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虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

著者 豊田 弘司

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 39

号 1

ページ 137‑150

発行年 1990‑11‑26

その他のタイトル Effects of Situational Frequency and Spreading Activation on False Recognitions

URL http://hdl.handle.net/10105/1959

(2)

^SH‑.l.Eti題cmmm‑i ‖ iiMKS問冒KJZJ埠巳 Bull. Nara Univ. Educ, Vol. 39, No. 1 (cult.A soc), 1990

虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

豊 田 弘 司 (奈良教育大学心理学教室)

(平成2年4月4日受理)

再認記憶課題において、記銘語すなわち標的刺激(target)以外の追加刺激(distractor)に 対して、誤って"あった"と判断することは、虚再認(false recognition)もしくは虚報(false alarm)と呼ばれている。この虚再認は、古くは意味的般化研究の指標として用いられ、その後、

後述する内的連想反応(implicit associative response, I AR)説の提唱(Bousfield, Whitmarsh, & Danick, 1958; Underwood, 1965)により、 I ARの指標として注目されて きた。また、記憶における知覚的符号化優勢から意味的符号化優勢への発達的変化を仮定した、

符号化移行仮説(encoding shift hypothesis)を支持する実験的な証拠を提供してきた(Bach

& Underwood, 1970; Felzen & Anisfeld, 1970; Freund & ,わhnson, 1972; Kail &

Hagen, 1982;豊田、 1983; Toyota, 1983)。さらに、近年の記憶研究の枠組みである処理水準 読(Craik & Lockhart, 1972)との関連では、処理された水準の違いによる符号化の差異が、虚 再認を符号化の指標にすることによって明らかにされている(Coltheart, 1977; Davies &

Cubbage, 1976; Elias & Perfetti, 1973) 。このように、記憶研究において、虚再認の果して きた役割は大きいが、この虚再認が何故生じるかについては、いくつかの説が提唱されているも のの明確な結論は出ていない(豊田、 1984、 1987) 。

そこで、本研究では、先の研究(豊田、 1987)と同じく、虚再認の生起機構について検討しよ うとするものである。虚再認の生起に関する代表的な説としては、まずI AR説があげられる

(Underwood, 1965, 1969, 1983)。この説では、記銘語を符号化する際にI ARが生起するこ とを仮定している。ここでいうI ARとは、被験者の記憶表象内に生じる記銘語からの連想語と みなすことができる。例えば、記銘語"dog"に対しては、 "catというIARが生じることに なる。したがって、再認テストにおいて呈示された追加刺激としての連想語("cat )が、被験者 自身のI AR (̀catつと一致しているならば、そこで虚再認が生じるわけである0

一方、同じI ARを仮定する説明でも、言語弁別に関する頻度理論(Ekstrand, Wallace, &

Underwood, 1966)に基づく場合には、虚再認生起の機構は以下のように説明される。まず、被 験者は再認判断(先に̀あった"か、 "なかった"かの判断)をするための頻度基準値をもつと 仮定する。再認テストで、被験者に呈示された語のもつ状況頻度(situational frequency)がこ の基準値を上回れば"あった(old)"と判断され、下回れば"なかった(new)と判断される。

ここでの状況頻度は、その語の呈示回数とその語が他の語のI ARとして生起した回数を合わせ たものである(Hall & Kozloだ, 1970) 。したがって、先に全く呈示されていない追加刺激に対 して虚再認が生じるのはその語が別の語のI ARとして生起し、そのために状況頻度が基準値を 超えたことによるとされる(Hall, Sekuler, & Cushman, 1969; Underwood, 1983)c

この機構に関する考えが妥当であるならば、記銘語の呈示回数が多くなるほど、その記銘語か らの連想語のもつ状況頻度は増し、その連想語が虚再認される可能性は上昇すると予想される。

Hall & Kozloff (1970)で得られた結果は、必ずしもこの予想と一致するものではなかった。確

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豊 田 弘 司

かに記銘語の呈示回数が1回から3回に増加すると、その記銘語からの連想語に対する虚再認率 は上昇したが、さらに呈示回数が5、 7回に増えると虚再認率はむしろ低下した。この結果は、

2段階の再認モデル(two‑stage recognition model)で解釈された。このモデルが仮定する2 段階のうちの第一段階は、記銘語からの連想語のもつ状況頻度と頻度基準値の比較によって再認 判断がなされる。この段階は、呈示回数が1回から3回増加したことに反映されている。第二の 段階は、被験者が呈示された連想語からそれに対応する記銘語を思い出す場合に機能するもので ある。すなわち、記銘語と連想語の間の言語弁別(verbal discrimination)がなされるのである。

この際、弁別の手がかりとなるのが語の状況頻度であり、記銘語と連想語のどちらが状況頻度が 高いかを比較し、高い方を"あった"と判断するのである。記銘語は、記銘時にリハーサルされ るので、 I ARとして生じる連想語よりも状況頻度は高い。特に、記銘語の呈示回数が多い場合 には記銘語と連想語の状況頻度の差が大きくなり弁別が容易であるので、連想語の虚再認率は減 少する。このことは、呈示回数が5、 7回に増えて、かえって虚再認率が減少することに反映さ れていると考えられた。

