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地質別にみた地震動の強さを表す指標の距離減衰および各指標間の関係について

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Academic year: 2021

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愛知工業大学研究報告 第36号B 平成13年

地質5j1jにみた地震動の強さを表す指標の距離減衰および

各指標聞の関係について

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村松幸則

T

、正木和明

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Yukinori

MURAMATSU

and Kazuaki

MASAKI

Abstract: Strong motion records during the Yoro Earthquake on April 22, 1998 wereobserved at 298 sites by the strong motion network organized by Nagoya University. Parameters that indicate s巴lsmlC

intensity of甜ongmotion of ground surface such as maximum acceleration, maximum velocity, maximum

displacement, Housner's spec甘alintensity S1 and JMA seismic intensity were calculated by FUKUWA et. al (1999). The atienuation models of these param巴terswere studied according to soil age at the sites. The relations創nongthese p紅 白neterswere also discussed for making clear which is suitable as the p釘 釘neterof selsmic mtensity.

.序 対象地点における強震動を予測する事は地震災害を考 える上で重要である。強震動予測方法として、古くは河 角による加速度減衰公式がある。その他、強震動の強さ を表すさまざまなパラメーターについて距離減衰式が提 案されている。一方、断層モデルを想定し破壊過程を考 慮して強震動を予測する方法、経験的グリーン関数を用 いて推定する方法など、多くの研究がなされてきた。多 くの強震記録の蓄積に伴ってより複雑なパラメータを用 いてより正確に推定が可能な方法が提案されてきたが、 一方で、実用面の立場からは、いざその方法を用いよう とすると必要なパラメータが入手できないといった問題 も起きている。 このような背景から、本研究では、入手可能なパラメ ータとして、地質年代を用いる。地質年代は、地質図に 記載されているので、入手が容易である。ここでは、地 盤を沖積層、洪積層、第三紀層および岩盤に区分し、距 離減衰式を作成する。 強震動の強さを表す指標として、最大加速度、最大速 度、最大変位が知られている。これらの指標は単純で

T

愛知工業大学工学部土木工学科研究生

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愛知工業大学工学部土木工学科(豊田市) 分かりやすいが、一方で、強震動の周期特性、震動継続 時間などを表現していないので、被害に対する強度を表 しにくいといわれている。被害に対する強度を表す指標 として、気象庁震度階級(本研究では計測震度)やハウ スナーのスベクトル強度 (S1値)が用いられてきた。 これらの指標を求めるためには、強震記録を数値的に処 理しなければならない点でやや複雑であり、またその物 理的意味が明瞭で、ない点で、行政関係者や市民に分かり にくいのも事実である。本研究では、これら強震動をの 強さを表す指標聞の関係についても考察する。 2目用いた強震記録 1998年 4月22日三重県員弁郡北勢町の養老山脈直下、 深度 lOkmで、マグニチュード 5.4の地震が発生した。 最大震度は三重県北勢町の震度5強(計測震度 5.05) で あったが、多度町、員弁町、藤原町等震源の西部で震度 5弱となった。愛知・岐阜・三重の東海三県の広範な地 域で震度 4~2 となり、この地域としては強い地震であ った。 愛知。岐阜@三重県には、気象庁、科学技術庁

(K-n e t)、各市町村自治体、大学、中部電力、東邦ガスな どの諸機関によって約 300地点に強震計が設置されてい る。強震計のタイプは様々であるが、多くは加速度型強 震計であり、加速度波形が記録される。これらの記録は、 119

(2)

100 ( 一 同 国 ) 刷 閣 制 足 以 刊 蝋 る。記録は名古屋大学先端技術共同研究センター内のサ ーバーに一括して収納される(福和他、 19 9 9)。波形 は数値処理により、加速度波形、速度波形、変位波形に 変換され、最大加速度、最大速度、最大変位、 SI値、計 測震度が計算される。これらの情報はウエブ上に公開さ @沖積層

