1.概況
○ 宮城県における平成28年の公示地価の変動率の推移(図表1)をみると、商業地は前年比+
3.2%となり、3年連続して上昇しました。一方、住宅地は同+1.9%となり、4年連続して上昇しま
した。宮城県の上昇・横ばい・下落地点数の推移(図表2)をみると、平成28年は商業地・住
宅地とも約7割の地点が上昇しており、前年との比較では、商業地の上昇地点数は概ね横ばい
(平成27年89地点→平成28年88地点)となっている一方、住宅地の上昇地点数は減少(同306地
点→同286地点)しています。なお、宮城県の上昇率は、商業地では47都道府県中3位、住宅地では
同2位となっています。
(注)変動率とは、前年と継続する調査地点の地価の前年比増減率の単純平均値。
図表1 宮城県の公示地価(変動率)の推移
(%、( )内は昭和58年=100とした地価指数)
商 業 地 住 宅 地
宮 城 県 宮 城 県
仙 台 市 仙台市を町 村 部 仙 台 市 仙台市を町 村 部
除く市部 除く市部
平成22年 ▲8.3 (59.4) ▲9.7 ▲6.6 ▲6.8 ▲3.5 (90.3) ▲2.8 ▲4.6 ▲4.4
23年 ▲6.5 (55.5) ▲7.2 ▲5.7 ▲5.6 ▲2.9 (87.7) ▲2.2 ▲3.9 ▲3.5
24年 ▲3.9 (53.4) ▲3.2 ▲4.8 ▲4.7 ▲0.7 (87.0) ▲0.9 ▲0.4 ▲0.6
25年 0.0 (53.4) 1.3 ▲1.4 ▲2.6 1.4 (88.2) 1.6 1.1 1.1
26年 1.7 (54.3) 3.4 0.1 ▲1.5 2.5 (90.4) 3.1 1.7 2.1
27年 2.3 (55.6) 4.2 0.5 ▲1.3 2.3 (92.5) 3.2 1.1 1.6
28年 3.2 (57.3) 6.2 ▲0.1 ▲1.5 1.9 (94.3) 3.2 0.5 0.7
ピーク比 ▲74.5 ▲77.0 ▲73.9 ▲64.0 ▲44.3 ▲47.6 ▲41.0 ▲36.1
注.宮城県の地価指数(昭和58年=100)のピーク(平成3年)は商業地が224.5、住宅地が169.3。
資料:宮城県「平成28年地価公示の概要について」(以下の図表も同じ。)
図表2 宮城県の上昇・横ばい・下落地点数の推移
(%、地点)
商 業 地 住 宅 地
平成26年 平成27年 平成28年 平成26年 平成27年 平成28年
沿岸15市町
上 昇 81 86 85 281 281 265
横ばい 21 18 15 23 26 36
下 落 2 1 4 12 8 14
合 計 104 105 104 316 315 315
その他市町村
上 昇 2 3 3 22 25 21
横ばい 5 6 4 13 9 10
下 落 22 22 24 38 38 41
合 計 29 31 31 73 72 72
全 県
上 昇 83( 62) 89( 65) 88( 65) 303( 78) 306( 79) 286( 74)
横ばい 26( 20) 24( 18) 19( 14) 36( 9) 35( 9) 46( 12)
下 落 24( 18) 23( 17) 28( 21) 50( 13) 46( 12) 55( 14)
合 計 133(100) 136(100) 135(100) 389(100) 387(100) 387(100)
注1.上記調査地点数は継続調査地点数
注2.( )内は構成比
11
七十七銀行 調査月報 2016年4月号
統計トピックス
宮城県の地価動向(平成28年公示地価の概要)
2.沿岸15市町の地価動向
(1)商業地の動向
○ 沿岸15市町の商業地の変動率の
状況(図表3) をみると、平成28年
の変動率は、前年と比較可能な11
市町のうち、塩釜市が横ばい、松
島町、亘理町、山元町が下落しま
したが、その他の7市では上昇し
ました。なお、上昇した7市の上
昇幅をみると、気仙沼市、仙台市、
名取市が前年を上回っています。
○ 個別調査地点の動向(図表4)
をみると、上昇地点は仙台市で
68地点、石巻市で9地点、名取市
で4地点など、合計85地点となっ
