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工業会活動 米国政府は防衛および民事を目的とした宇宙の取組に対し 216 年は44 億ドルを支出した これは前年比.3% 減にあたる 米国を除く国の政府宇宙支出は ドルベースで215 年から.4% 減少し 216 年は32 億ドルとなった しかし これは主に為替相場の影響であり 自国通貨ベースでは

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1. 世界の宇宙産業売上高推移 世界の宇宙産業売上高推移は、米国のス ペース財団(Space Foundation)が発行してい る「Space Report」に報告されている。例年、 本記事を作成する際に参考としていたSpace Report概括版が今年は未だ公表されていない ため、本記事の第1章については、同資料の プレスリリース記事(資料*1)を参考として 記述した。 Space Reportによると世界の宇宙産業売上高 は商業宇宙活動と政府の宇宙支出で構成さ れ、商業宇宙活動売上高は「商業宇宙製品お よびサービス」と「商用インフラストラク チャーおよび関連産業」の2部門、政府の宇 宙支出は「米国政府宇宙予算」と「非米国政 府宇宙予算」の2部門から構成されている。 図1に、Space Reportで報告されている2011 年から2016年における世界の宇宙産業売上高 推移を示す。2016年における世界の宇宙産業 売上高は3,290億ドルで、2015年の3,229億ド ルと比べて1.9%増加した。各国政府の宇宙予 算の減少がごくわずかであり、商業宇宙活動 の成長が寄与したと見られる。 2016年の商業宇宙活動による売上高は2,530 億ドルとなり、世界の宇宙産業売上高の77% を占めた。一方、政府宇宙支出は760億ドル であり、全体の23%を占める結果となった。

世界の宇宙産業動向

図1:世界の宇宙産業売上高推移(出典:資料*1) 2,709 2,857 3,025 3,300 3,229 3,290 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 2011 2012 2013 2014 2015 2016 売上高 市場規模 市場規模 (億ドル) (年)

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図2:世界の衛星産業総売上高と分野別内訳[2012年~2016年](出典:資料*2) 米国政府は防衛および民事を目的とした宇 宙の取組に対し、2016年は440億ドルを支出 した。これは前年比0.3%減にあたる。米国を 除く国の政府宇宙支出は、ドルベースで2015 年から0.4%減少し、2016年は320億ドルとなっ た。しかし、これは主に為替相場の影響であ り、自国通貨ベースでは、ほとんどの国が宇 宙活動予算を増加させている。 2. 商業市場における衛星産業の動向 (1)衛星産業の概要 世界の衛星産業売上高推移に関しては、米 国 の 衛 星 産 業 協 会(SIA:Satellite Industry Association)がレポートしている(資料*2参 照)。これは、SIAの委託でBryce Space and Technology社(旧The Tauri Group)が調査/ 研究を行っているものである。 SIAのレポートでは衛星産業の市場を①通 信・放送等のサービスを提供する衛星サービ ス、②衛星製造、③ロケット製造および打上 サービスからなる打上産業、④地球局、衛星 通信・管制・電話設備、衛星携帯電話端末、 衛星測位システムからなる地上機器の4分野 に分類している。 ②の衛星製造売上高は、政府機関や大学で 製造された衛星を除外しているが、民間企業 によって製造された民生向けや政府向け衛星 を含んでいる。③の打上産業売上高は、民間 企業や政府が実施するペイロード打上サービ ス を 含 ん で い る が 国 際 宇 宙 ス テ ー シ ョ ン (ISS:International Space Station)ミッション

などの打上は含まない。 図2に、2012年から2016年までの民生分野 における、世界の衛星産業総売上高と分野別 内訳を示す。2016年の衛星産業総売上高は、 2015年から2%増加して2,605億ドルとなった。 衛星サービス 衛星製造 打上産業 地上機器 総売上高 2,092 2,309 2,466 2,548 2,605 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 売 上 高 (億ドル) (年) 2012 2013 2014 2015 2016 1,135 1,186 1,229 1,274 1,277 146 157 159 160 139 58 54 59 54 55 754 912 1,018 1,060 1,134 2,092 2,309 2,466 2,548 2,605

