AN-1352
アプリケーション・ノート
ADA4571
の校正手順
著者: Robert Guyol
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はじめに
ADA4571は、検出素子とコンディショニング・アナログ計装ア ンプで構成されるアナログ異方性磁気抵抗(AMR)角度センサ ーです。このアプリケーション・ノートでは、センサーの角度直 線性誤差を軽減するために用いられる各種の簡単な校正手順につ いて説明します。AMR 角度センサー素子は、2 つの抵抗ホイー トストン・ブリッジで構成されています。それぞれのホイート ストン・ブリッジは、センサー内では互いに完全に独立してい ます。抵抗にはわずかなプロセス変動によって不整合が生じま す。これらの不整合は 2 つのブリッジ間の電気的なオフセット や振幅変動として現れます。AMR センサーによって最も正確な 結果を得るには、簡単な校正ルーチンを実行することが重要で す。 図 1. AMR 角度センサー測定の代表的構成設定 12991-012目次
はじめに ... 1 改訂履歴 ... 2 ADA4571 の校正 ... 3 1 点法による ADA4571 の完成時(EOL) 校正手順 ... 3 ADA4571 の 1 温度校正... 4 ADA4571 の 2 温度 EOL 校正 ... 5 ADA4571 の動的校正手順 ... 7改訂履歴
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ADA4571 の校正
1 点法による ADA4571 の完成時(EOL)
校正手順
ゲイン制御(GC)モードを有効にした場合と無効にした場合の 室温校正によって得られる標準的精度の温度特性を図 2 と図 3 に 示します。。 図 2. 室温での校正後に得られる角度誤差の温度特性(GC 有効時) 図 3. 室温での校正後に得られる角度誤差の温度特性(GC 無効時)ADA4571 の AMR 磁場角度に関連する出力電圧は、VSINと VCOS
の 2 つです。以下の式は、VDD/2 を基準とした場合の、磁場の回 転全体を通してのこれら 2 つの出力を表わします。 VSIN = AS × sin(2 × α + θS) + OS ここで、 ASは VSINの振幅 α は現時点の磁場角度 θSは VSINの位相 OSは VSINのオフセット VCOS = AC × cos(2 × α + θC) + OC ここで、 ACは VCOSの振幅 α は現時点の磁場角度 θCは VCOSの位相 OCは VCOSのオフセット 代表的な出力信号を図 4 に示します。 図 4. 機械的回転に対する代表的な出力信号 VSINチャンネルと VCOSチャンネル間の振幅不整合(k)は製造時 にテストされ、仕様は最大±1%と規定されています。ただし、 通常、これらの不整合はこれよりはるかに低い値です。サンプ ル・デバイスにおける振幅不整合の分布を図 5 に示します。 図 5. サンプル・テストにおける正弦/余弦振幅不整合の分布 振幅不整合による理論的誤差量を図 6 に示します。。 図 6. 正弦/余弦出力の振幅不整合による理論的誤差量 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 –40 0 40 80 120 E RRO R ( Deg rees) TEMPERATURE (°C) 12991-001 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 –40 0 40 80 120 E RRO R ( Deg rees) TEMPERATURE (°C) 12991-002 12991-003 A MPL IT U D E (V)
MAGNETIC ANGLE (Degrees)
0 45 90 135 180 225 270 315 360 VSIN VCOS 12991-004 CO UNT ( %)
SINE/COSINE AMPLITUDE MISMATCH (%k) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 –0.75 –0.50 –0.25 0 0.25 0.50 0.75 12991-005 E RRO R CO NT RI BUT IO N ( Deg rees)
SINE/COSINE AMPLITUDE MISMATCH (%k) 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 –0.75 –0.50 –0.25 0 0.25 0.50 0.75
通常、この誤差はシステム内の他の誤差よりはるかに小さい値で す。さらに、振幅不整合を補正しようとして計算ミスをする と、システムに新たな誤差が生じる結果となります。したがっ て、振幅不整合の補正は行いません。 VSINチャンネルと VCOSチャンネル間の直交性誤差は最大 0.05°と 規定されていますが、通常はこれよりはるかに小さい値です。し たがって直交性誤差による誤差量は無視し得る程度のものなの で、これも無視します。 それぞれのチャンネルの振幅不整合と位相誤差を無視すると、計 算式は以下のように簡略化できます。 VSIN = A × sin(2 × α) + OS ここで、A は正弦チャンネルと余弦チャンネルの振幅です。 VCOS = A × cos(2 × α) + OC 最終的な角度に対する主要な誤差要因として残るのはオフセット だけです。
ADA4571 の 1 温度校正
