博 士 ( 医 学 ) 石 川 隆 久
学位論文題名 ●
Adrenomedullin antagonist suppresses in vivo growth of human pancreatic cancer cells in SCID mice by suppresslngang10geneSlS
(Adrenomedullin antagonist は血管新生抑制を介して SCID mice におけるヒト膵癌細胞の増殖を抑制する)
学位論文内容の要旨
【背景・目的】
膵 癌は難 治陸癌 のひと つであ り、摘 出手術 可能例で も5年生 存率は20%前後であり、
手 術 不 能 症例 では 化学療 法も放射 線も効 果はな く、1年 生存率 でさえ5%前後 である 。 こ のよう な難治 陸癌に 対する 新たな治 療法を 確立することは旧来の発想や考え方では困 難 であり 、新た な発想 にて膵 癌の病因 ・病態 に対するより詳細な分子生物学的理解をす る 必 要 が ある 。 最 近 、小 林 ら は 膵癌 細 胞株の 大部分(750/0)がHIF‑1a蛋 白を恒 常的に 発 現して いるこ と、恒 常的に 発現して いる膵 癌細胞がアポトーシスにより抵抗性である こ とを報 告した 。この 報告は 低酸素適 応応答 が膵癌細胞の生存にとって重要な働きをし て いるこ とを示 唆して いる。 さらに、 彼らの グループより低酸素下で発現亢進する遺伝 子としてautocrine motility factorカ潮告された。この報告のなかで、低酸素誘導遺伝子と し て 同 定 さ れ た38個 の 遺 伝 子 の ひ と っ がAdrenomedullin( 以 下AM)で あ っ た 。AM は1993年に、pheochromocytoma由 来の血 管拡張 因子として幸睦告され、昂逝では血篭拡 張以外にもgjowth factor.survival factorとして働くことが報告されている。これらの報 告 か ら 、 低酸 素 下 で 発現 亢 進 す るAMが 血 管拡 張 や 血 管新 生 を 増強し て膵癌 細胞の 増 殖 に 有 利 に働 く 可 能 性カ 坪 想 さ れま た 逆にAdrenomedullin antagonist( 以下AMA)が 血 管新生阻害や血管拡張阻害を介して膵癌細胞の増殖を抑制する可能陸カミ考えられる。
以 上 の仮 説 に 基 づい て 、 本 研究 で は ま ず膵 癌 細 胞 を含 め て 各種癌 細胞株 でのAM発 現 を 正 常 酸素 分 圧 下 、低 酸 素 分 圧下 で 検 討 した 。 次 い でAMAの 膵癌細 胞の血vitro増 殖 お よ びin vivo増殖に 対する効 果につ いて検 討した 。さら に、AMAの 抗腫瘍 効果の メ カ ニ ズ ム を明 ら か に する た め にAMA投 与 後の膵癌 腫瘍組 織にお ける増 殖細胞 の比率 と 腫瘍血管数について検討した。
【方法および結果】
@ 膵 癌 細 胞 株 を 正 常 酸 素 分 圧 下 と 低酸 素 分 圧 下で 培 養 後RNAを 抽 出 し 、AM mRNA. 発 現 をNorthern blot法 に て検 尉 し 、AMreceptorくCRLR,RAMP2) mRNAをRT‑PCR法 に て検 討 し た 。そ の 結 果 膵癌 細 胞 株 全て に お い て低 酸 素 分 圧下 で のAM mRNA発 現 の 増 強を 認 めた。AMreceptorは一 部の膵 癌細胞 株にの み発現 しており 、発現 量も少 ないと判断された。
◎心瓜1・25)とAMA(AM(22152・))のめ伽rDでの膵癌細胞増殖に対する効果を比較検討 し た 。AMreceptorの 発現カ ミ認め られた 脾垢湘 脆蛛を 用いてMTSassayにて増 殖に与
