変形性膝関節由来関節滑膜細胞のペリオスチン産生に 及ぼすヒアルロン酸の効果
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Suppressive Activity of Hyaluronic Acid on Periostin Production from Human Synoviocytes in vitro
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樋口 毅史1,2) 石川慎太郎1)
浅野 和仁1) 久光 正1)
ABSTRACT
Objective The present study was designed to examine the influence of hyaluronic acid(HA) on the ability of synoviocytes to produce periostin, which is one of important effector molecule in the development of osteoarthritis, in response to IL︱13 stimulation in vitro.
Methods Synoviocytes(1⊠105cells╱mL)derived from an osteoarthritis patient were stimu- lated with 10.0 ng╱mL IL︱13 in the presence of various concentrations of HA for 48 hours. The levels of periostin in culture supernatants was examined by ELISA. To examine the influence of HA on transcription factor, STAT6, activation and periostin mRNA expression, synoviocytes
(1⊠105cells╱mL)were also cultured in a similar manner for 12 and 24 hours, respectively.
STAT6 activation was examined by ELISA and the levels of mRNA expression was real︱time RT︱PCR.
Results Addition of HA into cell cultures caused the suppression of IL︱13︱induced periostin production from synoviocytes. The minimum concentration that caused significant suppression of periostin production was 5.0 mg╱mL. HA at more than 5.0 mg╱mL also inhibited STAT6 activation and periostin mRNA expression, which were increased by periostin stimulation in synoviocytes.
Conclusion These results strongly suggest that HA favorably modify the clinical condition of osteoarthritis patients through the suppression of periostin production from synoviocytes after IL︱13 stimulation.
(Jpn Pharmacol Ther 2017;45:35 42)
KEY WORDS Hyaluronic acid, Osteoarthritis, Synoviocyte, Periostin, Suppression, In vitro
1)昭和大学医学部生理学講座 生体制御学部門 2)日本体育大学 保健医療学部整復医療学科
