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板鍛造におけるアルミニウム成形技術の開発 小田

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福岡県工業技術センター 研究報告 No.25 (2015)

- 54 -

板鍛造におけるアルミニウム成形技術の開発

小田 太*1 谷川 義博*1 竹下 朋春*1 堀之内 大樹*2

Development of aluminum forming technology in plate forging

Futoshi Oda, Yoshihiro Tanigawa, Tomoharu Takeshita and Hiroki Horinouchi

板鍛造とは,プレス加工において板成形技術と冷間鍛造技術を組合せた複合成形技術であり,板材から高さ方向 の形状を立体的に創出するための技術である。従来,切削加工やダイキャスト又は複数部品の接合によって製作し ていた製品を,板材からプレス加工にて製作することで大幅なコストダウンが期待される。県内プレス企業は,グ ローバル化,コスト競争によって厳しい状況にあり,コストダウンや新規受注のため,板鍛造技術が望まれている。

そこで,本研究では,鍛造の経験が浅い板成形を主とするプレス企業が,突起や立体的な形状の成形に対し,最適 な工程を設計できるように,鍛造解析を用いてデータベースを作成した。

1 はじめに

近年,県内プレス企業はグローバル化,コスト競争 によって厳しい状況におかれている。県内で拡大する 自動車や電子機器用の部品生産は,部品の軽量化,一 体化による高付加価値化や更なるコストダウンが要求 されている。現在,県内プレス企業は,これらの要求 に応えるため,新しい取組を始めている。その一つと して板鍛造技術が挙げられる。しかし,従来板成形を 主としていた企業にとって鍛造技術は未知のものであ り,試作開発に時間とコストがかかっていた。そこで,

試作開発の短納期化,コストダウンにCAEを活用する ことが期待されている。(株)高山プレス製作所では,

図1の美顔器部品の成形にあたり,アルミニウムの板 鍛造に取り組み始めたことから,図2に示すとおり途 中工程に対し鍛造解析を行い,CAEの有効性を確認し た。

今後も鍛造部品に取り組む上で,試作開発の短納期 化,コストダウンのために,板鍛造部品の工程設計に CAEを活用することが有効であると考え,美顔器部品 を参考にモデルを作成し,鍛造解析を用いてデータベ ースを作成した。

2 研究,実験方法

2-1 ウケ有無による円筒突起成形の鍛造解析

鍛造加工で基礎的な形状の一つである円筒突起の成 形に対し,鍛造解析SuperForgeを用いて解析を行った。

図1 美顔器部品

a)美顔器部品の途中工程の実製品

b)美顔器部品の途中工程の鍛造解析結果 図 2 美顔器部品の途中工程の実製品と鍛造解析結果

*1 機械電子研究所

*2 (株)高山プレス製作所

(2)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.25 (2015)

- 55 - 鍛造経験がなくても円筒突起高さに対する金型の押込 み量の設定ができるように,2つのモデルに対して突 起部面積,突起高さ,押込み量の関係を示し,データ ベースを作成した。図3にモデル①を,図4にモデル② を示す。モデル①は,突起先端が元の板厚よりも高い 場合を想定し,板を潰した時に材料が外に逃げていく のを防ぎ,高さ方向に材料が移動するように,ウケを 設けている。一方,モデル②は,突起先端が元の板厚 よりも低い場合を想定し,ウケを無くした。

図3 円筒突起を有するモデル①

図4 円筒突起を有するモデル②

円筒突起の外径と内径,面積を表1に示す。円筒突 起はネジ締結に用いられることが多いため,内径はネ ジの下穴の径とした。表2は,今回の解析で使用した 解析条件である。

表1 解析モデルの円筒突起の外径と内径,突起面積

4.7 1.6 2 15.33

6.0 1.6 2 26.25

8.0 2.6 3 44.93

10.0 3.4 4 69.43

12.0 4.3 5 98.53

14.0 5.1 6 133.44

16.0 6.8 8 164.66

18.0 8.6 10 196.28

20.0 10.5 12 227.45 22.0 12.0 14 266.90 24.0 14.0 16 298.30 外径

(mm)

内径 (mm)

ネジ

(M)

面積 (mm

2

)

表2 解析条件

3 結果と考察

3-1 ウケ有無による突起の成形高さのデータベース作成

押込み量1,3,5 mmに対して解析を行った。それぞ れの解析結果を表3~5に示す。この結果から,グラフ を作成した。図5,図6はモデル①の突起部面積,突起 高さ,押込み量の関係である。図5は,縦軸が突起高 さ,横軸は突起部面積となっている。図6は,縦軸が 押込み量,横軸は突起高さである。図5,図6の使用例 と し て , 外 径 φ 12.0 mm 内 径 φ 4.3 mm ( 突 起 部 面 積 98.53 mm

