• 検索結果がありません。

持続可能なまちづくりとSDGs : エコロジカルなまちづくりの事例研究(上)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "持続可能なまちづくりとSDGs : エコロジカルなまちづくりの事例研究(上)"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

I

はじめに

 私たちは今、新型コロナ・ウイルスのパンデミッ ク(世界的大流行)の渦中にあり、それは全世界で 感染者約

6,260

万人、死者約

146

万人(

11

月末現 在)と止まることを知らない勢いである。私たちは、 パンデミックが感染防止のための都市のロックダ ウンや隔離、夜間外出禁止、等を通じて経済活動 や観光業に打撃を与え、保健医療体制の逼迫化 とともに、エッセンシャルワーカーと言われる現場 労働者、ケア労働者、サービス労働者の大量失職、 生活困難をもたらしている事態に立ち会っている。 同時に、私たちは今、台風の激甚化、記録的豪雨、 記録的熱波・干ばつ、大規模森林火災、等の異常 気象どころか、まさに気候危機と言うべき事態にも また立ち会っている。コロナ禍も気候危機も行き 過ぎたグローバル資本主義の産物であるという共 通点が見出されることは大方の認めるところで ある。  このような世界的危機を睨みつつ、足元に目を やると、私のような地方小都市の住民が直面して いる地域課題は多様であり、危機的状況は深まっ ている。人口減少と少子高齢化のもとで、中心市 街地の空洞化、商業や農業の後継者不在、耕作 放棄地の増加、空き家・空き店舗の増加、独居老 人・買い物難民、地域防災力の低下、等がそれで ある。  ところで今、こうしたグローバルとローカル双方 にわたる危機的状況のもとで、

2015

年の国連総会 で採択された

SDGs

(持続可能な開発目標)が注 目を浴びており、その様々な適用と実践、普及活 動が行われている。また

SDGs

に依拠した「グリー ン・リカバリー」(緑の復興)や「グリーン・ニュー

持続可能

なまちづくりと

SDGs

エコロジカルなまちづくりの事例研究(上)

論文 荒井壽夫 Hisao Arai 滋賀大学 / 名誉教授

(2)

2)日本建築学会編『まちづくりの方法』丸善、2004年、p.3。 都市計画論の立場からの考察については、室田昌子「持続可 能な都市・コミュニティへの再生」(佐藤真久他編著『SDGs と環境教育』学文社、2017年)参照。 1)石原武政・西村幸夫編『まちづくりを学ぶ:地域再生の見 取り図』有斐閣、2010年。 ディール」構想が、コロナ禍の収束した後の目指す べき方向として論議されている。  それでは多様な地域課題に呻吟する地方小都 市にとって、それらの課題を解決し「持続可能性」 のある地域社会のあり方すなわち「持続可能なま ちづくり」を進めるために、

SDGs

はどのような新た な枠組みを提供しうるのであろうか。本稿は、「持 続可能なまちづくり」を進める場合に

SDGs

が提供 しうる枠組みを、現代ヨーロッパにおける「持続可 能なまちづくり」または「エコロジカルなまちづくり」 と言えるミュニシパリズムを援用することによって 明らかにしたうえで、その有効性を日本においてそ のような「エコロジカルなまちづくり」を目指してい ると思われる千葉県匝瑳市「豊和村つくり協議 会」の事例を通じて検討しようとするものである。

II

持続可能なまちづくりと

SDGs

(1)「まちづくり」から 「持続可能なまちづくり」へ  持続可能なまちづくりの前提としてまちづくりと はそもそも何かの確認から始めよう。  まちづくりに関する歴史的考察1)によれば、その 変遷は、

1950

年代から

1980

年代前半までの「異 議申し立てから生活像の提起へ」、

1980

年代後半 から

1990

年代までの「地域再生のためのまちづく り」そして

2000

年代以降の「自立するまちづくり」 という三つの段階を経由する。これらの段階を経 由しつつも、現在のまちづくりに共通した特色とし て、まちづくりは、都市計画とは異なり、生活圏域 たる地域の視点、生活者の視点から出発するボト ムアップ型の地域運動という特色を持つのであり、 その目指すところは、自発的意思をもって参加した 住民と行政の「協働」によってコモンズ(共有地)と しての地域社会、地域経済、地域環境の質的向上 という点にある。  まちづくりに関して、より端的な定義を与えてい るのは、多少古いが日本建築学会によるものであ る。それは以下のように定義されている。 「まちづくりとは、地域社会に存在する資源を基礎 として、多様な主体が連携・協力して、身近な居住 環境を斬新的に改善し、まちの活力と魅力を高め、 『生活の質の向上』を実現するための一連の持続 的な活動である。」2)  そのうえで、まちづくりの原則として、次の

10

原則 が挙げられている。①公共の福祉の原則、②地域 性の原則、③ボトムアップの原則、④場所の文脈 の原則、⑤多主体による協働の原則、⑥持続可能 性、地域内循環の原則、⑦相互編集の原則、⑧個 の啓発と創発性の原則、⑨環境共生の原則、⑩ グローカルの原則。  ここに見られるように、持続可能性の原則は、他 の多くの原則とともに並列的に挙げられている。上 記の日本建築学会の文献が刊行された