Takeshi Higuchi, Shintaro Ishikawa, Kazuhito Asano, and Tadashi Hisamitsu: Department of Physiology, School of Medicine, Showa Univer- sity; Takeshi Higuchi: Faculty of Medical Science, Nippon Sport Science University
2)〒227︱0033神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1221︱1
Tel╱Fax: 045︱507︱5374 e︱mail: [email protected]
一つである1)。また,膝OAはこのように罹患率が 高いのみならず,高齢者の日常生活動作(ADL)や 生活の質(QOL)の低下を誘発することから,支 援・介護サービス受給理由の第2位ともなってお り2),発症・進展予防や治療において今後より重要 性が増す疾患であると考えられている。
膝OAは上述したように中高年に好発する疾患 で,臨床症状の特徴は徐々に進行する関節の痛み,
変形,機能障害であることから,医療機関における 膝OAの治療では疼痛および硬直の緩和,QOLの改 善等を目的に温熱療法3,4)や足底板等を使用した非 薬物療法がおもに行われている5)。一方,非薬物療 法によって疼痛の緩和や機能改善が不十分な患者に は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),鎮痛剤の経 口投与やステロイドの関節内投与という薬物療法が 行われている4)。また,正常関節軟骨組織ではヒア ルロン酸にプロテオグリカンが結合した細胞外基質 の占める割合が非常に多いものの,罹患関節ではヒ アルロン酸が減少,その結果,関節組織の弾性や保 水性さらには潤滑作用が低下し,疼痛や硬直,関節 機能障害が起きると考えられていることから,高分 子ヒアルロン酸の関節内投与が行われ,その有用性 が報告されている6)。
膝OAの発症・増悪化機序に関しては不明な点が 多いものの,体重の増加による関節に加わる力学的 負荷の異常や加齢による関節の変化があげられてい る8)。また,内反膝などの下肢アライメントの異常 や外傷性の靭帯損傷によって膝OAが発症すること から局所の機械的ストレスの変化も大きな要因と なっている可能性が示唆されている3,5)。病態生化学 的に膝OAの発症・増悪化機序を検討すると,関節
て重要であることが報告されている。
ペリオスチンはIL︱13等の炎症性サイトカインの 刺激によって線維芽細胞や上皮細胞,血管内皮細胞 から合成・放出される分子量90︱kDaのタンパク質 で,骨形成や創傷治癒の促進,さらには癌細胞の増 殖や転移を誘発する因子として知られている13)。著 者らは膝OAの発症・増悪化に及ぼすペリオスチン の作用を検討,その結果,罹患関節から採取した関 節液には健常者由来の関節液と比較し高濃度のペリ オスチンが含有されていること,さらには関節液の ペリオスチン含有量は病態の進行に伴って増加する ことを観察,ペリオスチンが膝OAの発症や増悪化 に寄与している可能性のあることを報告した14)。そ こで今回,膝OA患者由来の膝関節滑膜細胞をヒア ルロン酸(HA)存在下,膝OAの重要なバイオマー カーと考えられているIL︱1314)で刺激し,関節滑膜 細胞のペリオスチン産生に及ぼすHAの作用を検討 した。
Ⅰ 材料と方法
1 細胞とその培養
本実験で使用した細胞は膝OA患者関節から採取 し,株化した関節滑膜細胞,HFLS︱OA,であった
(Cell Application Inc.,San Diego,CA,USA)。実 験に際しては細胞をSynoviocyte Growth Medium
(SG培地:Cell Application Inc.)1 mLあたり1⊠105 個に浮遊させ,24穴の細胞培養用プレートに1 mL ずつ三重に分注,CO2培養器内で2時間静置した。
その後,プレートの各wellを滅菌したphosphate buffered saline(PBS)で2回洗浄することによって
非付着細胞を除去した。次に,プレート各wellに各 種濃度のヒトリコンビナントIL︱13(R & D Systems, Inc.,Minneapolis,MN,USA)とHAを含むSG培 地,それぞれ1 mLずつを添加,CO2培養器内で細胞 を培養した。培養24から72時間目に上清を採取,
使用時まで-40℃で保存した。転写因子の活性化な らびにペリオスチンmRNAの発現を調べるための 細胞も上記と同様に12時間あるいは24時間培養し た。なお,本実験で使用したHAはヒト関節注射用
