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諸外国の著作権の集中管理と 競争政策に関する調査研究 報告書

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Academic year: 2021

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(1)

平成23年度文化庁委託事業 

「著作物等の流通促進に関する調査研究事業」 

           

諸外国の著作権の集中管理と  競争政策に関する調査研究 

 

報告書 

                       

平成24年3月   

 

一般財団法人  比較法研究センター 

 

(2)

                                                         

この調査は、文化庁の委託を受け、 「著作物等の流通促進に関する調査研究事業」として、

実施したものです。 

       

(3)

目 次  

 

Ⅰ .   調 査 研 究 の 概 要 ... 1   

  1 .   調 査 研 究 の 目 的 ··· 1   

  2 .   調 査 研 究 の 方 法 ··· 2   

  3 .   海 外 調 査 実 施 概 要 ··· 4   

Ⅱ .   問 題 点 の 検 討 ··· 5   

  1 .   経 済 分 析 : 著 作 権 管 理 事 業 の 契 約 、 組 織 と 競 争 − 理 論 的 視 点 か ら ··· 5   

  2 .   技 術 分 析 : 権 利 管 理 技 術 の 意 義 、 集 中 管 理 と の 関 連 等 に つ い て ... 22   

  3 .   総 論 : 著 作 権 の 集 中 管 理 と 競 争 政 策 に 関 連 す る 用 語 の 整 理 ... 30   

Ⅲ .   諸 外 国 に お け る 制 度 の 紹 介 ... 34   

  1 .   米 国 ... 34   

  2 .   英 国 ... 87   

  3 .   フ ラ ン ス ... 109   

  4 .   ド イ ツ ... 112   

  5 .   EU ... 120   

Ⅳ .   お わ り に ... 129 

資 料 編   著 作 権 法 に 関 す る 用 語 ... 133 

(4)

 

−1−

 

1 .   調 査 研 究 の 目 的  

 

著 作 権1の 集 中 管 理 は 、権 利 行 使 の 実 効 性 の 確 保 や 権 利 処 理 の 煩 雑 さ の 軽 減 な ど 、著 作 者 の 利 益 の 確 保 と 利 用 者 の 使 い 易 さ の 向 上 が 図 ら れ る 仕 組 み と し て 、 世 界 各 国 で 発 達 し て い る 。  

こ の 集 中 管 理 は 、 一 つ の 窓 口 で 多 数 の 著 作 物 の 利 用 許 諾 が 可 能 と な り 、 取 引 費 用 の 低 減 な ど 権 利 委 託 者 ( 著 作 者 )・ 利 用 者 双 方 に と っ て メ リ ッ ト と な る が 、 集 中 管 理 団 体2が 市 場 独 占 に よ る 優 越 的 地 位 を 利 用 し た 管 理 を 行 え ば 、 そ の 行 為 に よ っ て 同 一 分 野 へ の 管 理 事 業 へ の 新 規 参 入 が 阻 害 さ れ た り 、 使 用 料 の 過 度 な 引 き 上 げ や サ ー ビ ス の 低 下 な ど の デ メ リ ッ ト が 生 じ る 恐 れ が あ る 。  

著 作 権 の 集 中 管 理 に つ い て は 、 諸 外 国 で は 関 係 法 令 に よ り 集 中 管 理 団 体 に 一 定 の 規 制 を 課 し て い る 例 が 多 く 、我 が 国 に お い て も「 著 作 権 等 管 理 事 業 法( 平 成 12 年 11 月 29 日 法 律 第 131 号 )」 に よ り 一 定 の 規 制 措 置 が 講 じ ら れ て い る 。  

ま た 、 各 国 と も 競 争 法 に よ る 一 定 の 規 制 も 行 わ れ て お り 、 国 に よ っ て は 集 中 管 理 団 体 に 関 す る 法 律 と 併 存 し て 規 制 し て い る と こ ろ も あ り 、 そ の 態 様 は ま ち ま ち で あ る 。  

本 事 業 は 、 上 記 の よ う な 関 係 に あ る 著 作 権 の 集 中 管 理 と 競 争 法 の 適 用 に 関 す る 欧 米 先 進 国 に お け る 現 状 や 課 題 等 に つ い て 調 査 し 、 比 較 研 究 を 行 う こ と に よ り 、 今 後 の 集 中 管 理 の 在 り 方 を 考 え る た め の 基 礎 資 料 と す る こ と を 目 的 と し て 、 平 成 21 年 度 か ら 平 成 23 年 度 ま で の 3 年 間 を か け て 行 っ た も の で 、 本 報 告 書 は そ の 最 終 報 告 書 と な る 。  

な お 、 過 去 2 年 間 の 報 告 書 は 、 そ れ ぞ れ 下 記 ウ ェ ブ ペ ー ジ か ら 入 手 可 能 で あ る 。  

・ 平 成 21 年 度 報 告 書 ( 平 成 22 年 3 月 発 行 )  

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/houkokusho̲chosakuken̲201003.pdf 

・ 平 成 22 年 度 報 告 書 ( 平 成 23 年 3 月 発 行 )  

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/shogaikoku̲kyososeisaku.pdf 

       

1 本 報 告 書 は 、 様 々 あ る 著 作 権 の な か で も 音 楽 著 作 権 を 中 心 に と り あ げ る 。  

2 著 作 権 等 の 管 理 を す る 事 業 者 は 、 「 著 作 権 等 管 理 団 体 」 、 「 集 中 管 理 団 体 」 「 著 作 権 管 理 事 業 団 体 」な ど 様 々 な 名 称 が あ る が 、 本 報 告 書 で は 主 に 著 作 権 の 集 中 管 理 を 扱 う こ と か ら 、「 集 中 管 理 団 体 」 の 用 語 を 用 い る 。  

(5)

 

−2−

 

本 調 査 研 究 で は 、 有 識 者 に よ る 委 員 会 を 開 催 し 、 委 員 ・ 事 務 局 を メ ン バ ー と す る 海 外 調 査 も 実 施 し た 。  

 

( 1 )   委 員 会 名 簿  

 

本 調 査 研 究 の 委 員 構 成 は 下 記 の 通 り で あ る 。  

【 座 長 】  

村 上   政 博     一 橋 大 学 大 学 院 国 際 企 業 戦 略 研 究 科   教 授    

【 座 長 代 理 】  

苗 村   憲 司     情 報 セ キ ュ リ テ ィ 大 学 院 大 学     客 員 教 授    

【 委 員 】  

青 柳     由 香   東 海 大 学 法 学 部       専 任 講 師   井 奈 波   朋 子   イ ン フ ォ テ ッ ク 法 律 事 務 所     弁 護 士   栗 田     誠     千 葉 大 学 大 学 院 専 門 法 務 研 究 科   教 授   泉 水     文 雄   神 戸 大 学 法 科 大 学 院 法 学 研 究 科   教 授   茶 園     成 樹   大 阪 大 学 大 学 院 高 等 司 法 研 究 科   教 授   長 岡     貞 男   一 橋 大 学 イ ノ ベ ー シ ョ ン 研 究 セ ン タ ー  教 授   宮 下     佳 之   西 村 あ さ ひ 法 律 事 務 所      弁 護 士   本 山     雅 弘   国 士 舘 大 学 法 学 部       教 授  

( ※ 以 上 五 十 音 順 、 敬 称 略 、 肩 書 き は 平 成 24 年 3 月 現 在 )  

【 事 務 局 】  

山 中   弘 美     文 化 庁 長 官 官 房 著 作 権 課  著 作 物 流 通 推 進 室 長  

佐 藤   敏 明     文 化 庁 長 官 官 房 著 作 権 課  著 作 物 流 通 推 進 室 著 作 権 電 子 取 引 専 門 官   内 村   太 一     文 化 庁 長 官 官 房 著 作 権 課  著 作 物 流 通 推 進 室 管 理 係 長  

神 田   将 司     文 化 庁 長 官 官 房 著 作 権 課  著 作 物 流 通 推 進 室 管 理 係 員    

木 下   孝 彦     一 般 財 団 法 人 比 較 法 研 究 セ ン タ ー (KCLC) 主 幹 研 究 員   菊 本   千 秋     一 般 財 団 法 人 比 較 法 研 究 セ ン タ ー  研 究 員  

市 政   梓     一 般 財 団 法 人 比 較 法 研 究 セ ン タ ー  研 究 員   清 水   利 明     一 般 財 団 法 人 比 較 法 研 究 セ ン タ ー  特 別 研 究 員  

(6)

 

−3−

 

委 員 会 は 計 4 回 開 催 し 、 開 催 日 、 議 題 内 容 は 下 記 の 通 り で あ る 。  

  開 催 日 と 主 な 議 題  

第 1 回   開 催 日 : 平 成 23 年 7 月 6 日 ( 水 )   (1)  年 間 ス ケ ジ ュ ー ル  

(2)  海 外 調 査 に つ い て   

(3)  そ の 他 ( 意 見 交 換 ・ コ メ ン ト 等 )   第 2 回   開 催 日 : 平 成 23 年 11 月 10 日 ( 木 )  

(1)  海 外 調 査 報 告  

(2)  専 門 用 語 の 異 同 の 分 析 結 果   (3)  報 告 書 の ま と め 方   

(4)  そ の 他 ( 意 見 交 換 ・ コ メ ン ト 等 )   第 3 回   開 催 日 : 平 成 23 年 12 月 28 日 ( 水 )  

(1)  各 委 員 か ら の 報 告 書 原 案 の 報 告   (2)  そ の 他 ( 意 見 交 換 ・ コ メ ン ト 等 )   第 4 回   開 催 日 : 平 成 24 年 2 月 17 日 ( 金 )  

(1)  各 委 員 か ら 報 告 書 修 正 の 報 告   (2)  そ の 他 ( 意 見 交 換 ・ コ メ ン ト 等 )    

( 3 )   報 告 書 執 筆 担 当 部 分  

 

Ⅰ .   調 査 研 究 の 概 要  

Ⅱ .   問 題 点 の 把 握  

1 .   著 作 権 管 理 事 業 の 契 約 、 組 織 と 競 争 の 経 済 分 析   長 岡   貞 男   2 .   権 利 管 理 技 術 の 意 義 、 集 中 管 理 と の 関 連 等 に つ い て   苗 村   憲 司   3 .   著 作 権 の 集 中 管 理 と 競 争 政 策 に 関 連 す る 用 語 の 整 理   宮 下   佳 之  