2000

年 代すなわち

SDGs

(持続可能な開発目標)が国連 総会において採択される

2015

年以前の時期にお いては、まちづくりは、公共の福祉、地域性、ボトム アップ、多主体による協働などとともに持続可能性 の原則ももった、まちにおける「生活の質の向上」 を実現するための一連の持続的活動として把握 されていた。  しかしながら

SDGs

の採択以前にも同じ日本建 築学会のまちづくりに関する別の文献は、持続可 能性の原則を中心に据えるべきことを以下のよう な叙述をもって明示している。

(3)

3)日本建築学会編『地球環境時代のまちづくり』丸善、2007 年、p.136。なお、この間の日本の首相による「ゼロカーボン」 宣言との関連において注目されている「ゼロカーボンシティ」 (脱炭素都市)については、本稿(下)において言及する。 「

1992

年の世界環境サミット(地球サミット─引 用者)以降、環境、経済、社会・コミュニティの三 位一体の視点からの地域づくりが求められ、その 持続的な発展のためには、住民自身の主体的な取 り組みが不可欠である。…  現在のまちづくりの大きなテーマは、今日的な 地球温暖化対策としての全町をあげての(再生可 能─引用者補足)エネルギーの地産地消戦略 によるエコロジカルなまちづくりにある。」3)  すぐれて先見の明のある考察と言うべきであろ う。こうして、まちづくりは、地球温暖化、異常気象、 生物多様性の危機、等の地球的課題に直面して、 まずは環境保全的な意味での持続可能性の原則 を軸とした持続可能なまちづくり、すなわちエコロ ジカルなまちづくりへと変化することになるので ある。 (2)SDGsとそれを構成する 環境・社会・経済の三側面の関係  周知のように、

SDGs

Sustainable Development

Goals

)「持続可能な開発目標」は、

2015

9

25

日の国連「持続可能な開発サミット」で採択された 「われわれの世界を変革する:持続可能な開発の ための

2030

アジェンダ」というタイトルをもった文 書である。それは、前文の他に、

17

のゴールと

169

のターゲットから構成されている。特に

17

のゴール (以下、目標と記す)は、下記のようなカラーロゴの 国連広報センターによる公開によって世界中の 人々の目を惹き付けてきた(第

1

図)。  

SDGs

の内容と特徴については、すでに多くの 研究文献、解説書が公刊されており、枚挙にいと まがないほどである。その特徴については、一般に、 普遍性(先進国も開発途上国も全ての国が対象)、 第1図 SDGsの17目標のロゴ (出所)国連広報センター(https://www.unic.or.jp)

(4)

Sustainable Developmentの訳語について先進国を想定し た場合には「持続可能な発展」とし途上国を想定した場合に は「持続可能な開発」とするとされている(上記『持続可能な社 会論』p.8)。 4)「持続可能な開発(発展)」を巡る国際的論議の経過につ いては、矢口芳生『持続可能な社会論』農林統計出版、2018 年、馬奈木俊介・中村寛樹・松永千晶『持続可能なまちづく り』中央経済社、2019年、竹本和彦編『環境政策論講義』東 京大学出版会、2020年、蟹江憲史『SDGs(持続可能な開発 目標 )』 中公 新書、2020年、等参照。な お、矢口氏は、 包摂性(人間の安全保障の理念の反映としての 「誰一人取り残さない」)、統合性(環境・社会・経 済の三側面の統合的取り組み)、多様性(国、自治 体、企業、コミュニティまで対象)、参画性(目標実 現のためには多様な利害関係者の参画と協働が 必要)等が指摘されている。  いずれも不可欠の特徴ではあるが、持続可能な まちづくりという本稿の観点から特に検討すべき は、統合性である。その検討の前に、持続可能なま ちづくりを直接の対象にしている

SDGs

の目標

11

の内容について簡潔に確認しておきたい。  目標のロゴのキャッチコピーは「住み続けられ るまちづくりを」であるが、目標原文のタイトルに関 する外務省の仮訳は「包摂的で安全かつ強靭で 持続可能な都市及び人間居住を実現する」である。 そのターゲットとして提起されているのは、社会的 弱者についての住居、公共サービス、公共交通機 関、公共施設、等へのアクセス、世界的文化遺産・ 自然遺産の保全、気候変動の緩和と適応も含む 計画導入による災害防止と経済的損失削減、大 気汚染や廃棄物管理による都市環境の改善、そし て経済・社会・環境面の都市部・都市周辺部・農 村部のつながり支援の開発計画強化、等である。  以上のような目標

