香 川 大 学 経 済 論 叢 第70巻 第2号 1997年9月 5“29
手袋産業成熟期における下請企業の成長要因*
一一現在の受注量への影響要因について一一
細 川
進
1.課題と分析方法 1-L 課 題 白鳥地域手袋産地は昭和6
3(
1
9
8
8
)
年に創業1
0
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年祭を祝った。しかし,そ の裏では,労働力不足,国際化などの経営環境の変化,商品供給を巡る国際競 争の激化による産業構造の変化という荒波に採まれている。当時,既に手袋産 業は成熟期に入っている。本稿では,手袋産業の成熟期において,下請企業が 成長または衰退した際に,どのような要因が働いたかを検討する。1
-
2
.
.
調査データ 分析のデータは,昭和58年8月に行った「手袋・カバン袋物・ニット製品製 造業に関する調査」の原票より再集計して作成した。 産地には,親企業(製造企業,元請企業)を中心に日本手袋工業組合が結成 されているが,下請企業のみを結集した組織は作られていないため,下請企業 の全体を把握することは困難であったが,産地の引田町・白鳥町・大内町の3
町の商工会には手袋業者の大半が加入しているため,分析の対象を「商工会会 員で日本手袋工業組合未加盟」の手袋製造業者とした。該当するものは392事 業所であった。 本本稿は,平成6年度文部省科学研究費の助成を受けた経営組織と地場産業に関する研究の 成果の一部である。 (1) 手袋百年誌編集委員会編『手袋百年誌』臼本手袋工業組合 昭 63。 ( 2) 細川進「環境変化と産地企業の環境適応戦略ω
伺Jr商工金融u989年2月号, pp3-13・ 4月号 pp3-13。
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-6- 香川大学経済論叢 160 調査票の配布・回収は
3
町の商工会が配布・留置後に回収したので,回収 率は100%であった。 1-3.. 分 析 方 法 「成長」または「衰退」を代表するものとして,-現在の受注動向(受注量の 増減)jを用いた。また,成長・衰退に影響を与える要因として,-諸要因j (① 下請比率,②下請階層,③親企業数,④取引関係,⑤工賃(受注単価)決定力, ⑥機械化の程度,⑦経営者の年齢,⑧生産品目より構成), ,-下請企業の経営方 針j,,-親企業による下請企業の評価」および「親企業との取引上の問題点」の 4項目を取り上げた。 そして,-諸要因」など各項目(説明変数)について,それに含まれるいずれ の要因が,現在の受注量の増減(目的変数)に,どの程度影響を与えているか を,多変量解析数量化2
類を用いて分析した。2
.
受注動向(目的変数) 最近一年間の受注量は,数年前とl比べて減少傾向が見られる。「やや減少した」 は33..8%,,-大幅減少した」は8..2%で,減少は合わせて42%に達している。「変 わらない」は三分のーである。また,わずか5 %ではあるが,-大幅に増加した」 ところもある。3
.
影響要因(説明変数) 3-1.. 諸 要 因 ①下請比率 下請生産のみが59..3%と三分のこに達し,さらに下請生産と自 主生産の両方をやっているもの (25.7%)を加えると,下請生産は実に85..0% の企業で行われていることになる。自主生産のみはわずかに 15..0%にすぎな し〉。 (3 ) 細川進・元家万枚「白鳥地域手袋産業における下請企業の現状と課題Jr香川大学経済 論叢』第56巻第l号.1983. PP 166-200。161 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -7二一 ② 下 請 段 階 一 次 下 請 が69ι%,二次下請が17..0%,内職が13..6%である。 ③親企業数 1社専属が51ι%と半数を占め,さらに, 2"'5社が44..9%で, 合わせて963%となり,少数親企業への専属傾向がいちじるしい。 ④取引関係 親企業との取引関係が「安定的,継続的,固定的」なのは,三 分のこを越えている。これは親企業との関係が「単なる取引先にすぎない」と しながらも,産地内の系列化ないしグループ化が進行しているためと思われる。 ⑤工賃(受注単価)決定力 「親企業の見積価格で決まることが多い」が三分 のこに達し (63.1%),逆に r自柾の見積価格で決まることが多い」のは一割 にも満たない (80%)。このことから判断すれば r従前の工賃」および「世間 相場」も親企業主導型で決まっていると判断される。ここでも,下請企業の行 動は受動的である。 ⑥機械化の程度 10年前の旧型ミシンを使用しているものが実に三分の二 近くある。第
1
位は「やっていけるので旧型を使用」という現状維持型で,半 数近くの45“5%(158社)に達している。「改良しでも採算がとれないので,旧 型を使用している」逃避型および「改良・更新したいが,採算がとれないので, 旧型を使用している」欲求不満型が共に 10%近くある。「自費で新型を購入し た」積極型は第2位で26..8% (92社)である。「自費で改良した」やや積極型 (8“2%)を含めて三分の一程度が積極的と解される。 ⑦経営者の年齢経営者の平均年齢は46..2歳である。これは親企業の工場労 働者の平均年齢が50歳に近いこと(日本手袋工業組合推定)から見れば,予想 外に若いという感じもするが,工場労働者から独立化するという意思のあった 者という視点を加えれば,当然と言えるかも知れない。しかし,下請企業者を 生産担当者としてとらえれば,産地の労働力は極めて高齢化していると言えよ う。年齢層別では, 40歳台前半が最も多く,四分の一(246%)をしめている。 次に 40歳台後半が五分のー(20.8%)である。 20歳台は1..0%,30歳台は2L 5%にすぎない。また, 50歳台が24..3%,60歳以上は7..9%である。 ③生産品目 生産品目では,革手袋 (29.1%),縫手袋 (27.5%)およびニッ ト衣料 (31..7%)が圧倒的に多い。産地出荷額と対比してみると,革手袋およOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