Ⅲ .   諸 外 国 に お け る 制 度 の 紹 介  

1 .   米 国       栗 田   誠  

2 .   英 国       青 柳   由 香  

3 .   フ ラ ン ス       井 奈 波   朋 子  

4 .   ド イ ツ       本 山   雅 弘  

5 .   EU      青 柳   由 香  

Ⅳ .   お わ り に       村 上   政 博   ( 敬 称 略 )  

(7)

 

−4−

 

( 1 )   調 査 団 の 構 成  

 

下 記 調 査 団 を 派 遣 し 、 海 外 調 査 を 行 っ た 。  

( 敬 称 略 )  

調 査 団 メ ン バ ー   担 当 部 分  

村 上   政 博   一 橋 大 学 大 学 院 国 際 企 業 戦 略 研 究 科  教 授   団 長 と し て 参 加 : 全 行 程   栗 田   誠   千 葉 大 学 大 学 院 専 門 法 務 研 究 科  教 授   ア メ リ カ  

青 柳   由 香   東 海 大 学 法 学 部  専 任 講 師   イ ギ リ ス   佐 藤   敏 明   文 化 庁 長 官 官 房 著 作 権 課 著 作 物 流 通 推 進 室  

      著 作 権 電 子 取 引 専 門 官  

イ ギ リ ス  

市 政   梓   一 般 財 団 法 人 比 較 法 研 究 セ ン タ ー  研 究 員   全 行 程    

( 2 )   調 査 日 程 ・ 訪 問 先 等    

平 成 23 年 9 月 23 日 〜 30 日 の 間 に 、 下 記 の 通 り 、 ヒ ア リ ン グ を 実 施 し た 。  

 

日 程   訪 問 国 ・ 都 市   訪 問 先  

U.S. Department of Justice  9 月 23 日   ア メ リ カ  

ワ シ ン ト ン D.C 

United States Copyright Office 

Broadcast Music, Inc( BMI)  

9 月 26 日   ア メ リ カ  

ニ ュ ー ヨ ー ク   American  Society  of  Composers,  Authors  and  Publishers(ASCAP) 

Sony Music Publishing 

Mr. I. Fred Koeningsberg, Esq  (White & Case, LLP に て ヒ ア リ ン グ )  9 月 27 日   ア メ リ カ  

ニ ュ ー ヨ ー ク  

CBS  9 月 29 日   イ ギ リ ス  

ロ ン ド ン  

Intellectual Property Office(IPO) 

(Copyright Tribunal の 担 当 者 も 一 緒 に ヒ ア リ ン グ を 実 施 )  9 月 30 日   イ ギ リ ス  

ロ ン ド ン  

PRS for Music  

(CELAS の 担 当 者 も 一 緒 に ヒ ア リ ン グ を 実 施 ) 

(8)

 

−5−

 

1 .   経 済 分 析 : 著 作 権 管 理 事 業 の 契 約 、 組 織 と 競 争 − 理 論 的 視 点 か ら

3

 

 

( 1 )   は じ め に  

 

各 国 で 集 中 管 理 団 体 は 独 占 的 な 状 態 が 存 続 し て い る 。 日 本 で は 参 入 が 自 由 化 さ れ て い る が 、 音 楽 に 関 す る 著 作 権 に つ い て は 、 実 質 上 一 つ の 団 体 (一 般 社 団 法 人  日 本 音 楽 著 作 権 協 会 、以 下 JASRAC)の 独 占 状 態 で あ る 。米 国 で は 参 入 規 制 は 無 く 、1940年 か ら 長 く 二 つ の 集 中 管 理 団 体 (ASCAP(American Society of Composers, Authors and Publishers)と BMI(Broadcast  Music, Inc.))が 存 在 し て い る が 、 そ の 後 大 き な 参 入 は 無 い 。 本 稿 で は 、 集 中 管 理 団 体 で こ の よ う に 独 占 状 態 に あ る の は 何 故 か 、 ま た そ れ が ど の よ う な 影 響 を 持 っ て い る か を 、 既 存 文 献 に よ り な が ら 主 と し て 理 論 的 な 角 度 か ら 検 討 す る 。 し た が っ て 以 下 は あ く ま で も 理 論 的 な 考 察 で あ り 、 実 証 的 な 検 討 が 別 途 必 要 で あ る 。 

以 下 の ( 2 ) で は 、 著 作 権 管 理 契 約 及 び ラ イ セ ン ス 契 約 の 特 徴 を 分 析 す る 。 先 ず 、 著 作 権 が 集 中 管 理 団 体 に 譲 渡 さ れ る の で は な く 、 同 事 業 者 に 著 作 権 管 理 が 委 託 さ れ る 契 約 と な っ て い る こ と に ど の よ う な 経 済 的 な 合 理 性 が あ る か を 検 討 す る 。 ま た 大 半 の 音 楽 著 作 物 は

「包 括 契 約 」で 放 送 局 な ど の ユ ー ザ ー に ラ イ セ ン ス さ れ て い る が 、 そ の 原 因 を 検 討 す る 。   続 く ( 3 ) で は 、 集 中 管 理 団 体 と 著 作 者 と の 関 係 、 つ ま り 集 中 管 理 団 体 の ガ バ ナ ン ス の 仕 組 み あ る い は そ の 買 手 独 占 力 に よ っ て 著 作 物 が 過 小 に 供 給 さ れ る 可 能 性 に つ い て 分 析 す る 。日 本 の JASRAC を は じ め と し て 各 国 の 集 中 管 理 団 体 で は 、著 作 権 の 権 利 者 が ガ バ ナ ン ス 上 重 要 な 役 割 を 果 た す 組 織 と な っ て い る 。 既 存 文 献 で は 集 中 管 理 団 体 の 事 業 に 共 同 組 合 の 理 論 を 援 用 し 、 著 作 権 収 入 を 団 体 が プ ー ル し て そ れ を 各 著 作 権 者 に 分 配 す る 環 境 下 で は 、 一 人 当 た り の 余 剰 (収 入 -費 用 )を 増 や す た め に メ ン バ ー を 制 限 す る 可 能 性 が あ る こ と 、ま た メ ン バ ー シ ッ プ が オ ー プ ン で あ れ ば 逆 の 効 果 が あ る こ と を 指 摘 し て い る 。 本 節 で は 、 著 作 権 者 と 集 中 管 理 団 体 と の 間 の 契 約 の タ イ プ (委 任 契 約 、 包 括 契 約 )が こ の よ う な 分 析 の 結 論 に ど の よ う な 影 響 を 与 え る か を 分 析 す る 。  

( 4 ) で は 、 著 作 権 管 理 に お け る 規 模 の 経 済 に つ い て 検 討 し 、 参 入 が 自 由 化 さ れ た 場 合 に 、 独 占 状 態 が 続 く 原 因 と し て ど の よ う な 要 因 が あ り 得 る か を 検 討 す る 。 規 模 の 経 済 が あ っ て も 独 占 と は な ら な い の が 通 例 で あ る が 、 規 模 の 経 済 が 大 き い 場 合 、 あ る い は (and/or) ま た 規 制 等 に よ っ て 既 存 企 業 が 競 争 的 ・ 効 率 的 に 行 動 す る 仕 組 み が あ る 場 合 に は 、 参 入 が        

3 本稿の作成に当たっては、村上政博座長をはじめ、委員会メンバーから貴重なコメントを頂いたことに感謝申し上げた い。特に泉水文雄委員には貴重なコメントとご示唆を頂いた。 

なお、本文中に括弧書きで表記する略称された文献については、本報告書 21 頁【参考資料3】に掲げる参考文献の略称 となる。 

(9)

 

−6−

る 。  

( 5 ) で は 、 著 作 権 の ラ イ セ ン ス 市 場 を 分 析 す る 。 集 中 管 理 団 体 に よ る 一 括 ラ イ セ ン ス は 、 補 完 的 な 著 作 物 の ラ イ セ ン ス を 効 率 的 に 進 め る 機 能 が あ る と 同 時 に 、 競 合 す る 著 作 権 を 保 有 す る 著 作 権 者 の 間 の カ ル テ ル と し て 機 能 す る 可 能 性 も あ る 。 こ う し た 可 能 性 に 対 処 す る た め に 、 集 中 管 理 団 体 に よ る 著 作 権 の ラ イ セ ン ス 条 件 は 、 政 府 (米 国 で は 裁 判 所 の )の 監 督 下 に あ る 。 こ の た め に 、 集 中 管 理 団 体 が ラ イ セ ン ス を 拒 否 し た り 、 一 方 的 に 決 定 す る こ と は 困 難 で あ り 、 利 用 団 体 と の 交 渉 で 無 差 別 な ラ イ セ ン ス 条 件 の 合 意 が 必 要 で あ り 、 そ の 含 意 を 述 べ る 。  

( 6 ) で は 結 論 を ま と め る 。 後 掲 18 頁 【 参 考 資 料 1 】 に 、 Besen, Kirby and Salop に よ る 伝 統 的 な 分 析 経 済 用 語 の 定 義 と 解 説 を 述 べ る 。  

 

( 2 )   著 作 権 管 理 契 約 及 び ラ イ セ ン ス 契 約 の 特 徴  

 

( ⅰ )   著 作 権 者 か ら の 個 別 の 委 託 契 約 及 び 利 用 者 へ の 包 括 契 約  

 

著 作 権 管 理 事 業 法 は 、 著 作 権 管 理 を 委 託 す る 契 約 と し て 、 信 託 契 約 、 取 り 次 ぎ 契 約 そ し て 代 理 契 約 を 定 め て い る が (事 業 法 第 2 条 及 び 第 11 条 )、い ず れ も 個 々 の 著 作 権 者 に 代 わ っ て 集 中 管 理 団 体 が 著 作 権 の ラ イ セ ン ス 契 約 を 行 っ て 使 用 料 を 徴 収 す る こ と を 定 め て い る (市 村 直 也 (2009))4。し た が っ て 、著 作 権 収 入 は 個 別 の 集 中 管 理 団 体 毎 に 確 定 さ れ 、当 該 著 作 権 者 に 支 払 う こ と が 期 待 さ れ て お り 、 著 作 権 か ら の 収 入 を 集 中 管 理 団 体 が プ ー ル を し て 再 配 分 す る こ と は 契 約 上 可 能 と な っ て い な い 。 ま た こ れ を 反 映 し て 、 集 中 管 理 団 体 も 個 別 楽 曲 の 使 用 実 績 を で き る だ け 正 確 に 測 定 す る 努 力 を し て き て い る 。  