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これは、世界の宇宙産業売上高3,391億ドル*1 に対し77%を占めている。4分野の売上高(シェ ア)は、衛星サービスが1,277億ドル (49.0%)、 衛星製造が139億ドル (5.3%)、打上産業が55 億 ド ル (2.1%)、地 上 機 器 が 1,134 億 ド ル (43.5%)である。売上高は衛星サービス分野、 打上産業分野、地上機器分野が前年2015年よ りも増加したが、衛星製造分野は減少した。 なお、SIAでは2017年版のレポートから、 地上機器分野に含まれる衛星測位機器の売上 高の定義を変更し、2012年まで遡って集計し 直している。ナビゲーション端末のみではな く、携帯端末の部品であるチップセット、交 通情報システム、航空機アビオニクス、測量 機器、船舶・鉄道分野までも含むようになり、 昨年までのレポートと数値が合わない部分が ある。 *1  世界の宇宙産業売上高は、情報ソース によってばらつきがある。第2章では資料 *2の値を用いた。 (2)衛星産業の分野別動向 ①衛星サービス分野 表1に世界の衛星サービス分野における総 売上高の内訳を示す。2016年の総売上高は 1,277億ドルだった。2012年から2015年までは 年増加率4~5%で成長していたが、2016年は ほぼ横ばいとなった。なお、全世界の40%の シェアを米国が占めている。 衛星テレビ、ラジオ、ブロードバンドで構 成される一般消費者向けサービスは、衛星 サービス分野の総売上高に最も貢献した。衛 星テレビ放送(DBS/DTH:Direct broadcast satellite/direct-to-home)の売上高は、衛星サー ビス分野総売上高の77%を占め、一般消費者 向けサービス売上高の93%を占めている。衛 星有料テレビ放送の加入者は、新興市場での 需要により全世界で2億2,000万人以上となっ た。DBS/DTHの売上高の41%は米国が占め ている。 商業4K Ultra HD (UHD)放送のコンテンツ 増加が牽引役となっている。しかし、圧縮技 術が向上し続け、より多くの消費者がIPベー 表1:世界の衛星サービス分野における総売上高の内訳[2012~2016年](出典:資料*2) (億ドル) 年 2012 2013 2014 2015 2016 年増加率 5% 5% 4% 4% 0.2% 総 売 上 高 1135 1186 1229 1274 1277 一 般 消 費 者 向 サ ー ビ ス 933 981 1009 1043 1047   衛星テレビ放送 (DBS/DTH) 884 926 950 978 977   衛星ラジオ放送 (DARS) 34 38 42 46 50   衛星ブロードバンド 15 17 18 19 20 固 定 衛 星 通 信 サ ー ビ ス 164 164 171 179 174   中継器リース 118 118 123 124 112   ネットワークサービス 46 46 48 55 62 移動体通信サービス 24 26 33 34 36 リ モ ー ト セ ン シ ン グ 13 15 16 18 20 注:中継器リースにはDTH衛星テレビプラットフォーム向け容量を含む。 ネットワークサービスにはVSATネットワークを含む。

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スのビデオサービスを選択するようになり、 衛星通信容量の需要拡大は減速する可能性が ある。