ています。このうち最も上昇率が高かった地点は「仙台市青葉区中央3-4-8」(前年比+
15.0%)であり、次いで「仙台市青葉区中央1-10-1」(同+12.7%)、「仙台市青葉区一番
町2-1-1」(同+12.5%)の順となっています。これらの地点が位置する仙台市中心部は、オ
フィス等のテナント需要の高まりなどから地価が上昇しているものと考えられます。
図表4 沿岸15市町の商業地(個別調査地点)の動向
調査地点数
継 続 変 更
上 昇 横ばい 下 落
気 仙 沼 市 1 1 1 (1) 0 (0) 0 (0) 0
南 三 陸 町 ― ― ― ― ― ―
女 川 町 ― ― ― ― ― ―
石 巻 市 12 11 9 (9) 2 (2) 0 (0) 1
東 松 島 市 1 1 1 (1) 0 (0) 0 (0) 0
松 島 町 2 2 0 (0) 0 (1) 2 (1) 0
塩 釜 市 6 6 0 (1) 6 (5) 0 (0) 0
多 賀 城 市 1 1 1 (1) 0 (0) 0 (0) 0
仙 台 市 76 73 68 (69) 5 (5) 0 (0) 3
名 取 市 4 4 4 (3) 0 (1) 0 (0) 0
岩 沼 市 3 3 1 (1) 2 (2) 0 (0) 0
亘 理 町 1 1 0 (0) 0 (1) 1 (0) 0
山 元 町 1 1 0 (0) 0 (1) 1 (0) 0
合 計 108 104 85 (86) 15 (18) 4 (1) 4
注1.( )内は前年の地点数
注2.七ヶ浜町および利府町は調査地点がないため非掲載。
図表3 沿岸15市町商業地の変動率
(%)
平成26年 平成27年 平成28年
気 仙 沼 市 0.0 1.7 2.2
南 三 陸 町 - - -
女 川 町 - - -
石 巻 市 3.6 3.0 1.2
東 松 島 市 0.9 0.7 0.7
松 島 町 ▲0.6 ▲0.7 ▲1.0
塩 釜 市 ▲0.4 0.3 0.0
多 賀 城 市 0.0 2.9 0.6
仙 台 市 3.4 4.2 6.2
名 取 市 0.2 1.7 1.9
岩 沼 市 0.0 0.7 0.7
亘 理 町 0.5 0.0 ▲1.3
山 元 町 1.5 0.0 ▲2.2
注1.色麻町および七ヶ宿町は調査地点がないため非掲載。
注2.津波被害により調査地点が調査対象外となった地区は「―」表示
としている。
12
七十七銀行 調査月報 2016年4月号
注1.七ヶ浜町および利府町は調査地点がないため非掲載。
(2)住宅地の動向
○ 沿岸15市町の住宅地の変動率の
状況(図表5)をみると、平成28
年の変動率は、亘理町が横ばい、
東松島市、松島町、山元町が下落
となりましたが、その他の11市町
で上昇しています。ただし、上昇
した11市町のうち仙台市、名取市、
岩沼市を除く8市町では上昇幅が
縮小しています。
○ 個別調査地点の動向(図表6)
をみると、上昇地点は仙台市で
193地点、石巻市で15地点、名取
市で13地点など合計で265地点と
なっています。仙台市を中心に全
体の約8割の地点が上昇していますが、前年比では16地点減少しており、震災以降初めて上昇地
点数が前年を下回っています。このうち最も上昇率が高かった地点は「仙台市若林区六丁の目
中町11-9」(前年比+12.0%)であり、次いで「仙台市若林区大和町3-1-25」(同+11.3%)、
「仙台市若林区蓮坊2-7-6」(同+10.9%)の順となっています。これらの地点はいずれも仙台
市地下鉄東西線(以下、「東西線」という。)沿線に位置しており、周辺の再開発やアパー
図表5 沿岸15市町住宅地の変動率
(%)
平成26年 平成27年 平成28年
気 仙 沼 市 3.3 3.6 2.2
南 三 陸 町 2.8 2.2 0.3
女 川 町 4.3 1.6 0.2
石 巻 市 5.7 3.0 0.7
東 松 島 市 0.9 0.2 ▲0.1
松 島 町 ▲0.6 ▲0.5 ▲0.7
七 ヶ 浜 町 5.4 1.9 0.8
利 府 町 5.5 2.5 0.7
塩 釜 市 1.6 0.8 0.3
多 賀 城 市 1.9 1.5 0.7
仙 台 市 3.1 3.2 3.2