もし、第2段階の記銘語と連想語の状況頻度による言語弁別が行われているならば、以下のよ うな予想が成り立っ。例えば、 "light"を連想語とする3つの記銘語として"lamp" "heavy dark"がある。第‑の条件では、 "lampだけを3回呈示する。第二の条件では、 "lamp

"heavy" "dark"をそれぞれ1回ずっ呈示する。前者の条件では、 "lamp が3回呈示される ことにより、 "lamp のもつ状況頻度は"light"のそれよりもかなり高くなる。それ故、両者の 弁別が容易になり、 "light"に対する虚再認率は低下するであろう。一方、後者の条件では記銘 語はそれぞれ1回しか呈示されないが、連想語はI ARとして3つの記銘語が呈示された際に1

回ずつ生起している可能性があるので記銘語と連想語の頻度差は小さくなると考えられる。それ 故、連想語の虚再認率は、前者よりも高くなるであろう。この予想は、 Hall & Kozloff (1970) が今後の研究課題として提案したものである。

豊田(1987)の実験1では、この予想を検討するために、以下に示すような条件間の虚再認率 の比較を行った。まず、記銘時に同じ連想語(例えば、花)を連想語とする3つの記銘語(赤い、

あざみ、植物)を1回ずっ呈示する条件(3‑1条件)と1つの記銘語を3回呈示(赤い、赤い、

赤い)する条件(1(3ト1条件)における連想語に対する虚再認率を比較し、前者の条件が後者の 条件よりも虚再認率の高いことが示された。また、同じ連想語(手紙)をもつ2つの記銘語(送

る、切手)を1回ずっ呈示する条件(2‑1条件)とある連想語(映画)に対応する記銘語を2回 呈示(記録、記録)する条件(1(2ト1条件)を比較したところ、これもまた前者の条件が後者の 条件よりも虚再認率の高いことが示された。したがって、上述の予想は支持され、 Hall &

Kozloff (1970)のモデルにおける第2段階すなわち状況頻度を手がかりとする言語弁別が生じ ていることが示唆された。しかし、再認テストにおいて連想語が呈示された場合にそれに対応す る記銘語が確かに思い出されていることの実験的証拠がなかった。そこで、実験2では、再認テ ストにおいて連想語が呈示された場合に対応する記銘語を報告させる手続きを用いて、連想語に 対応する記銘語が思い出された場合についての上述の2つの条件間の比較を行った。その結果、

実験1と同じように3‑1及び2‑1条件において1(3H及び1(2ト1条件よりも虚再認率が高く、状況 頻度を手がかりとした記銘語と連想語の言語弁別がなされていることが示唆された。但し、再認 テストで呈示された連想語に対応する記銘語を思いだした割合は低く、言語弁別の失敗によって 虚再認の生じる可能性の少ないことをうかがわせた。

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虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

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本研究では、さらに記銘語と連想語の言語弁別の失敗による虚再認の生起棟樺について検討す ることにした。というのは、豊田(1987)の実験2では連想語から思い出される記銘語の割合が 低かったにも関わらず、全体としての虚再認率は3‑1条件の方がH3M条件よりも高かったから

である。すなわち、言語弁別の失敗による虚再認の生じる可能性は、連想語から思い出される記 銘語の割合とみなすことができるが、これが低いにも関わらず、全体としての31条件と1(3ト1 条件の虚再認率の比較は言語弁別が生じている可能性を示唆するものであるという矛盾が存在す

るのである。この矛盾の原因は、被験者が連想語に対応する記銘語を内的に思い出せているのに、

それを外的に報告できなかったことが影響しているのかもしれない。そこで、本研究の実験1で は、再認テストにおいて、連想語とそれに対応する記銘語を対呈示し、連想語と記銘語の言語弁 別失敗による虚再認の生起擦樺について検討する。また、状況頻度による言語弁別には、連想語 と記銘語間の弁別だけでなく、連想語と連想語間の弁別もありうる。連想語と連想語の頻度弁別 では、記銘語のI ARとして生起する回数の多い連想語の方が、それの少ない連想語よりも選択

される可能性の高いことが予想される。この予想を検討するのが、実験2の目的である。

ところで、虚再認の生起については、上述した頻度理論に基づく説明(Underwood, 1965;

Hall & Kozloff, 1970)とともに、活性化拡散(spreading activation)理論(Anderson, 1983)からも説明可能である。すなわち、記銘語が符号化される際にその活性化が連想語にも拡 がり、連想語の活性化水準を上昇させたことにより虚再認が生じるという説明である。虚再認の 生起について、この両者を対立させて検討した研究は今までなかった。というのは、活性化の拡 がりという考えがあまりにも記憶表象を中心とする多くの研究領域において幅広い説明概念とし て受け入れられてきたためであろう。それ故、言語弁別や虚再認といった限られた現象を説明す る頻度理論とは異質なものとして扱われてきたのである。

