日本義歯ケア学会
第 3 回 学術大会
プログラム・講演内容抄録集
日時 平成 22 年 1 月 22 日 ( 土 )
会場 岩手医科大学循環器センター9F
岩手県盛岡市内丸 19-1
大会長 鈴木哲也
事務局 岩手医科大学歯学部歯科補綴学講座有床義歯補綴学分野
〒 020-8505 岩手県盛岡市中央通 1-3-27
TEL:019-651-5111( 内線 4112)
FAX:019-652-3820
mail:[email protected]
URL:http://www.jdenturecare.com/gakujutu/gakujutu_03/index.html
大会日程
11:00 ~ 12:55 理事会 ( 歯学部 4F 会議室 )
12:30 ~ 開場
13:00 ~ 13:05 大会長挨拶
13:05 ~ 14:25 特別講演
14:25 ~ 14:55 総会
15:05 ~ 17:20 一般口演
18:00 ~ 20:00 懇親会 ( 北ホテル 2F)
学会会場、懇親会会場案内
学会会場
岩手医科大学循環器センター 9F
〒 020-8505 岩手県盛岡市内丸 19-1
TEL:019-651-5111( 代 )
カワトク 映画館通 岩手銀行 本町通 裁判所 盛岡駅 北上川 大通 中央通 盛岡城跡公園 中央郵便局 七十七銀行 岩手医大 歯学部 循環器 センター 北ホテル盛岡駅から徒歩 20 分
雪道は滑って危険ですのでタクシー、バス等をご利用ください。
バス:盛岡都市循環バス「でんでんむし」右回り岩手医大前、または左回り県庁・市役所前下車
懇親会会場
北ホテル 2F 窯 ( かまど )
〒 020-0023 岩手県盛岡市内丸 17-45
TEL:019-625-2711
裁判所
歯学部 医学部
県庁
北ホテル
循環器センター
休日入口恐れ入りますが、正面玄関ではなく、休
日夜間入口からお入りください。
入って右手のエレベーターで 9F にお上が
りください。左手のエレベーターでは 9F
まで上がれません。
学術大会参加の皆様へ
1.参加者は 9 階受付にて当日会費 1,000 円をお支払いください.年会費 3,000 円に関しましても同
時に受け付けいたします.
2.入会希望の方は,受付に申請していただき入会金 1,000 円,年会費 3,000 円と当日会費をお支払
いいただきます.
3.本学会は,日本歯科医師会生涯学習研修事業の認定を受けております.生涯学習研修カードをご
持参ください.
4.発表ならびに講演中のビデオ・写真撮影は,発表者の著作権保護のため禁止致しております.な
お,特別な事由がある場合は大会長に申し込んでください.
発表される先生方へ
一般口演発表
1.発表日時・会場
平成 23 年 1 月 22 日 ( 土 ) 15:00 ~ 17:20
2.発表方法
1) 一般口演受付は 1 月 22 日 ( 土 )12:00 ~ 14:00 の間,学会場そばの PC 受付で受け付けます.
2) 演者は発表 10 分前までに次演者席にご着席ください.
3) 座長の指示に従って,口演時間を厳守してください.
4) 口演時間は発表 7 分,質疑応答 3 分です.発表終了 1 分前と終了時にベルが鳴ります.
5) 発表の詳細は以下を遵守してください.
①発表データは 1 月 22 日 ( 土 )12:00 ~ 14:00 の間,4 階第 3 会議室にて,USB フラッシュ
メモリで提出をお願いいたします.データ確認後試写をいたします.必ず予備にバックアッ
プしたデータを持参してください.なお,時間内に提出が困難な場合,準備委員長宛にメー
ルにてご連絡ください.
②発表方法は,PC 単写:Windows7, Microsoft Powerpoint 2010 にて行います.拡張子が
ppt,pptx のファイルのみ有効となります.なお Mac は用意いたしませんのでご注意くだ
さい.下位バージョンで作製したファイルを Powerpoint2010 で開いた場合,文字の位置ず
れ等起こる可能性があります.Powerpoint2010 にてあらかじめ動作の検証をお願いいたし
ます.
③画面出力は 800 × 600 の XGA 出力となります.ワイド出力には対応しておりませんの
でご注意ください.フォントは, MS ゴシック,MS 明朝,Times New Roman などの
④表示枚数に制限はありませんが,別ファイルを読み込む形での動画と,音声の使用はご遠慮
ください.
6) 質問者は,座長の指示に従い,所定のマイクで所属・氏名を述べてから,要領良く簡潔に質
疑を行ってください.
座長の先生へ
口演の次座長は,20 分前までに所定の席 ( 次座長席 ) にお越しください.
プログラム
■ 11:00 ~ 12:55 理事会
注:理事会のみ、歯学部 4F 会議室にて行います.