製剤(25 mgのHA含有;科研製薬㈱,東京)で,
使用の直前に上記SG培地で所定の濃度に希釈した。
2 ペリオスチン濃度の測定
市販のヒトペリオスチン測定用ELISAキット
(Phoenix Pharmaceuticals, Inc,Burlingame,CA, USA)を用いて培養上清中のペリオスチン濃度を測 定した。細胞培養後所定の時間に採取した上清を二 重にキットに添付されているヒトペリオスチン抗体 固相化96穴プラスチックプレートに分注,指示書 に従った方法でELISAを行い,得られた結果をng╱ mL±標準誤差で示した。なお,本キットの測定限界 は0.027 ng╱mLであった。
3 転写因子活性化の測定
市販の転写因子,STAT6,活性化測定用ELISA キット(Abcam plc,Cambridge,MA,USA)を用 いて,培養12時間目の細胞における転写因子の活 性化を測定した。細胞を24穴の培養用プレートか ら0.25%のトリプシンを用いて剝離後,96穴の平底
細胞培養用プレートに三重に播種し,底面に細胞を 固着させた。指示書の手順に従って細胞を固定後,
抗体ならびに発色剤で処理し,450 nmの吸光度を測 定,吸光度(OD)±標準誤差として結果を示した。
4 mRNA発現の検索
Real time RT︱PCR法によって培養細胞における ペリオスチンmRNAの発現を検索した。培養24時 間目の細胞からRNAを抽出後,cDNAを合成した。
このcDNAを用いて既報の条件に準じてPCRを
行った15,16)。反応終了後,ABI Prism 7900HT Fast
RT︱PCR system(Applied Biosystems,Foster City, CA,USA)を用いてmRNA発現の程度を検索,ペ リオスチンmRNAの発現量を18SリボソームRNA の発現量で除した値(RQ)を求め17),結果として表 示した。なお,本実験で使用したcDNA合成試薬な らびにPCR用試薬はApplied Biosystems社から購入 したものである。また,PCR反応に用いたプライ マーもApplied Biosystems社から購入したもので,
そ れ ぞ れ のIDは ペ リ オ ス チ ン の プ ラ イ マ ー が Hs01566734︱ml,18 sリボソームRNAがHs99999901︱ slであった。
5 統計学的検討
本文および図に示した値は平均値±標準誤差であ る。得られた値の統計学的有意差検定を一元配置分 散分析(ANOVA)とBonferroniの多重比較検定に よって行い,危険率5%未満をもって有意と判定し た。
図 1 変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のペリオスチン産生に及ぼすIL 13の効果 a :滑膜細胞を各種濃度のIL︱13で刺激し,48時間目の培養上清中ペリオスチンを測定した。
b :滑膜細胞を10 ng╱mlのIL︱13で刺激し,経時的に培養上清中ペリオスチンを測定した。
Ⅱ 結 果
1 膝OA由来関節滑膜細胞のIL 13依存性ペリオスチ ン産生に及ぼすHAの効果
膝OA関節由来関節滑膜細胞1⊠105個を2 ng╱mL から30 ng╱mLのIL︱13で刺激,24時間から72時 間後に培養上清を採取し,当該細胞からのペリオス チン産生に及ぼすIL︱13の効果を検討した。まず,
刺激48時間後に採取した培養上清を対象に関節滑 膜細胞からのペリオスチン産生に及ぼすIL︱13の至 適刺激濃度を検討したところ,図1aに示したよう に刺激に用いるIL︱13の濃度が2 ng╱mLであっても 対照と比較し,統計学的に有意なペリオスチン産生 が認められた。刺激に用いるIL︱13の濃度を10 ng╱ mLに増加したところ,培養上清中のペリオスチン 濃度が2 ng╱mLの場合と比較し,飛躍的に増加した ものの,IL︱13の濃度を15 ng╱mL,20 ng╱mL,30 ng╱mLと増加させても培養上清中のペリオスチン 濃度は10 ng╱mLのそれとほぼ同様であった。関節 滑膜細胞を10 ng╱mLのIL︱13で刺激,24時間,48 時間,72時間後に培養上清を採取,IL︱13依存性ペ リオスチン産生に及ぼす培養時間の効果を検討し た。図1bに示したように培養24時間後と比較し,
48時間で統計学的に有意なペリオスチン産生が認 められ,培養時間を72時間に延長しても培養上清 中のペリオスチン濃度は48時間のそれと大差がな
