介護分野の中国人技能実習生の受入れ現場の現状と 日本語教育支援の可能性
-縦断的なインタビュー調査から-
高野 駿
目次
第1章.はじめに ... 1
1.1.論文構成 ... 1
1.2.研究背景 ... 1
1.3.研究目的 ... 5
第2章.外国人介護人材受入れ制度 ... 6
2.1.経済連携協定 ... 7
2.2.在留資格「介護」... 11
2.3.技能実習制度における介護職種 ... 15
2.4.在留資格「特定技能」 ... 20
第3章.先行研究と本研究の位置付け ... 24
3.1.先行研究 ... 24
3.1.1.介護分野の技能実習生に関する先行研究 ... 25
3.1.2.外国人介護人材に必要な日本語 ... 25
3.1.3.介護現場における日本語をめぐる問題意識 ... 26
3.1.4.介護福祉士国家試験と学習支援 ... 28
3.1.5.学習動機とキャリア意識 ... 29
3.2.研究の位置付け... 30
3.3.研究の意義 ... 30
第4章.研究方法 ... 31
4.1.調査概要 ... 31
4.1.1.調査協力者 ... 31
4.1.2.調査方法 ... 32
4.1.3.調査手続き ... 33
4.2.分析方法 ... 33
4.3.倫理的配慮 ... 35
第5章.分析結果 ... 36
5.1.日本人職員の分析結果 ... 36
5.1.1.J1 のストーリー・ライン ... 36
5.1.2.J3 のストーリー・ライン ... 39
5.1.3.J2 のストーリー・ライン ... 43
5.2.介護分野の中国人技能実習生の分析結果 ... 47
5.2.1.C1 のストーリー・ライン ... 47
5.2.2.C2 のストーリー・ライン ... 52
第6章.考察 ... 55
6.1.就労開始直後のフォローアップ支援の可能性 ... 56
6.2.キャリア形成支援の可能性 ... 57
6.3.「業務の日本語」と「生活の日本語」の自律学習支援の可能性 ... 58
6.4.コミュニケーション支援の可能性 ... 60
6.5.日本語教育推進法への期待 ... 61
第7章.おわりに ... 63
7.1.まとめ ... 63
7.2.課題 ... 63
参考文献・資料 ... 65
参考サイト ... 70
謝辞 ... 72
付録 ... 73
第1章.はじめに
本章では、まず本研究の全体的な構成について説明する。その後、本研究を始めるにあた っての背景をふまえて研究の目的を提示する。
1.1.論文構成
本研究は第1章から第 7 章で構成される。第1章である本章では各章の内容について概説 する。その後、本研究の背景と研究目的を述べる。続く第 2 章では、外国人介護人材の各受 入れ制度についてそれぞれ概説することを通じて、介護分野の技能実習生の特徴を明確にす る。そして第 3 章では、これまで行なわれてきた介護の日本語教育に関する先行研究のう ち、第 2 章及び研究目的をふまえて、介護現場の日本語運用をめぐる問題意識に関する先行 研究や介護福祉士国家試験に関する先行研究、キャリアに関する先行研究を挙げ概観する。
その後、本研究の位置付けを行ない研究の意義を示す。第 4 章では、調査の協力者や方法及 び手続きを説明した後、分析方法を述べる。第 5 章では、縦断的調査の分析結果を提示す る。第 6 章では、第 5 章で行なった分析に基づき考察を行なう。第 7 章では、本研究で明ら かになったことをまとめて示し、残された課題を述べる。以上が本研究の構成と内容であ る。
1.2.研究背景
我が国は世界に類を見ない高齢化社会に直面している。2018 年度の内閣府の調査
1による と、高齢化率
2は 28.1%にまで達しており、この数値は諸外国に比べ非常に高い。さらに、高 齢化率は今後も上昇し続けると推測されている。
この急速な高齢化に伴い、介護需要もまた増加し続けている。介護を必要とする要介護者
3
の数は、2016 年度末時点で 618.7 万人にも上り、2007 年度末の 437.8 万人から 180.9 万人も 増加
4している。しかしながら、この膨大な介護需要を満たすだけの介護人材は圧倒的に不
1
内閣府(2019)「令和元年版高齢社会白書(全体版)(PDF 版)」〈https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepa per/w-2019/zenbun/01pdf_index.html〉pp.6-7(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
2
総人口に占める 65 歳以上の者の割合(同上資料の p.6 を参照)
3
介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人(脚注 1 と同資料の p.31 を参照)
4
脚注 1 と同資料の p.31-32 を参照
足している。介護人材は 2016 年時点で既に 190 万人不足
5しており、これに加えて 2025 年 度末までには約 55 万人がさらに必要になると言われていることから、高齢化による介護人 材不足の問題は非常に深刻だと言える。
このような問題に対して日本政府が打ち出している施策の一つが外国人介護人材の受入れ である。2020 年 1 月現在では、経済連携協定(以下、EPA)、在留資格「介護」、技能実習 制度における介護職種、そして在留資格「特定技能 1 号」など、これまでに大きく分けて 4 つの受入れ制度を整備してきた。
これらの制度のうち最も早く整備されたのは EPA であるが、EPA による受入れが開始さ れた当初は、EPA 介護福祉士候補者
6(以下、EPA 候補者)に求められる能力のあいまいさ や学習支援者・教材の不足(布尾 2016)などの点で EPA 候補者や制度を巡って非常に多く の課題が浮上し混乱を極めた。そして、そのような状況を打破するべく多くの研究者や団体 が調査を行ない、実践を重ね研究を蓄積してきた。その結果、EPA が開始された 2008 年度 から 10 年以上経過した現在では、西郡ほか(2019)などで述べられているように「介護分 野の日本語教育について、必要と思われる支援を徐々に拡充しつつある」と言えるような状 況を迎えられている。
このようにして介護の日本語教育では研究が積み重ねられ支援体制も整備されてきてい る。ただし、これまでの介護の日本語教育研究の背景には EPA という制度があり、研究の 対象者や実践の参加者は EPA 候補者や EPA 介護福祉士
7である場合がほとんどであった。こ れは、もちろん他の受入れ制度が設置されてそれほど時間が経過していないためである。し かし、受入れ制度が異なれば受け入れる外国人介護人材の日本語能力要件や母国での介護・
看護等の経験、受け入れ後の学習支援の体制などが異なってくる。この点、他の制度的枠組 みの中にいる外国人介護人材が「EPA 候補者や EPA 介護福祉士が直面しないような問題」
にぶつかるということは十分に起こりうるのではないだろうか。本研究はこのような問題意 識のもと、EPA 以外の制度で来日する外国人介護人材の諸問題に迫りたいと考えた。そして その中でも筆者との関わり、介護業界からの強い期待、そして懸念の大きさや調査の必要性 の観点から介護分野の技能実習生に焦点を絞ることにした。
5
厚生労働省(2018a)「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」〈https://www.mhlw.go.
