兩
部
神
道
論
小
野
清
秀
目 次 第 一 、 神 佛 習 合 の 事 實 1 、 奈 良 朝 時 代 2 、 李 安 朝 時 代 3 、 鎌 倉 時 代 以 降 第 二 、 儒 者 の 習 合 説 1 、 北 畠 一 條 の 習 合 説 第 三 、 神 道 家 の 習 合 説 1 、 伊 勢 神 道 2 、 惟 一 神 道 3 、 伯 家 神 道 附 天 社 神 道 兩 部 神 道 論 一兩 部 神 道 論 二 4 、 垂 加 神 道 5 、 神 國 決 疑 篇 6 、 齋 元 神 道 第 四 、 佛 教 家 の 習 合 説 1 、 天 地 .麗 氣 記 2 、 山 王 一 實 神 道 原 3 、 法 華 神 道 秘 訣 4 、 先 代 舊 事 大 成 経 5 、 神 教 経 、 宗 徳 経 6 、 神 社 考 及 啓 蒙 の 辮 疑 7 、 兩 部 神 道 口 訣 鈔 8 、 雲 傳 神 道 9 、 御 流 神 道 口 訣 第 五 、 神 佛 習 合 破 拆 説 1 、 本 朝 神 社 考
2 、 神 社 啓 蒙 3 、 五 部 書 及 兩 宮 説 辮 4 、 出 定 後 語 、 赤 裸々 、 出 定 笑 固 第 六 、 神 佛 分 離 の 惨 果 1 、 神 佛 分 離 の 輕 擧 2 、 三 教 思 想 の 不 可 分 3 、 神 社 中 風 に 罹 る 4 、 佛 教 の 打 撃 と 本 卦 返 り 5 、 俗神 道 教 の簇 生 第 七 、 現 代 式 兩 部 神 道 論 1 、 宗 教 の 本 領 と 二 大 使 命 2 、 國 民 性 の 吸收力 と 消 化 力 3 、 偉 人 の 出 現 4 、 所 謂 三 教 一 致 5 、 政 權 に 依 る 習 合 6 、 窮 餘 の 努 力 兩 部 棘 道 論 三
兩 部 神 道 論 四 第 一 、 神 佛 習 合 の 事 實 1 、 奈 良 朝 時 代 聖 徳 太 子 が 崇 佛 を 中 心 と し て 、 神 儒 を 之 に 調 和 せ ん と せ し 思 想 は 、 爾 後 識 者 項 徳 の 毎 に 襲 踏 す る 所 な り 、 又 我 國 民 思 想 界 の 要 求 も 、 常 に茲 に 在 り て 、 彼 の 役 小 角 、 越 泰 澄 等 は 、 早 く よ り 神 祇 を 以 て 、 佛 法 の 擁 護 者 と 稱 し 、 我 國 の 神 々 は 佛 諸 天 の 化 現 な り と 爲 し て 、 神 佛 融 合 の 一 振 、 即 ち 修 験 派 山 伏 道 を 開 け り 。 又 元 正 天 皇 霊 龜 元 年 、 藤 原 武 智 麿 は 氣 比 神 社 の 境 内 に 、 神 託 な り と て 神 宮 寺 を 創 立 し 、 次 で 若 狭 比 古 神 社 に も 神 宮 寺 を 建 て た り 。 聖 武 天 皇 神 龜 二 年 に は 、 宇 佐 入 幡 大 神 の 託 宣 な り と て 、 藥 師 、 彌 勒 の 二 佛 を 其 本 尊 と 爲 し 、 境 内 に 寺 院 を 造 り 佛 像 を 安 置 せ り 、 當 時 又 僧 行 基 は 、 天 照 皇 大 神 の 御 心 な り と て 東 大 寺 を 建 立 し 、 大 佛 を鑄 り 、 天 照 皇 大 神 の 本 地 は 底 舎 那 佛 、 即 ち 大 日 如 來 に し て 、 大 日 即 日 輪 な り と 云 へ り . 又 此 の 大 佛 開 眼 の 際 に は 、 宇 佐 八 幡 大 神 の 随 喜 と 稱 し て 、 其 分 霊 を 東 大 寺 に 遷 し 鎭 守 と 爲 せ り 、 此 よ り 神 前 に 於 て 讃 経 を 爲 し 、 佛 経 、 佛 含 利 の 類 を も 神 社 に 奉 納 す る に 至 れ り 。 2 、 李 安 朝 時 代 桓 武 天 皇 の 延 暦 十 三 年 に は 、 宇 佐 、 宗 像 、 阿 蘇 の 三 社 に 於 て 讃 経 し 、 三 神 の 爲 め に 僧 七 人 を 度 し
嵯 峨 天 皇 の 大 同 四 年 に は 、 諸 國 名 神 の 爲 め に 大 般 若 経 一 部 を 書 冩 し て 奉 讃 供 養 し 、 文 徳 天 皇 の 嘉 祥 三 年 に は 、 諸 名 神 の 爲 め に 僧 七 十 人 を 度 し 、 又 神 に 菩 薩 、 權 現 號 を 附 す る に 至 れ り 。 日 本 天 台 宗 の 開 祖 傳 教 大 師 は 延 暦 四 年 日 枝 の 山 、 即 ち 比 叡 山 に 上 り 、 草 庵 を 結 び て 讃 経 し 、 其 七 年 山 上 に 一 乗 止 觀 院 を 創 立 し 、 二 十 三 年 入 唐 し 、 歸 朝 の 後 、 支 那 天 台 山 山 王 明 神 の 示 現 と 稱 し 日 枝 の 山 に 古 來 祀 れ る 大 山 咋 命 即 ち 日 枝 神 を 、 山 王 權 現 と 稱 し 、 本 地 は釋 迦 如 來 な り と 爲 し 、 佛 法 守 護 特 に 天 台 法 華 の 鎭 守 と 爲 せ り 、 又 宇 佐 、 香 春 兩 神 社 に 於 て 法 華 経 を 講 じ 、 神 託 を 受 け 泥 り と 云 ふ 。 爾 後 天 台 の 僧 侶 は 、 盛 に 本 地 垂 迹 説 を 唱 へ 、 圓 仁 は 入 唐 し て 、 歸 朝 の 際 明 洲 亦 山 明 神 を 遷 し て 叡 山 の 西 麓 に 祀 り 、 圓 珍 は 唐 よ り 歸 國 の 際 、 新 羅 明 神 船 舷 に 現 は れ 託 宣 あ り し と て 、 三 井 寺 の 北 に 祀 れ り 、 又 此 の 時 代 よ り 日 本 國 中 有 名 の 神 々 を 撰 び 、 毎 月 日 を 分 ち て 結 番 せ し め 、 之 を 法 華 守 護 の 三 十 番 神 と 稱 せ り 。 台 宗 の 神 佛 習 合 は 、 之 を 山 王 一 實 神 道 と 云 ふ 、 其 要 旨 は 後 に 山 王 一 實 神 道 原 に 記 せ り 。 日 本 眞 言 密 教 の 開 祖 弘 法 大 師 が 、 高 野 山 を 開 く に 當 り 、 丹 生 都 姫 神 の 案 内 あり 、 又 稻 荷 太 神 の 託 宣 に 依 り 藤 森 神 社 内 に 稻 荷 社 を 祀 り 、 伊 勢 に 在 り て は 神 道 を 研 究 し 、 朝 熊 山 に 金 剛 證 寺 を 開 き 、 嵯 峨 天 皇 よ り 神 道 灌 頂 を 受 け た る が 如 き 事 實 あ り 、 遂 に 天 照 皇 太 神 即 大 日 如 來 、 内 外 の 兩 宮 即 金 胎 兩 部 神 道 即 佛 教 、 佛 教 即 神 道 、 神 佛 不 二 の 神 佛 一 致 、 兩 部 神 道 の 源 を 開 け り 。 兩 部 神 道 論 五
兩 部 神 道 論 六 斯 く 密 教 の 兩 部 神 道 は 、 我 國 の 神 祇 を 埀 迹 と せ ざ り し よ り 、 教 理 上 神 を 蔑 視 す る の 嫌 を 免 か れ 、 大 日 佛 教 即 大 日 霞 神 道 と 爲 り し を 以 て 、 其 神 社 を 佛 化 す る の 勢 は 、 恰 か も 怒 濤 の 如 く 、 殊 に 皇 上 の 尊 信 篤 か り し 爲 め 、 全 國 至 る 所 の 大 神 社 に は 、 必 ず 神 宮 寺 を 設 け 、 其 別 當 は 多 く 眞 言 僧 を 補 任 す る に 至 れ り 。 3 、 鎌 倉 時 代 以 降 台 家 よ り 出 で た る 日 蓮 宗 は 、 法 華 神 道 を 唱 導 し 、 法 華 守 護 の 三 十 番 神 を 、 愈 々 具 體 化 し 、 他 宗 排 斥 、 且 又 神 祇 を も 排 斥 す る 特 殊 の 神 佛 習 合 を 企 て た り 。 元 弘 時 代 に は 、 僧 慈 遍 、 神 國 私 記 な る 書 を 著 し 、 神 道 大 意 、 天 地 開 闢 、 兩 宮 鎭 座 、 佛 神 同 異 等 の 事 を 辮 じ 、 朝 廷 に 奉 れ り 。 眞 宗 の 存 畳 は 、 諸 神 本 懐 集 を 編 述 し 、 其 中 に そ れ 佛 陀 は 神 明 の 本 地 、 神 明 は 佛 陀 の 垂 迹 な り 、 本 に あ ら ざ れ ば 迹 を 垂 る ゝ こ と な く 、 迹 に あ ら ざ れ ば 、 本 を あ ら は す こ と な し 、 神 明 と い ひ 、 佛 陀 と い ひ 、 お も て と な り 、 う ら と な り て 、 た が ひ に 利 益 を ほど こ し 、 垂 迹 と い ひ 、 本 地 と い ひ 、 權 と な り 、 實 と な り て と も に 濟 度 を い た す と 云 ひ 、 又 蓮 如 は
一 切 の 神 明 と ま を す は 、 本 地 は 佛 菩 薩 の 變 化 に て ま し ま せど も 、 こ の 界 の 衆 生 を み る に 佛 菩 薩 に は す こ し ち か づ き 難 く 、 お も ふ あ い だ 、 神 明 の 方 便 に か り に 神 と あ ら は れ て 、 衆 生 に 縁 を む す び て 、 そ の 力 を も て 、 た よ り と し て 遂 に 佛 法 に す ゝ め い れ ん が た め な り 、 こ れ 即 ち 和 光 同 塵 は 結 縁 の は じ め 、 入 相 成 道 は 利 物 の を は り と 云 へ る は 、 此 の こ ゝ う な り 、 さ れ ば い ま の 世 の 衆 生 佛 法 を 信 じ 、 念 佛 を も ま を さ ん 人 を ば 、 神 明 は あ な が ち に わ が 本 意 と お ぼ し め す べ し 、 こ の ゆ へ に 彌 陀 一 佛 の 悲 願 に 歸 す れ ば 、 と り わ け 神 明 を あ が め ず 、 信 せ の と も 、 そ の う ち に お な じ く 僧 す る こ ゝ ろ は 、 こ も れ る ゆ へ な り 。 思 ひ 切 り た る 排 神 は 不 利 益 な る と 自 覺 し 、 一 向 專 念 眞 宗 他 力 本 願一 流 の 神 佛 習 合 證 を 主 張 せ る も の な り 。 徳 川 幕 府 の 始 め 、 台 家 の 天 海 は 、 山 王 一 實 神 道 を 家 康 に 證 き 、 又 吉 田 家 の 梵 舜 と 爭 ひ て 、 之 を 屈 せ し め 、 後 陽 成 天 皇 の 朝 に 、 禁 廷 に 於 て 、 葦 林 庵 と 唯 一 神 道 と 兩 部 神 道 の 論 を 戦 は し 、 勝 を 制 せ し か ば 、 大 内 神 道 の 稱 號 を 勅 賜 せ ら れ た り 、 其 伴 天 速 追 放 文 中 に 曰 く 、 惟 れ 神 明應 迹 國 に し て 、 大 日 の 本 國 な り と 、 法 華 に 曰 く 諸 佛 世 を 救 ふ 者 、 大 神 通 に 佳 し 、 衆 生 を 悦 ば し む る 爲 め に 、 無 量 の 神 力 を 現 は す と 、 此 金 句 妙 文 、 神 と 佛 と 其 名 異 に し て 、 其 趣 一 な る 者 恰 か も 符 節 を 合 す る が 如 し 、 兩 部 神 道 論 七