8- 香川l大学経済論叢 162 びニット衣料はほぼ対応しているが,縫手袋では下請企業の比重が高く,逆に カバン・袋物(1L7%)ではその比重は非常に低い。 3-2, 下請企業の経営方針 「現状維持をはかるJ44引4%,,-現在の親企業との取引を一層親密にするJ37刷 9%, ,-独立企業をめざすJ30,,5%が大きい項目である。前ニ者は下請企業が消 極的に経営を行おうとするものであり,後者は自主生産を積極的に進める独立 志向の表れである。 3-3" 親企業による下請企業の評価 親企業からの発注がなぜ自社のところに来るかを下請側から判断したもので あるが,特定の項目に集中することなし各項にちらばっている。いくつかの 群にまとめると,次のように言える。 まず第1は,親企業の経営上の必要性である。「納期を厳守し,多少の無理を 聞くJ (34,7%), ,-他企業と比較して工賃が安いJ (26,2%), ,-景気変動の調節 弁としてJ(8,,9%)は,いわば親企業が不利な点を下請におしつけていると, 下請側は感じていると言えよう。 第2は,生産上の必要性のうち,質的な側面である。これは「専門技術があ るからJ(277%), ,-品質・精度がよいからJ (254%)で,これは下請側の技 術力に対する自信の表れである。 第3は,-親企業が内製するには生産量が少ないJ(24“1%), ,-親企業の設備 能力不足J(13,9%), ,-特殊工程のために親企業に設備がないJ (7,6%)で,こ れは親企業の生産能力の不足を下請企業側が補うものである。 第4は,各種のつながりで,-古くからの取引実績があるJ (34,,7%), ,-個人 的なつながりJ(19“8%), ,-資本的なつながりJ (40%)である。 3-4" 親企業との取引上の問題点 「工賃が安い」が64,0%で最大を占めている。工賃取引が80%に達する手袋
163 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -9-下請業界にとっては,工賃が安いことは致命的な問題であり,それに対する下 請企業の不満が強く表明されている。次いで r受注量の季節変動」が31..0%, 「受注量が不安定」が19..9%であり,受注量が一定でないという点でまとめる と, 25%で第 2位となる。前者は手袋業界の,また後者は下請業界の宿命的な 側面であり,業界に対する不安が表明されている。第3位は「工賃受取までの 期聞が長い」の19..2%であり,親企業の経営姿勢に対する不満が強く表明され ている。また「受注量の減少」も 14..6%であり,強く意識されているとは言え ない。 4.現在の受注量への影響要因
4-1
r諸要因」の「現在の受注量」への影響4-1-1
分 析 図表4
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1
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1
力イ自乗値ほか(諸要因) P 意定f
直の カテゴリー カイ自乗値 P 値 判有差※ レ ン ジ ① 下 請 比 率 2..2806 0..6843 0..2810 ② 下 請 階 層 4..1417 0..1261 0.2643 ③ 親 企 業 数 1..9650“
。
3744 0..1001 ④取引の固定性 6..2389。
..0442*
0..2680 ⑤ 工 賃 決 定 カ 5“
0609凶
。
1674 0..4151 ⑥機械化の程度 1..2846。
..5261 0..1186 ⑦経営者の年齢。
..8484 0..8379 0..1073 ⑧ 生 産 品 目 2..6152 0..2705。
.1363 ※ p~五 0..001[
*
*
*
]
P話0..01 [ * *] P壬0..05 *] カテゴリー ス コ ア 平 均 値 0..0077。
..0120。
..0155 -0..0282 0.0124 0..0321 -0..0207 -0..0294OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-10ー 香川大学経済論叢 164
(
1
)
下請企業の成長または衰退に対して,①下請比率(の大小),②下請階層 (I次下請・2
次下請の地位),③親企業数,④親企業との取引関係(固定的か), ⑤工賃決定力(自社見積か),⑥機械化の程度,⑦経営者の年齢,⑧生産品目の 諸要因がどの程度影響を与えているかを,数量化2
類により検討する。 (2) r受注量の増加」を成長を示す要因 r受注量の減少」を衰退を示す要因 として 2群の外的基準を設定する。上記の r8要因」を説明変数とする。 (3) カイ自乗値(図表 4“1れ1)からみれば r親企業との取引関係 6ゎ2389J 「工賃決定力 5.0609J r下請階層 4.1417Jが成長と衰退とを区別する要因と なっている。 (4) P値(図表 4 L1)からみれば r親企業との取引関係 0..0442Jr下請階 層o
..1261J r工賃決定力 01674Jが,成長および衰退に対して影響力が強い。(
5
)
P
値の有意差判定(図表 4 L1)では r親企業との取引関係」の影響は, 有意水準 0..05で支持される。そのほかの要因の影響は,有意水準 0..05で支 持されていない。 (6) カテゴリー・レンジ(図表 4 L1)から見れば r工賃決定力 0.4151J が成長および、衰退への影響力として最も強い。ついで r下請比率o
2810Jr下 図表4L2
判別的中点による力テコリー・スコアの分類(諸要因) 茨 退 へ の 影 響 要 因 成 長 へ の 影 響 -0..1373 70% ① 下 請 比 率 50% 0..1436 -0 1029 内 職 ② 下 請 階 層 2 次 下 請 0..1614 -0..0441 2 ~ 5 社 ③ 親 企 業 数 16 社社 専以 属上 00...00354605i -0..1812 不 特 定 ④取引の固定性 一 部 固 定 的 0.08681 -0..1848 世 間 相 場 ⑤ 工 賃 決 定 力 自 社 見 積 0..2303 -0..0384 新 型 導 入 ⑥機械化の程度 古 い ま ま改 良 し て 00...00584025 -0..0790 60歳 以 上 ⑦経営者の年齢 50 代代 0..0283 -0.0590 20~ 30代 40 0.0267 -0..0992 カバン袋衣物料 ⑧ 生 産 品 目 手 袋 O “0376 -0.0264 ニ ッ ト 判別的中点 0..0022165 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -11ー 請階層 0,2680J'親企業との取引関係
o
2643Jがほぼ同程度の影響力を持つ ている。 (7) カテゴリー・スコアの平均値(図表 4“1,1)の順位は,①機械化の程度, ②親企業数,③工賃決定力,④下請階層,⑤下請比率,⑥経営者の年齢,⑦取 引関係,⑧生産品目である。順位が高いほど,成長」に強い影響を与える要因 である。 (8) カテゴリー・スコア(図表4,L2)からみれば,判別的中点は 0,,0022で あるから,自担見積による工賃決定o