名 取 市 1.8 2.2 2.2
岩 沼 市 1.4 1.3 1.4
亘 理 町 5.1 3.1 0.0
山 元 町 3.8 2.1 ▲1.0
図表6 沿岸15市町の住宅地(個別調査地点)の動向
調査地点数
継 続 変 更
上 昇 横ばい 下 落
気 仙 沼 市 5 5 4 (5) 1 (0) 0 (0) 0
南 三 陸 町 2 2 1 (2) 1 (0) 0 (0) 0
女 川 町 5 4 1 (4) 3 (1) 0 (0) 1
石 巻 市 24 24 15 (22) 9 (2) 0 (0) 0
東 松 島 市 9 9 2 (2) 1 (5) 6 (2) 0
松 島 町 6 6 0 (0) 2 (3) 4 (3) 0
七 ヶ 浜 町 3 3 3 (3) 0 (0) 0 (0) 0
利 府 町 9 9 8 (9) 1 (0) 0 (0) 0
塩 釜 市 11 11 6 (7) 5 (4) 0 (0) 0
多 賀 城 市 11 11 11 (11) 0 (0) 0 (0) 0
仙 台 市 216 203 193(192) 7 (7) 3 (3) 13
名 取 市 15 15 13 (12) 2 (3) 0 (0) 0
岩 沼 市 9 9 8 (8) 1 (1) 0 (0) 0
亘 理 町 2 2 0 (2) 2 (0) 0 (0) 0
山 元 町 2 2 0 (2) 1 (0) 1 (0) 0
合 計 329 315 265(281) 36 (26) 14 (8) 14
注.( )内は前年の地点数
13
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ト需要の高まりなどから高い上昇率となっています。また、東西線沿線の主な上昇地点(図
表7)をみると、特に仙台駅を中心として東側に位置する調査地点が上昇率上位を占めてい
る状況となっています。
図表7 仙台市地下鉄東西線沿線の主な上昇地点
資料:仙台市
①
②
③
④
⑤
⑥
⑧
⑨
⑰
(円/㎡、%)
順位 所在地番
公示価格
前年比変動率
平成27年 平成28年
① 仙台市若林区六丁の目中町11-9 86,000 96,300 12.0
② 仙台市若林区大和町3-1-25 106,000 118,000 11.3
③ 仙台市若林区連坊2-7-6 138,000 153,000 10.9
④ 仙台市若林区大和町5-11-22 117,000 129,000 10.3
⑤ 仙台市若林区白萩町14-18 118,000 130,000 10.2
⑥ 仙台市若林区一本杉町25-21 99,000 109,000 10.1
⑧ 仙台市若林区椌木通67番4 113,000 123,000 8.8
⑨ 仙台市青葉区川内明神横丁15番1外 90,000 97,200 8.0
・
・
・
⑰ 仙台市太白区八木山本町1丁目12番9 85,500 91,500 7.0
14
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3.その他市町村の地価動向
(1)商業地の動向
○ その他市町村における商業地の
変動率の状況(図表8)をみると、
平成28年の変動率は調査対象の17
市町村のうち、登米市のみが上昇
し、富谷町、柴田町が横ばい、そ
の他の14市町村が下落となってい
ます。
○ 個別調査地点の動向(図表9)をみ
ると、調査対象の31地点のうち、3地
点が上昇、4地点が横ばいとなってい
ますが、残りの24地点で下落していま
す。「登米市迫町佐沼字江合1丁目9番
4」(前年比+2.0%)など登米市の3地
点では、近隣の沿岸市町からの移転需要
などを背景に上昇しましたが、その他の
地点では総じて下落傾向が続いています。
図表8 その他市町村商業地の変動率
(%)
平成26年 平成27年 平成28年
登 米 市 0.3 1.2 0.5
栗 原 市 ▲3.1 ▲2.7 ▲2.4
大 崎 市 ▲2.4 ▲3.1 ▲3.0
加 美 町 ▲3.2 ▲4.0 ▲4.2
涌 谷 町 ▲0.5 0.0 ▲0.5
美 里 町 0.8 0.0 ▲1.6
大 和 町 0.0 ▲0.7 ▲0.7
