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(1)

国際宇宙探査計画の現状と

日本の国際宇宙探査シナリオ

(一次案)

2016年1月14日

佐藤直樹

国際宇宙探査推進チーム

シナリオ・技術検討サブチーム

(2)

2

国際宇宙探査計画調整の経緯と現状

ISECG : International Space Exploration Coordination Group:世界の主要な14の宇宙機関が参加

2004年 米国ブッシュ政権が有人月探査をベースにした宇宙探査構想を 発表。海外宇宙機関に参加を呼びかけ 2007年 国際宇宙探査の調整をするためのメカニズムとして、ISECGを設 立。(最終目標は有人火星探査) 2011年 国際宇宙探査ロードマップの第1版(GER1)を合意し、公表 2013年 国際宇宙探査ロードマップの第2版(GER2)を合意し、公表 2014年 政府レベル協議(ISEF)第1回会合(米国) 2015年 ISS・国際宇宙探査小委員会(MEXT)が第2次とりまとめを公表 2017年 国際宇宙探査ロードマップの第3版(GER3)公表予定 2017年 政府レベル協議(ISEF)第2回会合(日本)

(3)

3

国際宇宙探査ロードマップ(GER)の位置づけ

 国際協力による有人宇宙探査プログ ラムを立ち上げるための調整用ツー ルという位置づけ。(国際約束ではな い)  機関レベルで調整された有人探査の 共通ゴールと有人火星探査に至る ロードマップ、および各機関の宇宙探 査にかかる計画などをまとめたもの。  各国/機関は、このGERを活用してス テークホルダとの協議を行い、適宜、 政策や宇宙開発計画に反映させる。

(4)

①宇宙探査の共通目的

 探査技術・能力開発

 一般市民への広報と啓蒙

 地球の安全確保

 人類の活動領域拡大

 有人探査のための科学

 宇宙科学、地球科学、応用科学

 生命探査

 経済拡大

(英語のアルファベット順)

4

GER第2版の概要

最終目標は有人火星探査

(5)

②共通の宇宙探査戦略

 実現性: 探査プログラムを長期に渡って継続するために現実的なコストであること。  探査意義: 2章に掲げた探査目的を早期から達成し、人類へ利益(ベネフィット)/恩恵をもたらすもの であること。  パートナーシップ: 様々なパートナーに対して早期から継続した機会を提供できること。  技術発展: 長期目標として火星有人探査を見通した段階的技術開発であること。  有人・無人の連携: 有人ミッションを安全かつ・効率的に行うために、無人ミッションを有人ミッションと相補的に 行い、最大限に活用すること。  ロバスト性: 社会の想定外の変化や危機的状況に対しても対処できるよう、プログラム上および技術上 の柔軟性を確保すること。

GER第2版の概要

(6)

③共通の宇宙探査シナリオ・ロードマップ

6

(7)

④共通のミッション・アーキテクチャ(有人月探査の例)

有人月 着陸船 (クルーなし) 再 使 用 型 離陸船 深宇宙居住モジュール (HERACLES(後述)で 使用のものと同一)

LLO:Low Lunar Orbit、月低軌道(高度約100km)

NRO LLO (クルー搭乗) 月面到達人数4人、着陸機にメタンエ ンジン、着陸船への乗換点NROの例

GER第2版の概要

(8)

⑤有人宇宙探査を可能にする主なエレメント

(既に開発・計画が進められている例) NASA 重量級ロケット(SLS) LEO打上げ能力(70-130t) NASA 多目的宇宙船 (Orion) (4人乗り) (c) Russian Sp ace.c o m ROSCOSMOS 次世代ロケット(NGSLV) ROSCOSMOS 次世代宇宙船(NGS) (c) Russian Space.com 8

GER第2版の概要

(9)

次世代軌道間輸送機 (電気推進) 月面与圧ローバ (2人乗り、走行距離200km) 有人月着陸/離陸船 (4人乗り) 深宇宙居住モジュール (4人乗り、閉鎖型ECLSS、放 射線防御) 貨物輸送船 (貨物量数百kg)

⑤有人宇宙探査を可能にする主なエレメント

(今後、技術開発/システム開発が必要なもの)

GER第2版の概要

(10)

月近傍ミッション(2022~2028年頃)