同 時 に 、 集 中 管 理 団 体 に お い て 利 用 者 へ の ラ イ セ ン ス と し て 最 も よ く 利 用 さ れ て い る の は 、曲 別 契 約 で は な く 、包 括 契 約 (blanket license)で あ る 。こ の 点 は 、日 本 の 集 中 管 理 団 体 の み で は な く 、米 国 の 集 中 管 理 団 体 で も 共 通 で あ る (Caves(2000))。包 括 契 約 に は 以 下 の 二 つ の 特 徴 が あ る 。 第 一 に 対 象 と な る レ パ ー ト リ ー 内 の ど の 著 作 物 を 利 用 し て も 良 い 。 第 二 に 、使 用 料 は 、利 用 す る 著 作 物 の 数 と も そ の 利 用 頻 度 と も 独 立 で 固 定 的 で あ る 。た だ し 、 個 別 の 楽 曲 等 の 利 用 頻 度 は 把 握 さ れ て お り 、 そ れ は 著 作 権 収 入 の 個 別 著 作 権 者 へ の 配 分 に 利 用 さ れ て い る 。  

 

       

4 信託契約の特徴については市村直也「JASRAC の音楽著作権管理」紋谷暢男編『JASRAC 概論:音楽著作権の方と管理』(日 本評論社、2009 年)を参照。 

(10)

 

−7−

い る 理 由  

 

集 中 管 理 団 体 に 著 作 権 を 譲 渡 す る の で は な く 、 管 理 を 委 託 す る 契 約 に な っ て い る こ と に は 次 の よ う な 経 済 的 な 合 理 性 が あ る と 考 え ら れ る 。 第 一 に 、 著 作 権 管 理 事 業 者 と 著 作 権 者 の 間 に 楽 曲 の 質 (ラ イ セ ン ス 可 能 性 )に つ い て の 事 前 に は 情 報 非 対 称 性 が あ る の で 、 楽 曲 の 質 を 反 映 し た 譲 渡 価 格 の 設 定 が な さ れ な い 可 能 性 が あ る 。 管 理 委 託 契 約 で は 、 各 楽 曲 の 利 用 実 績 に 応 じ た 支 払 い が 事 後 的 に な さ れ る 仕 組 み で あ る の で 、 情 報 の 非 対 称 性 が 取 引 を 制 約 し な い 。 第 二 に 、 譲 渡 価 格 を 決 定 し よ う と す る と 著 作 権 管 理 事 業 者 と 著 作 権 者 が そ れ ぞ れ 著 作 権 の 価 値 を 事 前 に 評 価 し 、 価 格 決 定 の た め の 交 渉 を 行 う た め に 大 き な 取 引 費 用 を か け る 必 要 が あ る 。 こ の よ う な 取 引 費 用 も 管 理 委 託 契 約 で は 、 避 け る こ と が で き る 。  

次 に 集 中 管 理 団 体 が 利 用 者 へ の ラ イ セ ン ス に 当 た っ て 包 括 契 約 を 利 用 し て い る こ と が 多 い の は 何 故 か 、 以 下 そ の 理 由 を 分 析 す る 。 著 作 物 の 個 別 ラ イ セ ン ス と 比 較 す る か た ち で 、 要 点 を 以 下 の 表 Ⅱ -1-1 に ま と め て い る 。第 一 に 、放 送 局 、カ ラ オ ケ な ど の 著 作 物 の ユ ー ザ ー に 、 音 楽 著 作 物 の レ パ ー ト リ ー へ の 需 要 が あ る 中 、 著 作 権 者 毎 に 個 別 の 楽 曲 に 価 格 を 設 定 し よ う と す る と 、 著 作 権 管 理 契 約 の 場 合 と 同 様 に 、 個 別 の 著 作 物 を 事 前 に 評 価 す る コ ス ト に 加 え て 、 個 別 に 契 約 の コ ス ト 及 び エ ン フ ォ ー ス メ ン ト の コ ス ト が 個 別 に 発 生 す る 。 包 括 契 約 の 場 合 は 、 ラ イ セ ン ス 対 象 と な る 音 楽 著 作 物 全 体 の 経 済 的 な 価 値 の み を 評 価 す れ ば 良 く 、 個 別 著 作 物 の 価 値 の 評 価 は 事 後 的 に 利 用 実 績 に 応 じ て 行 え ば よ い 。 ま た 、 契 約 は 対 象 の 全 て の 著 作 物 に 一 つ で あ り 、 エ ン フ ォ ー ス メ ン ト も し 易 い 。  

第 二 に 、既 に 創 造 さ れ て い る 著 作 物 の 利 用 か ら の 効 用 価 値 (著 作 権 利 用 に よ る 効 用 の 経 済 的 な 価 値 の 合 計 )を 最 大 に す る に は 、既 に 存 在 す る 著 作 物 の 利 用 拡 大 の 限 界 費 用 は ゼ ロ で あ る こ と を 反 映 し て 、 利 用 者 に よ る 追 加 的 利 用 の 価 格 を ゼ ロ と す る こ と が 必 要 で あ る 。 包 括 契 約 で は 、 契 約 対 象 の 著 作 物 に つ い て 、 各 著 作 物 の 利 用 の 頻 度 や 利 用 対 象 の 著 作 物 が 増 え て も 利 用 者 に 追 加 料 金 は 発 生 し な い 。 こ の た め 包 括 契 約 の 費 用 を 一 回 支 払 っ た 契 約 者 に よ っ て 、 包 括 契 約 の 対 象 と な る 著 作 物 は 最 大 限 利 用 さ れ 、 契 約 対 象 の 著 作 物 利 用 か ら の 社 会 的 な 余 剰 は 最 大 に な る 。 そ の 余 剰 の 一 部 を 固 定 料 金 と し て 集 中 管 理 団 体 が 徴 収 す る こ と に な り 、著 作 権 者 に も 利 用 拡 大 か ら の 収 入 の 一 部 が 還 元 さ れ る 。他 方 で 、個 別 契 約 の 場 合 は 、 個 別 著 作 物 毎 に 料 金 が 設 定 さ れ る の で 、 著 作 物 の 利 用 の 数 が 増 え る 毎 に 著 作 物 の 利 用 者 に は 必 ず 追 加 料 金 が 発 生 す る 。  

な お 、 集 中 管 理 団 体 が 多 数 の 著 作 権 者 の 著 作 物 を 一 括 管 理 す る こ と で 、 著 作 権 者 が 個 別 に 価 格 を 設 定 す る 場 合 に 生 じ る 可 能 性 が あ る 、 ロ イ ヤ ル テ ィ ー ・ ス タ ッ キ ン グ の 問 題 も 避 け る こ と が で き る 。 放 送 会 社 や カ ラ オ ケ バ ー な ど は 事 前 に 利 用 す る 楽 曲 を 定 め る こ と は で き な い の で 、 楽 曲 を 束 (「 レ パ ー ト リ ー 」 )と し て ラ イ セ ン ス す る こ と に な る 。 そ の 場 合 、

(11)

 

−8−

な 楽 曲 の 束 全 体 へ の 需 要 が 減 少 す る こ と に よ る 他 の 著 作 権 者 へ の 悪 影 響 は 勘 案 し な い 。 結 果 と し て 、 高 す ぎ る 価 格 に な る 危 険 性 が あ る 。 集 中 管 理 団 体 に よ る 包 括 契 約 は こ う し た 問 題 を 回 避 す る 。  

他 方 で 、 集 中 管 理 団 体 に 著 作 権 が 集 約 化 さ れ る 結 果 、 著 作 権 者 の 間 の 競 争 は 無 く な る 。 例 え ば 、 二 つ の 代 替 性 が 高 い 著 作 物 A と B が あ る 場 合 、 そ れ ぞ れ が 片 方 の み し か 利 用 で き な い 場 合 に は v の 価 値 が あ っ て も 、 も し 競 争 が あ れ ば 価 格 は ゼ ロ と な る 。 こ れ ら が 共 に 、 集 中 管 理 団 体 に 信 託 さ れ た 場 合 、集 中 管 理 団 体 は 著 作 物 A と B を 競 争 さ せ る と 考 え ら れ ず 、 包 括 契 約 で あ っ て も そ う で な く て も 、 価 格 は 0 に は 低 下 し な い 。 包 括 契 約 の 場 合 に は 、 い ず れ も が 束 の ひ と つ と し て ラ イ セ ン ス さ れ 、 そ れ ぞ れ の 利 用 頻 度 に 応 じ て ラ イ セ ン ス 料 は 支 払 わ れ る 。  

他 方 で 、 包 括 契 約 に よ る 収 入 を 、 事 後 的 に 個 別 の 著 作 物 の 利 用 頻 度 に 応 じ て 分 配 さ れ る 結 果 、 各 著 作 物 の 追 加 的 な 価 値 で は な く 、 ラ イ セ ン ス さ れ て い る 全 著 作 物 の 平 均 価 値 に 比 例 し て 、 使 用 料 が 支 払 わ れ る こ と に な る 。 著 作 物 の 平 均 的 な 価 値 が 追 加 的 な 価 値 よ り も 低 い と 、低 い 質 の 著 作 物 を 補 助 す る 結 果 と な り 、非 効 率 な 行 動 を も た ら す 可 能 性 も あ る (4 節 を 参 照 )。  

(12)

 

−9−

  包 括 契 約   個 別 契 約   備 考  

音 楽 著 作 物 の レ パ ー ト リ ー へ の 需 要 が あ る 中 、 著 作 物 評 価 の コ ス ト 、契 約 コ ス ト 、 及 び エ ン フ ォ ー ス メ ン ト  

レ パ ー ト リ ー 全 体 の 価 値 を 事 前 に 評 価 す れ ば 良 く 、 個 別 に 評 価 す る 必 要 な い 。 一 回 の み の 契 約 か つ エ ン フ ォ ー ス メ ン ト の 集 中  

