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(1)

「フランス連結納税制度の会計的検討」

その他のタイトル L'etude sur integration fiscal groups de societes de France au point de vue de la Comptabilite

著者 大倉 雄次郎

雑誌名 關西大學商學論集

巻 47

号 1

ページ 39‑60

発行年 2002‑04‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00018958

(2)

関西大学商学論集 第

47

巻第

1

(2002

4

月 )

(39)  39 

「フランス連結納税制度の会計的検討」

大 倉 雄 次 郎

はじめに

連結納税制度導入の背景には,

1997

年独占禁止法による純粋持株会社の 設立解禁,

1999

年証券取引法による個別財務諸表中心から連結財務諸表中 心へのディスクロージャーの充実,同年商法の完全親会社による株式交換,

株式移転制度の創設,

2000

年商法の新設分割,吸収分割制度の創設の一連 の動きに呼応した2

000

年法人税法の組織再編成に係る適格合併及び適格分 割型分割,適格分社型分割の税制の創設がある。

このような背景の下で2

002

4

月からの連結納税制度導入の趣旨の一つ は「企業の組織再編成を促進し,わが国企業の国際競争力の維持,強化と 経済の構造改革に資することとなる」!)としている。

この連結納税制度には第一に,損益振替制度としてのイギリスのグルー プ・リリーフ制度とドイツの機関制度があり,第二に所得通算型制度とし てアメリカの連結納税制度とフランスの連結納税制度とがある。

我が国で平成

14

4

1

日以降の事業年度から導入が予定されている連 結納税制度は後者のアメリカとフランスの所得通算型連結納税制度をとり 入れたものになるとされている。

そこで本稿では既にアメリカ型連結納税制度と会計の関係については別

1)

税制調査会・法人課税小委員会「連結納税制度の基本的考え方」(乎成

13

10

9 B)

による

(3)

稿

2)

で明らかにしているので,

1988

1

1

日以降導入されたフランスの 連結納税制度を税務・会計的側面から検討を加える事とする。

I. 

連結納税制度の対象

フランス法人税法ではグループ会社

(Groupesde societes)

の規定が置 かれているので以下それに基づいてフランスの連結納税制度について概観

し検討する。

連結納税対象子会社 ( 1 ) 規定

「親会社は,グループ会社が直接又は間接に資本の最少限95% を保有し ている会社

3)

でグループ全体の損益

(resultantsdu groupe)

について法人 税

(impatsur Jes societ

命)に支配されて納税義務を有することができる」

4)

として,子会社の条件を親会社が株式の

95%

以上の所有としている。そし て,「親会社

(societemere)の資本は普通法の法人税の下で支配されてい

る他の法人

(personnemorale)によって直接又は間接に最少限95%

所有さ れてはならない」

5)

として,他の内国法人によって95% 以上所有されている 場合には親会社になる事ができない。

従って連結納税グループは法人税にのみ義務をもつのであって,付加価 値税

(taxesur la valeur ajoutee)

や地方税については適用はない。

もし親会社による子会社の持分が95% 未満に落ちた場合には,次のケー

2)

参考文献の拙稿の論文参照

3)

フランスには,株式会社

(Societes Anonymes  : SA), 

略式子会社

(Societe paractions, simplifiee : SAS), 

有限会社

(societes

i l .  

responsobiliite limitee :  SARL)

に法人税が課せられる

4) Code General des lmpclts 

(以下「

CGI

」と略す)

Art 223 A alinea 1  5) CGI Art 223 A alinea 1

この

95%

所有は議決権と配当を受ける権利をもつ株式を

指している

(4)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉) ( 4 1 )   4 1  

スを除いてたとえ一時的であっても子会社はその事業年度の初 H から連結 納税グループを離脱しなければならない。

「たとえ商法

(codede commerce)  225183

による規定のストックオプ ションによる株式の引受の行使が事業年度中に子会社

(societefiliale)