衛星ラジオ放送(DARS:Satellite Digital Audio Radio Service)の売上高は、2016年に 10%増加した。衛星ラジオ放送の加入者は、 米国の顧客を中心に2016年に6%増加して約 3,130万人となった。 衛星ブロードバンドの売上高は、2016年に 3%増加した。衛星ブロードバンドサービス加 入者は約190万人となった。米国で新しく打 上げられる衛星により通信容量が増加し、急 成長が期待されている。多くの加入者は米国 内だが、米国以外でも高い成長が見られる。 固定衛星通信サービスの売上高は、2016年 には3%減少に転じた。中継器リース売上高は 10%減少した。ネットワークサービス売上高 は、航空機におけるサービスが増大したため 12%の増加となった。 移動体通信サービスの売上高は2016年には 5%の増加となった。 リモートセンシングの売上高は11%増加し た。リモートセンシングへの新規参入企業は 成長を続け、資本の調達、衛星の開発、衛星 の打上げを継続している。 ②衛星製造分野 SIAのレポートにおいて衛星製造分野の売 上高は、衛星が打上げられた年に集計される。 図 3 に 衛 星 製 造 分 野 の 売 上 高 推 移 を 示 す。 2016年の衛星製造分野の売上高は、2015年か ら13%も減少して139億ドルとなった。この減 少要因は、 ⃝ 欧州の商用衛星、米国の政府衛星の打 上数の減少 ⃝ ロシア、日本、韓国、中国の衛星の打 上数の減少 ⃝ 超小型衛星の打上数の減少 である。衛星の打上数は2015年の202機から 大幅減少し、2016年は126機となった。これは、 超小型衛星の打上遅延に起因している。衛星 の総打上げ数に占めるCubeSatの割合は37% (前年は53%)であり、大部分がリモートセン シングに使用される。衛星製造分野の売上高 に占める通信衛星の割合は22%(前年は42%) である。また、軍事衛星は44%(前年は36%) を占めている。CubeSatの売上高は1%未満で ある。 図3:衛星製造分野の売上高推移[2012年~2016年](出典:資料*2) 82 109 100 94 米国89 64 48 60 66 その他 50 146 157 159 160 総売上高 139 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 2012 2013 2014 2015 2016 売 上 高 (億ドル) (年)

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CubeSatを除くと、米国企業は2016年に打上 げられた衛星の27%を製造し、世界の衛星製 造売上高の63%を占めた。CubeSatを含めると、 米国企業は2016年に打上げられた衛星の63% を製造した。米国が2016年に打上げた79機の 衛星のうちCubeSatは45機を占めた。米国の衛 星製造売上高の74%は米国政府の支出である。 ③打上産業分野 SIAのレポートにおいて打上産業分野の売 上高は、打上げが行われた年に集計される。 図4に打上産業分野の売上高推移を示す。打 上産業分野の2016年の売上高は、前年比で2% 増加した。2016年の商業打上は64回と、2015 年の65回から若干減少した。欧州と中国が好 調で、ロシアが不調だった。 政府機関の顧客が打上産業の売上高に占め る割合は、2016年は前年並みの70%であり、 引き続き主要な顧客であり続けた。特に、米 国政府の衛星が32%を占めた。 米国は商業打上産業の売上高の40%と最大 のシェアを持っている。 ④地上機器分野 地上機器分野の売上高は、衛星サービス分 野に次いで2番目に大きい。図5に地上機器分 野の売上高推移を示す。地上機器分野は、ネッ トワーク機器、衛星測位機器、民生機器(衛 星テレビ、ラジオ、ブロードバンド、モバイ ル機器(非GNSS))で構成されている。SIA のレポートにおいて、ネットワーク機器には ゲートウェイ、ネットワークオペレーション センター(NOCs:Network Operations Center)、 衛星ニュースギャザリング(SNG:Satellite News Gathering)機器、フライアウェイアン テナ、超小型アパーチャターミナル(VSAT: Very Small Aperture Terminal)、航空機内Wi-Fi 接続サービス機器が含まれる。衛星測位機器 には、ナビゲーション端末、携帯端末の部品 であるチップセット、交通情報システム、航 空機アビオニクス、測量機器、船舶・鉄道分 野が含まれる。民生機器には、衛星テレビ、 ラジオ、ブロードバンド機器、モバイル衛星 端末(非GNSS)が含まれる。 地上機器分野の売上高は2016年に7%増加し た。ネットワーク機器の売上高は2016年に7% 増加した。衛星測位機器の売上高は2016年に 図4:打上産業分野の売上高推移[2012年~2016年](出典:資料*2) 20 24 24 18 米国22 38 29 38 36 その他33 58 54 59 54 総売上高 55 0 10 20 30 40 50 60 70 2012 2013 2014 2015 2016 売 上 高 グラフ タイトル その他 米国 総売上高 (億ドル) (年)