11

とそのターゲットの羅列的 内容だけで持続可能なまちづくりを構想するのは 困難であろう。やはり

SDGs

の目標全体にかかわ る特徴を踏まえたうえで検討することが必要で ある。  ここで検討したいのは、特に

SDGs

の統合性に ついてである。

SDGs

17

の目標は、環境、社会、 経済という三側面の目標群に分類される。一つ目 は、環境に関する目標群であり、キャッチコピーで 示せば、安全な水とトイレを世界中に(

6

)、気候変 動に具体的な対策を(

13

)、海の豊かさを守ろう (

14

)、陸の豊かさも守ろう(

15

)から構成される。 二つ目は、社会に関する目標群であり、貧困をなく そう(

1

)、飢餓をゼロに(

2

)、すべての人に健康と 福祉を(

3

)、質の高い教育をみんなに(

4

)、ジェン ダー平等を実現しよう(

5

)、エネルギーをみんなに そしてクリーンに(

7

)、住み続けられるまちづくりを (

11

)、平和と公正をすべての人に(

16

)から構成さ れる。三つ目は、経済に関する目標群であり、働き がいも経済成長も(

8

)、産業と技術革新の基盤を つくろう(

9

)、人や国の不平等をなくそう(

10

)、つく る責任つかう責任(

12

)から構成される。最後の目 標、パートナーシップで目標を達成しよう(

17

)は、 三つの目標群全てに関連し貫通するものと位置づ けられる。  これら三つの目標群の関係は、結論を予め示せ ば、並列的な関係ではなく、環境の目標群の実現 が土台にあって、その土台の保護のうえで相互に 依存し合う社会と経済の目標群の実現が可能に なるという「入れ子構造」にあるという把握が重要 であるように思われる。そして、そうした把握は、

SDGs

1970

年代以降の途上国の開発優先と先 進国の環境保護の対立・合意を軸とする国連と国 際会議の長期にわたる論議の成果であることを踏 まえれば明確になるように思われる。そこで以下、 「持続可能な開発(または発展)」を構成する環境・ 社会・経済の三側面の区別と統合に至る国際的 論議の経過を先行研究に依拠して簡潔に要約し よう4) ①ストックホルム会議(1972年)  ストックホルムで開催された「国連人間環境会 議」(

UNCHE

)は、環境問題に関する初めての国 連会議であり、「人間環境宣言」と「行動計画」が

(5)

5)J.ロックストローム・M.クルム著、武内和彦・石井菜穂子 監修、谷淳也・森秀行訳『小さな地球の大きな世界:プラネ タリー・バウンダリーと持続可能な開発』丸善出版、2018年、 参照。なお、プラネタリー・バウンダリーについては、石坂匡 身・大串和紀・中道宏『人新世(アントロポセン)の地球環境 と農業』農山漁村文化協会、2020年も参照。 採択された。その「宣言」においては、環境保護と 経済的社会的開発の不可欠性が並列的に言及さ れているが、これらの内容は、

100

年以内の地球 上の成長の限界点逢着を指摘した先行公表の ローマクラブ『成長の限界』の影響を受けていると される。また「行動計画」にもとづく国連総会決議 により「国連環境計画」(

UNEP

)が設立された。 ②ナイロビ会議(1982年)  ケニア・ナイロビで開催された「国連環境計画 管理理事会特別会合」は、環境・資源と開発の相 互関係、経済成長と環境の両立が盛り込まれた 「ナイロビ宣言」を採択した。特に後者の点に関し て、資源保全が持続的成長の前提であることを明 示した点が注目される。なお、ナイロビ会議では 「環境と開発に関する世界委員会」(

WCED

)の設 置が決定された。 ③ブルントラント委員会報告書(1987年)  ナイロビ会議の翌年の国連総会において、前年 の日本の環境庁長官による提案を受けて

WCED

の設置が採択され、翌

1984

年に元ノルウェー首 相のブルントラント女史を委員長とする「環境と開 発に関する世界委員会」(通称ブルントラント委員 会)が正式に設置されたのである。この委員会は、

3

年間の精力的活動の後に、その成果を報告書

『われら共有の未来(

Our Common Future

)』と

して公表し同年、国連総会で採択されている。「持 続可能な開発」(

Sustainable Development

)とい う言葉は、このブルントラント委員会報告書のな かで初めて次のように定義されたのである。それは 「将来の世代が自らのニーズを充足する能力を損 なうことなく、今日の世代のニーズを満たすこと」 であるとされた。 ④「地球サミット」(1992年)  ストックホルム会議の

20

周年を記念して、ブラ ジル・リオデジャネイロにて「環境と開発に関する 国連会議」(

UNCED

)いわゆる「地球サミット」が 開催され、その通称に相応しく「気候変動枠組条 約」「生物多様性条約」「環境と開発に関するリオ デジャネイロ宣言」「森林原則声明」「アジェンダ

21

」という五つの文書が採択された。「リオ宣言」 においては、ブルントラント委員会の「持続可能な 開発」の定義を踏まえた「現世代と将来世代との 間での衡平性」の原則や先進国と途上国の間の 「共通だが差異のある責任」の原則が盛り込まれ た。また行動計画である「アジェンダ

21

」は、「持続 可能な開発」を国連の恒久原則にすると宣言しつ つ、そのための新しいグローバル・パートナーシッ プの開始を記すものとされた。その年の年末の国 連総会で「アジェンダ

21

」の進捗状況を検証する ための組織の設立が決められ、翌年

1993

年に国 連のもとに「持続可能な開発に関する委員会」 (

CSD

)が設立された。 ⑤「社会開発サミット」(1995年)と「ミレニアム・サ ミット」(2000年)  コペンハーゲンで開催された「社会開発サミッ ト」(

WSSD

)は、採択された「コペンハーゲン宣 言」において、生活の質の改善と向上または人間 の能力と福祉の向上を意図する「社会開発」を初 めて取り上げ、経済開発、社会開発、環境保護が 「持続可能な開発のために相互に強化し合う要 素」であることを明示した。  こうした「社会開発サミット」の視点は、