兩 部 神 道 論 八 日 本 は 神 國 佛 國 に し て 、 神 を 尊 び 、 佛 を 敬 ひ 、 仁 義 の 道 を 專 ら に し て 、 善 悪 の 法 を 匡 す 。 猶 徳 川 時 代 に 於 け る 神 佛 習 合 説 は 、 下 に 順 記 す べ し 。
第
二
、
儒
者
の
習
合
説
北 畠 一 條 の 習 合 説 北 畠 親 房 は 、 神 儒 佛 道 に 亘 れ る 博 學 者 に し て 、 又 勤 王 誠 忠 の 士 な り 、 神 皇 正 統 記 を 著 し て 、 國 體 上 の 大 義 名 分 を 明 ら か に し 、 元 々 集 、 東 家 秘 傳 に 依 り て 、 天 地 開 闢 よ り 神 道 に 關 す る 所 見 を 述 べ た り 、 即 ち 元 々 集 は 神 道 の 諸 説 を 集 め 、 之 を 入 篇 に 分 ち 、 其 神 國 要道 篇 中 に は 、 三 種 の 神 器 に 就 て 解 釋 を 爲 し 、 三 器 を 妙 、 明 、 断 の 三 徳 に 比 し 、 更 に 之 を 仁 に 括 し 、 現 世 安 民 の 道 に 率 し たり 、 又 其 東 家 秘 傳 に は 、 日 本 紀 の 本 文 を 擧 げ 、 陰 陽 五 行 五 大 の 理 を 以 て 之 を 解 し 、 天 地 開 闢 の 原 因 を 説 明 せ り 斯 く の 如 く 一 方 に は 儒 に 依 り 、 又 陰 陽 説 を 執 り た れど も 、 彼 の僞 作 と 稱 せ ら る ゝ 神 道 五 部 書 等 に 擦 り た る 所 多 く 、 我 國 は 神 國 に し て 儒 佛 の い へ る 庭 、 す べ て 既 に 包 含 せ ら れ 、 し か も 其 理 一 層 明 瞭 に 現 は さ れ た り と 云 へ る も 、 其 思 想 は 佛 理 に 源 底 す る 所 多 く 、 又 敢 て 佛 教 を 排 斥 す る こ と を せ ざ り し の み か 、 之 を 尊 敬 す べ き こ と を も 説 け り 、 要 す る に 其 所 證 全 體 を 括 し て 、 兩 部 神 道 の埒 外 に 出 づ る こ と 能 は ざ る も の な り と す 。 一 條 兼 良 も 亦 神 儒 佛 道 に 亘 る 博 學 の 士 な り 、 而 し て 其 神 道 論 に は 、應 化 の 神 は 佛 菩 薩 の 衆 生 の 機に 應 じ て 現 形 せ る も の と 爲 し 、 又 神 道 に も 六 道 四 生 三 世 循 環 あ る こ と を 説 け り 、 之 れ 兩 部 習 合 よ り も 一 層 に 佛 教 に 近 き も の 、 否 、 佛教 そ の も の な り と 云 ふ べ し 。 左 れど 將 軍 義 術 の 爲 め に 、 文 明 一 統 記 を 著 し て 、 第 一 に 其 氏 神 た る 入 幡 宮 を 所 念 す べ き こ と を 切 説 し 、 又 樵 談 治 要 に は 、 我 國 は 神 國 な れ ば 、 敬 神 を 先 き に す べ き 事 を 、 故 事 典 例 を 擧 げ て 具 體 的 に 詳 説 せ り 。 之 を 要 す る 鎌 倉 時 代 よ り 戦 國 時 代 に 至 る 學 者 は 、 後 世 の 儒 者 の 如 く 偏 固 な ら す 、 又 多 く 佛 教 に 私 淑 し 、 思 想 の 根 本 は 佛 教 を 離 れ ぎ る と 共 に 、 神 佛 の 調 和 が 濟 世 治 民 上 、 極 め て 切 要 肝 心 の 事 と 僧 じ 居 り た る な り 。
第
三
、
神
道
家
の
習
合
説
1
、
伊
勢
神
道
五
部
書
伊 勢 神 道 又 は 社 家 神 道 と 稱 す 、 元 來 伊 勢 は 皇 祖 天 照 皇 大 神 の 鎭 座 地 に し て 、 内 外 兩 宮 の 神 官 、 即 ち 社 家 は 、 毎 に 兩 部 神 道 及 佛 教 を 忌 避 し 、 佛 教 不 入 の 神 地 と 爲 し 、 又 佛 教 及 僧 侶 に 封 し て は 忌 詞 さ へ 設 だ る 位 な り し が 、 其 神 道 五 部 書 な る も の は 、 全 然 神 佛 習 合 な り 。 元 來 伊 勢 内 外 兩 宮 の 神 官 は 、 軌 轢 甚 だ し く 、 内 宮 の 神 官 は 、 外 宮 豊 受 大 神 を 以 て 、 天 照 皇 太 神 の 兩 部 神 道 論 九兩 部 神 道 論 一 〇 御饌 の 神 な り と 爲 し 、 外 宮 は 之 に 對 し て 豊 受 大 神 を ば 天 御 中 主 神 に し て 、 又 國 常 立 尊 な り 、 故 に 寧 ろ 天 照 皇 大 神 の 祖 神 な り と 唱 へ て 、 内 宮 を 厭 せ ん と せ り 。 此 の 軌 轢 の 結 果 、 北 條 氏 の 末 葉 建 武 の 頃 よ り 、 外 宮 神 官 の 手 に 依 り て 、 神 道 五 部 書 な る も の 発 行 せ ら れ 、 神 典 と し て 盛 に 流 行 す る に 至 れ り 。 五 部 書 と は 、 寳 基 ,本 記 、 御 鎭 坐 傳 記 、 御 鎭 座 次 第 記 、 御 鎭 座 本 記 、 倭 姫 命 世 記 の 五 書 に し て 行 基 菩 薩 の 述 作 な り と 稱 す る も 、 外 宮 神 官 度 會 家 の 假 作 な る は 云 ふ ま で も な く 、 其 書 中 神 佛 習 合 の 點 多 し 。 又 當 時 度 曾 行 家 な る も の あ り 、 元 應 二 年 類 聚 神 祇 本 源 十 五 悪 を 著 せ り 、 其 根 據 は 紀 記 二 典 よ り も 舊 事 本 記 を 主 と し 、 天 照 皇 大 神 を 大 日 如 來 、 諾 冊 二 尊 を 天 鼓 昔 雷 佛 、 開 敷 花 王 佛 と 稱 し 、 又 儒 教 を も 加 味 し 、 其 説 大 に 世 に 行 は れ 、 源 親 房 の 元 々 集 、 神 皇 正 統 記 も 之 に傚 ふ 所 多 し 、 降 て 徳 川 時 代 に 及 び 、 度 會 延 良 ( 延 佳 ) 其 子 延 経 、 及 常 影 、 正 身 、 荒 木 田 久 老 等 の 學 者 あ り 、 延 佳 尤 も 著 は る 、 山 崎 闇 齋 の 埀 加 神 道 は 延 佳 に 負 ふ 所 多 し 、 神 道 辮 疑 集 、 復 陽 記 等 の 著 書 あ り 、 神 道 、 佛 教 、 儒 教 、 道 教 の 合 揉 説 多 く 、 高 天 原 を 以 て 高 尚 な る 理 想 界 な り と な せ り 。 2 、 唯一 神 道 名 法 要 集
神 紙 官 四 職 の 一 に ト 部 氏 あ り 、 世 々 吉 田 神 社 の 神 主 た り し を 以 て 、 又 吉 田 家 と も 稱 せ り 、 鎌 倉 時 代 に 當 り 、 兼 方 な る も の 釋 日 本 紀 二 十 入 巻 を 著 し 、 應 仁 の 頃 、 兼 倶 出 で ゝ 、 祖 先 兼 延 の 名 に 託 し て 名 法 要 集 な る 書 を 著 し 、 後 一 條 院 の 御宸 筆 に て 、 其 書 に 唯 一 の 名 を 賜 ふ 、 依 て 唯 一 神 道 と 稱 す 、 其 内 容 よ り し て は 元 本 宗 源 神 道 、 又 氏 所 に 象 り て 、 卜 部 神 道 、 吉 田 神 道 と も 云 ふ 、 其 要 は 、 神 道 は 根 本 な り 、 儒 教 は 枝 葉 な り 、 佛 教 は 華 實 な り 、 故 に 顯 露 の 淺 義 に 依 れ ば 、 佛 は 本 地 、 神 は 埀 迹 と な せど も 、 隠 幽 の 密 義 に 依 れ ば 、 神 を 以 て 本 地 と な し 、 佛 を 以 て 埀 迹 と な す 、 密 に 秘 密 、 隠 密 の 二 義 あ り 、 眞 言 教 の 如 き は 、 秘 密 に し て 尚 淺 く . 神 道 は 隠 密 に し て 極 て 深 し 、 神 道 に は 相 傳 、 傳 授 、 面 授 、 口 訣 の 四 重 あ り 、 又 影 像 、 光 氣 、 向 上 、 底 下 の 四 位 あ り 、 顯 よ り 密 に 至 り 、 密 の 中 に 亦 淺 深 あ り 、 故 に 若 し 其 人 に あ ら ざ れ ば 、 淺 略 の 分 も 傳 ふ べ か ら す 。 と 云 ひ 、 又 其 行 事 に 、 神 道 護 摩 、 宗 源 行 事 、 十 八 神 道 と い ふ こ と あ り 、 之 を 兼 ね 學 ぶ を 三 壇 行 事 と 云 ひ 、 其 唱 る 所 は 、 一 切 の 衆 生 、 六 根 の 色 體 に 迷 ひ 、 三 心 の 元 を を 忘 る ゝ 故 に 、 罪 多 く 實 少 き な り 、 正 し く 其 本 は 色 體 も 神 明 の 分 身 、 心 は 一 神 の 同 根 な り と 云 へ り 。 又 唯 一 の 意 義 に 就 て は 、 唯 一 と は 神 明 の 眞 傳 、 一 氣 周 遍 の 一 法 な り 、 大 職 官 の 仰 に 云 は く 、 吾 唯 一 神 道 は 天 地 を 以 て 籍 と 爲 し 、 日 月 を 以 て 證 明 と 爲 す 、 是 即 ち 純 一 無雜 の 霜 教 な り 、 故 に 儒 釋 道 の 三 教 を 要 す べ か ら 兩 部 神 道 絵 一 一