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蝋 れている。 観測地点、の地質年代区分強震観測点の北緯、東経、地 名は文献1に記載されている。K-netサイトについては ボーリング柱状図も記載されているが、地質年代は記載 されていない 強震動は対象地点の地盤の特性に強く影響される。地 盤の特性を表す指標として、土質分類、微地形、標準貫 入試験値、などが考えられるが、これらの指標は入手が 意外と困難な場合が多い。さらに、地質年代がある。地 質年代に関して言えば、地質図に大概記載されているの で入手しやすい。本研究では地質年代を用いる。 地質年代を、沖積層、洪積層、第三紀層、岩盤に区分 する。岩盤は地質年代区分ではないが、沖積層、洪積層、 第三紀層の順に地盤の岡lJ性が大きくなることに対応し、 剛性の大きい岩盤は形成年代に関係無くひとつの区分と a第 紀 層 ヒ二二 トー 10 1000 100 10 ( 一 包 ) M m 椴 異 M R 脳 x岩盤

ヨ 怠 し 1111 1000 した。 文献2に記載されている地質図に強震観測点、を落し、 地質年代を決定する。ただし、地質図は基本となる地図 が古く、観測点、位置を正確に決定することは困難である。 特に、山間の観測点においては正確を期すことは難しい。 岩盤上なのか谷間の地盤なのかの判定は困難である。 今回の地震はマグニチュードが小さく深度も浅いので、 震央距離をとる。図1,2, 3に最大加速度、最大速度、 最大変位の距離減衰を沖積地盤、洪積地盤、第三紀地盤、 岩盤、全地盤別に示す。ひとつの地震についてのデータ のみであるので点のばらつきがかなり大きいが両対数日 盛で直線関係にあることはとって見られよう。近似式を 強震動の距離減衰 3 100 ( 一 m g M m 刷用口明︽酬明 logy=alogx+b とおいて、係数

a

1000 100 震央距離(km) 10 10 (1.1) (1.2) (1.3) (1.4) (1.5) bを最小二乗法で求めた。

0

最大加速度α(gal)と震央距離x(km)との関係 (沖積地盤) log α=-0.771og x +2.58::1::0.33 (洪積地盤) logα=ー 1.321ogx +3.45::1::0.22 (第三紀地盤)logα=一1.311ogx +3.39::1::0.18 (岩盤) logα=-l.OOlog x +2.89::1::0.25 (全地盤) log α=-1.051og x +3.01::1::0.26 最大加速度と震央距離の関係 図l

(3)

地質別に見た地震動の強さを表す指標の距離減衰および各指標聞の関係について

1

2

1

0.1 0.01 ( E O ) 胡側 M R 脳 100 10 0.1 0.01 ωE 一 4 ) 組 側 M R 曜 0.1 E U ) 割 削 問 ︽ 蝉 100 10 0.1 ω 己 主 制 刷 用 M R 附 置 団洪積層 ヤー一一一

戸三士 園 ト ー 卜一一 一 」 0.01 0.1 E U ) 判明制

K

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11111 0.01 100 0.1 10 3 5 4 ) 制刷用︽酬明 A第 紀 膚 車 I~ 仁二二 0.01 E 口 組 0.1 韓両 + く 四 回 a第 紀 層 AAIA 0.01 100 0.1 10 3 5 4 ) 組制 M R 酬 明 x岩 盤 トー トー トー 卜一一卜ー ト一一 持 十一 一「一 トー 露 酎 0.01 0.1 E U ) 組側

K

蝋 0.01 100 0.1 10

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一 五 ) 制 剤 M R 蛸 1000 100 10 0.01 1000 100 10 0.01 震央距離(km) 最大変位と震央距離の関係 図3 震央距離(km) 最大速度と震央距離の関係 図 2

(4)

(沖積地盤) logv=一O巳471ogx+0.83土0.29 (2.1)

u

共積地盤) log v =-0.841og x + 1.22

:

:

t

0.32 (2.2) (第三紀地盤)log v =-1.561og x +2.34

:

:

t

0.21 (2.3) (岩盤) log v =-l.lllog x + 1.40

:

