2011/1/11
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マーケット・レポート
マーケット・レポート
《中国》
《中国》
http://www.okasan-am.jp 2-8-1 Yaesu, Chuo-ku, Tokyo, JAPAN目次:
2010年の中国・香港株式市場 p.2 2011年の展望 ~第12次5ヵ年計画~ p.3 ~期待される消費の拡大~ p.4 ~人民元高は緩やかなペースで~ ~次期国家主席は習近平氏に~ p.5 ~株式市場の見通し~ p.6CHINA
CHINA
2010年の中国・香港の株式市場は、香港ハンセン指数
が2年連続で上昇した一方、上海総合指数は下落する展
開となりました。欧州財政問題への懸念や朝鮮半島情
勢の緊迫化などの外部要因による影響を受けたほか、
中国政府による金融政策の引き締め強化に対する警戒
感が株価の上値圧迫要因となりました。
第12次5ヵ年計画期間(2011-2015年)に入る2011年、
中国は新たな経済成長段階を迎えるとみられます。2011
年は、第12次5ヵ年計画の下での経済成長の動向や引
き続き堅調な収益成長が予想される企業業績、物価上
昇や不動産市場過熱、中国当局による金融引き締め動
向が主な投資テーマとして注目されるものと考えられま
す。
中国・香港の主要株価指数の推移
(出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 2010/7 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 上海総合指数(左目盛) 香港ハンセン指数(右目盛) (2008/1/2-2010/12/31)【2010年の中国・香港株式市場】
2010年の中国・香港株式市場は、香港ハンセン指数が2年連続 で上昇した一方、上海総合指数は下落する展開となりました。欧 州財政問題への懸念や朝鮮半島情勢の緊迫化など外部要因に よる影響を受けたほか、中国政府による金融政策の引き締め強化 に対する警戒感が株価の上値圧迫要因となりました。 中国政府は、価格の高騰が問題視されていた不動産市場に対 し、4月に住宅ローン規制強化を中心とする不動産価格高騰抑制 策を打ち出しました。これ以降、主要70都市の不動産価格は上昇 率の鈍化が足元まで続いています。しかし、不動産に対する潜在 需要が大きいとみられており、再び市場が反転、上昇するとの見 方が広がっています。 また、2010年は、食品価格の高騰などを背景にインフレに対す る懸念が強まった年でした。2010年後半よりCPI(消費者物価指 数)の上昇率は、政府の年間抑制目標である3%を超える水準で 推移し、警戒感の強い状態が続きました。 中国人民銀行は、物価上昇に対応するため、2010年に計2回の 政策金利の引き上げ、6回の預金準備率引き上げを発表しまし た。12月に開催された中国共産党中央経済工作会議では、中国 共産党はインフレ抑制のためにこれまで緩和的だった金融政策を 約2年ぶりに解除し、物価上昇圧力や不動産市場過熱への対応 強化へ方針転換を行いました。一方で、積極的な財政政策を継 続し、景気に配慮する姿勢を示しました。香港ハンセン指数
上海総合指数
(出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 (出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成中国の政策金利
(出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 2,300 2,400 2,500 2,600 2,700 2,800 2,900 3,000 3,100 3,200 3,300 3,400 1/4 3/6 5/6 7/6 9/5 11/5 (2010/1/4-2010/12/31) (2006/1-2010/12) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 200 6/ 1 200 6/ 4 200 6/ 7 2 0 0 6/1 0 200 7/ 1 200 7/ 4 200 7/ 7 2 0 0 7/1 0 200 8/ 1 200 8/ 4 200 8/ 7 2 0 0 8/1 0 200 9/ 1 200 9/ 4 200 9/ 7 2 0 0 9/1 0 201 0/ 1 201 0/ 4 201 0/ 7 2 0 1 0/1 0 2 0 1 0/1 27 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 貸出基準金利(1年 物、左軸) 預金基準金利(1年 物、左軸) 預金準備率(右軸) (%) (%) 18,000 19,000 20,000 21,000 22,000 23,000 24,000 25,000 26,000 1/4 3/6 5/6 7/6 9/5 11/5 (2010/1/4-2010/12/31)中国主要70都市の不動産価格