― 89 ‑
え る 効 果 を 検 討 し た 。 そ の 結 果AMとAMAの い ず れ も 、2種 類 の 膵 癌 細胞 株 の 増 殖に対してなんらの効果も与えなかった。
◎AM(1‑25)とAMA(AM(22‑52))のin vivoで の 膵 癌細 胞 増 殖 に対 す る 効 果を 比較検 討 し た 。 膵腫 瘍 はSaD miceに ヒ ト膵 癌 細 胞 株(P0‑43)を 皮 下 移 植し て 作 成し、AMと AMAは50M g/mouSeを10日 間 連 続 で 腫 瘍 内 注 入 に て 投 与 し た と こ ろAMA投 与に て増殖してきた腫瘍の完全退縮を認めた。
@AMAの 抗 腫 瘍 効 果 の 機 序 を 明 ら か に す る た め に 、3日 お き に4回AMも し く は AMAを 投 与 す る 実 験 系 を検 討 し た とこ ろ 、AMA投与 群 で 約 半分 に 腫 瘍 重量 が 落 ち る 系 を 確 立 で き た 。AM投 与 群 .AMA投 与 群 で 、 腫 瘍 重 量 は そ れ ぞ れ0.0483土 0.0089@と0.0297土0.0001僻であった。
◎AMも し く はAMA投 与 後 の 膕 赫 臓 に お い てanti‐PCNA抗 体 お よ びanti‐ の31抗 体を用いて免疫染色を行い、増殖細胞数(p(NA‐labeling血dex)とCD31陽 陸細胞数・
腫 瘍 血 管径 を 比 劇 食言 寸した 。PCNA‐1abeling耐eXはAM投一与 群.AMA投 与群で そ ゎぞ捫25.8土3.9と613土5.2であった。両群でCI)31陽陸細胞数は有意差を認めなか っ た が ヽ平 均 腫 瘍 血篭 径 はAM投 与 群 .AMA投 与 群でそ 捫ぞゎ6.454土5313( ルm) と2.276土1112啖Um)であった。
【考案】
本研究 におい て、加W旧にお けるAMAの抗腫壌5効果を確認したが、このネ古果Iあ塑に AMが所. レめに おける 膵腫瘍 形成に 重要で あること を示唆 する所 見であ る。最 近のい くつか の報告 で、AMが 癌細胞 でgrawthfactorと して作 用する ことが 報告さ れてい るた め、 脾 癌 細 脆蛛 のAM.AMrecepぬ 発 現 とAMAの 脾 謔 諦 田胞 の 加vむm増 殖 抑匍J効果を 検討 し た と ころ 、AMは低 酸 素 下 で強 く 発 現 して い た が 、AMr∞ep卿は ほ とん ど発現 して お ら ず 、加v面り で は問岨Aの膵癌 細胞の 増殖に たいす るAMA抑制 効果は 認めら れ なかっ た。こ の結果 から少 なくとも 膵癌細 胞ではAMはautoc血e様に作 用して おらず、
加Wmで の 増 殖 抑 市 崎 操 はAMの 間 接 的 効 果 に よ る こ と カ ミ 示 唆 さ れ た 。 次 にAMAの抗 腫 瘍 効 果の 機序を 調べるた めに、AM(1‐25)投与 群とAMA投 与群腫 瘍 組織 の 免 疫 染色 に て 増 殖細 胞 と 腫 瘍血 管 に つ いて 検 討 し たと こ ろ 、AMA投与群はAM 投与群 にくら べて有 意に増 殖細胞数 が少なかった。腫瘍血管数に有意差はなかったが、
問ゾ瞼 投与群 ではAM投 与群に くらべ て平均 腫瘍血管 径は有 意に小 さかっ た。こ れらの 結果 か らAMAの 膵癌 細 胞に 対する 増殖抑 制効果 は腫瘍 組織内 の比較 的大き い血管の 形 成を抑 制して 栄養・ 酸素の 供給を減 少させることによる間接的効果であることが示唆さ れた。
【結語】
AMはmvivoで の 膵 癌細 胞 増 殖 にお い て 重 要な 役 割 を 果た し て お り、AMAは 膵 癌治 療に有効である可能性カ錺破された。
− 90 ‑