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中国におけるインターネット環境での個人情報保護について - 権利侵害責任法 第 36 条をめぐって - *1 徐暁丹 *2 キーワード : 人肉検索, プライバシー保護, 中華人民共和国権利侵害責任法第 36 条 Keywords: Human flesh search engine, Privac

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Title

中国におけるインターネット環境での個人情報保護について-「権利侵害責

任法」第36条をめぐって-

Author(s)

徐 暁丹

Citation

福岡工業大学環境科学研究所所報 第11巻  P57-P75

Issue Date

2017-10

URI

http://hdl.handle.net/11478/786

Right

Type

Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

福岡工業大学 機関リポジトリ 

FITREPO

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中国におけるインターネット環境での個人情報保護について

-「権利侵害責任法」第 36 条をめぐって-

*1

徐 暁丹

*2

キーワード: 人肉検索,プライバシー保護, 中華人民共和国権利侵害責任法第 36 条

Keywords: Human flesh search engine, Privacy Protection, Article 36 of the Tort Law of People’s Republic of China.

1.はじめに 2015 年 12 月までに中国においてイン ターネットは急速に普及した1。このような インターネットを取り巻く環境において,個 人は,ネット市民2として他人の個人情報の 検索結果を情報として提供したり,あるい は,自身の知る他人の個人情報をインター ネットに提供し,新たな電子データを生成す ることで,他人の名誉権や肖像権やプライバ シー権等の人格権をインターネット上におい て侵害するようになった3。その結果,イン ターネット上では,個人は主体的に自己の個 人情報を管理・保護しなければならなくなっ た。 とりわけ,中国では,2001 年から「人肉検 索」というインターネット環境での個人情報 保護問題が登場した。「人肉検索」は「イン ターネットユーザーを動員して通常では得ら れないような個人情報を捜索すること」と定 義されている4。この「人肉検索」は,イン ターネット上で機能している検索エンジン (例えばグーグルや百度など)自体とは異な るものである。ところが,この「人肉検索」 *1 本稿は、筆者が平成 28 年 7 月に福岡工業大学大学院社会環境学研究科に提出した修士論文『「忘れられる権 利」:中国におけるインターネット環境での個人情報保護の将来』の一部に加筆修正し、公表したものである。 *2* 平成 28 年 9 月 福岡工業大学大学院社会環境学研究科修了 は,別の観点から見れば広義の検索エンジン ともいえるような現象である。なぜなら, 人々は「人肉検索」により,自分が知りたい と思う情報を知ることが出来るからである。 この点からみれば,「人肉検索」は,グーグル 等の狭義の検索エンジンと機能上には何ら変 わらないということもできる。一方,「人肉検 索」は新しいものでもある。それは,コン ピューター上で動くプログラムによる単なる 検索ではなく,自然人の集合体である社会公 衆が行った情報の検索,伝播といった数々の 行為がインターネット上に反映された結果で ある。 「人肉検索」によって発生する法律問題の 多くは,中国法では権利侵害問題にかかわり のあるものばかりである。とりわけ,情報の 提供者及び検索の参加者が引き起こした名誉 権及び肖像権といった人格権の侵害行為や現 実社会で当事者を恐喝,攪乱し人身及び財産 の損害を引き起こすといった具体的な権利侵 害行為等が挙げられる5 2009 年に全国人民代表大会常務委員会で制 定された権利侵害責任法(中华人民共和国侵

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权责任法(中华人民共和国主席令第 21 号, 2009 年 12 月 26 日公布))は,中国における 不法行為法の根幹をなす6。権利侵害責任法 第 2 条では、中国法上初めてプライバシー権 について規定した。民法通則(中华人民共和 国民法通则(中华人民共和国主席令第 37 号, 1986 年 4 月 12 日公布))ではプライバシー権 についての規定は存在しなかった。よって, 中国においてプライバシー権は,権利侵害責 任法において初めて独自の権利として確立し た。また権利侵害責任法第 36 条は,インター ネット上の権利侵害行為について規定してい る。それゆえ,「人肉検索」は権利侵害責任法 に抵触すればインターネット上のプライバ シー権の侵害ともなる7 そこで,本稿では,権利侵害責任法第 36 条の規定及び近年の関連判例を考察し,中国 におけるインターネット環境での個人情報保 護の現状と今後について検討したい。 2.権利侵害責任法第 36 条と中国インター ネット環境における民事権益の保護 2.1 権利侵害責任法第 36 条 1 項 権利侵害責任法第 36 条は,インターネット 上の権利侵害行為について規定する。まず, 同条 1 項は「インターネット利用者またはイ ンターネットサービス提供者がインターネッ トを利用して他人の民事権益を侵害した場 合,権利侵害責任を負わなければならない。」 と規定する。これはインターネット利用者及 びインターネットサービス提供者が,イン ターネットを利用して権利侵害行為を行い且 つ主観面において過失がある場合に,権利侵 害責任を負うことを意味している。一般的な 権利侵害行為と比較した場合,その相違点 は,侵害行為がインターネットを利用して行 われたか否かである。その他の構成要件は一 般的な権利侵害行為とほぼ変わらないと言え る8 近年の中国の高級人民法院にて取り扱われ た事件では,同条 1 項が根拠となる例として は、兪冠堯事件9、陳世清事件10、美亜長城影 視文化(北京)有限公司事件11、姚愛武事 件12、王永涛事件13及び宝鶏八陣精密機械有 限公司事件14がある。 これら同条1項が問題となった事件は大き く分けると以下の二つの主要論点の文脈で検 討することができる。一つは、インターネッ ト利用者の特定に関する論点であり、もう一 つは、インターネットサービス提供者の責任 の範囲に関わる論点である。以下、まず始め に、インターネット利用者の特定に関わる論 点について説明する。 インターネットを経由した権利侵害行為で は、権利侵害行為者(被告)とインターネッ ト利用者が同一人物であることの証明が求め られる。この点が争われた事件として兪冠堯 事件と陳世清事件がある。 兪冠堯事件は、2010 年,Yが,S及びSが 所属する浙江同益物業服務有限公司がイン ターネット上の書き込みによってYの名誉権 を侵害したとして,下城区人民法院にSを提 訴した事件である。Yは公正証書を提出 し15、Sが書き込みをしたハンドル名 「sjin」と同一人であると主張した16。しか し,下城区人民法院は公正認書の内容がYの 主張を支持できないとして,Yの請求を却下 した17。2013 年の再審において、裁判所は高 度蓋然性18の基準に基づき,Sが「sjin」と 同一人であると推定できるとした19

