The Japanese Association of Management Accounting
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The Japanese Assooiation of Management Aooounting
日本管 理会 計学会 誌
管 理 会計学 2012年 第20巻 第2号
論 壇
組 織 間 コ ス トマ ネ ジ メ ン ト研 究 の 展 開
窪田祐一
〈論 壇 要 旨〉
本稿の 目的は,日本 企 業を中心 と し た サプラ イ チ ェ ーン の 変化を踏ま え,約 20 年になる 組 織 間コ ス トマ ネジメ ン ト研 究の 知 見 を 整理 し, 将 来の研 究課 題 を析出するこ とで ある. 組織間コ ス トマ ネジ メン トは , は じ め は 日本企 業の サ プ ラ イ ヤーとバ
イヤ ーの関 係に み ら れ る 原 価 企 画の 技 法 として 理 解 さ れた. し か し現 在,多 くの研 究は,組 織 間コ ン トロ ール
と関 連づ け て議 論 し て い る.先行研究は,組 織 間コ ス トマ ネジ メン ト を戦 略 的コ ス トマ ネ ジ メン ト と して位 置づ け,コ ス ト ド ラ イバ ーに依拠 して構 造 的 あ
るい は遂 行 的 なコ ス トマ
ネジ メ ン ト に分 類し てい る.他方, 最近 の 日本企 業の サプ ラ イ チェ ーン の グロ ーバ ル化
,
複 雑 化, そ して サプ ライ ヤー
管理 の見 直 し とい う動 きは,組 織 間 コ ス トマ ネジ メン ト に変 化 ない し拡 張 を も た らし てい る.これ らの動 向か ら,本稿で は,組 織 間コ ス トマ ネジメ ン
トに お け る コ ス トの 範 囲,時 間軸 ,そ して学習 ・能 力 などの研 究 課 題 を 提 示 する.
〈キーワー ド〉
組織間コ ス トマ ネ ジメン ト, 戦略 的コ ス トマ ネジメ ン ト,組 織 間 コ ン トロ ール ,サ プラ イ チェ ーン
Interorganizational Cost Management in SupPly Chains
:A Review and Agenda for Fllture Research
Yuichi Kubota
Abstraet
This paper aims to provide a critical review of findings from interorganizational cost
management (IOCM )studies in the past 15−20 years;together with majer changes in Japanese
supply chain relationships , and to suggest topics for fUture research . Initially, 10CM was recognized as an arm ’s−1ength cost management technique for target costing in Japanese
buyer−supplier relationships . However , 10CM is now discussed as a topic under interorganizational controL Prior research has shown that IOCM is iden価 ed as strategic cost management and classified as structural and executional on the basis ofcost drivers. In addition , it is expected to evolve because of globalization, complications , and radical revisions in supplier management ln recent Japanese supply chains . Therefbre, this paper clarified i∬ ues such as the scope oftotal costs , time base, and learning and a 玉liance capabilities .
Key Words
Interorganizational Cost Management , Strategic Cost Management , Interorganizational Control,
Supply Chains
2012年1月15日 受理 大 阪府立 大学大学院経済 学研 究科
Accepted 15 January 2012
Graduate School of Economics, Osaka Prefecture University
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管 理 会 計 学 第20巻 第2号
1 . は じめ に
本 稿の 目的は, 組 織 間コ ス トマ ネジ メン ト (10CM , inter−organizational cost management )に関 わ る国 内 外の先行 研 究を レ ビュ ーし,近 年の 日本企業を中心 とした サ プラ イ チェ ーン の変化を 踏 ま えて, 将 来の研 究 課 題 を 析 出 する ことである,
10CM 研 究 は,組 織 間 境 界にお け る 原 価 管 理 や 利 益 管理 などを 検 討の 対象とする研 究 領 域で ある.当 初 は,サプラ イヤー管 理 や 価 値 連 鎖 分 析 につ い て の研 究が進めら れた.なか で も,原 価企画 活 動に お ける 日本 的 サプ ラ イヤー関 係 に着 目する研 究が中心 で あっ た.ま た,IOCM を 戦 略 的コ ス トマ ネ ジメン トの一側面 と捉 える研 究 が 展 開 され,その成 果 が 蓄 積 さ れ た.その後, 管理会計研究で は多様 な組織 間マ ネ ジメン ト を 対 象とする ようになっ た が,特に組 織 間コ ン ト
ロール の メ カニ ズム につ い て盛ん に議 論 さ れて い る.こ の流 れのなかで ,10CM は組 織 間 管理 会 計 と呼ば れ る研 究 領 域に包含さ れ る に 至 っ て い る (木村,2011;窪田・大浦 ・西居, 2010;坂
口 ・富田 ・柴
,2009など).
