2016 年 1 月 15 日号
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経済・金融市場動向]
◆ 金融市場見通し・内外経済指標
中国景気や原油価格の下振れ懸念から金融市場は不
安定な動きが続くと予想。中国経済指標、イランへ
の経済制裁解除をにらんだ原油価格動向に注目
[トピックス]
◆ マネーフローとドル円相場
2015年を通じ円安圧力となった対外証券投資は年初
も方向感変わらず。足元の円高は投機要因で一時的
とみるが、投資スタンス変更に繋がれば円高定着も
◆ 輸出は高品質化で稼ぐ時代に
輸出の伸び悩みは、欧米向け資本財輸出の不振も影
響。欧米の資本財市場では日中の競争が激化、中国
のシェアが大幅拡大。高付加価値化の進展が重要に
金融市場ウィークリー
✣[目次]✣
今週の注目チャート ···
1Ⅰ.経済・金融市場動向 ···
3 金融市場見通し ··· 3 金融市場レビュー ··· 4 内外経済指標の解説と予測 ··· 5Ⅱ.トピックス ···
8 マネーフローとドル円相場 ··· 8 輸出は高品質化で稼ぐ時代に ··· 9Ⅲ.参考資料 ···
11 今週・来週の主要経済指標 ··· 11 月次・四半期のスケジュール ··· 13 今週の金融市場の動き ··· 16 最新リポート一覧 ··· 17〰〰
マーケット時流潮流
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「ジャパン・プレミアム」の怪 調査本部本部長代理 長谷川克之 ジャパン・プレミアム。不良債権問題を抱えた邦銀がドル資金の調達に際してプレミアム(上乗せ 金利)の支払いを余儀なくされたのは 20 年近く前のことだ。日本はグローバルに見て最も健全な金 融システムを誇れる国の一つになったにも係らず、今、新たなジャパン・プレミアムが発生している。 通貨スワップ市場で、円を担保としてドルを調達する際のコストが昨年後半以降急騰している。年 末要因が剥落する筈の年明け以降も1%弱の水準で高止まりが続いている。ドル調達コストは理論的 には日米の金利差にも左右されるものだ。確かに、日本では超低金利が長期化する一方で、米国では 利上げが始まったこともドルのコスト上昇に影響している。しかし、コスト上昇は金利差だけでは説 明できず、金利差以外の影響は過去最大規模にまで高まっている。 こうしたコスト上昇の背景には先ず、本邦勢の旺盛なドル需要がある。機関投資家や個人投資家は 海外への投資を積極化させている。日本企業の海外へのM&A(合併・買収)案件金額は昨年過去最 高を更新した。金融機関も海外への貸出を増やしている。加えて、国際金融規制の強化の影響も見逃 せない。米国でのレバレッジ規制の強化から米銀が通貨スワップ市場でのドル放出に慎重になってい るようだ。ドルの調達が困難になれば、日本の海外投融資への抑制要因ともなりかねない。 新たなジャパン・プレミアムが円、すなわち、日本経済への不信に繋がることがないか、見極めて いくことも重要だろう。為替市場では引き続き円が逃避通貨として選好される傾向があるが、ドルの 調達コスト上昇はドル人気と円不人気の写し絵でもあり、看過できない問題だ。〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰
~今週の注目チャート~
【 日本:債券先物のRSI指数 】
高値警戒水準での推移 【解説】過去最高値の更新が続いていた債券先物価格が今週下落した。RSI指数は高値警戒感水準に上昇 しており、相場の高値警戒感が先物価格下落の要因と考えられる。もっとも、先物価格が急落した昨年 1 月 と異なり、先物価格の上昇ペースは緩やかなものとなっている。中国景気への懸念が高まり、原油価格が軟 調に推移する中、債券市場は引き続き底堅い推移が続くものと予想される。【 S&P500 指数採用のEPS(1 株当たり利益)前年同期比の予想と実績 】
