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カップ麺の摂取時刻とナトリウムの尿排泄量

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(1)

*東北女子大学

カップ麺の摂取時刻とナトリウムの尿排泄量

山田和歌子

・田中 夏海

・花田 玲子

出口佳奈絵

・西田 由香

Study on the urinary sodium excretion and feeding   time of instant noodles in healthy women

Wakako YAMADA

・Natsumi TANAKA

・Reiko HANADA

Kanae IDEGUCHI

・Yuka NISHIDA

Key words : カップ麺  instant noodles   尿排泄   urinary excretion   ナトリウム sodium

  カリウム  potassium   摂食時刻  feeding time

Ⅰ.緒言

 日本人は、和食文化に由来した醤油や味噌など の調味料を摂取する機会が多い。食塩は体液調節 と生命活動に大切な栄養素であり、食欲亢進や消 化吸収にも欠くことはできない。しかし、食塩の 過剰摂取は高血圧だけでなく、胃がんや腎疾患、

脳血管疾患、心筋梗塞などの原因になる。国民健 康・栄養調査

1,2)

によると、東北地方は食塩摂取 量が多く、青森県も例外ではない。食塩摂取量の 多い地域は高血圧や脳血管疾患の発症リスクが高 い傾向にあり、食塩摂取量の少ない人は血圧が高 くなりにくいことから

3,4)

、生活習慣病の予防と 健康づくりを目的とした減塩対策は広く行われて いる。

 ところで、青森県はカップ麺の消費量が全国第 1位

5)

で男女ともに平均寿命が最下位の短命県 である

6)

。一般的な市販カップ麺

7)

の栄養組成を 表1に示した。カップ麺は良質なタンパク質が少 なく、脂肪エネルギー比率は 30%を超える高脂 肪食である。また、カップ麺の食塩量は1日の目 標量

8)

にほぼ相当することから、脂肪と食塩の 過剰摂取につながりやすい食品である。カップ麺

を好む青森県民の嗜好性は短命県の一因となって いる可能性が考えられる。

 同じ高塩食を摂取しても尿中への食塩排泄量 は、摂取時刻や他の栄養素の影響を受けることが 明らかとなっている

9,10)

。そこで本研究では、高 塩かつ栄養バランスの悪いカップ麺を実験食に用 い、カップ麺の摂取時刻の違いによる尿中ナトリ ウム及びカリウム排泄への影響を検討した。

Ⅱ.方法  1.被験者

 健康な成人女性7名(23.0 ± 4.9 歳)を対象 とした。被験者には実験内容及び途中辞退も可 能な事を説明し、文書により実験参加への同意 を得た。本実験は、東北女子大学研究倫理委員 会の承認(受理日:平成 27 年8月 10 日)を得 て実施した。

 2.実験プロトコール   1)食事及び採尿時刻

 朝食、昼食、夕食のいずれか1食に高塩食

のカップ麺を摂取するランダムクロスオー

バー試験を実施した。カップ麺の摂取時刻に

より、朝カップ麺、昼カップ麺、夕カップ麺

(2)

表 1 市販カップ麺の栄養組成

商品名 エネルギー タンパク質 脂肪 糖質 ナトリウム 食塩相当量

kcal g(%) g(%) g(%) mg g 赤いきつねと緑のたぬき 赤いきつねうどん 96g 432 10.6(10) 19.1(40) 54.4(50) 2600 6.6 カップヌードル 77g 353 10.7(12) 15.2(39) 43.4(49) 1900 4.8 赤いきつねと緑のたぬき 緑のたぬき天そば 101g 482 11.8(10) 23.6(44) 55.5(46) 2400 6.1 カップヌードル シーフードヌードル 75g 323 9.8(12) 11.2(31) 45.8(57) 1900 4.8 マルちゃん おそば屋さんの鴨だしそば 98g 394 12.3(12) 19.0(43) 43.4(44) 2200 5.6 日清のどん兵衛 きつねうどん 96g 410 10.0(10) 15.7(34) 57.2(56) 2200 5.6 日清のどん兵衛 天ぷらそば 100g 464 10.2(9) 21.6(42) 57.2(49) 2400 6.1 カップヌードル カレー 85g 422 9.0(9) 20.4(44) 50.6(48) 1700 4.3 カップヌードル トムヤムクンヌードル 75g 346 8.1(9) 14.7(38) 45.5(52) 1900 4.8 マルちゃん 麺づくり 鶏ガラ醤油 97g 291 8.6(12) 5.2(16) 52.4(72) 2400 6.1 全国標準データベースにおける売上上位 10 種類の市販カップ麺について1個当たりの栄養組成を示した。