 2020年代前半に月近傍の軌道に小型宇宙ステーションを建設  月面の無人ローバの遠隔操作による月の裏側の科学探査などを実施  滞在期間は、30日程度から300日程度まで順次増加予定。  火星探査に向けて放射線防護機器の実験や火星有人飛行に向けた医学デー タ取得などを行う。

(11)

 2020年代後半に5回程度の有人探査を行う計画。

 極地方に与圧ローバや電力システムを予め輸送/設置。

 与圧ローバを活用して数100km移動しながらの科学探査等を行う。

 滞在期間は、1週間から4週間程度まで順次増加予定。

 火星探査に向けてISRUなどの実証も行う。

 その後(2030年代以降)は民間での利用活動を想定

有人月面探査ミッション(2028年頃~)

(12)

12

GER第3版に向けての検討状況

主に2020年代の有人月(+近傍)探査のシナリオを具体化すべく、下記の 5つの調整を進めている。 ①無人月面探査ミッションの調整  特に、水があるとされる月南極付近への各国の水探査/水抽出実証ミッションの調整  月近傍に設置される深宇宙居住モジュール(と宇宙飛行士)を利用したサンプルリター ンミッションの具体化 ②有人月面探査ミッションとアーキテクチャ(全体システム構成)  有人月面探査ミッション(月でそのような探査をするか)、有人月面探査に必要なシステ ム、有人月着陸船のコンセプト、軌道計画(有人宇宙船(Orion等)からの乗換(中継)点 検討含む)など、有人月面探査の全体システム構想を検討する。 ③キー技術開発項目の識別  探査に必要となる技術について、各国での研究開発状況を整理・分析し、今後注力す べき技術項目を抽出する作業を実施中。 ④有人で強化される科学の整理  宇宙飛行士がいることによって強化される科学テーマについて分析中。2016年秋には 報告書としてまとめる予定。 ⑤月近傍ミッション計画  月近傍に小型の深宇宙居住モジュールを設置して、有人火星探査に向けた技術実証を 行うとともに、それを有人月面探査の中継点として使うことを検討する。

(13)

NASA/JAXA共同 RPミッション コンセプト

• ミッション:極域揮発性物質探査、および ISRU実証 • 打上げ時重量 : 5000 kg (推進薬込) • 月面へのペイロード搭載重量: 340 kg • 打上時期 : 2019-2020 月面上での展開予想図 ローバ 着陸船 打上げロケット (NASA) ローバ (NASA) • 近赤外線スペクトロメータ • 中性子検出器 • 酸素抽出器 • 揮発性物質分析器 着陸船 (JAXA) JAXAの科学観測機器候補 • 放射線計測機 • 地震計 • 熱流量計 • 分光顕微鏡カメラ • X線解析装置 推進モジュール (JAXA) 打上げ時コンフィギュレーション

無人月面探査ミッションにかかる調整状況(1)

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HERACLES(有人支援サンプルリターン)コンセプト

①サンプルリターン機および着陸機を有人フ ライトの前に打上げ ②Orion打上げ ③着陸機+サンプルリターン機が月面着陸。 (着陸場所はシュレーディンガ盆地が主候 補となっている) ④ローバを展開し探査。(遠隔操作) ⑤サンプルリターン機が離陸し、深宇宙 居住モジュールにドッキング。 ⑥サンプルをOrionに載せ替えて飛行士 とともに帰還 ① ② ③ ⑥ ④ ⑤ ①~⑥を数回(3回程度)繰 り返すことを想定。 ただし、サンプルリターン機 とローバは再使用。 深宇宙居住 モジュール 着陸機 サンプルリ ターン機 NRO

WSB:Weak Stability Boundart(長時間だ が低エネルギーで遷移できる軌道) 有人 宇宙船 (Orion) 地上からの 遠隔操縦

無人月面探査ミッションにかかる調整状況(2)

14

(15)

HERACLES用着陸船 概要

JAXA着陸船(着陸後)

Stirling CoolerStirling Cooler Stirling CoolerStirling Cooler

Electrical Unit Battery Cone c ter Battery サンプルコンテナ (JAXA) 300 φ350 Weight:25kg 4800 離陸船(0.6t) (ESA) JAXA着陸船 • 7.7t(wet) • 30kN級エンジン ローバ (0.5t) (CSA) ローバ 着陸地候補 15 • ミッション:深宇宙居住モジュールをベース とする有人支援サンプルリターン • 打上げ時重量 : 10000 kg (推進薬込) • 月面へのペイロード搭載重量: 2300kg • 打上時期 : 2020年代中頃