決算発表直前の予想は保守的になる傾向。2015 年 10~12 月期は▲5%近い減益予想 【解説】来週以降、米国主要企業の 2015 年 10~12 月期の決算発表が本格化する。7~9 月期に続き、ドル高 や原油安、新興国経済減速の影響を懸念し、S&P500 指数採用企業全体のEPSは▲5%程度の減益が予想さ れている。アナリストによる予想は決算発表前に保守的になる傾向があり、予想を上回る決算が相次げば株 式市場に一定の安心感が広がるものの、米国企業の業績低迷は確認され、警戒感は拭えないだろう。 ^ 144 145 146 147 148 149 150 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 (月) (注)RSI=上昇幅の絶対値/(上昇幅の絶対値+下落幅の絶対値)。 (資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成 (%) (円) 債券先物のRSI(14日) 高値警戒水準 債券先物価格(右目盛) 2016年 2015年 2014年 ▲ 6 ▲ 4 ▲ 2 0 2 4 6 8 10 12 13/1Q 13/2Q 13/3Q 13/4Q 14/1Q 14/2Q 14/3Q 14/4Q 15/1Q 15/2Q 15/3Q 15/4Q 実績 予想 (%) (注)予想は決算発表シーズン直前の予想。2015年10~12月期の予想は直近(1/13時点)の予想。 (資料)Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成 (%) (年/期)【
対外証券投資 】
年初も対外証券投資の取得超が続く (注)図表上の対外証券投資額は取得額から処分額を控除したネットベースの数値。 (資料)財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況」より、みずほ総合研究所作成 【解説】1 月 3 日~9 日の対外証券投資(1/15)は約 5,400 億円の取得超となり、年初からの中国金融市場の 混乱に伴う世界的株安や円高進展は、現時点では投資家の対外投資引き揚げには繋がっていない模様だ。足 元の混乱が早期に収束し、対外投資の増加基調が続けば、昨夏の世界同時株安後の動きと同様に対外投資が 円安圧力として期待される。一方で混乱が長引けば、対外投資の流れが変わる可能性もあり注視が必要だ。【
原油相場と石油ガス関連SWF 】
原油安が金融市場の弱含み要因に 原油相場 石油ガス関連SWF (WTI) (資産残高) (注)左図中の数値は、2014/6/20(終値)と 2016/1/12(最安値)との比較した変化率。右図は 2014/6 との比較した変化額。 (資料)Bloomberg、Sovereign Wealth Fund Institute より、みずほ総合研究所作成【解説】原油相場はWTIが一時 30 ドルを割り、ドバイ原油は 20 ドル台半ばまで値を下げている。足元の 原油安には新興国経済の先行き懸念が反映されており、中国経済への懸念とともに新興国売りの要因となっ ている。さらに原油相場が下落し始めた昨年半ばを境に石油ガス関連SWFの資産残高が減少傾向にある点 にも留意が必要だ。原油安はオイルマネーの縮小を通じて金融市場に直接影響を及ぼしている可能性もある。 ▲ 800 ▲ 600 ▲ 400 ▲ 200 0 200 400 14/9 14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 その他 石油ガス関連 SWFの資産残高 (億ドル) (年/月) 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 (ドル/バレル) (年/月) ▲71.6% ▲ 4 ▲ 3 ▲ 2 ▲ 1 0 1 2 3 15/1 15/2 15/3 15/4 15/5 15/6 15/7 15/8 15/9 15/10 15/11 15/12 16/1 短期債 中長期債 株式・投資ファンド持分 資金流入超 (円高要因) 資金流出超 (円安要因) (兆円) (年/月)
Ⅰ.経済・金融市場動向
~金融市場見通し~