事 前 に 評 価 が 必 要 。 著 作 物 毎 の 契 約 と エ ン フ ォ ー ス メ ン ト  

包 括 契 約 の 方 が エ ン フ ォ ー ス メ ン ト は し 易 い  

利 用 す る 著 作 物 の 種 類 が 増 加 し た 場 合 の 追 加 料 金  

ゼ ロ   有 料   社 会 的 な 費 用 は ゼ ロ

特 定 の 著 作 物 の 利 用 が 増 加 し た 場 合 の 追 加 料 金  

ゼ ロ   有 料 か ゼ ロ   社 会 的 な 費 用 は ゼ ロ

ロ イ ヤ ル テ ィ ー ・ ス タ ッ キ ン グ の 問 題 及 び 競 争  

(1)ロ イ ヤ ル テ ィ ー ・ ス タ ッ キ ン グ の 問 題 は 無 い  

(2)著 作 権 者 間 の 競 争 は 無 い (但 し 、料 金 は 利 用 者 代 表 と の 交 渉 で 決 定 ) 

個 別 契 約 で か つ 著 作 権 者 が ラ イ セ ン ス を し て い る 場 合   (1)ロ イ ヤ ル テ ィ ー ・ ス タ ッ キ ン グ の 問 題 が 生 ず る 可 能 性 (2)競 争 が あ る  

ロ イ ヤ ル テ ィ ー ・ ス タ ッ キ ン グ の 問 題 及 び 競 争 の 問 題 は 、 包 括 契 約 か ど う か で は な く 、 著 作 権 が 集 中 管 理 さ れ る か ど う か に 依 存 し て い る    

( 3 )   集 中 管 理 団 体 と 著 作 権 者 と の 関 係  

 

集 中 管 理 団 体 は 、 株 主 な ど 出 資 者 の 利 益 を 最 大 に す る た め の 営 利 法 人 で は な く 、 著 作 者 が 共 同 で 著 作 権 管 理 を 行 う 団 体 で あ る 場 合 、 独 占 で あ っ て も 利 潤 の 最 大 化 を 目 指 す 通 常 の 独 占 企 業 と は 行 動 原 理 が 全 く 異 な る こ と に な る 。 こ う し た 組 織 に 共 同 組 合 の 理 論 を ベ ー ス と し た Besen, Kirby and Salop に よ る 伝 統 的 な 分 析 は 、 加 入 メ ン バ ー を 制 限 す る 可 能 性 を 指 摘 し た 。 ま た 、 著 作 権 者 の 意 向 と 独 立 に 、 集 中 管 理 団 体 が 買 手 独 占 力 を 発 揮 す る 可 能 性 も あ る か も 知 れ な い 。 以 下 こ れ ら を 順 に 分 析 す る 。  

 

(13)

 

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多 く の 国 で 集 中 管 理 団 体 は 、 出 資 者 の 利 益 を 追 求 す る 組 織 で は な く 、 著 作 権 者 が そ の ガ バ ナ ン ス に 重 要 な 役 割 を 果 た す 組 織 と な っ て い る 。 日 本 で 最 も 大 き な 集 中 管 理 団 体 で あ る JASRAC の 場 合 、 JASRAC と 信 託 契 約 を 結 ん だ 著 作 権 者 を 会 員 ・ 社 員 と す る 社 団 法 人 で あ り 、 株 主 利 益 を 追 求 す る 営 利 企 業 で は な い 。す な わ ち そ の 目 的 は 「本 会 は 、音 楽 の 著 作 物 の 著 作 権 を 保 護 し 、 あ わ せ て 音 楽 の 著 作 物 の 利 用 の 円 滑 を 図 り 、 も っ て 音 楽 文 化 の 普 及 発 展 に 寄 与 す る こ と を 目 的 と す る 。 」(定 款 )と さ れ て い る 。  

株 主 利 益 を 追 求 す る 営 利 企 業 で は な い 理 由 と し て は 以 下 が 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 第 一 に 、 著 作 権 者 は 楽 曲 を 創 造 す る た め の 投 資 を し て か ら 契 約 交 渉 を す る の で 、 契 約 段 階 で は そ れ が 埋 没 費 用 (サ ン ク コ ス ト )と な っ て い る た め に 交 渉 力 が 一 般 に 弱 い 。 こ の 点 は 、 発 明 者 が 企 業 で 雇 用 さ れ て お り 、 研 究 開 発 費 用 は 企 業 が 負 担 し て い る 点 と 大 き く 異 な る 。 第 二 に 、 集 中 管 理 団 体 が 営 利 企 業 の 場 合 、 買 い 手 独 占 と し て 著 作 権 者 に 対 し て 独 占 力 を 発 揮 す る 可 能 性 が あ る 。 サ ン ク コ ス ト に よ る 著 作 権 者 側 の 交 渉 上 の 不 利 や 集 中 管 理 団 体 に よ る 買 手 独 占 を 防 止 す る 上 で は 、 団 体 を 著 作 権 者 に よ っ て 監 視 し 管 理 で き る 組 織 と す る こ と が 合 理 的 で あ る 。  

 

( ⅱ )   著 作 者 に よ る 共 同 組 合 型 の ガ バ ナ ン ス と 委 任 契 約 の 帰 結  

 

集 中 管 理 団 体 は 、 株 主 な ど 出 資 者 の 利 益 を 最 大 に す る た め の 営 利 法 人 で は な く 、 著 作 者 が 共 同 で 集 中 管 理 を 行 う 団 体 で あ る 場 合 、 独 占 で あ っ て も 利 潤 の 最 大 化 を 目 指 す 通 常 の 独 占 企 業 と は 行 動 原 理 が 全 く 異 な る こ と に な る 。 こ の 分 野 の 伝 統 的 な 分 析 (Besen, Kirby and  Salop(1992))で は 、著 作 権 収 入 を プ ー ル し て そ れ を 各 著 作 権 者 に 分 配 す る 協 同 組 合 と し て 、 集 中 管 理 団 体 を 性 格 付 け し て い る 。そ の 主 要 な 結 論 は 以 下 の 通 り で あ る (詳 細 は 参 考 資 料 1 18 頁 を 参 照 )。  

①   メ ン バ ー シ ッ プ が ク ロ ー ズ ド の 場 合 に は 、一 人 当 た り の 余 剰 (収 入 -費 用 )を 増 や す た め に 加 入 メ ン バ ー を 制 限 す る 誘 因 が 発 生 す る 可 能 性 も あ る  

②   オ ー プ ン ・ メ ン バ ー シ ッ プ の 集 中 管 理 団 体 は 、 著 作 者 に な る 機 会 費 用 を カ バ ー し な い 収 入 し か も た ら さ な い よ う な 著 作 者 の 団 体 へ の 加 盟 を も た ら す ほ ど 著 作 物 の 供 給 は 拡 大 す る 。 

 

  上 述 し た 共 同 組 合 の 理 論 を ベ ー ス と し た Besen, Kirby and Salop に よ る 伝 統 的 な 分 析 は 、 著 作 権 者 が 著 作 権 管 理 を 集 中 管 理 団 体 に 単 に 委 任 契 約 し て い る 場 合 に は 直 接 は 当 て は ま ら な い 。 著 作 権 ラ イ セ ン ス か ら の 収 入 は 集 中 管 理 団 体 を 経 由 す る も の の 、 経 費 を 除 い て

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契 約 で あ り 、著 作 権 者 に は 、新 た に そ の 著 作 権 が 追 加 さ れ る こ と に よ る 収 入 増 加 分 (限 界 収 入 )が 配 分 さ れ る の で は な く 、利 用 頻 度 の シ ェ ア に よ っ て 、包 括 契 約 か ら の 余 剰 (収 入 -費 用 ) が 分 配 さ れ る の で 、 協 同 組 合 型 に 接 近 し て い る 面 も あ る 。 も し 各 著 作 権 者 の 著 作 物 の 利 用 頻 度 が 全 く 等 し い 場 合 に は 、 伝 統 的 な 分 析 が そ の ま ま 当 て は ま る 。  

し か し 、 著 作 権 管 理 契 約 は 委 任 契 約 で あ る こ と を 反 映 し て 、 著 作 物 の 利 用 頻 度 が 著 作 権 使 用 料 の 配 分 基 準 で あ る こ と は 、 各 著 作 者 の 収 入 を 限 界 収 入 に 接 近 さ せ て お り 、 会 員 の 過 剰 な 制 限 や 過 剰 な 参 入 へ の 誘 因 は 弱 ま っ て い る と 考 え ら れ る 。 す な わ ち 、 人 気 の あ る 楽 曲 を 保 有 し て い る 著 作 権 者 が そ の 著 作 権 収 入 を 分 け た く な い 理 由 で 会 員 の 増 加 を 抑 え た い と い う 誘 因 は 無 く 、 ま た 、 収 入 が 分 け ら れ る と い う 期 待 か ら ラ イ セ ン ス 実 績 が ほ と ん ど 見 込 め な い 著 作 権 者 が 会 員 に な る 誘 因 も 無 い 。 

 

( ⅲ )   買 い 手 独 占 力 の 規 制  

 

仮 に 著 作 権 者 に よ る 集 中 管 理 団 体 へ の ガ バ ナ ン ス が 十 分 機 能 せ ず 、 同 団 体 が 買 い 手 独 占 を 発 揮 で き る 利 潤 追 求 を し た と す れ ば 、 買 い 手 独 占 の 理 論 が 示 唆 す る よ う に 、 集 中 管 理 団 体 は 高 い 手 数 料 を 委 託 契 約 に 要 求 す る こ と 等 に よ っ て 著 作 権 の 著 作 権 者 へ の 対 価 を 下 げ 、 そ の 結 果 著 作 権 の 供 給 が 減 少 す る 可 能 性 が あ る 。  

し か し 、 著 作 権 管 理 事 業 法 は こ う し た 可 能 性 を 抑 制 し て い る 。 著 作 権 の 管 理 委 託 契 約 約 款 を 文 化 庁 長 官 に 届 出 (事 業 法 第 11 条 )、 そ れ は 公 示 さ れ (事 業 法 第 15 条 )、 か つ 委 託 者 の 利 益 を 害 す る 事 実 が あ る と 文 化 庁 長 官 が 認 め る と き は 業 務 改 善 命 令 を 出 す こ と に な っ て い る (事 業 法 第 20 条 )5。 特 に 、 次 の 要 因 は 買 い 手 独 占 の 源 泉 と な る と 考 え ら れ る 。 ① す べ て を 管 理 委 託 す る か 一 切 し な い か の 選 択 肢 し か な く 、 権 利 者 は 権 利 ご と に 委 託 す る か 否 か の 選 択 が で き な い 。 ② 代 替 的 な 管 理 事 業 者 が 実 質 的 に は 存 在 せ ず 、 か つ 自 分 で 管 理 す る コ ス ト は 禁 止 的 に 高 い 。ま た 、集 中 管 理 団 体 へ の 委 託 は 著 作 権 者 が 自 由 に 選 択 で き る オ ー プ ン・