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陳世清事件は 2009 年,Cが新浪ブログで 書き込まれた内容で自分の名誉権が侵害され たとして,北京市昌平区人民法院にZを提訴 した事件である。昌平区人民法院は,新浪ブ ログにある「Zのブログ」上にCに対する不 当な記述があると認定されたものの,当該ブ ログがZにより開設されたかについては,IP アドレスからは判断することができなかっ た20。一方,当該ブログには以前の訴訟の判 決書の内容が掲載されていたため,当該ブロ グがZ本人により開設されたものと推定でき るとした。そして,ブログ上の誹謗の書き込 みがCの名誉権を侵害しているとして,Zは 民事責任を負うと判示した。また、北京市第 一中級人民法院は第一審における事実認定を 是認するとともに,高度の蓋然性をもってC の名誉権を侵害する内容がZによって公表さ れたと推論できるとして,Zの請求を却下し た21 しかし,上述の二つの事件の審理に関して 以下の三つの問題点が明らかとなった。 まず第一に,権利侵害を行った行為主体の IPアドレスの調査・収集に関する問題であ る。兪冠堯事件では,原告による調査請求に 対し,第一審及び第二審においては請求が認 められず、再審においてようやくインター ネットサービス提供者からIPアドレスを取 得することができた。一方,陳世清事件で は,第一審審理の段階でこれを取得すること ができた。 この点,2014 年 10 月 10 日から施行された 情報インターネットワークを利用した人身権 の侵害に係る民事紛争事件の審理における法 律適用の若干の問題に関する規定(最高人民 法院关于审理利用信息网络侵害人身权益民事 纠纷事件适用法律若干问题的规定(法释 〔2014〕11 号,2014 年 8 月 21 日公布))は, その第 4 条にて,人民法院が,権利侵害の疑 いのある情報を掲出したインターネット利用 者の情報をインターネットサービス提供者か ら取得することができる旨規定する22 インターネット上の権利侵害行為に関する 民事訴訟では,原告がインターネット利用者 に対する請求を行うためには,当該者の情報 を収集する必要がある。一方,インターネッ トサービス提供者はインターネット利用者の 個人情報の保護を理由として情報の提供を拒 絶することができる23。それ故,同規定が施 行される以前は,中華人民共和国民事訴訟法 (中华人民共和国民事诉讼法(中华人民共和 国主席令第 44 号,1991 年 4 月 9 日公布))第 64 条 2 項24に基づき,人民法院は,IPアド レス等の情報の調査・収集を行うべきであっ た。即ち,兪冠堯事件での第一審審理におけ る人民法院の行動は,当該規定に則ったもの ではなかったと言えよう。 次に,共同被告の追加に関する問題を指摘 することができる。陳世清事件において,原 告は上訴を行った際に,同規定第 3 条 2 項25 に基づき,共同被告としてインターネット サービス提供者の追加を求めた。これに対 し,裁判所は,権利侵害責任法第 36 条はイン ターネットサービス提供者の責任について, 以下のように対応した。原告の主張を支持で きる根拠は,中華人民共和国民事訴訟法を適 用する際の若干問題に関する最高人民法院の 規定(最高人民法院关于适用中华人民共和国 民事诉讼法若干问题的意见(法发〔1992〕22 号)(法释〔2014〕11 号,1992 年 7 月 14 日公 布))第 57 条26である。ところが,原告の請

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求に対して,裁判所は原告が第一審の際共同 権利侵害者を追加することに法律の障害はな い。同規定は関連する問題をより一歩明確し 細分化するだけで,新しく一種の法律の責任 あるいは責任主体を追加するではない27と判 明した。 最後に第三に,法律の適用に関する問題点 を指摘できる。兪冠堯事件において,高級人 民法院は権利侵害責任法第 2 条の民事権益と しての名誉権侵害に関する規定を引用し,被 告がインターネット上の行為によって原告の 名誉権を侵害したと判断した28。しかし,被 告がインターネットユーザー「sjin」と同一 人であると認められる以上,インターネット を利用して原告の名誉権を侵害する場合,判 決書の中で明記されなくとも権利侵害責任法 の第 36 条 1 項は判断の根拠になったといえよ う。 一方、インターネットサービス提供者の責 任の範囲に関わる論点についてはどのような 判断が行われてきているのであろうか?以 下、これまでの事例とともに説明する。 同法第 36 条 1 項は,インターネットサービ ス提供者の直接の権利侵害行為を規定す る29。インターネットサービス提供者は,具 体的な内容の編集,組み合わせ及び修正を行 い,その利用者に内容を提供する場合もあ る。そこで,当該インターネットサービス提 供者は提供した内容について責任を負い,他 人の権利を侵害する場合権利侵害責任を負わ なければならない30。しかし,美亜長城影視 文化(北京)有限公司事件では,被告の伝達 行為が間接的な伝達行為であると判断され た。 美亜長城影視文化(北京)有限公司事件は 2013 年,Mが,伝達権を有する二作品の伝達 権が侵害されたとして,それぞれ湖北省武漢 市中級人民法院にJを提訴した31事件であ る。湖北省武漢市中級人民法院は,Jが生産 したビデオプレーヤー(以下,P)が,情報 を伝達するサーバー主要エンジンとしてイン ターネット上の情報をテレビ端末で伝達して いるとして,Pの伝達行為を「著作権法」に おけるネットワーク伝達行為とした32。しか し,Pは,ビデオのリンク先の URL をスト レージしているだけで,ビデオの内容をスト レージしていないとして,Pの伝達行為は間 接的な伝達行為であるとした33。裁判所は, 権利侵害責任法第 36 条 1 項に基づき,被告が 提供するサービスを用いて権利侵害となる著 作物を取得したとして,被告の権利侵害責任 を認め34,被告が提供するサービスが問題と なる著作物を間接的に伝達したと判断し た35。それ故,本事件において被告の責任判 断と法律の適用は一致しないように思われ る。 さらに,姚愛武事件及び王永涛事件では, インターネットサービス提供者がインター ネット利用者と共同で侵害行為を行ったと主 張されたものの,人民法院は,インターネッ トサービス提供者が直接的に権利侵害行為を 行ったとは認めなかった。 姚愛武事件はYが,B及びTWの嘘の宣 伝,効用の誇張で,広州市越秀区人民法院に 提訴し,品物の購入費用の返還及び倍額の賠 償金を請求した事件である36。2013 年 2 月 5 日、YはTWが運営するウェブサイト天猫網 でBが販売する蜂蜜を購入した。Bは,T上 その蜂蜜が多様な効用があると宣伝し販売を 行っていた37。しかし,Yは,これを購入し