金融市場は不安定な動き が続くと予想 今晩以降の金融市場は、中国景気や原油価格の下振れ懸念から引き続き 不安定な動きが続くと予想される。人民元相場は香港オフショア市場がオ ンショア市場よりも元安に大きく振れるなど、先行きも元安との見方が優 勢となっている。また、中国株は当局による大株主の売却規制などの対策 から急落は避けられるとみられるが、下落リスクは残存し続けるだろう。 来週発表される中国の経済指標では、19日に発表される鉱工業生産、10~ 12月期GDPが注目される。GDPの市場予想は前年比+6.9%と前期から 横ばいとなっているものの、経済指標の下振れリスクに留意が必要だ。 原油価格はWTI原油先物が今週一時30ドルを下回った後反発したが、 来週も軟調な推移が続く状況は変わらないと予想される。イランへの経済 制裁が16日にも解除されるとの報道が出ており、イランの原油輸出再開に よる需給悪化懸念が高まり易いと考えられる。 米小売売上高は底堅い結 果を見込む。ECBは政策 効果を見極めるスタンス 米経済指標は12月の小売売上高(1/15)や鉱工業生産指数(1/15)など が発表される。消費関連指標は底堅い結果を予想しているが、鉱工業生産 など企業関連指標はドル高の影響などから不冴えな結果となるだろう。 ECB政策理事会(1/21)では、12月に実施した追加緩和の効果を見極 めるスタンスから金融政策の現状維持を予想する。原油安に対するドラギ 総裁のコメントに注目したい。 日米株は神経質な展開、長 期金利は低位での推移を 見込む 日米株は中国経済指標や原油価格動向をにらみ引き続き神経質な展開が 続くと予想される。本格化する米企業の10~12月期決算発表では、主要企 業におけるドル高の影響に注目している。日米長期金利は、原油価格が軟 調に推移する中、低位での推移が続くと見込まれる。日本の10年国債利回 りは今週過去最低水準を更新後に反転上昇したが、日銀の国債買入れが続 く中、利回りの上昇余地は限られよう。ドル円相場はもみ合い推移が続く 見通しだ。 (野口雄裕) 【 来週の予想 】 USD LIBOR 3カ月(%)0.620 ~
0.640
米10年国債(%)1.95 ~
2.20
円 TIBOR 3カ月(%)0.16 ~
0.18
10年国債(%)0.20 ~
0.28
ダウ平均(ドル)15,800 ~
16,800
NASDAQ総合指数(ポイント)4,400 ~
4,800
日経平均(円)16,600 ~
18,000
TOPIX(ポイント)1,360 ~
1,470
円/ドル116.0 ~
120.5
ドル/ユーロ1.065 ~
1.105
円/ユーロ125.5 ~
131.5
為 替 項目 予想レンジ 内外金利 内外株式~金融市場レビュー~
<内外金利動向>
日本の 10 年国債利回りは 一時過去最低を更新 先週末以降の米 10 年国債利回りは、原油価格や株式相場の下落等を受け 2.1%割れまで低下した。12 月の米雇用統計(1/8)は非農業部門雇用者数 が前月比 29.2 万人増と市場予想を大幅に上回ったが、時間当たり賃金の伸 びが前月比変わらずと市場予想を下回った。日本の 10 年国債利回りは 1 月 から日銀が国債買入れ額を増やした影響などから 0.2%台前半でじりじり と低下した。14 日には一時 0.190%まで下落し、2015 年 1 月につけた 0.195% の過去最低を更新した。その後反発し 0.2%台に戻している。円高地合いの 中、月末の日銀金融政策決定会合(1/28・29)での追加緩和期待が高まっ ていることも利回りを押し下げる要因になっているようだ。 (岡秀之)<内外株式動向>
不安定な中国金融市場、 軟調な原油価格が引き続 き日米株を下押し 先週末以降の米株式相場は下落した。12 月の雇用統計(1/8)は、総じて 良好な労働環境を示唆する内容であり、発表直後こそ株価は上昇したが、 軟調な原油価格を嫌気し下落に転じる等、原油価格の推移で投資家がリス ク回避姿勢を強める場面が多かった。日本株は下落した。不安定な動きが 継続している中国の株価や人民元を材料にボラタイルな展開が見られてい る。中国金融市場の動きに加え、予想を下回った機械受注(1/14)を受け、 中国の景気減速が日本企業に与える悪影響も意識され、日経平均株価は一 時 17,000 円を下回った。週末にかけて、原油の下げ止まりを受けて米株は 反発したものの、日本株は下落幅を拡大させた。 (大塚理恵子)<為替動向>
