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なぜ ステロイドを使うのか? 最も強力な抗炎症作用 ( 結合織の炎症を抑え 拡大を防ぐ ) 強力な免疫抑制作用 ( 自己免疫現象を抑え 自己抗体を減らす ) ステロイド剤を大量に使う場合とは治療しなければ生命を脅かすような臓器障害 ループス腎炎 中枢神経症状 間質性肺炎 肺胞出血 心外膜炎 胸膜炎

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Academic year: 2021

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講演会と交流会は終了しましたので概要を報告します

日 時 平成 29 年 9 月 16 日(土)13:30~16:00

場 所 サンシップとやま 501 号室

講 師 富山大学付属病院 免疫・膠原病内科 医師 津田 玲奈 氏

参加人数 41 名(患者 31 名 家族等 7 名 支援関係者 3 名)

講演概要

1. 全身性エリテマトーデスとは

・男女比は 1:9 で、女性に多い疾患 (重症から継承まで多彩)。 ・好発年齢は 30~40 代・早期診断、 治療薬の改善、副作用対策の改善に より予後は昔よりはるかによくなっている。 ・抗 ds-DNA 抗体、抗リン脂質抗体 (抗カルジオリピン抗体、ループス アンチコアグラントなど)が特異的に 出現する(自己抗体が出現する)。

全身性エリテマトーデス

の予後を左右する因子 ・腎症 ・稀少難治病態 ・感染症(ステロイドや免疫抑制剤の使用による)

2. 治療について

症状、病態、重症度に応じて治療法は異なる ・軽症(限局性の皮疹や関節炎、軽度の脱毛のみ):ステロイド外用剤や鎮痛薬など ・中等症:中等量のステロイド内服、免疫抑制剤 ・重症(急速進行性の腎障害、肺胞出血、中枢神経病変など):大量ステロイド療法+免疫抑制剤 (エンドキサンなど)の併用

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なぜ、ステロイドを使うのか? ●最も強力な抗炎症作用(結合織の炎症を抑え、拡大を防ぐ) ●強力な免疫抑制作用(自己免疫現象を抑え、自己抗体を減らす) ステロイド剤を大量に使う場合とは 治療しなければ生命を脅かすような臓器障害 ●ループス腎炎 ●中枢神経症状 ●間質性肺炎 ●肺胞出血 ●心外膜炎、胸膜炎 ●肺高血圧症 ●血管炎 ●血液障害 ステロイド薬をどのように増減するか? 免疫抑制剤 • ステロイドは即効性、抗炎症性に優れた薬ではあるが、長期使用や大量投与により副作用を生じや すい。 • そのため、長期にわたってステロイド投与を必要とする場合や、ステロイドを使用しても治療効果 が十分に得られない場合に、免疫抑制剤の併用を考慮する。

3. 新しい治療薬について

ミコフェノール酸モフェチル(MMF):臓器移植をした人に使われていた • 商品名:セルセプト • 免疫抑制剤 • 適応:ループス腎炎 初回大量投与後、漸減する 重要臓器障害が進行し、早急な効果を期待するもの 体重 1kg で 1 ㎎投与し漸減する 小〜中等量を増減する 抗炎症効果を期待

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• 細胞毒性ではなく、リンパ球機能を抑制する。 • 重大な副作用は少ないが、易感染性はある。 • 消化器症状(腹満、下痢)が多いが、継続すると消失することもある。 • 1000mg/2x/day から開始し、2000mg~3000mg/day まで増量可能

血中濃度が測定できる(血中濃度が測定できると治療効果が分かる。少量から使い効果は 2 週~4 週) ヒドロキシクロロキン(HCQ) ・ 商品名:プラケニル ・ もともとは抗マラリア薬として開発された ・ 軽症の SLE に対して、欧米では第 1 選択薬である ・ SLE の皮疹、関節炎、倦怠感などに優れた効果を示す ・ クロロキンに較べて網膜症のリスクは低いが、有効性はクロロキンの方が高い場合もある ・ 使用前に眼科的検査が必須(網膜に異常がなければ使用できる) ・ 副作用は皮疹(特に露光部の色素沈着)が多い ・ 投与量は体重により異なる プラケニル使用前の必須の眼科的検査(網膜に異状なければ使用可) ①視力検査 ②眼圧検査 ③細隙燈顕微鏡検査 ④眼底検査(眼底写真)⑤光干渉断層計(SD-OCT) ⑥視野検査 ⑦色覚検査 プラケニル投与時における眼科検査の実施期間 ・投与前に一度検査しておく ・基本的には1 年に 1 回検査 ・リスク因子のある患者は半年に 1 回 ・累積投与が 200g を超えた患者 ・高齢者(70 歳以上) ・肝機能障害、あるいは腎機能障害 ・視力障害のある患者、SLE 網膜症患者 ・投与後に眼科検査異常を発現した患者

