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1. 地 域 医 療 ビジョン と 議 論 の 現 状 2014 年 6 月 に 成 立 した 医 療 介 護 総 合 確 保 推 進 法 で 都 道 府 県 は 地 域 医 療 計 画 に 将 来 の 医 療 提 供 体 制 に 関 する 構 想 として 地 域 医 療 ビジョン( 地 域 医 療

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主な制度・仕組み(概説)

*地域医療計画に関連する主な制度や仕組みの現状と課題を概説した。「趣旨と基本的考え方」「機能分 化と連携」と併読されることを想定している。

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1.地域医療ビジョン

□1 制度の概要と議論の現状 ・2014 年 6 月に成立した「医療介護総合確保推進法」で、都道府県は、地域医療計画に、将来の医療 提供体制に関する構想として地域医療ビジョン(地域医療構想)を定めることが盛り込まれた。 ・厚生労働省は、病床機能報告制度(下記参照)によって医療機関から報告される情報も踏まえて、都 道府県が地域医療ビジョンを策定するためのガイドラインをまとめるため、2014 年 9 月に「地域医 療構想策定ガイドライン等に関する検討会」を設置した。 ・ガイドラインには(1)あるべき将来の医療提供体制の姿、(2)2025 年の医療需要(入院・外来、疾 病別)の推計方法、(3)2025 年の各病床機能の必要量の推計方法、(4)あるべき将来の医療提供体 制を実現するための具体的な方策―のほか、地域医療ビジョンを策定する際に幅広い関係者と協議し、 住民の意見を聞くプロセスも盛り込む予定。 ・このほか検討会は、(1)地域医療ビジョンを推進するための医療者などによる協議の場の設置・運営 方針、(2)病床機能報告制度で情報の公表のあり方などを議論し、2015 年 1 月をめどにとりまとめ る予定。 ・厚労省が策定する地域医療構想策定ガイドラインを基に、都道府県は2015 年度に地域医療ビジョン を策定する。 □2 都道府県が抱える課題:H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート結果より ・地域医療ビジョンの策定にあたっては、将来の医療需要の予測や関係者との調整など相当な業務量が 想定される。 ・将来の医療需要を推計するためには、病床機能報告データ等の分析が必要となるが、そのための専門 的な知識を有する職員の確保が難しい。 ・各医療機関の将来の経営にも大きく関わってくるために、協議が整うか疑問がある。 ・協議が整わない場合、強化された県の権限を使うことが可能であるが、実際には行使することは、今 後の円滑な医療行政を考えると、非常に難しいと考えられる。 ・医療関係部局には、介護に関する情報が不足しており、各県域において医療に介護も含めた全体が適 切な状態かを把握することが困難である。 ・策定にあたり医療と介護の連携のみならず、生活や街づくり等とも連携の必要がある。 ・計画策定までには相当な時間が必要になる。十分な計画策定のための期間が確保できるかが課題。 ・以上のアンケート結果から、地域医療ビジョンの協議の基になるべきデータを適切に分析できるか、 また介護を含めた地域全体の調整ができるか不安を抱えている都道府県担当者もおり、支援する仕組 みが必要と考えられる。 □3 参考資料 ・「第1 回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(2014 年 9 月 18 日開催)資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000058264.html(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート 45

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2.基金

□1 制度の概要 ・医療介護総合確保推進法の成立による制度面での対応に併せ、医療・介護サービスの提供体制の改革 を進めるための新たな財政支援制度。 ・対象事業は、(1)病床の機能分化・連携のために必要な事業、(2)在宅医療・介護サービスの充実の ために必要な事業、(3)医療従事者などの確保・養成のための事業、(4)医療・介護従事者の勤務環 境改善のための事業―などとなっている。 ・2013 年 10 月に消費税を 5%から 8%に増税した増収分を財源として活用している。2014 年度は消費 増税活用分の544 億円に、公費から 360 億円を上乗せして計 904 億円。 ・2014 年度は医療を対象とし、介護については 2015 年度から実施する。(1)の病床の機能分化・連携 については、2014 年度は現状でも必要なもののみ対象とし、2015 年度の地域医療ビジョンの策定後 に拡充を検討する。 ・都道府県は、基金の活用計画を厚生労働省に提出する。厚生労働省は審査の上、交付対象となる事業 を絞り込む。 ・国と都道府県の負担割合は国が3 分の 2 で、都道府県が 3 分の 1。 □2 都道府県が抱える課題:H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート結果より ・市町村や医療機関からの事業提案を全て査定し優先順位をつけるのに労力と時間を要する。 ・地域医療再生基金と比べて自由度が低い。 ・3 分の 1 負担となり県財政負担を抑えたい財政当局との折衝が障壁である。 ・基金事業の事業評価を求められているが原則1年間の計画であるため成果を示すことは困難である。 ・基金事業であるにも関わらず、国の毎年度の予算と計画に縛られ、補助金と同じになっている。 ・計画策定のスケジュールと予算編成のスケジュールに隔たりが予想される。 ・翌年度の割当額が未定であるため、中長期的な計画に取り組めない。 ・地域医療計画の目標年次に,一括して事業評価を行う仕組みに変更すべきだ。 ・以上のアンケート結果から、今回の基金については年度単位であることに加え、県の負担もあること から中長期的な計画や県財政との調整が必要なため使いにくさを感じており、地域医療再生基金のよ うな年度を超えて計画できる基金が求められている。 □3 参考資料 ・厚生労働省「新たな財政支援制度の創設」(中央社会保険医療協議会総会〔2013 年 12 月 25 日開催〕 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000033412.pdf(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート 46