かった。次に,関節滑膜細胞を0.5 mg╱mLから10.0 mg╱mLのHA存 在 下,10 ng╱mLのIL︱13で 刺 激 し,48時間後に培養上清を採取,ペリオスチン産生 に及ぼすHAの効果を検討した。図2に示したよう に関節滑膜細胞をIL︱13で刺激したところ,非刺激 の場合と比較し,約2倍にペリオスチン産生量が増 加した。このIL︱13刺激によるペリオスチン産生量 の増加は細胞培養系への0.5 mg╱mLならびに1.0 mg╱mLのHA添加では抑制されなかったものの,
5.0 mg╱mL以上のHA添加により統計学的に有意に 抑制された。
2 膝OA由来関節滑膜細胞に対するHAのペリオスチ ン産生抑制機序の検討
膝OA関節由来関節滑膜細胞からのペリオスチン 産生に及ぼすHAの抑制機序を転写因子の活性化と ペリオスチンmRNA発現を指標に検討した。関節滑 膜細胞を0.5 mg╱mLから10.0 mg╱mLのHA存在 下,IL︱13で12時間刺激し,当該細胞における
STAT6の活性化を調べた。図3に示したように関節
滑膜細胞をIL︱13で刺激したところ,STAT6の著明 な活性化が観察され,この滑膜細胞におけるIL︱13 依存性STAT6の活性化は細胞培養系への5.0 mg╱ mL以上のHA添加により統計学的に有意に抑制さ れた。関節滑膜細胞を0.5 mg╱mLから10.0 mg╱mL のHA存在下,IL︱13で24時間刺激し,当該細胞に おけるペリオスチンmRNA発現を調べたところ,図 図 2 変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のペリオスチン産生に及ぼすヒアルロン酸の効果
Med. alone=培地のみ,IL︱13 alone=IL︱13のみ,HA=ヒアルロン酸
4に示したように,細胞培養系への5.0 mg╱mL以上 のHA添加により,IL︱13刺激によって誘導される ペリオスチンmRNA発現が統計学的に有意に抑制 された。
Ⅲ 考 察
わが国における膝OA患者数は,2008年で潜在的 な者を含めると3000万人以上1)とされ,これらのな かから毎年約90万人が発症する18)と考えられてい る整形外科領域では非常に重要な疾患である。ま た,本疾患は加齢を基盤とした膝関節の変性疾患 で,根本的治療法がないばかりでなく高齢者の ADLやQOLを低下させる主要な原因となっている とともに介護保険における要介護の対象として上位 を占めている疾患でもある2)。
膝OAの臨床症状の特徴は徐々に進行する痛み,
関節の腫脹,そして機能障害であるが,疼痛の訴え がもっとも多い19)。これら臨床症状は加齢や免疫 学・生化学的変化による関節軟骨の変性や消失に起 因していると考えられている17)。そのため膝OAの 治療では軟骨変性を抑制するための治療が行われ,
その代表がHAの関節内注射と考えられているもの の,その作用機序に関しては十分解析されていると はいいにくい面がある5)。
著者らはすでに,膝OAの発症や増悪化に寄与し
ている生化学的因子の検討を行い,膝OA患者関節 液には健常者のそれと比較し,統計学的に有意に高 濃度のヒドロキシラジカルや一酸化窒素(NO)が含 有されていることを見いだし,フリーラジカルが関 節軟骨の破壊に寄与していることなどを報告してき た9~11)。また,膝OA患者関節液では組織リモデリ ングの誘発に重要な役割を果たしていると考えられ ているペリオスチン12)の含有量が病態の進展に 伴って増加すること,さらには,ペリオスチンの刺
図 4 変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のペリオ スチンmRNA発現に及ぼすIL 13とヒアルロン 酸の効果
Med. alone=培地のみ,IL︱13 alone=IL︱13のみ,HA= ヒアルロン酸
図 3 変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞の転写因子,STAT6の活性化に及ぼすIL 13とヒアルロン酸の効果 Med. alone=培地のみ,IL︱13 alone=IL︱13のみ,HA=ヒアルロン酸
であった。
