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高炭素クロムモリブデン鋳鋼の機械的性質

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Academic year: 2021

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(1)

U.D.C.るd9.15.2る.28-14

高炭素クロムモリブデン鋳鋼の機械的性質

MechanicalProperties

ofHighCarbon

Cr-Mo

Cast

Steel

夫*

雄*

男*

内 容 梗 概 圧延用ロールとして用いられる高炭素クロムモリブデン鋳鋼の熱処理と機械的性質ならびに組織との 関係を,炭素量が1.22∼2.40%の範囲の1%クロム,0.3%モリブデン鋳鋼の試験片について調べて次 の結果をえた。 (1)炭素量が増すに従って引張強さ,伸び,衝撃値は減じ硬さは増す。拡散,焼準後球状化焼鈍し たものと,単に球状化焼鈍のみを行った試験片の機械的性質は大差ない。炭素が増せば遊離セメンタイ ト量は増すが,基地のパーライトの球状化に対する前記の熱処理法と炭素量の影響はあきらかでない。

(2)炭素量1・7%前後の試験片では拡散後の冷却法と焼準処理の差ほ機械的性質,組織に対してあ

きらかでないが,その後の球状化焼鈍の保持時間と温度が機械的性質に影響する。

〔Ⅰ〕緒

各瞳の鋼材圧延用特殊鋳鋼ロールには従来 素1%, クロム1%,モリブデン0.3%の高炭素クロムモリブデ ン鋳鋼が使用されているが(1)(2)(3〉,近時軌条,線材,滞 鋼,鋼片などの粗ロールや,大型型鋼,軌条用中間ロー ル,鋼片仕上ロールなどの一部に対しさらに圧延時の肌 荒れ少く,熱間 高 下で安定した硬度を保ち,しかも 耐磨耗性のあるロールが要求されるようになった。この 要 を満足させるためには炭素量をあげてセメンタイト 量を増し,基地のパーライトを 状化して強靭性を持た せる必要があるので(4),炭素量が2.4%までの高炭素ク ロムモリブデン鋳鋼の諸性質をしらべて,2Cロールと いわれるこの程ロールの製造上の諸問題を究明するため にこの試験を行った。 まづキールブロック塾 験片によって炭 性質ならびに組織との関係をしらべ,ついで 畳と機械的 素量1.7 .%の試験片について熱処理法と機械的性質,組織との関 係を調べた。

〔ⅠⅠ〕試験片の熔製方法と試験方法

試験片は塩基性エルー式500kg弧光炉により熔製し た。鋳型は焙型を用いた。 試験片 材の寸法は弟】図に 示すごとくである。この粗材を熱処理した後JIS4号引 張試験片4本,シヤルピー3号衝 試験片4本を製作し た。引張試験はアムスラー型50t引張試験機を,硬度 試験は3tブリネル硬度計を,衝撃 10m・kg試験機を用いて行った。 験はシヤルピー

〔ⅠⅠⅠ〕弟1同試験

まづ2C ロールとして考えられる1%クロム,0.3% モリブデン鋳鋼で炭素量が1・22∼2・40%の範囲の7種類 * 日立金属工業株式会社戸畑工場 ヘビ壁璽 2タ 第1図 試 験 片 粗 材 の 寸

Fig.1.Dimensions of Test Piece

悔 し:・rミ 時 間 rカノ 第2図 熱 処 理 A Fig.2.HeatTreatment A 時間(万) 第3図 熱 処 ・理 B Fig.3.HeatTreatment B

(2)

第2集

ヘヘ豊)杓群窮一肌

試 験 片 の

ChemicalComposition of Test Piece

別冊第16号

Fig.5.Relation Elongation

between Carbon Content and

∴・、■ /∂汐

炭 素量(%)

Z〟

ノ:第4図 炭 素 量 と 引 張 蕃 さ と の 関係

Fig.4.Relation between Carbon Content and

Tensile Strength の試験片についてA,B2通の熱処理を行って機械的性 質と組織をしらべた。 ・(り 試験片の化学成分と熱処葦望法 験片の化学成分は弟1表に示すごとくである。熱処 理Aは第2図に示すごとく,拡散,焼準後パーライトの 二球状化焼鈍を行い,Bは第3図に示すごとく,球状化焼 鈍のみを行った。Bはこの鋼撞が鋳造時にAcm線で析 出したセメンタイ下が散在するためにAのごとき拡散, 鹿準の効果が期待できないから,単に基地のパーライト

の球状化のみで十分な機械的性質がえられるか否かをし

らべるためである。 (2)試験結果と勇察

試験結果は炭素量の増減による機械的性質と組織の変

化を主限とLて纏めた。この際あわせてA,B2法の差 も検討した。すなわち炭素量と引張強さ,伸び,衝撃値, 硬さ,組織との関係を策4図∼第8図に示した。 この鋳鋼は低クロムなので組織はほとんど鉄炭素系と 類似で,炭素量が約0.9%以上でほ遊離セメンタイトが あらわれ,炭素量の増加とともにその量を増すため,文 献(5)(6)に示されたごとく引張強さ,伸び,衝撃値は低下 へN繋でぷてlミ些細奨 ● 、 ヽ 、 ● /〝 /此7 2α7 2兇7 ∠威7 炭素量(%) 第6国 炭 素 量 と と の 関 係