無人月面探査ミッションにかかる調整状況

(16)

国際宇宙探査全体シナリオ(2020年代)

2020 2030 ISS 月面 ECLSS モジュール移設 16 月近傍 (HTV-Xベース) ECLSS モジュール Orion 深宇宙居住 モジュール#2 遠隔 操作 Orion 深宇宙居住 モジュール#1 ・ ・ ・ ・ ・ サンプ ルリ ターン 機 大型貨物 輸送船 離陸船 有人 月着陸船 (打上げ は無人) 有人支援SR/月近傍ミッション 有人月面探査ミッション(年1回) 極域揮発性物質探査ミッション 40kW級 電気推進機 与圧ローバ 等の月面探 査システム 4人 45日滞在 4人 60日滞在 4人 90-360日滞在 補給船 補給船 • 代表的なミッションを掲載し ており、すべてのミッションを 掲載してはいない。 • 有人フライトはOrionの場合 は年1回が標準。ロシア宇宙 船完成後は年2回程度にな る見込み。 150kW級 電気推進機 NASA RP等 HERACLES 火 星 or 化学推進機 :日本が提供できる可能性があるもの 着陸機 着陸機・ローバ 4人 30日滞在 4人 最大28日滞在

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ISS・国際宇宙探査小委員会 第2次とりまとめ

(2015年7月)

国際宇宙探査にかかる要点

 ISSを出発点として、月、火星へと段階的に進むステップ・バイ・

ステップアプローチ。

 長期的視点で持続性を高める

 有人・無人探査の相補的・有機的な共同や国際協力を活用し

て費用対効果を高める

 月南極域を最優先に取り組む

 重点的に取り組む技術課題

 重力天体着陸技術  重力天体表面探査技術(エネルギー、ロボティックス、自動走行・自動 作業、人工知能)  深宇宙補給技術  有人宇宙滞在技術(ECLSS、放射線防御、健康管理)

(18)

★ 月の本格的な利用 月南極探査(2020年代初頭) 火星衛星サンプルリターン※ (2020年代前半)

国際宇宙探査における我が国の探査シナリオ

小型月着陸実証機 (SLIM(仮称)) (2019年度) ©JAXA • 月の利用可能性調査(水氷等) • 月の科学探査 宇 宙 開 発 利 用 の 拡 大 • 長期にわたる月の科学探査 • 火星探査を目指した宇宙技術実証 • 多種多様な主体による月面活動 ISS かぐや ★ 無人火星探査 • 火星の利用可能性調査 • 火星の科学探査 ★ 火星の本格的な利用 • 長期にわたる火星 の科学探査 • 多種多様な主体に よる火星表面活動 火星 月 地球 低軌道 ピンポイント 着陸技術 着陸機 輸送技術 重力天体 表面探査技術 長期間 滞在・活動技術 物資補給技術 きぼう HTV-X(仮称) 民間企業を含めた多様な主体による低軌道利用 生命維持・ 環境制御技術 地上への 成果還元 ©JAXA ※JAXA/ISAS にて検討中 地上の 最先端技術 ★国際動向 等を踏まえ て実施を検 討 ©JAXA 宇宙旅行 創薬研究 材料研究 再生医療研究 エネル ギー技術 ロボ ティクス 技術 自動走 行・ 自動作業 技術 人工 知能 災害地用 ロボット 高効率再 生 エネルギー 新薬 創製 新機能材 料 の創出 研究開発プラットフォームとしての幅広い利用 (~2020年) (2021~2024年) こうのとり (HTV) ©JAXA ©NASA

(19)

19

国際宇宙探査推進チーム

チーム長: 遠藤副理事長 チーム長代理: 山浦理事, 伊東執行役 アドバイザ: 常田理事、浜崎理事、今井理事

戦略サブチーム

 各国の活動状況の情報収集  各府省庁との調整方針の検討  経済界及び国際機関等との調整方針の検 討

シナリオ・技術検討サブチーム

 機構としてのシナリオの検討  シナリオに伴う技術の検討  チームメンバー • 有人宇宙技術部門 • ISAS(太陽科学研究系、宇宙機応用工学研究 系、科学推進部、SE推進室) • 研究開発部門 • 宇宙探査イノベーションハブ 2017年に日本で開催される国際宇宙探査フォーラム(ISEF)#2に対応するため、 JAXAとして有人・無人を含めたシナリオ・技術の検討等を実施するとともに、国際 宇宙探査に関し、政府、経済界、国際機関等との調整及び対応方針等を検討す ることを目的として、理事長決定にて本推進チームを設置。(2015年9月30日)