ドル円相場は中国金融市 場と原油相場の動向に反 応しやすい状況続く 2016 年に入って以降、ドル円相場は米景気指標よりも中国金融市場や原 油相場動向に対する感応度が高まっている。先週末の 12 月米雇用統計(1/8) は市場予想を上回る結果となったが、ドル高の進展は限定的であった。む しろ中国株や原油価格の低迷などを受け、ドル円相場は先週末から今週初 にかけて安全資産としての円買いの動きがみられた。週半ばには 12 月中国 貿易収支(1/13)が市場予想を上回る改善をみせたことから、円安に戻し た。その後はもみ合う展開となった。今週のユーロドル相場は週半ばにか けユーロ安地合いとなるも、ECB理事会メンバーの多くが更なる追加緩 和に当面懐疑的との報道(1/14)を受け、ユーロ高に戻した。(有田賢太郎)<新興・資源国動向>
新興国株は続落 新興国市場では株安の流れが続いている。今週半ば以降は株価が下げ止 まりの兆しを見せる国も出てきているが、全体としては、依然、株安・通 貨安の局面にある。震源地と目される中国では、人民元レートの基準値引 き上げやサーキットブレーカーの停止、株式の大量売却を禁止する時限措 置といった対策が講じられた。しかし、中国経済の減速が世界経済の成長 を妨げるという懸念は変わっていない。今週発表された中国の輸入額でも、 減少幅が市場予想より小幅であったとはいえ、引き続き前年水準を大きく 割り込む状況が続いている。WTI原油が再び 30 ドル割れを見せ新興国懸 念を強めたことも、新興国売りの一因となっている。 (井上淳)~内外経済指標の解説と予測~
<国
内>
街角景気は 2 カ月ぶりに 改善 12 月の景気ウォッチャー調査(1/12)は、景気の現状判断DIが 48.7 (前月差+2.6 ポイント)と 2 カ月ぶりに上昇した。家計動向関連、企業 動向関連、雇用関連のすべてが押し上げに寄与した。家計動向関連では、 クリスマスや年末年始、ボーナス支給などのイベントが消費者心理に良好 な影響を及ぼしたというコメントがみられた。他方、暖冬のため冬物の売 上が低迷したという声もあった。 機械受注は 3 カ月ぶりに 減少 11月の機械受注(船舶・電力を除く民需)(1/14)は、前月比▲14.4% (10月同+10.7%)と3カ月ぶりに減少した。10月の大型受注による反動か らその他輸送用機械が落ち込んだほか、一般機械や電気機械、鉄鋼業など の主力業種も減少した。もっとも、9月・10月が大幅増加となった影響があ り、均してみると持ち直しているといえる。10~12月期の内閣府見通し(前 期比+2.9%)は、12月の実績が前月比横ばいとなれば達成できる計算だ。 国内企業物価指数は前年 比マイナス幅が 3 カ月連 続で縮小 12 月の国内企業物価指数(1/14)は、前年比▲3.4%(11 月同▲3.6%) とマイナス幅が 3 カ月連続で縮小した。内訳をみると、石油・石炭製品(同 ▲22.7%)や化学製品(同▲7.5%)のマイナス幅縮小が主因である。他方、 中国景気に対する懸念から銅価格が下落する中、非鉄金属(同▲12.6%) のマイナス幅が拡大したことなどが上記影響を一部相殺した。 来週は第3次産業活動指数や全産業活動指数などが発表される。 第 3 次産業活動指数は前 月比マイナス 11月の第3次産業活動指数(1/18)は、前月比▲1.1%(10月同+0.9%) と予測する。繊維、衣服などを中心に取引が低迷した卸売業や株式売買が 低調だった金融業・保険業などが押し下げに寄与し、第3次産業活動指数は 前月比マイナスになるとみられる。 全産業活動指数は前月比 マイナス 11月の全産業活動指数(1/21)は、前月比▲0.8%(10月同+1.0%)と 予測する。鉱工業生産指数と第3次産業活動指数が低下したことなどから、 全産業活動指数は前月比マイナスとなる見込みである。 (多田出健太) 【 機械受注の推移 】 【 第3次産業活動指数の推移 】 90 95 100 105 110 115 120 125 130 135 140 12/01 13/01 14/01 15/01 (年/月) (2010年=100) 月次 3カ月後方移動 平均 (資料)内閣府「機械受注統計調査報告」より、みずほ総合研究所作成 98 99 100 101 102 103 104 105 106 12/01 12/07 13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 15/07 (年/月) (2010年=100) (注)2015年11月の値はみずほ総合研究所による予測値。 (資料)経済産業省「第3次産業活動指数」より、みずほ総合研究所作成 予測値<海