2303J '2次下請 0,1614J'下請比率 50% 0,,1436Jが成長に強く影響しており,続いて,親企業との取引は一部は 固定的 0,0868J'古い機械を使用 00802Jが成長に影響している。 逆に,世間相場による工賃決定一
0,1848J'親企業が不特定一
0,,1812J 「下請比率70% -0 1317Jが衰退に強く影響しており,続いて,内職な ど -0,1029J'カバン袋物 -0,1209I経営者の年齢が60歳以上 -00790J が衰退に影響している。 く 縦 〉〈j家裁式数震j弘3 お〉らフ。 '~Áコ
階級敗. .. 7 5Or一
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図表4
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3
サンプル・スコア階級別度数表に基づく判別グラフ(諸要因)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
12 香川大学経済論叢 166 要因別に見てみると,①下請比率では r下請比率50%Jが成長に r下請比 率70%J が衰退に影響を与えている。 ②下請階層では, r 2次下請」が成長に影響を与えている。「内職等」は衰退 に影響を与えている。 r
1
次下請」の影響力は小さい。 ③親企業数では r1社専属」と r6社以上」が成長に, r 2 ~ 5担」が衰退 に影響を与えている。 ④取引関係では r一部が固定的」が成長に r不特定」は衰退に影響を与え ている。「固定的」の影響力はほとんど無い。 ⑤工賃決定力では r自社の見積による決定」が成長に r世間相場による決 定」が衰退に影響を与えている。 ⑥機械化では r古いまま」や「改良型」が成長に r新型」が衰退に影響を 与えている。 ⑦経営者の年齢では, r60歳以上」が衰退に影響を与えている。 ⑧製品では rカバン袋物」が衰退に影響を与えている。(
9
)
サンプノレ・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフ(図表4
“L3)
の山 は重なっており,精度が良いとは言えない。判別的中率は6L9%
である。4
-
1
-
2
検 討 (1) サンプル・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフの山は重なってお り,精度が良いとは言えない。また, p値の有意差判定でも,有意水準0..05以 上で支持されているのは r親企業との取引関係」のみである。この点では r一 部が固定的」が成長要因として意味を持ってくる。現実にも,親企業も下請企 業も共にこうした結びつきを求めている。すなわち,親企業は国際競争や為替 相場の変動に対応するため短納期での生産を余儀なくされており,下請企業と の固定的な関係を継続的に維持できる状況ではなくなっている。下請企業もい わゆる自主生産や親企業の複数化でこうした事態に対応しようとしており,親 企業と下請企業との「一部固定的」な関係が成長要因として理解できる。 「親企業が不特定」が衰退要因となっている。これは r不特定」の親企業と167 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -13-取引をしている下請企業は,特定の親企業から優先的な発注を受けることが出 来ないため, ,-(一部)固定的な」関係を持つ下請企業と比べて不利な立場となっ ていることからも支持できる。 「固定的な」関係は,成長および衰退にほとんど影響を与えていなし h このこ とは次のように理解しなければならないであろう。すなわち,産地全体として 見た場合と個々の下請企業を見た場合とでは,状況が異なることに注意する必 要がある。個々の下請企業の視点から見た場合には,これは背反するニ面,有 利な関係か不利な関係かというこ面,を持っている。「有利な固定的な」関係と は,高品質や短納期などの技術的な特徴や親企業経営者との人的なつながりな どの他の要因と結びついて,有利なあるいは優先的な受注を獲得できる場合で ある。この場合には,-固定的な」関係が成長要因となっている。 これに対して,技術的な特徴を持たない受動的な下請企業は,特に親企業が 厳しい状況におかれている状況下では,有利なあるいは優先的な受注を獲得で きない。この場合には,-固定的な」関係は,他企業からの受注力を養成してい ないため,衰退要因とは言えないまでも,成長に結びっく要因にはなり得ない。 このように見てくると,-固定的な」関係は,ある企業には成長要因であり, 他の企業には衰退要因(非成長要因)といえるだろう。これが産地全体の問題 になると,プラス・マイナスの両面が相殺されて「ほとんど無関係」と理解さ れることになる。産地にとっての意味と,個々の企業にとっての意味に相違が あることに注意しなければならない。 (2) ,-親企業との取引関係」以外の要因は,有意水準0..05では支持されてい ないので,本分析によって下請企業のその他の成長要因および・衰退要因を明 確にすることには限界がある。しかし,成長と衰退に影響を与える要因を相対 的なものとすれば,次のように言えよう。 成長と衰退に関わる要因として,カイ自乗値から,-親企業との取引関係J,-工 賃決定力J,-下請階層」があげられる。また,成長と衰退に強い影響を与える要 因として, p値から,-親企業との取引関係J,-下請階層J,-工賃決定力」があげ られる。この
3
要因は重複してあげられており,相対的に重要であるといえる。OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
14 香川大学経済論議 168 さらに,成長と衰退に強い影響を与える要因として,カテゴリー・レンジの大 きいもの,すなわち,工賃決定力J'下.請比率J'取引関係J'下請階層」があ げられる。 このことから,成長または衰退に関わる重要な要因として,第
1
位の要因の 「取引関係」に加えて,第 2位の要因として「工賃決定力の有無」および「下 請階層」が,第3位の要因として「下請比率」があげられる。カテゴリー・ス コアの平均値から,機械化の程度」は成長に,経営者の年齢」は衰退に影響 を与える要因として追加できる。 したがって,成長する下請企業の基本的なイメージは,下請比率50%J以下 で,親企業との取引は「一部は聞定的」だが,自社見積による工.賃決定力」を 持っている企業である。生産設備は,古い機械」あるいは「改良した機械」を 使用して,コスト負担の軽減に努めている。(ニット分野以外では,機械自体の 大きな改良は行われていないので,新型機械を導入するよりも,むしろコスト 負担を軽減できるという強みがある)。 逆に,衰退する企業の基本的なイメージは,下請比率70%Jと高く,親企業 に頼らざるを得ないが,親企業が「不特定」で頼るところがなく,しかも,工 賃決定力がなく,世間相場」に頼らざるを得ない。経営者も'