4. 治療における副作用、注意点

ステロイド・免疫抑制療法の副作用 —感染症— 副作用とその対応を正しく知り、冷静に対処! ●ステロイドを大量服用しているときは入院する ●うがいと手洗いを励行 ●風邪のシーズンには外出をさける ●微熱でも要注意、早めに主治医に相談 ●栄養をバランスよく摂ること ●身の回りを清潔に保つ ●小さなけがでも油断しない

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津田先生への質問とコメント

<病気について>

Q1:個人差はあるだろうが再燃するとどんな症状が出るか? A:症状はなく検査値が動く人もいる。人それぞれ。初発時の症状(発熱、だるさなど)を思い出して欲 しい。 Q2:脱毛や涙が出るのは、薬の副作用か。 A:涙がでるのは、ステロイドの影響というよりも感染かもしれないので主治医に相談してほしい。 Q3:かぜがなかなか治らないのはどうしてか? A:気管支、肺に合併症がないか主治医に相談してほしい。 Q4:遺伝はないと以前に聞いたが、SLE は女性に多い病気。20 才代の娘が二人いて一人は結婚・出産も している。今は特に問題はないが、原因不明の病気で全く遺伝はないと言えるのか。 A:遺伝的素因も発症には関与するが、環境因子も加わって発症するとされており、子供に 100%遺伝 するというわけではない。近親者に SLE の人がいれば発症リスクは少し高くなる。 Q5:10 才代後半の娘がいる。体に症状が無い時に体の変化がわかる早期発見できる検査などがあるのか。 A:健常者でも抗核抗体反応が陽性になる人がいるが、それだけで病原性があるとは言えず、その人が全 身エリテマトーデスや膠原病になるとは言えない。いたずらに検査して不安をあおることになるので、 症状が無い時の検査はお勧めできない。早期発見は必要だが、気になる症状が出てからの検査を勧め る。発症リスクの回避として紫外線に気を付ける等は良い。 Q6:紫外線がどうだめなのか。血液検査などにどう影響がでるのか。

A:紫外線は UV-A と UV-B がある。UV-A は波長が長く、皮膚の下の真皮まで到達し細胞を傷つける。 UV-B は波長が短く、表皮の細胞を傷つける。細胞が傷つくとその中の DNA までも壊してしまい、 体にとって異物となることにより自己抗体を作るため、異常な免疫反応を起こすといわれている。血 液検査への影響は直ぐにはないが、長い時間をかけて自己抗体が上昇してきたり血球異常がみられた りする場合が有る。 Q7:紫外線予防と体を温めること以外に日常生活で注意する事はあるか? A:紫外線予防と保温は大切。日常生活では感染予防に注意してほしい。家族にもうがい、手洗を徹底し てもらう。食事に関しては、ステロイドを内服している方は糖尿病や高血圧に注意して、塩分や糖分 を控えると良い。運動はプールや散歩が良い。体調が悪いときに無理はしないこと。 Q8:症状によって違うと思うが、筋力や体力をつけるために、安定期にどのような運動をしたらよいか。 (交流会では室内でできる運動、ヨガや簡単な体操などの意見有り) A:関節炎などなりやすいため、関節に負担をかけない運動、プール(屋内)がお勧め。有酸素運動にも なる。普段の生活に加えての過度の運動は勧めない。今の筋力や体力維持のためなら朝夕 30 分程度 の散歩も良い。

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Q9:足の痺れがなかなか治らない。階段を下りる時にもふらついてしまうが、どのように気を付けるべき か? A:痺れの原因にもよるが、この病気で痺れが完全に消えるのは難しいことが多い。自分の症状を環境に 合わせるのではなく、環境を自分の症状に合わせるように考えると良い。補助具や補助器を使用する ことも大切。スリッパなどは転倒の危険もあり危ないのでフィットするバレーシューズなどは良い。