(出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 (2006/1~2010/11) -2 0 2 4 6 8 10 12 14 20 06 /1 20 06 /4 20 06 /7 20 06 /1 0 20 07 /1 20 07 /4 20 07 /7 20 07 /1 0 20 08 /1 20 08 /4 20 08 /7 20 08 /1 0 20 09 /1 20 09 /4 20 09 /7 20 09 /1 0 20 10 /1 20 10 /4 20 10 /7 20 10 /1 0 (%) (前年同月比伸び率)【2011年の展望】
第12次5ヵ年計画期間(2011-2015年)に入る2011年、中国は新 たな経済成長段階を迎えます。中国がこれまで急速にGDPを拡大 させてきた背景には、投資や輸出の拡大に加え、国有企業の民 営化や再編、2001年の世界貿易機関(WTO)への加盟など、経済 の改革・解放を推進してきたことがあるといえます。しかし、既にこ れらの分野における改革の余地は小さいとみられることから、今後 はバランスの取れた成長を実現するために、新たな成長ドライ バーを見つけることが重要になると考えられます。 第12次5ヵ年計画は2011年春の全国人民代表大会(全人代)で 正式に決定されますが、2010年10月に開催された中国共産党中 央委員会第5回全体会議(五中全会)において、その骨子は既に 明らかになっています。中国政府は、経済成長の新たなドライ バーとして内需拡大、とりわけ個人消費の底上げを重要視していく とみられます。農村部における社会保障制度の確立や教育水準 の向上を通じた都市と農村の格差縮小、最低賃金の引き上げによ る低・中所得者層の所得底上げを通じた収入格差の縮小などによ り中間層の育成を行い、今後は耐久消費財のさらなる普及、経済 のサービス化進展、サービス消費の拡大が予想されます。 また、国務院が新興産業の支援方針を正式に打ち出したことか ら、今後は戦略的新興産業とした省エネ・環境、次世代IT、バイ オ、新エネルギー、エコカーなどの分野の動向に注目が集まると 考えられます。これらの産業におけるイノベーションの促進や新し い技術開発が、今後の中国の経済成長を支えるものと期待されま す。~ 第12次5ヵ年計画 ~
第12次5ヵ年計画の骨子
7大戦略的新興産業
(出所) 各種資料より岡三アセットマネジメント作成 (出所) 各種資料より岡三アセットマネジメント作成 ○構造改革 内需主導の成長 新産業の戦略的な発展 旧来型産業の底上げ ○効率化の改善 業界再編 投資効率の改善 旧型生産能力の段階的廃止 ○国民福祉 所得分配システムの調整 中西部の開発 老齢人口への医療保障の拡大 ○環境保護 GDP当たりエネルギー消費量引き下げ 汚染排出物の削減 資源の保護 省エネ・環境保護 高効率省エネ装備・製品の開発、資源の循環利用、先進 的環境保護、省エネ・環境保護の市場化(廃棄品回収利 用など) 新世代情報技術 ブロードバンド、ユビキタス、安全性の高い通信システ ム、新移動通信、次世代インターネット、三網融合(通信 網、放送網、インターネット) バイオ バイオ医薬、バイオ農業、バイオテクノロジー(先進医療 設備、医療用材料など) ハイエンド装置製造 航空・宇宙産業、鉄道産業、海洋エンジニアリング装備 (海洋資源開発) 新エネルギー 原子力発電技術と原子炉の研究開発、太陽熱エネル ギー利用技術、太陽光発電、風力発電、バイオエネル ギー 新材料 新機能材料(レアアース、高性能膜材料など)、新構造材 料 新エネルギー車 動力電池、駆動電機、電子制御、ハイブリッド車、電気自 動車、燃料電池車、高効率低排気省エネ車 <重慶市中心部で午後9時頃に見られたタクシー待ちの行列>中国政府が経済成長の新たなドライバーとして注力しているの が内需拡大、とりわけ民間消費の拡大です。最低賃金の引き上げ や消費にかかる税の減免、社会保障の充実など、国民の可処分 所得を増やす政策を今後も継続することが予想されます。 中国では2010年、香港・マカオを除く31の省・自治区・直轄市で 法定最低賃金の引き上げが決定されました。その多くにおいて上 昇率は20%以上に達しました。2010年春先以降、中国各地で頻 繁に発生したストライキが最低賃金上昇に拍車をかけたとみられま す。賃金上昇が奏功し、ストライキは収束した模様ですが、雇用者 報酬の水準は依然として低いことから、賃金上昇圧力が今後も続 くと考えられます。