6
0
歳以上」で, 経営意欲にかけている。4
-
2
.
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'下請企業の経営方針」の「現在の受注量」への影響4
-
2
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1
ゎ 分 析 (1) 下請企業の成長または衰退に対して,下請企業の「経営方針」がどの程 度影響を与えているかを,数量化2
類により検討する。経営方針として,①現 在の親企業との取引を一層強化する,②親企業の数や受注先を増やす,③現状 維持を図る,④親企業からの受注を減らし,自社製品を増やす,⑤1
社専属に なりたい,⑥特定取引先に固定しない,⑦小さくても独立企業をめざす,⑧再 下請を増やす,⑨兼業部分を強化する,⑩転業したい,⑪廃業したい,⑫協業 化・共同化したい,の1
2
項目である。(アンケートでは3
項目選択の複数回答15-手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 169 であったが,各項をイエス・ノーの単純回答にして再集計した。) 「受注量の増加」を成長を示す要因 r受注量の減少」を衰退を示す要因
(
2
)
として,2
群の外的基準を設定する。「下請企業の経営方針」を説明変数とする。 5,,8117J カイ自乗値(図表421)か ら 見 れ ば r親企業との取引強化 (3) 「転業したい 3,4924Jr現状維持 27555J r廃業したい 2 2087J が,成長 および衰退を区別する要因となっている。 00159J r転業し P値(図表 42,1)から見れば r親企業との取引強化 (4)I
l
l
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-力イ自乗値ほか(経営方針) 判有P意値定差の※ カテゴリー カテゴリー カイ自乗値 Pf
直 レ ン ジ ス コ ア 平 均 値 ①親 と 親 密 5,,8117o
0159*
,,。1228o
0186 ② 親 を 増 や す 0,,2528 0,,6151o
0581o
0181 ③ 現 状 維 持 2,,7555o
0969 0,,0196 0,,0008 ④ 自 社 製 品 増 す 0,,4820o
4875o
0919 -0,,0370 ⑤1 社 専 属 1,,7039o
1918 0,,2684 -0,,1204 ⑥親を固定しない O“0448o
8325o
0082 0,,0030 ⑦ 独 立 企 業 0,,0551 。,8l44 0,,0439 0,,0089 ⑧ 再 下 請 を 増 す 。,,3294 0,,5660 0,,0357 0,,0146 ⑨ 兼 業 強 化 “。6282 0..4280 ,。,1422 -0,,0606 ⑩ 転 業 し た い 3“4924 0,,0617 0,,2128 -0,,0870 ⑪ 廃 業 し た い 2“2087 0,,1372 0,,2993 -0,,1394 ⑫ 協 業 化 し た い 。,1125 0,,7373o
2482 -0,1170 図表4
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*
*
*
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*
*
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※P話0,,001 p~玉 O “ 01 p~玉 0 ,, 05OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-16 香川大学経済論叢 170 たい 00617J '親企業を増やす O “6151Jが,成長および衰退に対して影響が 強しユ。
(
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値の有意差判定(図表421)では,親企業との取引強イ七」の影響が, 有意水準0,05で支持される。その他の要因の影響は,有意水準0,,05で支持さ れていない。 (6) カテゴリーレンジ(図表4ゎ2,,1)から見れば,廃業したい 0..2993J '1 社専属o
2683J'協業化したい 0,2482J'転業したい Oれ2128Jの4要因の 影響が非常に強い。ついで,兼業を強化したい 0,1422Jおよび「親との取引 強化 O“1228Jが影響力を持っている。 (7) カテゴリー・スコアの平均値(図表4ド2,1)の順位の高い「親企業との取 引強化 0,0186Jおよび「再下請を増やす0,,0089Jが成長に強い影響を与える 図表4
,,2
,,2
判別的中点によるカテゴリー・スコアの分類(経営方針) 衰退への影響 カテゴリー 成長への影響 ① 親 と 親 密 0,,0800 -0,,0471@ 親 を 増 や すo
0106③ 現 状 維 持 -0,,0829④自社製品増す -0,,2546⑤1社 専 属 0,,0072⑥親を固定しない ⑦ 独 立 企 業 0,,0308 ⑧再下請を増す 0,,0324 -0,,1317⑨ 兼 業 強 化 -0,,1934⑩ 転 業 し た い -0,,2890⑪ 廃 業 し た い -0“2412⑫協業化したい 判別的中点 0,,0226171 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -17二一 要因であり,逆に,同順位の低い「廃業したい -0
1394I
1社専属 -0, 1204J 「協業化したい -0, 1 l70Jは衰退に強い影響を与える要因である。 (8) カテゴリー・スコア(図表4,2,2)から見れば,判別的中点は0,0226で あるから,親企業との取引強化o
,,0800Jが成長に強い影響を与える要因であ る。続いて,再下請を増やす 0,,0324J'独立企業を目指す 0,0308Jがある。 成長への影響要因は,この3
要因のみである。 これに対して,衰退に強く影響している要因は,廃業したい -0 2890J '1 社専属 -0リ2546J'協業化したい -0,2421J'転業したい -0 1934Jであ る。そのほか「兼業を増やす -0,1317J'自社製品増加 -0ρ824J '親企業 を増やす -0,0471Jがある。 (9) サンプJレ・スコア階級別度数表(図表4,,23)に基づいた判別グラフの山 は重なっており,精度が良いとは言えない。判別的中率は60,,0%である。 く 縦 〉322F 敵意品作〉;ンア J~ÁJ?