jp/file/04-Houdouhappyou-12004000-Shakaiengokyoku-Shakai-Fukushikibanka/0000207318.pdf〉(最終ア クセス 2020 年 1 月 9 日)
6
EPA の枠組みで来日したベトナム、フィリピン、インドネシアいずれかの国出身の外国人で、介護福祉士資格 を取得していない者。
7
EPA の枠組みで来日したベトナム、フィリピン、インドネシアいずれかの国出身の外国人で、介護福祉士国家
資格を取得した者。
はじめに、筆者は入国後講習
8の講師として介護分野の技能実習生に携わった経験があ る。筆者が担当した「介護の日本語」の講習は 1 日 7 時間程度の講習を 3 日間で行なうもの だったが、学習内容が非常に多く講習時間が不足している印象を受けた。また、介護の日本 語以外にも講習があり、それらの学習についていくことが困難であることを吐露する技能実 習生や講習終了後の現場での就労を心配する技能実習生がいた。短い期間ではあったがこの ように関わっていく中で、彼らが介護現場で就労を開始した後、日本語で業務をこなしなが ら支障なく生活していけるのだろうかと疑問に感じた。
また、介護分野の技能実習生は日本の介護業界から特に大きな期待を寄せられている。三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング(以下、MURC)による 2019 年度の調査報告書
9による と、外国人介護人材をまだ受け入れていない介護施設(n
10=418)が今後受入れたいと思う外 国人介護人材は EPA 介護職員が 29.4%、在留資格「介護」が 34.4%で、最も多いのは「技能 実習生」で 64.8%に上った。この調査が行われたのは、在留資格「特定技能 1 号」が設置さ れる前であるが、在留資格「特定技能 1 号」が設置された後に行なわれた別の機関による調 査
11の結果をみても、介護施設(n=408)の今後受け入れたい外国人介護人材は、技能実習生
が 42.9%で最も高い。このような調査結果から、多様な外国人介護人材がいる中で介護業界
では介護分野の技能実習生が特に強い期待感を抱かれている存在であることがわかる。
しかし一方で、技能実習制度における介護職種には多くの問題点があると指摘されてい る。平井(2018)は、技能実習制度に介護職種が追加された経緯を振り返り、「関係団体の 合意や、現地のニーズ、評価試験についてきちんとした検証もなく、専門家の意見を聴取し ないで決定された日本語要件、非公開で厚生労働省が決めた配置基準への算定条件
12」など
8
介護分野の技能実習生は来日後、日本語の講習や介護の導入講習などから構成される「入国後講習」を受講す る。「入国後講習」における日本語の講習は、入国時に N4 程度の者の場合は 240 時間以上、入国時に N3 程 度の者の場合は 80 時間以上、原則行なう必要がある。この日本語の講習の教育内容には「介護の日本語」も 含まれており、入国時に N4 程度の場合でも N3 程度の場合でも最低 36 時間以上行なう必要がある。ただし、
入国前に「各科目について所定の時間数の 2 分の 1 以上の時間数の講義を行った場合には、入国後講習にお いて 2 分の 1 を上限として各科目の時間数を短縮できる」という規定があるため、入国後講習における「介 護の日本語」は最低 18 時間にまで短縮できる。(出典:厚生労働省社会・援護局(2017)「技能実習『介 護』における固有要件について」〈https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengok yoku-Shakai/0000182392.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日))
9
三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング(2019)「外国人介護人材の受入環境の整備に向けた調査研究事業 報告 書(本編)」〈https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2019/04/koukai_190410_9.pdf,p.53〉(最終ア クセス 2020 年 1 月 9 日)
10
「n」は有効なサンプル数の意味である。
11
株式会社ニッソーネット(2019)「第7回 介護人材の採用と活用に関する調査」〈http://www.nissonet.co.
jp/company/news/pdf/news_191008_02.pdf〉pp.6-7(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
12
介護保険法では、介護付有料老人ホームに入居する要支援 2 以上の入居者 3 人に対して 1 人以上の介護職員ま
たは看護職員の配置が義務付けられている。平井(2018)は介護の技能実習生が就労 6 ヶ月で介護職員とし
が問題であるとしている。また、布尾(2018)は介護分野の技能実習生に求められる日本語 能力について議論された厚生労働省有識者検討会の分析を通じて「入国後の日本語研修や学 習支援が適切になされ、学習時間が担保されるか」「継続的に能力を伸ばせるか」など言語 政策の観点からみた問題点を明らかにし、懸念が拭えないと指摘する。秋葉ほか(2019)で は、「制度ごとに受け入れの要件や、受け入れ後の就労・在留資格、制度的に(就労継続の 要件として)求められる日本語能力や介護技能が異なっている。このことは、受け入れ現場 に新たな課題を生じさせる」ということが予想されるとしたうえで調査の必要性を述べてい る。このように問題や調査の必要性がすでに指摘されているが、技能実習制度に介護職種が 追加されて間もないこともあり、現場がどのような実態になっているのかに関して調査・研 究したものはみられない。
他方、EPA 介護福祉士候補者らを対象にした調査から、技能実習生受入れに関する視座を 得ようとする研究もある。野田ほか(2019)ではある介護施設の日本人職員や EPA 候補者 らにインタビュー調査を行ない「今後の技能実習の受け入れにおいても、【生活課題】【就 労する上での生活のし辛さ】【日本語学習
13】【地域での暮らし】の 4 点において担当者の みの活動ではなく、同僚となる日本人介護労働者の積極的なサポートや、地域住民の緩やか な理解が(中略)定着や就労継続につながる」と結論づけている。挙げられている 4 つの視 点は非常に重要なものであり一つとして欠けてはいけないものだと思われるが、基礎的な項 目の提示に留まっていると言える。また、EPA 候補者への調査から得られた結論を介護分野 の技能実習生の受入れの議論に直接的に持ち込んでいるように窺える。しかし、詳しくは第 2 章で述べるが、特に【日本語学習】においては求められる日本語要件や入国前後の講習や 支援体制が EPA と技能実習制度では異なるため、介護分野の技能実習生を対象により踏み 込んで調査した結果をふまえた議論をすべきである。これまでの介護の日本語研究で蓄積さ れてきた知見は、介護分野の技能実習生受入れにも大いに活用されよう。しかし、それらを どのように活用し、どのような点で支援していけるのかを探るためには、介護分野の技能実 習生の受入れ現場の実態を究明する必要がある。
て算定可能になることを取り上げ、未熟な技能実習生が現場で単独で介護してしまう恐れや、カバーしなけ ればならない日本人職員にも負担が生じ、結果的に労働環境の悪化を招く恐れがあるとしている。
13
野田ほか(2019)は「【日本語学習】は日本語学習をサポートすると共に自律学修の場を勤務として設定し応
援」と述べている。
1.3.研究目的
前節で述べたように介護分野の技能実習生の受入れの枠組みには多数の問題点が指摘され ている一方で、現場の実態に関しては報告が待たれる状況にある。これまでの介護の日本語 教育研究で蓄積されてきた知見を活用していくためにも、技能実習生がどのような現実に直 面しているのかについて知る必要がある。
そこで、本研究では外国人介護人材のうち介護分野の技能実習生に焦点を絞り調査を行な
う。その上で、就労を開始している介護分野の技能実習生の日本語をめぐる課題や問題意識
についてその変容とともに明らかにし、日本語教育学の立場からどのような支援が可能にな
るか検討する。
第2章.外国人介護人材受入れ制度