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8%増加した。民生機器の売上高は、2016年に 1%増加したが、衛星テレビ受信機が横ばいか、 市場によっては減少している。その反面、ブ ロードバンド機器とモバイル衛星端末の一部 では成長が見られる。 なお、本章(1)と同じく、SIAでは2017年 版のレポートから、衛星測位機器の売上高の 定義を変更し、2012年まで遡って集計し直し ている。ナビゲーション端末のみではなく、 携帯端末の部品であるチップセット、交通情 報システム、航空機アビオニクス、測量機器、 船舶・鉄道分野までも含むようになり、昨年 までのレポートと数値が合わない部分があ る。 3. 世界の衛星製造実績 世界の衛星製造実績は、公表されている衛 星の打上実績から集計することができる。 2016年は公表された実績をもとに(一社)日 本航空宇宙工業会(SJAC)で集計を行った*1 *2 2011年から2016年における6年間の国別衛 星製造数を図6に示す。また、2016年の衛星 製造実績に対する製造企業別シェアを図7に 示す。 2016年の衛星製造実績(2016年に打上げら れたMicro-Satelliteクラス以上の衛星)は世界 全体で108機で、2015年に比べて13機減少し た。総じて各国とも減少傾向ではあるが、イ ンドは機数で増加し、その大きさも1t以上の 大型衛星の比率が高い。2016年までの過去6 年間の年平均衛星製造実績は112.5機である。 米国の衛星製造数は2015年の40機から2016 年は34機と6機減少したが、順位は1位を維持 した。中国の衛星製造数は2015年の30機から 2016年に28機と2機減少し、順位は変わらず2 位となった。欧州の衛星製造数は2015年の21 機から2016年は17機と4機減少し、順位は変 わらず3位となった。インドの衛星製造数は 2015年の4機から2016年は8機と4機増加し、 順位はロシアを抜いて4位となった。特に1t以 上の大型衛星に限ると、インドは欧州も抜い て世界3位となる。ロシアの衛星製造数は 2015年の16機から2016年は7機と9機減少し、 順位は5位に下がった。日本の衛星製造数は 2015年の3機から2016年は6機と3機増加し、 図5 地上機器分野の売上高推移[2012年~2016年](出典:資料*2) 128 156 179 183 民生機器185 527 668 746 781 衛星測位機器846 99 88 93 96 ネットワーク機器 103 754 912 1018 1060 総売上高 1134 0 200 400 600 800 1000 1200 2012 2013 2014 2015 2016 売 上高 グラフ タイトル (億ドル) (年)

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2011 2012 2013 2014 2015 2016 米国 26 29 27 32 40 34 中国 19 23 18 22 30 28 欧州 31 18 21 24 21 17 インド 5 2 5 4 4 8 ロシア 20 14 22 28 16 7 その他 4 7 7 7 7 7 日本 3 3 4 19 3 6 イスラエル 0 0 1 1 0 1 TOTAL 108 96 105 137 121 108 0 20 40 60 80 100 120 140 衛 星 製 造 数 グラフ タイトル (機) (年) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 アメリカ地域 欧州 ロシア アジア/中東地域 中国   (注)上図の棒グラフは表の記載順に従い、左側から米国、中国、…、TOTALの衛星製造数を示している。 図6:国別衛星製造数[2011年~2016年] (SJAC調べ) 図7:2016年の衛星製造実績に対する製造企業別シェア (SJAC調べ)

