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傷勾oρo記顕

名寄市病誌 18:33〜34,2010

岡  秀治

【平成21年8月18日】

司会:消化器内科 斉藤 裕樹 症例担当:一年次研修医 岡 秀治

病理担当:旭川医科大学病理学講座 免疫病理分      野 佐藤 啓介

症例:59歳,男性 主訴;腹部膨満感

既往歴:尿管結石(39歳時),高脂血症(45歳時よ     り),足場良性腫瘍(52歳時)

居住歴:木造家屋 職業:精神介護職員

現病歴:高脂血症にて当科外来通院中.5日前か らの腹部膨満感を主訴に,平成21年5月下旬当科 受診.CT上,多量の腹水が認められた(図1).上 部消化管内視鏡検査,腹部超音波検査を施行する も腹水貯留の原因となるような病変を認めなかっ た.その後も,短期間での急速な腹水の増量が認 められたため,精査加療目的に受診後4日目で当 科入院となった。

入院後経過:入院当日,腹部膨満感の増悪を認め たため,腹水穿刺を施行した.自覚症状は穿刺後 数時間はやや改善したものの,翌朝には元の状態 に戻っていた.腹水細胞診では,ピアルロン酸 189,000ng/mlと異常高値を認め,遊離中皮細胞 が多数認められたことから腹膜悪性中皮腫の疑い が強いと考えられた.その後も腹水穿刺を数回施 行し,血液製剤,利尿剤を含めた治療を行ったも のの,腹部症状は悪化の一途を辿り,腎機能も急 速に悪化した.第六一日,状態が急速に悪化し,

同日午後永眠された.

【推定死因】

悪性中皮腫の腹腔内転移・浸潤による循環不全

(腫瘍死)

所見:悪性中皮腫は,腹腔内で播種性に転移し,

大小の結節をびまん性に形成していた(図2,3).

実質臓器への浸潤は認めなかった.腫瘍細胞は,

特定の構造を示さない紡錘形の肉腫様成分と細胞 質豊富で,decidal cellに類似した上皮様成分の混 在する二層型中皮腫で,細胞間の間質も浮腫性で

あった(図4).

 免疫学的染色ではCalretinin, D2−40, Vimentin,

CAM5.2, AE 1/AE3が陽性であり,中皮腫細胞と して矛盾しなかった(図5,6,7).

 以上のことから腹膜悪性中皮腫と考えられた.

肺,腸管を含め,アスベスト小体は組織学的に認 めず,病歴からもアスベスト曝露歴は認められな いため,本症例とアスベストとの因果関係は明ら かではなかった.

考察:諸家の報告では,予後不良なタイプとして びまん性,肉腫型が挙げられているが,本症例で はびまん性,二相型であった.びまん性,二相型 はMST約10か月と報告されているものの,本症例 は約二週間と特に急速な経過を辿った.これまで の報告では診断から一かH未満の急速な経過を辿 った症例は二例存在するのみであった.

おわりに:急速な転帰を辿った腹膜悪性中皮腫の 一例を経験した.腹膜悪性中皮腫には早期診断が 非常に重要であると考えられた.

病理解剖学的診断:剖検番号S50

【主病変】

1.腹膜悪性中皮腫(腸間膜原発)

 腹腔内播種性転移

【副病変】

!.両肺うっ血(左:690g,右:610 g)

2.肺動脈塞栓 3.良性腎硬化症

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(2)

図1:初診時CT  多量の腹水貯留を認める

・纒、

図2:病理標本① 中央に約10cm大の腫瘤を認める

図3:病理標本② 小腸が白色〜黄褐色,米粒大〜

空豆大の結節状腫瘤でびまん性に被覆されている

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図4:HE染色(×100) 核,細胞は正常中皮細胞に 類似し,他の上皮系,間葉巨細胞の構造的特徴を 示していない

図5:Calretinin(×100) 紡錘形細胞で一部陽性

図6D2−40 ほぼ全ての細胞で陽性

図7:AE1/AE3 紡錘形細胞で一部陽性

参照

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