2020 年 1 月現在、我が国では「EPA(経済連携協定)」「在留資格『介護』」「技能実 習」「特定技能 1 号」という 4 つの大きな仕組みを設けて外国人介護人材を受け入れてい る。各制度の趣旨、来日後の受入れの流れは簡単に以下の図 2-1 のようになっている。
図 2-1 外国人介護人材受入れの仕組み
14図 2-1 をみると、本研究で対象にする「技能実習」では入国 3 年後以降に制度間の移行が 起きる可能性があることがわかる。一つ目は介護福祉士資格を取得し在留資格「介護」に移 行するという可能性、二つ目は「特定技能 1 号」へ移行するという可能性である。このよう な制度間の移行の可能性をふまえて、本章では「技能実習」だけでなく他の制度に関しても 概説していく。
また、第 3 章では先行研究を扱うが、先に述べた通り介護分野の技能実習生が対象となっ た研究は管見の限り存在しない。よって本研究の目的に基づき参考にできる EPA 候補者な
14
出典:厚生労働省(2019a)「外国人介護人材受入れの仕組み」〈https://www.mhlw.go.jp/content/12000000
/000510709.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
どを対象とした研究を扱うが、その場合、EPA をはじめとする他制度に関しても事前に確認 しておく必要がある。さらに、他の制度を確認することで「技能実習」の特徴をより際立た せることができ、本研究で参考にすべき先行研究もみえてくると考えた。
以上より本章では、本研究の対象である「技能実習」から別の制度に移行する可能性への 考慮と説明必要性、他の制度と「技能実習」の違いの明確化、次章の先行研究で触れる他制 度に向けた説明必要性、先行研究の焦点化などの観点から図 2-1 にある 4 つの制度を確認し ていく。具体的には制度設立の背景、来日前も含めた受入れの流れや方法、そして受入れ状 況などの観点から各制度について確認していくことにする。
2.1.経済連携協定
経済連携協定(Economic Partnership Agreement:EPA)とは、「貿易の自由化に加え、投 資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素 等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定
15」のことである。2002 年 11 月に発効 したシンガポールとの協定に始まり、2020 年 1 月現在では 18 の協定を署名・発行済
16とな っている。様々な分野がある中で外国人介護人材の受入れは「人の移動」に該当するが、日 本政府はこれまでにインドネシア政府、フィリピン政府、ベトナム政府と上記の協定を締結
17
し、介護福祉士国家資格取得を目標にする EPA 候補者を受け入れてきた。
受入れ国である日本の協定締結の背景には日本社会の抱える介護人材不足問題への対処と いう狙いがあるように思われるが、厚生労働省は「候補者の受入れは、看護・介護分野の労 働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、経済連携協定(EP
A)に基づき、公的な枠組で特例的に行うものである
18」という姿勢を一貫して崩さず、
「相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施する もの
19」だとしている。
一方で、送り出し国側の背景は多様に複雑であると思われるが、一つ例を挙げれば労働力 輸出による外貨獲得という政府の狙いがあるだろう。例えば、インドネシアは「雇用創出や
15
外務省:“EPA・FTA とは”,https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/index.html(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
16
同上資料を参照
17
インドネシアは日・インドネシア経済連携協定(2008 年 7 月 1 日発効)に基づき 2008 年度から、フィリピン は日・フィリピン経済連携協定(2008 年 12 月 11 日発効)に基づき 2009 年度から、ベトナムは日・ベトナム 経済連携協定に基づく交換公文に基づき 2014 年度から年度毎に受け入れている。
18
厚生労働省:”インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れにつ いて”,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/other22/in dex.html(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
19
同上資料を参照
外貨獲得の解決策として、第三次5カ年開発計画(1984 年)から労働力輸出にも力を入れ るようになり、その後も過剰労働力に悩む政府は海外就労を積極的に推進してきた(ネーナ パー 2009)」。また、安里(2010)によればフィリピン政府も 1980 年代から送り出しを推 進する政策をとっており、特に送り出しが盛んだった家事従事者から「高付加価値」である 介護職従事者に焦点が移ってきたという。
このように受入れ国、送り出し国の背景はそれぞれあるが、二国間の経済連携の強化とい う趣旨の下、2008 年度のインドネシアを皮切りに、2009 年度のフィリピン、2014 年度のベ トナムの順で介護福祉士国家資格の取得を目指す EPA 候補者の受入れが開始されていっ た。
では、具体的に各国の候補者の受入れ要件と来日前後の受入れの流れを以下の図 2-2 でみ ていく。前提として、EPA には前掲した図 2-1 にみたように〈就学コース〉と〈就労コー ス〉がある。来日後、〈就労コース〉が「介護施設で就労・研修を行なう」のに対して〈就 学コース〉は「養成校
20で(2 年以上)就学する」などの違い
21がある。ただし〈就学コー ス〉は 2011 年以降送り出しが行なわれておらず
22、非常に限られたケースだと言える。この ことをふまえ、以下の図 2-2 では〈就労コース〉をみていくこととする。
20
「養成校」とは専門学校、短期大学、大学などの、厚生労働大臣の指定する介護福祉士養成施設のことを指 す。(出典:公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会:“介護福祉士になるには”,http://kaiyokyo.net /work/index.html#contents_recruit(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日))
21
外務省:「日ベトナムEPA:看護師・介護福祉士候補者の資格取得までの流れ」〈https://www.mofa.go.jp /mofaj/press/release/24/4/pdfs/0418_05_01.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
22
公益社団法人国際厚生事業団(2019b)「EPA に基づく外国人看護師・介護福祉士受入れパンフレット」〈http
s://jicwels.or.jp/files/EPA_2019_pamph_r.pdf〉,p.39(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
図 2-2 EPA 候補者の受入れ要件と受入れの流れ(脚注資料
23を基に筆者作成)
まず、EPA に応募する段階で求められる母国での資格や学習経験などの条件である。国を 問わず、看護系の学校を卒業していれば条件を満たし、インドネシア・フィリピン出身者は 高等教育を受けた上で母国政府に介護士認定を受けている場合でも条件を満たすということ がわかる。
続いて、来日前の受入れの流れや日本語要件である。インドネシア又はフィリピンの出身 者は、マッチング
24の段階では日本語能力が問われない。ただ、マッチング後に 6 ヶ月間の 訪日前日本語研修を受け、入国時には N5程度以上の日本語能力に到達する必要がある。一 方で、ベトナムの候補者はマッチングの段階に入る前に 12 ヶ月間の訪日前日本語講習を受 け、N3 程度以上の日本語能力に達して初めてマッチングを行なう。※印で示したように、