:

t

0.22 (2.4) (全地盤) logv=ー1.371ogx +2.01

:

:

t

0.22 (2.5) 0最大変位 d(cm)と震央距離 x(km)との関係 (沖積地盤) log d =-1.l4Iog x +0.99土0.22 (3.1 ) (洪積地盤) log d =-1.351og x + 1.19

:

:

t

O.22 (3.2) (第三紀地盤)log d =-1.601og x + 1.54

:

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0.23 (3.3) (岩盤) log d =-1.291og x +0.85

:

:

t

0町21 (3目4) (全地盤) log d =-1.69Iog x + 1.72土0.24 (3.5) 4 強震動指標間の関係 強震動の強さを表す指標として従来、最大加速度、最 大速度が考えられてきた。これらの指標は強震動のピー ク値を用いるものであるが、震動の持つ周期性を評価で、 きない。そこで、ハウスナーはスベクトノレ強度 (81値) を提案した。これは、速度応答スベクトルを 0.1秒から 2.5秒の 周期範囲で積分した値である。強震動の強さを 表す指標として気象庁震度(階級)が良く知られている。 気象庁震度は計測震度から決められている。本研究では、 計視JI震度を用いる。ただし、ここで言う計測震度は強震 記録に震度計相当のフィルタ処理を行って求めたもので ある。 図 4に最大加速度と最大速度との関係を示す。この場合 も両者は両対数上で直線関係であるので最小自乗法で求 める。 0速度 v(kine)と加速度 α(gal)との関係 (沖積地盤) log v =0.811ogα-1.02

:

:

t

0.17 (4.1) (洪積地盤) log v =0.90logα一1.31土0.14 (4.2) (第三紀地盤)log v =l.Ollogα-1.45土0.16 (4.3) (岩盤) log v =0.82Iogα-1.37

:

:

t

0.16 (4.4) (全地盤) log v =0.90logα-1.27土0.20 (4.5) 図5、図6に8 1値と最大加速度および最大速度との 関係を示す。 8 1値は最大速度ときわめて良い相闘を示 す。 8 1値が速度応答スベクトルを元に算出された値で あることを考えると最もな事といえる。最大加速度との 相聞はあまり良くない。 081値と加速度 α(gal)との関係 (沖積地盤) logSI=0.801ogα-0.94土0.21 (洪積地盤) logSI=0.891ogα 一1.23土0.13 (第三紀地盤)logSI=0.991ogα-1.37

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t

0.17 (岩盤) logSI=1.031ogα-1.56土0.19 (全地盤) logSI=1.03logα-1.39

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園洪積層 1111 4弘 企 第 紀 層 1 1 1111 10 100 1000 最大加速度(gal) 図4 最大加速度と最大速度との関係

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地質別に見た地震動の強さを表す指標の距離減衰および各指標聞の関係について

1

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0.1 10 100 1000 最大加速度(gal) 図5 S 1 {直と最大加速度との関係 書量 (/) 躍 (/) 組 (/) 埋 (/) 題 型 ω 100 10 i事

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@沖積層 園洪積!嘗 企第三紀層

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1111 x岩 盤 0.1 100 10 0.1 100 10 ぽ l置 亜 回洪積層 1111 0.1 100 10

‘占争 &第1 1紀l層I11I 盆h 0.1 100 10 x岩 盤

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トー 2曜 且 . . . 墨‘ 0.1 0.01 0.1 最大速度(kine) 10 図 6 SI値と最大速度との関係

(6)

4 3 2 州 国 脳 - R お 4 3 2 刷 出 酬 明 宜 閉 円 高 5 4 3 2 組側震お

5 4 3 2 組側築指 一一丁一ー「一「← 闘 医 園 留 園 掴 園自員事 │aij共積1 1 層11

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5 4 0 0.1 3 2 制 酬 脚 宮 陣 円 高

4 3 2 5 刷 出 脳 一 黙 十 川 10 1000 100 10 最大速度(kine) 計測震度と最大速度との関係 図8 最大加速度(gal) 計測震度と最大加速度との関係 図7