国際宇宙探査推進チーム

(20)

1. サブチームの検討目標

 日本の宇宙探査(有人及び無人)の骨格となる全体シナリオおよび科学・ 技術のロードマップを包括的に整理しつつ、個々のミッションの全体シナ リオでの位置づけを明確にすることにより、これまで個別に議論・調整さ れていた探査に関わるシナリオ・個別ミッションを統合的にまとめる。  これは、宇宙政策実施機関としてのJAXAからの日本の宇宙探査政策へ の提案となることを目指している。 20

(21)

2. サブチームの検討方針

下記のフローに則り、システマティックに検討を進める。 10月末までに1サイクルの検討を完了するとともに、SLIM総括審査でのアク ションである「我が国の月探査の全体シナリオにおける具体的なミッションを 明確にする」ことにも応えるものとする。 10月末までに1サイク ルの検討を完了。 その後、適宜必要部分 を繰り返す。 (2016年1月末までに2 サイクル目、2016年5 月末までに3サイクル 目完了を目標) (*) 飛行士が居ることで強化される科 学ミッションの検討。(例:飛行士 のその場対応能力を生かした地 質探査ミッション) 21 宇宙探査目標設定 有人科学 ミッション検討(*) 全体アーキテクチャ (全体システム構成) 全体シナリオ・ロードマップの統合 技術ロードマップ検討 科学 システム要求設定 コンセプト検討 滞在 科学 ロードマップ 検討 環境・資源 データ整理

(22)

3-1. 宇宙探査の目標

科学

滞在

宇宙探査

新しい拠点と活動の地 を求める (人類の活動領域拡大) 新しい科学的発見を求める (より豊かな知的生活)  宇宙探査の目的は、これまでの地球上の探査(探検)とのアナロジーか ら考えると、①新しい科学的な発見を求めること(科学)と、②新しい拠 点と活動の地域を求めること(滞在)と捉えるのが適当。  そこで、「科学」と「滞在」それぞれの目的について具体的な目標を設 定することとした。 (注)資源を地球へ持ち帰って利用することは、現段階で非現実的と考えられる。一方で拠点での活動(及 びそのための飛行士輸送)のためのその場資源利用は十分にあり得るシナリオであり、滞在の一部 として目標を設定する。 有人の能力 を生かした 科学探査 22

(23)

有人火星探査での深宇宙航行(0G: 片道300日程度)を模擬する。 月近傍空間ミッション(<15年後) 火星有人滞在(25年後) 滞在(1/3G): 6人、500日 航行(0G): 6人、300日(片道) 資源利用: 燃料現地調達 有人火星探査での低重力滞在(500日 程度)を模擬する。 有人月面探査(15年後) 滞在(1/6G): 4人、500日滞在 資源利用: 燃料製造実証

3-2.宇宙探査の目標設定(滞在)

23 地球低軌道(0G) 宇宙探査に向けた技術実証、及び 0G(地球低軌道)での有人火星探査 での深宇宙航行を模擬する。 6人、常時滞在 滞在(0G): 4人、300日滞在

(24)

3-3. 宇宙探査の目標(科学)

3大目標

(25)

太陽系の形を意識するとき、太陽系探査の戦略指針は,

• 初期状態(原始太陽系円盤)を理解する探査(小天体)

• 巨大惑星とその衛星系を理解する探査(木星,土星)

• 地球型惑星領域での惑星形成を理解する探査(月,火星)

のそれぞれにおいて、大目標を意識して策定されるべきである。

3-3. 宇宙探査の目標(科学)

25

月・火星探査は,主に

「地球型惑星領域での惑星形成を理解する探査」に貢献する.