外(米国)>
12 月の非農業部門雇用者 数は市場予想を上回って 増加、労働市場は着実に 改善 12 月の雇用統計(1/8)では、非農業部門雇用者増加数が前月差+29.2 万人となり、市場予想(同+20.0 万人)を大きく上回った。幅広い業種で 雇用が増加し、過去の値も上方修正された。失業率(5.0%)、代替的失業 率(U6、9.9%)は前月から変わらなかったものの、低い水準を維持して いる。時間当たり賃金は前月比横ばいにとどまったが、前年比では+2.5% と 2015 年中で最も高い上昇率となった。 ベージュブックは、12 地 区中 9 つの地区で緩やか な景気拡大が続いていた ことを報告。製造業など へ の 逆 風 が 続 く な か で も、米国経済に対する楽 観的な見方は継続してい る様子 1 月 4 日までの情報に基づきまとめられた地区連銀経済報告(ベージュブ ック、1/13)では、12 地区中 9 つの地区において、緩やかな景気拡大が続 いていたことが報告された。個人消費は大半の地区で増加した。暖冬の影 響により衣料品販売が振るわなかった地区がある一方、自動車販売はほと んどの地区で好調であった。製造業活動はドル高による悪影響や海外需要 の弱さを受けて、ほとんどの地区で縮小した。原油やガスの価格低下が続 くなか、エネルギーセクターの大半は一段の苦戦を強いられた。労働市場 については全体として改善が続いたものの、賃金は抑制されたままであっ た。1 月のベージュブックで、「positive」というキーワードの登場回数を みると、34 回で前回 12 月時点(19 回)から増えている。総じてみれば、 米国経済に対する楽観的な見方は続いていたと言えよう。 本日以降発表予定の経済 指標は、消費・住宅関連 が底堅い一方、企業関連 は不調な結果となる見通 し。コアCPIは 2%超え を予想 本日以降発表される経済指標に関して、消費関連(12 月の小売売上高: 1/15、1 月のミシガン大消費者マインド:速報 1/15)は、消費者の購買意 欲が底堅いことを示すとみられる。しかし、企業関連(12 月の鉱工業生産 指数:1/15、1 月の地区連銀製造業指数:ニューヨーク 1/15、フィラデル フィア:1/21)は冴えない結果になるだろう。12 月の住宅関連指標(着工 件数・着工許可件数:1/20、中古住宅販売:1/22)は高水準で推移すると みられる。物価面では、12 月のコアCPI上昇率(1/20)が家賃などサー ビス物価の上昇により、前年比 2%を上回ると予想する。 (風間春香) 【 非農業部門雇用者数の変化 】 【 住宅着工件数・許可件数 】 (資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成 (注)2015 年 12 月の値はみずほ総合研究所予測値。 (資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成 (前月差、千人) ▲100 0 100 200 300 400 500 600 14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 建設業 鉱業 製造業 民間サービス業 政府部門 非農業部門合計 (年/月) 1 2 月は前月差+29.2万人 と力強く増加。 1 0 ・11月は累計5.0万人 の上方修正 (年率、千件) (年/月) 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 13/12 14/6 14/12 15/6 15/12 住宅着工許可件数 住宅着工件数 着工件数は高水準も、このところ頭打ち傾向<海
外(欧州)>