2

)高さ5.0 mmの円筒突起を成形する場合,

図5から,突起部面積98.53 mm

2

の時の押込み量と高さ のグラフを作成する(図6)。このグラフを用いること で, 高さ5.0 mmに 成形 する 場合 , 必 要な 押込 み量 は 3.0 mmと判断できる。モデル②においても,解析結果 からグラフを作成した。図7,図8はモデル①と同様,

突起部面積,突起高さ,押込み量の関係である。モデ ル②もモデル①と同様に,上記の方法で押込み量を算 出できる。

鍛造の経験がないプレス企業がこのような突起を有 する製品を成形する金型を試作する際に,図9の様に,

通常は,解析を行って,解析結果を元に設計に取り掛 かる。しかし,鍛造の経験がないために,解析を行う 際,押込み量の設定に見当がつかず,解析のトライ &

エラーを繰り返す。また,解析結果が出ないと設計に

取り掛かりにくいといった問題があった。しかし,こ

れらのグラフから,解析の押込み量の設定が容易にな

り,解析結果を待たずに設計に取り掛かれるようにな

った。

(3)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.25 (2015)

- 56 - 表3 押込み量1 mmの鍛造解析結果

4.7 1.6 2

15.33 2.27 0.51

6.0 1.6 2

26.25 2.55 0.64

8.0 2.6 3

44.93 2.49 0.68

10.0 3.4 4

69.43 2.35 0.74

12.0 4.3 5

98.53 2.18 0.78

14.0 5.1 6

133.44 1.97 0.80

16.0 6.8 8

164.66 1.79 0.79

18.0 8.6 10

196.28 1.65 0.78

20.0 10.5 12

227.45 1.54 0.76

22.0 12.0 14

266.90 1.47 0.76

24.0 14.0 16

298.30 1.46 0.76

内径 (mm)

ネジ

(M)

面積 (mm

2

)

モデル① 突起高さ

モデル② 突起高さ 外径

(mm)

表4 押込み量3 mmの鍛造解析結果

4.7 1.6 2

15.33 5.33 1.34

6.0 1.6 2

26.25 5.81 1.70

8.0 2.6 3

44.93 5.66 1.87

10.0 3.4 4

69.43 5.40 2.04

12.0 4.3 5

98.53 5.06 2.17

14.0 5.1 6

133.44 4.68 2.28

16.0 6.8 8

164.66 4.36 2.26

18.0 8.6 10

196.28 4.14 2.24

20.0 10.5 12

227.45 3.99 2.23

22.0 12.0 14

266.90 3.89 2.27

24.0 14.0 16

298.30 3.91 2.23

モデル① 突起高さ

モデル② 突起高さ 外径

(mm) 内径 (mm)

ネジ

(M)

面積 (mm

2

)

表5 押込み量5 mmの鍛造解析結果

4.7 1.6 2

15.33 7.86 3.38

6.0 1.6 2

26.25 8.33 3.90

8.0 2.6 3

44.93 8.02 4.08

10.0 3.4 4

69.43 7.66 4.24

12.0 4.3 5

98.53 7.28 4.35

14.0 5.1 6

133.44 6.83 4.42

16.0 6.8 8

164.66 6.46 4.37

18.0 8.6 10

196.28 6.20 4.37

20.0 10.5 12

227.45 6.01 4.37

22.0 12.0 14

266.90 5.93 4.42

24.0 14.0 16

298.30 5.92 4.41

モデル② 突起高さ 外径

(mm) 内径 (mm)

ネジ

(M)

面積 (mm

2

)

モデル① 突起高さ

図5 押込み量に対する突起部面積と突起高さの関係

(モデル①)

図6 突起部面積98.53 mm

2

に対する 突起高さと押込み量の関係(モデル①)

図7 押込み量に対する突起部面積と突起高さの関係

(モデル②)

図8 突起部面積98.53 mm

2

に対する 突起高さと押込み量の関係(モデル②)

図9 鍛造品試作の際の製造工程

(4)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.25 (2015)

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4 まとめ

今回の研究をまとめると以下のとおりである。

押込み量に対する突起部面積と突起高さの関係を求 めることで,所定の円筒突起に対して,押込み量を算 出することができた。

これにより,鍛造の経験がほとんどない,板成形を

主とするプレス企業が,円筒突起を有する製品を成形

する金型を試作する際に,試作期間の短縮とコストダ

ウンが期待できる。しかし,実際の製品は今回行った

円筒突起だけではなく,様々な形状がある。今後もニ

ーズを調査し,他の基礎的な形状のデータベース作成

や,新たな製品形状に対して,実製品と解析結果の比

較と検証を行う等,継続して取り組んでいく。

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