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8O 図表4
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サンプル・スコア階級別度数表に基づく判別クラフ(経営方針)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-18ー 香川大学経済論叢 172
4
-
2
-
2
叶 検 討 (1) サンプル・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフの山は重なってお り,精度が良いとは言えない。また,P
値の有意差判定でも,有意水準0
.
.
0
5
以 上で支持されるのは r現在の親企業との取引を強化する」のみである。これは カイ自乗値,P
値,カテゴリー・スコアの平均値,判別的中点による分類でも, 成長を決定づける要因として強く支持されている。すなわち,どのような成長 戦略をとろうとも,現実の基盤の上に新しい部分を追加することが現実的であ るとする考えが,手袋産業の下請企業でも行われているのである。(
2
)
r親企業との取引強イ七」以外の要因は,有意水準O
“0
5
でも支持されてい ないが,成長と衰退に影響を与える要因を相対的なものとすると,経営戦略の 各カテゴリーについて次のことが言える。 「独立企業をめざす」が,カテゴリ}・スコアから第2
の成長要因として上 げられる。これは,第1
の「親企業との取引強化」とはまったく逆の方向であ るが,下請企業から脱皮を図る有力な方途である。 逆に,衰退要因は,カイ自乗値, P{I直,カテゴリー・レンジ,カテゴリー・ スコアの平均値,判別的中点による分類から,まず r廃業したい」があげられ る。これは,現在の経営に経営意欲を持たないため,当然のことである (r転業 したい」もこれに準じる)。次は, r 1社専属をめざす」および「協業化したい」 である。この両者は,方向はまったく異なっているが,独立化を意図せず,依 存志向であり,このことが衰退へ影響を及ぽすものと思われる。 (3) 成長する下請企業の基本的なイメージは r親企業との取引強イじ」をはか り経営基盤を強化すると共に,その親企業には完全依存はせず,自主製品の開 発など「独立イ七」を志向する経営意欲を持っている。すなわち r親企業との取 引強化」が成長のキーポイントとなっている。下請企業にとっては,当然のこ とながら,親企業からの受注を引き出すことが基本だからである。また r独立 企業を目指す」という積極的姿勢が成長に影響を与える要因となっていること も注目される。 逆に,衰退する下請企業のイメージは r廃業したいJr転業したい」など現173 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -19ー 在の経営に意欲をもたず, '1社専属をめざすJ'協業化をめざす」など依存性 が見られる。 なお '1社専属」と「親企業との取引強化」がそれぞれ衰退要因と成長要因 とに分かれており,必ずしも結びつかないことが明白になった。
4
-
3
"
'親企業による下請企業の評価」の「現在の受注量」への影響4
-
3
-
1
日 分 析 (1) 下請企業の成長または衰退に対じて,親企業による下請企業の評価」が どの程度影響を与えているかを,数量化2
類により検討する。親企業による下 請企業の評価として,①他企業と比較して工賃が安い,②景気変動の調節弁と して有効,③親企業の設備不足を補完する,④親企業が内製するには小ロット すぎる,⑤特殊工程のため親企業が設備しない,⑥専門技術がある,⑦品質・ 精度が良い,⑧多少無理でも納期を厳守する,⑨資本的なつながり,⑩人的な つながり,⑪古くからの取引実績がある,の11項目である。(アンケートでは 3項目選択の複数回答であったが,各項をイエス・ノーの単純回答にして再集 計した。) (2) ,受注量の増加」を成長を示す要因,受注量の減少」を衰退を示す要因 として 2群の外的基準を設定する。「親企業による下請企業の評価」を説明変 数とする。(
3
)
カイ自乗値(図表43
1)から見れば,親企業の設備不足を補完する1
0
,3
5
6
2
J
が,成長および衰退を区別する重要な要因となっている。続いて,品 質が良い6
6
6
7
7
J
'景気の調節弁5
4
1
3
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J
も重要である。さらに,工賃が 安い2
,8
7
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J
'個人的つながり2
,6
8
6
1
J
があげられる。 (4)p
値(図表43"1
)
から見れば,品質が良い00098J'
景気の調節弁0
,0
2
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0
J
'工賃が安い0
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9
0
0
J
が成長および衰退に対して影響力が強い。(
5
)
有意差判定(図表43
1)では,品質が良い」および「親企業の設備不 足を補完」の2
要因の影響は,有意水準0
,,0
1
で支持される。さらに,景気の 調節弁」の影響は,有意水準Oれ0
5
で支持される。しかし,そのほかの要因の影OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-20- 香川大学経済論叢 174 響は,有意水準0..05で支持されていない。 (6) カテゴリー・レンジ(図表 4.3.1)から見れば,-親の設備不足を補完 0.. 3745J の影響力が最も強く,次いで「景気の調節弁 0.. 2665J の影響が強い。 さらに,-個人的つながり O“1683J ,-工賃が安い 0.. 1576J ,-資本参加
o
1473J 「品質が良い 0.1024J の影響も強い。 (7) カテゴリー・スコアの平均値(図表431)の順位の高い「景気の調節弁 図表4..3..1 力イ自乗値ほか(親企業による評価) カイ自乗値 ① 工 賃 が 安 い 2..8754 ② 景 気 調 節 弁 5..4136 ③親の設備補完 10“
3562 ④小ロット受注 ⑤ 特 殊 工 程 ⑥ 専 門 技 術 ⑦ 品 質 が 良 い ⑧ 納 期 厳 守 ⑨資本つながり ⑩人的つながり ⑪古くから笑績 ※ P~五 0..001[***J
P話0..01[**J
P三三0.05*
]
。
..0008 0..0717 l“
7121 6 6677。
..8935。
..2765 26861。
..0103 P {直 有判P{i意定直の差※ カテゴリーレ ン ジ 0..0900 0..1576。
..0200*
0..2665 0..0013**
0..3742 0..9779 0..0066 0..7888 0..0183 0..1907 0..0446 0..0098*
O“
1024 0..3445 0..0161。
“
5990 0..1473 0..1012 0..1683 0..9192 0..0038 カテゴリー ス コ ア 平 均 値 -0..0370 0..1093 -0..1347 -0..0017 0..0075 0..0105 0..0251 -0“
0023 -0..0670 -0..0530 -0“
0007175 手袋産業成熟期における下藷企業の成長要因 21-0..1093J が成長に強い影響を与える要因である。また I品質が良い 0..1024J 「専門技術がある 0..0446J がこれに続いている。 逆に,順位の最低の「親の設備補完 -0..1347J は衰退に大きな影響を与え ている。続いて I資本的つながり -00670J I人的つながり -00530J も 衰退に影響を与えている。 (8) カテゴリー・スコア(図表 4.3.2) から見れば,判別的中点は 0..0380で あるから,成長に影響を与える要因は I景気の調節弁 0..2425Jおよび「品質 が良い 0..0763J の 2要因のみである。 逆に,衰退に最も強い影響を与える要因としては I親の設備不足を補完 -0.3219J があげられる。続いて I資本参加 -0.1407J I人的つながり 一O. 1372JI工賃が安い -0.1l58Jが衰退に影響を与える要因である。その他の要 因は関係が薄い。 図表4..3..2 判別的中点による力テコリー・スコアの分類(親企業による評価) 衰退への影響 要 因 成長への影響 -0..1158 ① 工 賃 が 安 い ② 景 気 調 節 弁 0..2425 -0..3219 ③親の設備補完 -0..0050④小ロット受注 0..0166 ⑤ 特 殊 工 程 0..0328 ⑥ 専 門 技 術 ⑦ 品 質 が 良 い 0..0763 -0..0103 ③ 納 期 厳 守 -0.1407 ⑨資本つながり -0..1372 ⑩人的つながり -0..0026 ⑪古くから実績 判別的中点、0..0380
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
22 香川大学経済論首長ー 176 (9) サンプル・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフ(図表 4.3.3)の山 はやや重なっており,精度が良いとは言えない。判別的中率は
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5
.
.
5
%
である。 〈 縦 >〈
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7。 仰 80 6O 40 2目3 日 図表433 サンプル・スコア階級別度数表に基づく判別クラフ(親企業による評価) 4-3-2.. 検 討 (l) サンプノレ・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフの山は重なってお り,精度がよいとは言えない。しかし,p
値の有意差判定では,有意水準0
.
.