2000

年 の「国連ミレニアム・サミット」に拡充・統合され、 そこでは貧困、教育、ジェンダー平等、児童と妊産

(6)

7)https://www.stockholmresilience.org/research/ research-news/2016-06-14-how-food-connects-all-the-SDGs.html 6)同上書、p.167。ロックストローム氏は、こうした認識のもと で同上書の別の所で「環境負荷のないグリーンな経済成長」 (p.20)という表現を与えている。なお、斎藤幸平氏は、グリー ン成長についてロックストローム氏の最新の自己批判的研究 を踏まえれば、それは持続可能ではなく「脱成長」が採用され るべきであり、グリーン成長を帰結するSDGsは「大衆のアヘ ン」であると述べている。斎藤幸平『人新世の「資本論」』集 英社、2020年、参照。 婦の健康、疾病防止、環境の持続可能性、グロー バル・パートナーシップという

8

つのゴールと

21

の ターゲットから構成され、

2015

年を目標達成年次 とする「ミレニアム開発目標」(

MDGs

)が採択さ れたのである。 ⑥ヨハネスブルグ・サミット(2002年)  ヨハネスブルグで国連によって開催された「持 続可能な開発に関するサミット」(

WSSD

)は、持続 可能な開発に関する「ヨハネスブルグ宣言」と「実 施計画」を採択した。その「実施計画」においては、 持続可能な開発の三つの構成要素である経済開 発、社会開発、環境保護の関係を「経済開発、社 会開発の基礎となる天然資源の保護と管理」とい う表現によって、持続可能な開発は、環境保護の 基礎上に経済開発と社会開発から構成されるも のであり、それらを「相互に依存し補強し合う支柱 として統合」するとしたのである。要するに、持続可 能な開発は、環境保護を基礎にしつつ、経済開発 と社会開発という三つの相互依存の支柱から構 成され、それらを統合するものと認識されたので ある。 ⑦リオ+20(2012年)  リオ・サミットの

20

周年を記念してリオデジャ ネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」 (

UNCSD

)は、成果報告書『我々が求める未来 (

Future We Want

)』を採択した。会議は成果報 告書を通じて、グリーン経済の推進、持続可能な 開発のための制度的枠組みとしての「持続可能な 開発に関するハイレベル政治フォーラム」(

HLPF

) の設置と既存の「国連環境計画」の大幅拡充そし て「持続可能な開発目標」(

SDGs

)の策定につい て合意した。 ⑧プラネタリー・バウンダリーの提起(2009年)と SDGsウエディングケーキ・モデルの提示(2016年)  時期は前後し国際会議ではないが、その後の

SDGs

の環境・社会・経済の三側面の関係に関す る理解と論議に強い影響を与えていくことになる 「プラネタリー・バウンダリー」(地球の限界)とい う概念 が、地球環境の持続可能性に関するス ウェーデンの研究者ヨハン・ロックストローム氏に よって

2009

年に提起された5)。プラネタリー・バウ ンダリーとは、本来、回復力を備えている地球の生 命維持システムが、人類の活動の結果として過剰 な負荷を受けて一定の限界値を越えて回復力を 失うと不可逆的な破壊的環境変化を引き起こすと されるその限界のことである。ロックストローム氏 は、その限界値を、気候変動、成層圏オゾン層の 破壊、海洋酸性化、土地利用の変化、淡水の消費、 生物多様性の損失率、窒素およびリンによる汚染、 化学物質汚染、大気汚染またはエアロゾル負荷と いう

9

つの領域について計測し、最初の

4

つの領域 についてはすでに限界値を越えたと指摘したので ある。そして

SDGs

を構成する環境・社会・経済の 三側面の関係については「経済が社会を支える手 段として機能し、一方で、社会はプラネタリー・バ ウンダリーを越えずに安全に機能する空間内で発 展するという入れ子構造の開発の枠組みを選択す る必要がある」6)結論付けたのである。  その後、ロックストローム氏は、この「入れ子構 造」を「持続可能な開発目標(

SDGs

)の経済的、 社会的、生態学的側面を見る新しい方法」としての 「

SDGs

のウエディングケーキ・モデル」として図形 化し公表している7)(第

2

図)。

(7)

8)蟹江憲史、前掲書、p.62。なお、山本良一『気候危機』岩 波ブックレット、2020年、p.18も参照。  以上のプラネタリー・バウンダリーの提起は、 「持続可能な開発」の定義に影響を与えることにな る。国際科学会議(

ICSU

)を中心とするその再定 義検討プロジェクトチームは、プラネタリー・バウ ンダリーの提起を踏まえて

2013

年に「持続可能な 開発」について次のような新たな定義を与えてい る。それは「現在および将来の世代の人類の繁栄 が依存している地球の生命維持システムを保護し つつ、現在の世代の欲求を満足させるような開 発」のことであるとされた8)  こうして「持続可能な開発目標」(