■ 13:00 ~ 13:05 開会の辞 ( 大会長:鈴木哲也 )
■ 13:05 ~ 14:25 特別講演
座長:鈴木 哲也 ( 岩手医大 )
Ⅰ:電動歯ブラシの歯垢除去効果について
講師:高橋 英和 ( 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科先端材料学分野 )
Ⅱ:軟質リライン材、ティッシュコンディショナー
および義歯安定剤の現状と課題
講師:村田比呂司 ( 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野 )
■日歯生涯研修事業用研修コード:2608
■ 14:25 ~ 14:55 総会
■ 15:05 ~ 15:45 一般口演セッション 1
座長:水口 俊介 ( 東医歯大 )
■日歯生涯研修事業用研修コード:2608
1-1 義歯洗浄剤による義歯床用レジンからの Candida バイオフィルム除去効果の検討
○佐藤 薪,大島 朋子 *,前田 伸子 *,細井 紀雄 **,大久保 力廣
( 鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座,鶴見大学歯学部口腔細菌学講座 *,鶴見大学 **)
1-2 市販義歯洗浄剤の義歯安定剤に対する除去効果の評価
○原田 佳枝,洪 光 *,濱田 泰三 *
( 広島大学大学院医歯薬学総合研究科歯科薬理学,* 東北大学大学院歯学研究科口腔ケア推進開発講座 )
1-3 活性酸素を用いた義歯の消毒方法について
○澤田 智史,小田切 憲 *,堀 紀雄,星 憲幸,浜田 信城 **,木本 克彦
(神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野,*
神奈川歯科大学有床義歯補綴学分野,**
神奈川歯科大学感染制御学講座微生物学分野 )1-4 義歯洗浄剤成分としての二酸化塩素の殺菌効果の検討
○堀 智治,前田 武志,野村 雄二 *,貞森 紳丞,岡崎 正之 *,赤川 安正
( 広島大学大学院医歯薬学総合研究科先端歯科補綴学,*
広島大学大学院医歯薬学総合研究科生体材料学 )■ 15:45 ~ 16:15 一般口演セッション 2
座長:貞森 紳丞 ( 広島大学 )
■日歯生涯研修事業用研修コード:3102
2-1 フッ素系モノマーの添加が硬質リライン材の物性に及ぼす影響
○吉田 和弘,黒木 唯文 *,村田比呂司
( 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野,* 長崎大学病院 )
2-2 セリシンパウダーの添加が義歯床用アクリルレジンの表面ぬれおよび曲げ強さに及ぼす影響
○ディリヌル・マイマイティサウット,洪 光 *,佐々木啓一,濱田 泰三 *
( 東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野 , * 東北大学大学院歯学研究科口腔ケア推進開発講座 )
2-3 粘膜調整材の機能水による洗浄が色調安定性に及ぼす影響
○柏原 稔也,後藤 崇晴,内藤 禎人,市川 哲雄
( 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面補綴学分野 )
プログラム
■ 16:30 ~ 16:50 一般口演セッション3
座長:木本 克彦 ( 神歯大 )
■日歯生涯研修事業用研修コード:2608
3-1 OCT の歯科臨床への応用
OCT を用いた義歯床用レジンと裏装材との接着における評価
○春日 祐太,星野 義人,井上 実, 秋葉 徳寿, 水口 俊介,小澤 総喜 *,角 保徳 *
( 東京医科歯科大学大学院全部床義歯補綴学分野,* 国立長寿医療研究センター先端診療部歯科口腔外科 )32 簡易型脳波計を用いた義歯の機能評価 第2報
-○石川 佳和,桝尾 隆一 *,大久保力廣 **,細井 紀
雄***
( 医療法人愛和会 桜川歯科医院,* 桝尾歯科クリニック,** 鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座,*** 鶴見大学 )
■ 16:50 ~ 17:20 一般口演セッション 4
座長:細井 紀雄 ( 鶴見大 )
■日歯生涯研修事業用研修コード:3002
4-1 OHIP-EDENT 日本語版の信頼性と妥当性の検討
○佐藤 佑介,飼馬 祥頼,金澤 学,山賀栄次郎,平野滋三,水口 俊介
( 東京医科歯科大学大学院摂食機能回復学講座全部床義歯補綴学分野 )4-2 老人施設での義歯清掃指導の報告
~ D-PCR を用いた義歯清掃指導~
○清水 望,遠藤 徹
( 遠藤歯科医院 )
4-3 高齢入院患者における咬合状態と摂食・嚥下能力
○ 岩佐 康行
( 特定医療法人 原土井病院 歯科 )■ 17:20 ~ 17:25 閉会の辞,写真撮影
プログラム
特別講演
座長:鈴木 哲也 ( 岩手医大 )
歯ブラシは代表的な口腔ケア用具である.以前は手用歯ブラシが主流であったが,最近は各種電動
歯ブラシが市販され,手の動きに障害がある患者さんには電動歯ブラシは効果的なものとされている.
電動歯ブラシは刷毛部が反復運動や回転運動して刷掃するが,音波振動,超音波振動を利用したもの
も多く市販されている.音波歯ブラシは音波領域の振動数の反復振動を,超音波歯ブラシは超音波振
動を,機械的振動と併用することで清掃効率の向上が期待されている.しかしながら , これら電動ブ
ラシの刷掃効果がどのようなものであるかは十分に明らかではない.そこで,市販の音波歯ブラシ ,
超音波歯ブラシの刷掃効果について,顎模型と刷掃試験機を用いて検討した.その結果,音波や超音
波振動を用いることで単にストローク運動のみの刷掃よりも刷掃効果は優れている製品が多いが,刷
毛部が接触しない歯間部のような部位の歯垢は除去されないことが観察された.