兩 部 神 道 論 一 二 す 。 又 唯 一 に 二 義 あ り 、 神 道 の 相 承 、 神 事 の 宗 源 を 主 る 相 承 な り 。 國 は 神 國 、 道 は 神 道 、 國 主 は 神 皇 、 天 照 大 神 一 神 の 威 光 、 百 億 の 世 界 に 遍 く 、 一 神 の 附 囑 、 永 く 萬 歳 の 王 道 を 傳 へ 、 天 に 二 日 な く 、 國 に 二 主 な し 、 故 に 日 神 在 天 の 時 、 月 星 光 を 双 へ す 、 唯 一 天 上 の 證 明 是 れ な り 。 猶 前 記 三 壇 行 事 の 他 、 神 道 灌 頂 、 神 道 加 持 、 大 焼 行 事 あ り 、 之 を 切 紙 傳 授 と 名 け 、 密 に 傳 授 す 。 吉 田 家 の 支 流 に 、 吉 川 惟 足 あ り 、 將 軍 家 綱 の 時 、 幕府 の 神 道 方 と な り 、 神 祇 要 篇 を 著 し 、 唯 一 神 道 に 宋 學 を 加 く 、 自 ら 理 學 神 道 と 稱 せ り 。 羅 山 の 神 社 考 に 、 兩 部 習 合 を 評 し て 、 我 が 古 記 の 言 を竊 み て 佛 を 飾 り 神 を 剥 く と 云 ひ 、 又 唯一 神 道 を 評 し て は 兩 部 習 合 の も の を剽 掠 し て 、 以 て 已 の 説 と 爲 す 、 盗 の 人 の 財 を竊 む に 、 主 人 の 子 孫 我 が 財 た る こ と を 知 ら す し て 、 眞 の 盗 に 就 き て 其 の 潤 を 乞 ふ も の な り と 云 へ り 。 3 、 伯 家 神 道
神
道
通
國
辮
義=
神
代
経
緯
貫
義
神 祇 官 の 頭 領 神 祇 伯 王 た る 自 川 家 に て は 、 一 方 に は 時 代 の 趨 勢 に 促 さ れ 、 一 方 に は 其 配 下 な る ト 部 家 の跋扈 す る あ り 、 自 衛 の 必 要 上 、 伯 家 神 道 な る も の を 組 織 し 、 其 學 頭 等 の 手 に 成 れ る 、 神 道 遁 國 辮 義 に は 左 の 如 き 説 が あ り 。 神 道 は 天 地 の 中 氣 循 環 し て 、 萬 物 生 々 化 々 す る の 名 に し て 、 和 漢 竺 は 勿 論 、 四 夷 八 蠻 、 萬 國 一 般 の 大 道 な り 、 天 地 贋 し と 錐 も 、 萬 物 多 し と 錐 も 、 旧 つ も 其 化 に 洩 る こ と な く 、 天 地 も 其 循 に よ ら ざ る 所 な し 、 知 る 者 も 神 道 裏 の 人 、 知 ら の 者 も 神 道 裏 の 人 、 鳥 獣 虫 魚 の 有 情 、 草 木 砂 石 の 非 情 、 皆 其 化 に 出 入 し 、 人 々 其 神 の 分 賦 を 受 け て 、 こ れ を 心 の 臓 に 容 て 魂 と 爲 な が ら 神 の 所 爲 た る こ と を 知 ら ざ る 、 實 に 神 道 の 大 な る 所 な り 。 父 崇 秘 切 紙 傳 に は 神 代 を 理 天 地 、 氣 天 地 、 質 天 地 、 形 天 地 の 四 天 地 に 分 ち 、 理 具 ら ざ れ ば 氣 の 牙 す る こ と な く 氣 交 ら ざ れ ば 質 の 凝 る こ と な く 、 質 積 ら ざ れ ば 形 と な る 能 は ず 、 萬 物 四 天 地 の 具 へ を 洩 る ゝ も の 一 も な く 、 天 地 の 開 く る も 此 理 に て 、 唯 一 の 神 と 云 ふ 活 よ り 天 地 開 く る 理 の 具 は る 所 を 理 天 地 と 云 ひ 、 其 理 天 地 に 座 す 神 を 天 御 中 主 神 、 高 皇 産 靈 神 、 神 皇 産 靈 神 と 云 ひ 、 其 理 天 地 熟 し て 氣 の 牙 す 初 頭 を 國 常 之 尊 ・國狹 槌 尊 ・ 貴斟 淳 尊 と 云 ひ 、 其 氣 交 り て 質 生 す る を 大 日 靈 尊 ・ 月 讃 尊 ・ 素 盛 鳴 尊 と 云 ふ 、 其 質 積 て 形 と な る 、 是邇 々 杵 尊 。 葺 不 合 尊 と 云 ふ 。 兩 部 神 道 論一 三
兩 部 神 道 論 一 四 又 神 代 経 緯 貫 義 に は 理 の 三 才 、 理 神 、 氣 神 、 質 神 、 三 即 一 理 、 二 氣 の 妙 合 等 を 説 き 、 三 才 を 日 月 星 、 海 山 陸 、 君 臣 庶 、 智 仁 勇 、 鏡 玉 劍 、 理 氣 質 等 に 配 合 し て 證 け り 。 附 記 土 御 門 家 は 晴 明 以 來 陰 陽 頭 な る 人 多 く 、 天 文 道 と 以 て 聞 へ 、 神 紙 官 僧 侶 と 齊 し く 祭 祀 所 濤 を 掌 り し が 、 遂 に は 陰 陽 と 相 合 し て 、 土 御 門 神 道 な る も の を 起 せ り 、 此 の 神 道 は 安 倍 家 を 主 と す る 故 、 安 家 神 道 、 又 は 天 社 神 道 と も 云 へ り 、 消 災 求福 の 所 濤 と 爲 す 二 種 の 神 道 に し て 、 霜 教 の 方 式 を 用 ゆ る こ と 多 し 。 4 、 埀 加 神 道
埀
加
文
集=
玉
籔
集
山 崎 闇 齋 は 、 寛 文 時 代 に 於 け る 宋 學 派 の 大 家 な り し が 、 保 科 正 之 の 臣 に し て 、 吉 川 惟 足 の 門 弟 た り し 服 部 春 安 と 論 じ 、 遂 に 神 道 井 に 國 體 に 關 す る 研 究 を 企 て 、 伊 勢 唯 一 兩 神 道 を 窮 め 、 之 に 大 極 陰 陽 五 行 證 を 調 和 し 、 五 部 書 に 神 垂 所 濤 を 以 て 先 と 爲 し 、 冥 加 正 直 を 以 て 本 と 爲 す と あ り し よ り 、 取 b て 以 て 自 ら 埀 加 と 號 し 、 垂 加 神 道 を 唱 道 せ り 、 其 神 道 に 關 す る 著 書 と し て は 、 埀 加 文 集 ・ 土 金 傳 ・ 龍 雲 傳 ・ 風 水 草 ・ 風 水 抄 ・自 徒 抄 ・天 津 神 籬 磐 坂 秘 書 ・ 神 代 國 業 等 あ り 、 其 弟 子 玉 水 葦 齋 の 著 玉籤 集 又埀 加 神 道 の 意 を 述 ぶ 、 闇 齋 は 佛 を 排 し 、 神 儒 の 習 合 を 旨 と せ る も 、 其 所 説 は 佛 理 を 應 用 せ る も の 多 し 、 今 其 大 要 を 記 さ ん に 、 天 地 の 間 一 元 氣 の み 、 而 し て 其 理 活 動 變 化 し 、 流 通 蓮 行 し て 、 自 然 に 妙 用 あ り 、 由 て 之 を 尊 奉 し て 神 と 稱 す 、 理 即 神 に し て 、 理 一 な る が 故 に 神 亦 一 な り 、 而 し て 天 地 間 の 諸 神 は 一 神 の 分 身 同 體 な り 、 其 唯 一 な る も の は 即 ち 絶 對 恒 久 不 變 に し て 、 無 限 の 功 徳 を 備 ふ 、 之 を 國 常 立 尊 と 云 ふ 、 至 善 至 純 に し て 、 造 化 の 元 神 、 國 家 成 立 の 本 源た る よ り し て 國 常 立 と 云 ふ も 、 又 天 地 の 中 間 を 貫 き 、 君 臣 の 體 用 を 合 す る 所 より し て は 、 天 御 中 主 神 と 稱 す 。 更 に 以 下 の 諸 神 を 五 行 に 配 し 、 又 國 常 立 の 國 は 土 、 ,立 は 金 な り と て 、 之 を 土 金 の 教 と 云 ひ 、 五 行 に 由 つ て 諸 神 化 生 の 次 第 を 説 明 し 、 諾 冊 二 尊 よ り 生 れ た る 天 照 大 神 は 、 化 身 の 神 、 人 體 の 神 の 最 初 に し て 、 天 御 中 主 神 の 現 は れ た る 高 神 兩 産 靈 神 と 同 靈 同 體 至 中 至 秀 な り と 爲 し 、 素 尊 以 下 は 軌 れ も 氣 の 偏 向 を 免 れ す し て 、 性 の 善 悪 を 生 す 、 而 し て 萬 物 は 其 外 形 に も 非 常 の 差 あ り 、 氣 質 に も 径 庭 あ り て 次 第 に 醜 汚 に 化 し 去 る 、 本 來 は 神 人 一 に し て 、 人 物 亦 一 た れ ど 、 氣 あ り 質 あ り て 差 と 生 じ 、 直 系 傍 系 主 從 そ れ みぐ 階 級 あ り 、 種 類 あ り 、 左 れ ば 自 然 の 秩 序 と し て 此 分 別 を 固 守 せ ざ る べ か ら す と し て 、 塗 に 國 體 論 及 び 皇 統 神 聖 論 に 達 せ り 。 又 吾 人 は 本 來 神 聖 な る 元 神 よ り 生 じ 、 靈 質 を 有 す る も の な れ ば 、 此 に 省 み 本 に 還 り 、 性 に 復 る べ 兩 部 神 道 論 一 五
兩 部 神 道 論 一 六 し と 云 ひ 、 更 に 居 敬 獨 愼 、 安 坐 巡 行 法 、 潔 齋 所 濤 の 切 要 を 論 じ 、 靈 魂 の 不 滅 、 死 後 靈 魂 歸 着 に 就 て 大 に 説 く 所 あ り 。 後 ち 伊 勢 貞 丈 な る 學 者 あ り 、 神 道 猫 語 な る 書 を 著 し 、 彼 の 吉 見 幸 和 と 齊 し く 伊 勢 唯 一 兩 神 道 を 駁 し 、 埀 加 神 道 を も 附 會 の 説 と 爲 し て 痛 體 を 加 へ た り 。 5 、 神 國决 疑 篇 林 羅 山 の 神 社 考 、 白 井 宗 因 の 神 社 啓 蒙 相 綾 て 世 に 出 で 、 神 佛 習 合 を 考 證 的 に 駁 撃 す る に 當 り 、 佛 教 家 は 徒 ら に 狼 狽 す る の み に し て 、 之 れ が 辮 駁 を 爲 す も の な か り し が 、 伊 勢 の 祠 官 龍 熈 近 は 、 神 國 决 疑 篇 を 著 は し て 、 佛 教 傳 道 の 眞 意 、 神 佛 習 合 の 肝 要 な る を 論 ぜ り 、 此 書 正 面 よ り 神 社 考 、 及 神 社 啓 蒙 を 駁 せ し も の に は 非 ら ざ る も 、 頗 る 佛 教 家 の 珍 重 す る 所 と な り 、 密 教 の 蓮 敞 、 南 禪 寺 の 玄 賢 之 れ に 序 せ り 、 同 書 は 寛 文 の 初 め 起 稿 し 、 延 寳 五 年 に 公刋 し 、 元祿 緑 四 年 に 再 刊 せ り 。 其 要 旨 は 神 道 に は 唯 一 と 兩 部 、 即 ち 宗 源 と 習 合 と あ つ て 、 其 旨 皆 深 遠 な り 、 輕 々 し く 人 の 容 。啄 す べ き も の に あ ら す 、 而 し て か の 考 證 家 の 言 ふ 所 の 如 き 悪 意 は 、 固 よ り 古 代 高 僧 の 抱 か ざ る 所 な り と 辮 ぜ り 。 蓮 敞 の 序 文 に は 古 の 神 道 を 説 く や 、 宗 源 を 專 ら に す る も 、 復 た 佛 法 を 外 に せ ず 、 故 に 佛 法 神 道 互 に 相 輔 翼 し て