SDGs

)は、環 境目標群、言い換えれば地球の生命維持システム の保護の実現の土台のうえで、あるいは地球シス テムの安全な機能の範囲内で、相互に依存し合う 社会と経済の目標群の実現が可能になるという三 側面の「入れ子構造」にあるということが明らかに なった。 SDGsの 補完 としての 気候 変動問題 の 国際 的 合意  なお、プラネタリー・バウンダリーの最初の領 域である気候変動については、

SDGs

の目標

13

に おいて触れられているものの、詳細はその直後パ リで開催される第

21

回「気候変動枠組条約締約 国会議」(

COP21

)に委ねられたことは周知のとこ ろである。そこで気候変動問題に関する国際的合 意について

SDGs

の補完として簡潔に確認してお こう。  気候変動問題に関して

COP21

で採択された 「パリ協定」以前に採択された国際的合意の一つ は、京都で開催された

COP3

の合意「京都議定 第2図 SDGsのウエディングケーキ・モデル (出所) https://www.stockholmresilience.org/research/resarch-news/2016-06-14-how-food-connects-all-the-SDGs.html  2020/9/1閲覧。

(8)

テナビリティ研究』第1号、2010年)、池田寛二「サステナビリ ティ概念を問い直す(同上誌、第」 9号、2019年)、福永真弓「サ ステナビリティと正義」(同上誌、同号)等、参照。なお、この点 については、矢口芳生、前掲書、齋藤幸平、前掲書も参照。 9)山本良一、前掲書、ナオミ・クライン著、中野真紀子・関房 江訳『地球が燃えている』大槻書店、2020年、等参照。 10「持続可能性」) (Sustainability)の概念については、紙幅 の都合もあり言及しない。この概念については、大森一三「プ ルラリズムとしての『サステナビリティ』概念」(法政大学『サス 書」であり、先進国の

2008

年∼

12

年の

5

年間の温 室効果ガスの排出量を

1990

年比で

5

%以上削減 することとそのための排出量取引等に関する「京都 メカニズム」などを合意内容としていた。  「 パリ協定 」の 要点は、直前に採択された

SDGs

を補完するものとして「気候正義」(

Climate

Justice

)の観点から世界の気温上昇を、産業革命 以前に比して

2

℃未満できれば

1.5

℃に抑えるため に、今世紀後半に温室効果排出量を実質的にゼ ロにすべきであり、そのために全ての国が排出量 削減目標を作成し提出することを義務づけた点に ある。ここで「気候正義」とは、今まで温室効果ガ スを排出してきたのは先進国と新興国であるのに、 気候変動の最も深刻な被害を受けるのは貧しい 途上国や弱い立場の人々と将来世代であるという 世代内、世代間の不公平、不正義があり、それを 是正すべきであるという考え方であり、社会運動で ある。  「パリ協定」の要請を受けてその後、地球温暖 化に関する詳細な報告を行ったのが「気候変動に 関する政府間パネル」(

IPCC

1988

年設立)であ り、

2018

10

月に「

1.5

℃の地球温暖化に関する

IPCC

特別報告書」を公表している。その要点は、 温暖化が急速に進行しており、現状のままでは、 早ければ

2030

年、遅くとも

2050

年までには、平均 気温は産業革命以前に比して

1.5

℃以上上昇する 可能性が高いとして、

1.5

℃目標を達成するために は、

2030

年までに排出量を

2010

年比で約

45

%削 減すべきであり、

2050

年には排出量を実質的にゼ ロにすることが必要である。そしてそうした削減目 標の達成のためには、社会と経済とりわけエネル ギー、土地利用、都市、産業の大転換が必要であ るというものである。  以上のような気候変動問題の提起は、「気候危 機」の認識の拡がりと「気候正義」を求める若者 の世界的社会運動(グレタ・トゥンベリ「未来のた めの金曜日」)そして欧州諸国と欧州自治体を中 心とした「気候非常事態宣言」の議決さらに米国 では「グリーン・ニューディール」構想すなわち再 生可能エネルギー、ゼロカーボン建築・住宅、ク リーン公共輸送、森林再生、土地再生、等への大 規模投資とグリーン産業での先住民、非白人、女 性、不安定労働者の優先雇用そして国民皆保険 や保育・高等教育無料化、等の政策組合せの提 起を生み出してきたことが注目される9)  以上のような

SDGs

の環境・社会・経済の三側 面の関係の「入れ子構造」と気候変動問題の考察 は、本稿が問題とする「持続可能なまちづくり」がす ぐれて「エコロジカルなまちづくり」に集約されるこ とを物語っていると言えよう。 (3)SDGsを活かした日本型の持続可能な まちづくり「自治体SDGs」  以上のような

SDGs

に関する検討を踏まえたう えで、改めて「持続可能なまちづくり」について考え れば、それは、環境と地球の生命維持システムの 保護という意味での「持続可能性」10)原則を軸 とした「エコロジカルなまちづくり」に集約されると 言える。そのより具体的な含意と内容は、この間、 フランスと欧州を中心に広がったミュニシパリズ ムという独自のまちづくり構想が大いに参照に値 すると思われるが、その前に日本政府において

SDGs

を活かした持続可能なまちづくりの構想とし ての「自治体

SDGs

」について簡潔に確認しておき たい。

(9)

