︿翻訳﹀ドイツ母性保護法
⁝職業に従事する母親の保護に関する法律(母性保護法)
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高橋保
梅迫早智子
(アウグスブルク大学大学院博士後期課程在学)
はじめに
ドイツ母性保護の歴史は︑一八七八年の産後三週間の就業禁止にさかのぼる(警ωαOΦ≦○一﹁臼団舘ω毒αqく8一c︒刈c︒)︒
その後母性保護法が制定され︑数回の改正を経て︑現在の一九九七年法(乞Φ亀器ω茸σq富ωζ暮け霞の畠暮NσqΦ︒・⑪訂$
<○ヨωピ雷≧程一㊤箋)として成立している︒
本翻訳は︑このもっとも新しい一九九七年法を共訳したものである︒翻訳にあたって︑できるだけ原文に忠実に努
めたことはもちろん︑わかりやすくするために︑日本的な解釈にも配慮した︒
本翻訳は︑アウグスブルク大学大学院博士後期課程で﹁日独母性保護の比較研究﹂にとり組んでいる梅迫早智子さ
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んの研究の一助とするものである︒翻訳の過程で︑日本とドイツ間で︑
め︑解釈技術上の問題もあったが︑後日補正するつもりである︒ 十分なコミュニケーションがとれなかったた
職業に従事する母親の保護に関する法律(母性保護法)
(一九九七年一月一七日連邦官報法律第一部二二︑二九三頁)
第一章総則
第1条適用範囲
この法律は︑以下の者に適用される︒
一︑雇用関係にある女性
二︑家内労働に従事している女性及びそれらのものと同等の地位にある女性
(一九五一年三月一四日家内労働法第一条第一項及び第二項︑連邦官報第一部一九一頁)但し︑部分的に共同して作業
をしている女性に限る︒
第2条職場の形成
ω妊娠又は哺育中の母親を就業させている者は︑機械︑工具及び器具を含めた職場の整備及び維持ならびに就業
の規定によって︑妊娠又は哺育中の母親の生命及び健康の保護に対する必要な予防対策や措置を講じなければ
ならない︒
②妊娠又は哺育中の母親を︑恒常的に立ったまま又は動いていなければならない仕事に就業させている者は︑短
時間の休憩のために座席の設備等を用意しなければならない︒
㈲妊娠又は哺育中の母親を︑常に座っていなければならない作業に就業させる者は︑作業を短時間中断する機会
を与えなくてはならない︒
ω連邦政府は︑連邦参議院の同意を得て︑以下の法規命令を発布する権限を有する︒
1︑妊娠又は哺育中の母又はその子の健康を損なうのを避けるため︑横になる部屋の設備及び第一項の原則を実
施するためのその他の措置を講ずる使用者の義務︒
2︑妊娠又は哺育中の母親に対する危機の判断︑必要な保護措置を実施及び職場における妊娠中の女性労働者︑
産婦及び哺育中の女性労働者の安全と健康保護の改善に対する措置の実施についての一九九二年一〇月一九
日の欧州経済共同体理事会命令九二/八五第四条から第六条に従って移行する措置に対する使用者の義務に
関し︑詳細な規定の制定︒
㈲第四条を理由に発布された規定とは無関係に︑監督官庁は個々の場合において︑第一項の実施にあたり︑いか
なる予防対策及び措置を講ずべきかを指示することができる︒
第二章就業禁止
第3条妊婦の就業禁止
ω妊婦は︑これを就業させてはならない︒ただし︑医師の証明書により︑就業を継続することが︑母親又は子の
生命又は健康に有害であるとされる場合に限る︒
ω妊婦を産前六週間就業させてはならない︒ただし︑妊婦が労務給付を行うことに進んで明示の意志表示を行なっ
た場合は︑この限りではない︒この意思表示はいつでも撤回することができる︒
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第4条その他の就業禁止
ω妊婦は︑激しい肉体労働及び健康に有害な物質又は放射線︑塵埃︑ガス又は蒸気︑熱気︑寒冷又は湿気︑振動
又は騒音による有害な影響にさらされる作業に就かせてはならない︒
②妊婦は︑特に以下の作業に就かせてはならない︒
1︑通常五キロ以上︑臨時的に一〇キロ以上の重量を機械による補助用具なしに︑手で持ち上げ︑動かし又は運
搬する作業︒機械による補助用具を用いて︑さらに大きな重量を手で持ち上げ︑動かし又は運搬するときは︑
妊婦の肉体的負担は︑前段で定める作業におけるよりも大きくなってはならない︒
2︑妊娠五か月の経過後︑恒常的に立っていなければならない作業︒ただし︑この作業が一日につき四時間を超
える場合に限る︒
3︑頻繁に著しく手足を伸ばすか又は曲げる作業︑若しくは絶えずしゃがむか又は身をかがめたままでいなけれ
ばならない作業︒
4︑高度に足に負担をかける︑とくに足で起動させる︑一切の種類の器具や機械の操作︒
5︑木材の剥皮作業︒
6︑妊娠しているため職業病にかかる危険性が高い作業︑又は職業病の発生によって妊婦に対してより高い危険
性又は胎児に対する危険性の生じる作業︒
7︑妊娠三か月経過後の運送機関における労働︒
8︑事故の危険性のより高い︑とりわけ足を滑らす︑転落又は落下の危険にさらされる作業︒
㈲妊婦が以下の作業に就くことは禁止されている︒
1︑出来高払い又は労働の速度を高めることによってより高い報酬が得られる作業︒
2︑一定の速度による流れ作業︒