タンパク質、脂肪、糖質の( )内数値はエネルギー比率(%)で示した。

食塩相当量はナトリウム量× 2.54/1000 で算出した。

と定義し、各実験日には1日以上のウォッ シュアウト期間を設けた。カップ麺食(高塩 食)を食べない残り2食は低塩食を摂取し た。食事条件及び採尿時刻の詳細を図1に示 した。各実験日の前日は 20 時までに夕食を 終え、それ以降の実験期間中は実験食以外の 飲食を禁止とし、水のみ自由摂取とした。実 験当日は、朝6時に起床して排尿後、各食前 及び2〜3時間間隔(夜間のみ7時間)で 24 時間尿を8回に分けて採取した。発汗に よるミネラル損失を防ぐため、実験期間中は 安静に過ごし、活動は最小限の歩行程度とし た。

 3.実験食について

 実験食のエネルギー組成及びナトリウム、カ

図 1 実験プロトコール

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リウム、食塩相当量を表2に示した。カップ麺 食(高塩食)及び低塩食のエネルギー量は、日 本人の食事摂取基準(2015 年版)

8)

18 〜 29 歳 女性の基準値を参考に1食あたり 620 kcal と し、1日3食合計の PFC 比率が理想のバラン スとなるよう、低塩食の栄養組成で調整した。

  1)カップ麺食(高塩食)

 カップ麺食は1食 620 kcal となるよう2種 類の市販カップ麺を組み合わせて使用した。

カップ麺 A は濃縮味噌たれの袋を絞り出す タイプで、カップ麺 B は粉末スープ入りで湯 を注ぐだけのタイプであった。カップ麺食の 栄養組成を表2に示した。食塩相当量 9.1 g、

カリウム含量 445 mg で、カップ麺の汁まで 完食することを条件とした。

食事条件及び採尿時刻を示した。※は低塩食を、▲は採尿時刻とした。

(3)

表 2 実験食の栄養組成

表 3 低塩食の献立  

    カップ麺食   低塩食  1 日合計

エネルギー kcal 620 620 1860

  タンパク質 g (%) 17.6 (11) 27.3 (17) 71.6 (16)

  脂肪 g (%) 20.6 (30) 15.5 (22) 50.8 (25)

  糖質 g (%) 91.7 (59) 89.3 (61) 269.3 (59)

カリウム mg 445 1100 2645

ナトリウム mg 3600 670 4940

  食塩相当量 g 9.1 1.7 12.5

タンパク質、脂肪、糖質の( )内数値はエネルギー比率(%)で示した。

カリウム、ナトリウムは実測値で示した。食塩相当量は、ナトリウム量× 2.54/1000 で算 出した。

メニュー (g)

ごはん

 精白米 80

蒸し鶏   

 鶏むね肉 50

 レタス 30

 ミニトマト 20

 鶏卵 30

 酒 15

 ポン酢しょうゆ 3

 マヨネーズ 8

コンソメスープ   

 じゃがいも 30

 人参 30

 大根 20

 さやいんげん 10

 固形コンソメ 2

フルーツ

 りんご 20

 キウイ 20

ヨーグルト 148

  2)低塩食

 低塩食の献立を表3に示した。低塩食は、

カップ麺食に不足している良質なタンパク 質、カリウム、ミネラルなどを補い、1日合 計の栄養バランスを整えた献立とした(表 2)。低塩食の食塩量は1食あたり 1.7 g とす るため、調味料の使用は最小限とした。調理 工程によるカリウムなどの損失を防ぐため、