0
1
で「品質が良い」および「親の設備不足を補完」の2
要因が,同O
刷0
5
で「景気 の調節弁」が支持されている。 このうち r品質が良い」と「景気の調節弁」は,カイ自乗値,p
値,カテゴ リー・レンジ,カテゴリー・スコアの平均値,判別的中点による分類でも支持 されており,有力な成長要因である。「品質がl良い」は,下請企業が親企業から 信頼を獲得するための必須の条件となっている。「景気の調節弁」は,手袋産業 特有の暖冬や季節変動による生産縮小に伴い,専属的な下請企業でも親企業か らの発注が保証されないことを意味しており,下請企業としては r受注減少に177 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -23ー 耐える」ことを意味している。これに耐えることが親企業の信頼ないし同情を かい,次の受注へとつながり,成長要因となると解される。このことは,親企 業の要求に左右される下請企業を象徴しているのかも知れない。 他方 r親企業の設備不足を補完」は,カイ自乗値,カテゴリー・レンジ,判 別的中点による分類でいずれも第
1
位で,衰退要因として支持されている。手 袋産業では社会的分業が進んで、おり,親企業の生産能力の不足を下請企業が補 う形で,産地の生産体制が成立していることからみると,このことは理解しに くい。ただ単なる量的分業では,親企業の海外生産を含む生産能力の拡張や新 たな競争相手の出現により受注を失う恐れを指摘しているものと言える。 (2) r品質がよいJr親の設備不足を補完」および「景気の調節弁」以外の要 因は,有意水準。05でも支持されていないが,成長と衰退に影響を与える要因 を相対的なものとすれば,取引上の問題点の各カテゴリーについて,次のこと が言える。 「工賃が安い」が衰退要因である。これは,市場では高品質が要求され,生産 面では安価な海外製品に対抗するためには,もはや「安く作る」だけでは,企 業として存立できないことを意味している。また r資本的つながり」や「人的 つながり」だけでは,もはや成長につながる段階ではなく,衰退要因となって いる。 (3) 以上のことから見ると,成長する下請企業のイメージは r高品質」とい う時代の要請に応え得る生産技術を持つとともに,親企業の生産量的の変動に耐 える力(例えば,自主生産品を持つ)を持っている企業である。 逆に,衰退する企業の基本的イメージは,単に「安く作る」ことしか売りも のを持たず,質的な面で特徴を出し得ない企業である。 なお r専門技術Jr特殊工程Jr納期厳守Jr小ロット受注」は,カテゴリー・ レンジが狭く,成長にも衰退にも強い影響を与える要因にはなっていない。こ れらの要因は,一般には重視されていることからみて,理解しにくい。OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-24ー 香川大学経済論叢 4-4.. I取引上の問題点」の「現在の受注量」への影響 4-4-1.. 分 析 178 (1) 下請企業の成長または衰退に対して I下 請 企 業 の 感 じ る 取 引 上 の 問 題 点」がどの程度影響を与えているかを,数量化2類により検討する。下請企業 の感じる取引上の問題点として,①支払遅延が多い,②工賃受取までの期間(手 形の期間など)が長い,③受注量が不安定(一般的な季節変動を含まない), ④ 受注量の季節変動が大きい,⑤受注の見通しが不明,⑥受注ロットが小さい, 図表4..4副l 力イ自乗値ほか(取引上の問題点) 有判P{j意定直差の※ カテゴリー カテゴリー カイ自乗値 P 値 レ ン ジ ス コ ア 平 均 値 ①支払遅延が多い 0..8564 03547
。
..3890 -0..1772 ② 手 形 が 長 い 1..2151 02703 0..0346 0..0104 ③ 受 注 量 不 安 定 0..7882。
..3747 0..0034 -0..0011 ④ 受 注 季 節 変 動 0..0001。
..9938 0..0635 -0“
0088 ⑤ 受 注 が 遅 いo
3234。
..5696 0..0145“
。
0054 ⑥ロットが小さい L1694 0..2795 0..1419 -0..0489 ⑦ 納 期 が 短 い 0..0685 0..7936。
..0059 -0..0024 ③仕様変更が多い 2..6067 0..1064 0..1327。
..0516 ⑨ 工 賃 が 安 い 0..8233 0..3642 0..1033。
..0040 ⑩ 工 賃 切 り 下 げ 3..6390。
..0565 0..3438 -0..1451 ⑪ 返 品 が 多 い“