それに伴い、農村部では、これまで低賃金を強 いられてきた農民工の賃金上昇が進み、都市部と農村部の賃金 格差の縮小が農村部の消費を下支えすると考えられます。都市部 の消費も、消費力の増大により更なる拡大が見込まれます。 消費拡大を促進する他の要因として、都市化の進展が挙げられ ます。国連による都市化予測によると、中国の都市化率は2000年 の35.8%から2010年には44.9%に上昇する見込みです。中国の 都市人口は全人口の半分に満たないものの、消費総額の3分の2 程度を占めていると考えられており、消費全体に対する影響は大 きくなっています。都市化は、住居やサービス、サービス関連の雇 用機会に対する持続的な需要をもたらすなかで、特に低・中所得 者層の消費拡大に寄与することが期待されます。
2010年 男女別推計人口
(出所) United Nations "World Population Prospects: The 2008 Revision"より岡三アセットマネジメント作成
~ 期待される消費の拡大 ~
48,149 47,874 51,390 56,886 64,150 51,763 47,820 59,902 62,235 51,012 40,343 39,842 28,023 19,747 15,343 10,375 5,282 2,037 561 99 10 39,724 39,113 43,162 49,231 58,396 48,771 45,372 57,114 59,358 48,844 38,329 38,875 27,038 19,250 15,685 11,729 6,813 3,169 1,065 233 33 0 20,000 40,000 60,000 80,000 4歳以下 5-9歳 10-14歳 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳 50-54歳 55-59歳 60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80-84歳 85-89歳 90-94歳 95-99歳 100歳以上 0 20,000 40,000 60,000 80,000 男性 女性 (千名) (千名)2010年の最低賃金と上昇率
小売売上高
(2000/1-2010/11) 0 250 500 750 1,000 1,250 1,500 20 00 /1 20 01 /1 20 02 /1 20 03 /1 20 04 /1 20 05 /1 20 06 /1 20 07 /1 20 08 /1 20 09 /1 20 10 /1 0 5 10 15 20 25 30 小売売上高(左軸) 小売売上高前年同月比(右軸) (10億元) (%) (出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 (出所)各種資料より岡三アセットマネジメント作成 0 200 400 600 800 1000 1200 江 蘇 浙 江 福 建 広 東 山 西 上 海 天 津 山 東 湖 北 寧 夏 吉 林 陝 西 新 疆 江 西 湖 南 北 京 安 徽 海 南 遼 寧 河 南 雲 南 河 北 内 蒙 古 チ ベ ッ ト 四 川 黒 龍 江 青 海 甘 粛 貴 州 広 西 重 慶 5 10 15 20 25 30 35 最低賃金(月額、左軸) 上昇率(前回改定時比、右軸) (%) (元/月額)国連による都市化予測
(出所) United Nations "World Population Prospects: The 2008 Revision"より岡三アセットマネジメント作成 0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 1,200,000 19 50 19 55 19 60 19 65 19 70 19 75 19 80 19 85 19 90 19 95 20 00 20 05 20 10 20 15 20 20 20 25 20 30 20 35 20 40 20 45 20 50 0 10 20 30 40 50 60 70 80 都市人口(左軸) 農村人口(左軸) 都市化率(右軸) (千人) (%)
~ 人民元高は緩やかなペースで ~
中国は2010年6月、人民元相場の弾力化を発表しました。これに より、人民元の対米ドル相場の変動が見られていますが、ここ半年 間の人民元相場の上昇は緩やかなものにとどまっています。堅調 な経済のなか輸出の拡大を続ける中国に対して、特に先進国など から人民元切り上げ圧力は強まっています。一方で、中国当局 は、急速な人民元高による輸出の減速を回避することを目指して いることから、急速な切り上げは想定しにくいと考えます。景気過 熱やインフレ圧力が懸念される局面においては、景気過熱の沈静 化や輸入物価低下などを目的に、切り上げペースが加速すると想 定されるものの、当面の間は人民元高は緩やかなペースで進むも のと考えられます。~ 次期国家主席は習近平氏に ~