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順位は6位となったが、その半数は50kg以下 のMicro-Satelliteが占めた。 2016年の衛星製造実績に対する製造企業別 シェア1位は米国の衛星製造企業SSL(Space Systems Loral)の15機、2位は中国の国有企業 である中国空間技術研究院(CAST:China Academy of Space Technology)の12機*3、3位 は米国の衛星製造企業The Boeing Companyの9 機となっている。4位にはインド宇宙研究機 関(ISRO:Indian Space Research Organisation) が8機で、欧州・ロシア勢を抜いて急成長した。 *1  2016 年 も 2015 年 に 引 き 続 き、Nano-SatelliteやCubeSatに分類される10kg以下 の超小型衛星が多数打上げられているが 売上高としては1%未満であり、また、本 稿の趣旨に従い集計から除いた。 *2  前章で出典としたSIAのレポートでは 政府機関や大学で製造された衛星を除外 しているが、本章ではMicro-Satelliteクラ ス以上(10kg超)の大きさの衛星を対象 とした。そのため、政府主導で宇宙開発 が活発な中国とインドが上位にランクイ   (注)上図の棒グラフは表の記載順に従い、左側から米国、中国、…、TOTALの打上回数を示している。 図8:国別ロケット打上回数[2011年~2016年](出典:資料*3) (注)上図の棒グラフは表の記載順に従い、左側から米国、中国、…、TOTAL の打上回数を示している。 2011 2012 2013 2014 2015 2016 米国 18 13 19 23 20 22 中国 19 19 15 16 19 22 ロシア 31 24 32 32 26 17 欧州 7 10 7 11 11 11 インド 3 2 3 4 5 7 日本 3 2 3 4 4 4 イスラエル 0 0 0 1 0 1 その他 1 5 0 0 1 1 韓国 0 0 1 0 0 0 多国籍 2 3 1 1 0 0 TOTAL 84 78 81 92 86 85 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 打 上 回 数 (回) (年)

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ンする。

*3  中国の衛星製造メーカーとしてCAST

が有名だが、ロケット製造メーカーの中 国運載火箭技術研究院(CALT:China Academy of Launch Vehicle Technology) と 上 海 市 に あ る 上 海 航 天 技 術 研 究 院 (SAST:Shanghai Academy of Spaceflight

Technology)と共に、国有企業である中 国 航 天 科 技 集 団 公 司(CASC:China Aerospace Science and Technology Corporation)の 傘 下 に あ る。CAST、 CALT、SASTをCASCとしてまとめると 21機となり、世界最大の衛星製造数にな る。 4. 世界のロケット打上実績 世界のロケット打上実績に関しては、米国 連邦航空局の商業宇宙輸送オフィス(FAA/ AST : The Federal Aviation Administration' s Office of Commercial Space Transportation)が "The Annual Compendium of Commercial Space Transportation:2017”を公表している(資料 *3参照)。 同レポートに基づく2011年から2016 年にお ける6年間の国別ロケット打上実績を図8に、 2016年打上げのロケット別内訳を図9に示す。 米国、ロシア、欧州、中国、日本、インド、 イスラエル、北朝鮮は、2016年に合計85回の 軌道打上げを行ない、そのうち21回は商業打 上げだった。2015年は合計86回、うち商業打 上げ22回だった。85回の打上げのうち2回は 失敗だった(ソユーズUおよび長征4号C型)。 2回は部分的成功だった(アトラスⅤおよび 長征2号D型)。射場試験中の爆発はカウント していない。 以下は、2016年における世界の打上産業の 要約である。 米国では2016年に11回の商業打上げを行っ た。NASAは国際宇宙ステーションの商業補 給 サ ー ビ ス(CRS:Commercial Resupply Services)を継続し、4回の補給ミッションを 実施した。SpaceX社は、2016年9月にファル コン9 FTが射場で燃焼試験中に爆発事故を起 こし、打上げを延期していたが、2017年1月に 図9:2015年打上のロケット別内訳(出典:資料*3) 1 8 4 8 1 3 2 8 4 2 7 2 8 7 4 1 1 1 2 1 1 6 1 1 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 打 上回数 グラフ タイトル (回) 北朝鮮 米国 ロシア 欧州 中国 日本 インド イスラ エル

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商業打上げを再開した。ULA(United Launch Alliance)は12回のミッションを実施した。 中国は新しいロケットのテストに成功し た。長征7号(Long March 7)は再突入試験カ プセルを打上げた。 5. 商業衛星打上の需要予測 米国連邦航空局の商業宇宙輸送オフィス ( F A A / A S T : T h e F e d e r a l A v i a t i o n

Administration' s Office of Commercial Space Transportation)と商業宇宙輸送諮問委員会 (C O M S T A C:T h e C o m m e r c i a l S p a c e