 周知のように、日本政府は、

2014

年に「まち・ひ と・しごと創生法」(いわゆる地方創生法)と「まち・ ひと・しごと創生総合戦略」を決定し、地方自治 体に対しては、地方版総合戦略と人口ビジョンの 策定を奨励してきた。

SDGs

2015

年に国連で採 択されると日本政府は、翌年

2016

年に「

SDGs

推 進本部」を設置した後、

2017

年の地方創生総合 戦略において、地方創生の推進にあたり「

SDGs

の 主流化」を図ると明記し、今後の施策の方向として 「地方公共団体における

SDGs

の達成に向けた取 組の推進」を位置づけつつ、そのための先進的モ デルとして「

SDGs

未来都市」のプロジェクトを発 足させた。それは要するに、環境、経済、社会面の 統合的取組によって、地域課題の同時解決を実 現し、それらの間の自律的好循環を達成しようとし ている先進的地方自治体の顕彰の仕組みである。 これらの取組について政府は「自治体

SDGs

」と 呼んでいるが、そのより端的な取組は、選定された 第3図 自治体SDGsモデル事業 (出所) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/tihousousei_setumeikai/h30-01-11-shiryou17.pdf  2019/9/28閲覧。

(10)

12)J.Guitton-Boussion, Sous la vag ue verte des municipals, le surprenant succès des listes citoyennes, in

Reporterre, le 3 juillet 2020, https://reporterre.net/

Sous-la-vague-verte-des-listes-citoyennes, E.Dau, Un bilan des dynamiques de listes participatives aux élections municipals françaises en 2020, https:// commonspolis.org/wp-content/uploads/2020/08/ BilanMunicipales_V10-compresse%C3%A9.pdf, いずれ も2020/9/1閲覧。この間の事情を紹介したものとして、岸本 聡子「地域自治でグローバル資本主義を包囲する」(『世界』 2020年11月号)参照。 11)内閣府地方創生推進事務局「地方創生に向けた自治体 SDGs推進事業について(平成」 30年1月)  https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/ tihousousei_setumeikai/h30-01-11-shiryou17.pdf、 2019/9/28閲覧。  なお、日本政府によるSDGsを活かした持続可能なまちづく りについては、田中治彦・枝廣淳子・久保田崇編著『SDGsと まちづくり』学文社、2019年、村上周三他『SDGsの実践:自 治体・地域活性化編』事業構想大学院大学出版部、2019年、 南博・稲葉雅紀『SDGs:危機の時代の羅針盤』岩波新書、 2020年、等参照。

SDGs

未来都市のなかから特に先導的な取組とし て選定される「自治体

SDGs

モデル事業」であろう。 その要件としては、①経済・社会・環境の三側面 の統合的取組による相乗効果の創出、②自律的 好循環の構築、③多様なステークホールダーとの 連携、の三点が明示されている。こうしたものが、 政府によって推奨されたいわば日本型の持続可能 なまちづくりであると言ってよいであろう(第

3

図、 参照)11)。これは、環境と地球の生命維持システム の保護がまちづくりについても土台であるという考 え方が稀薄であると言える。 (4)エコロジカルなまちづくりとしての 「ミュニシパリズム」  上記のような考察のもとでは、「持続可能なまち づくり」はすぐれて「エコロジカルなまちづくり」に 集約されるとするならば、後者は具体的にはどのよ うなものであろうか。それを体現していると思われ るまちづくりの考え方が、ここで取り上げるフランス と欧州を中心として広がっている「ミュニシパリズ ム」というまちづくり構想あるいは新しい自治体刷 新運動とでも言うべきものである。   新しい自治体刷新運動と述べたのは、今年

2020

年前半に実施されたフランス統一地方選挙 において「緑の波」として日本でも紹介された環境 保護政党と市民グループ推薦候補者の大きな躍 進を支えた選挙運動の進め方と選挙公約こそ 「ミュニシパリズム」を体現しているからである。す なわち、選挙の結果、マルセイユ、ストラスブール、 ボルドー、レンヌ、ブザンソン、等の大都市におい てヨーロッパエコロジー・緑の党(

EELV

)が勝利 を治め、緑の市長(うちボルドーを除く五つの都市 は女性市長)が新たに誕生したことが報道された が、実はこの「緑の波」の背後には、

2008

年に設 立された「市民参加協議研究所」(

ICPC

)のもと にスペインなどの経験に学んで、多くの市民団体、 社会運動グループ、市民と政党が選挙候補者の 「参加型リスト」を一緒に作り上げていくという新 たな市民参加型選挙運動の成功があったのであ る。実際、

408

人の候補者リストを市民集団(以下、 同じく集団を意味する

groupe

ではなく

collectif

と いう原語なので以下、市民コレクティフと記す)が 提出して選挙運動を行い

66

人の当選を勝ち取っ たのであるが、その際、地方政治、自治体運営の 刷新の旗印として掲げられたのが「ミュニシパリズ ム」(

municipalisme

)である12)  それでは、ミュニシパリズムとは何か。フランス の一論者は、それが「ポスト成長のエコロジカル な社会の実現のために、直接民主主義の精神に おける市民の結集によって導かれた政治システム」 「自治体または自治体庁舎の民主化それゆえ住民 による地方諸制度の集団的再領有を目指す政治 的プロジェクト」であり、具体的には、公共財の共 同管理、公共サービスの自治体再公有化、公共契 約の責任感ある地方企業優先の条項、社会住宅 への大規模融資、社会連帯経済の推進、参加型