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た後,Bの蜂蜜にそのような効用がないこと を知った。第二審判決において、インター ネットサービス提供者が共同経営者と看做さ れ,連帯責任を負うと判示されたものの,再 審では,第二審判決における判断が否定され た38。一方,王永涛事件は,2012 年 2 月,W が,TIが運営するTKのウェブページに掲 載された文章により自身の署名権や修正権や ネットワーク伝達権等の権利が侵害されたと して,海口市中級人民法院にTIを提訴した 事件である39。海口市中級人民法院はTIが 召喚状を受け取った後,本事件に関する文章 を削除したこと,及び,WがTIの事件に関 係していることの証拠を提出しなかったこと から,Wの請求を却下した40。また、第二審 の際湖南省高級人民法院はTIが情報スト レージ空間の提供者であり,権利侵害となら ないとした41。それにより,インターネット サービス提供者は内容を提供できる可能性が あるが,内容を提供したと証明できる証拠が ない限り,単なるストレージ空間の提供者と しか看做されないとされた42。即ち,直接的 な権利行為を理由としてインターネットサー ビス提供者の責任を追及することは困難であ ると言えよう。 また,宝鶏八陣精密機械有限公司事件はH が,自社の名称の勝手に使用されたことで, 宝鶏市中級人民法院にS及びBを提訴し,損 害賠償を請求した事件である43。2008 年に設 立されたHは,ウェブサイトを作成するとと もに,自社及び自社製品を宣伝するため,B の検索エンジンにおいてHのウェブサイトを 訪問できるリンクを作成させた。一方,2011 年 9 月 28 日,S及びBは,Bが提供する広告 サービスに関する契約書を締結した。BがS のウェブサイト URL をBのウェブサイトに入 れ,技術サポートにより,Sの URL をネット ワークサイトに一番上に置かせると契約し た。契約期間中,SはBが提供したルートに より自主的にメンテナンス及び管理をした。 2011 年 11 月 26 日,Sは提供されたルートに より,勝手にHの会社名称をSのウェブサイ トにリンクさせるキーワードにし,企業宣伝 を行った44。宝鶏市中級人民法院はSの権利 侵害責任を認めたが,Bが訴状を受け取った 後リンクを切断したことから,Bは注意義務 を尽くしているとして,権利侵害責任法第 36 条 2 項に基づき,Bに対する請求を却下し た45。これに対し,陝西省高級人民法院は, BはSに広告サービスを提供する際,Sの ホームページを訪問するよう誘導させるた め,S自身が関連するキーワードを設定,修 正することができるようにしたとし46,Bの 行為がSの権利侵害行為に便利な条件を提供 したので,Bは相応の責任を負い,Sの償還 できない部分を負担すると判示した47。イン ターネットサービス提供者はそのインター ネットサービス利用者に便宜をはかり,イン ターネット利用者の侵害行為に加担したた め,相応の責任を問われた。 2.2 権利侵害責任法第 36 条 2 項 権利侵害責任法第 36 条 2 項は,「インター ネット利用者がインターネットサービスを利 用して権利侵害行為を行った場合,被権利侵 害者はインターネットサービス提供者に対し てリンクの削除,遮断,断絶等の必要措置を 行うよう通知する権利を有する。インター ネットサービス提供者は通知を受け取った 後,速やかに必要措置を行わなかった場合,

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損害の拡大部分についてインターネット利用 者と連帯責任を負う。」と規定する。同項に関 し,注釈本では,インターネット利用者及び インターネットサービス提供者による損害の 拡大部分に関する連帯責任について次の五つ の点を指摘する48 第一に,インターネット利用者が侵害行為 を行ったことが必要であるとする。即ち,イ ンターネット利用者は,インターネットを利 用して民事権益侵害行為を行った場合には, 同条 1 項の規定に基づき権利侵害責任を負わ なければならないとする。第二に,インター ネットサービス提供者がインターネット利用 者の権利侵害行為を知らないことが必要とな る49。もし,当該事実を知っているのであれ ば,同条 2 項ではなく同条 3 項の規定を適用 すべきであるとする。第三に,被害者が権利 侵害行為についてインターネットサービス提 供者に通知したことが必要であるとされる。 第四に,インターネットサービス提供者は通 知を受け取った後,侵害行為を阻止するため に必要な措置を行わなかったことが必要であ るとされる。即ち,インターネットサービス 提供者は,自身のサービスを利用して侵害行 為を行ったことを知った場合,必要な措置を 採り,侵害行為を阻止する法定の義務がある のである。それ故,インターネットサービス 提供者は必要な措置を採り侵害行為を阻止す べきである。これが行われていない場合に は,当該インターネットサービス提供者は主 観面において過失があるとされる。第五に, インターネットサービス提供者は,損害の拡 大の部分についてのみ連帯責任を負うことが 必要とされる。上述の必要な措置を採らな かった場合,インターネットサービス提供者 には,通知を受け取った後の侵害行為及び損 害に対する過失が存在する。また,インター ネット利用者は,侵害行為を行うとともに過 失も存在する。従って,両者は,インター ネットサービス提供者が被害者からの通知を 受け取った後の侵害行為に対して共同の過失 があり,拡大部分について連帯責任を負わな ければならないとされる。 近年の中国の高級人民法院にて取り扱われ た事案では,同条 2 項が根拠となる事件例と しては、浙江建人専修学院事件50、威海嘉易 烤生活家電有限公司事件51、高勝利事件52 雷小吉事件53、応鋼峰事件54、深セン市莱特 妮糸服装有限会社事件55、郝軍事件56等の事 件がある。この 2 項の適用を巡り,三つの点 が検討されている。 まず,インターネットサービス提供者に対 する被害者の通知の有効性について検討が行 われている。浙江建人専修学院事件と威海嘉 易烤生活家電有限公司事件はそれに関する裁 判例である。 まず、浙江建人専修学院事件はKが,Bの 運営するウェブサイト上の書き込みの内容に よりKの名誉権の侵害されたことで,杭州市 下城区人民法院にBを提訴した57事件であ る。2011 年 8 月初め頃,複数のネット市民 が,Bが運営するウェブサイト上に,何回も K及びKの学院長を非難する書き込みを投稿 した。これに対し,2012 年 6 月 28 日 2013 年 3 月 13 日,KはBに対し当該書き込みの削除 を求めた。杭州市下城区人民法院は,Bが書 き込みを一部分しか削除しなかったため,「権 利侵害責任法」第 36 条 2 項の規定に基く義務 の不履行があったとして,Bが権利侵害責任 を負うと判示した58。これに対し,第二審の