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3.病床機能報告制度

□1 制度の概要 ・病院や診療所が、病棟単位で(1)高度急性期機能、(2)急性期機能、(3)回復期機能、(4)慢性期 機能―の4 区分から1つを選んで、都道府県に報告する制度。 ・報告は医療介護総合確保推進法に基づく義務で、毎年10 月末までに報告された結果を基に各都道府 県は翌年度の地域医療ビジョンを策定する。 ・4 区分の医療機能は以下の通りである。 (1)高度急性期機能 急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する。 (2)急性期機能 急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する。 (3)回復期機能 急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する。 (4)慢性期機能 長期にわたり、療養が必要な患者を入院させる。 ・報告された情報の公表方法については、厚生労働省が2014 年 9 月に設置した「地域医療ビジョン」 のガイドラインを策定する検討会で詳細を議論する。 □2 都道府県が抱える課題:H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート結果より ・4 区分と、医療法における病床区分や診療報酬上区分との整合が不十分で、今後の方向として報告し た4 区分別の病床数にどのように誘導していくか具体策を描きにくい。 ・現状は定性的な報告で基準も不明瞭のため、報告で医療機関の混乱も想定される。 ・特定機能病院、地域医療支援病院などとの関係について整理されていない。 ・医療機能情報提供制度と並行する形となっており、医療機関の負担も大きいことから統合すべきだと 考える。 ・現在のレセプト(診療報酬明細書)データが病院ごとのデータであり、病棟ごとになっていないため、 病棟ごとの機能実態が把握しにくい。 ・離島などでは病院が少数というところもあり、病棟規模で4区分に分けることは困難ではないかと考 えている。 ・以上のアンケート結果から、病床機能報告制度の区分が分かりにくいと感じており、厚生労働省はレ セプトデータや医療機能情報提供制度との整合性を示す必要がある。 □3 参考資料 ・厚生労働省「病床機能報告」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート 47

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4.地域包括ケアシステム

□1 制度の概要 ・第2 次世界大戦直後で、年間出生数が現在の 3 倍近い約 270 万人だった第 1 次ベビーブームで生まれ た団塊の世代(1947 年〜1950 年生まれ)が全員 75 歳以上となる 2025 年は介護が必要な高齢者数が ピークを迎えると予測されている。 ・2013 年 8 月にまとめた官邸の社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)の報告書などを受け、 国は2025 年までに重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で、医療、介護などを受けられる仕 組み(地域包括ケアシステム)を目指している。 ・国は地域包括ケアシステムの規模としては人口約1 万人程度の中学校の学区域を想定しているが、都 市部や地方では高齢化の進み具合は大きく異なるため、それぞれの地域に合った対応をすることが重 要となる。 ・地域包括ケアシステムの仕組み作りは市町村が主体となり、3 年ごとの介護保険事業計画の策定を通 じて進められている。 ・地域包括ケアシステムの課題は「住まい」に加え、「医療」「介護」「予防」「生活支援」など多岐にわ たるが、「医療」は高齢者にとって必要不可欠であり、介護分野と地域医療計画がどう連携していく のかが課題となっている。 □2 都道府県が抱える課題:H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート結果より ・市町村には医療担当の部局がないところが多く、県の介護担当部局では介護は市町村の仕事と認識し ており、現場の情報が少ないなどの実情があり、県と市町村がどのように役割分担していくのか明確 にする必要がある。 ・地域ケア会議を推進するため研修会やアドバイザーの派遣などの市町村に対する支援が必要である。 地域包括ケアシステムの中核を担う在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションなどの施設が不足 している。在宅生活を支える各種サービスの充実、地域包括支援センターなどの機能強化に取り組む こと必要がある。 ・地域ごとの医療・福祉資源、社会資源の把握や具体的な進め方などを調整する人材の養成・確保やそ のための体制整備が必要である。 ・以上のアンケート結果から、介護を担う市町村との役割分担と連携が十分でない現状があり、医療と 介護をつなぐ人材育成や体制整備が求められている。 □3 参考資料 ・厚生労働省「地域包括ケアシステム」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu /(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・首相官邸「社会保障制度改革国民会議報告書 〜確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋〜」 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/pdf/houkokusyo.pdf(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート 48