この よ うに 展開 され て き た IOCM 研 究で は あ る が, Carr and lttner(1992)の TCO (total cost of ownership )の議 論 を 出 発 点 とするな らば,おお よそ 20 年が経 過 しよ う とし て い る.その 後の Cooper を中心 とする一連の 研 究で は
, 日本 企 業の サ プラ イ ヤー関 係の 実 務が観 察 ・記 述 されて
い る が, そ れ らも多くは 公表か ら 10年 以上 が経っ てい る (Cooper, 1995, Cooper and Slagmulder,
1997,1999;Cooper and Yoshikawa,1994など).その間に, IOCM 研 究と して初 期に観察さ れ た 日 本 企 業の実 務は変 化 し てきて い る.なか でも, 日本 企 業はサ プライ チェ ーン ・マ ネジ メ ン トに 高い関心 を 示 し,その 取り組 みを強 化 して き た.そ れ は ロ ジス テ ィッ クス の再編だけ に とどま らず,購 買 や 製 品 開 発の見 直 しにまで及ん で い る.こ のよ うな 近 年の 実務の動 向を踏ま え る と,
バ イ ヤーと サプラ イ ヤーと に よ る
分 業の 重要性は変 わ りない もの の , そ こに存 在 するサプ ライ チェ ーンを 対 象 とした IOCM は確 実に進 化 して い るとい え る.し か し, 近年の IOCM 研 究は,
初期の 段階に 比べ ると 実 務に注目する研 究 が 減っ てきてい る.それ ゆ え,10CM に関 す る研 究 課 題を抽 出 する に は,実 務上 の問題 や動 向を再 認識する 必 要 が あ る.
また, 10CM 研 究で は, 実務を観察し て単に記 述 するだ けで は十 分で は ない .10CM に関 す る 理論の構築に は, 研 究枠組 み を持っ て分 析 するこ と が 必 要 である.そ こで本 稿で は,日本企 業のサプ ライ チェ ーン を 中心 とし た 10CM を 観 察 す るの に, Anderson and Dekker (20094 b)の 枠組 み を援 用 する.こ の枠 組み は, 第 3節に て述べ る が,コ ス ト ド ラ イバ ーに よ り10CM を構 造 的コ ス トマ ネジメ ン ト と遂行的コ ス トマ ネジメン トに 区分するもので ある.外 部 資 源の有 効 活 用 を 目指 す IOCM は,多 くの現 代企業に とっ て 戦 略 を 実 施 する うえ で欠か せない 取り組み で
あ る.そ れ ゆえ, この 枠組 みでは戦略的コ ス トマ ネジ メ ン トが強 く意 識 され て い る.
本 稿では,次の よ うに議 論を 進 め る.まず ,次節で は,10CM 研究の 動 向につ いて紹 介 する.
その た め に, 10CM 研 究の 経緯を 振り返 る こ とに したい.ま た,組 織 間 管 理 会 計 研 究との関 係
につ い て整理 し, 国内研究の 動向 を把 握 する.これ らの 考 察 を 通 じて,10CM 研 究の 現 状 を 明 らかにする.第 3節では,戦 略 的コ ス トマ ネジメ ン トの視 点か ら,10CM を 再考する.第 4 節
で は, 日本企 業の サプラ イ チェ ーン の変化 に焦 点を当てなが ら
, 取り組むべ き 研 究 課 題につ い て議 論する.最後の第 5 節は,結論と して析 出さ れ た研究課題 を ま と め, 今 後の 研 究展望につ
い て述べ る ことに し たい .
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組 織 間コ ス トマ ネジメ ン ト研究の展 開
2 .組織 間コ ス トマ ネジ メ ン ト研 究の 動 向 2.1.組織間ロ ス トマ ネジ メン ト研 究の 経 緯
研 究 者に よっ て IOCM の定 義 や 説 明は さ ま ざ まで ある,た と え ば,Cooper and Slagmulder(1999)
は,10CM を サプラ イ ヤー ・ネ ッ トワーク に参 加 する企 業の 活 動を 調整 し
, その ネ ッ トワーク
の トータル コ ス トの低 減 を 図る組 織 的 なア プ ロ ーチで ある と 定 義 して いる,ま た,Coad and
Cullen (2006)は,コ ス ト低減の達成と価値創造 を 目的と し たバ イ ヤーと サプラ イ ヤーの間の 協 働的 な ア クシ ョ ン などである とし, Agndal and Nilsson (2009)は, コ ス ト低 減に 向 けたバ イ ヤーとサプライ ヤーの
組 織的 な取り組み で あ る と述べ てい る.
