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高齢者を対象としたやさしいソーシャルメディア仲介システム

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Academic year: 2021

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(1)「マルチメディアと分散処理ワークショップ」平成27年10月. 高齢者を対象としたやさしいソーシャルメディア仲介システム 葛城一繁† 小林透† 現行の見守りシステムの多くは,安否情報を高齢者から家族に向けて通知する一方向なものであり,高齢者にはシ ステムを使用するメリットを感じにくい問題がある.また,若年者層を中心に SNS が普及しているが,高齢者はスマ ートフォンやパソコンといった高機能端末の使用が一般に得意でないため SNS に参加することができない問題もあ る.そこで本稿では,高機能端末に不慣れな高齢者でも既存 SNS を使用して若年者層と双方向コミュニケーションが 可能なソーシャルメディア仲介システムを実現する.既存 SNS を使用することで,若年者も普段自分が使用している SNS を利用することができ,高齢者もコミュニケーションを行えるメリットがある.本システムでは高齢者が指先一 つでボタン操作を行い,音声により SNS を介してメッセージの送受信が可能である.本システムのプロトタイプを開 発し,機能的に双方向コミュニケーションが可能であることを確認した.. ることができる.また,同期型コミュニケーションである. 1.   はじめに. 電話を用いないため,子世帯の負担をなくすこともできる.. 日本の総人口は平成 25 年現在 1 億 2730 万人であり,そ. 他にも,子世帯が日常で使用しているソーシャルメディア. のうち高齢者の人口は過去最高の 3190 万人となっている.. をそのまま利用することができるので,新たな高齢者向け. 総人口に占める 65 歳以上の人口の割合は過去最高の 25.1%. サービスを覚える必要が無いという利点がある.しかし,. となっており,平成 37 年には 30.3%,平成 72 年には 39.9%. 高齢者にとってソーシャルメディアの使用は,スマートフ. 1). .また,世帯構成別割合を見る. ォンやパソコンといった高機能端末を使いこなす必要があ. と平成元年は 14.2%であった三世代世帯が平成 25 年では. り負担が大きい.年代別にソーシャルメディアの利用率を. 6.6%に低下しており,単独世帯は平成元年では 20.0%であ. 見ると年代で大きな差があり,10 代では 71.7%,20 代では. ったが,平成 25 年には 26.5%に増加している.これは 65. 63.9%であるのに対し,60 代では 22.3%と大幅に利用率が. になると予測されている. 歳以上でも同様のことが言える. 2). .高齢化と核家族化が進. む現在,高齢者である親世帯とその子供である子世帯が別. 低下しており,高齢者はソーシャルメディアに慣れ親しん でいると言えない 5).. 居している家庭は多い.このような環境で高齢者は孤独に. そこで本稿では,高齢者がスマートフォンやパソコンを. なり,他者との関わりを持たなくなる.電話といった同期. 使用せずに,既存のソーシャルメディアを用いた双方向コ. 型コミュニケーションは,生活リズムが異なる親世帯と子. ミュニケーションを可能とするソーシャルメディア仲介シ. 世帯ではどちらかの負担につながる.このような現状を踏. ステムを提案する.本システムは,マイクやカメラ,スピ. まえ,孤独死を防ぐなどの目的を持った安否確認的な高齢. ーカー,ネットワークアクセス機能を備えたシングルボー. 者見守りシステムの研究が近年盛んになっている.このよ. ドコンピュータにより実現されている.高齢者は,本シス. うな方法は孤独死という結果を避ける事につながるが,高. テムに備えられているボタンを押すという指先一つの操作. 齢者の孤独という根本的問題を解決していない.. だけでソーシャルメディアから情報の取得と発信を行える.. 一方,既存のソーシャル・ネットワーキング・サービス. 本稿では,開発したプロトタイプシステムにより,機能面,. (SNS)を含むソーシャルメディアを用いることで,コミ. 及び実際の高齢者によるフィールド実験による実用面での. ュニケーションを促進することができる.現在,60 歳以上. 評価結果を示す.. の高齢者のグループ活動への参加意欲は昭和 63 年には. 本稿の構成は,第 2 章では,関連研究と新規性について. 60.1%,平成 20 年には 70.3%となっており増加している 3).. 述べる.第 3 章では,本システムの概要と機能を述べる.. SNS の利用状況は年度ごとの増加率で見ると,40 歳未満が. 