道 各 々 流 行 す 、 近 年 局 儒 の 徒 、 強 て 儒 を 推 し て 之 に 附 會 し 、 眞 の 神 道 と 爲 し て 以 て 釋 氏 を 排 し 眞 に 神 道 を 如 れ り と 爲 す 、 蓋 し 神 は 本 朝 祖 宗 不 測 の 聖 、 道 は 埀 訓 道 範 不 刊 の 典 な り 、 虎 威 を 假 て 佛 を 抑 へ 、 儒 を 揚 げ ん と 欲 す る 所 以 な り 、 然 も 世 人 察 す る な く 、 遂 に 天 下滔 々 た る こ と を 致 す 悲 む べ し 、 近 ご ろ 勢 陽 尚 舎 先 生 神 國 决 疑 篇 一 卷 を 著 は し 、 證 を 引 き 義 に 據 り 、 神 と 儒 佛 と の 同 異 を 辮 ず 、 局 儒 の 膏 盲 を 指 し 、 神 道 の 肯 綮 を 示 す 。 若 し 此 編 に 依 て 深 く 理 に 造 る を 得 ば 、 第 に 神 祇 の 趣 を 知 る の み な ら す 、 抑 々 亦 唯 心 の 旨 を 悟 ら ん 、 然 る 所 以 は 維 神 、 維 佛 、 心 性 を 離 れ す 、 即 ち 是 れ 衆 生 固 有 の 眞 如 本 覺 の 應 用 な り 、 故 に 心 淨 な る 時 は 則 ち 神 を 見 、 心 垢 な る 時 は 則 ち 見 ず 、 豈 心 外 に 求 む る 者 な ら ん や 。 玄 賢 の 序 に 曰 く 道 に 古 命 な く 、 教 時 庭 に 随 ふ 、 竺 乾 桑 域 神 佛 化 を 分 ち 、 啻 に 人 民 と し て 善 に 歸 せ し め ん こ と を 要 す 、 甑 盤釵 釧 本 と 是 れ 一 金 、 故 を 以 て 日 ふ 、 諾 佛 救 世 者 大 神 道 に 遊 ぶ と 、 若 し 夫 れ 其 一 如 な る を 知 る と き は 、 則 ち 豈 萬 用 に 神 な ら ざ ら ん や 、 予 往 年 湖 上 瑞 石 に 遊 ぶ の 日 龍 氏 此 編 を 携 へ 來 る 、 此 を 見 れ ば 唯 に 千 古 の 衆 疑 を 折 破 す る の み な ら す 、 復 た 以 て 神 佛 の 一 源 を 洞 視 す る に 足 れ り 、 此 士 世 々 神 職 を 守 り 以 て 佛 意 を 論 す 、 誠 に 嘉 賞 す べ し 云 々 。 6 、 齋 元 神 道 兩 部 神 道 論 一 七
兩 部 神 道 論 一 八
本
津
草
享 保 十 三 年 、 本 津 草 な る 一 書 公 刊 せ ら れ た り 、 著 者 を 人 見 英 積 と 云 ふ 、 書 中 和 異 別 道 圖 と し て 、 神 儒 佛 三 教 習 合 の 跡 を 圖 解 し 、 最 後 に 自 家 の 意 見 を 附 し 、 神 道 の 根 元 を 明 ら か に し 、 聖 徳 太 子 の 三 教 一 致 の 旨 に 復 り 、 神 道 獨 立 の 端 を 發 か ん と せ り 、 今 其 見 解 を 見 る に 未 だ 世 界 と も な ら ざ る 前 の 、 色 形 も な き塲 合 は 、 釋 氏 に 法 身 大 日 、 邪 正 一 如 と い ひ 、 新 儒 虚 靈 と も 、 陰 陽 不 測 と も い ふ 、 一 物 な き 塲 よ り 、 次 に 一 物 生 ず る 所 を 釋 氏 に 報 身 と い ひ 、 金 胎 大 日 と い ふ 、 儒 に 磐 古 と い ふ 吾 朝 に て は 國 常 立 尊 、 陰 と 陽 と 成 る 威 、 い さ な ぎ 、 い さ な み と 成 り 給 ふ 、 世 界 一 物 生 じ て 其 上 に 陰 陽 の 始 に て 、 高 天 原 な れ ば 、 道 と い ふ に は あ ら す 、 地 神 と 人 體 を う け 生 れ 出 て 給 ふ 塲 を 道 と い ふ 、 道 は 地 な ら で は あ る べ き や 、 然 る に 一 物 な き 塲 を 道 と 心 得 、 一 つ に 語 る 、 邪 正 一 如 と い ひ 、 虚 靈 と い ふ 場 は な き に あ ら す 、 此 人 體 を 離 れ て の 沙 汰 な り 、 此 色 形 あ れ ば 今 日 の 上 を 道 と い ふ 也 、 中 庸 に 曰 く 、 道 は 須 央 も 離 る べ か ら す 、 離 る べ き は 道 に あ ら す 、 其 國 々 に 離 れ ざ る を 道 と い ふ 、 異 國 道 は 其 國 の 道 な り 、 我 國 の 道 は 神 教 此 國 に 離 れ ざ る 道 な り 、 異 國 は 氏 系 紛 亂 、 吾 國 ば か り は 天 地 開 闢 已 來 、 神 皇 嫡 胤 、 統 々 と し て 國 主 ま し ま す 、 之 を 齋 元 神 道 と い ふ 、 天 下 に 並 び な き 道 な り 、 是 れ 神 國 の 大 要 な り 、 孟 子 曰 く 臣 始 め て 境 に 至 る に 、 國 の 大 禁 を 問 ふ て 然 し て 後 敢 へ て 入 る と あ り 、 然 る に 新 儒 我 國 の 大 禁 を 問 は ず 孔 孟 の 道に も 合 は す 、 吾 國 に て 儒 を 講 す る は 吾 國 學 を 知 り て 後 ち 講 す べ き 事 な り 。 又 著 者 は 同 書 の 來 歴 を 叙 し て 曰 く 初 め 佛 教 を 信 じ 、 中 こ ろ 儒 敷 を 學 び 、 後 ち 神 道 に 心 を 潜 め 、 山 崎 氏 、 吉 川 氏 、 熊 澤 氏 の 文 字 を 讃 み 、 縛 し て 度 會 延 佳 の 著 書 を繙 き 、 又 藤 浪 時 縄 の 著 書 を 究 め た れ ど 、 何 れ も 一 方 に 偏 す る 所 あ り て 、 未 だ 我 が 敬 神 の 大 道 を 窺 ふ に 足 ら ず 、 然 る に 最 後 に 増 穗 最 中 の 書 を 得 て 漸 く 會 得 す る 所 あ り 、 爲 め に 本 書 を 著 は す 、 要 は 神 儒 佛 三 教 道 と し て孰 れ も 優 り 劣 る 所 な し と 雖 も 、 我 國 に は 固 有 の 大 道 な く ん ば あ ら す 、 こ れ 所 謂 神 道 な り 、 さ れ ば 其 神 道 を 本 と し て 、 道 を 説 く に 儒 釋 を 以 て す る を 可 と す 、 聖 徳 太 子 の 三 教 一 致 は 蓋 し 之 が 爲 め に 出 で た る も の な り 。 因 に 増 穗 最 中 は 、 豊 後 の 國 擧 者 、 其 著 残 口 入 部 書 あ り 。 第 四 、 佛 教 家 の 習 合 説 1 、 天 地 麗 氣 記 天 地 麗 氣 記 は 弘 法 大 師 の 作 と 稱 せ ら れ 、 高 野 山 金 剛 峰 寺 に 傳 へ 、 的 々 傳 授 、 唯 受 一 人 不 可 忽 之 の 秘 書 と す 、 勿 論 大 師 の 作 と は 思 は れ ず 、 後 世 の 假 作 な る べ く 、 羅 山 の 神 社 考 、 吉 川 惟 足 の 惟 一 神 道 發 揚 、 出 口 延 佳 の 伊 勢 神 道 振 興 等 の 機 會 に 遭 遇 し 、 寛 文 十 二 年 九 月 を 以 て 公 刊 せ ら れ た り 、 其 大 日 如 來 即 大 日 靈 尊 、 即 日 輸 等 の 理 論 は 別 と し て 、 具 體 的 に 神 佛 習 合 の 次 第 を 見 る に 、 同 書 開 卷 第 一 に 兩 部 神 道 論 一 九
兩 部 神 道 論 二 〇 曰 く 天 神 七 葉 は 過 去 七 佛 、 輔 じ て 天 一 星 を 呈 す 、 地 神 五 葉 は 現 在 の 四 佛 に舍 那 を 増 加 し 五 佛 と 爲 す 化 し て 地 の 五 行 神 を 成 す 、 十 六 葉 大 神 の 供 奉 は 、 賢 劫 十 六 尊 な り 。 憶 に 昔 因 地 に 在 て 菩 薩 道 を 行 じ 、 時 に 千 を 生 じ 萬 を 生 じ 、 百 葉 に 從 て 百 世 を 重 ね 、 千 千 に 亘 て 國 を 守 る 、 神 坐 し 、 下 に 下 り 、 中 を 守 る 神 は 仁 王 、 神 財 戰 具 、 十 種 玉 神 、 鏡 神 、 本 靈 、 本 覺 、 天 國 璽 、 地 神 印 、 百 寳 、 千 寳 、 百 大 信 祇 、 劫 々 數 、 無 量 、 激 劫 不 變 、 常 侍 三 種 の 神 物 、 餘 量 我 五 世 時 に 互 る 、 是 を 以 て 尊 と 爲 す 、 重 相 並 崇 敬 し 奉 る べ し 、 本 御 靈 は 金 色 如 意 寳 珠 、 淨 菩 提 心 寳 珠 と 爲 す 、 是 國 常 立 尊 心 神 、 本 有 漏 字 御 形 文 な り 、 法 中 大 毘 盧 遮 那 佛 、 此 佛 生 身 所 五 百 執 金 剛 神 左 右 侍 立 、 常 恒 衛 護 云 々 。 以 下 國 狭 槌 尊 を 毘 盧 遮 那 佛 、 豊 斟 淳 尊 を 厘 遮 那 佛 、 泥 土 煮 尊 を 毘 波 戸 如 來 、 沙 土 嚢 尊 を 戸 棄 如 來 大 苫 邊 尊 を 毘 葉 羅 如 來 、 大 戸 道 尊 と 狗 留 孫 如 來 、 面 足 尊 を 狗 那 會 牟 尼 如 來 、 大 富 道 尊 を 釋 迦 牟 尼 如 來 、 恐 根 尊 を 彌 勒 如 來 と し 、 獨 股 大 日 本 州 を 成 す と 云 ひ 、 伊弉 諾 尊 は 金 剛 界 、 俗 體 、 男 形 、 馬 鳴 菩 薩 の 如 く 、 自 馬 に 乗 り 、 手 に 斤 を 持 し 一 切 衆 生 の 善 悪 を 量 る と い ひ 、 伊 弉 冊 尊 は 胎 藏 界 、 俗 體 、 女 形 阿 梨 樹 王 の 如 く 、 荷 葉 に 乗 じ 、 説 法 利 生 は 釋 迦 如 來 の 如 く 、 權 り に 百 千 の 山 川 を 亘 る も 、 實 は 大 日 本 金 剛 寳 山 に 佳 し 、 兩 宮 心 柱 の 上 に 化 座 し 、 周 遍 法 界 の 深 理 を 説 く と 云 ひ 、 側 聞 す 本 在 以 降 二 界 遍