今週発表された経済指標では、10~12 月期ドイツの成長率が減速したこ とや、ユーロ圏の生産活動が低調であることが示された。 10~12 月期のドイツ成長 率は減速した模様 11 月のユーロ圏鉱工業生 産は減少 スペイン・カタルーニャ 州は再選挙を回避 2015 年のドイツGDP成長率(1/14)は、前年比+1.7%(2014 年同+ 1.6%)と底堅い水準を維持した。もっとも、通年成長率から逆算すると 10 ~12 月期の成長率は前期比+0.3%となり、7~9 月期(同+0.4%)から小 幅鈍化した模様である。難民問題を背景に消費マインドが弱含んだことや 暖冬により、個人消費が減速して成長率の鈍化につながったと推察される。 11 月のユーロ圏鉱工業生産(1/13)は前月比▲0.7%と減少した。前月(同 +0.8%)の反動の可能性もあるが、均せば生産水準は過去半年間で殆ど変 っておらず、生産活動の低調さを改めて示す結果である。主要国の中では、 ドイツ(同▲0.5%)やフランス(同▲0.7%)が減産となった。両国とも、 輸出の基調的な弱さが影響したとみられる。 スペイン・カタルーニャ州では、1 月 10 日に新たに州首相が選出され、 議会解散・再選挙は土壇場で回避された。新首相はスペインからの独立を 目指す方針を示しており、中央政府と州政府との対立は今後も続く公算が 大きい。他方、国政では、1 月 13 日にスペイン議会が招集されたものの、 政権樹立に至っていない。 今晩以降、ユーロ圏輸出 などの指標のほかECB 政策理事会が注目点 今晩以降は、11 月のユーロ圏輸出金額(1/15)や 12 月のユーロ圏新車登 録台数(1/15)などの経済指標のほか、ECB政策理事会(1/21)が予定 されている。輸出は、新興国向けを中心に弱さが残るだろう。一方、新車 登録台数は増加傾向となり、新車販売の好調さを示すとみられる。ECB は、追加緩和策の効果を見極める段階にあり、金融政策の据え置きを決定 する公算が大きい。12 月時点の見通しからインフレ率が下振れる中、記者 会見では、今後の物価動向に関する総裁発言が注目される。 (松本惇) 【 ドイツGDP成長率 】 【 ユーロ圏鉱工業生産 】 (資料) ドイツ連邦統計庁より、みずほ総合研究所作成 (資料)Eurostat より、みずほ総合研究所作成 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 在庫投資 外需 固定投資 政府支出 個人消費 実質GDP (前年比、%) (年) 97 98 99 100 101 102 103 104 2014/5 14/8 14/11 15/2 15/5 15/8 15/11 ユーロ圏 ドイツ スペイン フランス イタリア (2014/5=100) (年/月) ドイツは 趨勢的に減産 ドイツ以外 も回復力は弱いⅡ.トピックス
~マネーフローとドル円相場~
2015 年は対外証券投資が 円売り圧力に 2015 年 11 月の日本の国際収支が 1 月 12 日に公表された。国際収支の項 目のうち為替相場に影響を与える実需としてのマネーフローは 2 ヵ月ぶり に資金流出超となった(図表 1)。対外証券投資の取得超が続いたこと、ま た対内証券投資の取得超が前月比縮小したことがその主因であった。特に 2015 年の対外証券投資は 4 月、6 月除き毎月 3 兆円を超える取得超となり、 年間を通じて円売り圧力になってきたと考えられる。 昨夏の世界同時株安は国 内投資家の投資スタンス を変えるには至らず また、ドル円相場の推移をみると特に昨夏に為替相場がマネーフローと 逆行するような事象が発生しているが、これは投機的な動きによるもので ある。昨夏に発生した中国株下落を起点とする世界同時株安を受け、シカ ゴIMMの円通貨先物ポジションは急激に売り持ち高を縮小し、このこと がドル円相場を円高に向かわせる一因となった(図表 2)。見方を変えれば、 世界同時株安は国内投資家の投資スタンス自体を変えるには至らず、結果 としてドル円相場は昨年 11 月には一旦円安に戻すことになった。 足元の円高は投機要因で あり一時的。ただし世界経 済の不透明感が投資家の スタンス変更まで繋がれ ば円高定着の可能性も 2016 年初に入ってからの中国金融市場の混乱をきっかけとしたドル円相 場における円高の進展も、昨夏と同様に投機的な動きが要因の一つになっ ている。円通貨先物ポジションは約 3 年振りに買い持ちに転じ、ドル円相 場は足元 1 ドル=120 円を割り込む状況となっている。 一方で財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況(週次)」によれば、 対外証券投資は 2016 年に入ってからも取得超の状況にあり、現時点で処分 超に転じる動きはみられない。