富 谷 町 ▲0.6 0.0 0.0
大 衡 村 ▲0.8 ▲0.4 ▲0.4
川 崎 町 ▲4.4 ▲3.1 ▲2.7
柴 田 町 0.0 0.0 0.0
角 田 市 ▲4.4 ▲2.8 ▲2.5
大 河 原 町 ▲4.4 ▲2.4 ▲1.0
村 田 町 ― ▲2.4 ▲2.5
蔵 王 町 ▲4.0 ▲2.9 ▲2.6
白 石 市 ▲5.0 ▲2.8 ▲2.7
丸 森 町 ▲5.8 ▲3.3 ▲2.9
注1.色麻町、大郷町、七ヶ宿町は調査地点がないため非掲載。
注2 村田町は平成26年より調査地点が選定替えとなったことから、
平成26年の変動率は「―」表示としている。
図表9 その他市町村の商業地(個別調査地点)の動向
調査地点数
継 続 変 更
上 昇 横ばい 下 落
登 米 市 7 7 3 (3) 2 (2) 2 (2) 0
栗 原 市 4 4 0 (0) 0 (0) 4 (4) 0
大 崎 市 6 6 0 (0) 0 (0) 6 (6) 0
加 美 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
涌 谷 町 1 1 0 (0) 0 (1) 1 (0) 0
美 里 町 1 1 0 (0) 0 (1) 1 (0) 0
大 和 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
富 谷 町 1 1 0 (0) 1 (1) 0 (0) 0
大 衡 村 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
川 崎 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
柴 田 町 1 1 0 (0) 1 (1) 0 (0) 0
角 田 市 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
大 河 原 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
村 田 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
蔵 王 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
白 石 市 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
丸 森 町 1 1 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0
合 計 31 31 3 (3) 4 (6) 24 (22) 0
注1.( )内は前年の地点数
注2.色麻町、大郷町、七ヶ宿町は調査地点がないため非掲載。
15
七十七銀行 調査月報 2016年4月号
(2)住宅地の動向
○ その他市町村における住宅地の変
動率の状況(図表10)をみると、平
成28年の変動率は調査対象の18市町
村のうち、登米市、大和町、富谷町
など5市町が上昇し、大衡村が横ば
い、12市町が下落しています。なお、
下落した12市町をみると、2市町が
横ばいから下落に転じ、2町が下落
幅拡大となった一方、6市町では下
落幅縮小となるなど市町村ごとに
バラツキがみられる状況となって
います。
○ 個別調査地点の動向(図表11)
をみると、前年と比較可能な72地点
のうち、21地点が上昇、10地点が横
ばい、41地点が下落となっていま
す。上昇地点は「富谷町鷹乃杜1-10-9」(前年比+6.6%)など富谷町で10地点、「大和町も
みじヶ丘1丁目21番5」(同+6.8%)など大和町で3地点などとなっており、これらの地点は企
図表11 その他市町村の住宅地(個別調査地点)の動向
調査地点数
継 続 変 更
上 昇 横ばい 下 落
登 米 市 10 9 4 (6) 1 (0) 4 (4) 1
栗 原 市 9 8 1 (0) 0 (1) 7 (8) 1
大 崎 市 12 12 0 (0) 3 (2) 9 (10) 0