<治療薬について>

Q1:ステロイド 10 ㎎服用し、免疫抑制剤はブレディニン、プログラフ、サンディミュンを服用したがい ずれも合わなかった。他に合う薬はないか? A:現在、単剤で安定しているのであれば他の薬を使わなくても良いと思うが、他の免疫抑制剤としては イムラン、セルセプト、リツキサンなどもある。また、安定しているのであれば、ステロイドをゆっ くりと(半年~1 年に 1 ㎎程度)減量していく方法もある。 Q2:ステロイドの後遺症で関節炎の痛みを抑えるためリリカを飲んでいる。今、ステロイドは飲んでいな いがこのままリリカを飲んでいても良いか。 A:リリカはいろいろな投与量があるが、副作用が明らかでなければ継続して飲んでいても大丈夫。ふら つきやすい、太りやすいなどの副作用はある。 Q3:ネオ-ラルを飲んでいるが、協会健保からジェネリックにするよう葉書がくる。ジェネリックに変え て良いか。 A:ジェネリックに変えてもいいと思う。添加物が違うので、飲みやすさが違うが、薬効成分は変わらな い。もし、アレルギーがでたら、変えれば良い。 Q4:現在薬も内服しているが、将来どうなって行くのか、症状も多岐にわたり不安である。 A:薬で症状が抑えられているのであれば、今後は慎重に減らしていくと思う。また、副作用対策も徹底 していくことが大切だが、患者さん自身も副作用や病態についてよく知ってもらう必要がある。また、 あまり悲観しすぎないこと。新薬も出ており、治療法は年々改善されていっている。「自分にとって 一番困っていることは何か、それは落ち着いているか?」と自分の症状を一つずつ解決していこうと 考えることが大切。

<ステロイドについて>

Q1:血液検査結果を見ながら量を決めていくと思うが、将来的に 0 になることはあるか。 A: 免疫抑制剤もあり、減らせることが多い。ステロイドをやめて免疫抑制剤だけ使うという人もいる。 人それぞれ。ただ5㎎ 以下にする場合はかなり慎重にする。 Q2:ステロイド 30 ㎎から開始し、現在は 5 ㎎。もっと減量の可能性はあるか? A:ステロイドを下げるときはまず目標として 5 ㎎を目指す。やはり再燃のリスクがあるので、免疫抑制 剤の併用がない場合は無理に 5mg に下げることはあまりせず、安定していれば 5 ㎎程度で継続する ことも多い。慎重に半年~1 年程度かけて 1mg ずつ減量する場合もあるが、その時は念のため免疫 抑制剤も併用することが多い。

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Q3:ステロイドを半錠減量すると肩の重い感じがする。減量するとそんな症状が出るのか? A:どのくらいの期間その量で継続していたかにもよるが、減量の幅によって症状を強く感じるようにな る人もいる。もしかするとその人にとっては減量の幅が少し大きかったのかもしれない。我々の施設 では、20mg 服用している人であれば 1~2 ヶ月に 2~2.5 ㎎くらいのペースで減量していく。 10mg 以下はさらに減量の幅が小さくなる。 Q4:ステロイド筋症とはどういうことか聞きたい。 A:ステロイドミオパチーともいう。ステロイドは筋肉を脂肪に変える。筋肉が変性して萎縮をおこすの で、筋痛や筋力低下を起こす。ステロイド内服中にこれらの症状が現れた場合、病気が悪くなってい るのかステロイドの影響なのか、見極めることが大事。筋原性酵素(CK)や炎症反応(CRP)が上 昇していれば膠原病の再燃である可能性がある。また、遠位筋のほうがステロイド筋症になりやすい。 ステロイドを減らすと元にもどるが時間はかかる。

<妊娠・出産について>

Q1:妊娠・出産がどうなるのか知りたい。 A・妊娠初期は体内のステロイド分泌が増加するので一般的に膠原病の症状は軽くなることが多いと言わ れる。一方で妊娠中~後期、分娩後は膠原病の活動性が上昇しやすく注意が必要である。 ・プレドニン服用は継続可能。ネオーラル(シクロスポリン)、プログラフ(タクロリムス)、イムラン (アザチオプリン)も継続可能。 ・妊娠するには病気のコントロールをしっかりする必要がある。疾患活動性がある場合はまず妊娠する こと自体が難しくなるため、主治医と相談してしっかり病気の勢いを抑えてから妊娠計画を立てる。 また、ステロイドはできるだけ少ない状態(10mg~15mg/日以下)でコントロールされているこ とが望ましい。 ・妊娠の継続には感染症に注意(真菌感染、肺炎等)。また妊娠高血圧にも注意が必要で、塩分を取り過 ぎないよう気をつける。

<病気の説明と仕事を継続するための留意点>

Q1:周囲の人に病気の説明が難しい。どのように表現をすればいいか。 A・「免疫の異常で起こる膠原病であり、免疫を抑える薬を飲んでいる。感染しやすい、紫外線を避ける ため外に出られない、ストレスで悪化しやすい等に配慮が必要」と話してはどうか。 症状については、仕事をするにあたって配慮して欲しいことを具体的に話すことが重要。 ・心身ともにストレスをためない。皮膚症状のある人は日光に当たらない、レイノー症状のある人は 1 日中寒いところにはいない、夜勤等不規則な仕事は避ける等症状に応じて留意する。職場環境が重要。

参照

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