「電動歯ブラシの歯垢除去効果について」
講師:高橋 英和
( 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科先端材料学分野 )
講師略歴
高橋 英和
1984 年 東京医科歯科大学大学院修了 ( 歯科理工学第1講座 ) 1987 年 昭和大学講師 ( 歯科補綴学第 1 講座 ) 1992 年 東京医科歯科大学講師(歯科理工学第 1 講座 ) 1994 年 東京医科歯科大学助教授(歯科理工学第 1 講座 ) 2007 年 東京医科歯科大学大学院准教授(先端材料評価学分野 ) 岩手医科大学非常勤講師(歯学部有床義歯補綴学分野)座長:鈴木 哲也 ( 岩手医大 )
特別講演
「軟質リライン材、ティッシュコンディ
ショナーおよび義歯安定剤の現状と課題」
講師:村田比呂司
( 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野 )
講師略歴
村田比呂司
1986 年 九州歯科大学卒業 1990 年 広島大学大学院修了(歯学博士) 1990 年 広島大学歯学部歯科補綴学第二講座助手 1993 年 英国ニューカッスル・アポン・タイン大学歯科材料学教室留学 2004 年 広島大学病院 咬合・義歯診療科講師 2006 年 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 歯科補綴学分野 教授著しく吸収した顎堤や菲薄な粘膜、鋭利な骨縁をもつ患者の義歯製作には、ティッシュコンディ
ショナーにより、床下粘膜を正常な状態に回復し、同時に得られたダイナミック印象面を緩圧効果の
高い軟質リライン材でリラインする術式が、咀嚼機能向上の観点より有効である。これら材料の柔軟
性の度合いや耐久性は使用される材質でかなり異なっており、理想的な粘弾性的性質と耐久性を有す
るティッシュコンディショナーおよび軟質リライン材は開発されていない。また対象とする口腔粘膜
の粘弾性的性質もいまだ十分に解析されていない。一方、患者自身が薬局薬店で購入する義歯安定剤
については、その有用性が次第に認められつつあるものの、本剤の味や持続性など改善すべきことは
多く、理想的な材料が開発されていないのが実情である。また臨床エビデンスを創るため、本剤の臨
床的有用性と問題点についてさらなる検討が望まれる。本講演では上述の課題を皆様と考えていきた
いと思う。
座長:水口 俊介 ( 東医歯大 )
一般口演セッション 1
1-1 義歯洗浄剤による義歯床用レジンからの Candida バイオフィルム除去効果の検討
○佐藤 薪,大島 朋子 *,前田 伸子 *,細井 紀雄 **,大久保 力廣
( 鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座,鶴見大学歯学部口腔細菌学講座 *,鶴見大学 **) Ⅰ.目 的 本研究では義歯床用レジン試験片上に形成させた Candida バイオフィルムの除去効果を複数の市販義歯洗浄剤製 品を用いて比較検討した. Ⅱ.材料と方法
106~ 107CFU/ml に調整した Candida albicans 標準菌株(ATCC18804)を2種類の義歯床用レジン試験片(ク
リアー,ライブピンク;パラエクスプレス ®,ヘレウスクルツァージャパン株式会社,東京)を含む培地で培養す ることによりレジン片上にバイオフィルムを形成させた.このレジン片をマイクロチューブに移し, 5 種類の義歯 洗浄剤[ポリデント ® ( グラクソ・スミスクライン株式会社、東京 ),パーシャルデント ® ( 小林製薬株式会社,大阪 ), タフデント ® ( 小林製薬株式会社、大阪 ),スカイデント ® ( 株式会社マザーズ、東京 ),ピカ ® ( ロート製薬株式会 社、大阪 )],または純水(対照)に 5 分間浸漬後,純水ですすいだ.その後レジン片をマイクロプレートに移し替え, REDOX Indicator (Alamar blue ; TREK Diagnostic Sytems,Clevelard,OH,USA) 添加RPMI1640培地を注入し一晩培養後, 残存菌量を濁度または蛍光量として測定(EX:530, EM:590)して洗浄剤単回使用試験を行った.また,同様の手順 にてそれぞれの試験片 30 個を用い,浸漬、洗浄を繰り返し,義歯洗浄剤(ポリデント ® 使用)群,対照 (DW) 群とで,各々 1日 3 個ずつを測定,5 日間の洗浄剤連日使用試験を行った.結果の統計解析は各実験群と対照群の比較を Mann-Whitney U-test (SPSS 14.0 J) で行った. Ⅲ.結 果 単回試験において,5 種類の義歯洗浄剤によるレジン片上の Candida バイオフィルム除去効果は著しく,どの洗 浄剤も水と比較して統計学的に有意な差が認められた.また,試験片間で比較したところ,クリアー群よりもライ ブピンク群の方が除去されにくかった. 次に 1 種類の洗浄剤 ( ポリデント ®) を 5 日間にわたって,連日使用した場合と途中で水に切り替えたものとの除 去効果を比較検討したところ,いずれの試験片ともに,洗浄を水で行った日は前日までに毎日洗浄剤で行っていた としても Candida バイオフィルムが除去できずに残存することが示された. Ⅳ.結 論 義歯洗浄剤を使用することで、いずれのレジン片からも,Candida バイオフィルムが除去され,義歯洗浄剤の有 効性が確認された.また,義歯洗浄剤は使用指示通り,毎日使用するべきであることが示唆された.
