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中華民国家族法の改正≪国際家族法研究会報告(第3回)≫ 利用統計を見る

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中華民国家族法の改正≪国際家族法研究会報告(第3

回)≫

著者名(日)

国際家族法研究会, 徐 瑞静

雑誌名

東洋法学

53

2

ページ

319-322

発行年

2009-12-22

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000720/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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東洋法学 第53巻第2号(2009年12月) ︽国際家族法研究会報告︵第3回︶︾

中華民国家族法の改正

徐 瑞静 一 はしがき  戦後、日本の家族法は、個人の尊厳、両性の本質的平等と いう日本国憲法第二四条に謳われた理念に基づき、アジア諸 国の中でも、いち早く近代家族法の基礎となる諸規定が整備 されたが、同じく東アジアにあって、韓国及び台湾︵中華民 国︶の家族法においては、家制度及びそれから派生する家長 制度等が、その後も長い年月に亘って維持されてきた。両国 の家族法は、戦後、日本裁判所にとって、在日韓国人及び在 日台湾人に係わる渉外身分事件における準拠法として適用さ れることが多かったため、常にその最新の内容及び改正の動 向等に関心が払われてきたように見られる。取り分け韓国法 については、在日韓国人が比較的多数であり、事件数も多い ため、より多くの関心が払われているが、それについては、 幾度かの大改正により、その家族法の内容が日本のそれに近 い立場を採用するものへと改正されていることが、すでに、 多くの文献によって詳細に紹介されている。それに対して、 近時の台湾家族法︵中華民国民法親族編及び相続編︶の全容 については、例えば、張有忠訳監修﹃中華民国六法全書﹄ ︵日本評論社、一九九三年︶、劉振栄”坂本廣身編訳﹃中華民 国親族継承編﹄︵雄進書房、一九九〇年︶等があるが、いず れも、その最近の動向について言及するものではない。そこ で、中華民国九六年︵平成一九年︶五月壬二日の中華民国民 法親族編の大改正を契機として、東洋大学法学部笠原俊宏教 授とともに、中華民国家族法について研究し、その現状の解 明を試みることとした。この報告は、その研究の一部をなす ものである。 二 中華民国民法親族編の改正  沿革的には、中華民国民法親族編は、その相続編︵継承 編︶とともに、民国一九年︵昭和五年︶二一月二六日、国民 政府がこれを制定、公布し、民国二〇年︵昭和六年︶五月五 日に施行された。その後、民国七四年、八五年、八七年、八 八年、八九年、九一年には総統令によって改正されている が、それらの改正については、上記文献によっても言及され ているところである。  その後、民国九六年︵平成一九年︶五月壬二日総統令によ り、大幅な改正︵同年五月四日修正︶が公布され、その全容 については、笠原教授との共訳が、戸籍時報六一八号及び六 二〇号に掲載された。この改正が近時における最も大幅な改 正であり、家族法の現代化が図られたその改正内容も多岐に 亘っている。また、その後、民国九七年︵平成二〇年︶一月 九日、二つの総統令により、二箇条の規定の改正が公布され 319

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た。すなわち、民国九六年一二月一九日に修正された第一〇 五二条︵裁判離婚の原因︶、及び、同月二一日に修正された 第二二〇条︵扶養方法の決定︶の両条である。その後、間 もなく、民国九七年五月二三日総統令により、親族編中の監 護に関する諸規定が改正された。これは、同時に行われた民 法総則編中の人事に関する規定の改正とともに行われた改正 であるが、形式的な文言の修正に止まらず、、比較立法的に も、監護制度の現代化が図られた内容のものとなっている。 例えば、日本民法と同様、人事法における禁治産制度が廃止 され、それに代わる監護制度が導入されたこと、また、親族 会議の存在ないし権限が監護制度においても後退し、裁判所 の関与が増強されていること、そして、未成年者、被監護人 等の弱者の保護の観点が益々強化されていることである。な お、改正規定は、民国九八年︵平成二一年︶二月二三日か ら施行されることとなっている。  最近の改正は、民国九八年︵平成二一年︶六月一日の総統 令であるが、改正された第一〇五二条の一︵裁判所の調停離 婚又は和解離婚の効力︶は、離婚が裁判所の調停又は裁判上 の和解によって成立したとき、婚姻関係は消滅するとし、裁 判所は職権によって管轄戸政機関へ通知しなければならない ものと定めている。 三 中華民国民法相続編の改正  沿革的には、中華民国民法相続編︵継承編︶は、その親族 編とともに、前述のように、民国一九年︵昭和五年︶一二月 二六日、国民政府が制定、公布し、翌民国二〇年︵昭和六 年︶五月五日に施行された。その後、民国七四年︵昭和六〇 年︶六月三日に公布された総統令によって改正されたが︵同 年五月二一日修正︶、その改正については、上記文献によっ て言及され、また、その邦訳は、前述の親族編の邦訳と併せ て、戸籍時報六二一号にも掲げられたところである。親族編 の改正が相次いで実施されたのに対して、相続編及びその関 連法規の改正は、民国七四年改正以後、全く実施されること がなかったが、その後、民国九七年及び九八年に相次いで二 度の改正を経て現在に至っている。  まず、民国九七年︵平成二〇年︶一月二日総統令による改 正であるが、それにより、第一一四八条︵相続の対象︶、第 二五三条︵債務の連帯責任︶、第二五四条︵限定相続の 意義︶、第一一五六条︵遺産目録の作成の報告︶、第一一五七 条︵債権報告の公示催告及びその期限︶、第一一六三条︵限 定相続の利益の喪失︶、第一一七四条︵相続権放棄者の相続 分の帰属︶の改正が公布された︵民国九六年一二月一四日修 正︶。また、相続法の改正と併せて、民法相続編施行法第一 条の一︵法律の適用範囲︶が追加された。  次に、民国九八年︵平成一二年︶六月一日総統令による改 正であるが、それにより、第一一四八条︵限定相続の有限責 任︶、第一一四八条の一︵財産贈与を遺産取得と同視する計 320