Transportation Advisory Committee)は、商業

宇宙打上サービスに対する世界の需要予測を 行っている(資料*3参照)。 表2にCOMSTACとFAA/ASTによる2017年 から10年間の商業衛星の需要と商業打上需要 の予測を示す。ここで対象とする衛星は、商 用 の 静 止 軌 道(GSO)衛 星 と 非 静 止 軌 道 (NGSO)衛星であり、非静止軌道衛星には、 商業衛星と商業打上ロケットを利用する政府 (民事と軍事)ミッションが含まれる。商業 打上ロケットを使わない衛星は含まれていな い。図10に打上回数の2007年から2016年まで の実績データと2017年から2026年までの予測 を示す。 年 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 合計 平均 静止軌道衛星 (COMSTAC予測値) 25 25 26 21 22 22 22 22 22 22 229 22.9 非静止軌道衛星 (FAA予測値) 242 300 300 244 256 249 206 252 206 135 2390 239.0 衛星合計 267 325 326 265 278 271 228 274 228 157 2619 261.9 静止軌道 (中型ー大型ロケット) 19 21 24 19 20 18 20 18 19 20 198 19.8 非静止軌道 (中型ー大型ロケット) 16 25 15 17 16 16 11 15 11 9 151 15.1 非静止軌道 (小型ロケット) 5 10 13 11 5 4 5 4 5 1 63 6.3 打上合計 40 56 52 47 41 38 36 37 35 30 412 41.2 商業静止軌道衛星/非静止軌道衛星打上予測 (単位:機) 軌道別商業打上回数予測 (単位:回) 静止軌道 打上実績 非静止軌道 打上実績 0 10 20 30 40 50 60 打 上 回 数 (回) (年) 静止軌道 打上予測 非静止軌道 打上予測 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 図10:2016年までの打上実績とその後10年間の打上予測(出典:資料*3) 表2 商業衛星および商業打上ロケットの需要予測(出典:資料*3)

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同レポートによれば、2017年から2026年ま での10年間における商業打上回数の予測は年 平均41.2回である。軌道別では、静止軌道の 打上回数予測が年平均19.8回であり、非静止 軌道の打上回数予測が年平均21.4回である。 また、同期間における商業静止軌道衛星の 市場予測は年平均22.9機である。その半数は 5,400kg以上の最も重いクラスであり、1割は 2,500kg未満の最も軽いクラスとなっている。 同期間における商業非静止軌道衛星の市場 予測では、10年間に衛星は2,390機で、打上回 数は214回である。この値には超小型衛星の 相乗り打上げを含んでいる。 なお、FAA/ASTとCOMSTACのレポート では、調査時点の打上計画を集計している。 2~3年後に打上回数が急増するという予測は 毎年のことであるが、それらが全て実現した わけではないことは図10の打上実績から読み 取ることができる。例年だと「2~3年後の山」 は30機~40機だったが、今年は56機に大きく 増加したことが特徴的である。 6. CubeSat CubeSatの製造実績は、公表されている衛星 の打上実績から集計することができる。2016 年は公表された実績をもとに(一社)日本航 空宇宙工業会(SJAC)で集計を行った。 図11にCubeSatの打上げ数推移を示す。2016 年には大学が製作したものも含めて82機の CubeSatが打上げられたが、2015年の115機か ら大幅減少した。その要因は、ロケットの失 敗からの打上げ延期が大きい。ちなみに、 2017年は8月末の時点で240機を超えており、 打上げ手段さえあれば、CubeSatの需要は過去 最大規模になっている。 2016年に打上げられたCubeSat 82機中32機 は米国Planet Labs社が製造・運用している。 17機は米国Spire Global社が製造・運用してい る。21機は大学及び中学校が製造した衛星 だった。 CubeSatの動向に関しては、米国の衛星産業 協会SIAがケーススタディとしてレポートし ている(資料*2参照)。同レポートによれば、 2016年には45機*1の商業CubeSatが打上げられ たが、その全てがリモートセンシングを目的 図11:CubeSatの打上げ数推移 (SJAC調べ) 0 20 40 60 80 100 120 140 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 打上機数

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としている。また、33機のCubeSatが国際宇宙 ス テ ー シ ョ ン(ISS:International Space Station)から軌道へと放出された。