関節液は基本的には組織液に分類され,血漿とほ ぼ同濃度の電解質や糖を含むとともに,滑膜表層細 胞がヒアルロン酸を合成・放出することから,正常 関節液には3~4 mg╱mLのヒアルロン酸が含まれて いるものの,膝OA患者関節液ではこのヒアルロン 酸濃度が1~2 mg╱mLと著明に低下することが報告 されている18)。ヒアルロン酸は上述したように生体 細胞が合成・放出するムコ多糖類で,すぐれた保水 力を特徴とする粘性の非常に高い物質である。関節 液における本物質の濃度減少は関節液の粘性や潤滑 作用さらには保水性を低下させ,その結果,関節に 加わる機械的ストレスの衝撃緩和作用が低下し,関 節痛や関節屈曲角度の減少等が誘発されると考えら れている5,18)。膝OA関節内に注入されたヒアルロン 酸は軟骨表面に付着,組織内に浸透するのみならず 関節液に含まれるヒアルロン酸量を正常関節液のそ れに近い濃度にまで回復させることが示されてい る19)。生体にヒアルロン酸を投与し,この投与され たヒアルロン酸が関節液の機能改善に寄与している か否かを実験的に検討すると,皮下に投与したヒア ルロン酸液は投与時間が経過するとタンパクと相互 作用し,粘度が上昇するとともにムチンクロット形 成能を有する物質に変化,関節液に類似した性状を 示すことが報告されている20)。生物学的側面から膝 OAを観察すると,膝OAでは軟骨基質の破壊と軟 骨細胞のアポトーシスによる軟骨の変性が認めら れ,軟骨基質の破壊にはMMPが,さらには軟骨細 胞のアポトーシスにはNOが必須の役割を果たして いるとされている9,12,20)。ペリオスチンは軟骨細胞 や線維芽細胞さらには関節滑膜細胞に作用し,これ
スタミンなどの炎症性ケミカルメディエイターが放 出されるとともに,関節に分布している侵害受容器 の脱分極を誘発するK+や内因性発痛物質の生合成 に関与しているプロテアーゼの関節腔内への遊離が 促進され,その結果,関節の痛みが誘発される12)。 そこで,これら報告と本実験の結果をあわせ考察 すると,膝OA関節にヒアルロン酸を注入すると,
このヒアルロン酸が病的関節に貯留,関節軟骨や関 節液の機能回復に寄与するとともにIL︱13刺激に よって誘導される関節滑膜細胞からのペリオスチン 産生を抑制し,関節痛の発現を調節するとともに,
関節構成細胞の障害を抑制している可能性が推察さ れる。
IL︱13は細胞膜に発現しているIL︱4╱IL︱13α受容 体に結合し,このIL︱13╱受容体複合体に起因した刺 激が細胞内に伝達されるとチロシンキナーゼの活性 化が起きるとともにこのチロシンキナーゼの活性化 によって炎症性サイトカインやペリオスチンの産生 に必須である転写因子STAT6のリン酸化さらには こ れ ら 因 子 のmRNA産 生 の 増 強 が 誘 導 さ れ る23~25)。そこで次にヒアルロン酸のペリオスチン 産生抑制機序について検討したところ,細胞培養系 に5.0 mg╱mL以上のヒアルロン酸を添加するとIL︱ 13刺激によって誘導される細胞のSTAT6のリン酸 化とペリオスチンmRNAの発現が統計学的に有意 に抑制された。これらの結果から,ヒアルロン酸は
STAT6のリン酸化さらにはペリオスチンmRNAの
発現を抑制し,ペリオスチン産生を制御している可 能性があることが示唆された。細胞内におけるチロ シンキナーゼの活性化やSTAT6のリン酸化には細 胞内Ca2+濃度の増加が必要とされている26)。関節
軟骨細胞をヒアルロン酸で処理するとヒスタミンや IL︱1刺激によって誘導される細胞内Ca2+濃度の上 昇が抑制されることが報告されている27)ことから,
ヒアルロン酸がIL︱13刺激による細胞内Ca2+濃度 の上昇を抑制し,チロシンキナーゼの活性化や
STAT6のリン酸化を阻止した可能性が推察される
ものの,ヒアルロン酸の細胞内情報伝達機構に及ぼ す効果等については,今後検討を加える必要がある と考える。
結 論
膝OAの薬物療法として多用されているHAの関 節内投与における薬物の効果を膝OA関節由来関節 滑膜細胞とペリオスチンを用いて細胞培養実験に よって検討した。その結果,HAがペリオスチン産 生を5.0 mg╱mLの濃度で抑制することが明示され,
このペリオスチン産生抑制作用はHAの転写因子,
STAT6の活性化とペリオスチンmRNA発現抑制に
よっていることが示唆された。さらに,本研究の結 果は,病的関節へのHA注入が関節軟骨や関節液の 機能回復のみならず,ペリオスチン産生を抑制する ことによって関節痛や組織障害発現を調節している 可能性があることも示唆している。
【利益相反】 本研究には開示すべき利益相反はない。
文 献
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