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東洋法学 第53巻第2号(2009年12月) 算の期限︶、第一一五三条︵債務の連帯責任︶、第一一五四条 ︵相続人の権利義務︶、第一一五六条︵相続人が作成した遺産 目録の報告︶、第一一五六条の一︵債権者の遺産目録提出の 申立て︶、第一一五七条︵債権報告の公示催告及びその期限︶、 第一一五九条︵期限内報告の債権の返済︶、第二六一条 ︵相続人の賠償責任及び被害者の返還請求権︶、第一一六二条 の一︵相続人の債務弁済責任︶、第一一六二条の二︵限定相 続の例外の原則︶、第二六三条︵限定相続の利益の喪失︶、 第一一七六条︵相続権放棄者の相続分の帰属︶が、改正ない し追加され、また、付属法令である民法相続編施行法第一条 の三︵法律の適用範囲︶が追加された。 四 中華民国戸籍法の改正  中華民国民法親族編の改正に伴い、その関連法令として、 戸籍法も改正されている。まず、その沿革であるが、民国八 六年︵平成九年︶五月一二日総統令による全文六一箇条の改 正以後に限って見ても、四度の小改正︵民国八九年七月五 日、民国九三年一月七日、民国九四年六月一五日、民国九七 年一月九日の各総統令︶が実施されている。その後、民国九 七年五月二八日総統令により、全文八三箇条の改正が公布さ れて、現在に至った。  中華民国戸籍法の大きな特色として指摘されるべき点は、 日本の戸籍法が現住地に拘わらず、個々人の身分事項を忠実 に記録することを使命としているのに対して、中華民国のそ れは、現実の世帯ごとの身分事項のほか、転出入とか、住所 変更の記録をも目的としている点である。また、民国九七年 の全面改正については、次のような注目すべき点が見られ る。第一に、民国九六年五月二三日に公布、施行された民法 親族編中の諸規定の改正に適合しなければならない点であ る。それらの重要な改正事項の一つとしては、民法第九八二 条が、婚姻の方式について、﹁結婚は書面をもってこれを行 い、二人以上の証人の署名がなければならず、かつ、双方当 事者により、戸籍機関に結婚の登記が行われなければならな い。﹂と定めて、﹁儀式婚﹂を変更したことが挙げられる。こ れにより、改正前において、結婚登記を行っていない婚姻当 事者が離婚する際の戸籍実務に関連して発生した問題が解消 された。そして、民法親族編における今一つの重要な改正事 項として挙げられるのは、民法第一〇五九条第一項が﹁父母 は、子の出生登記の前に、書面をもって、子が父の姓又は母 の姓に従うことを約定しなければならない。﹂と定めるに 至ったことである。しかし、子の姓が出生登記時までに決定 されない場合について、民法は何らの規定も置いていないた め、そのような場合の解決のあり方が求められることとなっ た。注目されるべきとして指摘される第二の点は、現行戸籍 法規定の一部が現在の戸籍登記実務や需要に適合しておら ず、また、罰則中の科料額の検討が必要とされた点である。 そして、第三に、戸籍法施行細則が国民身分証及び戸籍名簿 321

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について規定していたが、それらの事項が国民の権利義務等 の重要事項に関わるため、それらの諸規定を戸籍法中に置く ものとされた。これもまた、戸籍法の全面的改正が必要であ ると考えられた理由の一つある。  戸籍法の全面的改正に合わせた戸籍法施行細則の改正も、 民国九八条︵平成二一年︶一月七日内政部令により、全文三 六箇条に亘って行われている。同施行細則は、本法の施行を 実効ならしめるため、民国二三年︵昭和九年︶六月二五日、 内政部が公布し、同年七月一日に施行された。台湾が日本の 統治から離脱した後、本法の改正に合わせて、民国三五年 ︵昭和二一年︶六月一二日、行政院令によって改正、公布さ れ、その後、民国四三年︵昭和二九年︶一二月一八日の本法 改正時を除いて、本法改正の都度行われ、今次は制定後にお ける九度目の改正であり、全文改正としては三度目となるも のである。新施行細則に最も顕著な改正は、国民身分証及び 戸口名簿に関するその第三章の削除である。これは、戸籍法 に関連して前述したところである。戸籍法の改正は民法親族 編の改正に伴って整序された点が少なくないが、施行細則に おいても、民法親族編の改正に起因する補助登記、未成年の 子の権利義務の行使及び負担登記、出生地登記等の新規の種 類の戸籍登記の増加に呼応して、戸籍登記の際の証明書類の 提出義務に関する規定等が改正されている。また、大陸との 人的交流を顧慮した規定が追加されているのも注目される。 例えば、戸政事務所の国民身分証及び戸口名簿の検査義務に 関し、外国人、無国籍者、台湾地区無国籍国民、大陸地区人 民、香港又はマカオ居住民に関する特別規定を追加してい る。しかし、基本的には、新施行細則中の諸規定は、一部の 規定を除いて、旧施行細則を踏襲しつつ、整理されたもので ある。 五 結び  以上の概観により、全般的に言えば、中華民国家族法関連 立法の改正においては、外国立法を参考とすることについて も積極的であり、とくに日本の民法が少なからず影響を与え ていることは明らかである。これにより、今後、日本と台湾 の両者の家族法が、法文化の同一化という一般的傾向をも追 い風として、より多くの点において近似することになるであ ろうことが展望される。       ︵東洋大学大学院博士後期課程︶ 322

参照

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