の 資本の議決権

(participationdans le capital)

95%

以下になったとして

も,もしこの

95%

の比率が事業年度末において再び達成されているならば,

この資本は決められた条項に従っているとみなされる」

6)

ので,この子会社 は連結納税グループのメンバー会社のままとなり,離脱する必要はない。

(2)

外国法人の検討

外国法人はフランスの連結納税グループメンバーになることはできな い。この点はアメリカ連結納税制度でも例外を除いて同様である。

外国法人を連結納税対象子会社から除外する事は,本来連結納税制度が 経済的単一体概念

(singleentity)

をとる以上理論的整合性に乏しいのであ

るが,各国の課税標準や税率が異なる事によりやむを得ない。

そこで,外国法人についてはその各国に純粋持株会社(統括会社)を設 立した上で,その傘下に子会社を入れて連結納税制度を導入する事が当然 考えられる。

2. 

連結納税制度の選択 ( 1 ) 規定

第一に連結納税制度の選択については任意である。

「連結納税の選択は事業年度開始の日前に通告しなければならないが,

これは 5年間有効である。そして変更の期限切れ前に破棄の通告を除いて,

暗黙の更新によって継続される」

7)

第二に上記の規定にみられる如く,一旦選択した連結納税制度は

5

年間 有効であるので途中で止める事はできない。

6) 

CGI Art 

2 2 3  

alinea 

7) 

CGI Art 

2 2 3  

A alinea 

(5)

47 巻 第 1

第三に「親会社はこの連結納税の選択の有効期間を止める事業年度末よ り前に,グループのメンバーを停止する会社と,次の事業年度からグルー プのメンバーとなることに同意した会社のリストを通告する」

8)

事を要す

る 。

この様に親会社は連結納税グループの対象となる子会社を自由に選択で きる処に特徴があるが,そのリストを事前に税務当局に通告しなければな らない。その際連結納税対象子会社の同意書が必要となる。

( 2 ) 子会社任意選択の検討

第一に,フランス連結納税制度の

95%

所有は,ストックオプションとの 関連であり,実質的には100% である。そもそも連結納税制度における租税 の中立性とは,支店・事業部制という組織と子会社制度を採用した場合に おいて租税負担に差がないという意味であるから,本来的には100% 子会社 を連結納税対象子会社とすべきである。

第二に,フランスでは連結納税制度の採用は任意であり更にその対象子 会社については,アメリカの強制に対して任意である。

この任意にするデメリットは,欠損金のある子会社のうち繰越欠損期限 内に課税所得が見込まれる子会社の場合には,非連結納税対象子会社とし,

他方繰越欠損期限内に課税所得が見込まれない赤字継続子会社と利益稔出 子会社については連結納税対象子会社として所得通算を行う事になり,課 税の公平性からは好ましくない。

3. 連結納税会計期間

「グループ会社は同一の H に彼等の事業年度を開始し,閉めきらなけれ ばならない。そして会計期間は

12

ヶ月である」

9)

としている。

従って,連結納税グループに属する会社の事業年度は統一されなければ ならない。

8)  CGI Art 223 A alinea 6  9)  CGI Art 223 A alinea 5 

(6)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉) ( 4 3 )   43 

4. 

子会社の連帯納税債務

「これらの取消めに同意している,そして損益が普通法

(droitcommun) 

の規定又は

214

条と

217

条の

2

に従っての法人税が提出されている会社のみ が唯一グループのメンバーになることができる」

10)

としている。

そして「各々のグループ会社は,法人税,一年の見積り課税

(imposition forfaitaire), 

万ーの場合の遅延利子

(interets de  retard) , 

延滞加算金

(majoration)

罰金

(amendesfiscales)

の支払いについて連帯の義務が ある。それは親会社がもしグループのメンバーでなとするならば,会社毎 に締めつけられる税金と罰金について納税義務があるものに対応して計算 される。」

11)

この様に親会社が連結課税額を全て支払ったとしても,連結納税グルー プのメンバーである各々の会社は当然のことながら法人税法に従って課税 所得を計算して税額を計算し課税当局に提出しなければならない。そして 親会社とその範囲内で連帯債務を負う事になる。

II. 