座長:水口 俊介 ( 東医歯大 )
一般口演セッション 1
1-2 市販義歯洗浄剤の義歯安定剤に対する除去効果の評価
○原田 佳枝,洪 光 *,濱田 泰三 *
( 広島大学大学院医歯薬学総合研究科歯科薬理学,* 東北大学大学院歯学研究科口腔ケア推進開発講座 ) 義歯安定剤は不適合義歯の維持力を強くするために,患者によって広く使用されている.義歯安定剤は一般的に 義歯床を口腔粘膜表面に固定する方法の違いによって義歯粘着剤とホームリライナーの 2 種類に大別される.また, 義歯粘着剤はクリームタイプ,粉末タイプおよびテープタイプの 3 種類に分類される 1).義歯安定剤を長期間使用 し続けることは,望ましいことでは無いとされているが,義歯安定剤のうち義歯粘着剤は義歯の維持力を向上させ るという観点より,高齢患者には有効であると考えられる.日本は既に超高齢社会に突入しており,高齢者の増加 と共に,現在よりさらに多くの方が義歯安定剤を必要とすると予想できる.しかし,使用後の義歯安定剤を口腔内 や義歯から簡便に除去する方法は確立されておらず,今後自分での義歯のセルフメンテナンスが難しくなった高齢 者の増加に伴って,義歯粘着剤の除去を簡便にする方法が求められる. 義歯洗浄剤は,義歯の日常におけるメンテナンスにおいて重要な役割を果たしている.義歯の洗浄を含む口腔ケ アは,老人の肺炎のなかで最も頻度が高い,不顕性肺炎など疾病を予防する上でも重要である.義歯洗浄剤は次亜 塩素酸,過酸化物,酵素,酸など様々な成分を含んだものが存在しているが,その洗浄力の評価は,カンジダ菌な ど口腔内常在菌に対する殺菌力についての評価に関する報告が多く,その他の項目を評価したものは少ない. 今回の発表では,義歯に残留した義歯安定剤の除去という新しい観点から,これまで評価されていなかった,クリー ムタイプ義歯安定剤に対する義歯洗浄剤の洗浄力について実験を行った.それにより興味深い結果がでたので報告 する. 参考文献 1) 浜田泰三,村田比呂司ら.義歯安定剤 26 - 64,東京:デンタルダイヤモンド,2003.
座長:水口 俊介 ( 東医歯大 )
一般口演セッション 1
1-3 活性酸素を用いた義歯の消毒方法について
○澤田 智史,小田切 憲 *,堀 紀雄,星 憲幸,浜田 信城 **,木本克彦
(神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野,*
神奈川歯科大学有床義歯補綴学分野,**
神奈川歯科大学感染制御学講座微生物学分野 ) Ⅰ.目的 歯科医療従事者は,診療環境内において感染(細菌やウイルス等)に暴露する機会が多く,感染対策として診療室 における使用器具への消毒は行われている.しかしながら,診療室で採得された印象材や作製された模型などが集 積される歯科技工所ではこれらに対する対策は重要視されない傾向にあり,環境調査などからも細菌の検出が報告 されている1).また,現在,主に用いられている薬剤による消毒方法は,残留薬剤による健康被害や環境汚染など が懸念され,また,技工所としても安心で安全な技工物を提供できる消毒方法が必要である. 本研究では,活性酸素を応用した新たな消毒方法を確立することを目的として歯科材料の義歯床用材料に対する消 毒方法による機械的性質,表面性状および細菌付着への影響について検討を行ったので報告する. Ⅱ.材料および方法 常温重合型レジンを用いて試験片を作製し,耐水紙にて研磨後水中保管した.消毒条件は活性酸素,歯科医療現 場で主に使用されている 70%アルコールおよび 5%次亜塩素酸水溶液による薬液消毒,未処理について比較検討し た.試験項目は 3 点曲げ試験における機械的強度試験,表面粗さ試験,さらに,Candida albicans を用いた細菌付 着試験を行った. Ⅲ.結果と考察 3 点曲げによる機械的強度試験においては,次亜塩素酸消毒では未処理と比較し有意な材料強度の低下を認めたが, 活性酸素消毒では有意な差は認められなかった.表面粗さ試験では,次亜塩素酸消毒において,未処理と比較し算 術平均粗さが有意に増加していたが,活性酸素消毒では有意な差は認められなかった.また,走査型電子顕微鏡に よる表面形状観察では次亜塩素酸消毒において材料表面の粗糙化が確認されたが,活性酸素消毒では大きな変化は 認められなかった.細菌付着試験では,活性酸素消毒では未処理と比較し Candida の付着量に差が認められなかっ たが,次亜塩素酸消毒後では各培養時間において有意に付着量が増加した. 以上の結果より,今回使用した活性酸素による消毒方法は材料物性及び表面性状に対する影響を最小限にすること ができ,消毒後の細菌付着においても影響がなく有益な消毒方法であることが示唆された. Ⅳ.文献 1) 山口佳男,斎藤勝紀,中山正彦ほか.歯科技工所内の微生物調査について.日技工誌 27 巻 2 号,104-114. 2006.座長:水口 俊介 ( 東医歯大 )
一般口演セッション 1
1-4 義歯洗浄剤成分としての二酸化塩素の殺菌効果の検討
○堀 智治,前田 武志,野村 雄二 *,貞森 紳丞,岡崎 正之 *,赤川 安正
( 広島大学大学院医歯薬学総合研究科先端歯科補綴学,*