360°の全回転範囲にわたるデバイスの校正は、以下の手順で行 います。また、以下のルーチンは、可能であれば最終的なアプ リケーション温度にできるだけ近い温度で行ってください。 1. デバイスの VSIN出力と VCOS出力をモニタしながら、磁気 的刺激を両方向に 360°回転させます。 2. VSINと VCOSのオフセットを個別に計算します。オフセット は、下の式により、それぞれの出力の最大値および最小 値、あるいは平均を使用して計算します。∑
° = α ° = α=
−
=
360 0 _ _2
SIN MIN SIN MAX SIN SV
V
V
O
∑
° = α ° = α=
−
=
360 0 _ _2
COS MIN COS MAX COS CV
V
V
O
最終角度
最終的な角度は arctangent2 関数を使用して計算します。
−
−
=
C COS S SINO
V
O
V
α
arctan
2
得られる結果は、360°の磁気的回転ごとに 2 回繰り返されます (図 7 参照)。これが AMR 技術の機能です。 図 7. 360°の機械的回転に対する計算角度 12991-006 ARCT ANG E NT 2 RE S UL T ( Deg rees)MAGNETIC ANGLE (Degrees) 180 135 90 45 0 45 90 135 180 225 270 315 360 0 –45 –90 –135 –180
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ADA4571 の 2 温度 EOL 校正
広い温度範囲にわたってさらにデバイスの誤差を減らすには、2 温度 EOL 校正を行います。被試験デバイス(DUT)の温度モニ タには、内蔵温度センサーを使用します。 2 温度校正手順では ADA4571 に組み込まれた温度センサーを使 用するので、高精度の温度強制システムを使用したり、他の温 度モニタリング装置を操作したりする必要はありません。システ ムがエンド・アプリケーションの動作温度範囲より高い温度や低 い温度になる可能性がある場合は、このタイプの校正が適して います。 1 点校正法実施後の ADA4571 のオフセット・ドリフトによる残留 オフセットに対する正弦出力と余弦出力両方の代表的データを図 8 に示します。2 温度校正手順については、このデータ・セット を調べました。 図 8. 25℃での 1 点校正後の正弦および余弦残留オフセット 室温での 1 点校正法では、このデバイスは標準的な角度誤差を 示します(図 3 参照)。しかし、2 温度校正を行なえば全温度 範囲にわたって精度が向上します。 いくつかの異なる設定温度で 2 点校正を行った後の ADA4571 の 残留オフセットを、図 9、図 10、および図 11 に示します。これ らの温度が変わると、残留オフセットのプロファイルも変りま す。オフセット・ドリフトの影響を減らすには、最終アプリケ ーションの動作温度範囲のほぼ全域にまたがる 2 つの校正温度 を選ぶのが最善の方法です。全温度範囲にわたる残留オフセット が小さくなれば、それだけ角度計算の精度が向上します。 図 9. 0℃および 110℃での 2 点校正後の 正弦および余弦残留オフセット 図 10. 20℃および 80℃での 2 点校正後の 正弦および余弦残留オフセット 図 11. 20℃および 50℃での 2 点校正後の 正弦および余弦残留オフセット 12991-007 R E M A IN IN G OFFS E T ( m V ) TEMPERATURE (°C) –10 –8 –6 –4 –2 0 2 4 6 8 10 –40 0 40 80 120 12991-008 TEMPERATURE (°C) –40 0 40 80 120 R E M A IN IN G OFFS E T ( m V ) –10 –8 –6 –4 –2 0 2 4 6 8 10 12991-009 TEMPERATURE (°C) –40 0 40 80 120 R E M A IN IN G OFFS E T ( m V ) –10 –8 –6 –4 –2 0 2 4 6 8 10 12991-010 TEMPERATURE (°C) –40 0 40 80 120 R E M A IN IN G OFFS E T ( m V ) –10 –8 –6 –4 –2 0 2 4 6 8 102 つの出力項は、「1 点法による ADA4571 の完成時(EOL)校 正手順 」で述べた出力項簡略化と同様の分析に基づき、次のよ うに簡略化されます。 VSIN = A × sin(2 × α) + OS VCOS = A × cos(2 × α) + OC ただし、温度に対するオフセット・ドリフトの補正係数を考慮す る必要があります。VSINと VCOSの式の最後に、以下のようにこ の補正係数を追加します。
VSIN = A × sin(2 × α) + OS1 + TCS × (VTEMP_CUR – VTEMP1)
ここで、 OS1は温度 1(T1)における正弦チャンネルのオフセット VTEMP_CURはその時点の温度における VTEMP 出力電圧 VTEMP1は T1 における VTEMP 出力電圧 TCSは正弦チャンネルの温度係数で、次式で表されます。 − − TEMP2 TEMP1 S2 S1 V V O O ここで、 OS2は温度 2(T2)における正弦チャンネルのオフセット VTEMP2は T2 における VTEMP 出力電圧
VCOS = A × cos(2 × α) + OC1 + TCC × (VTEMP_CUR – VTEMP1)
ここで、 OC1は T1 における正弦チャンネルのオフセット TCCは余弦チャンネルの温度係数で、次式で表されます。 − − TEMP2 TEMP1 C2 C1 V V O O ここで、 OC2は温度 2 における余弦チャンネルのオフセットです。 以下の理想式を得るには、初期校正時のオフセットとドリフトを 最初の式から除く必要があります。 VSIN = A × sin(2 × α) VCOS = A × cos(2 × α) 2 温度校正のルーチンでは、デバイスのもう 1 本のピン (VTEMP ピン)をモニタする必要があります。