しかし、虚再認の生起を予想する場合、両者において違いがある。それは、呈示形式が虚再認 に影響するか否かという点に関するものである。連想語のもつ状況頻度は、呈示回数及びI AR として生起した回数によって決まる。それ故、連想語のもつ頻度は、対応する記銘語が連続的に 呈示されようと、非連続的に呈示されようとその呈示形式には影響されない。一方、活性化の水 準は、対応する記銘語が連続的に呈示されれば、活性化の拡がりが連想語に連続的に及ぶことに なり、活性化の水準は上昇することになる。しかし、非連続的に呈示される場合は、一旦上昇し た連想語の活性化水準が低下し、また上昇し、また低下するというように一定の水準よりも高く なる可能性は少ないO もし、虚再認の生起に関して、頻度理論が妥当であるならば、虚再認率は 記銘語の呈示形式には影響されないと予想できる。一方、活性化拡散理論が妥当であるならば、

記銘語を連続呈示する方が非連続的に呈示するよりも虚再認率が高くなるであろう。この予想を 検討するのが、実験3の目的である。豊田(1987)においても、同じ連想語をもつ3つもしくは 2つの記銘語が連続的に呈示されるリストと非連続的に呈示するリストを別の被験者に割当てて、

呈示形式の効果を被験者間要因で検討したが、両リスト間に虚再認率の差はなかった。そこで、

実験3では、呈示形式を被験者内要因にして検討する。

実  験 1

日  的

記銘語と連想語を対呈示するという2選択再認課簿を用いて、頻度弁別失敗による虚再認の生

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FE9

豊 田 弘 司

起機構について検討する。もし、 Hall & Kozloff (1970)の主張するモデルにおける第2段階が 幾能しているならば、記銘語と連想語の頻度弁別が難しい3‑1もしくは2‑1条件において、 1 (3ト1 もしくはK2H条件よりも虚再認が多く生じるであろう。この実験仮説を検討するのが、本実験 の目的である。

方  法

被験者 短期大学の女子学生29名が実験に参加したo これらの学生の平均年齢は、 19歳5か月 (年齢範囲18歳5か月〜20歳8か月)であった。

材 料 記銘語及び再認テストでの追加刺激として用いた記銘語からの連想語は、 Table 1 に示されている。これらの語は豊田(1987)と同じであり、梅本(1969)の連想基準表から選ば

Table. 1 本研究で用いられた記銘語及びその連想語

標的刺激 無関連語

(T)吾端吾 連想語 吉日古き 連想語 吉池吾 連想語 言端吾 連想語 吾端吾 連想語 (C)

      車                 気 映       電       金       病       本       書 る る る             い い い

誠 磁 誠 細 網 桝 馳 蜘 蜘 朝 潮 湖 傾 儒 傾 恥 妙 妙

l

花   凱   細   入   姓   乱 み           な   な る     ー

か 甜 脚 数 韻 朗 報 報 概 絹 針 卵 雛 娠 即 断 乱 伸

/ . f 1 I

33 .耶  棚 酢

S

L ハ U

本本

# 時間

難しい 取る 梶棒  いなか 都会  国会 取る

自然 美しい 遊ぶ 子ども 終わる 始まる  ない 友情     遊ぶ

急ぐ 走る  高い  山  重要 大切  意見 自動車    高い

白い  黒い  うまい 食物  信仰 宗教  竹 からす     うまい

規く  さかな 暗い 明るい はさみ 切る  話す いわし     暗い

れた1‑4文字の語であった。先に述べた4つの条件以外に、ある連想語(帆)に対応する記銘 請(椅子)を1回呈示する条件(ト1条件)を設けた。これらの条件は、豊田(1987)と同じで ある。記銘語から連想語の連想頻度は、 3‑1条件が18.0%、 1 (3ト1条件が19.8%、 2‑1条件が19.5

%、 1(2ト1条件が22.6%、ト1条件が27.8%であった。記銘リストは、 Table lに示したような 記銘語が66語、再認テストの標的刺激として用いる語が6語及び丘Her語が8語によって構成さ れていた。なお、各条件が等質になるように記銘語を被験者間でカウンターバランスするのが望 ましいのであるが、 3‑1条件、 2‑1条件にあたるような同じ連想語をもつ記銘語の数が少ないため にそれができず、 Table lに示したような記銘語を各条件に割り当てた。しかし、条件間の等 質性を統制するために、記銘語から連想語への連想頻度は上述したようにほぼ等しい値に統一さ れていた。リストは2種類つくられ、 Aリストでは311及び2‑1条件において同じ連想語をもつ記 銘語が続くように配列され、 1(3ト1及び1(2ト1条件の記銘語もそれぞれ続けて3回ないし2回反