昨夏の事象を踏まえれば、市場が落ち着き を取り戻せば、再び円安に向かうことが期待される。 ただし足元の不安定な市場環境が長引き、このことが先進国を含めた世 界経済の先行き不透明感を更に高め、国内投資家の投資スタンス変更にま で繋がれば、円高が定着する可能性もある。ドル円相場の方向感を捉える 上で、対外証券投資の動向を今後も注視する必要があろう。 (有田賢太郎) 【 図表1 ドル円相場とマネーフロー 】 【 図表2 ドル円相場と円通貨先物ポジション 】 (注)国内からの資金流出要因を正、流入要因を負として算出。 (資料)財務省・日本銀行「国際収支」、「対外・対内証券投資」、 Bloomberg より、みずほ総合研究所作成 (資料)Bloomberg より、みずほ総合研究所作成 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 15/1 15/2 15/3 15/4 15/5 15/6 15/7 15/8 15/9 15/1015/11 対内証券投資(処分-取得) 対外証券投資(取得―処分) 直接投資(対外-対内) 所得収支 貿易・サービス収支 合計 ドル円相場(右目盛、月末値) (兆円) 資金流出超 (円安要因) 資金流入超 (円高要因) (年/ 月) (円/ドル) ▲ 2.0 ▲ 1.6 ▲ 1.2 ▲ 0.8 ▲ 0.4 0.0 0.4 0.8 100 104 108 112 116 120 124 128 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 IMM通貨先物・円ネットポジション(右目盛) ドル円相場 (年/月) (円/ ドル) (兆円) 円売り 持ち高 円買い 持ち高~輸出は高品質化で稼ぐ時代へ~
伸び悩む欧米向け資本財 輸出 日本の輸出はようやく下げ止まったが、依然として低調である。輸出伸 び悩みの背景には、新興国経済の減速や、それを受けた世界的な生産調整、 稼働率低下に伴う設備投資の弱さがある。しかし、2000 年代の輸出動向を みると、需要の低迷だけが原因というわけではなさそうだ。 図表 1 は、輸出の品目構成の変化を示したものである。これをみると、 部品や加工品といった中間財の割合が着実に高まっていることがわかる。 実際、中間財の輸出金額は、2,686 億ドル(2000 年)から 4,513 億ドル(2013 年)へと 13 年間でおよそ 1.7 倍になった。一方、資本財輸出は、2000 年に 比べて増えているとはいえ、その増加額は 270 億ドル程度にとどまってい る。しかも、地域別の内訳をみると、欧米向け輸出はむしろ弱含んでいる (図表 2)。これらをみる限り、足元の輸出低調には、新興国の減速だけで なく、欧米向け資本財輸出の不振も少なからず影響しているといえそうだ。 そこで以下では、日本からの欧米向けの資本財輸出が減少している理由 について、各国統計から確認することにしたい。 欧米市場を席巻する中国 製資本財 欧米の資本財輸入をみると、リーマン・ショック後の一時期を除き、概 ね増加傾向が続いている。つまり、日本からのアメリカ・EU向け資本財 輸出の減少は、現地の需要減少が原因ではない。むしろ市場の拡大を取り 込めず、日本のシェアが低下したことに課題があるといえよう。 そこで、欧米の資本財輸入について、輸入元別のシェアをみたものが図 表 3(次頁)である。これをみると、日本のシェアが低下する一方で、中国 が急上昇しているのがわかる。このシェアの変化について業種別に内訳を みると、中国・日本ともに一般機械と電気機械でほぼ説明できる。 中国製資本財のなかには、部品を他国から輸入し中国で組み立て、最終 製品として中国から輸出している分も含まれる。ただ、それを考慮しても シェアの拡大ぶりは目を見張るものがある。日本の欧米向け資本財輸出不 振の背景には、中国との競争激化があると判断してよさそうだ。 