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杭州市中級人民法院はKがBの示している通 知方式を使用した証拠を提出しなかったた め,Bの権利侵害責任は認められないとし て,原判決を取り消し,Kの請求を却下し た59。Kは第二審判決を不服として,浙江省 高級人民法院に再審請求を行ったが60,浙江 省高級人民法院は第二審の判断を是認し61 Kの再審請求を却下した62。Kはこれを不服 として,浙江省人民検察院に控訴を申し立て た。これに対し,浙江省人民検察院は,再審 判決に誤りがあるとして浙江省高級人民法院 に抗訴したため同院にて審理が行われること となった63 また、威海嘉易烤生活家電有限公司事件は 発明特許権に関する紛争事件である。Jは, KがJの許可なく,Tが提供するインター ネットプラットフォーム上でJが専利権を持 つ商品を販売したことによりJの権利が侵害 された64として,2015 年 4 月 7 日,Jは浙江 省金華区中級人民法院にK及びTを提訴し た65。J が提供した資料により、2015 年 2 月 10 日に J は事件外の張に委託し,淘宝網(T の管理者)の知的財産権の保護プラット フォームに事件に関する商品のリンク及びク レーム資料を投稿した。上述の資料には,特 許権を有する権利主体の権利所有証拠,権利 侵害対比の画像文字紹介,及び権利侵害主体 の URL 等の情報が含まれている。にもかかわ らず,T は資料をもらった後,商品が特許権 のどの点を侵害したか,商品の注文番号およ び会員番号の情報を詳細に提供されなかった という理由で,クレーム材料の審査を通過さ せなかった。その処理は不適切で,その不作 為ににより,損害結果が拡大された。「権利侵 害責任法」第 36 条 2 項の規定に基づき,T は 損害の拡大部分について連帯責任を負わなけ ればならないと金華区中級人民法院人民法院 は判断した66 さて,同条 2 項は通知自体については規定 しているものの,通知の方式及び内容につい ては明示していない。この点,最高人民法院 は,権利侵害行為のあり方,侵害された権利 の種類及び権利侵害となる要件はそれぞれ異 なっているため,被害者による通知方式も一 様ではないとの見解を示している。例えば, BBS上でのプライバシーの公開がプライバ シー権の侵害となる場合には,侵害行為が明 らかな存在であるため,電話での通知でも十 分であるとされている67。即ち,被害者によ る通知の方法や内容についての具体的且つ統 一の基準は存在しないため,原則として、有 効な通知であるか否かの判断は司法機関の判 断に委ねられることとなる。なお,2014 年 10 月 10 日より施行された前述の規定では,その 第 5 条にて,書面形式またはネットワーク サービス提供者が公示している方式であり, 且つ,通知者の氏名,関連情報等の内容が含 まれた通知が有効な通知となる旨規定されて いることに注意を要する68 次に,インターネットサービス提供者によ る速やかな且つ必要な措置についても検討が 行われている。高勝利事件、雷小吉事件はそ れに関する裁判例である。 高勝利事件は G が勤務するQのウェブサイ ト上での書き込みについて,Qの不作為によ り自分の名誉権が侵害されたとして,新疆ウ イグル自治区ウルムチ市頭屯河区人民法院に 訴訟を提起した69事件である。高勝利事件で は、「速やかに」という語が示す期間について 判断が示されている。新疆ウイグル自治区ウ

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ルムチ市頭屯河区人民法院は,Qが当該書き 込みに関する調査及び措置を行わなかったた め,Qに過失が存在するとした。また,Gは 書き込みを発見した後,Qに事実と合わない 書き込みの削除を要請したが,Qは提訴され た後も漸く書き込みを削除しなかったことか ら,同人民法院は,権利侵害責任法第 36 条に 基づき,インターネットサービス提供者は通 知を受け取った後,必要措置を行わない場 合,権利侵害責任を有するとして,Gの請求 を認めた70。これに対して,最高人民法院 は,この点について,「インターネットサービ ス提供者は,権利侵害行為の明らかな発生の 可能性を意識する場合には措置を講じなけれ ばならない。通常,ある有効な通知をイン ターネットサービス提供者に送付した後,合 理的なインターネットサービス提供者の処理 時間を期待できる71」旨解釈している。 また,雷小吉事件はLが,Hの運営してい たサービス上で自身の人格権益の侵害された ことで,重慶市綦江区人民法院にHを提訴し た事件である。2015 年 1 月 1 日,ハンドル名 が「折福」というネット市民は「綦江オンラ イン」というウェブサイト上に「この蓮っ葉 に対する人肉検索をやろう」という書き込み を投稿した。その内容は侮辱性を持ち,且 つ,Lの写真が書き込みの中に挿入されてい た72。Lは書き込みを発見した後, Hに対し 書き込みの存在を知らせた。同日,Hは写真 にモザイク処理を行うとともに,同月 6 日, Hは写真を削除した73。同月 29 日,LはHに 書き込みの削除を求めたが74,Hは相応の措 置を行わなかった。H が L から要請された措 置を講じた後も L の権利侵害となる内容が残 されていた場合,H は必要な措置を講じたとは 言えないと判示された。これに対して,最高 人民法院は,同項に言う必要な措置につい て,「権利侵害行為の継続及び損害結果の拡大 の停止に足り,且つ,インターネットサービ ス提供者の損害を引き起こさない,削除,遮 断,リンク切断及びサービス提供の中止が含 まれる75」旨解釈している。 さらに,通知及び削除の一連の関係に関す るインターネットサービス提供者の法定義務 についても検討されている。応鋼峰事件、深 セン市莱特妮糸服装有限会社事件、郝軍事件 はそれに関する裁判例である。 応鋼峰事件は外観設計特許権に関する紛争 事件である。Yは,Wが,Tが運営するウェ ブサイト上で,Yが専利権を持つ商品を販売 したとして,専利権侵害で浙江省杭州市中級 人民法院にW及びTを提訴した。浙江省杭州 市中級人民法院は,Wによる外観設計特許権 侵害行為を認めたものの,Tが直接的に当該 商品の販売を行っていないこと,及び,Yが Tに対し権利侵害となる商品の存在について 通知したことを証明することができなかった ことから,Tの権利侵害責任を認めなかっ た76 深セン市莱特妮糸服装有限会社事件はイン ターネット上の商標権に関する紛争事件であ る。Sは,Lが,Tが運営するウェブサイト 上でSの商標権侵害となる女性用下着を販売 したため,L及びTの行為が共同不法行為に なるとして,湖南省永州市中級人民法院に訴 訟を提起した。Sは検証のため,Lが販売し た女性用下着を購入した77。また,2012 年 3 月 16 日,SはLが販売した一つの商品につい てTに対してリンクの切断を要請し,Tは審 査の後,当該リンクを切断した78。湖南省永