小惑星,彗星 水星,金星, 地球,火星 巨大惑星との潮汐作用により 活動する氷衛星 スノーライン

(26)

3-3. 宇宙探査の目標(科学)

地球型惑星領域での惑星形成を理解する探査における課題

26

①地球型惑星領域への

水や有機物の供給過程を

把握する

②地球型惑星形成過程

の骨格をなす天体衝突過

程を理解する

③金星・火星と地球は,そ

の表層環境の進化過程

において,どのように道を

違えたのかを把握する

・スノーラインが太陽系の形 に及ぼした影響は? ・スノーラインを跨いでの物 資輸送はどういうものか? ・月探査からの、天体初期 進化の理解 ・太陽系年代学を確立させ る月からのSR計画 ・両端の水星と火星が小さ いのは何故か? ・火星地下圏探査

地球型惑星の活動史を解 読する探査 火星衛星SR はやぶさ2 PioneerVenus (NASA) Venus/MarsExpress (ESA) 水星探査BepiC 火星衛星SR

MAVEN, Curiosity (NASA) 水星探査 MESSENGER (NASA) かぐや あかつき 火星衛星SR 小惑星SR OSIRIS-REx (NASA)

課題 何を調べるか? 現行・準備中の計画

SLIM

(27)

4. 科学ロードマップ

27

課題①地球型惑星領域への水や有機物の供給過程の把握

小課題 火星衛星SR はやぶさ2 小惑星SR OSIRIS-REx (NASA) スノーライン を跨ぐ物資輸 送の理解 太陽系(地球 型惑星)への スノーライン の影響 探査目標 始原的小惑星に 含まれる水・有機 物の把握(地球物 質との比較) 始原的小惑星内 の水・有機物の 輸送過程の理解 探査ステージ 地球近傍天体SR 遠方天体SR はやぶさ2:始原的小惑星からのサンプルリターン 始原的小惑星は内部に水を有し,その水が鉱物・有機物と反応し,物質進化を促した と考えられる.始原的小惑星は地球にもたらされた水や有機物の起源天体なのか? 火星衛星サンプルリターン計画:火星の衛星フォボスからのサンプルリターン.フォボス の起源として「火星に捕獲された始原的小惑星」との説がある.サンプル分析の結果は, この説を支持するのか?その場合,フォボスは太陽系形成時の水・有機物(定温物質) 輸送の証人となる. C型小惑星の始原 的物質(水・有機 物)の採取 スノーライン近傍での物質採取 による水・有機物輸送過程理解 彗星SR 土星衛星 エンセラダスSR

(28)

4. 科学ロードマップ

28

課題②地球型惑星形成過程の骨格をなす天体衝突過程を理解する

水星探査 BepiC 火星衛星SR 水星探査 MESSENGER (NASA) かぐや 月探査からの 天体初期進 化の理解 太陽系年代 学を確立させ る月SR計画 両端の水星と 火星が小さい 理由の解明 小課題 探査目標 地殻とマントル, コアの化学成 層の把握 巨大衝突 の理解 天体初期 分化の理 解 天体進化(火成 活動)の理解 クレータ年代 学の確立 冥王代地球 試料の探索 火星活動の 多様性と年 代の把握 キークレータ の年代確定 地球・月・惑 星間の比較 水星・火星の組 成・構造把握 探査ステージ 着陸 SR 有人+SR リモセン 「天体衝突過程」テーマは 月の探査から推進する部 分の多いテーマである. 次ページに整理して示す. 火星衛星(フォボス)サンプルリターン計画:フォボスの起源として「火星への巨大衝突」説がある.サ ンプル分析の結果はこの説を支持するのか?その場合,フォボスは火星形成プロセスの証人となる. 水・揮発性成分の付加 将来の着陸 探査などへ

(29)

4. 科学ロードマップ

29

課題②地球型惑星形成過程の骨格をなす天体衝突過程を理解する

月探査 からの 天体初 期進化 の理解 太陽系 年代学 を確立 させる 月SR 計画 小課題 探査目標 地殻,マント ル,コアの化 学成層把握 巨大衝 突理解 天体初 期分化 の理解 天体進化 (火成活 動)の理解 クレータ年代 学の確立 冥王代地球 試料の探索 火星活動の 多様性と年 代の把握 キークレータ の年代確定 着陸 SR 有人+SR 水・揮発性 成分の付加 極域の水・ 揮発性成 分探査 探査ステージ SLIM 月極域探査ミッション 将来のSRなどへ

(30)