2010年10月に開催された五中全会で、習近平国家副主席が共 産党の重要ポストである中央軍事委員会副主席に就任したこと で、中国の次期最高指導者が事実上確定しました。習氏は2012 年秋の共産党全国代表大会で党中央委員長総書記に指名され、 翌2013年春の全人代で国家主席に就く見込みです。人民元対米ドルレート
(出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 (2005/1-2010/12) 6.4 6.6 6.8 7.0 7.2 7.4 7.6 7.8 8.0 8.2 8.4 2005 / 1 2005 / 4 2005 / 7 2005/ 1 0 2006 / 1 2006 / 4 2006 / 7 2006/ 1 0 2007 / 1 2007 / 4 2007 / 7 2007/ 1 0 2008 / 1 2008 / 4 2008 / 7 2008/ 1 0 2009 / 1 2009 / 4 2009 / 7 2009/ 1 0 2010 / 1 2010 / 4 2010 / 7 2010/ 1 0 (人民元/米ドル) <北京市のスーパーマーケット>新規融資額とM2
(出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成固定資産投資
(前年累計比伸び率) (2006/1-2010/11) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 2 006/ 1 2 006/ 4 2 006/ 7 2 006/1 0 2 007/ 1 2 007/ 4 2 007/ 7 2 007/1 0 2 008/ 1 2 008/ 4 2 008/ 7 2 008/1 0 2 009/ 1 2 009/ 4 2 009/ 7 2 009/1 0 2 010/ 1 2 010/ 4 2 010/ 7 2 010/1 0 都市部、年初来累 計伸び率 不動産開発、年初 来累計伸び率 (%) (出所)Bloombergデータより岡三アセットマネジメント作成 (2006/1-2010/11) 0 5 10 15 20 25 30 35 20 06/1 20 06/4 20 06/7 200 6/10 20 07/1 20 07/4 20 07/7 200 7/10 20 08/1 20 08/4 20 08/7 200 8/10 20 09/1 20 09/4 20 09/7 200 9/10 20 10/1 20 10/4 20 10/7 201 0/10 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 新規融資額(10億元,右軸) マネーサプライM2伸び率(左軸) (10億元) (%)2011年の中国・香港株式市場は、①第12次5ヵ年計画の下での 経済成長、②堅調な成長が予想される企業業績、③物価上昇や 不動産市場過熱、④中国当局による金融引き締め政策などが主 な投資テーマとして注目されるものと考えております。 中国のGDP成長率は、足元では2010年第1四半期の11.9%から 低下基調となっています。しかし、12月に開催された中国共産党 中央経済工作会議では、インフレ抑制のほかに、「経済構造の調 整と民生の改善」が経済方針として決められています。具体的に は、消費拡大やサービス産業の振興、省エネ・排出削減、戦略的 新興産業の育成、医療・教育・年金制度の充実などに力が注がれ ると考えられます。今年から始まる第12次5ヵ年計画の下、2011年 も他国に比べ、相対的に高水準の成長率が継続するものと期待さ れます。 2011年前半は、物価上昇や金融引き締めに対する警戒感が短 期的な株価下落を招く局面が予想され、市場動向や政府の政策 スタンスを注視する必要があります。一方で、中国政府は今後も経 済成長を優先する方針であると考えられ、堅調なファンダメンタル ズが株価を下支えすると考えられます。中国では1月から第12次 5ヵ年計画がスタートするため、再び経済成長、内需拡大に向けた 施策が期待され、重点産業となる投資分野の中で、好業績が期待 される銘柄の選別物色が進むと予想されます。 2011年後半にかけては、物価上昇に歯止めがかかり、金融引き 締め観測が徐々に薄れるなか、中国の景気に対する不安が後退 していくものと考えます。米国の景気回復をはじめとする外部環境 の好転や、堅調な企業業績が好材料としてあらためて評価され、 株価に織り込まれていくことで、株式市場は上昇基調を辿るものと 考えています。