各段階で有している日本語能力により講習免除の条件があるが、EPA 候補者は基本的にはこ のような流れを経て、在留資格「特定活動」を取得し来日している。
来日後はインドネシア又はフィリピンの出身者は 6 ヶ月間の訪日後入国後研修を受け、ベ トナム出身者は 2 ヶ月半の訪日後日本語研修を受ける。この講習の後、介護施設に配属され
23
脚注 22 と同資料の pp.3-5 を参照
24
EPA 候補者の受入れ希望機関は求人登録申請を行ない、JICWELS による受入れ希望機関の要件確認を受ける。
一方で、各国の送り出し調整機関は就労希望者の募集・審査・選考を行なう。その後、JICWELS は送り出し国 において受入れ希望機関に代わり選出された希望者に対して現地面接や合同説明会を実施する。これらを通 じて、受入れ希望機関と就労希望者の組み合わせを思案する。以上のような手続きをマッチングと呼ぶ。
(同上資料の pp.16-18 を参照)
るが就労開始時点では候補者全体のうち 9 割が N3 レベルに達している
25と言われている。
就労開始後は、3 年間かけて実務経験
26を積んでいく。公益社団法人国際厚生事業団(以 下、JICWELS)(2019)にあるように、EPA 候補者を受け入れる介護施設における研修の 要件として、日本語学習の支援を行なう研修支援者が配置されること、日本語の継続的な学 習や職場への適応促進及び日本の生活習慣習得の機会を設けることなどが明記されている。
また、JICWELS による「外国人介護福祉士候補者等受入支援事業」では「候補者等の受入 施設を巡回訪問して研修状況の把握や必要な指導の実施」などが行なれており、民間団体に よる「外国人介護福祉士候補者学習支援事業」では「就労・研修に必要な日本語や介護福祉 士として必要な専門知識・技術、日本の社会保障制度等を学ぶ『集合研修』の実施」などが 行なわれている。EPA 候補者はこのような支援のもと、介護施設で就労しながら日本語学習 や国家資格取得に向けた学習を進める。
そして、4 年後には介護福祉士国家試験受験を迎える。これに合格すれば、引き続き在留 資格「特定活動」で就労が可能になるだけでなく、前掲した図 2-1 にもあるように、家族帯 同も可能になり、在留期間の更新回数の制限もなくなる。つまり、永続的に日本に滞在でき るようになる。一方、不合格の場合は原則
27帰国となる。ただし、厚生労働省
28は不合格で 帰国した EPA 介護福祉士候補者に対して、技能試験及び日本語試験などが免除で「特定技 能 1 号」へ移行・最大 5 年間就労することを可能にする措置をとった。そして、図 2-1 でみ たように、この最大 5 年間の就労中に介護福祉士国家試験に合格すれば、家族帯同も可能に なり、在留期間の更新回数の制限もなくなる在留資格「介護」に移行することもできる。
最後に現在の受入れ状況だが、2018 年度時点までに、インドネシアからは 1,792 人、フィ リピンからは 1,682 人、ベトナムからは 791 人受け入れており、合計すると 4,265 人
29にも上 る。また、2014 年度から 2018 年度までの直近 5 年間は 3 カ国すべてで増加傾向にある。一
25
公益社団法人国際厚生事業団(2019a)「EPA 外国人看護師・介護福祉士候補者 受入れの枠組み、手続き等に ついて」〈https://jicwels.or.jp/files/EPA_setsumeikai_2020_Part-1.pdf〉p.4(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
26
社会福祉振興・試験センター:“受験資格(資格取得ルート図)”,http://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/
route.html,(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
27
2015 年度までに入国した候補者に限っては、不合格であっても協定上の枠組を超えて1年間の滞在延長が可 能。また帰国後に在留資格「短期滞在」で再受験も可能。(脚注 25 と同資料の p.6 を参照)
28
直近に受験した介護福祉士国家試験の結果通知書において「合格基準点の5割以上の得点であること」「すべ ての試験科目で得点があること」という条件を満たした EPA 介護福祉士候補者に場合に限られる。(出典:
厚生労働省:「在留資格『特定技能 1 号』への移行について」〈https://www.mhlw.go.jp/content/12000000 /000507781.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
29
厚生労働省:「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要[pdf 形式:657K
B]”」〈https://www.mhlw.go.jp/content/000450797.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
方、介護福祉士国家試験の再受験者も含めた全体の合格率
30は、2017 年度が 49.8%、2018 年
度が 50.7%、2019 年度が 46.0%と 50%程度に留まっている。ただし、国別にみればベトナム
は 2019 年度が 87.7%、2018 年度が 93.7%で、インドネシア(2019 年度:33.1%、2018 年
度:38.5%)やフィリピン(2019 年度:40.3%、2018 年度:37.8%)に比べ、合格率が非常 に高い結果となっている。
以上、EPA の背景、来日前から来日後の介護福祉士国家試験受験までの一連の受入れの流 れや方法、そして現在の受入れ状況などを確認した。次節では、在留資格「介護」について みていく。
2.2.在留資格「介護」
在留資格「介護」は 2016 年 11 月に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」
の公布により 2017 年に設置された。設置の背景
31には「質の高い介護に対する要請」と「介 護分野における留学生の活躍支援」がある。まず前者について、第 1 章でも述べた通り、日 本の高齢化は深刻であるが、高齢化の進行などに伴い質の高い介護に対する要請が高まって いるという。次に後者について、法改正以前、出入国管理及び難民認定法第 7 条第 1 項第 2 号の基準における法務省令では、外国人の就労に関する在留要件として、医療関係 14 職種
32の「在留資格」を認めていた
33が、介護福祉士は認められていなかった。そのため、留学生 が養成校に通い介護福祉士の資格を取得しても、日本で日本人と同等に介護業務に就けない というのが現状だった。
このような状況の中、2014 年 6 月に策定された「『日本再興戦略』改訂 2014」におい て、「我が国で学ぶ外国人留学生が、日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士等の特定の 国家資格等を取得した場合、引き続き国内で活躍できるよう、在留資格の拡充を含め、就労 を認めること等について年内を目途に制度設計等を行う」ということが明示され、2 年後と なる 2016 年に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」の公布に至り、在留資 格「介護」が設置されたのである。
30
厚生労働省(2019b)「(別添2)第 31 回介護福祉士国家試験の内訳・入国年度別候補者の累積合格率(PD F:175KB)」〈https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000493552.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
31
厚生労働省:「在留資格『介護』の創設[PDF 形式:106KB]」〈https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujo uhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000151592.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
32
14 業種とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、