4. 科学ロードマップ

30

課題③金星・火星と地球は,その表層環境の進化過程において,

どのように道を違えたのかを把握する

PioneerVenus (NASA) Venus Express(ESA) あかつき 火星衛星SR 地球型惑星 の活動史を 解読する探査 火星地下 圏探査 あかつき:金星気象学ミッション.地球の兄弟惑星である金星は,どこで道を間違えて,全 く異なる表層環境を持つことになったのか?その課題に,金星気象学を探ることからアプ ローチする 火星着陸探査:火星表層環境の初期進化を探求する計画.火星への視点は,「生命居住 可能性」が大きな重みを持つ.現在進行中の欧米の大型ローバによる火星探査は,35億 年前に火星表層に液体の水が大量に存在した時代に集中している.この時代以前,地下 に熱水圏という形で水が存在した時代も,同様に重要な探査対象である. 惑星の表層環 境変遷の理解 小課題 探査目標 探査ステージ リモセン SR 生命居住可能性 理解のための水 圏変遷の理解 MAVEN(NASA) Mars Express (ESA)

着陸 有人+SR

水圏の変遷把握/ 生命探査など

金星気象学による地球と金星比較

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5-1. 科学探査における有人の意義

人類活動領域の拡大という目的のもと宇宙飛行士が月や火星に滞在するという機会 をとらえ、科学探査を効率的に行うことができる。科学探査における有人の意義を下 記5項目にまとめた。 (ア)高度な発見への対応 科学探査では、最適なサンプルの選定がその価値に直結する。事前に予測できない地質・地形において、新たな事実 に気づき、その場で柔軟に判断し取捨選択を行うのは人間の役割である。無人では、事前に想定される範囲で一定レベ ルのサンプルを選定できるが、高い成果を上げるには選りすぐったサンプルが必要であり、有人探査が不可欠である。 (イ)精密・複雑な作業の実施 サンプル収集では、研磨や破砕、掘削やコアリングも必要になるが、対象となる岩石のサイズ・形状等は様々である。 その場の状況に合わせ、限られた道具で作業を行うだけでなく、研磨や破砕の度合いを調整するなど柔軟で確実な対応 が可能なのは人間である。無人では、ツールの予定外の使用や事前検証していない手順の実施は基本的に困難である。 (ウ)無人では近づけない地点へのアクセス能力 ローカルな地形は近づいて初めて分かるが、隙間を通る、岩石の間に手を入れてみるといった地上のフィールド試験で は普通に見られる状況では、その場での判断が不可欠となる。さらに、探査範囲についても、有人車は無人車に比べ格 段に広がるため(アポロLRVは約30km、ルノホートは5か月で37km)、短時間で広範囲の探査が可能となる。 (エ)高度な機材・設備類の設置・運用 その場分析装置、観測装置、プラントなど、高度で複雑な機材・設備類の運用・保守には、人間の存在が不可欠である。 不定型なサンプルのスライス、故障に対応する補修作業などは、事前に手順を洗い出すことは難しく、自動化は基本的 に困難であることから人間の存在が不可欠である。アポロでも、多様な機材の設置・調整を人が行い成果につながった。 (オ)全体把握と判断能力 人間は、物事の全体的な状況や流れに対する見方・判断(大局観)が優れる点が機械とは本質的に異なる。上記のア ~エの根底にあるのはこの大局観であるとも言え、並行作業や作業手順の入れ替えなど、状況に即した対応が可能な 有人探査は、ミッションの効率を格段に向上させ確実な成果につながる。 31

5. 有人科学ミッション検討

(32)

候補領域 3 2 1 5 4 100 km 6 7 500 km (a)探査領域(3か所) (b)探査地点(7か所) *探査の例であり,国内コミュニティー で合意した案ではない (b)コアリング (a)露頭からの サンプリング (c)岩の選定 前頁の表1の「地殻、マントル、コアの科学成層把握」を例に探査イメージとその要求をまとめる。 ・探査地点: South Pole-Aitken(SPA)盆地に3か所の候補領域(図1(a)) 、そのうちの1領域に7地点の探査地 点がある(図1(b) )。 ・探査対象: 盆地内のSPA放出物(地殻、マントルもしくは地殻下部)、衝突溶融物、玄武岩の露出。 ・移動量: 7地点で各々数十km〜百km程度を移動(7地点トータルで数百km後半 ⇒ 1000kmを要求)。 ・サンプル種類:選別により地殻・マントル起源の岩片を採取する。場所によってはコアリングが必要。(図2参照) ・サンプル量: 連続的に(数kmおきに)数十箇所・数百g ・探査期間: 1地点につき数日〜数十日(移動速度に依存するが3日以上⇒与圧ローバが必要) ・有人のメリット:盆地形成年代は基本的に非常に古く地質が複雑であるため、予期しない地質・地形から最適なサ ンプルを選定するなど、有人の対応能力が必要。また探査地点数が多く長期に渡る探査が必要。 (「かぐや」データによるSPAの地質