加熱には電子レンジを用い、調理時間を統一

した。皿についた調味料や煮汁も完食するこ とを条件とした。

 4.測定項目及び分析方法

  1)実験食のナトリウム、カリウム含量  実験食から摂取したナトリウム、カリウム 量を正確に評価するため、カップ麺食及び低 塩食のナトリウム、カリウム含量の実測を 行った。実験食はすべての食事を−30℃で冷 凍保存した。後日、ミキサーでペースト状に して LAQUAtwin(株式会社堀田製作所)を 用いてナトリウム、カリウム含量を測定した。

 カップ麺食は、商品に表示されているナト リウム含量(食塩相当量 9.5 g)に対して実 測値(食塩相当量 9.1 g)では 0.4 g 低かった。

これは、カップ麺 A の濃縮味噌たれを袋か ら絞り出す際の操作が影響していると考えら れた。そこで濃縮味噌たれの袋に残っている たれをすべて洗い流して測定したところ、食 塩 相 当 量 は 表 示 値 と ほ ぼ 一 致 す る 9.4 g と なった。本実験では袋に残った濃縮味噌たれ を洗い流して食べてはいないため、被験者が 実際に袋から絞り出した場合と同じ条件の実 測 値 9.1 g を カ ッ プ 麺 食 の 食 塩 相 当 量 と し た。また、市販カップ麺にはカリウム含量の 表示がないため、ナトリウム同様、実測値を カップ麺食のカリウム含量とした(表2)。

 低塩食のナトリウム含量は食品成分表から

(4)

算出した値と実測値が一致した(食塩相当量 1.7 g)。一方、カリウム含量は、食品成分表 か ら 算 出 し た 値(1000 mg) に 対 し 実 測 値

(1100 mg)ではやや高値を示した。これは 食材に含まれるカリウム含量が、産地や季節 によって変動することによると考えられるた め、本研究では実測値を低塩食のカリウム含 量とした(表2)。

  2)尿中ナトリウム、カリウム含量

 規定の時刻に尿をすべて採取し、メスシリ ンダーで尿量を計測した。採取した原尿は、

採尿当日にナトリウム及びカリウム濃度の測 定を行った。測定したナトリウム、カリウム 濃度と尿量から各時刻の尿中排泄量(mg)

を算出した。

  

 5.統計処理

 データはすべて平均値±標準誤差で示した。

統計処理には SPSS  Statistics  22  for  windows 

(日本アイ・ビー・エム株式会社)を用い、有 意水準は5%未満とした。高塩食の摂取時刻の 違いと尿中ナトリウム、カリウム排泄量の比較

には、一元配置分散分析を用い、有意差を認め た場合には Bonferroni 法による多重比較検定 を行った。

Ⅲ.結果及び考察  1.被験者の身体組成

 実験初日の朝7時に、朝食を摂食していない 状態で測定を行った。被験者の体型は、身長 159.7±1.8 cm、体重 52.8±2.3 kg、BMI 20.7±0.9  kg/m

2

で、平成 27 年国民健康・栄養調査

11)

に おける同年代の女性と同程度であった。

 2. カップ麺の摂取時刻の違いによる尿排泄リ ズムへの影響

 尿中ナトリウム及びカリウム排泄の日内リズ ムを確認するため、1時間当たりの尿中排泄量 の日内平均値を 100 として各採尿時刻における 排泄率(%)の変化を図2に示した。

  1)ナトリウムの尿排泄リズム

 尿中ナトリウム排泄はカップ麺の摂取時刻 に関係なく、朝から夜にかけて緩やかに上昇 して 23 時にピークを示し、その後朝方6時 図2 カップ麺の摂取時刻の違いによる尿中ナトリウム及びカリウム排泄リズムへの影響

0 50 100 150 200

6:00 7:30 9:00 10:30 12:00 13:30 15:00 16:30 18:00 19:30 21:00 22:30 24:00:00 3 6:00

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6:00 7:30 9:00 10:30 12:00 13:30 15:00 16:30 18:00 19:30 21:00 22:30 24:00:00 3 6:00

12 18 24

6 6

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(5)

にかけて低下する日内リズムを示した(図 2‒A)。尿中ナトリウム排泄には典型的な日 内リズムが存在することが知られており

12,

13)