理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士である。また、この 14 業種では、その業 務に日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けて従事することとされていた。(出典:公 益社団法人全国老人福祉施設協議会(2014)「外国人介護人材の受入れについて」〈http://www.moj.go.jp/
content/000124151.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日))
33
同上資料を参照
では、次に受入れの流れをみていく。前掲した図 2-1 にも示されている通り、在留資格
「介護」には〈養成施設ルート〉と〈実務経験ルート〉がある。〈養成施設ルート〉とは 2 年制以上の介護福祉士養成施設を修了した後、介護福祉士国家試験に合格することで介護福 祉士になるコースである。一方、〈実務経験ルート〉は 2017 年 12 月に「新しい経済政策パ ッケージ
34」で定められたもので、技能実習生やアルバイトで働く留学生であっても、3 年 以上の実務経験を介護施設で積み、さらに実務者研修を修了した後で国家試験に合格すれば 介護福祉士になることができるというコースである。前掲した図 2-1 にあるように〈実務経 験ルート〉で受入れている外国人は技能実習生等であり、これに関しては次節で詳しく説明 する。よって、ここでは法務省も「典型的な受入れの流れ
35」としている〈養成施設ルー ト〉について図 2-3 を用いてみていく。図 2-3 は脚注の資料
36を基に筆者が作成したもので ある。
図 2-3 在留資格「介護」での典型的な受入れの流れ
図 2-3 で示している通り、入国後は留学生はまず日本語学校等の日本語教育機関に所属す る場合が多い。MURC の介護福祉士養成校等に通う留学生(n=595)に対する調査
37では、
現在通っている学校へ「そのまま直接入学した」留学生は 13.8%で、「入学前はじめは別の 学校や職場にいた」留学生は 83.5%だった。そして「入学前はじめは別の学校や職場にい た」留学生(n=497)が入学直前にしていたことは「日本語教育機関で勉強していた」が 85.
7%で最も多い。つまり、〈養成施設ルート〉の受入れの流れとしては多くの場合、介護福 祉士養成施設に入学する前に日本語学校等の日本語教育機関に留学しているということであ る。
34
内閣府(2017)「新しい経済政策パッケージ(平成 29 年 12 月 8 日閣議決定)」〈https://www5.cao.go.jp/k eizai1/package/20171208_package.pdf〉,pp.2-7(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
35
法務省,“平成28年入管法改正について”, http://www.immi-moj.go.jp/hourei/h28_kaisei.html(最終ア クセス 2020 年 1 月 9 日)
36
同上資料及び公益社団法人全国老人福祉施設協議会(2019)「外国人介護人材受入れ制度早わかりガイド」
〈http://www.roushikyo.or.jp/contents/pr/other/detail/271〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
37
脚注 9 と同資料を参照
外国⼈留学⽣
として⼊国
介護福祉⼠養成施設 へ⼊学(2年以上)
介護福祉⼠
国家試験受験
介護福祉⼠として業務従事
〈不合格・未受験〉
・介護福祉⼠
として業務従事
※5年間の経過措置
〈合格〉
・介護福祉⼠
として業務従事
⽇本語学校等の
⽇本語教育機関
※5年間連続の 介護業務従事
⼜は国家試験合格
帰国可能性 達成
未達成
在留資格
「 留学」
・家族帯同可能
・在留期間更新制限無し
在留資格
「 介護」
在留資格
「 介護」
また、〈養成施設ルート〉における日本語要件に関してだが、これは介護福祉士養成施設 によって異なるため一概には言えない。ただし、MURC による介護福祉士養成施設等(n=1
07)に対する調査結果
38として「応募資格に定めている日本語能力は、『日本語能力試験 JL
PT』が最も多く 82.2%、その条件としては、『N2 以上』が最も多く 75.0%、次いで『N3 以
上』が 22.7%であった」とある。このことから、介護福祉士養成施設に入学する段階では多
くの学校が留学生に N2 以上を期待していることがわかる。一方、同調査では介護福祉士養 成校等に通う留学生(n=595)に対して現在の日本語能力についても尋ねているが、N3 程度 と回答した者が 38.5%で、N2 程度と回答した者(31.4%)よりも多い。つまり、在留資格
「介護」における〈養成施設ルート〉の受入れの入り口段階では、N2 以上が求められてい るが、実際には N3 程度の留学生も多く、大半は N3 程度か N2 程度の日本語能力を有してい ると言える。
このような日本語能力を有して入学した留学生は、学校に通いながら介護施設でアルバイ トをする場合が多い。2019 年度の調査
39では養成校の留学生(n=413)の約 7 割が介護施設 でアルバイトをしている。つまり、多くの留学生は在留資格「介護」を取得する前に、「介 護の留学生」として就労しているのである。このような介護の留学生は 2 年以上の修学期間 を経て、国家試験を受験する。これに合格すれば、在留資格を「介護」に切り替えることが できる。そして、家族帯同が可能になり在留期間の更新回数制限もなくなり、永続的に在留 できるようになる。
ただ図 2-3 の※印にあるように、一点、留意点がある。2017 年度より前は養成施設を卒業 すれば国家試験を受験せずとも介護福祉士資格を取得できたが、「社会福祉士及び介護福祉 士法等の一部を改正する法律」の施行により、2017 年度からは養成施設卒業者でも国家試 験に合格しなければ介護福祉士資格を得られないということになった。この変更に伴い 201 7 年度〜2021 年度までに介護福祉士養成施設を卒業した者については、介護福祉士試験に合 格しなくても(不合格又は受験しなかった者)、卒業年度の翌年度から 5 年間は介護福祉士 となる資格を有する者とする経過措置が設けられている。この経過措置中の 5 年間連続して 介護業務に従事する、又は経過措置が終了する 5 年以内に国家試験に合格するといういずれ かの条件を満たせば介護福祉士の資格を保持できる。しかし、条件を満たさなければ介護福 祉士の資格は保持できず、帰国につながる可能性が高い。この点に関しては、2019 年 11 月 末時点では「経過措置を予定通りに終わらせてしまうと、多くの貴重な人材を母国へ帰して
38
脚注 9 と同資料を参照
39
出典:公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会(2019)「介護福祉士を目指す外国人留学生等に対する相談
支援等の体制整備事業アンケート調査 報告書」〈http://kaiyokyo.net/news/04_report_01.pdf〉p.68(最
終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
しまうことにつながる」というような懸念の声が政府会合で多く上がっており、一部反対の 声があるものの、5 年間の経過措置はさらに延長される方向で議論が進んでいる
40という。
一方、現在の〈養成施設ルート〉の受入れ状況は資料
41を基に筆者が作成した以下の表 2-1 を参照されたい。表 2-1 では直近 6 年の入学者数、入学者の出身国及び出身国毎の人数を表 している。
表 2-1 をみると、入学者数は増加傾向にあり、特に在留資格「介護」が設置された 2016 年度以降は数百人規模で大きく増加している。また、出身国は 2015 年度から 2019 年度まで ベトナム、中国、ネパールの順で固定的に多く、特に 1 位のベトナムは 2016 年度から 2 位 の中国に 2 倍以上の差をつけており、2019 年度には 5 倍近くの差をつけている。そして、
多様な国から受入れており、出身国の種類も増え続けているということもわかる。2019 年 では計 26 カ国からの入学者がいるが、他の受入れ制度に比べても非常に多様である。〈養 成施設ルート〉において受け入れるのは留学生であり、先述した EPA のように送出し国に