Fig.6.Relation between Carbon Content and

Impact Value し硬さは増す。写真からも遊離セメンタイトの増加はあ きらかであるが,基地のパーライトの球状化については あきらかな差が認められない。 またA,B2法の が機械的性質と組織上であきらか でないことから,A法のごとき慎重な熱処理は効果が少 いことがわかった。すなわち硬くて脆弱な片状の遊離セ メンタイトはこの種の熱処理によっては小片状に分割す ることが困難である。また基地の球状化に対しても特に 効果的と考えられない。

〔ⅠⅤ〕第

2

回試験

今回ほ拡散焼鈍後の冷却法と焼準の影響を根菜量1.80 %の試験片について試験した。

(3)

高炭素ク

ムモリ

ブテン鋳鋼の機械的性質

(り 試験片の化学成分と熱処理法 前回と同要領で熔製した 験片の化学成分を弟2表に 示した。また熱処理法は第9図∼弟11図に示したごとく ・C,D,E の3通りを行った。これらはいずれも前回よ り500C拡散温度を高めたCは拡散後空冷,Dは炉冷, 焼 は E 処理してこれらが爾後の球状化焼鈍におよぼす 三彩響と,球状化焼鈍の保持 間の影響をあわせてしらベ るためである。試敵方法も前回と同 に行った。 (2)試験結果と薯察 熱処理と引張強さ,伸び,衝撃値,硬さとの関係をそ れぞれ第12図∼第】5図に示した。また組織を弟1る図,弟 け図に示した。 こぎ ーむ 性 第7図 炭 素 量 と さ と の 関 係

Fig.7.Relation between Carbon Content and

Hardness

第2表 試験片の化学成分(%) Table2.ChemicalComposition of Test

Piece(%)

熔 解 番 号 I C Si l Mn l P S Cr l Mo 1,80 0.58 0.76 0.080 0.021 0.90 0.25 炭素量(%)1.22 熱処理A雨 B X400 第8図 炭 素 Fig.8. Relation 量 と 顕 と の 関 係 ×50,×400(2/5縮写)

between Carbon Content and MicrostruCture X50,×400(2/5)

へe智頭 時間〔射 第10国 難 処 理 D Fig.10.Heat Treatment D ■-・P 」い 第11図 熱 ・す、、」∴∴・ 隋問 rか 処 理 E Fig.11.:Heat Treatment E

(4)

立 評 金

別冊第16号 ハ. =

へN賢や卓)仙禦撃m

、∴、 第12図 熱処理 Fig.12.Relation .・・ .(こ予 球状化保持時間 rカ) と さ と の

between Heat Treatment and Tensile Strength (思)b 菅 ∴、ご 、ヾご】 球状化保持暗闇「カJ 第14図 熱 処 理 と 衝 撃 値 と の Fig.14.Relation betweenHeatTreatmentand Impact Value 球状化保持時間(b) 20 熱処理法C

へN臣ぜいW首)肇柵塵

J・、、 Jl 球状化保婚時間仙 ∴l 第13国 熱 処 理 と び と の Fig.13.Relation betweenHeatTreatmentan應 Elongation 第16図 熱 処 理 と 顛 徽 鏡 組 織 と の

×50(3/5縮写)

(5)

炭素ク

ロ ム 球状化保持時間(b) 20 熱処理法C

ソ テ ブ 〓‖ノ モ

の機械的性質

第17図 熱 処 理 と

Fig.17. Relation between Heat

組 織 と の 関 係 ×400(3/5縮写)

Treatment and Microstructure x400(3/5)

試 験 片 の ChemicalComposition 0.46 0.60 %% e 分Pie 成eSt T ・・・吊 まづ機械的性質には空冷したものがやゝすぐれている _ようであるが,C,D,E3法の差が認められない。し かし球状化時間によっては影響される。これは基地の球

状化ゐ進行と幾分かの遊離セメンタイトの球状化による

ものである.。すなわち引張強さ,伸びほ球状化の進行と ともに増し硬さi・ま減じている。衝 値は伸びの増加にか かわらザ増さないのは,このような脆い材 は測定法 が適切でないためと考えられる。 熱処理と組織との関係では遊離セメンタイトの形状, 分布は3法のいずれもほとんど同様で,炉冷,空冷,焼 準の影響が認められないのは前回で述べたごとく,遊離 セメンタイトが安定で,その形状と分布がこの程度の熱 処理によりかええないためである。しかし基地ほ球状化 処理により変化し,将に球状化焼鈍の時間の長短が,機 械的性質にいちじるしく影響していると考えられる。E の焼準による結晶粒の微細化の効果が認められないの は,この鋼種の拡散の困難性を示している。