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州市中級人民法院は,検証のために購入され たLの商品が本物であると認定し,Sの主張 と一致しないとして,Sの請求を却下し た79。Sは第一審判決を不服として,湖南省 高級人民法院に上訴した。湖南省高級人民法 院は,Lが販売した商品が偽物であること及 びSの権利侵害行為を認定したものの,本事 件において,SはLが販売した一つの商品に ついてTに通知したが,Lが販売した全ての 商品が自身の商標権を侵害していると通知し なかったことから,Tは権利侵害行為を知り 得なかったとして,Tの行為は共同不法行為 とはならないと判示した80 郝軍事件はインターネット上の外観設計特 許権に関する紛争事件である。Hは,自身の 外観設計特許権が侵害されたとして,広東省 深セン市中級人民法院にX,B,A,Tを提 訴し,損害賠償を求めた81。Tは販売プラッ トフォームの提供者として,中級人民法院に 公証書を提供し,提訴書を受け取った後商品 (名称が s70)のリンクの切断を証明した。 しかし,Hは訴訟を提起した後,中級人民法 院に公証書を提供し,同年 9 月 11 日,10 月 29 日に,Tの販売プラットフォーム上に同一 の商品(名称が s90)がまだAに販売されて いることを証明した82。Aは商品の名称を変 え,販売を続けた。それに対して,Tはその プラットフォームを利用し販売を行う店舗が 3900 万軒があり,Tが通知を受け取らない場 合,そんな問題を察知できないと抗弁し た83。中級人民法院は同一の商品が販売され ていることにより,TがHの権利侵害にな り,権利侵害行為を停止させるべきで84,一 方,Tに対するHの損害賠償請求は根拠がな く,それを支持しない85と判断した。第一審 判決を不服として,Tは広東省高級人民法院 に上訴した86。高級人民法院は権利侵害責任 法第 36 条の規定を引用し,以下のように判断 した。Tは権利侵害行為の存在を知った後, 措置を行い一応権利侵害行為を停止した。そ れ故,Tがインターネットサービス提供者と して相応の義務を尽くし賠償責任を負う必要 がない。しかし,Tが必要措置を行った後, 権利侵害行為になる同じような商品また類似 な商品が再び販売されるようになった。 Tが 相応の責任を負うべき,権利侵行為を停止さ せるとの第一審の判断は間違いがない87。広 東省高級人民法院はTの上訴を却下し,原判 決を維持した88。被告が原告からの通知を受 け取り,必要な措置を講じた後も権利侵害と なった商品が販売され続けたことに関し,裁 判所は,被告が原告からの通知を受け取り, 必要な措置を講じた後も,権利侵害行為の発 生を予防するため,権利侵害となった活動に 注意義務を払うべきであるとして,侵害行為 の再発を防止できなかった点につき相応の責 任を負うと指摘した。 2.3 権利侵害責任法第 36 条 3 項 権利侵害責任法第 36 条 3 項は,「インター ネットサービス提供者は,インターネット利 用者が当該インターネットサービスを利用し て他人の民事権益を侵害していることを知り ながら必要措置を行わなかった場合,当該イ ンターネット利用者と連帯責任を負う。」と規 定する。注釈本では,同法第 36 条は,イン ターネットサービス提供者の,権利主体から 通知を受け取った後の削除義務,権利侵害行 為を知りながらの削除義務及び相応の責任に ついて規定しているとする。また,情報ネッ

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トワーク伝達権保護条例(信息网络传播权保 护条例(中华人民共和国国务院令第 468 号, 2006 年 5 月 18 日公布)),インターネット著 作権行政保護弁法(互联网著作权行政保护办 法(国家版权局信息产业部令〔2005〕第 5 号,2005 年 4 月 30 日公布))及び情報ネット ワーク伝達権民事紛争事件の審理における法 律適用の若干の問題に関する最高人民法院の 規定(最高人民法院关于审理侵害信息网络传 播权民事纠纷案件适用法律若干问题的规定 (法释〔2012〕20 号,2012 年 12 月 17 日公 布))にて,これらの義務に関する具体的な実 施プロセス,相応の責任及び免責の状況につ いて詳細且つ具体的に規定されているとす る。従って,裁判実務上,まず第一に権利侵 害責任法第 36 条を引用すべきであるとした。 そして,同法第 36 条に具体的な規定がない場 合,これらの行政法規や司法解釈を引用し処 理しなければならないとした。なお,各規定 間に抵触がある場合,上位法及び後法が優先 される89 また、「知る」状態という同条 3 項の判断基 準について、最高人民法院権利侵害責任法研 究組編集「中華人民共和国権利侵害責任法 条文理解及び適用」の解釈によると以下のと おりである90 「知る」というのは、正常的で理性的な人 がある事実の存在を意識することである。イ ンターネットサービス提供者はインターネッ トユーザーがそのインターネットサービスを 利用し他人の民事権益を侵害することを意識 すると、即時に必要な措置を取り、権利侵害 行為の阻止する義務を有する。必要な措置を 取らなかったら、権利侵害の発生を放任した と言える。それ故、実際に権利侵害行為を実 施したインターネットユーザーと一緒に連帯 責任を負わなければならない。 「知る」というのは主観的な認知状態で、客 観的な方式で証明しなければならない。イン ターネットサービス提供者はインターネット ユーザーがそのインターネットサービスを利用 し権利侵害行為を実施することを知ることを証 明する直接な証拠にはインターネットサービス 提供者の従業員の明確な承認や関連するファイ ルの明確な記載等が含まれている。しかし、そ れらの証拠は通常外部の人に入手されられない。 裁判所の実践上、明確な証拠によりインター ネットサービス提供者の知る状態を確認する以 外、間接の証拠によりその知る状態を推定する ことも可能である。その証明方法は「推定によ り知る」或いは「知るわけがある」と言われる。 この証明方法において、もし行為者がある情報 を有し、一人の正常的で理性的な人はその情報 に基づき、日常生活の経験を活かし、関連する 事実の存在を推定でき、或いは、その事実の仮 定の存在に基づき自身の行為を抑える。その間 接の証拠は関連機関或いは個人がすでにイン ターネットサービス提供者に警告或いは知らせ を発したことを含む。 また、実践上裁判所は「推定により知る」 という方法でインターネットサービス提供者 の知る状態を証明しているが、この「推定に より知る」と「知るべきである」とは違う概 念である。「知るべきである」というのは、正 常的で理性的な人が注意義務を負い注意能力 を有する場合、ある事実の存在を意識するこ とを指す。注意義務というのは、「行為者が合 理的な気を配り他人の人身或いは財産を損害 することを避ける」を指す。「知るべきであ る」の場合において行為者がある注意義務の