。
1676。
..6823 0..1044 0..0487 ⑫ 受 注 量 の 減 少 12..0479 0..0005**キ
0..3956 -0..1363 ⑬トラブルが多い 0..0374 0..8522 0..0370 -0..0175 ※P三五0..001[
*
*
*
J
P孟0..01[*
*
]
P話0..05*
]
179 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -25-⑦納期が短い,⑧仕様変更が多い,⑨工賃が安い,⑩工賃切下げの要請が強い, ⑪返品ややり直しが多い,⑫受注量の減少,⑬トラフソレが多い,の13項目であ る。(アンケートでは3項目選択の複数回答であったが,各項をイエス・ノーの 単純回答にして再集計した。)
(
2
)
i受注量の増加」を成長を示す要因 i受注量の減少」を衰退を示す要因 として, 2群の外的基準を設定する。「取引上の問題点」を説明変数とする。 (3) カイ自乗値(図表 4,,41)から見れば i受注量減少 120479jが,成長 および衰退を区別する強力な要因となっている。続いて i工賃の切下げ 3"6390ji仕様変更が多い
2
,6067I
工賃受取までが長い 1“2151ji小ロット 1. 1694j も重要な要因である。 (4)p
値(図表4..41)から見れば i受注量の減少 O,,0005j i工賃の切下げ 図表4
,,4
,,2
判別的中点によるカテゴリーの分類(取引上の問題点) 衰退への影響 要 因 成長への影響 -0,,3717 ①支払遅延が多い 0,0277 ② 手 形 が 長 い -0 0028 ③ 受 注 量 不 安 定 -0,.0406 ④ 受 注 季 節 変 動 0..0127 ⑤ 受 注 が 遅 い -0 1198 ⑥ロットが小さい -0..0052 ⑦ 納 期 が 短 い ⑧仕様変更が多い 0,.1180 -0,.0476 ⑨ 工 貨 が 安 い -0..3170 ⑩ 工 賃 切 り 下 げ ⑪ 返 品 が 多 い 0,.1009 -0..3341 ⑫受注量の減少 -0,.0359 ⑬トラブルが多い 判別的中点 0,.0454OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
180 -26~ 0..0565J r仕様変更が多い 有意差判定(図表4“41)では r受注量の減少」の影響は有意水準0.,001 0.,1064J が成長および衰退に対して影響力が強い。 香川大学経済論叢 (5) で支持される。しかし,そのほかの要因の影響は,有意水準O叶05で支持されて いない。 カテゴリー・レンジ(図表441)から見れば r受注量の減少
。
“
3438Jの 3要因の影響力が強い。続 0,3956J(
6
)
。 . ,3890J r工賃の切下げ 。 , ,1419Jr仕様変更が多い 0,1033J の影響が強い。 カテゴリー・スコアの平均値(図表44ゎ1)の順位から見れば r仕様変 00516J および「返品が多い 0..0487 Jが成長に影響を与える要因。
“
1044J。
..1327J r返品が多い 「小ロット 「支払の遅延 「工賃が安し〉 いて, (7) 更が多い である。 は衰退に強い影響を与え -0 1772J 逆に,順位が最低の「支払遅延が多い -0,1451J ,.受注量の減 る要因である。さらに r工賃切り下げの要請が多い -0,,1363J も衰退に影響を与えている。 少 9﹁
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縦 一 関 別 別 く一相釧判判 (図表442) から見れば,判別的中点は 0,0454で カテゴリー・スコア(
8
)
50 40 30 20 10 日 サンプル・スコア階級別度数表に基づく判別グラフ(取引上の問題点) 図表4.,4,,3181 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -27 -あるから,成長に影響を与える要因としては i仕様変更が多い 0.1l80Ji返 品が多い 01009Jの2要因のみである。 逆に,衰退に強く影響を与える要因は i支払遅延が多い -0.3717J i受注 量の減少 -0 3341Ji工賃の切下げ -0“3170Jである。「小ロット -0..1l98J も衰退に影響を与えている。その他の要因はほとんど影響がない。
(
9
)
サンプル・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフ(図表4
.