広島大学大学院医歯薬学総合研究科生体材料学 [緒 言] 二酸化塩素は塩素殺菌と違いトリハロメタンをほとんど生成せず,塩素より反応が速いといわれている.また, 米国をはじめとする西欧諸国では,二酸化塩素が食品添加物として承認されており,人体に安全で優れた殺菌効果 を示すことは古くから知られている.しかしながら,義歯洗浄剤としての二酸化塩素の殺菌性についてはほとんど 報告がない.本研究では,義歯性口内炎の主な原因菌である Candida albicans に対し,義歯洗浄剤として最も殺菌 性の強い次亜塩素酸ナトリウムと二酸化塩素の殺菌性について比較検討したので報告する. [材料および方法] 被験菌株として C.albicans を用いて実験を行った.37℃ YM 培地で一昼夜培養後,対数増殖期の菌を集菌し,滅 菌蒸留水にて 2 回洗浄後,最終濃度が 105cells/ml になるように調整した.次亜塩素酸ナトリウムの濃度は 100, 150,200 ppm,二酸化塩素の濃度は 1,3,5,10 ppm となるように調整した希釈液 200 μ l に菌液 200 μ l を加え, 室温で 30,60,90,120 秒間放置した.この溶液を,カンジダ GE 培地に接種して 37℃ 24 時間培養後,コロニー 数を測定した.また,C.albicans バイオフィルム形成に対する除去能を WST 法により測定した. [結 果] 二酸化塩素は濃度が高くなる程 C.albicans のコロニー数は減少し,10 ppm,浸漬時間 120 秒で C.albicans は完 全に殺菌された ( 図 1).次亜塩素酸ナトリウムも濃度が高くなる程 C.albicans のコロニー数は減少し,200 ppm, 浸漬時間 90 秒で C.albicans は殺菌された ( 図 2).また,C.albicans バイオフィルムにおいても二酸化塩素のほうが 低い濃度で C.albicans バイオフィルム除去能を示した.座長:貞森 紳丞 ( 広島大学 )
一般口演セッション2
2-1 フッ素系モノマーの添加が硬質リライン材の物性に及ぼす影響
○吉田 和弘,黒木 唯文 *,村田比呂司
( 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野,* 長崎大学病院 ) Ⅰ.目的 硬質リライン材は不適合となった義歯床と床下粘膜の適合性を向上させる目的で,広く用いられている.本材は 加熱重合レジンと比較して,吸水性や硬さで劣り,劣化しやすい傾向にある.これを改善するために,フッ素系モ ノマーを含有したリライン材が有効と考えられる.そこで本研究では,フッ素系モノマーを添加したリライン材を 試作し,いくつかの物性について測定を行い,耐久性について検討した. Ⅱ.材料および方法
本研究では poly(ethyl methacrylate)と iso-butyl methacrylate からなるコントロール試料と,フッ素系モノマー である 2,2,2-trifluoroethyl methacrylate を 30 % 添加した試料を作製し,その物性を比較した. 動力学的性質の評価には,動的粘弾性自動測定器(レオバイブロン DDV-25FP-W,エー • アンド • ディ社製)を 用いた.試料は 0.6 × 7.0 × 30 mm の板状に作製し,表面は耐水研磨紙 1000 番で研磨を行った.試料数は各試料 5 個ずつ作製した.試料を 37 ℃の蒸留水中に 1 日および 1 週間保管した後,測定温度 37 ℃,周波数 0.01 ~ 100 ㎐における貯蔵弾性率(E’),損失弾性率(E’’),損失正接(tan δ)を算出した. 吸水量および溶解量の測定と曲げ試験は,ISO 規格 1567 に準じて行った.試料数はともに 5 個ずつ作製した. 曲げ試験の結果より,曲げ強さおよび曲げ弾性率を算出した. 硬化挙動の測定にはオシレーティングレオメーター(セイキ社製)を用い、37 ℃における硬化時間をそれぞれ 5 回ずつ測定した.測定開始の振幅を 100% として,振幅が 75% にまで減少した時間を硬化時間とした. 統計処理は,t- 検定を用いた. Ⅲ.結果 • 考察 37 ℃,1.0 ㎐の条件下において,フッ素系モノマー含有試料はコントロールと比較して有意に低い損失弾性率(E’’) と損失正接(tan δ)を示し(p < 0.05),粘性要素が少なく弾性傾向が強い傾向であった.またコントロールは水 中浸漬により各係数の変動が大きくなる傾向であり,フッ素系モノマー含有試料は変化が少ない傾向であった. 曲げ試験の結果においても,フッ素系モノマー含有試料は曲げ強さおよび曲げ弾性係数ともに高い値を示した. 吸水量および溶解量は,フッ素系モノマーの添加により有意に低下した(p < 0.05). 硬化挙動は,フッ素系モノマー含有試料がコントロールと比較して硬化時間が有意に短くなった(p < 0.05). 以上の結果から,本研究で用いた poly(ethyl methacrylate)および iso-butyl methacrylate を主成分とする硬質 リライン材へのフッ素系モノマーである 2,2,2-trifluoroethyl methacrylate の添加は,本材の耐久性向上に寄与する ことが示唆された.