40
JOINT 介護のニュース:“介護福祉士の養成校の国試義務化、先送りを求める声が大勢を占める”https://ww w.joint-kaigo.com/1/article-13/pg1200.html(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
41
公益社団法人介護福祉士養成施設協会:「介護福祉士養成施設への入学者数と外国人留学生(平成 26 年度から 平成 30 年度)」〈http://kaiyokyo.net/member/01_nyuugakusha_ryuugakusei.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)およびメディカルサポネット:“介護留学生、18 年度より倍増し 2,000 人超に介養協、19 年 4 月 入学者調査”,https://medical-saponet.mynavi.jp/news/detail.php?id=1325(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
表 2-1 介護福祉士養成施設へ入学する外国人の状況
年度 入学者数 出身国(人数)
2014 年 17 人 中国(12)、ベトナム(2)、台湾(1)人、フィリピン(1)、
ラオス(1)
2015 年 94 人 ベトナム(39)、中国(27)、ネパール(15)、ほか 6 か国(1 3)
2016 年 257 人 ベトナム(114)、中国(53)、ネパール(35)、フィリピン(2 8)ほか 11 カ国(27)
2017 年 591 人 ベトナム(364)、中国(74)、ネパール(40)、フィリピン(3
5)韓国(23)、ほか 11 か国(55)
2018 年 1,142 人 ベトナム(542)、中国(167)、ネパール(95)、インドネシ
ア(70)フィリピン(68)、スリランカ(47)、ミャンマー(3 4)、インド(33)韓国(31)、モンゴル(19)、カンボジア(1
2)、ほか 9 か国(24)
2019 年 2,037 人 ベトナム(1,047)、中国(212)人、ネパール(203)、フィリ
ピン(163)インドネシア(106)、ミャンマー(99)スリラン
カ(95)、韓国(28)モンゴル(18)、ほか 17 カ国(66)
制限がないため、このような多様性をみせていると思われる。また介護福祉士国家試験の結 果
42について、2018 年度では外国人留学生卒業見込み者の合格率は 41.4%だった。しかし、2
019 年度では 27.4%と低い結果となっており、これは同年の EPA の結果である 46.0%よりも
20 ポイント程低い結果になっている。
留学生を抱える養成校(n=115)に対する調査
43では、「施設内にて教育担当がおり、充分 な指導ができる体制をとっている」という回答が 13.9%で、「施設内に教育担当はいるが、
時間割上、或いは時間的制約があり充分な教育ができない状況」(24.3%)や「学習時間を 設け、自習を行わせている」(23.5%)という回答に比べると低い。そして、「特に特別な 対応はとっていない」という回答が 27.3%と最も多いことから、十分な国家試験対策を行な っている養成校はまだまだ少ないと言える。この国家試験対策の不整備が EPA よりも低い 結果を導いていることが予想される。
以上、在留資格「介護」の設置背景、来日から介護福祉士国家試験受験までの一連の流 れ、そして現在の受入れ状況などを確認した。次節では、本研究の対象になる技能実習制度 における介護職種についてみていく。
2.3.技能実習制度における介護職種
そもそも技能実習制度とは、「我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」と いう。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づく り」に寄与するという、国際協力の推進
44」を目的・趣旨としている制度で、1993 年に制度 化されたものである。公益財団法人国際研修協力機構(Japan International Training Cooperat ion Organization:JITCO)が総合支援機関となり、「制度関係者に対し、セミナーの開催、
個別のご相談対応、教材等の開発・提供などの各種支援サービス
45」を行なっている。
この技能実習制度に介護職種が追加されたのは、2017 年 11 月のことである。「外国人の 技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行に伴い、従来の技能実習 制度の対象職種に加わった。西郡(2019)によれば、技能実習制度の対象職種に介護を加え ようという意見は 2013 年 12 月に開催された第 6 次出入国管理政策懇談会
46で既に出ていた という。ただ、政府により介護職種の追加が明確に示されたのは 2014 年 6 月に新しい成長
42
厚生労働省(2019c)「介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務付けについて」〈https://www.mhl w.go.jp/content/12201000/000564745.pdf〉,p.6(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
43
脚注 9 と同資料を参照
44
公益財団法人 国際研修協力機構:“外国人技能実習制度とは”,https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/
(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
45
上と同じ Web ページを参照
46
出入国管理政策懇談会とは法務大臣の私的懇談会で、出入国管理行政について広く各界の有識者から聴くため
に設けられたものである。
戦略として打ち出された「『日本再興戦略』改訂 2014
47」においてであろう。そこでは「現 在は技能実習制度の対象とされていないものの、国内外で人材需要が高まることが見込まれ る分野・職種のうち、制度趣旨を踏まえ、移転すべき技能として適当なものについて、随時 対象職種に追加していく」と明記されている。その後は、同年 10 月から翌年 10 月までの約 1 年間かけて外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会において議論されていった。
また、西郡(2019)が述べている通り、「介護分野の技能実習生受け入れは、日本政府が 2016 年に発表した『アジア健康構想』とも関わる」ものである。アジア健康構想とは「日 本で介護を学ぶアジアの人材を増やすとともに、日本の介護事業者のアジアへの展開や相手 国自らが介護事業を興すことを支援することにより、日本で学んだ人材が自国などに戻った 際の職場を創出し、アジア全体での人材育成と産業振興の好循環の形成を目指すもの
48」で ある。急速に高齢化が進むアジア地域においては、伝統的な家族介護では対応が難しくなる ことが予想されるが、これに対応する制度や産業が未発展であることなどから、高齢化が先 行して進み介護産業やサービスを発展させてきた日本が人材育成と産業振興を図っていこう と構想を掲げたのである。
以上のような手続きや構想のもと、技能実習制度に介護職種が追加された。ただ、介護と いう職種は技能実習制度に既にある他の職種と異なり高齢者などを対象とした対人サービス を提供する職種かつ日本語による高いコミュニケーション能力を必要とする職種である。こ のため、政府は介護職種の追加にあたって固有要件
49を設け、また技能実習評価試験の実施 も行なうことを決めた。
47
内閣府(2014)「『日本再興戦略』改訂 2014-未来への挑戦-」〈https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kei zaisaisei/pdf/honbun2JP.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
48
内閣官房健康・医療戦略室(2017)「第2回アジア健康構想推進会議事務局資料」〈https://www.kantei.go.