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負うことを前提とし、「知る」の場合において 行為者がその注意義務を負わない。本項は 「知る」限定にするのは、立法者が実践上 「知るべきである」のを把握することが難し く、インターネットサービス提供者の責任を 大きくする可能性がある。しかし、その限定 はインターネットサービス提供者の一般注意 義務を免除させ、また被権利侵害者がイン ターネットサービス提供者の「知る」状態を 証明することが難しいことで、非権利侵害者 の権利侵害救済の獲得を客観的に難しくさせ た。 さて,裁判実務上,同条 3 項を適用する際 に,「知る」状態について幾つかの判断が下さ れている。北京中青文文化伝媒有限公司事 件91と一連の広東原創動力文化伝播有限公司 事件92はそれに関する裁判例である。 まず、北京中青文文化伝媒有限公司事件は 著作作品の情報ネットワーク伝達権に関する 紛争事件である。Fは,Bが運営するウェブ サイト上のブログが,Fの情報ネットワーク 伝達権を侵害したとして,北京市第一中級人 民法院にBを提訴した。2013 年 8 月 13 日, Fが当該ブログを発見した93。Bは当該ブロ グの存在を認め,当該ブログをアップロード した利用者の情報を提供した94。それによ り,一応BWの利用者が事件に関する文章を アップロードしたことを証明した95。FはB GがKの存在を知りえたと主張した。BW上 のお薦め作品の多数の文章の閲覧回数が何千 回か何万回かである。しかし,BW上のKの 閲覧回数が 286395 回に至り,BGはKに関連 する情報を把握し関心を払い得た。しかし, 2012 年 1 月 17 日にKがアップデートされて から,2013 年 8 月 13 日まで,BGが一切措 置を行わなかった96。北京市第一中級人民法 院は,権利侵害責任法第 6 条 1 項及び第 36 条 3 項,情報ネットワーク伝達権民事紛争事件 を審理する際適用法律に関する若干の問題に ついて最高人民法院の規定第 1 条,第 3 条, 第 7 条 3 項等に基づき97,Bが法定の義務を 履行したと言えないと判断した98。Bは第一 審判決を不服として,北京市高級人民法院に 上訴した99。BW上文章が薦められるか否か について,権利主体からの権利の獲得により 決められると主張した100。BGの主張によ り,高級人民法院は権利主体から権利を授け られなかった文章の閲覧回数が一定の数値に 至ったら,関心を払い相応の措置を行い得る と判断した。しかし,本事件においてBGは 法定の義務を履行しなかった。BGのは知り 得た過失があり,幇助権利侵害行為になる。 高級人民法院は原判決を維持した101 被告の知る状態を明確な証拠によって証明 することはできなかったものの,裁判所は事 実に基づいて被告の知る状態を推定した。即 ち,裁判実務上,推定による知る状態は同条 3 項に言う知る状態に含まれていることとな る。 一方,一連の広東原創動力文化伝播有限公 司事件は著作権に関する紛争事件である。Z はそのアニメ出場人物の美術作品に対する著 作権が侵害されたことで,相次いで 3 回で浙 江省杭州市中級人民法院にA,B,C及びD を提訴した。被告の中で,A及びBは携帯 ゲームの開発においてアニメ出場人物を使用 し利益を獲得した102。C及びDはのA及びB の開発したゲームがユーザーの携帯端末で運 営できるためにルートを提供し,あるいはA 及びBの代わりにサービス料金を受け取っ

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た103。杭州市中級人民法院の審理により,A 及びBの権利侵害行為を認定した104。C及び Dについて以下のように判断した。今回の事 件において,C及びDはインターネットサー ビス提供者である。ZはC及びDが権利侵害 行為の存在の知ることを証明できる証拠を提 供しなかった。更に,第一審審理の間,事件 に関するゲームが全部撤去された。「権利侵害 行為責任法」の第 36 条 2 項,3 項の規定に基 づき,ZのC及びDに対する権利侵害責任の 請求を支持しないと杭州市中級人民法院は判 断した105。Zは第一審判決を不服として,浙 江省高級人民法院に上訴した106。Cが基本的 な電信運営者ではなく,携帯ゲームの運営及 び料金の受け取りも実施すると主張し,共同 に権利侵害行為を実施し,連帯賠償責任が負 うと主張した107。しかし,高級人民法院はC が携帯ゲームの運営中,料金の受け取り及び 相応の技術サポートしか提供しなかった。Z はCが権利侵害行為の存在を知ったあるいは 知るえたことを証明できない。即ち,Cに主 観的過失があることを証明できない。それ 故,Cの主張は法律根拠がない108。結局,Z の上訴を却下し,第一審判決を維持した109 同時に提訴された同一原告人による訴訟にお いても,人民法院は同じような判断基準で判 断した。携帯ゲームの開発においてアニメ出 場人物を使用し利益を獲得した広州掌控イン ターネット科技有限会社及び広州中唯企業問 合せサービス有限会社に対する訴訟請求を認 め110,インターネットサービス提供者として の掌上通インターネット技術株式有限会社, 中国移動通信集団浙江有限会社杭州子会社及 び杭州竜馬世紀情報技術有限会社に対する訴 訟請求を支持しないとした111 3.おわりに 「人肉検索」では,情報公表者,参加者と してのネット市民及びインターネットサービ ス提供者の行為が,被害者の名誉権やプライ バシー権等の人格権の侵害となる。また,イ ンターネット利用者やインターネットサービ ス提供者が他人の個人情報をインターネット 上に公開する作為,及び,公開された情報に 対してインターネットサービス提供者が適切 な措置を講じない不作為は,共同で被害者の 権利を侵害している場合があると言える。権 利侵害責任法に基づき,個人は,インター ネット上で自身の権利が侵害された場合に は,行為主体に対し権利侵害責任の負担を求 める権利を有する。 また,裁判実務においては,事案の当事 者,とりわけ,インターネット利用者を如何 に特定するかが大きな問題となっている。被 害者が証拠を提出し,権利侵害行為を行った インターネット利用者を特定することは,極 めて困難である。この点,情報ネットワーク を利用して人身権益を侵害する民事紛争案件 の審理における法律適用の若干の問題に関す る規定は,被害者を救済するため,インター ネットサービス提供者に対する訴訟を提起す ることを認めている。即ち,被害者は権利侵 害責任法第 36 条 2 項及び 3 項の規定に基づ き,インターネットサービス提供者に対し訴 えを提起できると規定している。さらに,裁 判実務においては,権利侵害責任法第 36 条の 適用について具体的な基準を規定していない ことが問題となっていた。この点につき,情 報インターネットワークを利用した人身権の 侵害に係る民事紛争事件の審理における法律 適用の若干の問題に関する規定が,その適用

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基準について具体的に規定し、同法を補完し ている。 今までの裁判所事例を踏まえ、インター ネット上の権利侵害行為に関する訴訟におい て,権利侵害責任法第 36 条が根拠として引用 された事案は少ないと言えよう。しかし,裁 判実務上,同法第 36 条には明確に規定されて いない点に関する判断の基準は,人民法院自 体であると考えられる。そして,中国におけ るインターネット環境での個人情報保護を実 現するために、実務上の経験を踏まえ,新し い法解釈規定の制定により,さらなる対策を 講じる可能性を秘めていると考える。