連結課税所得の計算

個別所得の概念

( 1 ) 子会社の個別課税所得の基礎概念

フランスの法人税の「課税利益

(lebenefice imposable)

と純利益

Oes benefice net)

は,営業中や営業年度末になされた資産のあらゆる要索の譲 渡の総額を含めて,企業毎に実施された全ての種類の営業の業績の後に決 定する」

12¥

従って「純利益は開始の日の純資産価値と期末の純資産価値で記入され た差額で構成されるが,この業績はこの期間中に行われた資本投入分を差

10)  CGI Art 223 A alinea  11) CGI Art 223 A alinea  12)  CGI Art 381 

(7)

引き,出資者又は経営者による引出し分を増加した課税ベースに役立つも のである」

13)

として,純資産増加をもって利益であると規定している。

そこで連結課税所得においては,まず連結グループを構成する各会社の 個別所得の計算から始まる。税務申告書はその各会社の年次財務諸表にお いて算出された利益に対して,各種の税務調整が行われ,その上で課税所 得が計算される。

( 2 ) 財産法の採用

「フランス会計の特色の一つはそれが財産概念

(notionde patrimoine) 

に基づく会計法のフレームワークの中に位置づけられていることである。

これにより貸借対照表の資産として計上されるためには財産性を有するこ とが条件となる。とくに個別決算書類は財産性の概念により強く拘束され てきた」

14)

がこの事は

1999

年のプラン・コンタブル・ジェネラルにおいての

「当期の成果は収益・費用の差額であり,期首,期末間の自己資本の変動 額に等しい。但し直接,自己資本の額に影響を与える取引によるものを除

く 」

15)

に表れている。

第一に上記 ( 1 ) でみた如くフランス法人税法も純財産増加説を採用してお り,ここに税務の個別所得概念と会計の利益概念が基本的に同一である事 を示している。

第二にこの資産概念から,連結納税グループ加入に際しての子会社の資 産再評価が必然的に要求されていない事になる。

2 .   各会社の個別所得の計算

「損失と利益の合計が期限内に当局に通告した最終リストに載せられた

13)  CGI Art 38 bis 

14)

大下勇二「フランス会計の国際化対応」『会計j

160

巻第

620

15)

岸悦三訳,プラン コンタプル ジネラル(フランス会計原則)

1999

年版

(1)

『 東

亜大学経営学部紀要』第

13 (2000

12

月)第

3

2301 

(8)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉) ( 4 5 )   45 

会社の所得を出発点にして計算される」

16)

が,この「所得の合計

(resultatd'  ensemle)は,普通法の条項又は217

2

での限定条項で計算されたグルー プの会社の各業績の代数和をする事で親会社によって決定される」

17)

が ,

この場合海外領土に位置する営業から由来する業績はこれらの総額の二 重の引出しとなるので,会社の課税基準

(l'assiettede l'imp6t)

には入れ

られない」

18)0

次に個別所得の計算に入れないものを検討する。

第一に,キャピタルゲイン又はロスを短期と長期に分け,短期キャピタ ルゲイン

19)

は普通所得に算入され,他方短期キャピタルロスは損金算入と なる。従って長期キャピタルゲイン

20)

又はロスについては普通所得とは異 なった取扱いをする事になる。(後述)

第二に,「グループ会社間で同意された直接又は間接の債権放棄

(aban don de creance)又は補助金は所得の計算において容認されない」21)