加 美 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (2) 0
涌 谷 町 2 2 0 (0) 1 (2) 1 (0) 0
美 里 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (2) 0
大 和 町 5 5 3 (4) 1 (0) 1 (1) 0
大 郷 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (2) 0
富 谷 町 11 11 10 (10) 1 (1) 0 (0) 0
大 衡 村 1 1 0 (1) 1 (0) 0 (0) 0
川 崎 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (2) 0
柴 田 町 2 2 1 (2) 1 (0) 0 (0) 0
角 田 市 3 3 0 (0) 1 (3) 2 (0) 0
大 河 原 町 2 2 2 (2) 0 (0) 0 (0) 0
村 田 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (2) 0
蔵 王 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (1) 0
白 石 市 3 3 0 (0) 0 (0) 3 (3) 0
丸 森 町 2 2 0 (0) 0 (0) 2 (1) 0
合 計 74 72 21 (25) 10 (9) 41 (38) 2
注1.( )内は前年の地点数
注2.色麻町および七ヶ宿町は調査地点がないため非掲載。
図表10 その他市町村住宅地の変動率
(%)
平成26年 平成27年 平成28年
登 米 市 0.8 1.1 0.3
栗 原 市 ▲1.6 ▲1.3 ▲0.7
大 崎 市 ▲1.7 ▲1.8 ▲1.6
加 美 町 ▲0.9 ▲1.4 ▲1.9
涌 谷 町 0.6 0.0 ▲0.3
美 里 町 0.0 ▲0.5 ▲0.8
大 和 町 1.4 2.0 1.9
大 郷 町 ▲0.7 ▲0.8 ▲0.8
富 谷 町 4.1 5.4 4.4
大 衡 村 0.4 0.4 0.0
川 崎 町 ▲3.2 ▲2.1 ▲1.5
柴 田 町 0.6 0.6 0.2
角 田 市 0.0 0.0 ▲0.4
大 河 原 町 0.4 0.8 0.9
村 田 町 ▲1.9 ▲1.6 ▲1.6
蔵 王 町 ▲2.1 ▲2.1 ▲1.8
白 石 市 ▲3.9 ▲2.8 ▲1.9
丸 森 町 ▲4.5 ▲2.9 ▲1.8
注.色麻町および七ヶ宿町は調査地点がないため非掲載。
16
七十七銀行 調査月報 2016年4月号
業進出に伴い転入者が増加したことが上昇要因となっていると思われます。一方で、下落地点は
「大崎市鳴子温泉字新屋敷122番13」(同▲3.5%)等の大崎市9地点、「栗原市栗駒岩ヶ崎上小路
118番3」(同▲2.0%)等の栗原市7地点などとなっており、人口減少や地場産業の低迷などが下落
要因として作用しているものと考えられます。
おわりに
○ 今回の調査結果の特徴としては、①仙台市では、中心部におけるオフィス需要や店舗需要およ
び東西線沿線地域における再開発の動きなどから地価の上昇が続いていること、②仙台市以外の
沿岸市町では、高台・内陸部などへの移転需要などを背景に地価の上昇が続いているが、特に住
宅地では上昇テンポが緩やかになっていること、③内陸部の市町村では、人口減少や地場産業の
低迷などから一部の市町村を除き地価の下落が続いていることなどが挙げられます。
○ 県内の地価動向については、仙台
市において中心部や東西線沿線など
の再開発が活発化していることや仙
台市以外の沿岸市町村において被災
者の移転需要が続いていることなど
から、当面は上昇基調を続けるもの
と考えられます。ただし、特に住宅
地では防災集団移転促進事業等の進
展(図表12)などにより宅地の供給
が進み、土地の需要過多の状態が
徐々に緩和されつつあります。これ
が震災以降続いていた地価の上昇ペ
ースを緩やかにし、全体の下押し要
因として作用するものと思われます。
資料:復興庁