(11)

15)Institut Concertation Partipation Citoyenne, Municipalisme et listes participatives, https://i-cpc.org/ focus-sur/municipales-2020/, 2020/9/2閲覧。 16)Pacte pour la Transition : 32 mesures concrètes en vue des élections municipals de 2020, le 6 janvier 2020, https://w w w.rtes.fr/pacte-pour-la-transition-32- mesures-concretes-en-vue-deselections-municipales-13)S.Cattiaux, Le municipalisme, nouvelle voie de la

democratie locale ? le  janvier 2020, in Lettre du cadre,

https://www.lettreducadre.fr/15729/le-municipalisme-nouvelle-voie-de-la-democratie-locale/, 2020/9/1閲覧。 14)岸本聡子『水道、再び公営化!』集英社新書、2020年。 予算、難民との積極的連帯、等を目指すものであ るとしている13)  また、ミュニシパリズムを日本に紹介してきたア ムステルダムのトランスナショナル研究所研究員 の岸本聡子氏によれば、それは、「スペインのバル セロナやフランスのグルノーブル、等の欧州都市 を中心に拡大している「市民の直接的な政治参 加」「市民の社会的権利の実現」「公共財(コモン ズ)、公共サービスの公的コントロール」を目指す 「地域主権的」な新しい政治的潮流・運動であり、 環境保全と地元産自然エネルギー活用、有機農 業支援、独自の公共調達による地域内経済循環、 市民参加型予算、等の自治体政策を共通して目 指すとともに、政治の女性化と国境を越えた都市 間の協力連携を重視する国際主義という自治体 戦略を共通して指向しているとされている14)  上記の「市民参加協議研究所」は、統一地方選 挙に際してミュニシパリズムに賛同して参加型リス トづくりを行った

26

の市民コレクティフをネット ワークの構成メンバーとして公表している15)、そ のなかにミュニシパリズムを体現する具体的政策 を明示して、それに同意し署名することを候補者リ スト推薦の条件にしている市民コレクティフが存 在する。  それは、それ自体がグリーンピースなど社会運 動グループや市民団体等、数十の小規模コレク ティフから構成されている「移行のための協定」 (

Pacte pour la Transition

)という市民コレクティ

フである。このコレクティフは、推薦を受ける者が 同意し署名すべき

3

つの横断的原則と

32

の措置す なわち具体的な施策を明示している。なお、コレク ティフの名称にある移行とは、「地域の環境保護、 社会的公正と連帯、民主主義の強化そして持続可 能な地域を求めての移行」という意味である16)  まず、

3

つの横断的原則とは、次のとおりである。 原則

A

:移行への関心喚起と教育行動 原則

B

:地域政策の共同構築 原則

C

:長期的な影響と気候的社会的緊急事態 の統合  そのうえで提示された

32

の施策は、第

1

表のとお りである。  こうして市民コレクティフ「移行のための協定」 によって提示された横断的原則と施策の一覧表を 見ると、日本型の持続可能なまちづくりとしての自 治体

SDGs

とは異なる特徴を見出すことができる。 それは、

3

つの横断的原則に集約されるが、施策 の一覧表の表現も交えて要約すれば、次のように なろう。その特徴は、ミュニシパリズムの上記の定 義にもあるように、何よりも市民の直接民主主義 的な政治参加すなわち参画にもとづく社会的公正 と連帯を求めての公共財(水道、等)と公共サービ ス(福祉、社会住宅、交通、等)の自治体による公 営化ないし参加型予算、等を通じた市民との共同 構築すなわち協働を基軸として、そのうえで温室 効果ガス増大と生物多様性減少を防止し、環境 保護を促進する環境的施策を広範に提示するこ とによって地域政策の土台にしていることである。 そして非営利活動団体が主要な当事者になる社 会的弱者支援や住民の居場所づくり、環境保全

(12)