即ちこ れは寄付金に相当するものであるので譲渡会社では損金不算入,譲受会社 では益金算入となる。

第三に,連結課税所得の計算において含められる欠損金は各個別課税所 得での損金として控除しないで計算される。

次に各会社の個別所得の計算手続を例示する。

16)  CGI Art 223 A alinea 6  17)  CGI Art 223 B alinea 1  18)  CGIArt217bisl‑4 

19)

短期キャピタルゲインとは保有期間が

2

年未満の固定資産の譲渡益及ぴ

2

年以上 保有した固定資産の譲渡益のうち譲渡前の減価償却累計額に相当する部分をいう。

又,短期キャピタルロスとは保有期間が

2

年未満の非償却資産の譲渡損及び保有期 間の長短を問わず償却資産の譲渡損をいう(『

EU

加盟国の税法』より)

20)

長期キャピタルゲインとは

2

年以上保有した固定資産の譲渡益のうち,譲渡前の 減価償却累計額を超える部分をいう。

長期キャピタルロスとは

2

年以上保有した非償却資産の譲渡損をいう。(『

EU

加 盟国の税法』より)

21)  CGI Art 223 B alinea 5 

(9)

46 (46) 

47

巻 第

1

号 法人税の計算(例)

22) 

歴年

1995

純 利 益

FF1 663 517 

' '   加算

減算

法人税 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

292,645

非控除項目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

123,838

現金ベースでの控除可能未払費用

(1995

年 )

95,000 

外 国 支 店 利 益

400,000

長期キャピタルゲイン・・・・ … . . . .  

…•• • •• •

400,000 

会社間配当 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

195,000

未払費用

(1994

年 ) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

150,000

511,483  2,175,000 

税務上の繰越欠損金••

•………•• …300,000  1,445,000 

純課税所得

FF  730,000 

法人税

(33.33%) ・FF  243,309 

税額控除

会社間配当

O

他の配当・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

30000   

外 国 源 泉 利 子 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

10,000

40,000 

制 限

40,000

66.66%  (26,664) 

純債務

(33.33%) 216,645 

長期キャピタルゲイン

(400,000) 19%  76,000 

税金債務合計

FF  292,645 

22)  Price Waterhouse. "Doing buiness in France", 1995. p.p.238239 

(10)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉)

(47)  47  Notes: 

1 .   純利益は次のようにして計算される。

税サ

I

前利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .   pp 

956,162 

帳 簿 で の 法 人 税 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

(292,645) 

純 利 益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・

1,663,517

含むもの

外 国 所 得 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

400,ooo 

建物売却益

購入価額

減 価 償 却 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

2,000,000  (100,000) 

純簿価

1,900,000 

売却価額

(2,400,000)

500,000 

次のように割当

回収された減価償却の短期部分………

100,000

それを超える長期部分

400,000 

現金ベースでの控除未払債務(休暇手当引当金)偶発事象

1994.12.31  ........... ・"150,000  1995.12.31

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

95000 

適格子会社からの配当

= 

フランスの子会社 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

100000 

アメリカの子会社(源泉税

5%)95,000 

フ ラ ン ス か ら の 他 の 配 当 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

60,000

外国源泉利子(源泉税

10%) 

迎』迎 非控除項目(会社の車の税,罰金)

•• …

. . . .  … . . .  

…•• • • •

… . . . .  …

123,838 

税務上の繰越欠損金

300000  2. 

会社間配当は非課税である

帳簿に記録されている現金配当

FF  195,000 

(11)

課税所得からの純控除

195,000 

どの連結納税子会社も連結納税制度を利用しなかったならば納付するで あろう法人税額についで,親会社に支払わなければならない。又会社間で 分配された配当について,受取配当金の益金不算入となる。但し配当の税 額控除の権利を有しなくなる事が示されている。

連結調整 ( 1 ) 連結調整項目

連結課税所得の計算においては上記の親会社と連結納税子会社の所得の 代数和に対して次の連結調整が行われる。

第一に「グループの子会社毎の支払配当や出席の日当

(jetonsde pres ence)

は,加算される」

23)