メ ン バ ー シ ッ プ で あ る 。例 え ば 、JASRAC の 場 合 、ラ イ ン セ ン ス さ れ る 見 込 み を 示 す 最 低 限 の 実 績 が あ れ ば 誰 で も 信 託 契 約 は 可 能 で あ り 、 ま た そ の 後 も 1 年 半 の 間 に 分 配 の 実 績 が あ れ ば 、 信 託 契 約 は 更 新 可 能 で あ る 。  

 

       

5 日本の著作権等管理事業法の第 20 条では、「文化庁長官は、著作権等管理事業者の事業の運営に関し、委託者又は利 用者の利益を害する事実があると認めるときは、委託者又は利用者の保護のため必要な限度において、当該著作権等管 理事業者に対し、管理委託契約約款又は使用料規程の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ず ることができる。」と規定している。 

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存 続 し て い る 原 因 の 分 析  

 

( ⅰ )   規 模 の 経 済 と 産 業 組 織  

 

規 模 の 経 済 と は 、 企 業 の あ る 商 品 の 供 給 拡 大 に よ っ て 、 企 業 が 供 給 す る 上 で の そ の 商 品 の 平 均 費 用 が 低 下 す る 現 象 ( = 限 界 費 用 が 平 均 費 用 を 下 回 る 状 態 ) を 意 味 し て い る 。 ま た 範 囲 の 経 済 と は 、 複 数 の 生 産 物 を 同 一 の 企 業 内 で 供 給 す る 方 が そ の 供 給 費 用 が 低 下 す る 減 少 を 指 し て い る 。 い ず れ も 、 供 給 量 に 依 存 し な い 、 固 定 費 用 が 存 在 す る こ と が 、 基 本 的 な 原 因 で あ る 。 以 下 で は 必 要 が な け れ ば 、 規 模 の 経 済 と 範 囲 の 経 済 を 特 に 区 別 し な い 。 自 然 独 占 と は 、 企 業 レ ベ ル で の 規 模 の 経 済 (あ る い は 範 囲 )の 経 済 が 大 き い た め に 、 1 社 に 生 産 販 売 を 集 中 し た 方 が 市 場 を 1 社 で 独 占 し て い る 状 態 を 意 味 し て い る (Joskow(2007)を 参 照 )。 

規 模 の 経 済 が 存 在 し て も 独 占 と な る と 限 ら な い 。 独 占 の 場 合 、 企 業 は 独 占 的 な 利 潤 を 追 求 す る た め に 、供 給 量 を 制 限 す る 。そ の 結 果 独 占 企 業 か ら は 供 給 を 得 ら れ な い 消 費 者 群 (買 い 手 独 占 の 場 合 は 、供 給 が で き な い サ プ ラ イ ヤ ー )が 発 生 す る こ と に な り 、ま た 供 給 を 受 け た 消 費 者 も よ り 低 い 価 格 で 調 達 す る 機 会 が 残 る 。 こ の よ う な 潜 在 的 な 取 引 機 会 が 重 要 で あ れ ば 、 参 入 の た め の 固 定 費 用 を 新 た に 負 担 し て も 、 参 入 す る こ と で 消 費 者 を 獲 得 し 、 利 益 を 得 る 見 込 み が 出 て く る 。 こ の 結 果 、 規 模 の 経 済 が 重 要 な 産 業 で は 、 し ば し ば 寡 占 市 場 と な っ て い る 。  

 

( ⅱ )   著 作 権 管 理 事 業 に お け る 独 占 持 続 要 因  

 

以 上 に 照 ら し て 、 著 作 権 管 理 業 務 へ の 参 入 が 自 由 化 さ れ た 状 態 で も 独 占 が 持 続 す る 要 因 (以 下 「自 然 独 占 要 因 」)と し て 以 下 二 つ の 理 由 が 重 要 だ と 考 え ら れ る 。  

第 一 に 、 規 模 の 経 済 で あ る 。 著 作 権 の 管 理 に は 、 楽 曲 な ど 著 作 物 の 利 用 (演 奏 な ど )を 許 可 し 、 許 可 無 く 行 わ れ て い る 利 用 を 発 見 し 、 権 利 行 使 を 行 い 、 契 約 を 結 ん で 、 著 作 物 の 使 用 料 金 を 徴 収 す る こ と が 必 要 で あ る 。 こ れ を 個 別 の 著 作 物 あ る い は 著 作 者 毎 に 行 う の で は な く 、 多 数 の 著 作 物 の 利 用 の 許 可 ・ 監 視 ・ 料 金 徴 収 を 一 括 し て 一 つ の 組 織 が 行 う こ と で 、 何 重 も の 重 複 費 用 を 避 け る こ と が 可 能 で あ る 。 す な わ ち 、 放 送 局 、 カ ラ オ ケ 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 配 信 事 業 な ど 著 作 権 の ラ イ セ ン シ ー は 多 数 の 著 作 物 を 利 用 す る こ と か ら 音 楽 著 作 物 へ の 一 括 ラ イ セ ン ス へ の 需 要 が あ る 。ま た 不 法 利 用 は 事 前 に そ の 対 象 著 作 物 が 不 確 定 で あ り 、 不 法 利 用 も 潜 在 的 に 多 数 の 著 作 物 を 対 象 と し て い る 。 こ の た め 、 音 楽 著 作 物 の 著 作 権 管 理 に は 固 定 費 用 の 要 素 が 大 き く 、 重 要 な 規 模 の 経 済 が 存 在 す る と 考 え ら れ る 。 日 本 の 現 在 の 集 中 管 理 団 体 の 中 で 、 新 規 参 入 企 業 は 侵 害 行 為 に 対 し て 差 止 請 求 や 損 害 賠 償 請 求 な ど の 権

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対 し て 企 業 レ ベ ル で の 固 定 費 用 が 大 き く 、 規 模 の 経 済 が 非 常 に 大 き い 場 合 、 複 数 企 業 が 参 入 す る と 、 価 格 が 低 下 し 各 社 の 供 給 数 量 は 減 少 す る の で 、 固 定 費 用 を 回 収 で き な く な る 。  

第 二 に 、 集 中 管 理 団 体 の 場 合 、 政 府 の 規 制 、 団 体 の ガ バ ナ ン ス の 特 徴 等 に よ っ て 、 ラ イ セ ン ス 価 格 が 独 占 的 な 場 合 と 比 較 し て 低 位 に 押 さ え ら れ て い る 点 で あ る 。 既 存 企 業 の 行 動 が 競 争 的 ・ 効 率 的 で あ る 場 合 に は (供 給 価 格 が 低 く 、 か つ 供 給 量 が 大 き い 場 合 に は )、 そ の 企 業 が 市 場 を 独 占 し て い て も 、 市 場 に お け る 取 引 の 機 会 は 既 存 企 業 に よ っ て 大 半 が カ バ ー さ れ て い る こ と に な り 、 新 規 参 入 に よ っ て 新 た な 取 引 機 会 を 得 る 余 地 に 乏 し い 。 こ の 点 に つ い て は 次 の 節 で よ り 詳 し く 検 討 し よ う 。  

 

( 5 )   著 作 権 の ラ イ セ ン ス 市 場  

 

( ⅰ )   一 括 ラ イ セ ン ス の 効 果 : 競 争 制 限 と 二 重 限 界 性 (ロ イ ヤ ル テ ィ ー ・ ス タ ッ キ ン グ )の 克 服  

 

著 作 権 者 が 単 一 の 集 中 管 理 団 体 を 通 し て ラ イ セ ン ス さ れ る 結 果 、 競 争 が 制 限 さ れ 、 競 合 す る 著 作 権 を 保 有 す る 著 作 権 者 の 間 の カ ル テ ル と し て 機 能 す る 可 能 性 も あ る 。 米 国 の 集 中 管 理 団 体 (ASCAP、 BMI 等 へ の )に 対 す る 独 禁 法 上 の 提 訴 (1940 年 )は 、” illegal pooling,  price fixing and discrimination”、す な わ ち カ ル テ ル を 一 つ の 理 由 と し た  (Caves (2000)) 

7。集 中 管 理 団 体 が 著 作 権 を 一 括 し た バ ン ド ル に 対 し て 使 用 料 を 決 定 す る 場 合 に 、著 作 権 者 が 個 々 に 使 用 料 を 決 定 す る 場 合 と 比 較 し て 、 著 作 権 の 利 用 コ ス ト が 上 昇 す る か ど う か は 、 ラ イ セ ン ス さ れ る 著 作 物 群 の 間 が 代 替 的 か 補 完 的 か 、 ま た ラ イ セ ン ス 契 約 の 取 引 費 用 の 大 き さ に 依 存 す る 。 著 作 権 者 に よ る 一 方 的 な 一 括 ラ イ セ ン ス が で あ っ て も 、 補 完 性 が 強 け れ ば 価 格 が 低 下 す る と 同 時 に 、 著 作 権 者 の 収 入 も 拡 大 す る 。 こ れ は 二 重 限 界 性 (Double  marginalization)の 問 題 と し て 知 ら れ て お り8、組 み 合 わ せ て 利 用 す る 必 要 が あ る 複 数 の 知 的 財 産 権 の そ れ ぞ れ の 所 有 者 が そ れ ぞ れ 自 由 に 価 格 を 決 定 す る と 、 複 数 の 知 的 財 産 権 を 束 ね て 一 つ の 組 織 が ま と め て 価 格 を 設 定 す る 場 合 と 比 較 し て 、 合 計 価 格 が 高 く な り 、 か つ 知 的 財 産 権 所 有 者 へ の 合 計 収 入 も 小 さ く な る 。 他 方 で 、 代 替 性 が 強 け れ ば 、 一 括 ラ イ セ ン ス は カ ル テ ル と し て 機 能 し 、 価 格 が 上 昇 し 、 同 時 に 著 作 権 者 の 収 入 は 増 加 す る 。  

最 終 利 用 者 が 多 様 な 著 作 物 を 同 時 に ラ イ セ ン ス を 受 け た い 場 合 、 ラ イ セ ン ス 契 約 の 取 引        

6 但し、権利行使には公共財の面があることも重要である。例えば、インターネット上の不法ファイルの摘発は違法サ イト自体の閉鎖につながることになれば、特定の集中管理団体の著作権者みではなく全ての管理業者の著作権者が利益 を受けることになる。 