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年 11 月 21 日)。 [新疆维吾尔自治区高级人民法院 2015],新疆 维吾尔自治区高级人民法院『千里马工程机 械集团股份有限公司与高胜利网络侵权责任 纠纷申请再审民事裁定书』(2015)新民申字 第 839 号(2015 年 8 月 3 日)。 【雷小吉事件】 [重庆市第五中级人民法院 2015],重庆市第五 中级人民法院『重庆汇百伦科技发展有限公 司与雷小吉网络侵权责任纠纷二审民事判决 书』(2015)渝五中法民终字第 03251 号 (2015 年 7 月 3 日)。 [重庆市高级人民法院 2016],重庆市高级人民 法院『重庆汇百伦科技发展有限公司与雷小 吉网络侵权责任纠纷申诉民事裁定书』 (2015)渝高法民申字第 01851 号(2016 年 1 月 13 日)。 【応鋼峰事件】 [浙江省高级人民法院 2016 应钢峰],浙江省 高级人民法院『应钢峰与武义捷顺工具有限 公司、浙江天猫网络有限公司侵害外观设计 专利权纠纷二审民事判决书』(2015)浙民终 82 号(2016 年 3 月 21 日)。 【深圳市莱特妮糸服装有限公司事件】 [湖南省高级人民法院 2014],湖南省高级人民 法院『深圳市莱特妮丝服饰有限公司与浙江 淘宝网络有限公司、刘倩侵害商标权纠纷二 审民事判决书』(2014)湘高法民三终字第 72 号(2014 年 8 月 25 日)。 【郝軍事件】 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司],广东省高级人民法院『深圳市旋唯 电子有限公司,浙江天猫网络有限公司与郝 军侵害外观设计专利权纠纷二审民事判决 书』(2014)粤高法民三终字第 80 号(2014 年 11 月 21 日)。 【北京中青文文化伝媒有限公司事件】 [北京市高级人民法院 2014],北京市高级人民 法院『北京中青文文化传媒有限公司等著作 权权属、侵权纠纷二审民事判决书』(2014) 高民终字第 2045 号(2014 年 8 月 5 日。 【広東原創動力文化伝播有限公司事件】 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文化 传播有限公司1],浙江省高级人民法院『广 东原创动力文化传播有限公司与北京当乐信 息技术有限公司、上海积创网络科技有限公 司等著作权权属、侵权纠纷二审民事判决 书』(2012)浙知终字第 44 号(2012 年 4 月 20 日)。 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文化 传播有限公司2],浙江省高级人民法院『广 东原创动力文化传播有限公司与广州掌控网 络科技有限公司、北京北纬通信科技股份有 限公司等著作权权属、侵权纠纷二审民事判 决书』(2012)浙知终字第 278 号(2012 年 10 月 17 日)。 [浙江省高级人民法院 2013 广东原创动力文化 传播有限公司],浙江省高级人民法院『广东 原创动力文化传播有限公司与广州中唯企业 管理咨询服务有限公司、中国移动通信集团 浙江有限公司杭州分公司等著作权权属、侵 权纠纷二审民事判决书』(2012)浙知终字第 321 号(2013 年 2 月 4 日)。

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脚注 1 2008 年 6 月まで,米国におけるインターネッ ト利用者数は 2.3 億人を超えない見込みで あった。一方,中国におけるインターネット 利用者数は 2.53 億人となり,世界一の利用 者数となった。[中国互联网络信息中心 2008/7] 第 14 頁,[土井 2009] 179 頁。 2 インターネット上の情報を使いこなす人を意 味する。[三省堂 1999]。 3 [马 2016] 第 28 頁。 4 [田中 2013] 56 頁及び 249 頁。 5 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 22 頁,第 23 頁。 6 権利侵害責任法を不法行為法に位置付けるこ とに異論を唱える中国の学者もいるとされ る。ただし,日本においても,現在における 不法行為の大部分は,道徳に許されない・非 難されるべき行為という意味での「不法」行 為ではなく,その有用性・便益さのゆえに社 会が許容せざるを得ない行為から統計的には 不可避的に発生する権利を指し,また,日本 の不法「行為」法も,使用者責任のように行 為者でない者の代位責任を定めており,中国 の侵権責任法を不法行為法と表記することに 特に不都合があるとも思えないとする見解も 存在する。[小口 他 2012] 319 頁,参照。 7 [刘 2011] 第 874 頁。 8 [法律出版社法规中心 2015] 第 48 頁。 9 [杭州市下城区人民法院 2011] [浙江省高级人 民法院 2013 俞冠尧]。 10 [北京市昌平区人民法院 2014] [北京市第一中 级人民法院 2014] [北京市第一中级人民法院 2015 陈世清] [北京市高级人民法院 2015]。 11 [湖北省高级人民法院 2014 美亚长城2] [湖 北省高级人民法院 2014 美亚长城1]。 12 [广东省广州市中级人民法院 2013] [广东省高 级人民法院 2014 浙江天猫网络有限公司 2]。 13 [海南省高级人民法院 2012]。 14 [陕西省高级人民法院 2014]。 15 [杭州市下城区人民法院 2010] 第 14 段。 16 [杭州市下城区人民法院 2010] 第 10 段。 17 [杭州市下城区人民法院 2010] 第 39 段,第 40 段。 18 民事訴訟証拠に関する中国最高人民法院の若 干規定第 73 条では,「当事者双方は同じ事実 に対して,夫々逆の証拠を提出したが,相手 の証拠を否定できる証拠を持っていない。人 民法院は事件の状況を合わせ,一方の証拠の 証明力がもう一方の証拠の証明力より明らか に大きいか否かを判断し,証明力が大きい証 拠を確認する。証拠も証明力を判断できない ことにより,紛争事実を認定できない場合, 人民法院は挙証責任の配分基準により判断す る。」と規定する。 19 [浙江省高级人民法院 2013 俞冠尧] 第 18 段。 20 [北京市昌平区人民法院 2014] 第 10 段。 21 [北京市第一中级人民法院 2014] 第 18 段。 22 同規定第 4 条は,「人民法院は,原告の請求 及び事件の具体的な状況に基づき,権利侵害 の疑いのあるネットワークユーザーを特定す ることができる氏名(名称),連絡方法, ネットワークアドレスなどの情報を人民法院 に提供するようネットワークサービス提供者 命ずることができる。」と規定する。 23 [奚 他 2014] 第 85 頁。 24 同法第 64 条 2 項は,「当事者及びその訴訟代 理人が客観的に事由により自ら収集すること ができない証拠又は人民法院が事件の審理に 必要であると認める証拠については,人民法 院は調査・収集しなければならない。」と規 定する。 25 原告はネットワークユーザーのみを提訴した 場合において,権利侵害の疑いのあるネット ワークサービス提供者共同被告又は第三者と して追加することをネットワークユーザーが 請求したとき,人民法院は,これを許可しな ければならない。 26 [奚 他 2014] 第 72 頁。 27 [北京市第一中级人民法院 2014] 第 18 段。 28 [浙江省高级人民法院 2013 俞冠尧] 第 25 段。 29 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 263 頁。 30 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 264 頁。 31 [湖北省高级人民法院 2014 美亚长城2] 第 9 段,[湖北省高级人民法院 2014 美亚长城1] 第 9 段。 32 [湖北省高级人民法院 2014 美亚长城2] 第 13 段,[湖北省高级人民法院 2014 美亚长城 1] 第 13 段。 33 [湖北省高级人民法院 2014 美亚长城2] 第 14 段,[湖北省高级人民法院 2014 美亚长城 1] 第 14 段。 34 [湖北省高级人民法院 2014 美亚长城2] 第 33 段,[湖北省高级人民法院 2014 美亚长城 1] 第 33 段。 35 [湖北省高级人民法院 2014 美亚长城2] 第 14 段,[湖北省高级人民法院 2014 美亚长城