注.平成26年度までは実績、平成27年度以降は予定
0
1,000
2,000
3,000
4,000
H24 H25 H26 H27 H28 H29以降
85 268
1,854
3,061
2,923
2,200
図表12 宅地造成区画数の推移(平成27年9月末現在)
(区画) (防災集団移転促進事業と土地区画整理事業の合計)
(年度)
17
七十七銀行 調査月報 2016年4月号
(参考)全国の地価動向
○ 全国の公示地価の状況(図表13)をみると、住宅地の変動率は▲0.2%と8年連続の下落となりました
が、商業地は+0.9%となり、8年ぶりに上昇しました。上昇・横ばいとなった地点は、商業地で3,487
地点(平成27年3,251地点)、住宅地で8,656地点(同8,185地点)と前年に比べ増加しています。なお、
地価がピークを記録した平成3年に比べると、商業地は▲74.3%、住宅地は▲54.0%とそれぞれ下落し
ています。
○ 地域別の状況をみると、三大都市圏では、商業地(前年比+2.9%)、住宅地(同+0.5%)とも3
年連続して上昇しました。これは景況感の改善や企業業績の回復等を背景としたオフィスの拡張需要
や都心部における高価格帯マンション取引の活発化などによるものと考えられます。一方、地方圏は
商業地(同▲0.5%)、住宅地(同▲0.7%)とも下落となりましたが、地方中枢都市(札幌市、仙
台市、広島市、福岡市)は、商業地(同+5.7%)、住宅地(同+2.3%)とも上昇しており、地域
間にバラツキがみられる状況となっています。
図表13 全国の公示地価(変動率)の推移
(%、( )内は昭和58年=100とした地価指数)
商 業 地 住 宅 地
全 国 三大都市圏 地 方 圏 全 国 三大都市圏 地 方 圏
平成 3年 12.9 (226.8) 8.1 (336.8) 16.3 (169.3) 10.7 (202.2) 8.0 (262.0) 13.6 (146.9)
4年 ▲4.0 (217.8) ▲10.3 (302.2) 0.4 (170.0) ▲5.6 (190.9) ▲12.5 (229.3) 2.3 (150.2)
5年 ▲11.4 (192.9) ▲19.2 (244.1) ▲5.6 (160.5) ▲8.7 (174.3) ▲14.5 (196.0) ▲1.7 (147.7)
6年 ▲11.3 (171.1) ▲17.2 (202.1) ▲5.9 (151.0) ▲4.7 (166.1) ▲7.3 (181.7) ▲1.2 (145.9)
7年 ▲10.0 (154.0) ▲14.8 (172.2) ▲5.5 (142.7) ▲1.6 (163.4) ▲2.8 (176.6) ▲0.3 (145.5)
8年 ▲9.8 (138.9) ▲16.0 (144.7) ▲5.8 (134.4) ▲2.6 (159.2) ▲4.6 (168.5) ▲0.6 (144.6)
9年 ▲7.8 (128.1) ▲11.5 (128.0) ▲5.4 (127.2) ▲1.6 (156.6) ▲2.8 (163.8) ▲0.4 (144.0)
10年 ▲6.1 (120.3) ▲7.5 (118.4) ▲5.1 (120.7) ▲1.4 (154.4) ▲2.2 (160.2) ▲0.6 (143.2)
11年 ▲8.1 (110.5) ▲10.2 (106.4) ▲6.8 (112.5) ▲3.8 (148.6) ▲5.7 (151.0) ▲1.9 (140.4)
12年 ▲8.0 (101.7) ▲9.6 (96.1) ▲7.0 (104.6) ▲4.1 (142.5) ▲5.9 (142.1) ▲2.3 (137.2)
13年 ▲7.5 (94.1) ▲8.3 (88.2) ▲7.0 (97.3) ▲4.2 (136.5) ▲5.6 (134.2) ▲2.8 (133.4)
14年 ▲8.3 (86.3) ▲8.5 (80.7) ▲8.1 (89.4) ▲5.2 (129.4) ▲6.5 (125.5) ▲4.0 (128.0)