(7)

地質別に見た地震動の強さを表す指標の距離減衰および各指標聞の関係について 125

OS1

値と速度

v(

k

i

n

e

)

との関係 (沖積地盤) logSI=0.99Iog v +0.08士0.05 (6.1) (洪積地盤) logSI=0.98Iog v +0.07土0.04 (6.2) (第三紀地盤)logSI=0.99Iog v +0.06土0.03 (6.3) (岩盤) logSI=0.98Iog v +0.05土O園田 (6.4) (全地盤) logSI=l.OOlog v +0.07土0.05 (6.5) 図7、図8に計測震度と最大加速度および最大速度と の関係を示すす。計測震度は加速度成分と速度成分を評 価しながら算出される値である。最大速度との相閣の方 が、最大加速度との相聞に比較して良い。

0

計測震度Iと加速度α(gal)との関係 (沖積地盤) 1 =0.53Iogα+ 1.87

:

t

0.53 (洪積地盤) I =1.661ogα-0.02土0.29 (第三紀地盤) 1 =1.881ogα 一0.29土0.27 (岩盤) 1 =1.651ogα 一0.16

:

t

0.30 (全地盤) 1 =1.771ogα-0.07

:

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0.36

0

計測震度

I

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)

との関係 (沖積地盤) 1 =1.721ogv+2.40

:

t

0.21 (洪積地盤) 1 =1.821ogv+2.42

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0.22 (第三紀地盤) 1 =1.72logv+2.39

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t

0.19 (岩盤) 1 =1.921ogv+2.56

:

t

0.14 (全地盤) I = 1.73 log v +2.41土0.24 5. まとめ (7園1) (7.2) (7.3) (7.4) (7.5) (8.1) (8.2) (8.3) (8.4) (8.5) 1998年4月22日の養老地震の強震動特性について考 察した。距離減衰に関してはかなりのばらつきが見られ た。ぱらつきの程度は最大加速度、最大速度、最大変位 とも間程度で、あった。今回の地震は養老山脈直下で発生 した地震である。山脈の東には濃尾平野が広がっており、 一方西側には鈴鹿山地が広がっている。このような地盤 の非対称性の影響を受けているのかも知れない。 最大加速度と最大速度との相関は地盤の種類に関係無 く高かった。 S 1値は最大加速度との相関も見られるが 最大速度との相闘が極めて強かった。これは、 S 1値が 基本的に速度成分に関連する指標であるためであろう。 S 1値は、速度応答スベクトルを求めさらにこれを積分 しなければならず少々手聞がかかるので、最大速度で代 替しでも有用であろう。震度はもともと体感、物体の震 動形態、被害実態などから総合的に決定される強震動の 強さを評価する指標である。強さを概略的に表す指標と して一般的に受け入れられているが、一方で物理的定義 は唆昧である。加速度成分、速度成分、変位成分さらに 周期成分をも含んでいる。計測震度と最大加速度との相 関を見ると比較的良好であるが、最大速度との相聞は強 い。速度成分が加速度成分と変位成分の中間的成分であ ること、加速度が短周領域で優勢である一方変位は長周 期領域で優勢である。速度成分は中間的周期領域で優勢 である。いずれにしても、最大速度が計測震度と良い相 関を示すのは当然といえる。 謝辞 本研究に用いた諸数値は名古屋大学先端技術共同研究 センターの福和伸夫教授から提供頂いた。貴重な資料で あり深く感謝の意を表しますロ 参考文献 1 ) 福 和 伸 夫 , 飛 田 潤 , 中 野 優 : 名 古 屋 圏 に み る 強 震観測状況の実態と記録活用の試み,1998年 4月22 日養老の地震の記録収集と分析,名古屋大学, pp.l阜318,1999. 2)通産省工業技術院地質調査所:日本地質図体系,中 部地方,朝倉書店, 1991.

(受理平成

1

3

3

1

9

日)

参照

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