電 位 差 法 に よ る
pH
測 定 用 流 通 式 電 気 化 学 マ イ ク ロ セ ル の 開 発 と 評 価 日 大 生 産 工(院) ○ 横 田 龍 力 日 大 生 産 工 陶 究 ・ 日 秋 俊 彦 日 大 総 研 大 院 佐 藤 敏 幸 ・ 中 村 暁 子【はじめに】 マイクロセルを用いた電気化学測 定法は, 近年, 分析化学のみならず, 溶液化学, 薬 化学, 生物化学の分野において新たな測定法とし て注目を集めている. 一方で, 高温高圧水中でバ イオマス資源を数ミリ秒~数秒の反応時間で処理 することにより, 糖類や医薬品の中間体などの有 用化学原料を回収できることが明らかとなってい
る 1). 今後, 生成物を高収率かつ高選択率で得る
ための条件の探索が重要となり, その際, 副生す る有機酸は, 通常熱的に不安定であるが, このよ うな短時間では安定に存在するため, その解離挙 動の把握が反応機構解明の重要な因子となる. 既 に, 電位差法による pH 測定法を用いた超臨界水 中での解離定数の評価装置は報告されているもの の 2), 常温常圧条件ですら, 上述のような微小反 応時間 (装置内滞在時間)で正確に pH を測定し, 解離定数を評価するための電気化学マイクロセル の開発に関する報告は皆無である.
本研究では, 高温高圧水中での pH 測定用電気 化学マイクロセルの開発を視野に入れつつ, 常温 常圧で使用可能なpH測定用流通式電気化学マイ クロセルを試作し, その評価を行ったので結果を 報告する.
【装置および実験】 Fig. 1および2に作製した 流通式測定装置および電気化学マイクロセルの概 略図を示す. 電極には白金水素電極を用いた. 電 極は, 白金薄膜(純度 99.99%, 厚さ 0.10 mm)の表 面に白金黒を析出させることで作製した. セル材
Development of a Flow-through Electrochemical Microcell for Potentiometric pH Measurement
Tatsuyoshi YOKOTA, Kiwamu SUE, Toshihiko HIAKI, Toshiyuki SATO, and Akiko KAWAI-NAKAMURA
Fig.1 Flow-through apparatus
Fig.2 Details of microcell
33mm
①
①①
②①
②
②
②
③
③③
③
④
④
④
④
⑤
⑤
⑤
⑤
⑥
⑥⑥
⑥ ⑦⑦⑦⑦ 50mm
②②
②②Inlet (Ref. Soln)
③
③
③
③Ref. electrode
①①
①①Cu wire covered with heat shrinkable PTFE tubing
⑥⑥
⑥⑥Inlet (Test Soln)
④
④④
④Test electrode
⑦⑦
⑦⑦Cu wire covered with heat shrinkable PTFE tubing
⑤⑤
⑤⑤Outlet (Effluent)
1
2
3
4
5
DE LL DE LL DE LL
Ref soln Test soln
Scanner [E]
Computer
Effluent HPLC
Pump
HP Date Logger HP Date Logger
H2
P
T Microcellには絶縁性に優れたPEEK及びテフロンを用いた.
セルは5枚のシートから構成され, 内側の2およ び 4 枚目のシートに流路を加工した. 流路は電 極との接触面積を大きくするために流路幅を 1.0 mm とし蛇行形状とした. 一方, セル内滞在時間 を最小とするため流路の深さは 0.2 mm とした.
3 枚目のシートの両面に両電極設置用の溝(深さ
0.2 mm)を加工した. 3枚目のシートのみ材料とし
てテフロンを使用しシート材の硬度を変化させる ことでシール性の向上を図った.
測定は常温常圧条件下において行った. 参照 液および被検液として10-3 mol/kg HCl + 1.0 mol/kg NaCl 水溶液および10-2 mol/kg HCl + 1.0 mol/kg NaCl水溶液を用いた. まずHPLCポンプにより
流量1.0~10.0 g/minでセル内に参照液をそれぞれ
送液し, 参照電極および指示電極と接触後, セル 出口で混合し, セル外へ排出した. この間の電位 安定時の電位差E1を測定しPCで記録した. その 後指示電極側に被検液を送液し同様に電位差 E2
を測定した. セルの内容積は 0.025 cm3であり, 滞在時間は0.15~1.5 secに相当する. なお実験中, 両溶液には水素ガスを流通させ, 水素の飽和溶液 として供給した.
【結果と考察】 Fig. 3 に22.0 oC, 0.1 MPa, 流量
5.0 g/min の条件での測定結果を示す. 測定電位
差∆E(exp) = E2 - E1について, 理論値 ∆E(cal)を
Nernst 式およびHenderson 式により算出し, これ
らの誤差を以下の式より決定し評価した.
) 100 (
) ( (exp)
[%] ×
∆
∆
−
= ∆
cal E
cal E
Error E
(1)測定誤差の流量依存性をFig. 4に示す. 流量の 増加にともない誤差は減少し, 流量5.0 g/min (滞
在時間0.2 sec)の条件で電位変動 ±0.2 mV, 誤差
0.34 % と最も高精度な測定が可能となった.
しかし, 更に高流量条件では誤差が若干増加す る傾向を示した. 原因として, 高流量ほど単位 時間当たりの水素供給量が多いことにより電極 表面-溶液間の平衡到達が早く, 正確な測定が行 えたものに, 一定流量以上では, 溶液供給量も多 いために電極表面の汚染が進行し, 精度が低下
したと考えている. 現在, この理由についての 詳細な解析を進め, さらに, 高精度での測定条件 の検討および, 高温加圧条件下での測定に向け た装置改良も並行して行っている.
Fig. 3 Typical response of measured potential.
(22.0 oC, 0.1 MPa, Flow rate 5.0 g/min)
Fig.4 Error as a function of flow rate.
【謝辞】 本研究は, 日本学術振興会 科学研究費 補助金および文部科学省 学術フロンティア推進 事業補助金の支援により, また, 本学の戸塚久美 子氏, 会田桂子氏の協力のもと遂行できました.
ここに感謝いたします.
【文献】 [1]T. M. Aida, Y. Sato, M. Watanabe, K.
Tajima, T. Nonaka, H. Hattori, K. Arai K, J. Supercrit.
Fluids, in press, [2] K. Sue, M. Uchida, T. Usami, T.
Adschiri, K. Arai, J. Supercrit. Fluids, 28(2-3), 287(2004)
0 2 4 6 8 10
0 5 10
E rr o r [% ]
Flow rate [g/min]
0 100 200
0 50 100
Time [min]
P o te n ti al [ m V ]
ΔE(exp) ref-ref (E1)
ref-test (E2)
ref-ref