2 温度校正の手順
ADA4571 の 2 温度校正を正しく行うには、:以下の手順に従って ください。 1. システムの温度を T1 にして、ステップ 2 の間その値を維 持します。 2. デバイスの VSIN出力と VCOS出力をモニタしながら、磁気 的刺激を両方向に 360°回転させます。VTEMP 出力をモニ タして、VTEMP1の温度情報を記録します。 3. 「ADA4571 の 1 温度校正」に示す方法と同じ方法を使用して、VSINのオフセット(OS1)と VCOSのオフセット(OC1)を
個別に計算します。 4. システムの温度を T2 にして、ステップ 5 の間その値を維 持します。 5. デバイスの VSIN出力と VCOS出力をモニタしながら、磁気的 刺激を両方向に 360°回転させます。VTEMP 出力をモニタ して VTEMP2の温度情報を記録します。 6. 「ADA4571 の 1 温度校正」に示す方法と同じ方法を使用し
て、VSINのオフセット(OS2)と VCOSのオフセット(OC2)を
個別に計算します。 7. 次の式を使って、各チャンネルのオフセット温度係数を計算 します。 − − = TEMP2 TEMP1 S2 S1 S V V O O TC − − = TEMP2 TEMP1 C2 C1 C V V O O TC
最終角度
デバイス動作中のオフセット・ドリフトを補正するには、 VTEMP ピン・チャンネルをモニタします。最終的な角度は次式 で計算します。2
)
(
)
(
2
arctan
_ _
−
×
−
−
−
×
−
−
=
α
COS C1 C TEMP CUR TEMP1 TEMP1 CUR TEMP S S1 SINV
V
TC
O
V
V
V
TC
O
V
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ADA4571 の動的校正手順
動的校正が有効なのは、センサーが、電気的回転の全範囲を環境 変化よりも早く通過するような自励アプリケーションの場合に限 られます。一般にこの条件を満たすには、電気的回転が 1Hz を 超えている必要があります。軸端型磁石構成の場合、1Hz を超 える電気的回転は 30rpm のモーター回転数と同等と見なされま す。これより低速回転のモーターでも動的校正は可能ですが、 動的校正の精度は、システムの温度変化を基準としたモーター の相対的回転速度に左右されます。 動的校正において必要な精度を実現するために必要なのはオフ セット補正だけで、この点は 1 点校正に似ています。しかし、 精度を上げるためにオフセット補正係数は常に更新されます。 動的校正を行う場合は、ADA4571 を GC モードで使用すること を推奨します。このモードでは S/N 比(SNR)が増加し、それ によってデバイスの角度誤差が減少するからです。 「1 点法による ADA4571 の完成時(EOL)校正手順 」に示す簡 易計算式を使用しますが、計算しなければならない要素は 2 つだ け、すなわち正弦チャンネルと余弦チャンネルのオフセットで す。 VSIN = A × sin(2 × α) + OS VCOS = A × cos(2 × α) + OC デバイスが最初に 1 回転する間の正弦チャンネルと余弦チャン ネルのオフセットは不明なので、1 点 EOL 校正法を使用する か、OS = OC = 0 とします。OS = OC = 0 に設定すると、起動時の 精度は、その後の機械的回転のオフセットに対して調整が行わ れるまで、ADA4571 データシートの未補正誤差のセクションと 未補正誤差の代表的性能特性で規定された値となります。 最初の 1 回転における正弦チャンネルと余弦チャンネルの最大値 と最小値は、外部コントローラによって保存する必要がありま す。これらの値を使って、各チャンネルのオフセットを個別に決 定します。オフセット補正を行うには、センサーを、1 回の電 気的回転だけではなく、機械的に完全に1回転させることが重 要です。単一の双極子磁石を軸端に取り付けた構成設定では、1 回の機械的回転により、VSIN出力と VCOS出力の両方について 2 つの正弦波サイクルが発生します。各サイクルのオフセットはわ ずかに異なるので、2 つのサイクルにわたって最大値と最小値 を取り込むことで各チャンネルの平均オフセットが得られ、最 も正確な値を使って動的校正を行うことができます。 軸端型磁石構成における AMR の電気的角度と機械的角度の差を 図 12 に示します。 図 12. 軸端型磁石構成における電気的角度と機械的角度 2 _ _MAX SIN MIN SIN S V V O = − 2 _ _MAX COSMIN COS C V V O = − 動的校正の精度は、各チャンネルのオフセット計算の精度に依存 します。。モーターが 1000rpm 以上の高速で回転している時が、 動的校正に最も適しています。1000rpm では、電気的サイクルの 方が環境の温度変化より 1 桁速くなっています。この場合、オ フセットの計算に使用する最小値と最大値は、オフセットを正確 に計算するために、複数の機械的サイクルから取られました。 最終的な電気的角度の計算では 1 点校正の場合と同じ手順を実 行しますが、OSと OCは以下のように常に更新されます。
−
−
=
α
C COS S SINO
V
O
V
2
arctan
12991-0 1 1 ANG L E ( Deg rees)MECHANICAL ANGLE (Degrees) 360 270 0 90 180 270 360 180 90 0 MAGNETIC MECHANICAL