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虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果 Ell 復呈示されるように配列されていたO もう一方のBリストは311及び2‑1条件の同じ連想語をもつ 記銘語が続かないように、 1(3ト1及び1(2ト1条件の記銘語が反復されないように配列された。な お、 3‑1及び2‑1条件での同じ連想語をもつ記銘語間に介在する他の記銘語数は、 3 ‑19語の範 囲であった。両リストは、初頭・新近位置効果を除くためにリストの最初と最後にバッファー (buffer)語が1語ずつ付け加えられた。そして、 1語ずっ6.5cmx 9cmの紙に印刷され、表紙を 付けた82ページの小冊子にされた。これらのリスト構成は、豊田(1987)と同じである。

Table. 2 実数1で用いられた条件ごとの再認テスト対の例

3‑1  1 (3)‑1   2‑1  1 (2)‑1   1‑1    TC

赤い一花   吾己録‑映画  送る一手紙  日本一狭い   椅子一肌  涜れる一時間

再認テスト用紙は、 B5判の大きさで、 Table 2に示したような記銘語と連想語の36対が、

2列に渡って18対ずつランダムに印刷されていた。これらの対の内分けは、各条件6対ずっの計 30対及び統制条件として標的刺激と無関連語(どの記銘語とも連想関係のない語)の対(TC条 件)が6対である。なお、これらの対の右横には"確かにあった"から"確かになかった"まで の6段階確信度評定尺度が印刷されていた。また、記銘試行と再認テスト試行の間に挿入課題を 行うが、そのための用紙も用意された。この用紙はB 4判の大きさで、有意味な文字列及び無意 味な文字列が印刷されているものであった。

手続き 実験は、被験者の所属する短期大学の一室で集団的に実施された。 (a)記銘試行、まず 被験者にA、 Bいずれかの記銘リストの小冊子を配布した。そして、小冊子を1ページずっめく り、そこに印刷されてある単語を覚えるようにという意図記憶教示が与えられた。被験者は、実 験者の合図にしたがって4秒ごとにページをめくり、記銘リストの語を記銘していった。 (b)挿入 課題試行、記銘試行終了後、すぐに上述の挿入課頗用紙を配布し、 3分の挿入課題を行った。こ の課題は、用紙に印刷された文字列の中から3文字以上の名詞を見つけだして丸印をっけるもの であった。 (C)再認テスト試行 挿入課題終了後、上述した再認テスト用紙を配布し、再認テスト を5分間実施した。再認テストでは、用紙に印刷された記銘語と連想語の各対において、 "あっ た"と思う方に丸印をつけ、その後、その正確さについて"確かにあった"から"確かになかっ た"までの6段階のいずれかに丸印をつけるように求めた。

結  果

再認テストにおいて追加刺激として呈示された連想語に対して"確かにあった" "ぁったと思 う"及び"あったかもしれない"のいずれかの段階に丸印をつけた場合を虚再認としてカウント した。しかし、どの条件においても生じた虚再認率はきわめて低かった(3‑1条件では7.43%、

1(3ト1条件では0%、 2‑1条件では7.43%、 1(2ト1条件では4.59%、 1‑1条件では6.88%、 TC条 件では4.02%) 。そこで、条件間の違いを検討するには虚再認率は不適切であると考え、虚再認 得点の分析を行った。虚再認得点は、以下のように算出された。まず、確信度評定尺度の各段階 に0点から5点を割り当てる。すなわち、 "確かにあった"は5点、 ̀あったと思う"は4点

"あったかもしれない"は3点、 "なかったかもしれない''は2点、 "なかったと思う"は1点、

"確かになかった"は0点である。そして、この得点を各条件ごとに含まれる6つ連想語につい

(7)

142 豊 田 弘 司

て合計したのが、虚再認得点である。 Fig. 1には、各条件ごとに平均虚再認得点が示されている。

3?∫

平均虚再録得点

3‑1 1(3)‑1 2‑1 1(2)‑1 1‑1 TC 条 件 Fig. 1.条件ごとの平均虚再認得点

この虚再認得点について、分散分析を行ったところ、条件の主効果(F‑6.77, df‑5/140, P<.001)が有意であった。下位検定を行ったところ、 3‑1条件において1(3ト1条件(t ‑4.77,

df‑140, P<.001) 、 1(2)‑1条件(t ‑2.38, df‑140, P<.05)及びTC条件(t ‑3.67, df

‑140, p<0.01よりも虚再認得点の高いことが示された。また、 2‑1条件において1(3ト1条件 (t ‑4.01, df‑140, P<.001)及びTC条件(t ‑2.91, df‑140, P<.01)よりも虚再認得 点の高いことが示され、 1(2ト1条件との間には有意な傾向が認められた(t ‑1.68, df‑140, P<.10)c その他には、ト1条件とTC条件間(t‑2.58, df‑140, P<.05)、 1(3ト1条件と1 (2ト1条件間(t ‑2.38, df‑140, P<.05)及び1(3)‑1条件と ト1条件間(t ‑3.68, df‑3.68, P<.001)に有意な差が見られた。

考  察

2‑1条件と1(2ト1条件間に統計的に有意な差は認められなかったものの上述した結果は、先の 研究(豊田、 1987)にはぼ一致するものである.すなわち、頻度弁別がしにくい311条件や2‑1条 件では、それの容易なK3H条件及び1(2ト1条件よりも虚再認得点が高かったのである。これは、