照 如 來 、 幽 契 の 爲 に 産 む 所 の 一 女 三 男 、 一 女 は 天 照 皇 大 神 、 地 神 の 始 め 、 玉 靈 、 靈 鏡 、 大 日 靈 貴 、 瑞 嚴 美 麗 に ま す と 云 ひ 、 伊 弉 諾 、 伊 弉 冊 二 神 尊 、 左 手 金 鏡 を 持 じ 陰 生 じ 、 右 手 銀 鏡 を 持 し 陽 生 ず 、 名 け て 日 天 子 月 天 子 と 日 ふ 、 是 一 切 衆 生 の 眼 目 な り 。 次 に 又 天 忍 穗 耳 尊 以 下 を 述 べ 、 神 代 十 種 の 神 寳 を 論 じ 、 オ ノ コ ロ 島 等 の 習 合 を 試 み 、 天 孫 降 臨 の 秘 義 を 示 し 、 百 七 十 九 萬 二 千 四 百 七 十 六 歳 を 數 へ た る 等 、 附 會 の 義 頗 る 多 し 。 又 天 照 大 神 鎭 座 次 第 に 就 て は 、 天 照 皇 大 神 は 大 悲 胎 藏 界 、 入 葉 中 台 五 佛 云 々 と 述 べ 、 外 宮 豊 受 大 神 を 金 剛 界 成 身 會 云 々 と 叙 し 、 大 毘 盧 遮 那 佛 、 遍 照 金 剛 、 神 號 天 御 中 主 尊 、 水 珠 所 成 云 々 と 云 へ り 之 れ 伊 勢 神 道 外 宮 側 に 左 袒 せ る も の な り 。 此 の 他 諸 神 と 諸 佛 と 習 合 し 、 古 來 の 神 道 家 が 佛 教 を 汚 穢 な り と せ る 僻 見 を 排 し 、 佛 教 不 入 の 伊 勢 神 地 に も 遂 に 神 宮 寺 を 建 つ る の 習 合 を 馴 致 し 、 社 家 祠 官 は 全 た く 半 僧 半 巫 た る に 至 ら し め た る は 、 兩 部 神 道 の 成 功 な り と す 。 次 に 神 官 僧 侶 の 習 合 を も 論 じ 、 法 は 即 ち 神 、 神 は 則 ち 法 、 法 は 則 ち 僧 、 僧 は 則 ち 佛 、 佛 則 ち 人 、 人 は 則 ち 神 、 神 は 則 ち 通 、 通 は 則 ち 利 益 な り 、 利 益 と は 一 切 の 萬 像 即 佛 身 な り 、 佛 身 は 則 ち 獨 古 、 獨 古 は 則 ち 心 柱 、 心 柱 は 即 ち 一 切 衆 生 の 身 量 な り 、 亦 心 の 御 柱 と は 大 日 本 國 開 闢 獨 古 金 剛 國 璽 の 境 柱 、 水 尾 中 津 國 の 心 の 御 柱 、 天 地 和 合 の 本 體 、 生 死 自 在 の 本 妙 像 、 十 方 如 來 、 三 昧 耶 形 、 一 切 衆 生 兩 部 神 道 論 二 一
兩 部 神 道 論 二 二 の 心 神 珠 、 心 を 以 て 主 と 爲 す 、 ま は 即 ち 神 主 、 神 主 は 神 明 應 化 の 故 に 、 神 宮 の 社 司 等 は 精 進 を 先 と 爲 し 尊 神 に 供 し 奉 り 、 穢 悪 を 交 ふ る こ と な か れ 、 清 淨 は 即 ち 諸 佛 の 本 道 な り 云 々 と 述 べ 、 又 一 切 衆 生 、 本 來 薩捶 、 凡 聖 皆 是 神 體 な り 云 々 。 要 す る に 密 教 の 神 佛 習 合 は 、 他 の そ れ の 如 く 本 地埀 迹 を 峻 別 せ ず 、 從 つ て 尊 卑 の 觀 念 を 抱 か し め す し て 、 神 即 佛 、 佛 即 神 、 同 物 異 名 と せ し 點 に 於 て 、 實 際 上 融 混 の 實 を 擧 げ 得 た る も の な り と す 。 2 、 山 王 一 實 神 道 原 山 王 二 實 神 道 原 は 、 近 世 の 初 め に 於 て 天 台 宗 の 手 に 依 て 成 れ り 、 元 來 天 台 宗 は 傑 僧 天 海 が 徳 川 幕 府 と 結 托 し て 、 東 叡 山 を 創 立 す る の 勢 威 を 振 ひ た る 程 な れ ば 、 神 佛 習 合 の 説 は 傳 教 以 來 實 行 せ し と 雖 も 、 未 だ 著 書 と し て 公 刊 せ ら れ し も の な か り し に 、 天 地 麗 氣 記 の 再 刊 、 大 成 経 、 神 教 縄 宗 徳 輕 出 で 、 羅 山 の 神 社 考 等 出 つ る に 至 り 、 台 宗 も 其 自 衛 上 よ り 山 王 一 實 の 旨 を 明 ら か に す べ く 、 此 書 を 出 す に 至 れ る な り 。 書 中 大 成 経 宗 徳 経 を 引 用 せ る 所 あ る を 見 れ ば 、 其 出 世 年 月 の 遅 は 明 ら か な り 、 既 に 公 刊 は 後 れ た る も 、 其 記 す る 所 は 古 代 季 安 朝 に 於 け る 政 教 相 關 の 眞 相 を 詳 ら か に せ る も の あ れ ば 神 佛 習 合 の 歴 吏 的 事 實 と 天 台 法 華 に 於 け る 習 合 の 原 理 を 窺 ひ 知 る べ き も の な り と す 。 同 書 に は 先 づ 山 王 の 字 義 よ り 説 き 起 し 、 三 諦 一 境 の 稱 、 三 と 雖 も 而 か 一 、 斯 を 極 理 と 爲 す 、 乃 ち 一 實 の 謂 な り と て 、 三 諦 論 を 布 術 し 、 又 歴 史 的 に 桓 武 の 古 を 述 べ 、 叡 山 と 王 城 と の 關 係 に 及 び 、 山
王 、 山 城 の 名 詞 を 引 き 、 更 に 天 海 と 家 康 と の 深 交 を 證 し 、 武 城 を 築 き 一 實 を 傳 へ 、 艮 山 に 東 叡 を 創 め し 因 縁 を 説 き 、 一 實 神 道 を 以 て 家 康 を 日 光 山 に 殯 葬 せ る の 事 實 を 擧 げ 、 惟 一 神 道 や 儒 敷 と 一 實 神 道 と の 爭 議 に 於 て 、 天 海 が 全 勝 を 占 め し 事 を 詳 か に せ り 。 同 書 は 更 に 進 ん で 、 山 王 一 實 の 現 世 利 益 を 説 き 夫 れ 即 、 空 假 中 、 竪 に 異 な り 横 に 別 な る 猶 ほ 權 激 に 屬 す 、 三 即 是 一 實 な る 是 を 法 華 と 爲 す 云 々 則 ち 皆 以 て 神 體 を 健 に し 神 壽 を 増 し 神 力 を 添 へ ざ る な し 云 々 。 一 實 の 法 門 興 隆 す る 時 は 、 即 ち 神 威 熾 盛 自 在 な り 、 神 威 熾 盛 自 在 な れ ば 、 即 ち 子 孫 を 擁 護 し 、 邦 家 を 鎭 撫 し 云 々 。 又 山 王 一 實 の 深 趣 を 示 し て 、 城 は 三 諦 、 山 は 三 觀 、 神 は 三 行 、 三 行 を 成 す る は 外 護 崇 奉 の 仁 な り 云 々 と て 、 聖 徳 太 子 の 三 教 一 致 に 徴 ひ て 、 儒 教 を も 攝 牧 し 、 此 の 一 山 一 實 に眞 誠 な る 此 こ そ 神 な り 此 に 自 在 な る 此 れ こ そ 道 な り と い へ り 。 次 に 又 法 華 経 の 諸 佛 の 世 に 出 つ る 唯 此 の 一 事 實 云 々 の 語 を 引 き 來 た り て 、 一 實 の 旨 を 證 明 し 、 又 密 部 の 蘇 悉 地 経 を 引 き て 神 の 解 釋 を 加 へ た り 、 即 ち 神 と は 乃 聖 乃 神乃 武 乃 文 を 謂 ふ 、 又 幽 明 不 測 之 を 神 と 謂 ふ な り 、 又 神 は 精 靈 の 妙 な り 、 細 に 之 を 云 へ ば 則 ち 天 神 を 神 と 日 ひ 、 地 神 を 祇 と 日 ふ 、 人 神 を 鬼 と 日 ひ 、 是 れ 百 物 之 精 な り 、 又 天 神 は 五 類 諸 天 な り 、 五 類 と は 上 界 四 天 、 住 虚 空 四 天 、 遊 虚 空 四 天 、 地 居 有 四 天 、 居 地 底 四 天 な り 兩 部 神 道 論 二 三
兩 部 神 道 論 二 四 一 一 の 類 に 四 天 あ り 、 総 て 二 十 拜 後 復 五 類 あ り 、 是 の 如 き 等 の 類 總 て 天 神 と 爲 す 、 又 二 切 諸 佛 菩 薩 聲 聞 縁 覺 等 を 以 て 天 神 と 爲 す 、 皆 悉 く 是 れ 聖 、 成 共 に 尊 き 故 に 次 に 山 王 の 三 體 を 以 て 釋 迦 、 彌 陀 、 藥 師 の 三 尊 に 配 し 、 此 等 諸 佛 の 誘 引 に 依 り 、 世 俗 直 に 利 益 を 蒙 む る 旨 を 述 べ 、 終 り に 羅 山 の 神 社 考 を 駁 し て 神 社 考 に 云 は く 、 傳 教 釋 に 云 ふ 、 天 地 開 初 、 三 翰 神 現 る 、 三 輪 は 身 口 意 三 業 な り 、 心 正 し き と き は 則 ち 三 業 自 ら 正 し 、 所 謂 三 輪 清 淨 な り と 、 余 案 す る に 三 輪 は 山 の 名 、 未 だ 尊 て 身 口 意 の 説 あ ら ず 、 彼 れ 淨 屠 氏 附 會 し て 言 を 爲 す 。 議 し て 曰 く 、 山 名 自 ら 是 れ 三 輪 の 義 、 故 に 義 を 以 て 三 業 と 爲 し 、 以 て 其 教 を 啓 く 、 神 道 の 旨 豈 に 心 正 し き と き は 則 ち 三 業 自 ら 正 し き の 義 に 過 ぎ ん や 、 誰 れ か 云 ふ 神 代 已 に 身 日 意 の 説 あ り と 其 説 な し と 雖 も 而 か も 其 事 あ り 、 豈 身 口 意 を 以 て 之 を 釋 す る を 妨 げ ん や 、 天 山 海 心 身 本 と 實 相 と 相 違 せ す 、 固 儒 焉 ぞ 之 を 知 ら ん 、 宜 な り 其 之 を毀 る や 其 説 な き も 其 事 存 せ り と は 妙 な り と 云 ふ べ し 。 當 時 即 ち 慶 安 三 年 に 顯 は れ し 三 社 託 宣略 鈔 な る 小 著 あ り 、 天 照 皇 太 神 宮 、 謀 計 眼 前 の 爲 な り と 雖 も 、 利 潤 必 す 神 明 の 署 に 當 る 正 直 は 一 旦 に 非 な り と 雖 も 、 依 枯 終 に 日 月 の 憐 を 蒙 る 、 入 幡 大 菩 薩 、 鐵 九 を 食 ふ と 雖 も 、 心 穢 の 人 物 を 受 け ず 、 銅 焔 上 に 座 す と 雖 も 身 濁 人 の 處 に 到 ら ず 、 春 日 大 明 神 、