7 その結果、同意審決が成立し、団体のメンバーが直接ライセンスすることを可能とすること、著作物あるいはプログ ラム単位のライセンスを可能とすること、更に使用料について合意ができない場合には裁判所の仲裁を義務化した。た だし、カルテルとして認定はされなかった。 

8 長岡貞男=平尾由起子『産業組織の経済学:基礎と応用』(日本評論社、1998 年)を参照。 

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管 理 団 体 が ASCAP と BMI と 複 数 存 在 す る が 、 そ れ ぞ れ の 団 体 か ら 両 方 ラ イ セ ン ス を 受 け て い る ラ イ セ ン シ ー 場 合 が 多 い と 指 摘 さ れ て お り (Caves (2000))、 こ れ は 補 完 性 の 重 要 性 を 示 唆 し て い る 。 他 方 で 、 音 楽 著 作 物 を 鑑 賞 す る 時 間 等 は 限 ら れ て お り 、 代 替 性 も 存 在 す る と 考 え ら れ 、 一 般 的 に は 補 完 性 と 代 替 性 が 同 居 す る 。  

ま た 、 著 作 権 者 自 身 が 集 中 管 理 団 体 へ の ラ イ セ ン ス 料 を 決 め 、 更 に 、 著 作 物 の 流 通 を 担 う 集 中 管 理 団 体 が 売 り 手 独 占 と し て こ れ に 対 し て 更 に マ ー ク ア ッ プ を 行 え ば 、 マ ー ク ア ッ プ を 行 う 者 が 複 数 存 在 す る 結 果 、 二 重 限 界 性 に よ っ て 消 費 者 の み な ら ず 、 著 作 権 者 と 集 中 管 理 団 体 が 全 体 と し て 利 潤 を 下 げ て し ま う こ と に な る 。 現 状 の 料 金 決 定 の 仕 組 み で は 、 著 作 権 者 か ら の 委 任 契 約 に 即 し て 、 著 作 物 使 用 料 の 決 定 は 集 中 管 理 団 体 が 一 元 的 に 行 い 、 そ の 分 配 を 別 途 行 う と い う 仕 組 み で 行 わ れ て い る の で 、 二 重 限 界 性 の 問 題 は 重 要 で は な い よ う に 思 わ れ る 。  

 

( ⅱ )   複 数 の 集 中 管 理 団 体 が 存 在 す る こ と の 影 響  

 

米 国 に お い て は 複 数 の 集 中 管 理 団 体 が 存 在 し て い る が 、 そ の 影 響 に つ い て 検 討 し よ う 。 米 国 に お い て 第 二 の 集 中 管 理 団 体 (BMI)が 成 立 し た 直 接 の き っ か け は 、ASCAP の 値 上 げ で あ り 、放 送 団 体 が ASCAP の 価 格 交 渉 力 を 制 限 し よ う と し た の で あ る (Caves(2000)を 参 照 )。多 く の ユ ー ザ ー は 二 つ の 集 中 管 理 団 体 か ら ラ イ セ ン ス を 受 け て い る が (そ の 意 味 で 競 争 関 係 に は な い )、以 下 に 示 す よ う に 、一 方 の 集 中 管 理 団 体 の み か ら ラ イ セ ン ス を 受 け る 可 能 性 も あ る こ と が 、著 作 権 の 利 用 者 側 の 交 渉 力 を 高 め 、ラ イ セ ン ス 料 金 を 下 げ る 方 向 に 作 用 す る 。 著 作 物 の 数 が

a

bの 二 つ の 著 作 物 群 を 持 つ 集 中 管 理 団 体 に 二 つ に 分 割 し た 場 合 の 影 響 を 考 え る (Besen, Kirby and Salop(1992)に よ る )。 ユ ー ザ ー が 各 集 中 管 理 団 体 に 支 払 っ て 良 い と 考 え る 代 金 は (既 に 片 方 の 著 作 物 の 利 用 可 能 な 状 態 で 、残 り の 著 作 物 の ラ イ セ ン ス に つ い て 交 渉 す る と し て )、

V ( a + b ) − V ( a )

及 び

V ( a + b ) − V ( b )

で あ る 。 他 方 で 集 中 管 理 団 体 が 一 つ し か な い 場 合 は 、

a + b

の 著 作 物 を 利 用 す る こ と へ の 支 払 い 意 欲 は

V ( a + b )

で あ る 。  

以 下 は 簡 単 の た め に 、 集 中 管 理 団 体 が 、 利 用 者 の 支 払 い 意 欲 を 全 て 著 作 権 使 用 料 と し て 徴 収 で き る と す れ ば 、 著 作 物 利 用 の 収 穫 逓 減 が 成 り 立 て ば 、 両 方 の 著 作 物 を 単 一 で 管 理 し て い る 集 中 管 理 団 体 の 方 が 、 よ り 多 く の 使 用 料 を 集 め る こ と が で き る 。 以 下 が 成 立 す る か ら で あ る 。  

) ( ) ( ) ( ) (

2 V a + bV aV b < V a + b

      (な ぜ な ら 、

V ( a + b ) < V ( a ) + V ( b )

)。  

集 中 管 理 団 体 が 二 つ に な る こ と に よ っ て 著 作 権 者 の 側 の 収 入 は 低 下 す る 。 そ の 原 因 に 二 つ が あ る 。 一 つ は 、 上 で 述 べ た 利 用 者 側 の 交 渉 力 の 上 昇 に 対 応 し て 、 著 作 権 者 の 交 渉 力 の 低 下 が あ る 。 著 作 権 者 は 著 作 物 全 体 (

a + b

)が も た ら し た 消 費 者 利 益 の よ り 小 さ い 一 部 し

(18)

 

−15−

管 理 団 体 は そ れ ぞ れ に 著 作 権 管 理 の 支 出 を す る こ と に な る が 、 固 定 費 的 な 部 分 は 重 複 し て 投 資 す る こ と に な る 。 た だ 、 競 争 の 効 果 に よ っ て 著 作 権 管 理 が よ り 効 率 的 に な り 、 コ ス ト が 低 下 す れ ば 、 そ れ は 著 作 権 者 の 収 入 増 加 要 因 と な る 。  

 

( ⅲ )   管 理 事 業 法 に よ る 規 制 と 交 渉 に よ る ラ イ セ ン ス 条 件 の 決 定  

 

集 中 管 理 団 体 の 料 金 は 各 国 で 政 府 や 裁 判 所 の 監 督 下 に あ り 、 こ う し た 規 制 に よ っ て 集 中 管 理 団 体 に よ る ラ イ セ ン ス 拒 絶 も 一 方 的 な 料 金 決 定 も 禁 止 さ れ て い る 。 例 え ば 、 日 本 の 場 合 は 、集 中 管 理 団 体 は 事 業 法 第 16 条 に よ っ て 利 用 の 許 諾 拒 否 が 禁 止 さ れ て お り 、ま た 事 業 法 第 23 条 に よ っ て 、ラ イ セ ン ス 条 件 を 集 中 管 理 団 体 が 一 方 的 に 決 定 す る こ と が で き ず 、利 用 代 表 者 と 協 議 す る こ と が 求 め ら れ て い る 。 ラ イ セ ン ス 条 件 は 無 差 別 に 全 て の 利 用 者 に 適 用 さ れ る 。  

通 常 の ラ イ セ ン ス 交 渉 に お い て は 、 ラ イ セ ン ス 拒 否 が 脅 威 点 (threat point)と し て 機 能 を し 、 ラ イ セ ン ス 料 金 を 決 定 す る 上 で 重 要 な 役 割 を 持 っ て い る 。 ラ イ セ ン ス が 拒 絶 さ れ た 場 合 の 、 著 作 権 利 用 者 の 利 得 を 0 と し て 、 ラ イ セ ン ス が 得 ら れ た 場 合 の 著 作 権 利 用 者 の 利 得 を

V

と し た 場 合 、ラ イ セ ン ス 拒 絶 を 著 作 権 者 が し た 場 合 、利 用 者 は V の 損 失 を 被 る こ と に な る 。し た が っ て 、ラ イ セ ン ス 料 は

V

あ る い は そ の 一 定 部 分 と な る (最 大 限 が

V

で あ る )。

し た が っ て 、 例 え ば 、 ラ イ セ ン ス 対 象 の 知 的 財 産 の 利 用 価 値 が 高 ま れ ば 、 著 作 権 者 は ラ イ セ ン ス 拒 否 を 梃 子 に し て ラ イ セ ン ス 料 を 高 め る こ と が で き る 。  

ラ イ セ ン ス 拒 絶 が 可 能 で な い 場 合 、 集 中 管 理 団 体 の 交 渉 力 は 限 定 さ れ て い る 。 ラ イ セ ン ス 契 約 に 合 意 し な い と ラ イ セ ン ス 料 金 を 徴 収 で き ず 、 利 用 者 側 は 、 拒 絶 さ れ る こ と を 危 惧 す る こ と も な い の で 、 ラ イ セ ン ス 拒 絶 を 脅 威 点 と し て 使 え な い 条 件 下 で の 利 用 者 団 体 代 表 と の 交 渉 で は 、 使 用 料 は ラ イ セ ン ス の 価 値 よ り も か な り 低 く な っ て も 不 思 議 で は な い 。  

ま た 更 に 、使 用 料 規 程 は 文 化 庁 長 官 に 届 出 す る 必 要 が あ り (事 業 法 第 13 条 )、こ れ は 公 示 さ れ (事 業 法 第 15 条 )、利 用 者 の 利 益 か ら 見 て 問 題 が あ る 場 合 に は 業 務 改 善 措 置 を 命 ず る こ と が で き る (事 業 法 第 20 条 )こ と も 、 独 占 的 な 価 格 設 定 を 規 制 し て い る 。  

 

( 6 )   ま と め  

 

本 稿 で は 、 参 入 が 自 由 で あ る に も か か わ ら ず 集 中 管 理 団 体 が 多 く の 国 で 独 占 状 態 に あ る の は 何 故 か 、 ま た そ れ が ど の よ う な 影 響 を 持 っ て い る か を 、 主 と し て 理 論 的 な 角 度 か ら 検 討 し た 。 実 証 的 な 検 討 は 別 途 必 要 で あ る 。  