第 4 章では,評価実験の結果及び考察を述べる.第 5 章は. 1.2 倍であるのに対し,40 歳以上が 1.7 倍と高い増加率を. まとめである.. 示している. 4). .グループ活動といった社会のコミュニティ. に繋がりたいという高齢者にとっては,利用者の増加から. 2.   関連研究. もソーシャルメディアが最も適していると言える.ソーシ. 高齢者見守りシステムに関する研究は数多く存在する.. ャルメディアを活用した双方向コミュニケーションは,高. 日本国内の商用サービス,研究論文の Web 調査を行った結. 齢者の満足感を得ることができ,生活意欲の向上にもつな. 果,32 件の関連研究が抽出できた.表 1 は既存サービスと. がる.また,高齢者の様子を知ることで子世帯は体調とい. 関連研究における高齢者と見守り者の関係性を 1 対 1 から. った健康面を知ることもでき,安否確認以上の安心感を得. 多対多に関する軸と発信される情報の方向性の軸で文献数 を示したものである. 表 2 は既存見守りシステムの利用. † 長崎大学 Nagasaki University. ©2015 Information Processing Society of Japan. 機器に関する軸と通信手段に関する軸で文献数を示したも. 107.

(2) 「マルチメディアと分散処理ワークショップ」平成27年10月. 表 1 高齢者と見守り者の関係性 (文献数) Table 1. Relationship of older people and watch people (number of relevant work) 高齢者 対 見守り者. 対象 方向. 1対1. 1 対多. 多対 1. 多対多. 16. 9. 0. 1. 3. 2. 0. 1. 一方向 (高齢者→ 見守り者) 双方向 (高齢者↔ 見守り者). 表 2 既存見守りシステムの表現方法 (文献数) Table 2. Expression method of an existence watch system (number of relevant work). 通信手段. Web. 電話. メール. 6. 4. 0. 5. 1. スマートフォン. 3. 1. 1. 6. 1. 一般家電. 1. 3. 3. 2. 0. 独自 (ロボット・センサ). Fig. 1 Utilization image of agency system of social media 多く,通信手段としてソーシャルメディアを使用するケー. ソーシャル. 独自. 利用機器. 図 1 ソーシャルメディア仲介システムの使用イメージ. メディア. スは少ないことがわかる.. 3.   ソーシャルメディア仲介システム 3.1   使用イメージ 提案するソーシャルメディア仲介システムの使用イメ ージを図 1 に示す.ソーシャルメディア仲介システムを高 齢者宅に設置することにより例えば,地域のケアマネージ. シングルボード コンピュータ. ャが高齢者宅に訪問する日時を Google カレンダーに入力 することで,高齢者に対し音声で予定を知らせることがで. 0. 0. 0. 0. 0. ーシャルメディア仲介システムに対し話しかけることで,. のである.例えば象印マホービンでは,みまもりほっとラ イン i-POT6)というサービスがある.これは高齢者が電気ポ ットを使うとその情報がメールを通じて遠方に住む家族の もとに届くというサービスである.これを表 1 に当てはめ て考えると,高齢者と見守り者の関係性は 1 対 1 で,情報 の方向性は高齢者から見守り者である家族の方向のみであ り一方向的である.現状,このような安否確認的な見守り システムが多数を占めているのが表 1 から明らかである. 高齢者と見守り者の関係性が多対多で情報の方向性は双方 向性であるものは,ほとんどない. その中でも村瀬らはネットワークを通じて行動を共有 する遠隔地間コミュニケーション環境としてユーザの睡眠 起床の行動を共有し,遠隔地間のコミュニケーションとし て利用しようとした. きる.それに対し高齢者が何らかの要望があった場合,ソ. 7). .この研究は双方向・多対多の関係. を持つ SNS を使用しているが,独自の SNS を使用してお り若年者が普段から使用している Twitter や Facebook とい った既存 SNS とはコミュニケーションできないという問 題がある. 一方,表 2 から高齢者見守りシステムの利用機器を独自 に開発したり,スマートフォンを使用したりするケースが. ©2015 Information Processing Society of Japan. 音声変換されたテキストと映像がともに Twitter に自動投 稿される.ケアマネージャが Twitter により確認することで 高齢者の要望を理解することができる.