この H 当とは親会社から子会社に派けんされた取締役の日当をいう。

第二に「グループ会社間で同意された直接又は間接の債権放棄や補助金

(subvention)

は,個別所得に取り入れられない」

24)

がこの連結調整では「親 会社は同意した債権放棄又は補助金について各事業年度での申告において 合計する義務がある」

25)

としている。即ち連結調整で内部取引としてグルー プ会社間の補助金のやりとりは相殺消去される。

第三に「

1993

1

1

日前に開始の事業年度又は

1998

12

31

日以降に 終了の事業年度の損益の計算に関しては,損益の合計は,グループの他の 会社に参加の理由でグループの各会社毎の損益の中に含まれている費用+

損失を減少させる」

26)

第四に連結納税グループ間での配当金の処理については

23)  CGI Art 223 B alinea 5  24)  CGI Art 223 B 

25)  CGI Art 223 B alinea 5  26)  CGI Art 223 B alinea 2 

(12)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉) ( 4 9 )   49 

「所得合計の中に含まれる子会社の受取配当金は法人税(通常)の支配 する利益を構成しない」

27)

ので,相殺される。

第五にグループ会社間の固定資産取引の調整(後述)

28) 

第六に,親会社所得の利子費用に関するシャラス修正(後述)

第七に貸倒引当金の調整である。

「グループの他の会社に所有していた債権であるので,グループ会社に 入った後にその会社に設定されているこの引当金については補足的な寄付 金の総計において水ましされている」

29)

ので調整が必要となる。

これはグループ間の債権と債務はグループ内部においてはプラス・マイ ナスゼロとなるから貸倒引当金の設定の余地はない。

( 2 ) 補助金の取扱い

フランスでは親子会社間で行われる補助金のタイプとしては

2

つあ る

30)

第一は,親会社が子会社に有している貸付金又は売掛金を放棄するとい う直接的な補助金である。

第二は,親会社が子会社に対して,市場価額よりも低い価額で製品を販 売したり,対価なしに資産を譲渡する間接的な補助金である。

これらは企業間の寄付金となるものであるが,個別所得の計算では債務 の免除を受けた子会社では利益となり,債権放棄を行った親会社所得では 損失となる。しかし連結所得の計算の連結調整においてはグループ間取引 として相殺されるために全体としてはゼロとなる。これは連結納税制度が 経済的単一体に基づいている以上当然の理である。

しかし日本では「適正な課税を確保し租税回避行為を防止するために,

27)  CGI Art 223 H alinea 3 

2 8 ) フランスの連結納税制度では棚卸資産の内部取引については調整されないので規 定は存在しない

29)  CGI Art 223 (B)  alinea 4 

3 0 ) このタイプは我が国でも経営不振の子会社に対して行われる一般的ケースである

(13)

連結グループ内の法人間の寄附金は,その全額を損金不算入とすることが 必要である」

31)

として連結納税の課税所得に含めて課税する事になってい る 。

( 3 ) 棚卸資産の内部取引消去と未実現利益消去の不要

連結納税グループ会社間の製品・商品の譲渡については相殺消去すると いう規定は法人税法では存在しないので相殺消去の必要はない。

その第一の理由は,棚卸資産は短期間に外部売却によって実現されるか らである。

第二に,未実現利益の計算に手間がかかる事である。

4. 

グループ会社間の固定資産取引 ( 1 ) 長期のキャピタルゲインとロス

「長期の純キャピタルゲイン

(plusvalue nette)

又は純キャピタルロス

(moinsvalue nette)

の合計は,親会社によってグループの会社のそれぞ れの長期のキャピタルゲイン又はキャピタルロスの代数和

(sommealge brique)

をすることによって計算される」

32)

従って売却会社の個別所得の計算に含められることになる。

( 2 ) 固定資産の内部取引

「グループ会社間での固定資産

(actifimmobilise)

の譲渡に関するキャピ タルゲイン又はキャピタルロスの部分は,この譲渡の期間中におけるこの 譲渡の実行による長期の純キャピタルゲイン又は純キャピタルロスの所得 の計算において影響を及ぽさない」

33)

ので,グループの課税所得の計算にお いて売手の売却価額と帳簿価額の差額が,キャピタルゲインについては除 外されるので減算され,キャピタルロスについては控除されるので加算さ

31)税制調査会法人課税小委員会「連結納税制度の基本的考え方」(平成1310

98) 

二.