千 日 の 注 連 を 曳 く と 雖 も 、 邪 見 の 家 に 到 ら ず 、 重 服 深 厚 た り と 雖 も 慈 悲 の 室 に 赴 く 。べ し と 爲 し て 、 代 々 唯 一 、 兩 部 に よ り て 遺 さ れ た る 神 社 託 宣 の 縁 起 と 擧 げ 、 一 々 傳 説 の 來 歴 を 掲 げ た る 、 極 め て 率 直 の も の な り 、 蓋 し 當 時 の 社 會 は 之 を 尊 信 す る 程 度 の も の な り し な ら ん か 。 3 、 法 華 神 道 秘 訣 法 華 神 道 秘 訣 は 日 蓮 宗 の 神 佛 習 合 書 に し て 、 其 根 本 義 は 法 華 経 に 據 れ り 、 同 書 の 末 尾 に 書 し て 曰 く 右 此 抄 は 、 常 家 神 道 の 一 大 事 、 深 秘 口 傳 、 共 に 書 載 し 給 ふ 、 口 外 す べ か ら す 、 神 天 上 の 法 門 之 に 過 ぐ 可 ら す 、 一 大 傳 受 口 傳く 、 深 秘く矣 、 永 腺 十 三 庚 午 六 月 十 九 日 之 を 書 し 畢 ぬ 、 沙 門 日 歡 判 永 緑 十 三 年 は 織 田 僧 長 の 旗 を 京 畿 に 樹 て し 年 な り 、 今 同 書 の 要 旨 を 見 る に 此 宗 に 於 て 末 法 立 行 の 導 師 上 行 菩 薩 、 塔 中 に 於 て 別 付 囑 を 受 け て よ り 以 來 、 後 五 百 歳 の 悪 世 に 出 現 し て 、 三 説 超過 の 妙 経 に 依 り 、 諸 宗 分 絶 の 法 華 脛 を 建 つ 、 所 立 の 法 門 に 宗 旨 宗 教 折 伏 彼 他 こ れ 多 し 、 就 中 , 神 天 上 の 洪 門 一 箇 の 重 事 也 、 得 意 に 付 て 道 理 、 文 證 、 現 證 の 三 こ れ あ り 。 道 理 の 事 は 先 づ 神 に 於 て 多種 あ り と 雖 も 、 大 綱 三 種 の 神 を 立 つ 、 佛 家 の 佛 に 於 て 三 身 を 立 つ る が 如 し 。 兩 部 神 道 論 二 五
兩 部 神 道 論 二 六 一 、 法 性 神 と は 法 性 こ い ふ を 、 天 台 は 法 性 寂 然と 釋 せ り 、 檀 那 流 に は 是 に 佛 の 一 字 を 加 へ て 佛 法 性 と 云 ふ 也 , 恵 心 流 に は 、 ノ リ タ ネ と も ナ リ ク セ と も 秘 點 を 讃 ん で 其 義 を 成 す 也 、 仍 て 此 法 性 の 神 は 萬 法 の 精 靈 、 恒 遍 法 界 、 神 變 不 思 議 に し て 、 去 來 を 論 せ ず 、 依 正 巳 に 本 法 天 然 の 神 也 、 経 に 云 ふ 、 如 來 秘 霜 神 通 之 力 云 々 、 天 台 に 云 ふ 、 神 者 天 然 不 測 云 々 。 妙 樂 云 ふ 、 神 者 周 遍 法 界 之 理 云 々 。 二 、 有 覺 神 と は 此 に は 大 悲 覺 靈 神 と い ふ 、 陰 陽 機 に 随 ひ 、 利 生 時 に 應 じ 、 權 現 出 没 の 大 明 神 な り 、 是 れ 即 ち 上 の 法 性 神 の 理 を 衆 生 に 示 さ ん 爲 め に . 垂 迹 示 現 す る 時 、 本 地 は 三 身 満 徳 の 佛 或 は 等 覺 法 身 の 菩 薩 、 内 證 三 明 の 光 を 和 ら げ 、 同 居 の 四 佳 の 塵 に 交 る 云 々 、 一 月 萬 影 の 利 益 、 和 光 利 物 の 神 明 な り 。 三 、 邪 横 神 と は 是 を ば 實 迷 悪 靈 神 と 云 ふ 、 是 れ 即 ち 利 物 の 慈 悲 も 無 し 、 還 て 濟 度 の 方 便 を 暗 ま す 本 來 迷 妄 の 人 、 或 は 蛇 鳥 石 木 等 の 悪 靈 の 少 し の 崇 り を 成 す を 神 に 祝 ひ だ る 悪 鬼 魔 賊 の 邪 神 是 な り 。 又 本 地 の 事 に 付 て は 左 の 如 く 云 へ り 諸 神 の 本 地 を 釋 迦 と 爲 す 事 、 一 書 に 云 ふ 、 行 基 菩 薩 、 天 宮 と 靈 山 と 一 線 の 道 を 分 っ て 、 互 に 佛 神 の 賓 主 と 爲 る 云 々 、 凡 そ 愚 の 前 に は 神 と 現 す 、 結 縁 の 始 め な り 、 覺 の 前 に は 佛 と 顯 は る 、 成
佛 の 終 な り 、 元 よ り 一 如 法 界 也 、 但 し 迷 と 悟 と の 差 別 に 依 て 佛 神 と 相 分 か る ゝ こ と 、 譬 へ ば 水 波 の 隔 て の 如 き な り 、 さ れ ば 賎 し き 人 は 其 本 地 を 顯 は さ ば 歎 き 、 貴 き 神 は 彼 の 本 地 を 顯 し 奉 れ ば 喜 び 玉 ふ な り 、 神 明 に は 再 拜 と 成 し 社 を ば 二 度 禮 し 向 く べ し 、 本 地 埀 迹 思 ひ 分 け つ ゝ 、 新 勅 撰 に 、 八 百 萬 神 の め ぐ み も 、 ま こ と に は 三 世 の 佛 の ち か ひ な り け り 云 々 。 猶 同 書 に は 進 ん で 國 體 論 、 諸 宗 破 斥 論 、 諸 神 僧 仰 論 即 ち 神 天 上 證 、 三 十 番 神 説 、 兩 部 、 山 王 の 事 等 を 論 じ 居 れ り 。 4 、 先 代 舊 事 大 成 経 伊 勢 國 度 會 郡 五 十 鈴 の 川 上 に し て 志 摩 に 屬 す る 内 宮 の 上 流 に 、 伊雜 宮 あ り 、 其 神 社 に は 古 來 舊 記 を 秘 藏 す と の 傳 説 あ り 、茲 に 於 て か 神 主 永 野 采 女 は 、 上 州 舘 林 廣 濟 寺 の 潮 音 法 師 と 相 謀 り 、 舊 記 を 加 筆 し て 、 全 部 七 十 二 卷 拜 に 二 社 三 宮 圖 を 添 へ て 大 成 し 、 之 を舊 事 大 戒 経 と 名 づ け 、 聖 徳 太 子 の 眞 本 な り と し て 、 寛 文 の 初 め に 刊 行 公 表 せ り 。 此 の 書 に 依 れ ば 、 内 宮 は 瓊 々 杵 尊 、 外 宮 は 月 讀 尊 、 伊 離 宮 こ そ 實 に 天 照 大 神 の 本 宮 な り と 稱 し 、 依 つ て 以 て 内 外 兩 宮 を 塵 し 、 其 本 家 株 を 奪 は ん と せ り 。 姦 に 於 て か 兩 宮 卒 先 し て 、 其僞 作 な る こ と を 公 武 に 訴 へ 、 外 宮 の 度 會 家 又 考 證 的 に 大 に 之 を 駁 す 天 和 元 年 幕 府 永 野 神 主 、 潮 音 を 流 刑 に 處 し 、 刊 本 を 焼 き 、 開 板 者 を 追 放 す 、 尤 も 潮 音 は 名 高 き 襌 僧 兩 部 神 道 論 二 七
兩 部 神 道 論 二 八 に し て 、 將 軍 母 公 の 歸 依 篤 か り し 爲 め 、 刑 を 宥 さ れ 黒 瀧 山 に 轉 住 せ ら れ た り 。 大 成 経 は 斯 く の 如 く 、 御 家 騒 動 的 の 謀 反 に 依 つ て 巧 ま れ た る も の な る が 、 其 内 容 は 全 た く 神 佛 習 會 の 説 に し て 、 其 陰 陽 本 記 の 中 に は 月 夜 見 尊 大 神 亦 月 遍 照 尊 と 名 つ く と 云 ひ 、 又 日 神 月 神 を 誕 す る の 時 、 天 祖 詔 令 す 、 乃 ち 天 八 瀬 河 に 在 す 二 龍 云 々 。 又 地 祇 本 記 中 に も 、 神 佛 幌 合 の 説 多 く 、 天 孫 本 記 に は 是 れ 灌 頂 の 神 事 、 其 法 の 元 也 と か 、 此 神 は 庶 生 の 種 果 よ り 登 し 來 れ る 無 極 際 神 と か 、 這 の 二 水 を 合 し て 兜 の 尊 頂 に 灌 ぐ と か 、 水 灌 の 法 巳 に 遂 げ た り と か 。 又 浮 き 來 れ る 樟 木 を 揚 げ て 、 佛 像 を 刻 め る 記 事 に 浮 木 は 天 木 也 、 異 物 に 中 ら す 、 當 さ に 佛 像 を 作 す べ し 、 國 中 の 疫 氣 年 に 中 て 速 か に 止 ま ん 。 西 極 、 天 に 近 き 國 に 海 中 の 神 あ り 、 眞 人 に し て 生 れ た り 、 能 く 皇 天 に 代 て 機 に 隨 て 訓 教 す 、 來 る べ き 時 至 り て 彼 の 詞 今 來 れ り 、 自 今 以 後 吾 れ 託 宣 を 停 め て . 其 眞 聖 大 道 の 妙 詞 に 隨 は ん 。 5 、 神 教 経 、 宗 徳 經 延 寳 年 間 、 神 教 経 、 宗 徳 経 な る も の 世 に 現 は れ た り 、 此 は 久 し く 埋 没 し た る 古 書 に し て 、 聖 徳 太 子 の 御 撰 、 奏 河 勝 の 註 繹 と 稱 し 、 其 細 註 た る 神 経 経 箋 、 宗 徳 経 箋 な る も の が 、 僧 偏 無 爲 な る も の に
依 つ て 著 は さ る 、 此 れ 大 成 經 の 失 敗 に 終 り し よ り 幾 も な ら ざ る 事 な り 。 此 書 は 儒 教 の 言 を 籍 り て 佛 理 を 述 べ 、 儒 佛 の 理 即 ち 神 道 な り と 云 ふ に 在 り て 、 理 氣 、 體 用 、 理 の 相 も 氣 の 性 等 云 ふ 語 多 く 、 外 宮 の 五 部 書 、 唯 一 神 道 の 天 元 神 變 神 妙 經 、 地 元 神 通 神 妙 經 、 人 元 神 力 神 妙 經 に 彷 彿 た る も の あ り 、 葢 し 近 世 初 代 の 作 な る べ し 。 神 教 經 第 三 に 宗 源 を 述 べ て 曰 く 宗 源 道 と は 、 盡 る な き の 靈 物 、 窮 り な き の 藏 物 、 法 極 て 物 を 斷 じ 、 満 れ ば 元 物 を 動 か す 、 現 る れ ば 物 を 形 く る 、 皆 是 れ 内 物 、 一 物 而 巳 、 然 し て 外 物 を 成 し 、 世 物 を 生 す る 也 。 中 に 於 て 一 物 あ り 、 靈 な く し て 而 か も 虚 物 、 色 を 絶 ち 音 を 絶 ち 、 絶 々 似 る あ り 、 還 て 衆 雲 を 領 し 、 一 切 を 建 立 す 。 其 一 物 の 名 は 、 眞 縁 冥 生 、 幽 易 玄 極 、 妙 定 品 々 、 分 五 只 一 、 是 外 物 幾 物 、 而 て 更 に 萬 物 と 爲 る 其 感 、 活 、 靈 、 験 、 妙 其 恵 、 覺 、 克 、 敬 、 眞 其 起 、 化 、 政 、 因 、 常 其 生 、 暖 、 肺 、 沍 、 濡 其 見 、 聞 、 鼻 、 味 、 染 兩 部 神 道 論 二 九