音声認識されたテ キストが正確に認識されていなかった場合には,音声付き 動画を再生することで内容を確認することができる. また,家族が高齢者の様子を気にかけて Twitter 等にメッ セージを投稿すると,高齢者に対し音声でメッセージが通 知される.その内容に対し高齢者はソーシャルメディア仲 介システムに話しかけることで,同様に Twitter を通じて家 族に様子を知らせることもできる.このようにソーシャル メディア仲介システムを使用することで,非同期に双方向 なコミュニケーションを図ることができる. 3.2   システム構成 ソーシャルメディア仲介システムのシステム構成図を図 2 に示す.本システムは,マイクやカメラ,スピーカー,ネ ットワークアクセス機能,ボタン型スイッチを備えたシン グルボードコンピュータ(Raspberry Pi)により構成されて いる.Raspberry Pi は ARM プロセッサを搭載したシングル ボードコンピュータであり,名刺サイズでありながらスマ ートフォン並みの処理性能を持っている.本システムは,. 108.

(3) 「マルチメディアと分散処理ワークショップ」平成27年10月. 図 2 ソーシャルメディア仲介システムのシステム構成図 Fig. 2. System schematic of agency system of social media. 高齢者とシステム間のユーザインタフェースである UI 部,. ンダー読み取り機能では,設定した高齢者アカウントに記. システム全体をコントロールする制御部,ソーシャルメデ. 入された予定を XML 形式として一覧を取得する.取得し. ィアのアプリケーションインタフェースである API 部から. た予定の中から,プログラムが実行された当日のその時刻. なっている. 本システムはインターネットの接続を前提と. 以降の予定を UI 部に通知し音声出力を行う.出力例とし. しており,無線 LAN 子機を通して無線 LAN 基地局と接続. ては「2 月 5 日,水曜日の予定です.13 時から 14 時に病院. し,インターネットと接続される.. で検査を受ける」といった形式である.. 3.2.1  UI 部. b.   Twitter 受信機能. (1)   音声出力機能. 高齢者アカウントの Twitter に届くメッセージの内容を. 音声出力機能は,テキストを音声に変換する機能である.. 取得する機能である.Twitter 受信機能では,アプリ連携で. これは音声合成ソフト AquesTalk Pi8)を使用する.AquesTalk. 認証が行われたアカウント宛に届くメッセージを,Twitter. Pi は Raspberry Pi 用にカスタマイズされたソフトで CPU に. API9)を用いて JSON 形式で取得する.取得したメッセージ. 負荷をかけず,高速に音声を合成することができる.また,. の中から,プログラムが実行された当日のメッセージのみ. 標準辞書を内蔵しており漢字かな混じり文から音声合成す. を UI 部に通知し音声出力を行う.例としては「田中さん. ることができる.今回は操作を案内する音声や,Google カ. からのメッセージです.今日の具合はどうですか?」とい. レンダーや Twitter から取得したメッセージを読み上げる. った形式である.. 場合に使用する.. (2)   送信モジュール. (2)   ボタン検出機能. a.  . 接続されたボタンから信号を受け取り,入力を検出する.. 送信動作の際に高齢者の様子を記録するため,動画と音. ボタンの押し込み時間を計測するため,0.1 秒ごとに信号. 声により記録する機能である.. 受信の際にカウントを動作させる.これにより,ボタン押. b.   音声認識機能. し込み時間の違いによる処理分岐を実現している.. 音 声 認 識 機 能 に は , ウ ェ ブ ブ ラ ウ ザ で あ る Google. (3)   映像・音声入力. Chrome に搭載されている Google Speech API10)を使用する.. カメラとマイクにより高齢者の様子を撮影する.. 他に音声認識するシステムとしては大語彙連続音声認識エ. 3.2.2  制御部. ンジン Julius11)が挙げられる.Julius の使用を検討した際,. (1)   受信モジュール. 音声認識を行うために言語辞書を用意する必要があること. a.  . がわかった.クライアント側にソフトウェアを導入する場. Google カレンダー読み取り機能. 動画・音声記録機能. 高齢者アカウントの Google カレンダーの当日の現時刻. 合には,低スペックなコンピュータでは実行することがで. 以降の予定をテキストで取得する機能である.Google カレ. きないという制約がある.またサーバ側で導入する場合に. ©2015 Information Processing Society of Japan. 109.