5  3) 

32)  CGI Art 223 D alinea  33)  CGI Art 223 F alinea 

(14)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉)

(51)  51 

れる。と同時に「譲受会社

(societecessionnaire)

毎での正規の減価償却 で行われている減価償却の追加に等しい額は各々の期間に所得の計算で取 り戻される。即ちそれは正しい譲渡の時での減価償却の繰延べと同じであ る 」

34)0

この様にグループ間での未実現譲渡損益による譲受会社の固定資産の簿 価が譲渡会社の売却価額である為に,その差額分に対応する減価償却が余 分に行われる為に,それが戻入れしなければならない。

( 3 ) グループ外への販売又は離脱

「不動産のグループ外への譲渡又はその不動産を所有する会社のグループ からの離脱の時には,そのグループ内譲渡において影響を及ぼさなかった キャピタルゲイン又はキャピタルロスを親会社は長期純キャピタルゲイン 又はキャピタルロスを所得に含めるべきである。又グループ会社間の不動 産の減価償却が利益をもたらしていた時には,所得から控除される」

35¥

このように固定資産の第三者への売却によって生じるキャピタルゲイン 又はロスや売却会社もしくは購入会社のいずれかが連結納税グループを離 脱した場合には,キャピタルゲイン又はロスは実現される事になるので上 記の処理が行われる。

( 4 ) 減価償却の税務・会計面の乖離

「 1 賞却可能な固定資産の正味帳簿価値は,償却計画を考慮に入れたもので ある。 1 賞却計画は財貨の価値(場合により,残存価額控除後の額)を,そ の可能性の高い使用期間に配分することにより成る。財貨の使用期間が,

可能性の高い寿命よりも明らかに短い場合,この残存価値が考慮される。

財貨の使用条件の重要な変更があったときは,すべて進行中の計画を改訂 しなければならない。固定資産の流入価値は償却によって滅じられ,正味 帳簿価値となる」

36)

として費用配分として減価償却を義務づけているので

34)  CGI Art 223 F alinea 1  35)  CGI Art 223 F alinea 2 

36)

岸悦三,前掲プランコンタブルジェネラル

331‑8 

(15)

あって,フランス会計原則において償却前利益を認容しているのではない。

これに対してフランス法人税法は,先述のように普通所得の計算で減価 償却前利益からの欠損金の控除を認めている処にフランス法人税法とフラ

ンス会計原則の大きな乖離が見られるのである。

シャラス修正による利子の損金不算入

1988

1

1

日以後に親会社が,直接又は間接に支配下にある法人と 同じグループとなる証券を購入し,又は直接又は間接にこの法人が支配し ている会社である時に,そのグループ会社において差引ける利子費用

(charges financieres)

は,各期間において,そのグループの利子費用総 額にグループメンバー企業の負債の平均合計に,この証券

(titres)

の所得 金額

(prixd'acquisition)

の比に等しい部分について加算

(rapproter)

さ れなければならない。それは出資した年度以降

15

年間である」

37)

この規定の立法趣旨は連結納税制度が導入された時に租税回避の手段と して,借入金で資金を調達して持株会社を設立し,この持株会社が利益を 生んでいる子会社を取得して連結納税を行う事によって借入金の利子と子 会社利益の損益通算によって連結所得を滅少させるのを回避しようという 処から設けられたものである。これが当時の蔵相名に因んでシャラス修正

(Charasse amendment)