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5.データ整備

□1 概要 ・地域医療計画を策定するためには、地域にどのような患者がいて、どのような受診行動をとっている のか、どのような医療機関があるのかなど、現状を把握することが不可欠である。情報はできる限り 2 次医療圏単位で把握する。 ・地域医療計画の策定のために、(1)患者調査の特別集計結果(がん、急性心筋梗塞、脳卒中など 5 疾 病および救急の流入、流出患者の割合)、(2)診療報酬の施設基準届出数、(3)診療報酬明細書(レ セプト)情報・特定健診等情報をまとめた「ナショナルデータベース(以下、NDB)」などのデータ が整備され、厚生労働省が開催している都道府県向けの研修会で提供されている。 ・データの入手、分析に役立つソフトも研修会で配布、解説されており、急性心筋梗塞などの集中治療 室(CCU)の施設数や病床数、急性心筋梗塞の患者の在宅復帰率などを 2 次医療圏単位で算出できる ようになっている。 □2 都道府県が抱える課題:H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート結果より ・医療分野は非常に専門性が高く、医療政策に精通した職員が担当しないと、データの所在や入手法、 具体的活用法、分析方法等に関して承知していないため、計画策定に苦慮することとなる。 ・専門知識を有する人材の長期的な育成が困難。 ・人材育成・研修には、地元の大学を巻き込むことが重要。 ・以上のアンケート結果から、データの分析を十分できない現状があり、地元の大学の研究者など専門 家との連携が求められている。 □3 参考資料 ・「医療計画の見直しに関する都道府県説明会資料(2) 医療機能調査、現状把握の指標について」(厚 生労働省医政局指導課) http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-1.p df(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・「医療計画作成支援データブックについて」(厚生労働省) http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=141464&name=2r98520000036flz.pdf(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート

6.患者・住民参加

□1 制度の概要 ・都道府県が地域医療計画を決める際、患者・住民の参加は必須条件である。 ・都道府県は地域医療計画を決める際にはあらかじめ「都道府県医療審議会(医療対策協議会などとも 49

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いう)」(以下、医療審議会)に意見を聴かなければならないが、医療審議会の委員は医師、歯科医師、 看護師など医療者だけでなく、「医療を受ける立場にある者」を任命することが医療法施行令で規定 されているためだ。 ・誰を「医療を受ける立場にある者」に任命するかは、ある県では特定の疾患の患者団体のメンバーを 選び、別の件では母親クラブのメンバーを選ぶなど、都道府県で地域医療計画を策定する課の担当者 の裁量となっており、明確な選考基準がないのが現状だ。 ・H-PAC2 期生の「医療政策決定プロセスにおける住民・患者の参画」研究班が 2012 年に全都道府県 に対して実施した調査でも、都道府県の医療審議会(医療対策協議会)での患者・住民委員数は大き くばらつきがあった。決定方法は公募で採用している県が32%あったが、指名・推薦が 43%と多く、 研究班は「今後は指名・推薦に頼るのではなく、関心のある住民を支援し、応募する人材の裾野を広 くする必要がある」と提言している。 □2 都道府県が抱える課題:H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート結果より ・都道府県で地域医療計画を策定する医療審議会のほか、作業部会などを含めて、医療計画の策定に携 わる「患者・住民」の延べ人数を尋ねたところ、平均値は9.4 人、中央値が 8 人で、ほとんどは 10 人以下にとどまっていた。 ・一方、「医療提供者・現場」の平均値は58.5 人、中央値も 22.5 人と 20 人を超えていた。「有識者」 は平均値が8.9 人、中央値が 5 人で、大多数は「医療提供者・現場」で占められている。 ・以上のアンケート結果から、「患者・住民」は医療審議会や作業部会の委員となっても、「医療提供者・ 現場」が大多数を占め、発言しにくい現状がうかがえた。 □3 参考資料 ・医療法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO205.html(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・医療法施行令 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23SE326.html(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・H-PAC2 期生「医療政策決定プロセスにおける住民・患者の参画」研究班(佐伯晴子代表)報告書 ・H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート

7.保険者参加

□1 制度の概要 ・2014 年 6 月の医療介護総合確保推進法の成立で、都道府県は地域医療計画を定める際、「保険者協議 会」の意見を聴くことが新たに盛り込まれ、健康保険を運営する保険者の参加は必須条件となった (2015 年 4 月施行)。 ・保険者協議会は、高齢者の医療の確保に関する法律に新設され、法的に位置づけられた。(1)大企業 の社員など約2930 万人が加入する健康保険組合(以下、企業健保)、(2)中小企業などで働く社員な ど約3560 万人が加入する全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)、(3)自営業者など約 3520 万人が 50

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加入する国民健康保険(以下、国保)などの保険者のほか、75 歳以上の約 1510 万人が加入する後期 高齢者医療広域連合が組織する。 □2 保険者の果たすべき機能と課題:RH-PAC 勉強会(2014 年 6 月 28 日)より ・保険者の果たすべき機能としては、(1)加入者の資格管理、(2)保険料の設定・徴収、(3)診療報酬 など保険給付、(4)診療報酬の審査・支払い―という基本的なもののほか、(5)加入者の健康管理、 さらには(6)医療の質や効率性向上のための医療提供側への働きかけがある。 ・日本の公的医療保険制度では、制度の骨格である保険適用の範囲や診療報酬、審査・支払い事務を委 託できる機関などを国が決めており、保険者機能が発揮しにくかった。 ・2008 年以降、レセプトの電子化が進み、特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)が導入さ れ、保険者が大量のデータを分析できるようになり、効率的、効果的に(5)、(6)の機能を果たせる ようになった。 ・国保では国保連合会が管理する「国保データベース(KDB)システム」が 2013 年 10 月から稼働を 開始し、生活習慣病を中心とした疾病別の人数、要介護者の有病状況から、地域の全体像の把握、医 療費の分析、経年比較などを進めつつある。 ・協会けんぽは、医療費や健診データを全国と比較して指数化し、レーダーチャートなどで違いが分か るようにしている。市区町村別や業種別に糖尿病など疾患の受診率や医療費などの詳細な分析も可能 になっている。2012 年 7 月改訂の協会けんぽ「保険者機能強化アクションプラン(第 2 期)では、 こうした分析結果を基に、各地方支部がそれぞれの都道府県などに積極的に政策提言をすることを盛 り込んでいる。 ・こうした協会けんぽ、国保、後期高齢者広域連合、そして企業健保などの保険者が各県の保険者協議 会でレセプトデータの集合化ができるかが検討課題となる。さらに介護保険のデータも加えられれば、 高齢者を含めた患者の流れ、医療費、介護費の傾向を詳細に分析でき、地域医療計画の策定に役立つ ものと考えられる。 □3 参考資料 ・みずほ情報総研「保険者機能のあり方と評価に関する調査研究報告書」(2013 年 3 月)

8.場作り

□1 概要 ・都道府県は、地域医療計画を決める際には、都道府県医療審議会(以下、医療審議会)の意見を聴か なければならない。医療審議会の委員は、医師、歯科医師、薬剤師、医療を受ける立場にある者(患 者・住民)、学識経験者から都道府県知事が任命するように、さまざまな立場の関係者が関わる。 ・医療審議会の委員だけでなく、医療審議会を運営する都道府県の行政担当者や、地方議会の議員も重 要な役割を担っている。 ・こうしたさまざまな立場の関係者(ステークホルダー)が関わる中、医療審議会や下部組織の部会の 議論だけでなく、より多くのステークホルダーが参加した「場づくり」も、よりよい地域医療計画作 51

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りに有効である。 □2 好事例 ○がん政策サミット(日本医療政策機構 市民医療協議会) ・内容: ・2009 年から 2014 年まで年 2 回、計 9 回開催。 ・がん対策基本法に基づいて都道府県に設置されている「がん対策推進協議会」の患者委員を中心に、 がん患者団体のメンバーが集まり、制度や政策決定のプロセスなど幅広く学ぶ。 ・患者関係者だけでなく、都道府県の行政担当者、地方議員、医療提供者、メディア、企業関係者も参 加して、(1)患者関係者、(2)行政担当者、(3)政治家、(4)医療提供者、(5)企業関係者、(6)メ ディア関係者が“六位一体”となって、全国の好事例などを共有することで、各都道府県に持ち帰り、 よりよいがん対策推進条例の制定など、都道府県のがん政策に関わる人材育成と、がん政策の底上げ につながった(「医療計画策定参画者研修ガイドライン」も参照)。 □3 参考資料 ・「がん政策サミット」(日本医療政策機構市民医療協議会) http://ganseisaku.net/gan_summit.html(2014 年 10 月 4 日閲覧) ・患者アドボカシーカレッジ「六位一体の協働 〜医療環境の変革には協働が重要に〜」(日本医療政 策機構市民医療協議会) http://advocacy-college.net/(2014 年 10 月 4 日閲覧) 52

参照

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