、今回の結果も一致した。腎臓におけるナ トリウム再吸収を促進するアルドステロン は、夕方から 23 時にかけて血中濃度が低下 し、朝方にかけて上昇する日内リズムを呈す る。ナトリウムの尿排泄リズムは血中アルド ステロンの日内リズムに応答して形成されて い る と 考 え ら れ て い る

9,14 〜 16)

。 川 崎 ら

14)

は、1日2g、10 g 及び 22 g の食塩摂取量の 食事において、ナトリウムの尿排泄リズムや 血中アルドステロンの日内リズムを調べた結 果、食塩摂取量の多寡によって頂点位相や振 幅などのリズム特性に差がないことを明らか にしている。今回、1日の食塩摂取量は同一 のまま、カップ麺による高塩食の摂取時刻を 変化させても、ナトリウムの尿排泄リズムの ピークは一律 23 時で、夜間から朝方にかけ て低下した。このことから、アルドステロン に応答したナトリウムの尿排泄リズムは、食 塩の摂取量や摂取時刻に関係なく、強固に維 持されることが明らかとなった。

  2)カリウムの尿排泄リズム

 尿中カリウム排泄の日内リズムを図 2‒B に示した。カップ麺の摂取時刻に関係なく、

カリウムの尿排泄リズムは昼から夕方にかけ て上昇し、夜から朝方にかけて低下する日内 リズムを示した。尿中カリウム排泄は昼間に ピークとなり、夜間に低値を示す約 24 時間

周期のリズムが存在することが知られてお

12,13,17)

、今回の結果も一致した。カリウム

は細胞内液の主要な成分であることから、

その尿排泄リズムは、生体内の各種代謝に よる細胞内外のカリウムイオンの移動に起 因していると考えられている

18,19)

。また、カ リウムの尿排泄リズムは食事のナトリウムや カリウム摂取量の変化による影響を強く受 けないことが報告されており

18)

、本研究の 朝・夕カップ麺の結果もこれと一致した。こ のことから、カリウムの尿排泄リズムは食事 のカリウム含量に依存せず、内因性因子に よって形成されると考えられる。興味深い点 として、昼カップ麺食後の 14 時 30 分から 18 時の尿中カリウム排泄は、朝・夕カップ 麺に比較して有意に低値を示した。尿中カリ ウム排泄が高まる午後から夕方の時間帯は、

食事による影響を受けやすいのではないかと 考えられる。

 3.カップ麺の摂取時刻の違いによる尿中ナト    リウム及びカリウム排泄量への影響

 朝、昼、夕の各カップ麺食後5時間及び翌朝 6時までの 24 時間尿中ナトリウム、カリウム 排泄量を表4に示した。

  1)尿中ナトリウム排泄量

 カップ麺食後5時間の尿中ナトリウム排泄 量は、朝、昼、夕の摂取時刻の違いによる差 は認められず、どの時間帯も 20% 程度しか 排泄されなかった。翌朝6時までの 24 時間 表 4 カップ麺の摂取時刻の違いによる尿中排泄量への影響

朝カップ麺 昼カップ麺 夕カップ麺

ナトリウム

 食後5時間 853 ± 127 (24) 742 ± 84 (21) 711 ± 113 (20)

 24 時間(6時〜翌6時) 4183 ± 390 (85) 3525 ± 372 (71) 2739 ± 302 (55)

カリウム

 24 時間(6時〜翌6時) 1659 ± 119 (65) 1473 ± 131 (57) 1459 ± 99 (59)

排泄量(mg)を平均値±標準誤差で示した。( )内数値は排泄率(%)の平均値を示した。

p < 0.05 vs. 朝カップ麺

(6)

の尿中ナトリウム排泄率は、朝カップ麺で 85% 排泄されたのに対し、夕カップ麺では 55% と有意に低かった。昼カップ麺では、そ の中間の 71% であった。

 食事分析値と 24 時間尿中排泄量から調べ たナトリウム排泄率は、78 〜 93%と報告さ

れており

22 〜 27)

、本研究の朝カップ麺の結果

とほぼ一致した。夕カップ麺では、摂取した ナトリウムを翌朝6時までに排泄しきれな かったことが予想され、カップ麺で摂取した ナトリウムは、長い時間をかけて尿排泄され ることが明らかとなった。ナトリウム摂取量 と 24 時間尿中排泄量の関連については、正 相関の報告が多い一方で、低い相関、あるい はまったく相関がなかった結果も多くみら