(4) 「マルチメディアと分散処理ワークショップ」平成27年10月. は新たにサーバを用意する必要がある.Google Speech API では 16kbps ビットレートの FLAC 形式音声ファイルを送信 することで,結果として JSON 形式として音声認識結果が 返させる.そのため容易に音声認識を実装することが可能 である.さらに,辞書を用意する必要がなく,サーバ側で 認識されるためクライアント側に負担がかからず,低スペ ックのコンピュータでも動作可能である.このため Google Speech API を採用することとした. c.  . 音声エンコード・動画エンコード機能. YouTube で音声つき動画を投稿するためには,MP4 形式 の動画ファイルを作成する必要がある.しかし,Raspberry Pi においては音声付き動画を記録することができない.そ のため同時に別々,録画・録音を行い,別のファイルとし. 図 3 ソーシャルメディア仲介システムのプロトタイプ. て出力させ,YouTube に投稿するにはエンコードを行う.. Fig. 3 Prototype of agency system of social media. まず,音声ファイルである WAV 形式のファイルを AAC 形 式のファイルに変換する.その後,H.264 形式の動画ファ. これは,拡張性と柔軟性を併せ持つシステムということが. イルと AAC 形式の音声ファイルを合成し,MP4 形式の動. できる.. 画ファイルを作成する.これらの操作はコマンドラインで. 3.3   プロトタイプシステム. 操作できるフリーソフトウェア FFmpeg を使用する.. 図 3 は今回作成したソーシャルメディア仲介システム. d.   YouTube アップロード機能. のプロトタイプである.プロトタイプには Raspberry Pi. エンコード機能で作成した MP4 ファイルを YouTube に. model B+を使用した.スピーカーには Raspberry Pi 単体の. 自動でアップロードする機能である.これには. みの電源で動作させるため GPIO に供給される電源を使用. 12). という Python で動作するオープンソー. した.その際,スピーカーの音量を大きくするためアンプ. ス・ソフトウェアを使用する.これはコマンドラインを使. を搭載し,高齢者が聞き取りやすい音量まで大きくするこ. って YouTube に動画をアップロードすることができるソフ. とを可能とした.音量調節も直感的操作がしやすいようボ. トウェアである.アップロード後,YouTube の URL を知っ. リュームつまみを設置した.外観では強度を保ちつつ内部. ている人のみ閲覧できる限定設定された動画 URL が送信. の構造がわかりやすいよう側面にはアクリル版を使用しな. される.これは,次の Twitter 投稿機能で使用する.. かった.. youtube-upload. e.  . 13). Twitter 投稿機能. 本システムを動作させるには,(1) 受信動作,(2) 送信動. Twitter に投稿するには Twitter クライアントが必要であ. 作,(3) 自動受信の 3 つの方法がある.. り,TTYtter14)というコマンドラインからツイートすること. (1)   受信動作. ができるソフトウェアを使用する.音声認識によるテキス. ボタンを短押しした場合,Twitter,Google カレンダーと. トと,YouTube アップロード機能でアップロードした動画. いったソーシャルメディアに対して高齢者アカウントの情. の URL を合わせて Twitter クライアント TTYtter を用いて. 報の取得を行う.実行された当日の Google カレンダーの予. 投稿を行い,Twitter から高齢者の送信情報を閲覧できるよ. 定と Twitter メッセージを抽出し,順番に音声で通知する.. うにする.. (2)   送信動作. (3)   ログ収集モジュール. ボタンを長押しした場合,音声・動画,それぞれ 10 秒. 高齢者が本システムの使用履歴を定期的に電子メールで. 間録音・録画をする.音声は音声認識を行う.音声つき動. 通知するものである.遠隔地で行うフィールド実験の際に. 画は YouTube に投稿する.Twitter に音声認識結果のテキス. 使用する.. トと YouTube の URL を投稿する.. 3.2.3  API 部. (3)   自動受信. Google,YouTube,Twitter といった外部サービスとやり. Twitter において高齢者アカウント宛にメッセージが送. とりをするためのアカウント情報の認証を行う.