jp/jp/singi/kenkouiryou/kokusaitenkai/kenkokoso_suishin_dai2/siryou2.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
49
「コミュニケーション能力の確保」「適切な実習実施者の対象範囲の設定」「適切な実習体制の確保」「監理
団体による監理の徹底」などの点で他の職種には無い要件を設けた。(出典:脚注 8 と同資料)
図 2-4 技能実習制度の仕組み
50続いて、図 2-4 を参考に固有要件や技能実習評価試験も含め、実際の受入れの仕組みをみ ていきたい。まず、技能実習制度には「企業単独型」と「団体監理型」の二つの受入れタイ プがある。それぞれのタイプの説明は図 2-4 にある通りであるが、2018 年度では全体の受入
れのうち 97.1%
51が「団体監理型」での受入れであるため、多くの技能実習生は日本の監理
団体と契約を結んだ現地の送出し機関を通じて入国し、監理団体傘下にある実習実施者の受 入れ企業等に配属されていると言える。また送出し国に制限はないが、現在、送出し機関が 設置されている国はベトナム、フィリピン、中国をはじめ 16 カ国
52であることから、技能実 習生の大半は 16 カ国のいずれかの出身であると言える。
次に受入れ要件である。先に述べたように介護職種には固有要件があり、そこでは日本語 要件として「1年目(入国時)は『N3』程度が望ましい水準、『N4』程度が要件。2年 目は『N3』程度が要件」
53と定められている。つまり、N4 があれば入国して実習を開始で き、N3 があれば 2 年目移行も実習を続けていくことができるということである。先述した
50
出典:同上資料の p.2
51
外国人技能実習機構(2019)「技能実習区分別 技能実習計画認定件数(構成比)」〈https://www.otit.go.
jp/files/user/191001-18-1-6.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
52
外国人技能実習機構:“④送出し国・送出機関情報”, https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/send/,
(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
53
脚注 49 と同資料の p.4 を参照
ように就労開始時点で EPA の枠組みでは 9 割以上が N3 を取得しており、在留資格「介護」
の枠組みでも多くが N3 以上は取得していると見込まれるのに対して、技能実習制度におけ る介護職種は N4 で就労が開始でき、日本語要件が比較的緩く設定されていると言える。ま た、技能実習生は前職要件
54を満たす必要があるが、EPA のように高等教育機関の卒業や介 護福祉士又は看護師の資格などは必要としない。
続いて受入れの流れである。図 2-4 にあるようにいずれの受入れタイプにせよ、技能実習 生は入国後に日本語を含む原則 2 ヶ月間
55の講習を受ける。表 2-2 は介護分野の技能実習生 に対する入国後講習における日本語の教育内容と標準的な時間数を示したものである。
表 2-2 入国後講習における日本語の教育内容と標準的な時間数
56教育内容 N4 取得者:時間数(最低) N3 以上取得者:時間数(最低)
総合日本語 100(90) ―
聴解 20(18) ―
読解 13(11) ―
文字 27(24) ―
発音 7(6) 7(6)
会話 27(24) 27(24)
作文 6(5) 6(5)
介護の日本語 40(36) 40(36)
合計 240 80
N4 取得者の場合、合計の時間数は 240 時間ありそのうち 8 つの教育内容毎に時間数と最 低時間数が定められている。一方、入国前に N3 以上を取得している者の場合は表 2-2 の教 育内容のうち「発音」「会話」「作文」「介護の日本語」について合計 80 時間以上の受講 で良いとされている。
また、入国前講習において各教育内容について所定の時間数の 2 分の 1 以上の時間数の講 義を行なうことで、入国後講習において 2 分の 1 を上限として各科目の時間数を短縮できる という決まりもある。
54
「日本において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は団体型技能 実習に従事することを必要とする特別な事情があることが必要」とされる。後者の特別な事情にはいくつか 認められるものがあるが、一つに現地国で急成長している分野・職種を希望し、技能実習を行う必要性に関 する理由書を提出した上で、希望する職種に関連する 1 ヶ月以上の期間かつ 160 時間以上の訓練(実技・座 学を問わない)と入国前講習(1 ヶ月以上の期間かつ 160 時間以上の訓練課程)、つまり 2 ヶ月以上かつ 320 時間以上の訓練および講習を受けた場合でも認められるというものがある。(脚注 49 と同資料 p.6 を参照)
55
入国前に1か月以上の期間かつ 160 時間以上の入国前講習を行えば、入国後講習は1か月に短縮可能とされて いる。
56
脚注 49 と同資料 p.10 を基に筆者作成
以上まとめると、日本語能力によっても異なるが、介護分野の技能実習生は 1〜2 ヶ月の
期間で 80〜240 時間以上の日本語講習を入国前後で受けるということである。このような講
習の後、介護施設に配属され就労を開始する。そして、技能実習計画に基づいた 3〜5 年間
57の実習を行なっていく。図 2-4 にあるように就労開始後は約 1 年毎に学科試験
58と実技試験 に合格する必要があり、合格すれば在留資格「技能実習 1 号」から「技能実習 2 号」、「技 能実習 3 号」と切り替わっていく。加えて、N4 で入国した者は就労開始 1 年以内に N3 を取 得しなければならない。総合支援機関となっている JITCO はいくつか日本語支援
59を行なっ ているが、EPA のように巡回指導や集合研修といった外国人に直接アプローチするものはな く、監理団体によって個別的な支援が行なわれる状況にある。
一方、第 2 章冒頭で述べたように技能実習は 3 年間の実習が終了したタイミングで在留資 格「介護」に移行する道がある。これは、前節で述べた〈実務経験ルート〉と重なるが、3 年間の実習を終えた技能実習生は実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験に合格すれば在 留資格「介護」を取得することができるというものである。技能実習制度では、家族帯同が 認められていないが、在留資格「介護」であれば家族帯同が可能となる。また他方、在留資 格「特定技能」に移行する道もあるが、これは次節で確認する。
最後に受入れ状況である。外国人技能実習機構の発表した業務統計
60によれば、2018 年度 に技能実習計画の認定を受けた数は全体で 1,823 件とのことである。その出身国の内訳は左 の表 2-3 の通りである。
57
3 年目が終了するタイミングで 1 ヶ月間以上、一旦帰国しなければならない。
58
試験は初級試験、専門級試験、上級試験がある。それぞれ、技能実習制度の介護職種に関し6ヶ月以上(初 級)、24ヶ月以上(専門級)、48ヶ月以上(上級)の実務の経験(入国後講習の期間を除く)が受験資 格となる。筆記試験は初級が真偽法(○×式)で 20 問(制限時間 60 分)、専門級が真偽法(○×式)で 30 問(制限時間 60 分)、上級が多肢選択法で 50 問(制限時間 90 分)であり、得点率 65%以上で合格となる。
(出典:一般社団法人 シルバーサービス振興会:“介護技能実習評価試験の仕組み”,http://www.espa.o r.jp/internship/fabric/(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日))
59