1表 市民コレクティフ「移行のための協定」の32の施策 施策の内容 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 責任ある公共調達(社会的環境的地域的条項含む)の野心的政策 倫理的に正当な資金源による環境保護的地域福祉的プロジェクトへの資金調達 公共施設・車両等のエネルギー節約と地域産の再生可能エネルギー100%供給 公共サービスにおける情報処理について公益のために自由ソフトウェアの優先 農民のために地域の利益の出る有機農業関連産業の構造化の支援 農地を保全し動員して新規農民が就農するための付き添い支援 集合的レストランにおける地域の公正な肉の少ない自然食品の食事の提案 地域に生物多様性の空間を再び与えるため植物の充満、水の循環、夜間照明制限 地域における大規模小売店の発展への終止符 水を公共財として水資源保護、より良い水質、全ての人々への無償の水道水保障 エネルギーの最小限消費、再生可能エネルギーの地産地消と野心的気候計画 エネルギーを十分使えない家庭への支援を伴った高いエネルギー効率の実現 温室効果ガス増大と生物多様性減少をもたらす計画とインフラへの終止符 地域における公共交通機関の導入、アクセス、魅力の強化 公共空間における身体を動かす移動(徒歩、自転車)の優先 都市において最も環境汚染的な車両と個人用乗用車の走行空間の制限 自治体の特性に適合した大気汚染の少ない商品輸送、都市物流方式の開発 自治体廃棄物の削減・再使用・有効活用と社会連帯経済の担い手との協力 自治体の全ての当事者について廃棄物の削減と選別を動機づける料金設定 全ての者にアクセス可能な参加型居住形態と環境保護地区の拡張 困難な状況にある人々の受容、付き添い支援、社会復帰の保障 公共空間における広告の設置場所の制限 全ての者に保障する差別的でない公共空間へのアクセスと整備の実現 全ての者について手頃な価格の穏当な住宅へのアクセスの保障 全ての者について常駐者のいる無料デジタル支援場所の提案 地域に参入した外国人の非営利団体と連携しての公共的受容の仕組みの創設 仕事から最も隔てられた人々の環境保護を促進する地域雇用政策による包摂 男女市民の参加とイニシアチブ、自治体の共同構築の仕組みの設置と強化 環境保護的社会的気候的観点から自治体の大規模計画の外部検証組織化 地域における自発的参加による非営利活動政策の全ての関係者との共同構築 住民間の協力・繋がり、第三の居場所のための空間・資源の非営利団体への委託 参加型予算、非営利団体支援、地域通貨の自治体公共サービスへの組み込み (出所)https://www.pacte-transition.org/#mesures  2020/9/5閲覧。 (注)施策の各項目の内容は、必ずしも直訳ではなく、各項目の詳細説明に依拠して意訳または追加の表 現を入れた場合がある。

(13)

的な公共空間の創出、等の社会的施策、地域内 経済循環を目指す公共調達の地域内企業への受 注可能化、環境保全的地域福祉的プロジェクト への融資とそこでの不安定労働者への雇用提供、 有機農業の関連産業の支援、廃棄物の

3R

を担う 社会連帯経済への支援、大規模小売店の展開抑 制、等の経済的施策が提示される一方、上記の市 民の実質的な参画と協働を通じて土台としての広 範な環境的施策との意識的な統合が目指されて いることである。  また、この市民コレクティフの施策の一覧表には、 女性の政治参画と外国人難民支援が提示されて いることも注目されるべきである。  こうして私たちは、

SDGs

の環境・社会・経済の 三側面の関係の「入れ子構造」と気候変動問題を 踏まえた持続可能なまちづくりのあり方を、ミュニ シパリズムを掲げたフランスの一市民コレクティ フが提示した地域政策のひとまとまり、すなわち市 民の実質的な参画と協働を通じて、広範な環境政 策の土台のうえでの意識的な統合が目指されてい る社会政策と経済政策という一体的組合せのな かに、すぐれてエコロジカルなまちづくりの体現を 見出すことができるように思われる。

(14)

Sustainable Town Development and SDGs

Case Study of Ecological Town Development (Part 1)

Hisao Arai

This paper aims to explain (1) the framework

that the sustainable development goals

(SDGs), targets that command the world’s

at-tention today, can provide in pursuing

sustainable town development in modern-day

Japan, and (2) municipalism, a movement in

today’s Europe that applies this framework.

As for the former, based on the international

discourse surrounding sustainable development

from the 1970s onwards, the paper

demon-strates that the relationship between the three

components of sustainable development,

namely the environment, society, and economy,

forms a nested structure in which the

environ-m e n t p r o v i d e s t h e f o u n d a t i o n a n d

development of society and the economy

be-comes feasible only within the protected areas

of the environment.

The latter was the driving force behind the

success of the French environmentalist party

Europe Ecologie Les Verts (EELV) in this

year’s municipal elections in France. If we

ana-lyze the polity that ran its participatory

election campaign offering concrete local

poli-cies inspired by municipalism, we come to

understand that the movement helped realize

citizens’ participation in and cooperation with

local politics in a direct democratic way. In

terms of local policies, municipalism represents

a unified combination of policies that

con-sciously aims to integrate social and economic

policies with a wide range of foundational

en-vironmental policies, and can be viewed as an

effective, ecological town development

ap-proach.

参照

関連したドキュメント

既に発表済みの「 (仮称)丸の内 1-3 計画」 、 「東京駅前常盤橋プロジェクト」 、 「

①旧赤羽台東小学校の閉校 ●赤羽台東小学校は、区立学 校適正配置方針等により、赤 羽台西小学校に統合され、施

基本目標2 一 人 ひとり が いきいきと活 動するに ぎわいのあるま ち づくり1.

基本目標2 一 人 ひとり が いきいきと活 動するに ぎわいのあるま ち づくり.

商業地域 高さ 30m以上又は延べ面積が 1,200 ㎡以上 近隣商業地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 1,000 ㎡以上 その他の地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 800 ㎡以上

基本目標2 一人ひとりがいきいきと活動する にぎわいのあるまちづくり 基本目標3 安全で快適なうるおいのあるまちづくり..

とりひとりと同じように。 いま とお むかし みなみ うみ おお りくち いこうずい き ふか うみ そこ

また︑郵政構造法連邦政府草案理由書によれば︑以上述べた独占利憫にもとづく財政調整がままならない場合には︑