15年 ▲8.0 (79.4) ▲7.1 (74.9) ▲8.7 (81.6) ▲5.8 (121.9) ▲6.5 (117.3) ▲5.1 (121.5)
16年 ▲7.4 (73.5) ▲5.8 (70.6) ▲8.7 (74.5) ▲5.7 (114.9) ▲5.7 (110.6) ▲5.7 (114.6)
17年 ▲5.6 (69.4) ▲3.2 (68.3) ▲7.5 (68.9) ▲4.6 (109.7) ▲3.7 (106.5) ▲5.4 (108.4)
18年 ▲2.7 (67.5) 1.0 (69.0) ▲5.5 (65.1) ▲2.7 (106.7) ▲1.2 (105.2) ▲4.2 (103.8)
19年 2.3 (69.0) 8.9 (75.2) ▲2.8 (63.3) 0.1 (106.8) 2.8 (108.2) ▲2.7 (101.0)
20年 3.8 (71.7) 10.4 (83.0) ▲1.4 (62.4) 1.3 (108.2) 4.3 (112.9) ▲1.8 (99.2)
21年 ▲4.7 (68.3) ▲5.4 (78.5) ▲4.2 (59.8) ▲3.2 (104.7) ▲3.5 (108.9) ▲2.8 (96.4)
22年 ▲6.1 (64.2) ▲7.1 (73.0) ▲5.3 (56.6) ▲4.2 (100.3) ▲4.5 (104.0) ▲3.8 (92.7)
23年 ▲3.8 (61.7) ▲2.5 (71.1) ▲4.8 (53.9) ▲2.7 (97.6) ▲1.8 (102.1) ▲3.6 (89.4)
24年 ▲3.1 (59.8) ▲1.6 (70.0) ▲4.3 (51.6) ▲2.3 (95.4) ▲1.3 (100.8) ▲3.3 (86.5)
25年 ▲2.1 (58.6) ▲0.5 (69.6) ▲3.3 (49.9) ▲1.6 (93.9) ▲0.6 (100.2) ▲2.5 (84.3)
26年 ▲0.5 (58.3) 1.6 (70.8) ▲2.1 (48.8) ▲0.6 (93.3) 0.5 (100.7) ▲1.5 (83.0)
27年 0.0 (58.3) 1.8 (70.8) ▲1.4 (48.8) ▲0.4 (93.3) 0.4 (100.7) ▲1.1 (83.0)
28年 0.9 (58.3) 2.9 (72.0) ▲0.5 (48.2) ▲0.2 (92.9) 0.5 (101.1) ▲0.7 (82.1)
ピーク比 ▲74.3 ▲78.6 ▲71.7 ▲54.0 ▲61.4 ▲45.3
注1.ピーク比は地価指数のピーク(網掛部分)に対する平成28年地価指数の下落率。
注2.三大都市圏は、東京圏、大阪圏、名古屋圏。それぞれ首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏開発整備法
による既成市街地および近郊整備地帯を含む市区町村の区域であり、概ね以下の区域に該当する。
・東京圏:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県 ・大阪圏:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県
・名古屋圏:愛知県、三重県
地方圏はこれらの圏域以外の区域。 資料:国土交通省
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地方圏の上昇地点をみると、商業地では外国人
観光客の増加を背景とした店舗用地やホテル用地
などの需要増加により「大阪府大阪市中央区心斎
橋筋2-8-5」(同+45.1%、全国1位)などが大き
く上昇しています。一方、住宅地では北海道の地
点が上昇率上位を占めており、外国人による別荘
地需要などからニセコ観光圏に位置する「北海道
虻田郡倶知安町字旭305番38外」(同+19.7%)が
全国1位となったほか、「札幌市中央区大通西28-2-5」(同+15.9%)など札幌市中心部に位置する
地点でも道内他市町村からの人口流入などから高
い上昇率となっています。
なお、地域別の半年毎の地価動向をみると、商
業地・住宅地ともほぼ横ばいの動きとなっていま
