ
る。ところで、積極的差別是正措置は、個人の能力とは無関係な‘人種’あるいは‘性別’の ような生来的な要素を基準として最適格者を排除して資格が不足な者を選択するので、実績主 義原則に正面から違反するという批判がある。
これに対しては次のように反論することができる。実績主義あるいは能力主義が公正性を持 つためには、はじめから教育、雇用などにおいて平等な機会が与えられなければならないのに、
実際そうではなかった。例えば、アメリカで黒人は
Brown
判決の前まで同等な教育の機会を持 つことができなくて、教育を通じて潜在能力を開発する機会を持つことができなかった。また、能力を測定する手段の公正性が確保されなければならないのに、果して能力を測定するための 手段が誰にでも公正で合理的であるといえるかも疑問である。‘能力’とは、すなわちその時代 の思想、文化、制度への適応力を意味するが、これはもうその社会の既得権を維持して白人あ るいは男性の基準で黒人や女性たちの能力が測定される恐れがあるという意味である。また、
能力主義の限界に対しても考慮されなければならない。すなわち、能力による公正な競争の場 に参加さえできなかった社会的弱者を考慮しなければならないということである。
(4)少数集団に対するスティグマ(stigma)の問題
積極的差別是正措置は、少数集団に能力不足で劣等な集団という烙印を押して、その意欲を 低下させるだけでなく、劣等な地位を固着させるという批判がある。しかし、これはむしろ反 対に解釈することができる。集団に対する補償を通じて少数集団に付与されていた汚名がその 構成員ひとりひとりの能力の不足と怠惰のせいではなく、むしろ社会的・構造的差別の結果物 であることを証明して因習的な烙印から脱することができる。また、同措置によって社会の重 要な地位に少数集団構成員が布陣することで、ロール・モデルあるいは成功事例を持つことで 意欲を高めることもできる。
2 肯定論
(1)補償的正義論
補償的正義論(Compensatory Justice Theory)は、黒人、女性などは今まで事実上不当な 差別で損害を受けてきたことに加え、白人、男性などはそれによって不当な利益を受けてきた ので、これを償う義務があるという主張である。
補償的正義論に対する批判と反論は、まず、被害者、加害者は皆過去に属する人なのに補償 は現在の人が不当に受けるようになるので現在の社会的弱者に処している状況と過去の差別に よる犠牲の因果関係が不明であるという批判である32。このような主張は過去の平等侵害行為が 現在の悪影響と分離できたら妥当であるが、実際に現在の社会的弱者に対する不平等は過去の 差別と無関係ではないという点で妥当ではないと思われる。
第二、積極的差別是正措置の対象になる集団のすべての構成員が差別によって損害を受けた わけではないという批判である33。しかし、これに対しては、人種差別や女性差別などは個人に 対する差別ではなく集団に対する差別であったとの反論が妥当であろう。そのような差別は、
黒人や女性などに劣等な人間という烙印を押す結果をもたらしたし、このような無意識的偏見 は繰り返されて雇用や昇進などにおいて悪影響を及ぼしたりしてきた。
第三、集団的な補償を認めるといっても、差別をしなかった個人に負担を与えることができ るのかという批判である34。しかし、その個人がたとえ過去に直接的に差別をした加害者ではな くても、現在その差別の結果によってある程度利益を受けていることを否定することはできな
32
Alan H. Goldman, “Limits to the Justification of Reverse Discrimination”, 3 Social Theory
& Practice(1975), p.289.
33
Owen M Fiss, “Groups and Equal Protection Clause”, 5 Philosophy & Public Affairs(1976), p.107.
34
James W. Nickel, “Preferential Policies in Hiring and Admission : A Jurisprudential
Approach”, 75 Colum. L. Rev.(1975), p.539.
い。すなわち、黒人や女性たちも競争のスタートラインが同じであったら、今よりより良い状 況にあったかもしてないのである。
第四、恩恵が過大に含まれることができるという批判である。積極的差別是正措置の対象集 団のある個人が実際では差別による損害を受けなかったにもかかわらず、積極的差別是正措置 の集団的な処遇によって補償を受けるようになるからだ。しかし、過剰包摂の危険は、集団的 被害に対する集団的補償の性格上甘受しなければならないものであり、自分の努力によって損 害をすでに乗り越えた者に対しても、彼らが受けて来た包括的な差別と疎外そして侮辱は少な くとも存在したという点で、補償を受ける資格をあるという反論がある。
(2)配分的正義論
配分的正義論(Distributive Justice Theory)によれば、過去の差別によって現在公正な競 争に参加する機会を剥奪された少数集団は、これからの社会的資源配分時により大きい分配を 受けなければならないということである。配分的正義論の長所は、現在及び将来の利益と負担 を平等に分配することを要請しており、過去差別との因果関係を問題視しなくてもよいという 点である。そして配分的正義論の目的は、過去の差別の補償ではなく、過去の差別によって平 等な競争に参加することができなかった者に不利に作用した制限を緩和させることである。し たがって、多数集団の特定構成員を犠牲にすることは、差別の責任から由来したのではなく、
競争上有利な条件を抑制することに過ぎないことになる。配分的正義論は、連邦議会と連邦裁 判所が積極的差別是正措置の根拠として主張しているのである。
(3)社会的効用論
社会的効用論(Social Utility Theory)は、積極的差別是正措置が社会的要求を満たして公益 を極大化することができるという主張である。社会的効用論は過去の差別に対して言及するこ となしに、積極的差別是正措置が持っている将来の効用性を強調してその正当性を主張する。
例えば、人種や性に対する固定観念を打破して差別を受けた社会構成員の政治的、経済的地位 を向上させて社会統合に貢献する効用があり、その効用は費用(cost)を相殺するのに十分であ るということである35。
社会的効用論の長所は、積極的差別是正措置の目的を個人に対する補償や権利救済よりは、
一般的福祉、社会的効用に置くことで過去や現在の差別を立証しなくても良いし、より柔軟で 現実性ある手段を使うことができる。短所は、社会的効用性の側面からだけアプローチする場 合、平等地位実現のための‘義務’としての性格は半減されるので、政治的、現実的状況によ って積極的平等の保護が安易に放棄される恐れがある。
社会的効用論の観点から、積極的差別是正措置を実施することで期待される効果は人種や性 に関する固定観念を打破することで、個人の潜在力を偏見なしに思う存分成就させることがで きる基盤を用意することができる。また、各種教育機関や、職業分野などで構成員の多様性を 増進して、多様な背景の構成員から取り交わす挑戦を通じて、シナジー効果を創出することが できる。また、少数集団の構成員が専門職種により多く進出することで、少数集団に対するサ ービスの質と量を向上することもできる。そして根本的に機会を再分配することで、社会的不 平等を減少し、かつ社会的緊張と葛藤を解消して、社会の効率的な成長と社会統合に寄与でき る。
35