座長:貞森 紳丞 ( 広島大学 )
一般口演セッション2
2-2 セリシンパウダーの添加が義歯床用アクリルレジンの表面ぬれおよび曲げ強さに及ぼす影響
○ディリヌル・マイマイティサウット,洪 光 *,佐々木啓一,濱田 泰三 *
( 東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野 , * 東北大学大学院歯学研究科口腔ケア推進開発講座 ) 【目的】 現在,高齢者人口が全人口の 20.0%を超す超高齢化社会を迎えた日本では,今後も有床義歯装着者が増加するも のと考えられる.有床義歯が口腔内で良好に機能するためには,義歯床用材料のぬれ性が重要な因子となる.すな わち床用材料のぬれの改善により,義歯の口腔内での維持・安定ならびに装着感が向上し,義歯装着高齢者の QOL に大きく貢献するものと考えられる. そこで本研究では,優れた保湿性を有するセリシンパウダーを義歯床用レジンの粉成分に添加することにより, 本材の表面ぬれおよび曲げ強さに及ぼす影響について検討を行った. 【方法】 本研究では粉成分として根上工業株式会社製平均重量分子量 (Mw) および平均粒径がそれぞれ異なる polymethyl methacrylate ポリマー 2 種類 (D-100M,D-250ML),および polymethyl methacrylate/ethyl methacrylate コポリマー (D-300),polyethyl methacrylate ポリマー (D-250E) の計 4 種類のポリマーに微量の過酸化ベンゾイルを含有したも のを粉成分とし,これらとメタクリル酸メチル (MMA),メタクリル酸イソブチル (i-BMA),メタクリル酸 2- エチル ヘキシル (EHMA) およびメタクリル酸 2- ヒドロキシエチル (HEMA) の計 4 種類の液成分との組み合わせにより,4 種類の義歯床用アクリルレジンの組み合わせを作製した. その粉成分にカシロ産業社製平均重量分子量 40 万のセリシンパウダーを 0,1,3,5wt% 添加し,粉液比 2.0 で, 通法に従い加熱重合,研磨を行い,試験片を各組み合わせに 5 個ずつ作製した.それを 37℃蒸留水浸漬保管 0, 1, 2, 3, 7, 14, 30, 90, 180 日後,万能材料試験機 (Instron 5565 型 ) を用いて,各試料の曲げ強さおよび曲げ弾性率を算出した. レジン表面親水性に関しては,ポータブル全自動接触角計 ( 協和界面化学社製 PCA-1) を用いて,接触角の測定より 表面親水性の評価を行った. 得られたデータは ANOVA および SNK の多重比較により,危険率 5% で統計処理を行った. 【結果および考察】 各材料の初期接触角では,材料間で有意差が認められた (p<0.05).接触角の経時的変化も各材料間で有意差が認 められた.セリシンパウダーの効果は材料によって異なっていた。さらに三点曲げ試験の結果,D-300M と MMA の組み合わせは,曲げ強さおよび曲げ弾性率ともに他の材料に比べて有意に大きい値を示した (p<0.05).材料によっ て,セリシンパウダーの添加により,曲げ強さの低下が認められた。 以上の結果より,セリシンパウダーは義歯床用アクリルレジンの表面親水性に対する影響は限定的で,組み合わ せにより,セリシンパウダーの添加は材料の力学的性質を著しく低下させる可能性が示唆された.
座長:貞森 紳丞 ( 広島大学 )
一般口演セッション2
2-3 粘膜調整材の機能水による洗浄が色調安定性に及ぼす影響
○柏原 稔也,後藤 崇晴,内藤 禎人,市川 哲雄
( 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面補綴学分野 ) Ⅰ.目的 近年,強電解酸性水(強酸性水)に代表される機能水に関する研究が多数行われている.歯科領域においても,様々 の応用方法が検討され,その有用性が多数報告されている.その中でも,マイクロバブルを電解水の中で圧壊させ た直径 100 ~ 200 nm のナノバブルが開発され,酸素ナノバブルの生理活性効果,オゾンナノバブルの殺菌効果が 注目されている.とくにオゾンナノバブル水については,通常のオゾン水に比べ高濃度のオゾンを含有し,長期間 の保存が可能であるとの報告がある. 一方,義歯床下粘膜の改善を目的とした粘膜調整材がしばしば利用されている.この材料は緻密ではないため, デンチャープラークが形成されやすく,十分なプラークコントロールを行うには強力な殺菌効果の必要な床用材料 であると考えられる.強力な殺菌効果が期待できる機能水に着目し,軟質系材料に付着したカンジダバイオフィル ムに対する機能水の殺菌効果について検討し,十分な殺菌効果が期待できることを本学会第2回学術大会で報告し た. また,強電解酸性水やオゾン水は殺菌効果を有するばかりでなく,強力な脱色作用があり,これらの機能水で洗 浄することのより,沈着物が付着し,着色しやすい軟質系材料に対する色調安定性の向上が期待できる. そこで,今回は人工的に着色した粘膜調整材を機能水で洗浄することのよる色調変化を観察し,以下の知見が得 られたので報告する. Ⅱ.材料及び方法 試験用液としてオゾンナノバブル水(株式会社 REO 研究所,宮城),義歯洗浄器イオデント(松下電工,EW 179)で生成した機能水,義歯洗浄剤ピカ(ロート製薬,大阪),義歯洗浄剤ポリデント(グラクソ・スミスクライン, 東京),コントロールとして滅菌蒸留水を用いた.粘膜調整材はデンチャーソフト(亀水,大阪)を用いた.粘膜 調整材を直径 12.0 mm,厚さ 2.0 mm のモールドに流し込んだ後,ガラス面に圧接し被着試料を作製した.被着試 料は成形後,コート材トップコート(亀水,大阪)を塗布した試料も作製した.本実験では着色液としてコーヒー 液を用いた.着色液はインスタントコーヒー 3g に対し 100℃の滅菌蒸留水 100 ml を加え,室温まで徐冷すること により調製した.被着試料を,24 well- 平底プレートの底面に置き,着色液を 1.0 ml 加え,16 時間浸漬後,試験用 液 20 ml 中に 8 時間浸漬した.以上を繰り返し,被着面の色調安定性を経時的に観察した.色調安定性の評価として, 分光測色計(ミノルタ,CM-503i)を用い,試料を標準白色板上で測色を行った.各条件につき試料を 6 枚ずつ作 製した.試験用液,着色液,実験室の気温はすべて 23℃に設定した. Ⅲ.結果と考察 コート材を塗布することのより色調安定性が著しく向上した.義歯洗浄器イオデントで生成した機能水による洗 浄は,高い色調安定性が得られる傾向を示したが,コート剤による効果には及ばないことが示された.また,オゾ ンナノバブル水による洗浄は,含有する高濃度のオゾンによる高い色調安定性が期待されたが、添加物の沈着によ るもの考えられる着色が観察され,色調安定性については不利であることが示され,軟質系材料などの洗浄に応用 する場合には,添加物の除去などを検討する必要があると考えられた.