と呼ばれるものである。

I l l .   欠損金

連結前に生じた子会社の欠損金と加入後の所得からの控除

(1)

規定

「連結納税グループ加入前に生じた連結納税子会社の欠損金については,

加入後に生じた個別所得で損金算入できる」

38)

。連結納税グループ加入前の

37)  CGI Art 223 B alinea 6  38)  Art 223 I.l.a 

(16)

「フランス連結納税制度の会計的検討」(大倉) ( 5 3 )   53 

欠損金はその加入した後で生じるこの子会社の個別所得金額からは控除で きるが連結所得からは控除できないことをいう。

「 こ の 個 別 所 得 に お い て 次 の 利 得 に つ い て は 計 算 に 入 れ て は な ら な し ヽ 」

39)

第一に,「固定資産のグループ内の譲渡で生じている短期のキャピタルゲ イン又はロスを含めてはならない」

40)

第二に「グループ会社間で同意された直接又は間接の債権放棄又は補助 金は所得の計算において容認されない」

41)

第三に「グループの会社毎に不動産の再評価(減価償却した後)に対応 の欠損部分は取消される」

42)

( 2 ) 会計面からの検討

上記の 3 つの例外について会計面から検討する。

第一の内部利益から生じるキャピタルゲイン又は損失は,未実現利益・

損失であり,グループ内での資金のやりとりはあってもグループ全体とし ての資金の増加はないこと

第二の債権放棄による利得は,他のグループ会社からの寄付金となり,

繰越欠損金を利用した租税回避につながること

第三に連結会計期間中の再評価によるキャピタルゲインは,資金的裏付 けのない未実現利益であること

2 .   繰越欠損金と繰戻し ( 1 ) 欠損金の繰戻し

「会計事業年度毎に申告される欠損の総額は利益の総額から控除される か , もしくは連結納税制度適用初年度はこの事業年度前の事業年度に申告

39)  Ibid  40)  Art 223 I.3 

41)  Art 223 B. 

パラグラフ

5, Art 233 I.4  42)  Art 223 Il.6 

(17)

47巻 第 1

されている親会社の利益から控除できる」

43)0

このように第一に連結納税グループの他の子会社と異なって親会社利益 のみが納税グループの通常損失を繰戻す選択ができる事を示している。

従って「子会社にはこの選択行使はできない」

44)

が,「上記の例外として,

通常の決算業績で前の年度でのグループ子会社毎に確認された法人税の債 権が名目上親会社に譲渡される。このケースにおいて親会社は法人税がも し子会社が別々に課税されるならば子会社に支払を求める法人税を限度と して法人税の支払債権を利用できる」

45)

即ち親会社に子会社の連結加入前の所得を限度として親会社に振りかえ て,子会社が個別に計算したならば生じるであろう欠損金を利用して繰戻

し還付請求される事をいう。

第二に連結による欠損金は,当該会計事業年度前 3 年間の連結所得から 繰戻すことができる。

( 2 ) 欠損金の繰越

第一に「当該事業年度に実現した利益がこの事業年度の間に生じた欠損 金から控除するのに充分でないならば,この欠損金の超過額は,この欠損 事業年度

(exercicedeficitaire)

以降の

5

事業年度まで繰越される」

46)

第二に「上記の例外として,この期間中に蒙った欠損は企業の選択によ る繰越欠損金控除又はこの期間の減価償却前の利益から控除できる」

47)

。 こ れは各会社は普通所得の計算に当って,減価償却費を控除する前に算出す る事が認められている事を示し,その所得から繰越欠損金を控除する事が できる事になる。そして余裕があれば減価償却費を計上するという計算の 順序になる。

43)  CGI Art 223 G l,a, Art 220 quinquies  44)  CGI Art 223 G 2 

45)  CGI Art G 223,3 

46)  CGI Art 209 alinea 3,  Art 223 C  47)  Ibid 

参照

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