高齢者が. 信された場合には,その都度音声にて通知する.. 使用するアカウントを登録して,そのアカウントから情報. 4.   評価実験. を取得・投稿するための権限を与えている. また将来の仕様変更や,新しい SNS の追加は考慮されて いる.これは API 部が独立しているため,仕様変更といっ た変更に対しても他の部分に影響をあたえることがない.. ©2015 Information Processing Society of Japan. 4.1   機能評価 本評価では,プロトタイプの各機能の応答時間が許容で きる範囲内で正常に動作していることを確認する.表 3 は. 110.

(5) 「マルチメディアと分散処理ワークショップ」平成27年10月. 表 3 Table 3. ソーシャルメディア仲介システムの各機能別動作時間 Each functional operate time of agency system of social media 単位:秒 (s) 回数 . 1 回目. 2 回目. 3 回目. 4 回目. 5 回目. 平均. 音声認識機能. 10.071. 10.052. 9.745. 9.113. 10.138. 9.824. 音声エンコード機能. 1.788. 1.473. 1.484. 1.487. 1.480. 1.542. 動画エンコード機能. 70.575. 70.656. 71.141. 70.194. 70.004. 70.514. YouTube アップロード機能. 7.385. 6.660. 6.638. 6.565. 11.601. 7.770. Twitter 投稿機能. 12.132. 5.846. 5.435. 5.236. 5.462. 6.822. 0.649. 0.671. 0.868. 0.843. 0.650. 0.736. 1.357. 2.260. 1.330. 1.333. 1.278. 1.512. 機能名. 送 信. Google カレンダー読み取り 受 信. 機能 Twitter 受信機能. 各機能別の動作時間を計測し,各時間を表にまとめたもの である.これらは time コマンドを用いてどれくらいの時間 でプログラムが動作しているか確認している.まず,ボタ ン短押しによる受信動作に要する時間である.最初に Google カレンダーの予定情報について情報を取得してか ら音声で出力するまで 0.74 秒かかった.その後 Twitter か ら高齢者宛のメッセージの情報を取得してから音声で出力 するまで 1.51 秒かかった.これは待機時間が短く,動作に 問題なかった. 次に,ボタン長押しによる送信動作に要する時間である. 最初に 10 秒間録画・録音をする.その後,音声認識まで 9.82 秒,そして音声のエンコードが終わるまで 1.54 秒,そ の後音声ファイルと動画ファイルのエンコードが終わるま で 70.51 秒,YouTube に動画のアップロードが終わるまで 7.77 秒,そして最後の Twitter へ投稿が完了するまで 6.82 秒であった. これらの送信動作による処理時間は比較的長い時間を. 図 4 高齢者による Twitter 送信動作 Fig. 4. Twitter transmission movement by older people. 要するが,高齢者は最初の 10 秒間の録画・録音時に作業が. こともあった.また病院で使用する際に無線ネットワーク. 必要であるが,その後はバックグラウンドでの処理が可能. 接続の設定がうまくいかないことがあった.. である.受信動作による処理時間も,一般に許容できる時. メッセージや予定を入力し,ボタン短押しによる音声出. 間 3 秒以内 15)に収まっていることを確認できる.. 力を試した.これは音声出力機能により正常に動作し,合. 4.2   フィールド実験. 成音声の出力も聞き取れると好評であった.予定が音声で. 病院のリハビリ室にて,75 歳以上の体は不自由であるが. 時間と内容が通知されることから Google カレンダーの予. 認知には問題がない高齢者 5 人にプロトタイプシステムを. 定を音声で出力するものも好評であった.しかし,Twitter. 使用してもらい評価を行った.Google カレンダー,Twitter. からのメッセージを出力するものは 1 日のメッセージを複. への入力は,病院のリハビリ関係者が事務室のパソコンや. 数回繰り返してしまうため,1 回のみの出力で良いという. タブレットで作業した.サービスを開始するために,アカ. 意見があった.. ウントの登録やインターネット接続の設定をする必要があ. 次にボタン長押しによるメッセージの送信を試した.実. る.そのため病院のスタッフ男女 2 名に設定を行ってもら. 際に動作させ,Twitter に表示されたものが図 4(プライバ. った.. シ保護のため画像修正有)である. 図 4 では声は小さい. SNS を使用するためのアカウント作成は問題無くできた. アカウント登録に API キーの入力が必要なものがあるが,. が鮮明に記録されており,正常に音声認識されていた. 音声認識が誤認識していた場合にも,動画を再生すること. その際に入力ミスが発生しプログラムが正常に動作しない. ©2015 Information Processing Society of Japan. 111.