頻度を手がかりとする記銘語と連想語の弁別失敗によって虚再認が生じていることを示唆するも のである。したがって、豊田(1987)と同様に、 Hall & Kozlo王T (1970)が主張する2段階再認 モデルが支持されたといえよう。但し、本実験では、豊田(1987)と異なり、虚再認率が極めて 低かった。したがって、豊田(1987)の実験2において、連想語に対応する記銘語が思い出され る割合が低かったことを考え合わせると、記銘語と連想語の頻度弁別失敗による虚再認の生起確 率は低いといえるであろう。神谷(1985)は、記銘語のもつ形態的情報(例えば、文字の形)が 再認記憶の成績を規定する重要な要因であると指摘しているが、本実験では、記銘語と連想語が 対にして呈示されるために、両者の形態的な特徴を弁別手がかりとして利用する可能性が高い。

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虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

IEK

それ故、頻度以外の手がかりのある本実験では弁別が容易になされ、虚再認が低下したという考 え方もできるであろう。

ところで、 1(3ト1条件、 1(2ト1条件及びト1条件間に虚再認得点に差がなかったことは、豊田 (1987)とは一致しているが、先の研究(Hall & Kozloff, 1970; Underwood, 1965)の結果と 一致しない。これらの研究では、同じ記銘語が3回反復して皇示される条件(本実験では1(3ト1 条件)における虚再認率が、記銘語が1回しか呈示されない条件(本実験では、ト1条件)にお けるそれよりも高いことを示している。これは、本実験の場合、記銘語と連想語を対呈示したの で、被験者はどうしても記銘語と連想語の言語弁別をしなければならない状況を強いられたわけ である。それ故、先の2段階の再認モデルでいえば、第1段階を経過せずに、第2段階を束制さ れることになる。すなわち、本実験の場合、第2段階が優位に働く状況が提供されていたことが、

上述の3条件間に差をもたらさなかったといえよう。したがって、本実験に関しては、記銘語が 3ないし2回呈示されることにより、記銘語とその連想語との頻度差は充分弁別可能なくらいに 大きくなったのであろう。一方、第1段階が優位に働くならば、連想語のもつ頻度がある一定の 頻度基準値を上回れば、その連想語に対する虚再認が生じる。それ故、ト1< 1(2ト1< 1(3Mの 順に虚再認率が高くなると予想できるはずである。しかし、本実験では、この予想とはむしろ反 対の虚再認率の生起パターンになった。このことは、第2段階が優位に働いていることの傍証と いえるであろう。

しかし、第2段階が優位であるとすると、 3‑1>2‑1>1‑1の順に虚再認率が高くなるという予 想が成り立っ。というのは、記銘語とその連想語の頻度差は、 3‑1条件が貴も小さく、次いで2‑1 条件そしてト1条件の順になり、頻度弁別がなされにくい3‑1条件を筆頭に虚再認が多く生起する と考えられるからである。しかし、本実験の結果は、この予想と一致しない。豊田(1987)の実 験1においても3条件間に差がなく、この点が問題として指摘された。しかし、実験2において

は、 3‑1条件と2‑1条件間には差はなかったが、両条件ともにト1条件よりも虚再認率の高いこと が示されている。豊田(1987)でも、本実験でも、虚再認率を算出するために各条件に割当てら れた連想語は6語である。したがって、虚再認としてカウントされる数が少ないために、条件間 の差が現れにくいという可能性が考えられる。この点については、今後の課題であるといえよう。

実  験  2

日  的

記銘語からの連想語同士を対呈示する頻度弁別課題によって、虚再認の生起機構について検討 する。もし、記銘語のI ARとして生起する回数が頻度として符号化されるのであれば、対応す る記銘語の呈示回数が多い連想語と少ない連想語を対呈示した場合には、前者に対してより多く の頻度をもつと判断されやすいであろう。この実験仮説を検討するのが、本実験の目的である。

方  法

被験者 専修学校の女子学生49名が実験に参加した。これらの学生の平均年齢は、 20歳5か月 (年齢範囲19歳3か月〜21歳5か月)であった。

材 料 実験2で用いられた材料は、再認テスト用紙を除いてすべて実験1と同じである。実 験2では連想語同士の頻度弁別を検討する目的であるので実験1とほぼ同じ形式ではあるが、記 銘語と連想語の対ではなく、連想語と連想語が対呈示されている頻度弁別テスト用紙を用意した。

(9)

HEE! 豊 田 弘 司

Table 3.実験2で用いられた条件ごとの頻度弁別対の例 3‑1‑K3M  2‑1‑1(2)‑1  1‑1一機吾 3‑1‑2‑1   2‑1‑1‑1   3‑1‑1‑1