【 図表 1 輸出の品目構成の推移 】 【 図表 2 中間財・資本財の 仕向地別輸出金額の推移 】 (資料)独立行政法人経済産業研究所「RIETI-TID 2013」 より、みずほ総合研究所作成 (資料)独立行政法人経済産業研究所「RIETI-TID 2013」 より、みずほ総合研究所作成 53 54 59 59 28 26 23 22 18 19 17 17 0 50 100 00 05 10 13 消費財 資本財 中間財 素材 (%) (年) 0 500 1,000 1,500 2,000 00 05 10 13 その他 東アジア(除く日本) EU アメリカ (億USドル) (年) 資本財 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 00 05 10 13 その他 東アジア(除く日本) EU アメリカ (億USドル) (年) 中間財 東アジアが拡大 欧米の 不振が目立つ電気機械・一般機械に関わ る資本財の 7 割以上で競 合 それでは、日本が中国にシェアを奪われた品目は欧米でどの程度あるの か。電気機械(63 品目)と一般機械(123 品目)について、品目別に中国 と日本のシェアを計算し、2000 年から 2013 年の変化を確認した。 日本のシェアが低下し、中国のシェアが拡大した品目の割合を集計する と、欧米のいずれにおいても 7 割以上となっていることがわかる(図表 4)。 よく指摘されることだが、中国の技術的なキャッチアップを反映して、 中国製品が欧米でシェアを伸ばしていることが浮き彫りとなった格好だ。 厳しい環境下でシェアを 伸ばす品目も 同時に注目すべきは、このような環境下でも日本がシェアを拡大してい る品目があることである。エキスカベーター、回転容積式ポンプ、放電管 用安定器などが該当する。とりわけ、欧米において高いシェアを維持して いるのが、エキスカベーター(油圧ショベルなど)である。 日本のエキスカベーターが高いシェアを維持できているのは、高い技術 優位性があるからに他ならない。日本では、当初は技術の進んでいた欧米 メーカーとの提携により油圧ショベルの生産をしていた。その後、狭い作 業現場で効率よく作業できるような油圧ショベルのニーズが国内で高まっ た結果、他国にはない創意工夫がなされた。こうした創意工夫が油圧ショ ベルに搭載する基幹部品に関する技術力を高め、それが競争力の源泉とな って、海外市場での高いシェアに繋がっていると考えられる。 高付加価値品の輸出で稼 ぐ時代に 新興国の技術的なキャッチアップに伴って、輸出を巡る競争が激化する なか、日本が新興国と価格だけで勝負をすることは難しい。先のエキスカ ベーターのように、他国の追随を許さない高い競争力を保つことが、今後 ますます重要となる。 「地産地消」の流れもあり、現地生産化が進むなか、今後も輸出数量が 伸びづらい状況は続くとみられる。しかし、技術優位性を高め、輸出品の 高付加価値化を進めることで、存在感を示すことは可能だ。高付加価値化 の進展が今後の製造業の行方を占うこととなろう。 (坂中弥生) ※詳細については 2016 年 1 月 8 日付みずほインサイト「輸出は高品質化で稼ぐ 時代へ~欧米の資本財市場で存在感を強める中国~」をご覧ください。 http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp160108.pdf 【 図表 3 欧米における 資本財輸入元別シェアの推移 】 【 図表 4 中国にシェアを奪われた品目の割合 】 (資料)独立行政法人経済産業研究所「RIETI-TID 2013」 より、みずほ総合研究所作成 (注)1.品目別(電気機械:63 品目、一般機械:123 品目) に中国と日本のシェアを計算し、2000 年時点のシェ アと 2013 年時点のシェアを比較。中国にシェアを 奪われた品目とは、中国のシェアが拡大し、日本の シェアが縮小したものを指す。 2.2000 年・2013 年ともに日本から輸入していない品 目を除外。
(資料)United Nations「UN comtrade」より、みずほ総合 研究所作成 0 50 100 2000 05 10 13 その他 EU 中国 アメリカ 日本 EU (%) (年) 0 50 100 2000 05 10 13 その他 韓国 EU 中国 日本 アメリカ (%) (年) アメリカ向け EU向け 電気機械 8 5 .7 %( 5 4 / 6 3 ) 8 4 .1 %( 5 3 / 6 3 ) 一般機械 7 0 .1 %( 8 2 / 1 1 7 ) 7 8 .3 %( 9 4 / 1 2 0 )