兩 部 神 道 論 三 〇 其 五 者 、 互 に 別 あ り 、 天 地 、 神 、 人 、 物 あ り 、 皆 五 者 の 爲 す 所 。 又 宗 徳 經 第 一 に 五 鎭 を 説 て 曰 く 天 祖 道 と は 是 れ 神 籬 を 建 て 、 磐 坂 を 建 つ る 也 其 神 籬 を 建 て 磐 坂 を 建 つ る は 、 神 の 邪 を 祓 ひ 、 神 の 正 を 住 す る な り 。 神 の 道 を 正 す は 、 只 だ 心 を 修 む る に 在 り 心 を 修 む る の 道 は 、 理 を 明 ら か に す る に 在 り 理 を 明 ら か に す る の 道 は 、 氣 を 養 ふ に 在 り 氣 を 養 ふ の 蓮 は 境 を 貞 す に 在 り 境 貞 を 得 れ ば 則 ち 氣 悖 ら す 氣 悖 ら ざ れ ば 則 ち 理 紛 は す 理 紛 は ざ れ ば 則 ち 心 迷 は す 心 迷 は さ れ ば 則 ち 神 正 を 得 神 正 を 得 れ ば 則 ち 邪 僻 を 解 て 、 神 籬 建 ち 、 磐 坂 建 つ 、 已 に し て 天 孫 、 徳 之 れ 成 立 し 、 祚 立 ち 、 治 立 ち 、 貢 立 つ の み 、 臣 庶 徳 立 ち 身 立 ち 、 家 立 ち 、 官 立 ち 、 財 立 ち 、 是 れ あ る の み 、 國 家 五 中 に 於 て 立 つ て 而 し て 績 く 、 則 ち 人 の 績 く を 得
道 は 世 界 の 本 を 成 す 、 之 れ を 世 界 要 道 と 謂 ふ 6 、 神 社 考 及 啓 蒙 の 辨 疑 神 社 考 及 神 社 啓 蒙 の 二 書 世 に 出 で ゝ 、 神 佛 習 合 を 駁 し 、 佛 教 界 を 驚 倒 せ し め し よ り 六 十 餘 年 、 正 徳 六 年 春 に 至 つ て 、 京 都 、 江 戸 の 兩 書 林 よ り 、 神 社 考 辨 疑 、 神 社 啓 蒙 辨 疑 な る 書 は 刊 行 せ ら れ た り 其 著 者 は 佛 家 雲 石 堂 寂 本 に し て 、 其 論 旨 は 水 掛 論 多 く 亦 往 々 罵 署 を 恣 に し て 、 不 親 切 な る 鮎 あ る も 神 社 考 辨 疑 中 に 左 の 一 節 あ り 、 佛 者 の 言 と し て は 正 に 然 る べ き か 。 惟 み れ ば 本 朝 神 代 よ り 人 代 に 及 ぶ 荒 洪 尚 し 、 域 東 海 に 絶 し 俗 異 道 な し 、 神 異 靈 妙 に 、 人 代 淳 粛 な り 、 應 神 天 皇 の 馭 高 に 至 て 、 百 濟 よ り 儒 教 來 り 、 本 朝 初 め て 異 國 の 風 を 聞 き 、 此 に 仁 義 の 名 を 知 る 、 爾 後 三 百 除 年 を 經 、 欽 明 天 皇 の 時 、 百 濟 佛 像 經 論 を 貢 す 、 此 の 時 物 尾 輿 、 中 鎌 子 が 如 き 者 の 愚 執 に し て 相 怪 み 、 之 を 拒 む 事 あ り し と 錐 も 、 蘇 稻 目 に 賜 ふ て 之 を 奉 す 、 遂 に 豊 聰 王 子 大 に 興 り て 國 界 風 に 嚮 ふ 、 夫 れ 治 病 の 藥 は 邑 中 の 産 に あ ら す 、 希 世 の 珍 は 異 遠 の 國 に 出 づ 、 物 異 域 に 生 じ て 利 失 せ す 、 道 殊 方 に 出 で ゝ 化 隔 て な し 、 聖 道 無 方 、 神 化 無 外 な り 、 何 ぞ 夫 れ 西 天 東 域 法 俗 の 異 を 言 は ん や 、 若 し 異 域 の 教 を 嫌 は ゞ 即 ち 仁 義 の 教 本 朝 に 行 ふ べ か ら す 、 然 も 儒 先 に 來 て 本 朝 を 變 す 、 何 ぞ 其 れ 自 ら 慮 ら ざ る や 、 本 朝 眞 化 以 來 世 々 王 公 郷 士 心 を 傾 け 之 を 遵 奉 し 金 刹 玉 盤 櫛 の 如 く 峙 ち 、 國 家 を 鎭 押 し 、 天 災 を 撃 ち 人 過 を 消 す 、 人 情 僞 を 蕩 か し 尤 も 福 田 と 仰 兩 部 神 道 論 三一
兩 部 神 道 論 三 二 ぐ 天 下 の 大 平 、 萬 民 の 淳 化 豈 に 此 に 在 ら す や 、 本 朝 古 よ り 異 域 相 襲 ふ こ と 能 は す 、 若 し 間 々 、 臣 士 の 勢 を 争 ふ こ と あ り と 錐 も , 尚 ほ 王 者 を 奉 じ て 其 位 を 奪 ふ こ と を 爲 さ す 、 萬 民 移 ら す 堵 を 安 ん す 、 王 道 の 至 治 に 屬 す る 所 以 な り 、 且 つ 神 道 に 於 け る や 此 編 に 載 し て よ り 神 杜 居 多 の 中 、 佛 に 與 ら ざ る 者 鮮 か ら す と せ す 、 高 む る に 本 を 以 て し 、 増 す に 徳 を 以 て す 、 愈 々 盛 に 愈 々 顯 は る 、 天 下 神 社 の 盛 な る 、 其 佛 法 未 だ 來 ら ざ る 以 前 と 軌 與 そ や 、 何 ぞ 其 れ 佛 法 に 由 て 、 道 漸 く 廢 す と 云 は ん や 云 々 。 此 の 他 諾 冊 二 尊 の 梵 語 論 、 沙 門 伊 勢 に 入 る を 得 ざ る 理 由 の 辨 、 本 地 乗 迩 の 辨 等 あ る も 、 別 に 卓 見 と し て 攀 ぐ べ き も の な く 、 例 の 佛 者 流 の 廣 漠 た る 獨 斷 に 過 ぎ ざ る な り 。 7 、 兩 部 神 道 口 訣 鈔 兩 部 神 道 口 訣 鈔 は 、 源 慶 安 の 著 に し て 、 正 徳 六 年 の 登 刊 な り 、 慶 安 は 始 め 儒 門 に 入 り 、 又 歌 學 を 究 め 、 兩 部 二 圖 の 古 書 を 授 か り た り と 云 ふ 、 其 古 圖 と は 空 海 一 貫 目 之 圃 と 稱 す る も の に し て 、 天 地 麗 氣 記 と 其 意 異 な る な き も 一 層 詳 密 に 神 佛 習 合 の 理 を 現 は せ り 、 又 天 文 口 訣 圖 あ り 、 地 動 説 を 唱 へ 居 れ り 、 口 訣 鈔 中 の 肝 心 な る 兩 部 名 義 の 細 解 に 曰 く 、 兩 部 稱 號 の 事 、 宗 派 に 依 て 所 謂 金 剛 界 胎 藏 界 よ り 建 立 す る 所 の 神 道 た る に 因 て 、 金 胎 を 以 て 兩 部 の 名 を 得 と 、 稱 號 空 海 以 來 と 難 も 、 本 と 聖 徳 太 子 兼 學 兼 用 の 神 道 也 、 故 に 勅 號 の 意 は 神 道 佛
道 の 兩 部 な り 、 中 古 儒 門 の 輩 、 神 道 儒 道 一 致 と 爲 し て 、 唯 一 神 道 と 號 す 、 其 所 謂 兩 部 神 道 と 少 同 に し て 大 異 な り 、 天 地 未 だ 剖 れ ざ る の 時 含 む 所 の 芽 、 神 と 化 る 、 國 常 立 尊 と 號 す と 、 此 を 以 て 唯 一 儒 門 の 沙 汰 す る 所 は 、 國 常 立 尊 は こ れ 無 名 の 名 、 無 状 の 状 也 、 天 に 在 て は 天 氣 の 元 、 地 に 在 て は 一 靈 の 元 、 人 に 在 て は 性 命 の 元 、 故 に 大 元 尊 神 と 名 つ く と 、 又 云 く 無 量 無 邊 無 始 無 終 不 變 常 住 の 神 代 な り と 、 又 云 く 、 一 念 起 ら ざ る 所 國 常 立 尊 也 と 、 右 に 云 ふ 少 同 大 異 と は 、 芽 を 含 む の 國 常 立 尊 を 以 て 本 覺 本 分 の 無 念 無 名 と 一 致 に し て 無 差 別 也 、 不 生 不 滅 無 念 無 名 の 地 に 二 義 あ り 、 一 に は 九 識 庵 摩 羅 、 十 識 乾 栗 陀 耶 、 本 覺 本 分 、 詞 を 以 て 假 り に 之 を 謂 ふ と き は 即 ち 不 生 不 滅 無 色 無 名 、 眞 空 實 有 、 實 相 無 相 也 、 眞 如 界 法 身 地 、 高 天 原 等 皆 是 此 別 名 也 、 二 に は 眞 空 眞 有 の 故 に 忽 然 變 じ て 含 む 所 の 芽 と 成 る 、 萬 物 生 せ ん と す る の 地 、 即 ち 元 氣 の 元 、 一 靈 の 元 、 性 命 の 元 也 、 此 を 以 て 儒 教 に 所 謂 無 極 に して 大 極 , 繹 教 に 所 謂 阿 羅 耶 の 八 識 、 神 道 に 所 謂 國 常 立 尊 、 亦 太 元 尊 神 と 號 す 、 此 地 に 於 て も 等 し く 無 色 無 形 無 相 無 名 一 念 不 起 な り 、 唯 一 儒 門 は 九 識 十 識 本 覺 法 身 地 を 知 ら す 、 無 極 に し て 芽 を 含 む 八 識 阿 頼 耶 の 無 念 無 相 を 以 て 太 元 と 爲 し 、 人 死 し て 元 氣 の 元 に 歸 る 、 故 に 無 始 無 終 不 變 常 住 の 神 代 な り と い ふ 、 未 だ 知 ら す 、 八 識 太 元 尊 神 な る 者 は 、 眞 如 の 變 動 一 世 界 を 始 め 、 流 轉 の 初 發 な る こ と を 、 何 と な れ ば 太 元 尊 神 は 眞 如 性 な り 、 人 皆 此 を 稟 け て 生 す 、 是 れ 則 ち 靈 性 な り 、 眞 心 な り 、 主 人 公 な り 、 尊 眞 の 清 水 二 な し と 錐 兩 部 神 道 論 三 三