(6) 「マルチメディアと分散処理ワークショップ」平成27年10月. でどのようなことを話したか確認することができる. その他の意見としては,プロトタイプシステムの見た目 があまり親しみを持てないといった意見があった.また 5 人のうち 3 人は操作方法がわからず再度説明が必要であっ た.また,カメラの位置がわからない人やカメラに写りた くない人,何をしゃべっていいかわからないケースが見ら れた.Raspberry Pi は実験中 3 日間連続稼働させていたが, 動作が不安定になるといった問題は起こらなかった.また, Twitter API や YouTube API は過度に使用をすることで使用 が制限されるが,フィールド実験中に制限数に達すること はなかったため,日常で使用する範囲内では十分であると 確認できた.これらの結果より,高齢者は一部サポートが 必要であったが,機能的に双方向コミュニケーションが可 能であることを確認した. 4.3   考察 実際に病院でソーシャルメディア仲介システムを動作さ せることで,実装した機能が正常に動作していることを確 認した.各機能の処理時間も送信動作はバックグラウンド での処理が可能であるため長い時間でも問題ない.受信動 作では 3 秒以内に動作時間が収まっていることが確認でき る.しかし,プロトタイプを複数の高齢者に使ってもらっ たところ,ユーザインタフェース面,機能面,運用面にお いて課題があることがわかった. ユーザインタフェース面では,一部の高齢者がボタンの 使用方法がわからないという結果が出た.このような高齢 者が直感的に使用できない課題がある.そのためソーシャ ルメディア仲介システムについて,現在ボタン型による入 力で動作させているプロトタイプをセンサ型にする.セン サ型とすることで高齢者は自分から操作を必要とすること なくソーシャルメディアに情報の取得,発信を行うことが できる. 機能面では,プロトタイプはボタンを長押しすることで メッセージの送信をすることができる.その際,メッセー ジの通知範囲を高齢者が制御できない課題があった.家族 のみに送りたいメッセージ,ケアマネージャといった複数 人に送りたいメッセージといった宛先を指定できるように なることで,個人的なメッセージを送信することが可能と なる. 運用面では,高齢者宅に設置しサービスを開始するため にはアカウントの登録が必要である.プロトタイプでフィ ールド実験をした際,アカウントの情報登録で手間取る場 面があった.そのためサポートが必要な場合も電話による 対応のみでは限界がある.また,既存の SNS の API 変更に 迅速に追従できる必要がある.そこでソーシャルメディア 仲介システムの主機能をクラウド上の Web サービスとし て提供することで,ソーシャルメディア仲介システムの保 守性,及びサービス容易性を向上させる.. ©2015 Information Processing Society of Japan. 5.   おわりに 本稿では,高齢者がスマートフォンやパソコンを使用せ ずに既存のソーシャルメディアを用いた双方向コミュニケ ーションを可能とするソーシャルメディア仲介システムを 提案した.プロトタイプを作成し,機能評価やフィールド 実験を行った.それによりボタン操作や音声で,機能的に 双方向コミュニケーションが可能であることを確認した. 一方で,ユーザインタフェース面,機能面,運用面に課題 があることも確認できた. 今後,ソーシャルメディア仲介システムにセンサを追加 することや,運用面を考慮した方式を検討する.これによ り,確認された課題を解決し,より多くの高齢者に簡単に 使用してもらえるシステムの開発を行う予定である.. 謝辞 フィールド実験では宮崎靖浩様,関連調査や助言では地 域イノベーション人材育成プログラムイエローチームのみ なさまにご協力いただき深く感謝致します.. 