20,28,29)

、ナトリウムの尿排泄は2〜3日の

遅れをもって増減すると考えられている

30)

。 本研究では、1日の食塩摂取量は同一のま ま、1食 9.1g のカップ麺の摂取時刻を変え ると、ナトリウムの 24 時間尿中排泄量に約 1.5 倍の差が生じることを確認した。これま で多くの研究において、食塩摂取量とナトリ ウム排泄量の関係が曖昧にされてきた一因と して、食塩の摂取時刻すなわち3食の食塩配 分の違いが関与している可能性が示唆された。

 病院等では、栄養指導の資料として、24 時間蓄尿や随時尿のナトリウム量から食塩摂 取量を推定する方法を用いることがある。今 回の結果から、1日の食塩摂取量は同じで も、一度に約9gという多量の食塩を含む カップ麺のような食事を夕食に摂取した場 合、翌朝までのナトリウムの尿排泄に反映さ れておらず、正確な食塩摂取量を把握できな い可能性が示唆された。

 1日の食塩摂取量は同じでも摂取時間帯に よってナトリウムの尿排泄率に差が生じる機 序として、前述したアルドステロンに応答し たナトリウムの尿排泄リズムが関与している と考えられる。加藤ら

9)

は、1食あたり 10 g の高塩食を朝、昼、夕のいずれかで摂取した

ところ、夕食に高塩食を摂取した時のナトリ ウム尿排泄が最も高かったと報告している。

そのため、本研究においても夕カップ麺でナ トリウム尿排泄が高まると予想したが、カッ プ麺食後5時間のナトリウム排泄率に差はみ られなかった。先行研究と結果が異なった要 因として、食塩量以外の実験食の栄養組成が 関与している可能性がある。加藤ら

9)

の高 塩食は食材を調理した実験食であるのに対 し、今回の高塩食はカップ麺を用いた点が異 なる。カリウムがナトリウムの尿排泄を促進

すること

16,31)

や、高タンパク質食では低タ

ンパク質食に比較してナトリウムの尿排泄が 増加すること

32)

が報告されている。カップ 麺は、通常の食事と比較して良質タンパク質 やカリウム、食物繊維が極端に少ないため、

食後のナトリウム尿排泄が促進しなかったの ではないかと考えられる。

  2)尿中カリウム排泄量

 翌朝6時までの 24 時間尿中カリウム排泄 率は、カップ麺の摂取時刻による差はなく、

どの時間帯も 60% 程度であった(表4)。前 述のように、カリウムの尿排泄には明確な日 内リズムが存在し、昼間は高く、夜間に低 かった。カップ麺の摂取時刻の違いに伴い、

食塩摂取量だけでなく3食のカリウム含量の 配分は異なったが、24 時間尿中カリウム排 泄量に差は認められなかった。このことか ら、1日のカリウム摂取量が同一であれば、

3食の配分の違いは尿中カリウム排泄量に影 響を及ぼさないことが示唆された。

 カリウムの摂取量に対する総排泄量の割合 は 60 〜 87%

22 〜 27,33)

と報告されており、カ リウムの尿排泄率には一定の幅がみられる。

この要因として、多くの研究では食事記録か

ら食品成分表を用いてカリウム摂取量を推定

しているためと予想されている。カリウムは

季節や産地による変動や調理法による損失が

大きいため

25,34)

、実際に摂取したカリウム摂

取量との誤差が生じやすい。本研究では、カ

(7)

リウム摂取量に対する尿排泄率は実測値を用 いて算出したため、先行研究より低めの 60%

前後であったと考えられる。

 カリウムは腎臓におけるナトリウム再吸収 を抑制し、尿中へのナトリウム排泄を促進す

16,31)

と考えられているが、今回カリウム

摂取量とナトリウムの尿排泄リズムに相関は み ら れ な か っ た。 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準

(2015 年版)

8)

では、血圧低下や脳卒中予防 につながるとしてカリウム摂取量を増やすこ とが推奨されている。今回の実験食の1日の 合 計 カ リ ウ ム 摂 取 量 2645 mg は、 目 標 量 2600 mg 以上を満たしていたにも関わらず、