先 ず 本 稿 で は 、 集 中 管 理 団 体 が 利 用 者 へ の ラ イ セ ン ス に 当 た っ て 包 括 契 約 を 利 用 し て い

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と な る レ パ ー ト リ ー 内 の ど の 著 作 物 を 利 用 し て も 良 い 。 第 二 に 、 使 用 料 は 、 利 用 す る 著 作 物 の 数 と も そ の 利 用 頻 度 と も 独 立 で 固 定 的 で あ る 。 た だ し 、 個 別 の 楽 曲 等 の 利 用 頻 度 は 把 握 さ れ て お り 、 そ れ は 著 作 権 収 入 の 個 別 著 作 権 者 へ の 配 分 に 利 用 さ れ て い る 。  

こ の よ う な 契 約 が 広 範 に 利 用 さ れ て い る 原 因 と し て 、 第 一 に 、 放 送 局 、 カ ラ オ ケ な ど の 著 作 物 の ユ ー ザ ー に 、 音 楽 著 作 物 の レ パ ー ト リ ー へ の 需 要 が あ る 中 、 著 作 権 者 毎 に 個 別 の 楽 曲 に 価 格 を 設 定 し よ う と す る と 、 個 別 の 著 作 物 を 事 前 に 評 価 す る コ ス ト に 加 え て 、 個 別 に 契 約 を 行 う コ ス ト 及 び そ の エ ン フ ォ ー ス メ ン ト の コ ス ト が 個 別 に 発 生 す る 。  

第 二 に 、既 に 創 造 さ れ て い る 著 作 物 の 利 用 か ら の 効 用 価 値 を で き る だ け 大 き く す る に は 、 既 に 存 在 す る 著 作 物 の 利 用 拡 大 の 限 界 費 用 は ゼ ロ で あ る こ と を 反 映 し て 、 利 用 者 に よ る 追 加 的 利 用 の 価 格 を ゼ ロ と す る こ と が 必 要 で あ る 。 包 括 契 約 で は 、 契 約 対 象 の 著 作 物 に つ い て 、各 著 作 物 の 利 用 の 頻 度 や 利 用 対 象 の 著 作 物 が 増 え て も 利 用 者 に 追 加 料 金 は 発 生 し な い 。 

次 に 、 参 入 が 自 由 化 さ れ た 後 も 独 占 状 態 が 続 く 原 因 と し て 、 著 作 権 管 理 事 業 の 規 模 の 経 済 が 大 き い こ と と 、 既 存 企 業 が 競 争 的 ・ 効 率 的 に 行 動 す る 仕 組 み が 機 能 し て い る 可 能 性 が 指 摘 で き る 。 音 楽 著 作 物 の 場 合 、 多 数 の 著 作 物 の 利 用 の 許 可 ・ 監 視 ・ 料 金 徴 収 を 一 括 し て 行 う こ と に 規 模 の 経 済 が あ る 。 日 本 の 集 中 管 理 団 体 の 中 で 新 規 参 入 企 業 は 著 作 権 の 行 使 を 行 っ て い な い こ と は 、 音 楽 著 作 物 の 利 用 の 監 視 と 権 利 行 使 に 重 要 な 規 模 の 経 済 が あ る こ と を 示 唆 し て い る 。  

集 中 管 理 団 体 は 、 以 下 に 要 約 す る よ う に 、 そ の 団 体 の ガ バ ナ ン ス の 特 徴 及 び 事 業 法 に よ る 行 動 規 制 に よ っ て 著 作 権 者 か ら の 管 理 す る 著 作 物 の 受 け 入 れ に お い て も 利 用 者 へ の ラ イ セ ン ス に お い て も 、 競 争 的 ・ 効 率 的 な 行 動 が 促 さ れ て い る 面 も 、 独 占 的 な 状 況 が 続 く 原 因 と し て 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。  

先 ず 著 作 物 の 調 達 側 で 、 各 国 の 集 中 管 理 団 体 で は 、 著 作 権 の 権 利 者 が ガ バ ナ ン ス 上 重 要 な 役 割 を 果 た す 組 織 と な っ て い る 。 こ れ は 著 作 物 創 造 の た め の サ ン ク コ ス ト に よ る 著 作 権 者 側 の 交 渉 上 の 不 利 や 買 手 独 占 力 の 行 使 を 防 止 す る 上 で 重 要 だ と 考 え ら れ る 。 ま た 、 著 作 権 収 入 を プ ー ル し て そ れ を 各 著 作 権 者 に 分 配 す る 協 同 組 合 型 の 集 中 管 理 団 体 で は 、 一 人 当 た り の 余 剰 を 増 や す た め に メ ン バ ー 数 を 制 限 す る 誘 因 が 発 生 す る こ と が 指 摘 さ れ て い る が (Besen, Kirby and Salop(1992))、 こ れ ら の 分 析 の 仮 定 と は 異 な っ て 、 日 本 で は 著 作 権 者 が 著 作 権 管 理 を 個 別 に 委 任 契 約 す る こ と と な っ て お り 、 収 入 を プ ー ル す る 仕 組 み に は な っ て い な い 。 著 作 権 の ラ イ セ ン ス が 包 括 契 約 の 場 合 に も 、 利 用 頻 度 の シ ェ ア に よ っ て 、 収 入 が 分 配 さ れ る の で 、 既 存 メ ン バ ー に 加 入 者 を 制 限 す る 誘 因 は 発 生 し に く い 。  

更 に 、 集 中 管 理 団 体 自 体 が 買 い 手 独 占 と し て 著 作 権 者 に 対 し て 独 占 力 を 発 揮 す る 可 能 性 も 、 事 業 法 に よ っ て 規 制 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 著 作 物 は 譲 渡 で は な く 管 理 を 委 任 さ れ る だ け で 、 利 用 実 績 に 応 じ た 支 払 い が 求 め ら れ 、 管 理 委 託 契 約 約 款 は 公 示 さ れ 、 委 託 者 の 利

(20)

 

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現 実 に 、 集 中 管 理 団 体 へ の 加 入 は 容 易 で あ り 、 オ ー プ ン ・ メ ン バ ー シ ッ プ と な っ て い る 。   集 中 管 理 団 体 が 著 作 権 を 一 括 し た バ ン ド ル に 対 し て 使 用 料 を 決 定 す る 場 合 に 、 著 作 権 者 が 個 々 に 使 用 料 を 決 定 す る 場 合 と 比 較 し て 、 著 作 権 の 利 用 コ ス ト が 上 昇 す る か ど う か は 、 ラ イ セ ン ス さ れ る 著 作 物 群 の 間 が 代 替 的 か 補 完 的 か 、 ま た ラ イ セ ン ス 契 約 の 取 引 費 用 の 大 き さ に 依 存 す る 。 集 中 管 理 団 体 が ASCAP と BMI と 複 数 存 在 す る 米 国 で 、 ユ ー ザ ー が 多 く の 場 合 両 方 と ラ イ セ ン ス ・ イ ン を し て い る こ と が 示 す よ う に 、 音 楽 著 作 物 は 関 連 す る 作 品 を 全 て ラ イ セ ン ス ・ イ ン す る 需 要 も 高 く 、 著 作 物 間 の 補 完 的 な 関 係 も 重 要 で あ る こ と を 示 し て い る 。  

集 中 管 理 団 体 の 料 金 は 政 府 や 裁 判 所 の 監 督 下 に あ り 、 こ う し た 規 制 に よ っ て 集 中 管 理 団 体 は ラ イ セ ン ス 拒 否 を 脅 威 点 と し た 一 方 的 な 料 金 決 定 も 禁 止 さ れ て い る 。 こ の 結 果 、 ラ イ セ ン ス 条 件 は 、 利 用 者 団 体 と の ラ イ セ ン ス 拒 否 を 脅 威 点 と は で き な い 条 件 下 で の 交 渉 で あ る た め に 、 使 用 料 金 は ラ イ セ ン ス 拒 否 が で き る 場 合 と 比 較 し て 恐 ら く 大 幅 に 低 い 水 準 だ と 考 え ら れ る 。 な お 、 米 国 に お い て は 複 数 の 集 中 管 理 団 体 が 存 在 し て い る が 、 既 に 指 摘 し た よ う に 、 多 く の ユ ー ザ ー は 二 つ の 集 中 管 理 団 体 か ら ラ イ セ ン ス を 受 け て お り 、 著 作 権 の 利 用 者 側 の 交 渉 力 を 高 め る こ と で 、ラ イ セ ン ス 料 を 下 げ る 効 果 を 得 て い る よ う に 考 え ら れ る 。 

一 括 ラ イ セ ン ス 、権 利 行 使 等 に お け る 規 模 の 経 済 、既 存 企 業 の 競 争 的・効 率 的 行 動 が 「自 然 独 占 」の 原 因 だ と す れ ば 、 参 入 を 人 為 的 に 促 進 す る 必 要 は 無 い 。 同 時 に 、 競 争 の 存 在 は 、 著 作 権 の 流 通 市 場 に お け る 競 争 の 促 進 、 既 存 の 著 作 権 管 理 事 業 に お け る 効 率 的 な 経 営 へ の ガ バ ナ ン ス に お い て も 重 要 で あ る 。 ま た 参 入 の 可 能 性 が オ ー プ ン で あ る こ と は 、 著 作 権 管 理 に お け る 新 技 術 の 導 入 、 契 約 に お け る 革 新 な ど を 促 す 上 で も 重 要 で あ る 。  

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こ の 分 野 の 代 表 的 な 経 済 分 析 は 、 共 同 組 合 の 理 論 を 著 作 権 管 理 事 業 に 適 用 し た Besen,  Kirby and Salop(1992)の 分 析 で あ る9。 彼 ら の 分 析 の 重 要 な 結 論 を 述 べ る と 、 次 の 通 り 。  

①   メ ン バ ー シ ッ プ が ク ロ ー ズ ド の 場 合 (す な わ ち 集 中 管 理 団 体 が 加 入 メ ン バ ー を 制 限 で き る 場 合 )は 、 著 作 物 の 供 給 が 制 限 さ れ る 。  

②   他 方 で 、 オ ー プ ン ・ メ ン バ ー シ ッ プ の 集 中 管 理 団 体 は 、 著 作 者 に な る 機 会 費 用 を カ バ ー し な い 収 入 し か も た ら さ な い よ う な 著 作 者 の 団 体 へ の 加 盟 を も た ら す ほ ど 著 作 物 の 供 給 は 拡 大 す る 。  