*1  SJAC の 集 計 で は、Planet Labs 社 の Flock-2シリーズ32機とSpire Global社の Lemur-2 シ リ ー ズ 17 機 の 合 計 で、商 業 C u b e S a t は 49 機* 2と な る。し か し、 Lemur-2シリーズを4機少なくカウントし ている情報ソースが存在する。その要因 は2つある。 ①  衛星展開失敗のトラブルにより打上 げ機数が不明確で、4機少なくカウン トされていた時期があったが、現在は 更新されている。 ②  日本の宇宙ステーション補給機「こ うのとり」6号機(HTV 6)は、ISSに 施設を有する民間企業のNanoRacks社 の荷物をISSへ運んだが、その中に4機 のLemur-2が含まれていた。その4機を 実績にカウントしていない情報ソース も存在する。FAA/ASTのレポート(資 料*3)やウィキペディア等は後者であ る。 *2  民間企業が製造したCubeSatは他にもあ るが、実証実験や教育が目的のものや、 目的不明のものは、商業CubeSatから除い た。 7. まとめ 以下、世界の宇宙産業動向についての要約 を示す。 ・ 商業宇宙活動と政府の宇宙支出で構成さ れる世界の宇宙産業売上高は、2016年は 前年比1.9%増加し、3,290億ドルとなった。 各国政府の宇宙予算の減少がごくわずか であり、商業宇宙活動の成長が寄与した と見られる。米国を除く国の政府宇宙支 出は、主に為替相場の影響を受けドル ベースで減少したが、自国通貨ベースで は、ほとんどの国が宇宙活動予算を増加 させている。 ・ 衛星産業の売上高は2016年に2%増加し、 2,605億ドルとなった。これは、世界の宇 宙産業売上高の77%を占めている。 ・ 衛星産業を構成する4分野の売上高は、 ①衛星サービス分野で0.2%増加、②衛星 製造分野で13%減少、③打上産業分野で 2%増加、④地上機器分野で7%増加した。 衛星製造分野が大きく減少した要因は、 欧州の商用衛星、米国の政府衛星、ロシ ア、日本、韓国、中国の衛星の打上数の 減少および超小型衛星の打上数の減少で ある。 ・ 衛星製造実績(2016年に打上げられた Micro-Satelliteクラス以上の衛星)は世界 全体で108機だった。国別では米国34機、 中国28機、欧州17機、インド8機、ロシ ア7機、日本6機だった。総じて各国とも 減少傾向ではあるが、インドは増加して ロシアを抜いた。 ・ 2016年におけるロケット打上実績は、米 国、ロシア、欧州、中国、日本、インド、 イスラエル、北朝鮮で合計85回の軌道打 上げを行ない、そのうち21回は商業打上 げだった。国別では米国22機(うち部分 的成功1)、中国22機(うち失敗1、部分 的成功1)、ロシア17機(うち失敗1)、欧 州11機、インド7機、日本4機、イスラエ ル1機、北朝鮮1機だった。 ・ 2017年から2026年までの10年間における 商業打上回数の予測は年平均41.2回であ る。軌道別では、静止軌道の打上回数予 測が年平均19.8回であり、非静止軌道の 打上回数予測が年平均21.4回である。ま

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た、同期間における商業静止軌道衛星の 市場予測は年平均22.9機で、商業非静止 軌道衛星は年平均239.0機である。 ・ 2016年には大学が製作したものも含めて 82機のCubeSatが打上げられたが、2015年 の115機から大幅減少した。しかし、ロ ケットの失敗からの打上げ延期が大きな 要因であり、2017年の需要は過去最大規 模になっている。 参考資料

*1. Press Releases “Space Foundation Report Reveals Global Space Economy at $329 Billion in 2016”, Space Foundation

 

https://www.spacefoundation.org/media/ press-releases/space-foundation-report- reveals-global-space-economy-329-billion-2016

*2. “State of the Satellite Industry Report”, J u n e 2017, S I A / B r y c e S p a c e a n d Technology

*3. “The Annual Compendium of Commercial Space Transportation: 2017”, January 2017, FAA AST

参照

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