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)
の山 はやや分かれており,他の項目よりは精度が良い。判別的中率は68..3%である。4
-
4
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.
.
検 討(
1
)
サンプル・スコア階級別度数表に基づいた判別グラフの山はやや分かれ ており,他の項目よりは精度が良い。また,P
値の有意差判定では i受注量の 減少」が有意水準0..001で支持されている。しかし,これは,目的変数と説明 変数が同ーという設計上のミスであった。 (2) i受注量の減少」以外は,有意水準 0ρ5では支持されていないが,成長 と衰退に影響を与える要因を相対的なものと解すれば,次のことが分かる。 判別的中点による分類で,成長要因と規定された 2要因のうち i仕様変更が 多い」は,カイ自乗値,P
値,カテゴリー・スコアの平均値でも支持されてお り,重要な要因といえる。「仕様変更が多い」という下請企業がトラブルと感じ たことが成長要因であるということは,下請企業が「仕様変更に耐える」こと が出来れば,それが成長につながることを意味している。すなわち,仕様変更 を可能にする生産システムは,多品種少量生産に対応するシステムであり,こ れの構築が重要であることを示している。 逆に,衰退に影響を与えるものとして i支払遅延が多い」と「工賃の切下げ 要求」があげられる。「支払遅延」はカテゴリー・スコアの平均値やカテゴリー・ レンジで支持されており i工賃切下げ」はさらにカイ自乗値,P
値でも支持さ れている。これらの要因は,上記の仕様変更とは異なり,それに「耐える」こ とが財務的基盤の弱い下請企業にとっては厳しい課題であるため,表退要因と なっていると思われる。OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
-28- 香川大学経済論一叢 182 (3) 以上のことからみると,成長する中小企業の基本的なイメージは,多品 種少量生産を可能にするシステムを構築して,小ロットの受注や仕様変更に積 極的に対応している企業である。いわばトラブルと感じたものに積極的に対応 し,それを克服する力を持っている企業である。 また,衰退する企業の基本的イメージは,親企業の無理な要求を跳ね返す力 がなく,工賃切り下げを受け入れ,また,長期手形を受け入れざるを得ない企 業である。
5
.
ま と め (1) r現在の受注量の増加」を成長 r現在の受注量の減少」を衰退を代表す るものとし,それに影響を及ぼす要因を数量化2
類により検討した。 (2) 有意水準 0.05以上で支持されたもののうち,成長要因は「一部固定的な 取引関係Jr親企業と取引強化を図る Jr品質が良い Jr景気の調節弁に耐える」 の4要因である。したがって,成長する下請企業は,主要な親企業の無理をあ る程度聞き入れ,受注量の変動にも耐えるとともに,他方では,高品質を可能 にする技術力を蓄積して,親企業の評価を獲得し,取引をいっそう強化するこ とをめざしている。しかし,特定の親企業に全面依存するのではなく,固定的 な取引は一部であり,他方では自主生産や他の親企業との取引などにより経営 を支える努力をしている。 他方,衰退要因は「不特定な親企業との取引関係」と「親企業の設備不足を 補完する」である。衰退する下請企業は,特定の親企業と親密な関係を構築し ておらず,また,生産面でも技術力を持たず,親企業や他の下請企業と単に量 的分業に留まっている。 (3) 有意水準 0.05で支持されないものについて,成長要因と衰退要因とを相 対的なものとみなすと,次のことが分かる。まず,成長については r自社見積 による工賃決定力」が重要である。そのためには r仕様変更に対応」できる技 術力や「返品」など親企業の無理をある程度聞き得る経営力が必要である。ま た, 1社専属のような全面依存ではなく r下請比率を 50%J程度に保ち,他方183 手袋産業成熟期における下請企業の成長要因 -29ー では「独立企業」をめざすなど経営意欲を持っている。 (4) 衰退については i世間相場による工賃決定」が下請企業の特徴を示して いる。このうような下請企業は,高品質を可能にする技術力を持たず, i