これ らの定義ない し 説 明 からも分か る ように, 10CM の先 行 研 究は,組 織 間 境 界に お け るコ
ス トマ ネジメ ン トを扱い ,主にサ プ ラ イヤーとバ イヤー (価値連鎖上の パ ートナー)の 関 係で
あ る サプラ イ チェ ーン を分析の対象 と し てい る.本 稿で は,10CM を,必ずしもバ イ ヤーとサ
プ ラ イヤーの 間の ダ イア ド (2者 関 係 )に限 定せず, 「サ プ ラ イ チェ ーンに お け る トータル コ ス
トの 低 減を 図 る た め に各パ ー トナーと実 施 する組 織 的 な 取り組み」 と捉えて議 論 を 進め る. [OCM の初 期段階の研 究で 注 目 さ れ た議 論は, TCO (Carr and Ittner,1992;Ellrarn,1995;Ellram
and Siferd,1993,Kaplan and Cooper,1998)と戦 略 的コ ス トマ ネジ メン ト(Hergert and Morris,1989;
Shank,1989;Shank and Govindaraj an,1993)であ る. TCO は,も ともと は調 達マ ネジ メン トで 古
く か ら使 われ てい る用 語であり,調 達に おける トータル コ ス トを 最 適 化 しよ う とするものであ る.こ の トータル コ ス トの発 想は, 1960年 代の ラ イフサ イ クル ・コ ス テ ィ ン グの議 論で取り 上 げ ら れ て お り, 決 し て新 しい もの で はない.
し か し,1990年 代に 入 り,JIT (just−in・time ) や TQC (total quahty controD の 実 施に は サ プ
ライヤーの役 割が重 要であ る とい う認 識が欧 米 企 業 に 広 まっ た.欧 米 企 業 は,80年 代に 日本 企 業か ら学んだリーン 生 産
, カ ン バ ン 方 式, TQC など に取り組ん でい たが,その 取り組み を 組織 内 からサ プ ラ イ チェ ーンに拡 張し よ うと し た の で あ る (Simchi−Levi et al,2000),こ の動 向 を 受 け て, Carr・and・lttner(1992)は,サ プラ イ ヤー管理 で は購入価 格 だ けで はな く広 範 なコ ス ト (取 引付随費用,輸送費,税金,保管費用,失 敗コ ス ト)の 把握が 必 要で ある と指 摘 し た,なぜな ら,TCO が購 入 価 格の 数 倍になるこ と も珍しく ないた めで ある.加 えて ,こ の文 献で は実 際の サ プ ラ イ ヤー評 価シ ス テム (SPRS , supplier performance rating systems )が 紹介さ れて い る. も う一つ の 研究初 期の 動 向は ,戦 略的 コ ス トマ ネジ メ ン トの 議 論で あ る.Shank and
Govinda 両an (1993)は,企業内外 の価値連鎖の 関 係を考 慮に 入れる戦 略 的コ ス ト分析の必 要性 を提 示 し た.そ れは,サプ ラ イ チェ ーンに おい て各パ ー トナーが どのよ うな 付 加 価 値 を 提 供 し てい るの かを 把 握 し よ うとする もの であっ た.具体 的に は,価 値 連 鎖,戦 略 的ポ ジシ ョ ニ ン グ,
コ ス ト ドラ イバ ーの 3つ を分 析 するもの で あ る が,その な かで も組織間 境 界に お け る 取 り組 み は IOCM とし て位 置づ け られ る,
続い て 登 場 し た 10CM 研 究は, 日本 的サプラ イ ヤー関係 を 念 頭に お き
, 10CM とし て 原価 企 画にみ られ る 活 動 や 技 法 を 観 察 するもの で あ る.な かで も,Cooper を中心 とする一
連の研 究が 該 当 する (Cooper, 1995 , Cooper and Slagmulder, 1997,1999,2004;Cooper and Yoshikawa ,1994 な
ど).た と え ば,Cooper and Yoshikawa (1994)は,日本の 自動 車産業のサ プ ラ イ チ ェ ーン の ケー
ス を 取り上 げ, コ ス トに 対するプレ ッ シ ャーが 下位のサ プラ イ ヤーに伝 達 され ること を明 ら か
に し た.ま た,Cooper and Slagmulder (1999,2004)で は,具体的 な 10CM 手 法 と して,機 能 ・
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