花一映画   手紙一狭い   机一時間 楽しい一難しい 美しい一子ども 勉強一始まる

1(3)‑1‑1(2)‑1 K2H‑1‑1 1(3)‑1‑1‑1  T ‑3‑1

電車‑泥棒   山一大切   本一宗教  額ぐ‑意見

この用紙には、 Table 3に示したような連想語対が48対含まれていた。これらの対の内分けは、

3‑1条件の連想語と1(3ト1条件の連想語の対、 2‑1条件の連想語と1 (2ト1条件の連想語の対、以下 同じように、 311条件と2‑1条件、 211条件と111条件、 3‑1条件と1‑1条件、 1(3ト1条件と1 2M条 件、 1 (2ト1条件とト1条件、及び1 (3ト1条件と111条件の対で構成されていた。各条件の組合せ対 は、 6対ずっであった。なお、これらの対の他に、記銘語と3‑1条件の連想語の対及びト1条件の 連想語と無関連語の対が6対ずっ印刷されていた。したがって、合計60対が2列にわたって印刷

されていることになる。

手掃き 実験2の手続きは実験1とほぼ同じである。ただし、実験2では実験1の再認テスト 試行が頻度弁別試行になっていた。この試行においては、上述したような頻度弁別テスト用紙を 用いて、連想語と連想語の対のどちらがより多く呈示されたと思うかを判断させ、該当する方の 連想語に丸印をっけさせた。なお、どうしてもどちらの連想語か判断がつかない場合には、両連 想語の間に‑印をつけさせた。

結  果

Fig.2には、各条件対ごとに、頻度理論を支持する場合の平均選択率すなわち、 I ARとして 生起する頻度が高いと予想される連想語が選択された場合の割合を示してある。したがって、図 中の横軸に示したA、 B‑Jは以下のような割合を示している。

A‑ 3‑1条件の連想語とH3M条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

B‑ 2‑1条件の連想語と1(2M条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

C‑ト1条件の連想語と無関連語の対において、前者を選択した割合。

D‑ 3‑1条件の連想語と 2‑1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

E‑ 2‑1条件の連想語と1‑1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

F‑ 3‑1条件の連想語と ト1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

G‑ 1(3H条件の連想語と1 (2ト1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

H‑ K2H条件の連想語と ト1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

ト‑ l(3M条件の連想語と1‑1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

J‑T (記銘語)と3‑1条件の連想語の対において、前者を選択した割合。

チャンスレベルの50%よりも選択率が高い条件は、 3‑1条件の連想語と1(3)‑1条件の連想語を 対呈示した際に3‑1条件の連想語を選択した場合(以下、 3‑1> 1(3Mのように示す)が1%水準 で有意(t‑3.93, df‑48, P<.01)であり、さらにト1>無関連語(t‑2.45, df‑48)が5

%水準で有意であった。その他の条件はチャンスレベルと有意な差はない(2‑1‑ 1(2ト1, t ‑.49

(10)

虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

% 1 00

9 0

8 0

7 0 o   0   o

﹂ ,     I f i     一 q

平均遜択率

145

Fig 2.条件ごとの平均選択率

; 3‑1‑2‑l,t‑1.21; 2‑1‑トl,t‑1.41 ; 3‑1‑ト1,t‑1.68 いずれもdf‑48)か、あ るいはチャンスレベルよりも0.1%水準で低いものであった(1(3ト1<1(2ト1, t ‑5.60; 1(2ト1

<1‑1, t‑5.63 ; 1(3ト1<1‑1, t ‑5.18 いずれもdf‑48) また、記銘語と3‑1条件の対につ いては、記銘語の選択率はFig.2からも明らかなようにチャンスレベルを有意に上回っていた

(t‑7.80, df‑48, P<.001) 。

なお、頻度判断のつかない場合の割合は、 3‑1条件と1(3ト1条件の連想語対の場合(以下、 3‑1

‑ 1(3)‑1のように示す)は12.93%、 2‑1‑ 1(2ト1の場合は12.57%、ト1‑無関連語の場合は 17.01%、 3‑1‑2‑1の場合は13.59%、 2‑1‑1‑1の場合は19.05%、 3‑1‑1‑1の場合は15.66%、 1 (3ト1‑ 1 (2ト1の場合は17.68%、 1 (2ト1‑1‑1の場合は18.02%、 1 (3ト1‑1‑1の場合は18.01%、

T ‑3‑1の場合は6.1%であった。頻度判断のつかない場合の割合には条件間の差のないことがわ かる。

考  察

頻度がI ARの生起によって増加するならば、対応する記銘語が多く呈示される条件の連想語 は、その呈示の少ない条件の連想語よりも選択率が高いことが予想される。 Fig.2をみると、こ の予想に一致する結果は、 3‑1> 1(3ト1及び1‑1>無関連語条件のみであった。この結果は、 I A Rによって頻度が増加するという主張(Underwood, 1965, 1969, 1983; Hall & Kozloff, 1970)に一致しないものである。これについては、以下のように考えることができよう。本実験 では、連想語と連想語の対を呈示してどちらがより多く呈示されたと思うかという判断を求めた。