5-2. ミッションと探査要求(地質探査の例)

32

5. 有人科学ミッション検討

(33)

項目 今後取得すべきデータ 安全性 アーキテクチャへ優先度付け の影響度 緊急性 総合 水 着陸ミッションにてその場での直接的に存在分布を計測 することが必要。 放射線 太陽活動による変動も考慮した、LTEスペクトルデータが 必要。また、被ばく線量評価用シミュレーションモデル構築も必要。 レゴリス安全性 実レゴリスのサンプルリターンによる動物実験でのデータ 取得。 レゴリス土壌特性(テ ラメカニクスデータ) 土壌測定の直接測定(経験則を介さずに導出),および走 行データを組み合わせて1/6G下でのテラメカニクスモデ ル(地盤と車両間の力相互作用)の構築 レゴリスによる汚染 月面活動,及び月面電位分布で浮遊するレゴリス量を定 量的に測定する. 地形 (特に無し) 温度 将来探査地点における温度の連続時間変化データ 日照 (特に無し) プラズマ 将来探査地点における帯電,電界,粒子速度等の時間・ 日照条件変化の影響の測定 隕石 隕石のサイズ,速度,質量,飛来方向等を測定 重力 (特に無し) クリティカリティ 低 中 高

6-1. 環境・資源データ整理(月)

(34)

 月と同様な整理を今後行っていく。

 なお、水に関しては下記のような状況。

 マーズオデッセイのリモートセンシング観測で、極冠周辺の表面にほぼ純粋 な水氷が存在し、高~中緯度の地下(1m程度)にも水素(水氷と考えるのが 合理的)の存在(最大数十wt%)を示すデータが得られている。(下図参照)  米国Phoenixにより地下の水氷の存在が直接確認されている(北緯68度)。 マーズオデッセイの中性子分光計データ(地下1m以内) (NASA JPLウェブサイトより)

6-2. 環境・資源データ整理(火星)

34

(35)

7. 全体アーキテクチャ

主なトレードオフ検討結果 1.火星からの帰還燃料調達 ○火星での燃料製造 vs ×地球から輸送 全て地球より燃料輸送した場合は、火星で燃料調達した場合に比べてミッション質量(打上げ質量)・費用も2倍以上と見込 まれる。(マーズオデッセイデータから火星には水が相当程度あることを前提) 2.火星までの燃料調達 △月での燃料製造 vs ○地球から輸送 (但し要現地(月面)調査) 有人火星ミッション3回以上で、月の水の含有率が1%以上であれば月での燃料製造が有利だが、含有率が不確定なため地 球から輸送をベースライン。ただし、水含有率に左右されるため早期に現地調査が必要。 3.火星からの帰還における月近傍でのステージング ×月近傍でのステージング vs ○地球へ直接帰還 月近傍でのステージング(帰還時に月近傍で待機していた地球帰還船へ乗換)は推薬量で約100t、コスト2000億円のペナ ルティ。火星航行モジュール再使用のメリットを上回ると予想されるため、地球への直接帰還をベースライン。 4.火星周回軌道投入方法 ○エアロキャプチャ(*1) vs 動力での周回軌道投入 火星への航行モジュールを70tと想定すると、エアロキャプチャシステムは重量30t程度と推定され、化学推進で投入する場 合の推進機重量110t程度(液酸/液水)に比して十分メリット有。 5.火星着陸方法 ×エアロブレーキ(*2) +動力降下 vs ○動力降下のみ 有人機の短時間/高精度の着陸という条件から、火星低軌道(110km)から降下軌道を検討すると、空気抵抗によるΔV分は 数%程度と推定されるため、動力降下のみをベースラインとする。その場合の推力は300kN程度(着陸船重量70tと仮定) 35 (*1)火星遷移軌道から火星周回軌道に火星の大気による減速で投入する技術