監督官庁は︑作業の種類及び労働速度が︑母親又はその子の健康を害する恐れのない場合︑例外を認めるこ
とができる︒監督官庁は︑第2段の条件が企業又はその部門に就業するすべての母親に対して認められてい
る場合︑その企業又はその部門の全ての妊娠中の母親にその就業を認めることができる︒
ω連邦政府は︑妊婦又は哺育中の母親並びにその子の健康上の危険を回避するため︑連邦参議院の同意を得て︑
以下のような法規命令を発する権限を有する︒
1︑第1項及び第2項の就業禁止に該当する作業の決定︒
2︑妊婦及び哺育中の母親に対する産前産後のその他の就業禁止を発すること︒
㈲監督官庁は︑個々の場合において︑第1項から第3項に定められた就業禁止又は第4項により連邦政府が法規
命令に定めた就業禁止に該当するかどうか︑決定することができる︒監督官庁は︑個々の場合において︑一定
の他の作業への就業を禁止することができる︒
第5条通知義務・医師の証明書
ω妊婦は︑自分の容体の変化を知った場合︑直ちに妊娠していること及び出産予定日を使用者に通知しなければ
ならない︒使用者から請求がある場合は︑医師又は助産婦の証明書を提出しなくてはならない︒使用者は︑妊
婦の通知を遅滞なく監督官庁に報告しなくてはならない︒使用者は︑妊婦の通知を権限なく第三者に公表して
はならない︒
②第3条第2項に定められた産前の期間の算定については︑医師又は助産婦の証明書を基準とする︒証明書には︑
出産予定日が記されていなければならない︒医師又は助産婦が︑出産の日時を誤った場合︑その期日をしかる
べく短縮または延長するものとする︒
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紛第1項及び第2項に定められた証明書に要する費用は︑使用者が負担するものとする︒
第6条産後の就業禁止
ω産婦は︑産後八週間を経過するまで就業させてはならない︒早産又は多胎出産後の母親に対しては︑この就業
禁止期間を一二週間に︑早産の場合は︑さらに第3条第2項により産前の就業禁止を請求できなかった期間が
延長される︒子供が死んだ場合︑その母親は︑明文による請求により︑医師の証明書が許す限り︑すでにこの
就業禁止期間が経過する前に就業することができる︒産婦は︑これをいつでも撤回することができる︒
②産後最初の月に︑医師の証明書により︑十分な作業能力がないとされた女性を︑その作業能力を超える作業に
従事させてはならない︒
㈲哺育中の母親は︑第4条第1項︑第2項1︑3︑4︑5︑6及び8号並びに第3項第1段に掲げられた労働に
従事してはならない︒第4条第3項第2段及び第3段並びに第5項の規定は︑これを準用する︒
第7条哺育時間
ω哺育中の母親は︑自らの請求に基づき︑哺育に必要な時間を︑少なくとも一日につき二回三〇分ずつ又は一日
につき一回一時間を取得することができる︒労働時間が連続して八時間以上の場合は︑自らの請求に基づき︑
少なくとも四五分の哺育時間が二回︑又は︑就業場所の近くに哺育施設がない場合︑少なくとも九〇分の哺育
時間が}回与えられる︒労働時間は︑少なくとも二時間の休憩によって中断されない限り︑連続しているもの
とみなす︒
②哺育時間が与えられたことにより︑報酬を減額してはならない︒哺育時間は︑哺育中の母親に︑その前後に労
働させてはならないし︑労働時間法又は他の規定において定められた休憩時間に算入してはならない︒
㈲監督官庁は︑個々の場合において︑哺育時間の回数︑場所及び長さについて︑詳細な規定を定めることができ
る︒監督官庁は︑哺育施設の設置を命ずることができる︒
ω委託者又は仲介人は︑家内労働に従事する者及びそれと同等とみなされる者に対して︑哺育時間に関し︑平均
時間収入の一〇〇分の七五の対価︑ただし少なくとも各仕事日当り○・七五ドイツ・マルク以上を支払わなけ
ればならない︒女性労働者が︑複数の委託者又は仲介人のために働いている場合︑これらの者は哺育時間につ
いての対価を均分して支払わなければならない︒対価に関しては︑一九五一年三月一四日の家内労働法の第23
条ないし第25条の報酬保護に関する規定が適用される︒
第8条時間外労働︑夜間・休日労働
ω妊娠中及び哺育中の母親は︑時間外労働に就かせ︑二〇時から六時までの夜間並びに日曜及び祝日に就業させ
てはならない・
ω第1項における時間外労働とは︑以下に掲げるものをいう︒二週間の中には︑日曜日も含めるものとする︒
1︑一八歳未満の女性労働者の場合は︑一日につき八時間を越え又は二週間に八〇時間を超える労働︒
2︑その他の女性労働者の場合は︑一日につき八時間三〇分又は二週間に九〇時間を超える労働︒
㈹第1項の夜間労働禁止にもかかわらず︑妊娠四か月までの妊婦及び哺育中の母親は︑以下の労働に従事しても
さしつかえないものとする︒
1︑旅館及び飲食店並びにその他の宿泊施設の場合︑二二時まで︒
2︑家畜の搾乳が必要な農作業の場合︑五時から︒
3︑芸術家として︑演奏会︑舞台上演及びこれに類する催し物の場合︑二三時まで︒
ω交通機関︑旅館及び飲食店並びにその他の宿泊施設︑世帯内における家事︑療養施設及び浴場︑音楽演奏︑舞
台上演︑その他の興行︑演芸又は娯楽においては︑妊婦又は哺育中の母親は︑一週間につき一度少なくとも二