座長:木本 克彦 ( 神歯大 )
一般口演セッション3
3-1 OCT の歯科臨床への応用
OCT を用いた義歯床用レジンと裏装材との接着における評価
○春日 祐太,星野 義人,井上 実, 秋葉 徳寿, 水口 俊介,小澤 総喜 *,角 保徳 *
( 東京医科歯科大学大学院全部床義歯補綴学分野,* 国立長寿医療研究センター先端診療部歯科口腔外科 ) Ⅰ.目的 軟質裏装材に求められる理工学的性質の一つに,義歯床用レジンとの接着性がある.義歯床用レジンとの接着性 に関しては,主に引っ張り試験,引き裂き試験,せん断試験が行われるが,これらの試験方法は破壊試験であり, 臨床においては用いることができない.また,加熱重合型の軟質裏装材では,義歯床用レジンと軟質裏装材を同時 に加圧し,重合するため,試験体の作製,それに伴う評価も困難である.そこで本研究では,非破壊検査を可能に する OCT を用い,義歯床用レジンと軟質裏装材の接着に対する OCT の有用性を検討することを目的とした. Ⅱ.方法 軟質裏装材には,試作フッ素系軟質裏装材としてドデカフルオロヘプチルメタクリレートを用いた SR12F,アク リル系軟質裏装材としてベルテックスソフト (VS),シリコーン系軟質裏装材としてモロプラスト B(MB) を用い,義 歯床用レジンにはアクロンピンク (AC) とし,厚さ 2mm の義歯床用レジンに,軟質裏装材 2mm を裏装したものを サンプルとした. OCT の撮影は,義歯床用レジン側と軟質裏装材側から行い,また,走査型電子顕微鏡 (S-4500, 日 立製作所 ) を使用し,SEM 画像の取得と,さらに X 線分析装置 (EDS) を使用し SEM 画像上での線分析を行った. Ⅲ.結果と考察 軟質裏装材側より撮影した OCT 画像 ( 図 1 ~ 3) において,MB では若干不明瞭ではあるもの,接着界面をとら え,一方 AC 側からは接着界面をとらえることができなかった. SEM 画像では,SR12F, VS と AC の接着界面におい て,混合状態様の相がみられ化学的に接着している像を,また MB と AC の接着界面では,密着しているものの混 合状態様の相はなく機械的に結合している像を得た.裏装材と義歯床用レジンが完全に剥離している場合,接着界 面は 2 本線で,間に空隙があるように見えることから,本研究の軟質裏装材では,肉眼,SEM 画像においても接着 していることは確認できたが,OCT 画像においても義歯床用レジンと接着していると考えられる. また,EDS より SR12F, MB 中には Si 成分が多かったが,OCT 画像では SR12F, VS に比べ MB のみが接着界面が不明瞭であったことは, Si 成分は近赤外線を減弱する一方,F 成分は増強に関与しているとも考えられ,Si 成分や F 成分は近赤外線の透過, 散乱に影響を与えている可能性が考えられる. 図 1. SR12F 図 2. VS 図 3. MB Ⅳ.結論 OCT を用いて,義歯床用レジン (AC) と軟質裏装材 (SR12F, VS, MB) の接着状態を,評価できることが示唆された.座長:木本 克彦 ( 神歯大 )
一般口演セッション3
32 簡易型脳波計を用いた義歯の機能評価 第2報
-○石川 佳和,桝尾 隆一 *,大久保力廣 **,細井 紀
雄***
( 医療法人愛和会 桜川歯科医院,* 桝尾歯科クリニック,** 鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座,*** 鶴見大学 ) Ⅰ . 目的 顎口腔機能解析システムを用いて補綴装置の機能評価を行ってきた1,2,3).本システムは,補綴装置の客観的機能 評価が可能であるが,測定時間が長いという欠点があった.そこで今回は,本システムの一部であり,簡便で測定 時間が短く,持ち運びが可能な簡易型脳波計を使用して義歯の機能評価を行い,その有用性を検討した. Ⅱ.方法 被験者は,平成 22 年9月から 11 月の間に,桜川歯科医院にて新義歯を作製した平均 65.8 歳の 50(♂ 23,♀ 27)人である.被験者には,実験の主旨を説明し,同意の上で行った.オクルーザーにて調整が終了した新義歯の 咬合接触状態を記録し,脳波計を使用して1秒間に1回のタッピング運動を指示し,α波の出現時間を3分間測定 し,記録した.筋疲労を考慮し,5分間の休息の後,一辺1mm の立方体に規格したユーティリティワックスを義 歯装着側の第一大臼歯間に介在させて,早期接触を付与した.同様に脳波計を用いて同様の指示で,タッピング運 動を行ってもらい,α波の出現時間を記録して,ワックス未介在時のものと比較した.早期接触を付与した時の咬 合接触状態もオクルーザーにて記録した.なお,測定順序をかえても,ほぼ同様の結果が得られる事を確認して実 験を行った. Ⅲ.結果 調整のとれた新義歯のα波の平均出現時間は,180 秒の測定中,144.6 ± 12.8 秒とかなりの持続時間を有した のに対し,早期接触を付与した義歯は,34.5 ± 8.6 秒とα波の平均出現時間は,大幅に減少した(図).Wilcoxon signed-rank test(α= 0.05)を行った結果,新義歯のα波の平均出現時間と,早期接触を付与した義歯のα波の平 均出現時間との間には,有意な差が認められた(p< 0.05). Ⅳ.