兩 部 神 道 論 三 四 も 、 稟 る 所 の 器 は 清 濁 善 悪 の 異 あ る に 因 て 、 人 々 齊 し き こ と 能 は す 、 智 愚 善 悪 各 別 な り 、 聖 智 者 は 其 本 源 を 悟 つ て 應 さ に 其 本 に 歸 る べ き な り 、 凡 愚 者 は 諸 有 に 隨 縁 し て 方 法 に 執 着 し て 、 尊 神 の 眞 心 と 妄 相 と 和 合 し て 他 生 を 生 じ 、 一 世 界 を 現 し て 其 本 源 に 歸 ら す し て 流 轉 す 、 流 轉 す と 雖 も 實 相 無 相 の 大 元 眞 心 、 煩 惱 に 含 藏 し て 不 増 不 滅 な り 、 之 を 胎 藏 界 と 名 つ け 、 理 法 身 の 佛 と 云 ふ 、 流 轉 し て 觸 る ゝ 所 の 有 無 善 悪 、 又 々 意 識 相 績 し 、 隨 縁 和 合 し て 天 地 人 畜 森 羅 萬 象 皆 始 終 生 死 端 な し 、 極 悪 趣 に 在 て 猛 火 に 鑠 か す と 雖 も 、 變 せ ざ る こ と 金 色 の 如 く 、 游 泥 に 在 て も 朽 ち ざ る こ と 金 性 に 似 た り 、 又 極 悪 趣 に 沈 淪 し て 還 て 能 く 一 切 煩 惱 を 破 し 善 果 を 興 す 、 剛 力 自 在 也 是 を 金 剛 界 と 名 づ け 智 法 身 の 佛 と 云 ふ 也 、 剛 力 自 在 の 故 に 、 空 海 、 聖 徳 太 子 、 舎 人 親 王 の 餘 流 を 汲 ん で 、 三 教 の 學 者 を し て 高 天 原 に 留 め 、 阿 字 本 分 の 都 、 本 覺 の 如 來 地 に 歸 せ し め ん と 欲 す 而 し て 此 理 を 明 し 神 道 佛 道 相 合 し 二 圖 を 作 り 、 實 教 を 説 き 以 て 教 化 を 爲 す 。 然 る 虜 釋 教 は 凡 愚 引 導 の 爲 め に 、 一 代 の 諸 經 大 形 方 便 な り , 方 便 を 建 立 し て 至 極 の 愚 痴 を し て 眞 空 の 月 を 見 せ し む る 也 、 儒 門 の 輩 釋 尊 此 の 如 き 廣 大 の 深 智 を 知 ら す 、 經 論 目 録 を 詰 つ て 虚 と 爲 し 名 目 を 寓 と 爲 す 、 吾 國 の 神 道 は 破 し 難 き に 依 て 、 社 頭 を 大 廟 に 比 し 、 神 道 を 儒 門 に 入 れ て 釋 教 を 破 す る こ と 年 あ り 、 世 人 之 を 聞 き て 佛 教 次 第 に 衰 微 す 、 嵯 峨 天 皇 の 御 宇 、 傳 教 、 空 海 、 守 敏 等 の 祖 出 で ゝ 入 唐 し て 釋 教 の 深 理 を 振 ひ 神 道 の 奥 義 を 明 し 、 再 び 兩 部 神 道 を 興 得 す 、 就 中
空 海 は 儒 教 道 書 天 文 地 理 に 通 達 し 、 無 始 無 終 の 理 を 極 め 、 四 隅 の 外 、 仙 遊 す る 所 に 至 る ま で 智 眼 を 以 て 知 ら ざ る と 有 る こ な し 、 儒 教 道 書 等 の 不 足 を 補 ひ 、 釋 教 に 於 て 方 便 の 紅 粉 を 洗 ひ 、 皮 毛 繁 多 の 因 縁 を 去 り 、 骨 髄 を 顯 は し 、 肺 肝 を 見 せ し め 、 容 易 く 悟 入 せ し む る こ と を 説 き そ 、 凡 愚 た り と 雖 も 、 今 日 此 座 を 去 ら す 、 高 天 原 に 留 ま る の 理 を 盡 す の み 、 三 教 繋 學 の 大 道 、 兩 部 神 道 の 中 興 也 、 嵯 蛾 天 皇 叡 感 淺 か ら す 、 兩 部 神 道 の 號 名 を 下 し 給 ふ 、 之 に 依 て 儒 に 一 致 す る の 神 道 唯 一 の 名 を 求 む 、 禁 庭 に は 正 月 二 十 日 以 前 信 尼 を 制 す る の 庭 、 塞 海 兩 部 神 道 の 徳 に 因 て 、 大 唐 の 内 道 場 に 准 し 、 宮 中 に 於 て 眞 言 院 を 立 て 、 承 和 元 年 正 月 入 日 よ り 、 空 海 始 め て 御 修 法 を 行 ひ 、 今 に 於 て 諸 俗 昇 殿 し て 之 を 勤 む 、 此 時 往 昔 聖 徳 皇 、 舎 人 親 王 条 學 兼 用 の 法 亦 世 に 盛 な り 。 8 、 雲 傳 神 道 神 道 要 語 開 會 神 道 神 致 要 頌 葛 城 慈 雲 尊 者 は 、 神 佛 習 合 の 徒 が 、 往 々 偏 見 に 傾 き 、 其 曲 説 附 會 陋 醜 見 る に 怨 び ざ る も の を あ る を 慨 し 、 尊 者 一 流 の 神 道 説 を 唱 導 せ り 、 世 其 諱 の 一 字 を 取 り て 雲 傳 神 道 と 名 つ く ( 彼 の 幕 末 に 當 り 加 茂 規 清 の 唱 へ た る 烏 傳 神 道 即 ち 加 茂 神 習 教 と は 異 な れ り ) 又 其 地 名 に 依 り て 葛 城 神 道 と も 云 ふ 、 尊 者 自 ら は 開 會 神 道 と 釋 せ り o 尊 者 の 著 、 神 道 要 語 に 曰 く 兩 部 神 道 論 三 五
兩 部 神 道 論 三 六 眞 正 の 大 道 、 世 間 に 顯 現 す る を 高 天 原 と 云 ふ 、 此 れ 大 道 の 所 定 れ る 名 な り 、 天 御 中 圭 尊 と 云 ふ は 是 れ 高 天 原 の 霊 を あ ら は せ る 名 な り 、 國 常 立 尊 と 云 は 、 此 道 の 大 地 と 共 に 永 久 な る の 名 な り 伊 弉 諾 、 伊 弉 冊 尊 と は 、 一 陰 一 陽 萬 物 を 生 育 す る 名 な り 。 又 開 會 神 道 に 曰 く 我 國 神 道 あ り 、 支 那 諸 蠻 に 勝 れ り 、 然 る に 既 に こ れ 神 祇 の 趣 な れ ば 、 神 道 と 云 ふ 名 も 無 り し な れ ど も 、 聖 徳 太 子 海 外 を 取 り 用 ひ て 我 家 具 子 と な す の 思 あ る な り 、 支 那 聖 賢 の 書 、 應 神 天 皇 よ り 巳 來 の 趣 に よ つ て 大 に 儒 道 神 道 を 起 す 、 佛 道 も 崇 敬 あ り て 三 道 共 に 此 時 よ り 盛 な り 、 此 時 儒 道 に 比 し て 神 道 の 名 も 立 ち し こ と ゝ 云 へ り 。 又 曰 く 、 神 道 の 高 き 、 道 教 儒 教 の 及 ぶ 處 に 非 ず 、 そ の 深 意 を 得 る に は 密 教 に 入 る に 非 ら ざ れ ば 是 を 知 る こ と 能 は ず 。 又 神 致 要 頌 に 曰 く 蒼 々 た る 高 天 原 、 了 々 た る 古 今 の 道 、 上 天 は 御 中 主 、 大 地 は 國 常 立 、 天 地 是 れ 活 物 、 萬 般 悉 く 生 育 す 、 初 生 は 獨 化 た り 、 次 は 乾 坤 相 参 る 、 造 化 は 諾 冊 の 尊 、 受 命 は 環 矛 に 在 り 。 之 れ 神 道 の 極 致 は 眞 正 の 大 道 た る こ と を 喝 破 し 、 我 國 古 代 の 諸 神 を 、 密 教 の 曼 茶 羅 化 し て 羅 解 せ し も の な り 。
猶 此 他 神 道 傳 授 折 紙 等 の 目 録 あ り 9 、 御 流 神 道 口 訣 御 流 神 道 と は 、 大 師 流 神 道 の 別 名 に し て 、 畢 竟 兩 部 神 道 の 變 名 な り 、 本 書 は 何 人 の 作 な る や 詳 ら か な ら ざ れ ど 、 嘉 永 年 間 に 公 に せ ら れ た り 、 其 大 體 は 兩 部 口 訣 鋤 の 焼 面 し に し て 、 偽 書 こ し て 既 に 世 の 定 評 あ る 、 舊 事 記 、 大 成 經 、 五 部 書 、 名 法 要 集 、 宗 徳 經 等 を 多 く 引 用 せ る は 、 遺 憾 と す る 所 な る 上 、 理 論 も し て は 、 殆 ん ど 價 値 な き も の な る が 、 習 合 の 附 會 は 頗 る 巧 み な る も の あ り 、 今 其 一 班 を 見 ん に 智 拳 印 の 解 説 に 朱 書 し て 曰 く 、 天 照 太 神 と あ る は 、 即 ち 本 地 大 日 、 故 に 印 と 明 と 金 胎 不 二 の 智 云 々 。 佛 道 に は 果 を 尊 び 、 神 道 に は 因 を 尊 ぶ 、 此 國 は 豊 葦 原 の 中 つ 國 と い ふ は 、 中 臺 大 日 の 國 た る 故 に 、 阿 字 原 中 臺 國 と 謂 ふ 事 な り 。 大 日 本 紀 、 大 は 大 多 勝 三 義 の 中 、 今 は 勝 の 義 な り 、 竺 震 に 勝 る が 故 な り 、 何 を 以 て 勝 る や 、 竺 震 は 皇 姓 異 な り 、 強 傑 の 人 帝 位 を 奪 ひ 、 皇 帝 と 稱 す 、 之 に 依 て 劣 な り 、 此 國 は 天 照 太 神 よ り 以 來 、 皇 胤 嫡 々 相 承 す 、 又 天 竺 は 佛 法 一 道 な り 、 漢 土 は 儒 な り 、 此 國 は 神 佛 儒 三 法 を 以 て 國 を 治 む 、 故 に 竺 震 に 勝 る 、 日 と は 恵 の 異 名 な り 、 即 ち 天 照 太 神 の 神 智 な り 、 又 の 義 は 日 の 出 つ る 本 と 兩 部 神 道 論 三 七
兩 部 神 道 論 三 八 訓 ず 、 大 日 の 本 國 の 故 に 即 ち 日 本 、 曼 茶 羅 を 表 す 、 五 畿 内 は 中 臺 、 東 は 臺 に 約 す れ ば 關 八 州 は 臺 の 八 葉 、 即 ち 東 曼 茶 羅 、 西 國 は 金 の 九 會 に 約 す る が 故 に 九 州 、 西 曼 茶 羅 、 然 れ ば 日 本 國 は 密 嚴 國 土 も 習 ふ こ と 日 本 紀 の 大 事 と す る な り 、 然 れ ば 日 本 神 國 は 密 嚴 相 應 の 地 な り 、 又 天 照 太 神 は 遍 照 金 剛 と 云 ふ 、 大 師 を 天 照 太 神 の 再 來 と 習 ふ 、 最 極 秘 事 な り 、 日 本 に 生 ま る ゝ 者 は 神 道 を 兼 學 す べ し 、 則 ち 國 風 な り 、 然 る に 今 兩 部 神 道 を 疑 ふ 者 は 事 を 知 ら ざ る な り 、 儒 に 腐 儒 あ り 、 信 に 半 信 あ り 、 自 行 す ら 知 ら す 、 豊 に 他 の 道 を 測 ら ん や 、 未 世 局 儒 生 ま る ゝ あ つ て 儒 理 を 以 て 局 僻 す 、 儒 は 聖 人 の 世 を 治 む る も の な り 、 佛 は 聖 人 の 出 世 を 治 む る も の な り 、 當 さ に 知 る べ し 兩 部 神 道 は 世 を 治 め 、 又 出 世 を 治 む る も の な り 、 然 れ ぱ 神 佛 兼 ね た る 日 本 也 。 此 他 切 紙 傳 授 、 智 拳 印 、 五 畿 七 道 印 、 輪 王 御 即 位 灌 頂 、 御 即 位 印 、 四 海 領 掌 印 、 紹 運 天 子 秘 法 、 灌 頂 初 重 第 二 、 神 道 注 連 曳 大 事 、 沸 湯 之 釜 注 連 大 事 、 第 一 鍛 冶 大 事 、 諸 工 職 皆 神 始 終 、 大 祝 詞 、 兩 部 神 道 拍 手 等 に 關 す る 繹 明 あ り 。 第 五 、 神 佛 習 合 破 折 説 1 、 本 朝 神 社 考 本 朝 神 社 考 は 徳 川 幕 府 の 初 め 、 明 歴 の 頃 儒 者 羅 山 林 道 春 の 著 す 所 、 其 要 旨 は 岩 頭 の 序 文 に 明 ら か な り 、 今 其 大 要 を 示 せ ば