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1] 第 14 段。 36 [广东省高级人民法院 2014 浙江天猫网络有限 公司2] 第 10 段,第 17 段。 37 [广东省广州市中级人民法院 2013] 第 9 段。 38 [广东省高级人民法院 2014 浙江天猫网络有限 公司2]。 39 [海南省高级人民法院 2012] 第 7 段。 40 [海南省高级人民法院 2012] 第 10 段。 41 [海南省高级人民法院 2012] 第 16 段。 42 [海南省高级人民法院 2012] 第 16 段。 43 [陕西省高级人民法院 2014] 第 3 段。 44 [陕西省高级人民法院 2014] 第 4 段。 45 [陕西省高级人民法院 2014] 第 8 段。 46 [陕西省高级人民法院 2014] 第 18 段。 47 [陕西省高级人民法院 2014] 第 18 段,第 25 段。 48 [法律出版社法规中心 2015] 第 49 頁。 49 [法律出版社法规中心 2015] 第 49 頁。 50 [杭州市下城区人民法院 2013] [浙江省杭州市 中级人民法院 2014] [浙江省高级人民法院 2014] [浙江省高级人民法院 2015]。 51 [浙江省金华市中级人民法院 2015] [浙江省 高级人民法院 2016 威海嘉易烤生活家电有限 公司]。 52 [新疆维吾尔自治区乌鲁木齐市中级人民法院 2014] [新疆维吾尔自治区高级人民法院 2015]。 53 [重庆市第五中级人民法院 2015] [重庆市高级 人民法院 2016]。 54 [浙江省高级人民法院 2016 应钢峰]。 55 [湖南省高级人民法院 2014]。 56 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司]。 57 [杭州市下城区人民法院 2013] 第 8 段。 58 [杭州市下城区人民法院 2013] 第 26 段。 59 [浙江省杭州市中级人民法院 2013] 第 20 段,第 21 段。 60 [浙江省高级人民法院 2014] 第 8 段。 61 [浙江省高级人民法院 2014] 第 11 段。 62 [浙江省高级人民法院 2014] 第 14 段。 63 [浙江省高级人民法院 2015] 第 6 段,第 7 段。 64 [浙江省金华市中级人民法院 2015] 第 11 段。 65 [浙江省金华市中级人民法院 2015] 第 11 段。 66 [浙江省金华市中级人民法院 2015] 第 59 段。 67 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 266-267 頁。 68 同規定第 5 条は,「権利侵害責任法第三十六 条二項の規定により,被権利侵害者が書面形 式またはネットワークサービス提供者が公示 している方式をもってネットワークサービス 提供者に発した通知に,次の各号に掲げる内 容が含まれている場合には,人民法院は,こ れを有効であると認定しなければならない。 一 通知者の氏名(名称)及び連絡方法,二 必要な措置を講ずるよう求めるネットワーク アドレス又は権利侵害内容を特定するのに十 分な関連情報,三 通知者が関連情報の削除 を要求する理由。2 権利侵害者が発した通 知が上記の条件を満たさない場合において, ネットワークサービス提供者が免責を主張す るとき,人民法院は,これを支持しなければ ならない。」と規定する。 69 [新疆维吾尔自治区乌鲁木齐市中级人民法院 2014] 第 6 段。 70 [新疆维吾尔自治区乌鲁木齐市中级人民法院 2014] 第 6 段。 71 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 267 頁。 72 [重庆市第五中级人民法院 2015] 第 8 段。 73 [重庆市第五中级人民法院 2015] 第 9 段。 74 [重庆市第五中级人民法院 2015] 第 10 段。 75 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 267 頁。 76 [浙江省高级人民法院 2016 应钢峰] 第 19 段,第 21 段。 77 [湖南省高级人民法院 2014] 第 9 段。 78 [湖南省高级人民法院 2014] 第 10 段。 79 [湖南省高级人民法院 2014] 第 14 段。 80 [湖南省高级人民法院 2014] 第 32 段。 81 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 24 段。 82 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 25 段。 83 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 26 段。 84 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 41 段。 85 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 40 段。 86 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 43 段。 87 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 49 段。 88 [广东省高级人民法院 2014 深圳市旋唯电子有 限公司] 第 54 段。 89 [法律出版社法规中心 2015] 第 48 頁。 90 [最高人民法院侵权责任法研究小组 2016] 第 265-266 頁。 91 [北京市高级人民法院 2014]。 92 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文化 传播有限公司1] [浙江省高级人民法院 2012

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广东原创动力文化传播有限公司2] [浙江省 高级人民法院 2013/321] 。 93 [北京市高级人民法院 2014] 第 11 段。 94 [北京市高级人民法院 2014] 第 13 段。 95 [北京市高级人民法院 2014] 第 18 段。 96 [北京市高级人民法院 2014] 第 27 段。 97 [北京市高级人民法院 2014] 第 32 段。 98 [北京市高级人民法院 2014] 第 27 段。 99 [北京市高级人民法院 2014] 第 33 段。 100 [北京市高级人民法院 2014] 第 34 段。 101 [北京市高级人民法院 2014] 第 103 段。 102 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 19 段。 103 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 22 段。 104 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 24 段 105 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 24 段。 106 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 26 段。 107 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 27 段。 108 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 42 段。 109 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司1] 第 51 段。 110 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司2] 第 25 段,[浙江省高级人 民法院 2013 广东原创动力文化传播有限公 司] 第 22 段。 111 [浙江省高级人民法院 2012 广东原创动力文 化传播有限公司2] 第 26 段,[浙江省高级人 民法院 2013 广东原创动力文化传播有限公 司] 第 23 段。 (平成29年8月31日受付)

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