考察 ユーティリティワックスを介在させ早期接触を付与した理由は,使用中の義歯であるために可逆性のあること, パラフィンワックスでは早期に疼痛が出現し測定できなくなること,歯科医院ならどこにでもあり,粘着物を介在 させることで,簡単に義歯の早期接触および離脱感を生み出せるからである.くわえて,脳波は弱刺激で変化する ので,実験的早期接触も疼痛が出現しない程度の弱いものである必要がある.ユーティリティワッククスを介在さ せることにより,人工歯に接着し完全に破断されないために,脳が咬み心地の悪さを感じ取り,α波の出現を減少 させたものと考える.以上のことより,簡易型脳波計は客観的な義歯の機能評価がより簡単に行えるようになり, 在宅診療時の義歯の機能診断にも応用できることが示唆された. Ⅴ.参考文献 1) 石川 佳和:顎口腔解析システムによる補綴治療の評価、顎 機能誌、3:74-81,1996. 2) 石川 佳和:マウスガードの咬合調整が筋活動に及ぼす影 響 . 第 13 回日本スポーツ歯科医学学術大会抄録集:25,2002. 3) Yoshikazu Ishikawa,clc.:Pain Relief Effects on Temporomandibular Disorders using a Nd:YAG Laser: No.3104(IADR 2008 in Canada),2008.
座長:細井 紀雄 ( 鶴見大 )
一般口演セッション 4
4-1 OHIP-EDENT 日本語版の信頼性と妥当性の検討
○佐藤 佑介,飼馬 祥頼,金澤 学,山賀栄次郎,平野滋三,水口 俊介
( 東京医科歯科大学大学院摂食機能回復学講座全部床義歯補綴学分野 ) 【目的】補綴治療の効果測定のために用いられる手法のひとつに Oral Health Impact Profile(OHIP) がある . 49 項目の質問 と 7 つの下位尺度から構成されるこのアンケートは患者の口腔関連 QOL を数値化するもので , QOL が高いほど低い 数値となり , 歯科治療効果の測定や治療方法の比較に有効である . しかし項目数が多く患者の負担が大きくなること が臨床的に問題となるため , 目的に応じて各種短縮版が作成されている1). 中でも無歯顎患者は有歯顎患者と異なる 特性を持ち、その口腔関連 QOL 評価のためには,質問数が 19 項目である OHIP-EDENT が開発されているが , 日本 語版の測定特性については不明である . 本研究では , OHIP-EDENT 日本語版の信頼性と妥当性を検討し臨床使用に適 切か否かを明らかにすることを目的とした . 【方法】 平成 21 年 1 月から平成 22 年 12 月までの 2 年間に本学歯学部附属病院を受診した全部床義歯患者 116 名 ( 要治 療群 61 名 , メンテナンス群 55 名 ) を被験者として , OHIP-EDENT および OHIP-J 2)をもとに作成した自記式アンケー トを用いデータを収集した . 信頼性の検討のために ,OHIP-EDENT 日本語版総スコアおよび各下位尺度の内部一貫性 と再現性を測定した . 内部一貫性の検討にはクロンバックのα係数を用いた . 再現性を測定するために要治療群 61 名に再テスト法を行い , 級内相関係数 (ICC) を算出した . 併存的妥当性を検討するために , 義歯への自己評価との間 で spearman の相関係数を算出した . 【結果と考察】 被験者 116 名の平均年齢は 74.7 歳で , 女性が 49 名 (42%) であった . 無歯顎患者が対象なことから , OHIP に関す る先行研究と比較して高い年齢分布になったと考えられた . 内部一貫性を示すα係数は 0.60-0.94 で総スコアおよび すべての下位尺度において高い値を示した . 比較的低い値を示した下位尺度は構成する項目数が少ないためと考え られた . 再テスト法の結果 , 欠損値のない回収率は 84% であった . 再現性を示す ICC は 0.72-0.85 で総スコアおよび すべての下位尺度において高い値を示した . また , 義歯への自己評価との相関係数は -0.61 で有意な負の相関が認め られたことから , 義歯への満足度と口腔関連 QOL に関連があるとの仮説のもとでの併存的妥当性が確認された . 【まとめ】 OHIP-EDENT 日本語版は高齢無歯顎患者に対して十分な信頼性と妥当性を有し , 臨床使用に適切であることが示 唆された . 【文献】
1) Allen F, Locker D. A modified short version of the oral health impact profile for assessing health-related quality of life in edentulous adults. Int J Prosthodont 2002; 15(5): 446-50