〔Ⅴ〕舞

3

回試験

本回は拡散,焼準後球状化を鋸3ウC

と607DC の2通 りかえたのと,球状化処理のみを行った3桂について試

、●一 頭 放して前回の確認を行った。 (り 試験片の化学成分と熱処理法

試験片の化学成分は舞3表に示すごとくである。また

熱処理は弟18図∼第20国に示すごとくで・ 回と同様に行った。 敵方法は前 (2)試験結果と蔦察 熱処理と機械的性質との関係を弟2咽∼弟2咽に組織 を策25図に示した。まづF,Gは遊離セメンタイIの形 状と分布がことなっている。これよりGの8430Cの球状 化焼鈍ほ遊離セメンタイトの球状化も多少促進させるこ

(6)

日 立

第2集

均 禦

へへ覧さ)仙粥蛸一肌

時 間「カ) 第19図 熱 処 理 G Fig.19.Heat Treatment G 一材 球状化保持時間仙 第21図 熱処理と引張 強さとの関係 Fig.21.Relation

be-tween Heat

Treat-ment and Tensile

Strength 球状化保持時間(b) 熱処理法F G ∴ ・l 球1大化保持矧笥仙 ∴-貢ご竜草 第22岡 熱処理と伸び との関係 Fig.22.Relation

be-tween Heat Treat_

ment and Elongation

(、∼暮色些細堪

Gし励叫蛸 時 間「か 第20図 熱 処 理 H Fig.20.Heat Treatment E 誹 (萱)ル暫 ガ ・∴、 球状化保持時間仙 第23国 熱処理と衝撃 値との関係 Fig.23.Relation

be-tween Heat

Treat-ment and Value Impact β汐 L、、 一彩 球状化イ景持時間彷) 第24図 熱処理と硬さ との関係 Fig.24.Relation beq

tween Heat

Treat-ment and Hardness

×50 第25図 熱 処 Fig.25. Relation (×1/2縮写) 理 と between Heat 徴 鏡 組 Treatment ×400(×1/2縮写) と の and Microstructure

(7)

高炭素ク

ロ ム モリ ブテ

ン鋳鋼

とが確認できた。よって米

の で行われている8430Cの胱 鈍は遊離セメンタイ†とパーライトの球状化を目的とし たものであることが想像される。つぎにGとHをくらべ た結果拡散,焼準を行ったG法は球状化がはじめはおく れるが,ある時間以_l二では両法の差ほほとんど認められ なかった。 機械的性質は6070cで焼鈍したものが,硬さと引張強 さが高い外は顕著な熱処理法の と保持時間の影響が認 められなかった。これほ球状化の進行に対し球状化保持 温度の影響がもつとも大きいことを示している。このこ とほ組織からも推定できる.。本回では前回程球状化保持 時間の影響が明瞭にあらわれないのは によるばらつきのためと考えられる。

〔ⅤⅠ〕鯖

験片の偏析など 言 これらの試験結果を総括すればつぎのごとくである。 (1)高炭素クロムモリブデン鋳鋼の炭素量1.22∼ 2.40%の範囲では引 強さ,伸び,衝撃値は炭素量にし たがって減じ硬さは増す。拡散焼準後球状化焼鈍したも のと球状化焼鈍のみを行ったものとの機械的性質は大 ない。組織では遊離セメンタイl、量は増すが,基地の球 状化には熱処理と炭 (2)炭 量の影響はあきらかでない。 量1.7%内外のクロムモリブデン鋳鋼は拡 冷却法と の影響は機械的性質,組織に対 してはあきらかでないが,球状化焼鈍の保持時間と保持 温度ほ機械的性質に影響する。 終りに臨み本研究の指導を賜わった日立金属工 会社戸畑工場宮下工場長,金田部長ならびに塩谷 長に 対して厚く感謝の意を表するとともに,本実験の進行に 協力された研究係松屋, る。 ) ) ) ヽ-ノ ー ワ一3一4 し ..\ し し 両 南 小 に感謝するしだいであ 参 芳 文 A・S・M・:Metals Handbookl185(1939) S・R・Robinson:Foundry188(1950L12) 鉄鋼協会:鉄鋼便覧 368,417,478(昭29) F.H.Allison,C.E.Peterson:Ironand Steel Engineer,68(1954L12)

(5)Sisco:Alloy ofIron and CarbonII75

(1937)

(6)Bullens:Steelandits Heat Treatment

III5(1949)

査法、不良欠陥とその対策など一連の技術を鋼種別と用途別

に分け、豊富な図表と顕微鏡写真など多数のデータを駆使し

ながら、平易簡明に解説する。内外文献も洩れなく収載され

た斯学書中類のない完壁な労作で、現場技術者・設計者・管

理者の絶好の伴侶である。

・.-・、h ・「・ ●.リ・--J ● H.、′-ワ

もので一般理論の説明から始まり、

造法、熱処理、試験検

● ●・.「

機械工

全般の基礎と言われる工具材料につき大要を述べた

下巻主要内容

日立金属工業株式会社 冶金研究所長・工 博

小柴定雄著

● 努J-■、.・川・1 ・

ノ■ヽ

上下

日本橋

参照

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