しかし、実際に呈示されていない連想語であるので、かなり被験者は判断に困ったと考えられるO それで、被験者は、この選択をするためにあらゆる手がかりを検討したであろう。すなわち、呈 示された連想語の文字の形やその連想語から思い出される記銘語などである。もし、記銘語が思 い出されば、呈示された連想語は実際には呈示されていないと判断できるわけであるから、選択

(11)

FETS 豊 田 弘 司

されることはない。したがって、連想語と連想語の頻度判断ではなくて、記銘語として呈示され たか否かという再認判断になっていた可能性が考えられるであろう。このように、連想語の純粋 な頻度弁別だけでなく、上述したような他の要因が影響している可能性が大きいと考察できる。

実  験  3

日  的

記銘語からの連想語に対する虚再認の生起に関する頻度理論(Underwood, 1965 etc.)に基 づく説明と活性化拡散理論(Anderson, 1983)に基づく説明の妥当性について検討する。もし、

頻度理論に基づく説明が妥当であれば、共通の連想語をもつ3つの記銘語を連続呈示しても、非 連続的に呈示しても符号化される頻度は同じであるから呈示形式による虚再認率の違いはないで あろう。一方、活性化拡散理論に基づく説明が妥当であれば、記銘語からの活性化の拡がりが連 続的に及ぶことによって連想語の活性化水準の上昇する連続呈示条件の方が、非連続呈示条件よ

りも虚再認率は高いであろう。この実験仮説を検討するのが本実験の目的である。

方  法

被験者 大学生及び大学院生22名(男子7、女子15名)が実験に参加した。これらの被験者の 平均年齢は22歳3か月(年齢範囲20歳3か月〜29歳10か月)であった。

材 料 実験3で用いた材料は、実験1で用いたものとほぼ同じである。但し、記銘リストの 構成については、実験1の1(3ト1及び1(2ト1を除いた。したがって、記銘語の内分けは、 3‑1条 件の30語(関連のある3つの記銘語の組が10組) 、 2‑1条件の20語(関連ある2つの記銘語の組 が10組) 、 1‑1条件の10語、 filler語及び再認テストで標的刺激として用いる10語ずつ含んでいた0 本実験では、連続呈示と非連続呈示の要因を被験者内要因として検討しようとしたので、記銘リ ストに変更を加えた。すなわち、 3‑1及び2‑1条件の半数の記銘語については、関連ある記銘語同 士が連続して配列し、残りの半数については他の記銘語を介入させて非連続的に配列した。介在 する記銘語の数は、 19‑35語であったOリストは2種類作成され、記銘語と呈示形式がカウンター バランスされるように配慮した。また、再認テスト用紙はB5判で、 1(氾語が2列に渡って50語 ずつ6段階の確信度評定尺度とともに印刷されていた。これらの語は、 Table lに示したよう な標的刺激が20語、連想語が30語、無関連語が10語及びfiller語が40語含まれていた。 filler語 を含めたのは、虚再認率の低さによって条件間の差が検出されない可能性を考え、少しでも虚再 認の生起を促すためである。

手続き 2‑4名の小集団実験で行われたこと以外は、実験1と同じである。

結 果

再認テストにおいて追加刺激としての連想語に対する"確かにあった" "ぁったと思う" ''あっ たかもしれない''という反応を虚再認としてカウントした。 Fig.3には、各条件ごとの平均虚再 認率が示されている。この虚再認率を角変換(X‑siir √ F)として、 2 (呈示形式;連続、

非連続) ×2 (条件;3‑1、 2‑1)の分散分析を行ったところ、呈示形式の主効果(F‑.36, df

‑1/63) 、条件の主効果(F‑.Ol, df‑l/63)及び両要因の交互作用(F‑.21, df‑1/

63)のいずれも有意な値には至らなかった。呈示形式の効果が有意でなかったので、呈示形式を こみにして、条件(3‑1, 2‑1, 1‑1, C)を被験者内要因とする1要因の分散分析を行ったところ、

条件の主効果は有意な値に至らなかった(F‑2.ll, df‑3/63)c

(12)

虚再認に及ぼす状況頻度と活性化拡散の効果

lEH

3‑1    2‑1     ‑1  C  条 件 Fig. 3.条件ごとの平均虚再認率

考 察

活性化拡散理論(Anderson, 1983)からすれば、記銘語を符号化する際には、その記銘語か ら活性化が隣接する概念(連想語)へと拡がる。記銘語を連続的に呈示した場合には、記銘語か らの活性化が連想語に対して連続的に及ぶために連想語の活性化水準が上昇し、そのために虚再 認される可能性が高くなることが予想された。しかし、実験の結果は呈示形式の効果が見られず、

活性化拡散理論に基づく実験仮説は支持されなかった。

一方、頻度理論に基づく説明(Underwood, 1965 etc.)からすれば、実験仮説は呈示形式の 効果がないということなので、結果は頻度理論を支持しているように思える。しかし、

3‑1、 21、 111条件間に虚再認率に差がなかったことは、頻度理論からの予想に適合しない。す なわち、記銘語と連想語の頻度差の少ない条件はど虚再認される割合が高いのであるから、上記 の3条件間には虚再認率の差が生じるはずであるが、差は認められなかった。実験1においても、

