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Product-Service Systems の研究動向について

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Academic year: 2021

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Product-Service Systems の研究動向について

1. はじめに

 近年,製品の高付加価値化や,循環 型社会実現のための脱物質的な価値創 出手段として,製品・サービスシステ ム(Product-Service System:PSS)

に対する注目が高まっている.本稿で は,2012 年 10 月に開催された国際会 議「The 4th CIRP Conference On In- dustrial Product Service Systems」

の Proceedings に採録された論文を分 析し,この分析結果にもとづく PSS の研究動向について紹介する.

2.Product-Service Sys- tems とは

 近年,東アジア諸国の企業における 急速な技術発展などに伴い,多くの製 品が過酷な価格競争に巻き込まれてい る.わが国の製造業の多くは,製品単 体を売ることにより対価を得るビジネ スモデルでは,競争力を維持すること が難しくなってきている.このような 状況を打破する一つの解決策として,

わが国の製造業が持つ数多くのノウハ ウを有効に用いて,顧客に対して物理 的な製品の提供のみならず,設計・製 造から完成後の管理運営・メンテナン スなどの行為的な製品の提供まで含め たシステムを売ることで,製品の付加 価値を高めるための取り組みが活発化 している.たとえば,新興国や途上国 向けの発電設備の場合,発電設備その ものを造るだけでなく,電力監視シス テムの導入やシステムを維持管理する 人材の研修,メンテナンス,災害や事 故の発生に備えたリスクマネジメント など,インフラ整備にかかわる行為的 な製品の提供を含めたシステムを売り 込むことが競争力強化の鍵となる.

 このような,物理的な製品と行為的 な製品(サービス)を組み合わせたシ ステムにより,製造業製品の付加価値 向上を実現する取り組みは,Product- Service System の名のもとに,近年,

ヨーロッパを中心として盛んにその研 究が行われている.

3.Product-Service Sys- tems の研究動向

 この PSS 研究に関する代表的な国 際会議の一つとして,CIRP Confer- ence On Industrial Product Service Systems(CIRP IPS2)が挙げられ,

その第 4 回目が,2012 年 11 月 8 日か ら 2 日間にわたり(独)産業技術総合 研究所・臨海副都心センターにて開催 された.本会議には,国内外から計

106 名の研究者や実務者が参加し,計 84 件の発表が行われた.

 以下に,本会議の Proceedings に採 録された論文の分析結果にもとづく,

PSS の研究動向について紹介する.本 分析では,まず,各論文に記述されて いるキーワードを抽出し,その分類を 行った.その結果,“Technique and tools”,“Business model”,“Manage- ment issues”,“Evaluation”,“Design and Development”,“Customer is- sues” の 6 種 に 分 類 さ れ た.Tech- nique and toolsには,現場観測技術や,

利用者支援技術,シミュレーション ツールなどの PSS に適用可能な技術 やツールに関するキーワードが含まれ る.Business model には,利害関係 者間の契約方法や組織の構成方法,価 格の設定方法に関するキーワードが含 ま れ る.Management issues に は,

PSS の提供プロセスや,知識や情報の 管理に関するキーワードが含まれてい る.Evaluation には,PSS の効率性や,

環境負荷,リスクなどの評価に関する キーワードが含まれている.Design and Development には,PSS の設計・

開発に関するキーワードが含まれてお り,Customer issues には,顧客満足 度や,PSS の品質に関するキーワード が含まれている.

 次に,各論文に記述されている複数 のキーワードが,それぞれどの分類に 含まれているかという情報をもとに,

自 己 組 織 化 マ ッ プ(Self-Organizing Map, SOM)を用いて各論文のマッピ ングを行った.その結果を図 1に示す.

図中の丸印は各論文の座標を示してい る.また,丸印の濃淡はデータの密度 を示しており,濃い色ほどその近傍に 論文が密集していることを示す.この マップから,図 1の(a)から(c)

に示す,PSS 研究の主要なテーマに相 当すると考えられる 3 種の特徴的な論 文のクラスタが抽出された.(a)は,

Technique and tools に 関 す る キ ー ワードを含む論文のクラスタである.

たとえば,Komoto らは,PSS のビジ ネスモデルによるライフサイクルコス トや環境負荷の差異を,シナリオプラ ンニングとそれにもとづくシミュレー ションにより算出している(1)(b)は,

Design and Development と Custom- er issues に関するキーワードを含む 論文のクラスタである.これらは,顧 客中心型設計・開発に関するものであ

り,たとえば,Burger らは,PSS 提 供時に継続的に顧客情報を取得し,こ れらの情報を設計・開発に活用するた めの手法を提案している(2)(c)は,

Business model と Management is- sues に関するキーワードを含む論文 のクラスタである.たとえば,Chiru- malla らは,PSS 開発に関わる複数の 利害関係者間における知識共有方法 と,その際の利害関係者間の関係性に ついて議論している(3)

4. まとめ

 本稿では,CIRP IPS2 2012 の Pro- ceedingsに採録された論文を分析し,

PSS 研究の主要なテーマに相当すると 考えられる 4 種の特徴的なクラスタを 特定した.近年,PSS 研究が活発化し,

数多くの研究成果が発表されている一 方で,PSS に関わる概念や手法を整理 し PSS 研究の体系化を行うべきであ るとの要望も高まっている.本分析結 果が,PSS 研究体系化の一助となれば 幸いである.

(原稿受付 2013 年 2 月 9 日)

〔木見田康治 東京理科大学〕

●文 献

( 1 )Komoto,H., ほか,A Simulation Method of Dynamic Systems Applied to Backcasting Scenario Design, Proceedings of CIRP IPS2 Conference 2012,(2012-11), 333-

( 2 )Burger,A.,ほか,Design for Customer- Sus-338.

tainable Customer Integration based upon a Customer-driven Solution Configurator, Proceedings of CIRP IPS2 Conference 2012,(2012-11), 263-268.

( 3 )Chirumalla,K., ほ か,Knowledge-Sharing Network for Product-Service System De- velopment: Is it atypical?, Proceedings of CIRP IPS2 Conference 2012,(2012-11), 109-114.

図 1 CIRPIPS22012 の Proceedings に 採録された論文のマッピング結果

─ 70 ─

日本機械学会誌 2013.5 Vol.116No.1134 334

参照

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