参考文献 1)   内閣府:平成 26 年度版高齢社会白書,入手先< http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/zenbun/26pdf_index.h tml >(参照 2015-06-09). 2)   厚生労働省:平成 25 年 国民生活基板調査の概況,入手先< http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/>(参照 2015-06-09). 3)  内閣府:平成 23 年度版高齢社会白書,入手先 <http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/gaiyou/html/s1-2-5. html> (参照 2015-08-15). 4)  総務省:平成 24 年 通信利用動向調査,入手先 <http://www.soumu.go.jp/main_content/000230980.pdf> (参照 2015-08-15). 5)   総務省:平成 23 年度版 情報通信白書,入手先< http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/index.html> (参照 2015-06-09). 6)   象印マホービン株式会社:象印,入手先< http://www.mimamori.net/service/index.html> (参照 2015-06-09). 7)   村瀬結衣,仲倉利浩,太田裕子,杉浦一徳:ネットワークを 通じて行動を共有する遠隔地間コミュニケーション環境,マルチ メディア,分散協調とモバイルシンポジウム 2011 論文集, p374-381(2011). 8)   株式会社アクエスト:AquesTalk Pi,入手先< http://www.a-quest.com/products/aquestalkpi.html>(参照 2015-06-09). 9)   Twitter 社:Twitter Developers,入手先< https://dev.twitter.com/>(参照 2015-06-09). 10)   Google:Web Speechi API Demonstration,Google,入手先< https://www.google.com/intl/ja/chrome/demos/speech.html> (参照 2015-06-09). 11)   Julius Developer Team:Julius,Julius,入手先< http://julius.osdn.jp/index.php?q=whatis.html>(参照 2015-06-09). 12)   FFmpeg チーム:FFmpeg,FFmpeg,入手先< https://www.ffmpeg.org/>(参照 2015-06-09). 13)   youtube-upload: Github,入手先< https://github.com/tokland/youtube-upload>(参照 2015-06-09). 14)   TTYtter: TTYtter,入手先< http://www.floodgap.com/software/ttytter/>(参照 2015-06-09). 15)   HUAWEI:モバイルブロードバンド時代 快適なユーザ体験 を提供するネットワーク考察,入手先< http://www.huawei.com/ilink/jp/download/HW_415026>.. 112.

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Table 1    Relationship of older people and watch people (number  of relevant work)  対象 方向 高齢者 対 見守り者 1 対 1  1 対多 多対 1  多対多 一方向 (高齢者→  見守り者)  16 9 0 1 双方向 (高齢者↔  見守り者)  3 2 0 1 表   2 既存見守りシステムの表現方法   ( 文献数 )  Table 2    Expression method of an existence wa
Fig. 2    System schematic of agency system of social media
Fig. 3 Prototype of agency system of social media
Fig. 4    Twitter transmission movement by older people

参照

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