尿中へのナトリウム排泄を促進しているとは 考えにくかった。この原因の一つとして、

カップ麺の摂取タイミングに合わせてカリウ ムを摂取していなかったことが考えられる。

カリウムによるナトリウム尿排泄の促進を期 待する場合、たとえ高塩食の前後つまり1日 合計でしっかりカリウムを摂取してもナトリ ウム尿排泄を促進する効果が期待できない可 能性が考えられる。亀山ら

32)

は、運動の有 無や食事タンパク質含量の違いによってカリ ウムの尿排泄量に増減がみられたと報告して いる。典型的な日内リズムが存在するナトリ ウムとカリウムの尿排泄に影響を及ぼす栄養 組成や摂取タイミングについて、今後の検討 が必要である。

Ⅳ.まとめ

 朝食、昼食、夕食のいずれか1食で高塩のカッ プ麺食(9.1 g/ 食)、残り2食は低塩食(1.7 g/ 食)

を摂取し1日の食塩摂取量は同一とし、尿中ナト リウム及びカリウム排泄量を検討した。

 カップ麺の摂取時刻に関係なく、ナトリウムの 尿排泄リズムは 23 時にピークを示し、夜間から 朝方にかけて低下した。アルドステロンの日内リ ズムに応答したナトリウムの尿排泄リズムは、食 塩の摂取量や摂取時刻に関係なく、強固に維持さ れることが明らかとなった。カップ麺食後5時間

の尿中ナトリウム排泄率は、朝、昼、夕の摂取時 刻に関係なく、いずれも 20% 程度と低かった。

24 時間尿中ナトリウム排泄率は、朝カップ麺の 85% に比較して夕カップ麺で 55% と有意に低かっ た。カップ麺で摂取した多量のナトリウムは、尿 排泄に時間がかかり、長時間体内に貯留されると 考えられる。過剰に摂取したナトリウムを速やか に尿排泄することは、健康づくりの課題である。

カリウムは尿中へのナトリウム排泄を促進すると 考えられており、血圧低下や脳卒中予防を目的と した摂取量の増加が推奨されている。今回、カッ プ麺食以外の2食の低塩食でカリウムを充分に摂 取したが、ナトリウム尿排泄の促進は認められな かった。カップ麺はカリウムだけでなく良質タン パク質や食物繊維が少なく、栄養面での課題が多 い食品である。カリウムによるナトリウム尿排泄 の促進は、高塩食の摂取タイミングに合わせてカ リウムを摂取した場合に限定されるのか、あるい はカリウム以外の栄養素との関連があるのか、今 後さらなる検討が必要である。

利益相反

 利益相反に相当する事項はない。

 なお、本研究の一部は JSPS 科研費(26750051)

の助成を受けたものである。

参考文献

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(都道府県別結果)

2) 厚生労働省:平成 26 年国民健康・栄養調査報告 3) 竹森幸一,仁平將,三上聖治,他:日本人成人

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表 1 市販カップ麺の栄養組成 商品名 エネルギー タンパク質 脂肪 糖質 ナトリウム 食塩相当量 kcal g(%) g(%) g(%) mg g 赤いきつねと緑のたぬき 赤いきつねうどん 96g 432 10.6(10) 19.1(40) 54.4(50) 2600 6.6 カップヌードル 77g 353 10.7(12) 15.2(39) 43.4(49) 1900 4.8 赤いきつねと緑のたぬき 緑のたぬき天そば 101g 482 11.8(10) 23.6(44) 55.5(46) 2400 6.
表 2 実験食の栄養組成 表 3 低塩食の献立     カップ麺食   低塩食  1 日合計エネルギーkcal6206201860  タンパク質g (%)17.6 (11)27.3 (17) 71.6 (16)  脂肪g (%)20.6 (30)15.5 (22)50.8 (25)  糖質g (%)91.7 (59)89.3 (61) 269.3 (59)カリウムmg44511002645ナトリウムmg36006704940  食塩相当量g9.11.712.5タンパク質、脂肪、糖質の( )内数値はエネルギー

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