(36)
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① 重力天体着陸技術  エアロキャプチャ技術  動力着陸エンジン: 推力 300kN以上  着陸精度: 100m以下 ② 重力天体表面探査技術  発電能力: 原子力(Fission)で160kW以上  走行技術: 与圧ローバで連続1000km以上 ③ 有人宇宙滞在技術  ECLSS: 水補給不要システム  放射線防御:有人火星ミッション(940日)でも生涯制限値を超えない放射線 防護技術 最大の太陽フレアでも生涯制限値を超えない退避方法の確立 ④ 深宇宙補給技術  深宇宙ランデブドッキング技術(GPSを使用しない相対位置/速度同定)と標準化  信頼性向上、輸送効率向上 上記は、ISS・宇宙探査小委員会で重点項目と識別された4つの技術の主要項 目について掲げた。 それ以外の技術目標については、次回検討サイクルで検討予定。 37

8. 主なシステム要求設定

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9. 全体シナリオ・ロードマップの統合

有人支援SR/月近傍ミッション ISS実証/無人月面探査 有人月面探査ミッション 有人火星探査ミッション 要素技術のISS実証 モジュールレベル実証 深宇宙での発展型ECLSSモジュールとして運用 能動型 線量計開発 線量計/遮蔽材料ISS実証 被ばく線量予測システムの維持・更新、居住モジュール設計のための環境データ蓄積 有人火星ミッション向け 線量計/遮蔽材料研究開発 2020 2030 2040 深宇宙RVD装置開発 深宇宙RVD技術研究 深宇宙RVD装置高度化 火星仕様化 高エネ密度LIB開発 原型炉開発 実証炉開発 実用炉開発 再生型燃料電池RFC開発 実利用 実利用 10km, 100kg級開発 100km, 500kg級開発 1,000km, 8,000kg級開発 火星仕様化 500 N級 5 kN級 30 kN級 高信頼性化 ロバスト化(暗時、不整地対応) ピンポイント 着陸技術 超高精度着陸技術 大気中での 高精度誘導技術 300 kN級 100 kN級 ③表層環境進 化過程の違い ②天体衝突 過程の理解 ①地球型惑星 への水・有機 物の供給過程 重力天体 着陸技術 科 学 技 術 環 境 有人宇宙 滞在技術 重力天体 表面探査 技術 深宇宙 放射線環境 水分布(月面) レゴリス安全性・土壌特性・汚染、プラズマ、隕石 火星仕様化 SLIM 月極域探査ミッション 有人支援SR 地球近傍天体からのSR (C型天体) 遠方天体からのSR (火星衛星) 彗星SR ・ ・ ・ 地質(地殻)調査(着陸) 極域揮発性物質探査(着陸) 若いクレータ年代探査(着陸) マントルからのSR 若い溶岩州地域からのSR 古いクレータからのSR SPA等の内部構造探査 火星水圏・生命探査 (リモセン) 火星水圏・生命探査(SR) 火星水圏・生命 探査(有人探査) 長期滞在ミッション 月 ミ ッ シ ョ ン 火星衛星SR 有人科学ミッション 有人科学ミッション エンジン推力

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 科学と滞在に分けて具体的な目標を設定した。  現時点での知見および想定可能な事項を前提にトレードオフを行い、当面 のレファレンスとする全体システム構成(アーキテクチャ)を設定  そのアーキテクチャを成立させるための主な技術要求、および環境や資源 データの有無について分析した。  主な技術要求についてはそれぞれのロードマップを整理し、特に着陸技術 ではSLIMを有人火星着陸に向けた我が国としての第1ステップと位置づけ  環境・資源データに関しては、今後取得すべきデータの優先度付けを行った 結果、月の水分布、月の放射線環境について追加のデータ取得が重要であ ることが分かった。  科学目標に対しては、太陽系科学探査の課題ごとにロードマップを作成し、 月に関しては天体衝突過程の解明のため着陸による地質探査、サンプルリ ターンが重要な次のステップとした。  2016年1月末までに追加検討を実施し、第2次中間とりまとめとしてまとめる。 (2016年2~9月頃に開催が予定されているISS・国際宇宙探査小委員会への インプットとなることを想定)  また、2016年5月末までには、さらに検討を深め、最終報告書としてまとめる 予定。

10. まとめと今後の進め方

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参照

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