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燃料費上昇の欧州電気料金への影響と料金転嫁率

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 燃料費上昇の欧州電気料金への影響と料金転嫁率 背 景 2007 年の原油価格高騰は、火力発電所を有する電気事業者にも大きな影響を与えた。これを背景に、わが 国では燃料費調整制度の見直し議論も行われたが、料金制度について議論する場合、諸外国の電気料金の実態 は重要な参考情報となる。米国においては、規制の残る 33 の非自由化州のうち 32 州が、わが国と同様に燃料 費調整制度を採用している。一方欧州では、電力自由化により既に多くの国で料金規制が撤廃され、燃料費の 料金転嫁については、基本的に経営者の裁量にゆだねられている。そのため、どの程度燃料費の上昇が料金に 転嫁されているのかは明らかではない。. 目 的 欧州諸国の電気料金に着目し、その推移や変動要因について確認するとともに、燃料費上昇の影響度と、そ の料金への転嫁率の推移について実証分析を基に明らかにする。. 主な成果 1.電気料金の推移 欧州では各国共に、1991 年から 2007 年にかけて、名目ベースでは家庭用電気料金はなだらかに上昇、産 業用は 2000 年以降に大きく上昇している。 2.電気料金の構成と変動要因 電気料金は、エネルギー費用、ネットワーク費用、公租公課等によって構成されるが、ドイツ、デンマー ク等においては諸税や環境負担金等の公租公課の割合が比較的大きい特徴がある(図 1)。これらの構成要 素の中で近年大きく変動しているのは、燃料費を含むエネルギー費用であり、これが料金上昇の主要因と なっている。 3.燃料費の料金への影響度 1991 年∼ 2007 年の EU 主要 14 カ国を対象として燃料費の電気料金への影響度を回帰分析によって推定し た結果、14 カ国の一般的な傾向として、燃料費が 1%上昇すると電気料金は各国・各年の共通の変動率とし て、0.24 − 0.52%上昇する(表 1)。これに加えて火力の代替電源である原子力・水力シェアが高い場合と、 燃料ストックが多い場合に、この上昇率が緩和される。一方、再生可能エネルギーシェアが高い場合は上昇 率がさらに高くなる。また、自由化の実施を示す変数は家庭用にのみ有意に推計されており、自由化後の方 が燃料費上昇当たりの料金上昇率が高い。 4.燃料費の料金転嫁率の相対的推移 家庭用・産業用共に、燃料費の上昇時期である 2000 年、2005 年に転嫁率が大きく下落し、その後ラグを 持って上昇している(図 2)。このことから、自由化された欧州の事業者においては、燃料費が急激に上 がっても、そのまま料金には転嫁はせずに、その後徐々に転嫁率を上げていくことで対応していると解釈す ることができる。この背景には、小売料金を急激には変更できないという顧客戦略や規制対応等の要因があ ると思われる。. 今後の展開 わが国の電力諸制度について議論するにあたっては、諸外国の状況は重要な参考情報となるため、その実態 に関する客観的な分析や、わが国との比較分析は、今後も必要となるであろう。 主担当者 関連報告書. 社会経済研究所 エネルギー事業政策領域 主任研究員 筒井 美樹 「欧州の電気料金の変動要因分析―燃料費上昇の影響と料金転嫁率―」電力中央研究所報 告: Y08041(2009 年 5 月). 38.

(2) 1.社会・経済 ユーロセント/ k W h. ユーロセント/ k W h 25. 14. *1. CHP ・再生可能エ ネルギー負担金 20. 公道使用料. 15. 12. 再生可能エネルギー 負担金. 10. CHP 負担金. *1. 8. 付加価値税. 公道使用料 6. 10. 電力税. 電力税. 4. ネットワークコスト. 5. *2. エネルギーコスト. 0 2002. 2003. 2004. 2005. 2006. 2. 2. エネルギー* ・ *3 ネットワークコスト. 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007. 2007. ①家庭用. ②産業用. 1. * CHP(Combined Heat & Power)は、コジェネレーションを意味する。 2. * 「エネルギーコスト」の部分は、それ以外の要素に含まれていないその他費用も全て含んでいる。 3. * 産業用については、エネルギーコストとネットワークコストは区別して報告されていない。 出典:E.ON Strategy & Key Figures より当所にて作成. 図1 電気料金の構成:ドイツE.ON社の例. 表1 燃料費1%上昇時の電気料金への影響(%). ①家庭用. ②産業用. ※「共通の変動率」は、各国・各年共通の効果を示す。「限界的影響」は、各変数の限界的な変動に対する、燃料 費変動時の料金変動率に与える影響度であり、各変数の過多に応じて、共通の変動率を増減させるものである。 ※ オレンジの部分が有意水準10%でプラス、水色の部分が有意水準10%でマイナス。. 燃料費 (ユーロセント/ k W h ). 家庭用転嫁率 産業用転嫁率. 3.5. 1.5. 燃料費上昇期 3 1. 2.5 2. 0.5 1.5 1. 0. 0.5 -0.5. ※転嫁率(左軸)は1991年を0とした場合の相対比較. 図2 転嫁率の相対的推移(14カ国平均値). 39. 2007. 2006. 2005. 2004. 2003. 2002. 2001. 2000. 1999. 1998. 1997. 1996. 1995. 1994. 1993. 1992. 1991. 0. 1.

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