す。
注1.前年:平成27年1月1日~平成27年6月30日
後半:平成27年7月1日~平成27年12月31日
注2.地価公示(1月1日時点)と都道府県地価調査
(7月1日時点)との共通調査地点の地価の半
年前比増減率の単純平均値。これにより半年
ごとの地価動向の把握が可能となる。
○ 都道府県別の状況(図表14)をみると、商業地
では大阪府、東京都、宮城県など16都道府県が上
昇し、住宅地では福島県、宮城県など9都県が上
昇しました。商業地、住宅地とも多くの都道府県
では下落が続いているものの、下落幅は縮小して
います。
また、被災3県の状況をみると、地価の上昇率
は宮城県では商業地が3位(前年2位)、住宅地が
2位(同2位)、福島県では商業地が11位(同7
位)、住宅地が1位(同1位)、岩手県では、商
業地が33位(同30位)、住宅地が17位(同15位)となっています。3県のうち、宮城県と福島県
は全国でも上昇率が上位となっており、これは被災者の住宅や事業所の移転需要などが地価の
押上げ要因となっているものと考えられます。
図表14 平成28年公示地価の都道府県別
変動率
(%)
順位 商 業 地 住 宅 地
1 大 阪 府 4.2 福 島 県 2.9
2 東 京 都 4.1 宮 城 県 1.9
3 宮 城 県 3.2 沖 縄 県 1.7
4 京 都 府 3.2 東 京 都 1.6
5 愛 知 県 2.7 愛 知 県 0.8
6 沖 縄 県 2.0 福 岡 県 0.5
7 石 川 県 1.6 千 葉 県 0.2
8 神 奈川県 1.4 神 奈川県 0.1
9 北 海 道 1.2 熊 本 県 0.1
10 福 岡 県 1.1 埼 玉 県 0.0
11 福 島 県 0.9 大 阪 府 0.0
12 千 葉 県 0.9 京 都 府 ▲0.1
13 広 島 県 0.8 富 山 県 ▲0.2
14 埼 玉 県 0.7 兵 庫 県 ▲0.3
15 兵 庫 県 0.5 奈 良 県 ▲0.3
16 滋 賀 県 0.2 広 島 県 ▲0.3
17 奈 良 県 0.0 岩 手 県 ▲0.4
18 富 山 県 ▲0.1 北 海 道 ▲0.5
19 熊 本 県 ▲0.2 滋 賀 県 ▲0.5
20 岡 山 県 ▲0.3 石 川 県 ▲0.7
21 長 崎 県 ▲0.6 大 分 県 ▲0.7
22 静 岡 県 ▲0.7 山 形 県 ▲0.8
23 大 分 県 ▲0.8 岐 阜 県 ▲0.9
24 岐 阜 県 ▲0.9 静 岡 県 ▲0.9
25 群 馬 県 ▲1.2 岡 山 県 ▲0.9
26 徳 島 県 ▲1.2 宮 崎 県 ▲0.9
27 栃 木 県 ▲1.3 群 馬 県 ▲1.0
28 和 歌山県 ▲1.3 徳 島 県 ▲1.0
29 三 重 県 ▲1.5 長 崎 県 ▲1.1
30 香 川 県 ▲1.5 茨 城 県 ▲1.2
31 山 形 県 ▲1.6 栃 木 県 ▲1.2
32 茨 城 県 ▲1.6 長 野 県 ▲1.3
33 岩 手 県 ▲1.7 山 口 県 ▲1.3
34 福 井 県 ▲1.7 高 知 県 ▲1.3
35 山 梨 県 ▲1.8 香 川 県 ▲1.4
36 山 口 県 ▲1.8 新 潟 県 ▲1.6
37 高 知 県 ▲1.8 島 根 県 ▲1.6
38 長 野 県 ▲1.9 福 井 県 ▲1.7
39 愛 媛 県 ▲2.1 三 重 県 ▲1.7
40 宮 崎 県 ▲2.1 佐 賀 県 ▲1.8
41 青 森 県 ▲2.3 青 森 県 ▲1.9
42 鳥 取 県 ▲2.4 愛 媛 県 ▲1.9
43 佐 賀 県 ▲2.4 山 梨 県 ▲2.0
44 新 潟 県 ▲2.5 和 歌山県 ▲2.0
45 島 根 県 ▲2.6 鳥 取 県 ▲2.0
46 鹿 児島県 ▲2.7 鹿 児島県 ▲2.3
47 秋 田 県 ▲4.2 秋 田 県 ▲3.5
資料:国土交通省
(参考)半年毎の地価変動率
住宅地 商業地
前半 後半 前半 後半
三大都市圏 0.5 0.4 1.8 1.7
地 方 圏 0.3 0.3 0.3 0.5
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