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【書評】AHP事例集(刀根薫,真鍋龍太郎 編)

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Academic year: 2021

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〔書評〕

刀根源,真鍋鱒太郎編

A H

P 事例集

日科技連出版社 1990年 7 月 定価 3000 円

この本は,日本における AHP の事例を集めたものであ る.

AHP(ANALYTIC HIERARCHY PROCESS)

は,ピッツパーグ大学の T. L.~ナーティ教授により 1970 年代に開発された,あいまいな状況下での意思決定を支 援する手法の 1 つである. サーティ教授は. 1984年に東京で行なわれた国際経済 経営会議で,この方法について日本で初めて講演した が,制日本オペレーシヨンズ・リサナーチ学会では,いち 早く「意思決定研究部会 J (略称 :AHP 部会)を設けて 研究と普及に着手し,日本科学技術連盟や計測自動制御 学会でもこの手法の紹介を行なった. この結果. AHP は, 日本では,比較的短期間で関係 者の聞に普及したわけで‘あるが,日本での事例を集大成 した書物は,発行されていなかった. その意味では,日本において. AHP の研究と普及に 力を注いでこられた 2 人の先生方の編により,本書が発 行されたことは,まさに時宜を得たものといえよう. 本書は 3 部からなっており,第 1 部は AHP 手法の概 要,第 2 部は 18編の事例,第 3 部は AHP に関する最近 の理論と適用上の諸理論となっている.したがって .A HP について , (li に{可も知らなくても,これ l 冊を読め ばほぼ概要をつかむことができる. 本書の中心となっている事例は次の 18例である. 1.建設工事における最適工法の選定 2. 原子力施設モテソレ工場のプロセス機器選定 3. ワークステーションの機種選定 4. 技能訓練の完成度詳悩 5. セールスマンの成績評価 6. 新エネルギーシステムの評価 7. 公共交通、ンステムの選択 8. 市街化適性の地域的評価 9. 街路樹の選定 10. ダムゲートの寿命診断エキスパートシステム 11.CAD/CAM機種選定エキスバートシステム 12. アンケート調査による要求品質の推定 13. 工業生産住宅の機能展開 14. 日本語ワープロソフトの評価 1990 年 12 月号 15. 製品の使いやすさの評価 16. 工務店の選定 17. 株式投資分析 18. コンビュータ選定と合意形成 このように公共部門,民間部門から個人的問題まで, 広い範囲の事例が集められている.また,エキスパート システムの中に AHP が取り入れられている事例も集め られている. 事例にもあるとおり. AHP は,組織的に意思決定し なければならない問題ばかりでなく,個人的に,自分だ けの意思決定をする場合にも役に立つ方法である.(たと えば, 上記 5. の人事評価の事例はなかなか興味深い) もし, AHP をまだ使ったことがなければ,組織の問題 に使う前に,これらの事例を参考にして,まずは,個人 としての意思決定に,ぜひ AHP を使うことをお奨めし たい.これまで,明確に認識されていなかった,自分の 意思決定の構造が浮かび上がってくる.それらを見て, いろいろ考察を加えることにより,自分の意思決定のレ ベルが上がるのが実感されると思う. ところで,組織での意思決定にこのような方法を持ち 込もうとした時組織により相当違いがあるとは思う が)日本の社会では,まだまだ抵抗が大きいというのが 一般的な状況ではないだろうか.もしそうであるとする ならば,ここで組織での事例として上げられたものは, その関門をくぐり抜けて実施されたものであろう.日 常, OR をし、かに組織内で役立てょうかと苦心惨たんし ている OR<" ンにとって. rOR の実施 J という観点か ら,そのあたりの事情も(難しい面があると思うが)一 筆書き加えてもらっていればさらに良かったのではない だろうか. しかしそれはそれとして,本書は,日本での AHP の 事例集として,パラエティに'高んだものとなっており, AHP を実際に役立ててみたいと考えている人にとって は,非常に示唆に富んだ内容であり,貴重な資料になる と思われる.多くの人が本書を読まれ,意思決定の l つ の方法としての AHP 活用のヒントとされることを期待 したい大村雄史)

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