①日本語教育教材の提供と開発:国内外の日本語指導担当者に対して、印刷教材の出版・販売の他、日本語教 材等を無料ダウンロードできるインターネットサイト「JITCO 日本語教材ひろば」を運営している。②日本語 指導関連セミナー等の開催:未経験者を含む日本語指導担当者を対象に、講習における日本語指導のポイン トを概観し、教材の使い方等の具体的な指導方法等を学ぶ「日本語指導セミナー」の他、特定のテーマを取 り上げる「日本語指導ワークショップ」、監理団体や実習実施機関のニーズに合わせた出張講座「日本語指 導オンデマンド」を実施している。③日本語教育支援に関する相談対応:監理団体等からの日本語指導に関 する個々の相談に電話・メール等で応じている。④技能実習指導員・生活指導員セミナーでの日本語による 指導に関する啓発活動:技能実習指導員、生活指導員を対象としたセミナーにおいても、技能実習生にわか りやすい日本語を使って話すことの重要性等を指導している。(出典:公益財団法人 国際研修協力機構(20 16)「技能実習生に対する日本語教育の支援の概要」〈http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017 /02/161215-3.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日))
60
脚注 51 と同資料を参照
表 2-3 2018 年度の技能実習計画認定数と出身国の内訳
出身国 件数
1 ベトナム 653
2 インドネシア 322
3 中国 320
4 ミャンマー 158
5 カンボジア 99
6 モンゴル 70
7 タイ 26
8 フィリピン 13
9 その他 62
合計 1,823
表 2-3 の通り、最も多いのがベトナム(653 件)で、ついでほぼ同率でインドネシア(322 件)、中国(320 件)、そしてミャンマー(158 件)の順で多い。ただし、この数値は期待 よりは多くない。2018 年 7 月 25 日の報道によれば
61政府は 1 年以内に介護分野でベトナム 人技能実習生を 3,000 人受け入れるという数値目標を設けたとあるが、実際には 653 件と 2 割強の受入れに留まっている。
以上、技能実習制度における介護職種の追加背景、受入れの一連の流れ、そして現在の受 入れ状況などを確認した。次節では、2019 年度に新設された在留資格「特定技能」につい てみていく。
2.4.在留資格「特定技能」
2018 年 12 月に成立した「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する 法律」により、2019 年 4 月から新たに在留資格「特定技能」(以下、特定技能)による受 入れが開始された。前節までの制度は経済連携の強化や技能移転などの趣旨のもとで、外国 人介護人材を受け入れるという制度だったが、特定技能は「深刻化する人手不足に対応する ため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難 な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制 度」
62というように、人手不足を補う目的であることが明示されている制度となっている。
対象の分野は 14 分野あり、そのうちの一つが介護分野である。2019 年 4 月から 5 年間の最 大受入れ数は介護分野だけで 6 万人を見込んでいる。
61
日本経済新聞:“介護人材、ベトナムから 1 万人 政府が数値目標 20 年夏まで 受け入れ環境整備急ぐ”,h ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO33346320U8A720C1SHA000/(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
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厚生労働省(2018)「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」〈https://www.mhl
w.go.jp/content/12000000/000499273.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
在留資格「特定技能」の受入れは、以下の図 2-6
63の流れで進む。
図 2-6 在留資格「特定技能 1 号」での受入れの流れ
まず、入国前の段階において海外で実施される技能試験(介護技能評価試験
64)及び二つ の日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験 N4 以上および介護日本 語評価試験
65)に合格することが求められる。
二つの日本語試験では日本語能力が「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の 能力」、「介護の現場で働く上で必要な日本語能力」に達しているかを確認するといい
66、 実質これらが日本語要件ということになる。一方、先述したように EPA の枠組みで介護福 祉士国家試験に不合格だった者は条件(脚注 29 参照)を満たせば、上記の二つの試験を免 除して特定技能に移行でき、最大 5 年間の就労を継続できる。また、3 年の実習を修了した 本研究の対象である介護分野の技能実習生や、介護福祉士養成施設を修了した留学生も二つ の試験を免除して最大 5 年間の就労ができる。
以上の試験に合格した、もしくは免除された外国人はその後、求人募集に直接応募するな どして受入れ機関と雇用契約を結び「特定技能 1 号」の資格を得て入国する。そして、最長 5 年間の就労を開始することができる。「特定技能 1 号」は介護福祉士国家試験に合格する 前の EPA 候補者や介護分野の技能実習生と同様に家族帯同は不可であるが、転職が可能と なる。また、他の一部分野では 5 年間の就労の後、条件を満たせば家族帯同が可能な「特定 技能 2 号」に切り替え可能になるとされているが、介護分野に関しては「特定技能 2 号」は 設置されておらず、代替的に 3 年間の実務経験を積んだ後で介護福祉士国家試験に合格する ことで得られる在留資格「介護」への切り替えの道がある。先述した EPA や技能実習から の移行者は 3 年間の実務経験はすでにあるため、介護福祉士国家試験に合格することさえで きれば、在留資格「介護」への切り替えが可能となる。ただ、移行者を含め介護福祉士国家
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公益社団法人全国老人福祉施設協議会(2019)「外国人介護人材受入れ制度早わかりガイド」〈http://www.r oushikyo.or.jp/contents/pr/other/detail/271〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
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コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式による全 45 問(制限時間 60 分)の試験。現地語で行 なわれる。
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CBT 方式による全 15 問(制限時間 30 分)の試験。公開されているサンプル版をみると、全て選択式の問題 で、問題文には英訳があり、漢字には総ルビが付されている。
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厚生労働省(2019d)「『介護日本語評価試験』試験実施要領」〈https://www.mhlw.go.jp/content/12000000 /000496065.pdf〉(最終アクセス 2020 年 1 月 9 日)
⽇本語能⼒と 介護技術の⽔準
を試験で確認
介護施設などで雇⽤
(最⼤5年間) 介護福祉⼠
国家試験受験
不合格・未受験 合格 受⼊れ機関と雇⽤
契約を結ぶ
介護福祉⼠として業務従事 帰国
在留資格
「 特定技能1 号」 ・家族帯同可能
・在留期間更新制限無し 在留資格
「 介護」