ク ロ ー ズ ド メ ン バ ー の 場 合 に 著 作 物 の 供 給 が 制 限 さ れ る の は 、 団 体 が 著 作 権 者 へ の 買 い 手 独 占 と な っ て い る か ら で は な く 、 加 入 メ ン バ ー 数 を 制 限 で き る 協 同 組 合 型 の 集 中 管 理 団 体 の 場 合 、 メ ン バ ー 一 人 当 た り の 利 潤 の 拡 大 が そ の 団 体 の 主 た る 目 的 と な る か ら で あ る 。 そ の 理 由 を 以 下 、 直 感 的 に 説 明 し よ う 。  

以 下 で は 簡 単 の た め に 、 集 中 管 理 団 体 の ラ イ セ ン ス 収 入 が 消 費 者 の 支 払 い 意 欲 を 全 て 吸 収 し て お り 、 ま た 著 作 権 管 理 事 業 の 限 界 費 用 は ゼ ロ だ と す る 。 先 ず 、 ベ ン チ マ ー ク と し て 最 も 経 済 効 率 が 高 い 状 況 で は (図 Ⅱ -1-2 で 点 E)、 著 作 権 者 の 加 入 に よ っ て 増 加 す る 著 作 権 収 入 が 、 著 作 権 者 の 機 会 費 用 c を 丁 度 カ バ ー す る ま で 著 作 権 者 が 集 中 管 理 団 体 に 参 入 す る こ と で あ る 。 こ こ で c は 著 作 者 で は な く 、 他 の 職 業 を 選 ん だ 場 合 の 機 会 費 用 と 考 え る こ と が で き る 。 簡 単 に 全 て の 著 作 権 者 に 共 通 だ と す る 。 い ま こ こ で 点 E の 水 準 か ら 一 人 の 著 作 権 者 を 団 体 か ら 脱 退 し て も ら っ た と す る 。 そ う す る と 、 組 合 に 参 加 し て い る 残 り の 著 作 権 者 の 一 人 当 た り の 余 剰 (収 入 -費 用 を メ ン バ ー の 数 で 割 っ た 値 )は 必 ず 増 大 す る 。と い う の は 点 E で は 、 限 界 収 入 と 限 界 費 用 が ほ ぼ 等 し い の で 、 著 作 権 者 が 一 人 脱 退 し て も 集 中 管 理 団 体 が 獲 得 す る 余 剰 に は 影 響 は な く 、メ ン バ ー が 一 人 減 少 す る こ と で 分 母 が 小 さ く な る の で 、 メ ン バ ー の 平 均 余 剰 は 増 加 す る 。メ ン バ ー の 平 均 余 剰 を 最 大 に す る の は 図 Ⅱ -1-2 で 点 L で あ り 、 点 E と 比 較 す る と メ ン バ ー の 数 は 低 い 水 準 に あ る 。  

次 に メ ン バ ー の 加 入 が 自 由 で あ る オ ー プ ン ・ メ ン バ ー シ ッ プ の 場 合 は 、 メ ン バ ー の 平 均 余 剰 が 機 会 費 用 c に 低 下 す る ま で メ ン バ ー が 加 入 す る (図 Ⅱ -1-2 で 点 A)。 最 も 効 率 的 な 点 で は 、 メ ン バ ー の 平 均 余 剰 は そ の 機 会 費 用 を 上 回 っ て お り 、 メ ン バ ー の 加 入 に よ っ て そ れ が 減 少 し て い く 。 し た が っ て 、 オ ー プ ン ・ メ ン バ ー シ ッ プ の 集 中 管 理 団 体 は 、 著 作 物 の 供 給 を 制 限 す る こ と に は な ら な い ど こ ろ か 、 結 論 は 逆 で あ る 。 著 作 者 に な る 機 会 費 用 も カ バ ー で き な い 収 入 し か も た ら さ な い 著 作 者 の 参 入 を 促 す ほ ど 著 作 物 の 供 給 は 拡 大 す る 。 こ の よ う な 仕 組 み で は 著 作 者 に な れ る 可 能 性 は 高 ま る が 、 著 作 権 収 入 の 分 配 額 自 体 は 小 さ く な

       

9 Besen, Stanley M., Sheila N. Kirby (1989)も参照。スコッチマー(2004)の6章が簡潔で明晰な分析を提供している。 

(22)

 

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る 。      

注) F: 著作権管理団体の固定費用(限界費用はゼロと仮定)

V: 著作権ライセンス全体からの収入

N: 同団体に加入する著作権者数(あるいは管理する著作権数)

C: 著作者になる機会費用(あるいは各著作物の創造費用

E: 「効率的」(著作者(著作物)増加の限界費用=限界費用)水準 L: 著作者(あるいは著作物)あたりの平均余剰((V-F)/N)最大化水準 A: 平均余剰が分配される場合のオープン・メンバーシップの場合の水準

図Ⅱ-1-2  著作権の一括ライセンス

V

F

L E

C

C

A

N

L

N

E

N

A

N

CN CN+F

 

(23)

【 参 考 資 料 2 】   経 済 用 語 の 解 説

   

規 模 の 経 済   企 業 の 生 産 の 平 均 費 用 (総 費 用 /生 産 量 )が 生 産 の 拡 大 に よ っ て 減 少 す る 場 合 。   

自 然 独 占  

企 業 が 1 社 で 生 産 を し た 方 が 複 数 の 企 業 で 生 産 す る 場 合 よ り も 費 用 が 低 い た め に 、 市 場 を 1 社 で 独 占 し て い る 状 態 を 意 味 し て い る (Joskow(2007)を 参 照 )。  

 

経 済 効 率 化 の 達 成 ( 経 済 効 率 性 )  

経 済 効 率 と は 、 財 の 供 給 に よ る 社 会 的 な 利 益  (消 費 者 の 効 用 の 総 計 か ら そ の た め に 必 要 な 費 用 を 差 し 引 い た も の )で あ る 。こ れ を 最 大 に す る よ う に 、制 度 を 設 計 す る こ と が 効 率 的 で あ る 。 著 作 物 の 生 産 と 流 通 に お い て 経 済 効 率 を 達 成 す る に は 、  

①   あ る 著 作 物 が 追 加 的 に も た ら す 社 会 的 な 利 益 と そ の た め に 必 要 な 追 加 費 用 が 等 し く な る ま で 、 著 作 物 が 供 給 さ れ る こ と が 必 要 で あ る 。 図 Ⅱ -1-2 で 、 V が 消 費 者 の 効 用 の 総 計 を 示 し て い る と す れ ば 、 点 E が 効 率 的 な 供 給 量 を 示 し て い る 。 消 費 者 が 支 払 う 価 格 が 消 費 者 の 効 用 を 超 え る 場 合 し か 購 入 し な い 、ま た 著 作 権 の 保 護 は 限 定 的 で あ る 等 の 理 由 で 、 著 作 権 者 は 消 費 者 の 効 用 の 一 部 し か 所 得 と し て 獲 得 で き な い 。 こ の た め 、 著 作 物 創 造 へ の 誘 因 は 効 率 的 な 水 準 よ り は 低 い 。  

②   同 時 に 、 生 産 さ れ た 著 作 物 か ら の 消 費 者 の 効 用 を 最 大 に す る に は 、 利 用 の た め に 追 加 的 な 費 用 は 要 し な い の で 、 で き る だ け 廉 価 で こ れ を 供 給 す る こ と が 必 要 で あ る 。  

著 作 物 の 保 護 の 拡 大 は 、 著 作 物 の 利 用 を 妨 げ る 効 果 も あ り 、 創 造 と 利 用 の 適 切 な バ ラ ン ス が 重 要 で あ る 。  

 

二 重 限 界 性  

組 み 合 わ せ て 利 用 す る 必 要 が あ る 複 数 の 知 的 財 産 権 の そ れ ぞ れ の 所 有 者 が そ れ ぞ れ 自 由 に 価 格 を 決 定 す る と 、 複 数 の 知 的 財 産 権 を 束 ね て 一 つ の 組 織 が ま と め て 価 格 を 設 定 す る 場 合 と 比 較 し て 、 合 計 価 格 が 高 く な り 、 か つ 知 的 財 産 権 所 有 者 へ の 収 入 も 小 さ く な る 現 象 。  

 

取 引 費 用  

経 済 取 引 を 行 う た め に 必 要 な 費 用 で あ り 、 取 引 の 対 象 と な る 商 品 の 評 価 、 契 約 作 成 と そ の 合 意 、 契 約 の 履 行 な ど に 必 要 な 費 用 で あ る 。 経 済 効 率 を 高 め る に は 、 取 引 費 用 を で き る だ け 小 さ く す る 必 要 が あ る 。 事 前 に 契 約 対 象 物 の 詳 細 な 評 価 を 行 わ な い こ と に 契 約 当 事 者 が コ ミ ッ ト メ ン ト す る こ と で 、 取 引 費 用 を 小 さ く で き る 可 能 性 が あ る 。 取 引 費 用 に は 、 契 約 が 不 完 備 で あ る た め に 、 関 係 特 殊 資 産 へ の 投 資 が 過 小 と な る こ と も 含 む 。 取 引 費 用 に つ い て は 、 ミ ル グ ロ ム ・ ロ バ ー ツ (『 組 織 の 経 済 学 』、 1992 年 )を 参 照 。  

表 Ⅱ -2-1   著 作 物 の 利 用 許 諾 に 関 わ る 技 術 の 機 能 要 素     著 作 物 の 利 用 許 諾 に 関 わ る 技 術 の 機 能 要 素   【 参 考 】 商 品 の 販 売 に 関 わ る 機 能 要 素   1a  コ ン テ ン ツ の 識 別 情 報   商 品 を 識 別 す る た め に 商 品 に 取 り 付 け る タ グ   1b  許 諾 条 件 の 記 述 方 式   商 品 の 販 売 価 格   1c  1a、 1b 等 の 情 報
表 Ⅱ -2-3  著 作 物 の 不 正 複 製 物 検 出 に 関 わ る 技 術 の 機 能 要 素     著 作 物 の 不 正 複 製 物 検 出 技 術 の 機 能 要 素   【 参 考 】商 品 の 模 倣 品 検 出 に 関 わ る 機 能要 素   3a  コ ン テ ン ツ に 埋 め 込 ん だ 権 利 情 報 の 確 認   商 品 に 取 り 付 け ら れ た タ グ の 内 容 の 確認   3b  コ ン テ ン ツ の 特 徴 デ ー タ を 抽 出 し て 照 合  

参照

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