この3条件間に差がなかったが、実験3では条件間の差を生じやすくするために分析の対象とな る連想語の数は各条件10語ずっであった。それにも関わらず、条件間の差がでなかったことは、

頻度理論で虚再認の生起を説明する上での大きな問題点であろう。

ただし、本研究で用いた追加刺激としての連想語は、連想基準表から選択されたものであった。

それ故、本実験に参加した被験者が記銘時に基準表から選択された連想語をI ARとして生起さ せているとは限らないのである(豊田、 1984) その証拠に、 Shepard, Cohen, Gold, &

Orbino (1976)は、連想語基準表から連想語を選択した場合と、実験に参加する被験者に対す る事前の連想反応調査から選ばれた連想語に対する虚再認数を比較して、前者よりも後者におい て虚再認数の多いことを明らかにしている。この結果は、連想基準表から選択された連想語がI ARとして必ずしも生起していないことを示すものである。したがって、この連想の個人差すな

(13)

148

豊 田 弘 司

わちI ARとして生起する連想語の個人差を考慮して、あらかじめ予備の連想調査を行い、追加 刺激として用いる連想語を吟味することが今後の課題であるといえよう。

K^^^M s

本研究では、記銘語からの連想語に対する虚再認の生起機構について検討した。

実験1では、記銘語とその連想語を対呈示する2選択再認テストを用いた。その結果、記銘リ ストにおいて共通連想語をもつ3もしくは2つの記銘語を1回ずっ呈示する条件の方が、同じ記 銘語を3もしくは2回呈示する条件よりもその記銘語からの連想語に対する虚再認が多かった。

この結果は、先の研究(豊田、 1987)と同様に、 I ARの生起を仮定する頻度理論の説明を支持 するものであった。すなわち、記銘語とその連想語の頻度弁別の失敗によって虚再認が生じるこ とが明らかにされた。ただし、虚再認率が低いという結果は、頻度弁別失敗による虚再認の生起 確率が小さいことを示すものと解釈された。

実験2では、記銘語からの連想語同士と対呈示して、連想語間の頻度弁別テストを実施した。

その結果、頻度弁別テストにおいては、 I ARの生起を明らかに示すような証拠はあまり得られ なかった。

実験3では、虚再認の生起に及ぼす呈示形式の効果を検討した。その結果、共通連想語をもつ 記銘語を連続的に呈示する条件と非連続的に呈示する条件の間に差はなかった。活性化理論によ れば、記銘語から活性化が連続的に連想語に及ぶ条件での虚再認が多いと予想されたが、そうは ならなかった。一方、頻度理論からの予想は呈示形式に差がないというものであったが、その予 想は支持された。しかし、連想語に対応する記銘語の数が3、 2及び1つの条件間に差がないと

いう頻度理論では解釈できない結果も得られた。この結果は、 I ARとして生起する連想語の個 人差によるものと考えられ、今後の課題として、被験者に対する連想調査の必要性が指摘された。

引 用 文 献

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150

Effects of Situational Frequency and Spreading Activation on False Recognitions

Hiroshi Toyota

(De如rttnent of Psychology , Nara University of Education , Nara 630, Japan) (Recieved April 4, 1990)

The present study investigated the effects of situational frequency and spreading activation on false recognitions. Twoっtage recognition model (Hall & Kozloff, 1970) assumes that subjects discriminate the target word and its associate in terms of their situational frequency and the failure to discriminate between the two leads to false recognition of associate. The situational frequency of associate is a function of the number of implicit associative responses (IARs) elicited by target words.

In the first experiment, 29 subjects studied a list of familiar words that involved target words followed by a two‑choise recoginition test. On the recognition test, 30 sets of two words, each containing the target and its associate, and the subjects were asked to select the word he had appeared earlier on the study list. Selection of associates were counted as false recognitions. False recognitions of associates elicited by two or three targets were more frequent than those by a target presented two or three times. The above results supported the two‑stage recognition model. But the low frequency of such false recognitions was interpreted as showing the possibility

that subjects utilized graphemic features as discriminative cues.

In the second experiment, 49 subjects studied the same list in the first expnment and followed by a frequecy discrimination test. On the discrimination test, 48 pairs of associates were presented and the subjects selected the word which was more frequently presented for study. Selection of the associate which had higher frequency did not vary as a function of situational frequency of it. This result showed that the subjects did not always use the situational frequency as a cue for discrimination.

In the third experiment, 22 subjects studied a revised study list followed by a old‑new recognition test. On the recognition test, the subjects were asked to indicate whether each word had or had not appeared earlier on the study list. The spreading activation theory (Anderson , 1983) predicts that false recognitons of associate elicited by two or three targets in the massed preselitatioli are more frequent than those in the spacing presentation, whereas the frequency theory (Underwood, 1965 etc. ) do not do the difference of frequency of false recognitions between the two presentations.

The difference of frequency of false recognitions between the two presentations was not observed. This result supported the frequency theory, but the some problems about it and the individual differences in IARs were discussed.

参照

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